JP2009051696A - 光学素子の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、成形時に上型と下型の位置がずれても、上型の上成形面または下型の下成形面が胴型と接触して欠けるということはなく、光学素子を効率的に製造することができる光学素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の光学素子の製造方法は、上型11の上成形面11aと下型12の下成形面12aとの間で光学素材17を加熱加圧成形する光学素子の製造方法において、前記上型11の側面を包囲する上胴型13と前記下型12の側面を包囲する下胴型14とを設け、かつこの上胴型13と下胴型14とを摺動させることにより前記上型11と下型12との位置合わせを行うようにしたものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、各種光学機器などに用いられるガラスからなる光学素子の製造方法およびその製造装置に関するものである。
以下、従来の光学素子の製造方法および製造装置について、図面を参照しながら説明する。
図5(a)(b)および図6(a)(b)は従来の光学素子の製造方法および製造装置を示す製造工程図である。
図5(a)(b)および図6(a)(b)において、1,2はそれぞれ超硬合金からなる上型および下型で、この上型1および下型2はそれぞれ光学素子の上下の面形状を転写するための上成形面1aおよび下成形面2aを備えている。3は上型1と下型2を同軸上に規制する中空円筒状の胴型で、この胴型3は側面に光学素子を成形する際に発生するガスを排出するための貫通穴3aを備えている。また、この胴型3と前記上型1および下型2とで一組の成形型を構成している。4,5はヒーター(図示せず)を内蔵した上プレスヘッドおよび下プレスヘッドで、上プレスヘッド4に上型1を固定し、そして下プレスヘッド5に下型2を固定しているものである。
次に、従来の光学素子の製造方法について説明する。
まず、図5(a)に示すように、下プレスヘッド5の上に固定された下型2の上から胴型3を嵌め込み、そして、下型2の下成形面2aの上に予め所定寸法の球形状に研磨加工された光学ガラス材料からなる光学素材6を載置する。
次に、図5(b)に示すように、下プレスヘッド5を上昇させることにより、胴型3の上部開口部に上型1を挿入し、そしてこの上型1の上成形面1aと光学素材6の上面とを所定の距離を隔てた位置まで接近させる。
次に、光学素材6が成形温度に達するように、上プレスヘッド4と下プレスヘッド5を加熱し、その後、図6(a)に示すように、下プレスヘッド5を所定の加圧力で押し上げることにより下型2に所定の加圧力を加えて光学素材6をプレスする。このプレスにより、光学素子7が製造される。
その後、上プレスヘッド4と下プレスヘッド5を冷却し、そしてその後、図6(b)に示すように、上型1と下型2を開放して光学素子7を取り出す(図示せず)。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平6−9231号公報
しかしながら、上記した従来の光学素子の製造方法においては、上型1を胴型3に挿入する際に、上型1と下型2との位置がずれてしまうと、上型1の先端が胴型3の貫通穴の内周端に接触して上成形面1aが欠けてしまい、正しい形状の光学素子を製造することができなくなってしまうという課題を有していた。特に上成形面1aと下成形面2aの合わせ精度の高い光学素子を成形する場合に、このような問題が生じやすく、そして上型1や下型2の先端部は成形面であるため、欠けを回避するためのテーパーを設けることもできない。例えば下型2と胴型3との間のクリアランスが片側1μmで、かつ上型1と胴型3とのクリアランスが片側2μmの場合には、胴型3に対して上型1の位置が2μmずれただけで胴型3の先端と上型1の先端とが接触してしまい、上成形面1aが欠けてしまうおそれがある。このように上成形面1aが欠けた場合には、新しく上型1を製作する必要があり、光学素子の製造に支障をきたしていた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、成形時に上型と下型の位置がずれても、上型の上成形面または下型の下成形面が胴型と接触して欠けるということはなく、光学素子を効率的に製造することができる光学素子の製造方法およびその製造装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、上型の上成形面と下型の下成形面との間で光学素材を加熱加圧成形する光学素子の製造方法において、前記上型の側面を包囲する上胴型と前記下型の側面を包囲する下胴型とを設け、かつこの上胴型と下胴型とを摺動させることにより前記上型と下型との位置合わせを行うようにしたもので、この製造方法によれば、上型の側面を包囲する上胴型と下型の側面を包囲する下胴型とを設け、かつこの上胴型と下胴型とを摺動させることにより前記上型と下型との位置合わせを行うようにしているため、上型の上成形面または下型の下成形面が他方の胴型に挿入される前に上胴型と下胴型との間で位置合わせを行うことができ、これにより、上型の上成形面または下型の下成形面が他方の胴型の内周端に接触するのを未然に防止することができるため、上型の上成形面または下型の下成形面が欠けるということはなくなって、光学素子を効率的に製造することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、光学素子の上面を成形する上成形面を有する上型と、この上型の側面を包囲する上胴型と、前記光学素子の下面を成形する下成形面を有する下型と、この下型の側面を包囲する下胴型とを備え、前記上胴型と下胴型とを摺動させることにより前記上型と下型との位置合わせを行うようにしたもので、この製造装置によれば、上型の側面を包囲する上胴型と下型の側面を包囲する下胴型とを摺動させることにより上型と下型との位置合わせを行うようにしているため、上型の上成形面または下型の下成形面が他方の胴型に挿入される前に上胴型と下胴型との間で位置合わせを行うことができ、これにより、上型の上成形面または下型の下成形面が他方の胴型の内周端に接触するのを未然に防止することができるため、上型の上成形面および下型の下成形面が欠けるということはなくなって、光学素子を効率的に製造することができるという作用効果を有するものである。
以上のように本発明の光学素子の製造方法は、上型の上成形面と下型の下成形面との間で光学素材を加熱加圧成形する光学素子の製造方法において、前記上型の側面を包囲する上胴型と前記下型の側面を包囲する下胴型とを設け、かつこの上胴型と下胴型とを摺動させることにより前記上型と下型との位置合わせを行うようにしているため、上型の上成形面と下型の下成形面が他方の胴型に挿入される前に上胴型と下胴型との間で位置合わせを行うことができ、これにより、上型の上成形面または下型の下成形面が他方の胴型の内周端に接触するのを未然に防止することができるため、上型の上成形面および下型の下成形面が欠けるということはなくなって、光学素子を効率的に製造することができるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1(a)(b)、図2(a)(b)、図3は本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法を示す製造工程図である。
図1(a)(b)、図2(a)(b)、図3において、11は上型で、この上型11は、上成形面11aと、この上成形面11aを一端に設けた胴部11bと、この胴部の他端に接続されるフランジ部11cとを備えているものである。12は下型で、この下型12は、下成形面12aと、この下成形面12aを一端に設けた第1の胴部12bと、この第1の胴部12bの他端に一端が接続され、かつ第1の胴部12bよりも大きな径を有する第2の胴部12cと、この第2の胴部12cの他端に接続されるフランジ部12dとを備えているものである。また、前記上型11および下型12は、熱膨張係数が70×10-7程度のタングステンカーバイドなどの超硬合金を加工して作製したもので、上成形面11aと下成形面12aには、離型のための貴金属膜(図示せず)をそれぞれ設けているものである。
13は前記上型11に嵌挿して固定した上胴型で、この上胴型13は、熱膨張係数が60×10-7程度のタングステンカーバイドなどの超硬合金を用いて作製され、そして前記上型11の胴部11bに嵌挿され、かつ成形時に前記下型12の第1の胴部12b内を摺動する中空円筒状の筒部13aと、この筒部13aの一端に接続されるフランジ部13bとを備えているものである。また、この上胴型13の筒部13aと前記上型11の胴部11bとの間Aには片側1μmのクリアランスを設け、さらにこの上胴型13の筒部13aと前記下型12の第1の胴部12bとの間Dには片側5μmのクリアランスを設けているものである。
14は下型12に嵌挿して固定した下胴型で、この下胴型14は、熱膨張係数50×10-7程度のタングステンカーバイドなどの超硬合金を用いて作製され、そして前記下型12の第2の胴部12cに嵌挿され、かつ成形時に前記上胴型13の筒部13aに対して摺動する中空円筒状の筒部14aと、この筒部14aの一端に接続されるフランジ部14bと、光学素子の成形時に発生するガスを排出させるために筒部14aの側面に設けた貫通穴14cとを備えているものである。また、この下胴型14の筒部14aと前記下型12の第2の胴部12cとの間Bには片側1μmのクリアランスを設け、さらにこの下胴型14の筒部14aと前記上胴型13の筒部13aとの間Cには片側2μmのクリアランスを設けているものである。
15,16はヒーター(図示せず)を内蔵した上プレスヘッドおよび下プレスヘッドで、上プレスヘッド15に上型11を固定し、そして下プレスヘッド16に下型12を固定しているものである。
次に、本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法について説明する。
まず、図1(a)に示すように、下型12の下成形面12aの上に予め所定寸法の球形状に研磨加工された光学ガラス材料からなる光学素材17を載置する。
次に、図1(b)に示すように、下プレスヘッド16を押し上げることにより、下胴型14の内側面に上胴型13の外側面を摺動させながら挿入する。この場合、上胴型13は上型11に固定され、かつ下胴型14は下型12に固定されているため、上型11と下型12とが位置合わせされる。ここで、下胴型14の内側面に上胴型13の外側面を摺動させながら挿入する際に、下胴型14の先端と上胴型13の先端とが接触して欠けが生じたとしても、光学素子の成形形状には影響を及ぼさないものであり、また、この下胴型14と上胴型13の摺動面の端部には欠けが生じないようにテーパーを設けておくとよいものである。
次に、図2(a)に示すように、上成形面11aと光学素材17の上端とが所定の隙間を保つ位置まで、さらに下プレスヘッド16を押し上げる。この場合、上型11と下型12とが上胴型13と下胴型14とにより位置合わせされているため、下型12の下成形面12aと上胴型13の先端部とが接触することはなく、前記下成形面12aが上胴型13の筒部13aの内部に入る。この状態で、光学素材17が成形温度に達するまで上プレスヘッド15と下プレスヘッド16を加熱する。
次に、図2(b)に示すように、所定の加圧力で下プレスヘッド16を押し上げることにより、光学素材17をプレスして光学素子18を製造する。その後、上プレスヘッド15と下プレスヘッド16を冷却し、そして光学素子18が取り出し温度にまで冷却された後、図3に示すように、下プレスヘッド16を下げ、その後、光学素子18を取り出す(図示せず)。
上記したように本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法においては、上型11の側面を包囲する上胴型13と下型12の側面を包囲する下胴型14とを設け、かつこの上胴型13と下胴型14とを摺動させることにより前記上型11と下型12との位置合わせを行うようにしているため、上型11の上成形面11aまたは下型12の下成形面12aが他方の胴型に挿入される前に上胴型13と下胴型14との間で位置合わせを行うことができ、これにより、上型11の上成形面11aまたは下型12の下成形面12aが他方の胴型の内周端に接触するのを未然に防止することができるため、上型11の上成形面11aおよび下型12の下成形面12aが欠けるということはなくなるものである。
また、前記上型11と上胴型13との間のクリアランスをA、下型12と下胴型14との間のクリアランスをB、上胴型13と下胴型14との間のクリアランスをC、上胴型13と下型12との間のクリアランスをDとした場合、A≦C、B≦Cで、かつA+B+C≦Dとすればよい。このようにすることにより、上型11の上成形面11aまたは下型12の下成形面12aが他方の胴型と接触するのを確実に防止することができるものである。
そしてまた、上型11の熱膨張係数をα1、下型12の熱膨張係数をα2、上胴型13の熱膨張係数をα3、下胴型14の熱膨張係数をα4とした場合、α3<α1、α4<α2で、かつα4<α3とすればよい。このようにすることにより、各成形型を摺動させる場合に必要なクリアランスを確保することが可能になると同時に、成形温度に昇温したときに各成形型間のクリアランスが縮まり、その結果、上成形面11aの光軸と下成形面12aの光軸との合致精度が高い光学素子を製造することができるものである。
なお、上記した本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法においては、上胴型13の外側面に下胴型14の内側面を摺動させ、そして上胴型13の内側面に下型12の第1の胴部12bを摺動させるようにしているが、上型、下型、上胴型、下胴型を上下逆に使用してもよい。すなわち、上記した本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法において説明した上型11および上胴型13をそれぞれ下型および下胴型として使用し、そして上記した本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法において説明した下型12および下胴型14をそれぞれ上型および上胴型として使用した場合でも、上記本発明の一実施の形態と同様の効果が得られるものである。
また、上記した本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法に加えて、図4に示すように外胴型19を設けても良いものである。図4において、外胴型19は、ステンレスを加工して作成したものであり、上胴型13のフランジ部13bに当接させる面19aと下胴型14のフランジ部14bに当接させる面19bとの寸法Wを規定することにより、上胴型13と下胴型14との接近距離を規制することができ、これにより、光学素子の厚み寸法精度を向上させることができる。また、成形型の外周を覆うことにより成形型全体の温度の均一性を高めることができるため、軸対称性のよい光学素子を製造することができるものである。
本発明に係る光学素子の製造方法は、上胴型と下胴型とを摺動させて上型と下型との位置合わせを行うことにより、上型の上成形面または下型の下成形面が他方の胴型の内周端に接触するのを未然に防止することができ、これにより、上型の上成形面または下型の下成形面が欠けるということはなくなるという効果を有するものであり、特に光学素子の製造に用いることにより有用となるものである。
(a)(b)本発明の一実施の形態における光学素子の製造方法を示す製造工程図 (a)(b)同光学素子の製造方法を示す製造工程図 同光学素子の製造方法を示す製造工程図 本発明の他の実施の形態における光学素子の製造装置の断面図 (a)(b)従来の光学素子の製造方法を示す製造工程図 (a)(b)同光学素子の製造方法を示す製造工程図
符号の説明
11 上型
11a 上成形面
12 下型
12a 下成形面
13 上胴型
14 下胴型
17 光学素材
18 光学素子

Claims (2)

  1. 上型の上成形面と下型の下成形面との間で光学素材を加熱加圧成形する光学素子の製造方法において、前記上型の側面を包囲する上胴型と前記下型の側面を包囲する下胴型とを設け、かつこの上胴型と下胴型とを摺動させることにより前記上型と下型との位置合わせを行うようにした光学素子の製造方法。
  2. 光学素子の上面を成形する上成形面を有する上型と、この上型の側面を包囲する上胴型と、前記光学素子の下面を成形する下成形面を有する下型と、この下型の側面を包囲する下胴型とを備え、前記上胴型と下胴型とを摺動させることにより前記上型と下型との位置合わせを行うようにした光学素子の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011105559A (ja) * 2009-11-19 2011-06-02 Asahi Glass Co Ltd 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法

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