JP5458822B2 - 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法 - Google Patents

光学素子用成形型及び光学素子の成形方法 Download PDF

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本発明は、ガラスレンズなどの光学素子をプレス成形する光学素子用成形型及びそれを用いた光学素子の製造方法に係り、特に、得られる光学素子の偏心精度を向上させることができる光学素子用成形型及びそれを用いた光学素子の成形方法に関する。
ガラス材料等からなる光学素子成形素材を、加熱により軟化させ、得ようとする光学素子の形状をもとに精密加工された上型と下型の間でプレス成形して光学素子形状を付与し、これを冷却固化させることからなる光学素子の製造方法が知られている。
ところで、光学素子は、撮像機器、光ピックアップなどに多用され、その画素数や記録密度の増大に伴い、偏心精度などの要求精度が極度に高くなってきている。光学素子の偏心精度は、光学素子における第一面の中心軸と第二面の中心軸との一致を要求する精度であり、平行偏心(ディセンタ)、傾き偏心(チルト)などによって評価されている。
このような光学素子の偏心精度の向上されたプレス成形装置としては、例えば、第1のプレスヘッドによって胴型を下型のフランジに圧接して胴型及び下型の位置決めを行い、次に、第2のプレスヘッドにより上型に荷重を加えて成形素材をプレス成形するプレス成形装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、上型又は下型の移動をガイドする胴型として、上型又は下型の少なくとも一部に対して、上下方向から圧接させる圧接手段、具体的には、胴型に段を設け、その段をスプリングにより押さえることができるようにした、プレス成形装置が提案されている(特許文献2参照)。
特開昭62−227730号公報 特開2009−51696号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたプレス成形装置では、通常のプレス軸とは別に、胴型を押さえるためのプレス軸を配置しているため、プレス軸が2軸必要となり、また、それぞれプレス軸を独立に動作させることで偏心を抑制しようとするものであるから、これらの動作をそれぞれ制御しなければならず、装置構成が複雑となってしまう問題があった。このような装置では、結局、光学素子の製造コストが高いものとなってしまう。
また、特許文献2に開示されたプレス成形装置では、胴型を押さえる力をスプリングのみで発生させているが、プレス成形装置の使用条件が高温であることから、使用によりスプリングがへたりやすく、へたった場合には胴型を圧接する力が十分に発生させることができなくなるという問題があった。また、高温でもへたりが少ないセラミックスプリングを使用することも考えられるが、その場合には、荷重と撓み量が制限されてしまい十分な力が発生できなかったり、折損してしまったりして調整が難しく、安定して胴型を圧接することができないという問題があった。
そこで、本発明は、上記の事情に対処してなされたものであり、プレス成形により光学素子を製造する際に、簡便な装置構成で、確実に胴型に荷重をかけることにより、上下型の中心軸を高い精度で確保して光学素子の偏心精度を高めることができる光学素子用成形型及び光学素子の成形方法を提供することを目的とする。
本発明の光学素子用成形型は、光学素子成形面を有し、円柱状の胴部からなる上型及び下型と、これら上型及び下型の胴部をそれぞれ摺動させて嵌合し、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴と、該内胴の外周に間隙を設けて配置され、上型及び下型の上下方向の距離を規制する円筒状の外胴と、を有し、上型及び下型の間に収容された光学素子成形素材をプレス成形して光学素子とする光学素子用成形型において、下型の下端と内胴の下端に、プレス成形時に互いに圧接されるフランジをそれぞれ有し、かつ、プレス成形時に外胴が、内胴のフランジを上部から押圧することを特徴とするものである。
また、本発明の他の光学素子用成形型は、光学素子成形面を有し、円柱状の胴部からなる上型及び下型と、これら上型及び下型の胴部をそれぞれ摺動させて嵌合し、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴と、該内胴の外周に間隙を設けて配置され、上型及び下型の上下方向の距離を規制する円筒状の外胴と、を有し、上型及び下型の間に収容された光学素子成形素材をプレス成形して光学素子とする光学素子用成形型において、上型の上端と内胴の上端に、プレス成形時に互いに圧接されるフランジをそれぞれ有し、かつ、プレス成形時に外胴が、内胴のフランジを下部から押圧することを特徴とするものである。
また、本発明の光学素子の成形方法は、本発明の光学素子用成形型に光学素子成形素材を収容し、光学素子用成形型を加熱して該成形型内の光学素子成形素材を軟化させる加熱工程と、軟化した光学素子成形素材を、プレス手段を用いて光学素子用成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス工程と、プレス工程後、光学素子用成形型を冷却し、光学素子形状を付与した光学素子成形素材を固化させる冷却工程と、を有する光学素子の成形方法であって、プレス工程において、光学素子用成形型の外胴により内胴のフランジを上部又は下部から押圧して、前記内胴のフランジと前記下型又は上型のフランジとを互いに圧接させることを特徴とするものである。
本発明の光学素子用成形型及び光学素子の成形方法によれば、下型と内胴又は上型と内胴が、プレス成形時に互いに圧接されるようにして、外胴により内胴を押圧して下型又は上型に圧接させることで、得られる光学素子の偏心精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態である光学素子用成形型の側断面図である。 図1の光学素子用成形型によるプレス成形の動作を説明する図である。 本発明の他の実施形態である光学素子用成形型の側断面図である。 従来の光学素子用成形型の側断面図である。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明の一実施形態である光学素子用成形型の側断面図であり、図2は、図1の光学素子用成形型を用いたプレス工程を説明する図である。
まず、図1に示した光学素子用成形型1は、光学素子成形素材をプレス成形可能であり、光学素子の上面を成形する上型2、光学素子の下面を成形する下型3、上型2及び下型3と摺動させて、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴4と、内胴の外周に配置されており、上型及び下型の上下方向の距離を規制するための円筒状の外胴5と、からなるものである。
本実施形態において、上型2及び下型3はそれぞれ円柱状の胴部を基本形状とする部材であり、これらの上型2及び下型3には、使用時にこれらの型が安定するように上型の上端にはフランジ2aが、下型の下端にはフランジ3aがそれぞれ設けられている。また、これらの上型及び下型は光学素子を形成するものであるため、上型2には光学素子の上面を形成する上形成面2bが、下型3には光学素子の下面を形成する下形成面3bが形成されており、上型2及び下型3は、これら上形成面2bと下形成面3bとを対向させて一組の成形型として使用するものである。
また、内胴4は、中空円筒形状に形成されており、その中空部分は上記した上型2及び下型3の円柱状の胴部が嵌合可能なようになっている。この内胴4は、上型2及び下型3を嵌合してプレスする際に、これら上型2及び下型3を摺動させながら光学素子の中心軸を位置合わせして、上型2及び下型3で形成される光学素子の光学機能面を同軸上に規制するものである。
また、この内胴4には、その円筒形状の外周の下端にフランジ4aを有しており、このフランジ4aは、光学素子成形素材をプレスする際に、外胴5がそのフランジ4aの上部から押圧して、内胴4のフランジ4aと下型3のフランジ3aとを互いに圧接させることができるようになっている。
このように内胴4が下型3に圧接されると、内胴4のフランジ4aは、下型3のフランジ3a部分に押しつけられ、その上面に隙間なく重なることとなり、内胴4のフランジ4a部分を強制的に水平面と平行になるようにすることができる(下型3が載置されるプレス手段は、その下型3との接触面を厳密に水平になるように管理されている)。そして、この内胴4のフランジ4a部分が水平となると、その円筒形状の本体は、鉛直方向に立った形となり、それに伴い、その内部に嵌挿されている上型2及び下型3の中心軸を一致させる方向に補正する力が働くのである。
このフランジ4aは、内胴4の内径に対して、その直径を1.1〜6倍の範囲にすることが好ましく、径を大きくすることにより圧接された際の下型3の配置が安定し、光学素子の中心軸の位置合わせの精度を向上させることができる。
また、外胴5は、内胴4と同様に中空円筒形状であるが、内胴4を内挿可能とし、上型2及び下型3間の距離を規制するものである。具体的には、上型2及び下型3をそれぞれプレス手段で押圧してプレス成形する際に、プレス手段間の距離を、この外胴5で規制することで上型2及び下型3の距離を規制するものである。
ここで、外胴5は、内胴4と同一の中心軸を有し、内胴4の外周に間隙を設けて形成されるもので、このように内胴4と外胴5とを、非接触の状態で空間を設けて配置することで、空気が流通可能なようにしている。この空間を設けることにより、プレス時に、上型2及び下型3の間に存在する空気を、内胴4の側面に形成された空気孔4bを通じて外部に逃がすことができ、プレス操作を安定して行うことができるようになる。この空気は、さらに外胴5の側面に形成された空気孔5bを通じて、成形型外に逃がすようにすることもできる。
また、外胴5は、その下端部で内胴4のフランジ4aを押圧するようになっているが、その逆の上端部は、プレス手段と直接接触して、外胴5が十分に加熱され、成形型内部の温度が下がらないようにしてプレス成形を安定して行うことができるようにすることが好ましい。その場合には、図1に示したように、上型2のフランジ部は小さくすればよい。また、上型2のフランジ部を大きくした場合でも、外胴5の上端部の内径を大きくして、下端部の内径を小さくテーパー状になるようにして形成することで、上端部はプレス手段と、下端部は内胴のフランジ4aと接触させて上型2及び下型3の上下距離を規制するようにすることもできる。
この成形型は、超硬合金やセラミックス等の素材からなり、上型2及び下型3には、成形する光学素子の面形状を転写するための成形面がそれぞれ対向する面に形成されている。この図1では、成形型として両凸形状の光学素子を製造するものを図示したが、光学素子形状はこれに限定されるものではなく、両凹、平凸、平凹、凸メニスカス、凹メニスカス形状のいずれの形状を成形する成形型であっても用いることができる。
なお、外胴5は、上記セラミックス以外にも、ステンレス、インコネル(大同スペシャルメタル株式会社製、商品名)等の耐熱性のある金属を用いることもでき、ステンレス製とすると、加工が容易で、熱膨張量が大きく安価である点で好ましいものである。また、このとき、室温からプレス成形の成形温度における、外胴の上下方向における熱膨張量が、光学素子成形素材の上下方向の熱膨張量よりも大きくなるようにすることが、成形操作において光学素子に圧力が抜ける時間を生じさせることなく、成形を安定して行うことができる点から好ましい。
次に、この光学素子用成形型1を用いた光学素子の成形方法について、図2を参照しながら説明する。
まず、成形型の内部に光学素子成形素材80を収容し、光学素子用成形型を加熱して、予め所定の温度まで熱して予備加熱を行っておく。次いで、光学素子用成形型をプレス手段20b上に移動させプレス手段20bを下型3に接触させる(図2(a))。その後、プレス手段20aを押し下げてプレス手段20a及び20bをそれぞれ上型2及び下型3に接触させ、さらに加熱させると、その内部に収容されている光学素子成形素材80も加熱され、これにより光学素子成形素材が軟化する。
光学素子成形素材は、変形が容易な屈伏点以上に加熱するが、一般的には、軟化点まで温度を上げるとレンズ表面が白濁するので屈伏点(At)から軟化点の間の温度に設定する。
この加熱温度は、用いる光学素子成形素材が加圧変形できる温度であればよく、屈伏点と軟化点との中間付近の温度であることが好ましい。プレス手段20a及び20bを所定の温度に設定して、この加熱工程を行うと、上型2及び下型3は、温度が昇温していきプレス手段の設定温度と同じ温度にまで加熱される。
上型2及び下型3が加熱され、光学素子成形素材がプレス成形するのに十分な温度となったところで、プレス手段20aは、これを下降させプレス手段20a及び20b間の距離を狭めることにより、上型2と下型3との距離を狭めて、成形型の内部に収容された光学素子成形素材80に圧力をかけて変形させてプレス成形を行う。このとき、上型2及び下型3の間の上下方向の距離は、外胴5の高さにより所定の距離に規制される。
このプレス工程では、上記したように成形型の上下から圧力をかけることで光学素子成形素材80のプレス成形を行い、これにより光学素子成形素材には上型2及び下型3の光学形成面が転写され、光学素子形状が付与される。
このプレス工程におけるプレス時の圧力は、1〜30N/mmとすることが好ましく、例えば、5〜15N/mmであることが特に好ましい。ここで言うプレス時の圧力とは、光学素子成形素材に加わる圧力を指す。
そして、このプレス工程において、内胴4はそのフランジ4aが、外胴5とプレス手段20bに挟まれる形となり、外胴5により上部から押圧されるため、下型3のフランジ3aに上から圧接することとなる。
このように圧接された内胴4は、そのフランジ4aが、下型3のフランジ3aと隙間なく重なり、これらフランジ3a及び4aは、互いに平行となる。このとき、プレス手段20bは、その上面が水平面となるように厳密に管理・調整されているため、その上に載置された下型3のフランジ3aも水平面に平行となっており、この圧接動作によって内胴4のフランジ4aも水平面と平行になる。
このようにフランジ4aが水平面となると、内胴4の円筒形状である本体部分の中心軸は、鉛直方向に対するずれが極めて小さくなる。すなわち、この内胴4で中心の位置を規制される上型2及び下型3の中心軸が一致するように力が働くのである。このような力が働かない従来の方法を用いた場合には、上型2及び下型3と内胴4との摺動部分のクリアランスを設けた分だけ、中心軸がずれる可能性があり、本発明はそのようなずれを小さくすることができるものである。
そして、このようにプレス工程で光学素子成形素材に光学素子形状を付与した後、光学素子用成形型1を、今度は冷却手段上に移動させて、冷却手段と光学素子用成形型1を接触させて、光学素子用成形型1を冷却することによって、光学素子成形素材の冷却、固化を行う。
この冷却工程においては、成形された光学素子成形素材80が、歪点以下になるまで冷却することが好ましい。この冷却工程においても、光学素子成形素材80への加圧は継続して行うことが好ましく、上記歪点以下の温度になるまで加圧を続けることが好ましい。
さらに、この冷却中に、光学素子成形素材の温度がガラス転移点以下になったところで、光学素子成形素材に加圧する圧力を変化させることもでき、例えば、光学素子成形素材80の温度が、ガラス転移点以上のときにはプレス時の圧力と同じ圧力としておき、ガラス転移点よりも低い温度になってからは圧力を高くして、段階的に加圧するようにしてもよい。
ガラス転移点以上の温度を低圧にするのは、肉厚バラツキを抑えるためであり、それ以下の温度域では押込み量がほとんど無いので増圧しても問題ない。すなわち、光学素子成形素材が硬化状態に近づくガラス転移点(Tg)付近までは低い圧力で保圧し、ガラス転移点(Tg)付近からそれ以下の温度となり光学素子成形素材が固化するまで、より高い圧力をかけるものである。このように冷却工程において圧力を継続してかけることにより光学素子の面形状が安定する。
なお、ここで、低い圧力とは2.5N/mm以下、高い圧力とは2.5N/mm超である。また、光学素子成形素材が歪点以下となり、固化した後は、さらに20N/mm超となるような高い圧力をかけてもよい。このように段階的に圧力を高めることで光学素子の面ワレが生じる等の不具合が生じることを抑制し、形状精度を高めることができる。また、固化した後の圧力としては、ガラス素材にワレが生じる等の不具合が生じない限りはどのような圧力でもよいが、通常、30N/mm程度が上限である。上記では2段階又は3段階に圧力を増加させていく例を説明したが、それ以上の多段階として増圧するようにしてもよい。本明細書において、面ワレとは、光学素子が成形型から離型する際に、一部だけが先に離型し、その後に残りが離型した場合に、曲率が不連続な光学面が形成されて非球面形状精度が悪化する不良が生じる離型異常のことを言う。
そして、このように冷却工程が完了した成形型は、さらに冷却させるために、例えば、水冷手段上へ移動させる。この水冷手段による冷却は、冷却工程で冷却された光学素子成形素材をさらに急冷させ、光学素子成形素材を歪点付近の温度から成形型が酸化しない温度の200℃以下まで冷却させるものである。
なお、ここで用いたプレス手段20a及び20bは、これらの間の距離を狭めることにより成形型の上型2と下型3との距離を狭めることができ、成形型内に収容された光学素子成形素材80を軟化状態のまま押圧して変形させ、上型2及び下型3の光学形成面形状を光学素子成形素材80に付与することにより光学素子の成形を行うものである。すなわち、このプレス手段であるプレス手段20aは、成形型の加熱状態を維持しながらプレス操作を行うことができるようになっているもので、その内部にはヒータが埋め込まれている。
このプレス手段20a及び20bは、光学素子成形素材をプレスする際に、成形型の外胴5の高さによりプレス手段20a及び20b間の距離を規制することで、上型2及び下型3の距離を調整するものである。これにより成形される光学素子の厚みが調整される。なお、図1での上型2及び下型3の距離は、実際には、下型のフランジ3aの厚さ、内胴のフランジ4aの厚さ及び外胴5の高さにより規制されている。
なお、図1の光学素子用成形型1は、上型2が外胴5により上下位置を直接規制されるものではないため、仮に、外胴5が光学素子成形素材よりも熱膨張量が小さくなってしまった場合にも、成形操作において光学素子成形素材に圧力(上型2の自重)をかけ続けることができ、好ましい構成である。
このようにして冷却、固化して得られた光学素子は、その外周部を切削等により所望の径を有する光学素子形状に加工し、さらに、アニール工程等に付されて歪み等を除去する等の後処理を施して最終的な製品とされる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明するが、この実施形態における光学素子用成形型11は、図3に示したように、光学素子成形素材をプレス成形可能であり、光学素子の上面を成形する上型12、光学素子の下面を成形する下型13、上型12及び下型13と摺動させて、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴14と、内胴の外周に配置されており、上型及び下型の上下方向の距離を規制するための円筒状の外胴15と、からなるものである。
ここで、本実施形態の光学素子用成形型11は、内胴14の最上端にフランジ14aを設け、このフランジ14aが上型12のフランジ12aに対し下方向から重なり、プレス時には外胴15により内胴14のフランジ14aが上方向に押圧されて、上型12と互いに圧接できるようになっているものである。すなわち、図1の光学素子用成形型1とは、内胴が下型に押圧されるか上型に押圧されるかが違うのみである。
そして、上型に押圧するように適した形状とするために、内胴14のフランジ14aは内胴14の上端に設けられ、上型のフランジ12aは内胴のフランジ14aとの圧接により軸補正を安定して行うことができるようにその形状は大きく、逆に、下型のフランジ13aは、外胴15も十分に高温に維持して成形型の温度低下を招かないようにプレス手段と直接触れることができるように、小さく形成されている。それ以外は、第1の実施形態と同様に構成され、それらの機能は全く同一である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図1の光学素子用成形型を用いて、光学素子の成形を以下の通り行った。
ここで用いた光学素子用成形型は、タングステンカーバイドからなる超硬合金製のものであり、プレス成形により、直径7.6mm、中心厚さ1.73mm、周辺厚さ0.9mmの両凸形状の光学素子が得られるものである。ここで、上型は胴部の直径がφ15mm、フランジの直径がφ20mm、厚みが3mmであり、下型は胴部の直径がφ15mm、フランジの直径がφ26mm、厚みが3mmであり、内胴はその円筒状の内径がφ15mmで上型及び下型とはクリアランスを5μm設け、外径がφ20mm、長さが24mm、フランジの直径が25.8mm、厚みが3mmである。なお、外胴はSUS316L製で、その円筒状の内径がφ20.6mm、外径がφ25.6mm、長さが24.9mmのものを用いた。
この成形型の内部に直径φ4.5mmの球状のリン酸系の光学素子成形素材を収容し、成形型を600℃に加熱した。なお、この光学素子成形素材の歪点は445℃、ガラス転移点(Tg)は484℃、屈伏点(At)は517℃である。
光学素子成形素材を収容した成形型を、560℃程度に予備加熱した後、搬送手段により550℃に加熱されたプレス手段20b上に搬送して載置すると同時に、プレス手段20bと同じ温度に維持されたプレス手段20aを、下降させて上型2に接触させ、上型2、下型3及び光学素子成形素材80を100秒間十分に加熱し、昇温させて光学素子成形素材を軟化状態とした。
次に、上型2、下型3及び光学素子成形素材80が十分に加熱され、プレス手段20a及び20bと同程度の温度(550℃程度)となったところで、プレス手段20aをさらに下降させ、上型2及び下型3により光学素子成形素材80のプレス成形を行った。成形時の圧力を22N/mmとし、80秒程度押圧して押切った。
次に、光学素子用成形型1を搬送手段により冷却手段上に搬送して載置させ、成形型全体を冷却した。この冷却の際にも、光学素子成形素材80へ22N/mmの圧力をかけるようにして、光学素子成形素材の歪点以下になるまで冷却した。
光学素子成形素材が歪点以下の温度となったところで、成形型を冷却手段から水冷手段上に搬送させて載置し、光学素子成形素材を室温になるまで冷却した。光学素子成形素材が十分に冷却したところで、成形型から取り出し、光学素子を得た。
この光学素子の成形操作を150ショット行い、得られた光学素子のディセンタに対するcpkと標準偏差及びチルトに対するcpkと標準偏差を求め、その結果を表1に示した。
(比較例1)
光学素子用成形型として、図4に示したように、上型52、下型53、内胴54及び外胴55からなる光学素子用成形型51を用いた以外は、実施例1と同様の操作により光学素子の成形操作を行った。なお、この光学素子用成形型51において、下型53は、実施例1の下型3とはフランジの大きさが小さくなっており、外胴55が上下のプレス手段と直接接触して上型及び下型の上下の距離を規制することができるようになっている点が異なるものである。また、内胴54は、フランジがない以外は内胴4と同一の形状を有するものであり、外胴55は、上記したように上下のプレス手段と直接接触して距離規制を行うため、その高さが実施例1の外胴5よりも6mm高くなっている。それ以外は、実施例1と同様の構成を有するものであり、同様の操作により、光学素子を得た。
この光学素子の成形操作を500ショット行い、得られた光学素子のディセンタに対する工程能力指数(cpk)と標準偏差及びチルトに対する標準偏差と工程能力指数(cpk)を同一基準で求め、その結果を表1に示した。標準偏差の単位はμmである。
Figure 0005458822
以上に示したように、本発明の光学素子の成形方法により、特に、内胴による光学素子の中心軸を、従来に比べて精度よく合わせることができるようになり、形状精度の高い光学素子を得ることができることがわかった。
本発明の光学素子の成形方法及び成形装置は、プレス成形による光学素子の製造に用いることができる。
1…光学素子用成形型、2…上型、3…下型、4…内胴、2a,3a,4a…フランジ、5…外胴、4b,5b…空気孔、80…光学素子成形素材

Claims (7)

  1. 光学素子成形面を有し、円柱状の胴部からなる上型及び下型と、前記上型及び下型の胴部をそれぞれ摺動させて嵌合し、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴と、該内胴の外周に間隙を設けて配置され、前記上型及び下型の上下方向の距離を規制する円筒状の外胴と、を有し、前記上型及び下型の間に収容された光学素子成形素材をプレス成形して光学素子とする光学素子用成形型において、
    前記下型の下端と内胴の下端に、プレス成形時に互いに圧接されるフランジをそれぞれ有し、かつ、プレス成形時に前記外胴が、前記内胴のフランジを上部から押圧することを特徴とする光学素子用成形型。
  2. 光学素子成形面を有し、円柱状の胴部からなる上型及び下型と、前記上型及び下型の胴部をそれぞれ摺動させて嵌合し、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴と、該内胴の外周に間隙を設けて配置され、前記上型及び下型の上下方向の距離を規制する円筒状の外胴と、を有し、前記上型及び下型の間に収容された光学素子成形素材をプレス成形して光学素子とする光学素子用成形型において、
    前記上型の上端と内胴の上端に、プレス成形時に互いに圧接されるフランジをそれぞれ有し、かつ、プレス成形時に前記外胴が、前記内胴のフランジを下部から押圧することを特徴とする光学素子用成形型。
  3. 前記上型が、前記上型及び下型での光学素子成形素材のプレス時に、前記内胴により上下方向の位置を規制されないことを特徴とする請求項1記載の光学素子用成形型。
  4. 前記外胴の室温から成形温度での熱膨張量が、成形される光学素子成形素材の室温から成形温度の熱膨張量よりも大きいこと特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の光学素子用成形型。
  5. 前記内胴のフランジの直径が、前記内胴の内径の1.1〜6倍であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の光学素子用成形型。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の光学素子用成形型に光学素子成形素材を収容し、前記光学素子用成形型を加熱して該成形型内の光学素子成形素材を軟化させる加熱工程と、軟化した光学素子成形素材を、プレス手段を用いて前記光学素子用成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス工程と、プレス工程後、前記光学素子用成形型を冷却し、光学素子形状を付与した光学素子成形素材を固化させる冷却工程と、を有する光学素子の成形方法であって、
    前記プレス工程において、前記光学素子用成形型の外胴により内胴のフランジを上部又は下部から押圧して、前記内胴のフランジと前記下型又は上型のフランジとを互いに圧接させることを特徴とする光学素子の成形方法。
  7. 前記冷却工程において、前記光学素子成形素材の加圧状態を維持することを特徴とする請求項6記載の光学素子の成形方法。
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