JP2011116632A - 光学素子の成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、光学素子の面形状の不具合を抑制する光学素子の成形方法及び成形装置を提供する。
【解決手段】ガラス素材80をプレス成形できる上型、下型及び胴型からなる成形型2と、成形型2を加熱してガラス素材80を軟化させる加熱プレート3a及び3bと、軟化したガラス素材を成形型2によりプレスして光学素子形状を付与するプレスプレート4a及び4bと、成形型2及び光学素子形状を付与されたガラス素材を冷却する冷却プレート5a及び5bと、を有し、プレスプレート4a及び4b間には、ガラス素材をプレスする際に、胴型23aに加えて、上型21及び下型22の上下方向の距離を調整するためのスペーサープレート6が設けられ、さらに、冷却プレート5a及び5bには、それらの温度とガラス素材への圧力を制御する温度及び圧力制御手段7を有する光学素子の成形装置1。
【選択図】図1
【解決手段】ガラス素材80をプレス成形できる上型、下型及び胴型からなる成形型2と、成形型2を加熱してガラス素材80を軟化させる加熱プレート3a及び3bと、軟化したガラス素材を成形型2によりプレスして光学素子形状を付与するプレスプレート4a及び4bと、成形型2及び光学素子形状を付与されたガラス素材を冷却する冷却プレート5a及び5bと、を有し、プレスプレート4a及び4b間には、ガラス素材をプレスする際に、胴型23aに加えて、上型21及び下型22の上下方向の距離を調整するためのスペーサープレート6が設けられ、さらに、冷却プレート5a及び5bには、それらの温度とガラス素材への圧力を制御する温度及び圧力制御手段7を有する光学素子の成形装置1。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子の成形方法及び成形装置に係り、特に、ガラス素材をプレス成形した後、冷却時にもガラス素材に圧力をかけておくことで、光学素子の面形状不良の発生を抑制する光学素子の成形方法及び成形装置に関する。
現在、ガラスレンズなどの光学素子を製造する方法として、光学素子成形素材であるガラス素材をプレス成形し、成形面を研磨等せずにそのまま使用できるプレス成形方法がよく用いられている。
このプレス成形方法は、ガラス素材を加熱して軟化させてから、成形型により加圧プレスした後、冷却して所定形状の光学素子とするが、このような光学素子には高度な形状精度が求められる。特に、厚み寸法が目的の厚みとなるように、プレス時に上型及び下型間の距離が所定の距離となるように厳密に装置が構成されている。
例えば、図6には、従来のプレス成形方法の操作を示したが、ここで用いる光学素子の成形装置501は、ガラス素材80をプレス成形できる上型、下型及び胴型からなる成形型502と、成形型502を加熱してガラス素材80を軟化させる加熱手段である加熱プレート503a及び503bと、軟化したガラス素材を成形型502によりプレスして光学素子形状を付与するプレス手段であるプレスプレート504a及び504bと、成形型502及び光学素子形状を付与されたガラス素材を冷却する冷却手段である冷却プレート505a及び505bと、を有する。
このとき、成形型502は、上型521、下型522及び胴型523からなる。胴型523は、プレス時に、上型521及び下型522間の距離を規制する外胴523aと、上型521及び下型522の光軸を同軸上に規制する内胴523bとからなり、この外胴523a及び内胴523bは、それぞれ中空円筒状である。
図6に示したように、まず、加熱プレート503a及び503bにより成形型502及びガラス素材80を加熱し(加熱ステージ)、次いで、加熱により軟化状態となったガラス素材80をプレスプレート504a及び504bの間隔を狭めることで上型521及び下型522間の距離を狭めてプレスする。このとき、この上型521及び下型522間の最小間隔は、外胴523aによって一定距離に規制され、成形される光学素子は所定の圧力下で一定の厚みとされる(図6−プレスステージ(a))。
ところで、このプレス成形時に、プレスプレート504a及び504bの温度は、例えば、500℃以上の高温に加熱されているが、このような高温のプレスプレートと胴型とが接触することで、外胴523aの温度が上昇して膨張し、プレスプレート504a及び504b間の距離を広げてしまう場合があった。その結果、プレスプレート504aと上型521との間に空間が生じてしまい、ガラス素材に必要な圧力がかけられない場合があった(図6−プレスステージ(b))。このように圧力がかけられないまま、ガラス素材を冷却固化させると(図6−冷却ステージ)、得られた光学素子の面形状に不具合が生じる原因となり、製品の歩留まりが低下する場合があった。
このような問題を解消するものとして、例えば、プレス位置である目標位置を予め算出しておき、プレスする際には、その成形型のプレス位置を検出しつつ、その検出位置が目標位置となるまでプレス荷重を加えていく成形方法(特許文献1参照)や、上型とガラス素材とが接触する位置を検出し、この接触位置から上型又は下型の移動量に基づいてプレス成形する成形方法(特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、これらの方法は、胴型による距離規制ではなく、成形型のプレス位置や移動量が所定の数値となるようにセンサ等を用いて行うため、装置構成が複雑で、位置調整も難しくなるという問題があった。
また、これらのプレス方法は、成形型を加熱、プレス、冷却等の複数のステージに順次移動させながら各ステージにおいて所定の処理を行い、通常、各ステージではそれぞれ一定の温度に維持されたプレートにより成形型を加熱、冷却等するように構成されている。そのため、1以上のポジションで温度を上げ下げすることになり、ステージ間でのプレートの温度差が大きいと、ガラス素材が急激に冷却されるため、成形された光学素子の面形状が安定しない、という問題があった。また、型の冷却速度が装置の冷却能力に依存するため、冷却水の温度ばらつきなどによって冷却速度が一定せず、面形状がばらつくことがあった。
そこで、本発明は、上記の問題を解消するために、成形型の上下位置を胴型で簡便に規制でき、かつ、ガラス素材をプレス成形した後、冷却固化させる際に、ガラス素材に圧力をかけられ、さらに、ガラス素材の冷却を穏やかに行うことで面形状の不具合が生じない光学素子の成形方法及び成形装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の光学素子の成形方法及び成形装置により、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の光学素子の成形方法は、上型、下型及び胴型からなる成形型にガラス素材を収容し、その成形型を加熱してガラス素材を軟化させる加熱工程と、軟化したガラス素材を、プレスプレートを用いて成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス工程と、プレス工程後、成形型を冷却し、光学素子形状を付与したガラス素材を固化させる冷却工程と、からなる光学素子の成形方法であって、プレス工程において、プレスプレートと胴型間にスペーサープレートを介在させてプレスした後、冷却工程において、プレス成形されたガラス素材が固化するまでガラス素材の加圧を継続することを特徴とする。冷却工程での押込み量は1〜30μmを想定している。
また、本発明の光学素子の成形装置は、ガラス素材を収容してプレス成形できる上型、下型及び胴型からなる成形型と、成形型を加熱してガラス素材を軟化させる加熱手段と、軟化したガラス素材を、成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス手段と、成形型を冷却し、光学素子形状を付与したガラス素材を固化させる冷却手段と、を有する光学素子の成形装置であって、プレス手段によってガラス素材をプレスする際に、プレス手段と胴型間に介在させて上型及び下型間の距離を調整するスペーサープレートと、冷却手段の温度及び冷却手段によりガラス素材にかける圧力を制御できる温度及び圧力制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明の光学素子の成形方法及び成形装置によれば、成形型の上下位置を胴型で簡便に規制でき、かつ、ガラス素材をプレス成形した後、冷却固化させる際に、ガラス素材への加圧状態を継続していくことで、光学素子の面形状の不具合を抑制できる。また、ガラス素子の冷却における加圧を段階的に行うことや、冷却を穏やかで再現性の良い条件で行なうことによって、さらに、面形状の不具合の発生を抑制できる。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明の一実施形態である光学素子の成形装置の概略構成図であり、図2は、図1の光学素子の成形装置を用いた成形方法の各工程の操作及び処理条件を示した図である。
まず、図1に示した光学素子の成形装置1は、ガラス素材80をプレス成形できる上型、下型及び胴型からなる成形型2と、成形型2を加熱してガラス素材80を軟化させる加熱手段である加熱プレート3a及び3bと、軟化したガラス素材を成形型2により加圧して光学素子形状を付与させるプレス手段であるプレスプレート4a及び4bと、成形型2を冷却して光学素子形状が付与されたガラス素材を固化させる冷却手段である冷却プレート5a及び5bと、を有し、成形型を加熱手段、プレス手段及び冷却手段へ順次移動させる型移動方式の光学素子の成形装置であって、プレスプレート4a及び4b間には、このプレスプレートによってガラス素材をプレスする際に、プレスプレートと胴型間に介在させて上型21及び下型22間の距離を調整するスペーサープレート6が設けられ、さらに、冷却プレート5a及び5bには、冷却処理時に、冷却プレート5a及び5bの温度及びその冷却プレート5a及び5bによりガラス素材にかける圧力を制御できる温度及び圧力制御手段7を有する。
また、加熱プレート3a及び3b、プレスプレート4a及び4b、冷却プレート5a及び5bは、それぞれ所定の処理が行われる場(ステージ)を形成するが、各ステージによる処理を順次円滑にできるように、成形型2は、搬送手段(図示せず)により所定のタイミングで各ステージを移動する。すなわち、この光学素子の成形装置は、1以上のポジションで温度の上げ下げする型移動方式の成形装置である。
ここで、成形型2は、上型21、下型22及び胴型23とからなる成形型である。また、胴型23は、プレス時に、上型21及び下型22間の距離を規制する外胴23aと、上型21及び下型22の光軸を同軸上に規制する内胴23bとからなり、この外胴23a及び内胴23bは、それぞれ中空円筒状の形状である。
また、成形型2は、超硬合金やセラミックス等の素材からなり、上型21及び下型22には、成形する光学素子の面形状を転写するための成形面をそれぞれ有している。この図1では、成形型として凹メニスカス形状の光学素子を製造するものを図示したが、光学素子形状はこれに限定されるものではなく、両凸、両凹、平凸、平凹、凸メニスカス形状のいずれの形状を成形する成形型であってもよい。
本発明の加熱プレート3a及び3bは、ガラス素材80を軟化させるために、その内部にヒータが埋め込まれたプレートからなる。この加熱プレート3a及び3bは、それぞれ上型21、下型22に接触させて、上型21及び下型22を加熱でき、さらに成形型内部に収容されているガラス素材80も加熱できる。加熱プレート3a及び3bの温度が後述するプレスプレート4a及び4bの温度設定よりも低いとプレスの際に加熱しながらプレスすることになりプレスに時間がかかりタクトが長くなり、プレスの際にレンズに傷が発生しやすくなるので好ましくない。逆に加熱プレート3a及び3bの温度が後述するプレスプレート4a及び4bの温度設定よりも高いと加熱の際に金型とガラスが接触する部分に曇りが発生する可能性が高くなり好ましくない。加熱プレート3aの温度はプレスプレート4aと、加熱プレート3bの温度はプレスプレート4bの温度設定と同じとすることがより好ましい。
本発明のプレスプレート4a及び4bは、それらプレート間の距離を狭め成形型2の上型21と下型22との距離を狭められ、成形型2内に収容されたガラス素材80を軟化状態のまま押圧して変形させ、上型21及び下型22の光学形成面形状をガラス素材80に付与し光学素子の成形を行う。また、このプレス手段を用いたプレスは前段階の加熱温度を維持しながら行われるため、このプレスプレート4a及び4bの内部にもヒータが埋め込まれている。
そして、このプレスプレート4a及び4bの間には、スペーサープレート6が設けられている。ガラス素材をプレスする際に、従来は、成形型2の外胴23aの高さによりプレスプレート4a及び4b間の距離を規制することで、上型21及び下型22の距離を調整していたが、本発明は、その外胴23aに加えて上型21及び下型22の距離を調整するスペーサープレート6を用いる。
このスペーサープレート6は、プレス工程時の圧力、加熱温度に耐えられる素材からなる必要があり、さらに、耐酸化性、加工性に優れていることが好ましい。このような素材として、例えば、超硬合金、ステンレス鋼(SUS304)、タングステンを主原料とした焼結合金(例えば、三菱マテリアルシーエムアイ株式会社製、商品名:アンビロイ(登録商標))等が挙げられる。
また、本発明の冷却プレート5a及び5bは、成形型2を冷却して光学素子形状を付与されたガラス素材を冷却、固化する。ガラス素材の固化は、ガラス転移点以下、より好ましくは歪点以下に冷却すればよく、十分に冷却されるとガラス素材の光学素子形状は安定し、変形が抑制される。
なお、本発明の冷却プレート5a及び5bは、冷却時に、温度を調節しながら冷却できるように、必要に応じて、光学素子形状が付与されたガラス素材を段階的に加圧できるように、温度及び圧力の制御手段7が設けられている。ここで、冷却とは、光学素子形状を安定して付与できるようにガラス素材を固化させる温度をいい、その温度は、プレスプレートよりも50〜150℃程度低いだけで、依然として高温であるため、この冷却プレート5a及び5bにもその内部にヒータが埋め込まれている。
その後、さらに別工程として冷却を継続し、200℃以下にまで冷却して光学素子が得られる。このように冷却する際には、例えば、プレート内部に冷却水を循環して水冷した水冷プレートを用いられる。さらに、冷却して得られた光学素子は、アニール工程等に付されて歪み等を除去する等の後処理を施して最終的な製品とされる。
なお、この加熱プレート3a及び3b、プレスプレート4a及び4b、冷却プレート5a及び5bによる処理は、成形型2を順次各プレートへと移動させながら処理するため、成形型2を移動させるための移動手段が設けられている。この移動手段は図示していないが、例えば、ロボットアーム等により、加熱プレート3bからプレスプレート4bへ、プレスプレート4bから冷却プレート5bへ、と成形型2を移動できる。
次に、この光学素子の成形装置1を用いた光学素子の成形方法について説明する。図2は、この光学素子の成形方法について、各工程における動作(a)及び各工程における処理条件((b)、(c))を示した図である。図2にも示したように、加熱工程、プレス工程、冷却工程のそれぞれについて、各工程の処理する場を、加熱ステージ、プレスステージ、冷却ステージと称する。
まず、成形型2の内部にガラス素材80を収容し、成形型2を搬送手段により加熱プレート3b上に搬送し、載置する。搬送されると、下型22は加熱プレート3bに接触しているため加熱プレート3bと同じ温度まで昇温される。これと同時に、上型21には上方向から加熱プレート3aを接触させて同様に加熱する。このように上型21及び下型22が加熱されると、その内部に収容されているガラス素材80も加熱され、このガラス素材が屈伏点以上に加熱されると変形が容易となる(図2(a)−加熱ステージ)。一般的には、軟化点まで温度を上げるとレンズ表面が白濁するので屈伏点(At)から軟化点の間の温度に設定する。
この加熱ステージにおける加熱温度は、用いるガラス素材が加圧変形できればよく、屈伏点と軟化点との中間付近の温度が好ましい。加熱プレート3a及び3bの温度が後述するプレスプレート4a及び4bの温度設定よりも低いとプレスの際に加熱しながらプレスすることになりプレスに時間がかかりタクトが長くなり、プレスの際にレンズに傷が発生しやすくなるので好ましくない。逆に加熱プレート3a及び3bの温度が後述するプレスプレート4a及び4bの温度設定よりも高いと加熱の際に金型とガラスが接触する部分に曇りが発生する可能性が高くなり好ましくない。加熱プレート3aの温度はプレスプレート4aと、加熱プレート3bの温度はプレスプレート4bの温度設定と略同じとすることがより好ましい。ここで略同じとは±10℃以内のことをいい、±5℃以内であることがより好ましい。加熱プレート3a及び3bを所定の温度に設定して、この加熱工程を行うと、図2(b)に示したように、ガラス素材の温度が昇温していき設定温度と同じ温度にまで加熱される。また、加熱プレート3a及び3bの温度は、十分な温度に加熱されていない成形型2に接触するため、最初、温度の低下が起こるが、徐々に昇温してこちらも設定温度まで加熱される(図2(b)−加熱ステージ)。
このようにして加熱ステージで十分に加熱された成形型2及びガラス素材80は、搬送手段により、プレスプレート4b上に搬送され載置される。
プレスプレート4a及び4bも加熱プレート3a及び3bと同程度の温度に加熱されており、ガラス素材が軟化状態を維持できる。さらに、プレスプレート4aは、プレスプレート4a及び4b間の距離を狭め、上型21と下型22との距離を狭めて、成形型2の内部に収容されたガラス素材80に圧力をかけて変形できる。
このプレスステージでは、上記したように成形型2の上下から力をかけることでガラス素材80のプレス成形を行い、これによりガラス素材には上型21及び下型22の光学形成面が転写され、光学素子形状が付与される。
但し、本発明では、プレス成形する前に、外胴23aとプレスプレート4aとの間にスペーサープレート6を設置し、プレスプレート4a及び4b間の距離を、外胴23aの高さにスペーサープレート6の厚みを加えた長さに規制して、上型21と下型22間の上下方向の距離が所定の距離となるように押切られる(図2(a)−プレスステージ)。
ここで、従来技術の問題点で挙げたように、外胴23aがプレスプレートに接触することで加熱されて膨張し、膨張によりプレスプレート4aが押し上げられ、上型21とプレスプレート4aとの間に空間が生じて、ガラス素材に圧力がかからなくなることを回避して、光学素子の面形状の不具合を発生しにくくするため、スペーサープレート6を設置する。
本発明のようにプレスプレート4aにスペーサープレートを設置することで、冷却工程において上型21はまだ下方に押しこむことができるスペースが生じ、外胴23aが膨張しても、冷却工程において上型21と上プレート4aとの間に空間が生じることが無い。
すなわち、ガラス素材には常に上型21から圧力がかけられるため、光学素子の面形状の不具合を抑制するのに効果的である。
すなわち、ガラス素材には常に上型21から圧力がかけられるため、光学素子の面形状の不具合を抑制するのに効果的である。
このとき用いるスペーサープレートの厚さは、冷却工程で押込む量よりも厚くしておけばよい。このスペーサープレートの厚さは、例えば、0.05〜5mm程度が好ましい。
また、このプレス工程におけるプレスは、加熱温度が前段の加熱ステージで加熱した温度と同程度の温度であり、ガラス素材に加えるプレス時の圧力は1〜37.5N/mm2が好ましく、例えば、5〜20N/mm2が特に好ましい(図2(b)及び(c)−プレスステージ)。
そして、このようなスペーサープレート6を設置して押切りが完了した成形型2は、搬送手段によりプレスステージから冷却ステージへと搬送される。この搬送手段は、上記した搬送手段と同様のものである。
次に、冷却ステージにより成形型2を冷却し、それによりガラス素材80も冷却して、固化させる。この冷却は、ガラス素材のガラス転移点(Tg)以下に冷却させることが好ましく、ガラス素材の歪点以下の温度にまで冷却させることがより好ましい。
本発明においては、この冷却ステージで、冷却プレート5a及び5bを従来のように一定の温度に保持して冷却するのではなく、温度を調節しながら冷却する。
また、この冷却による光学素子の温度に応じて光学素子に対して段階的に加圧し、冷却時、光学素子に常に圧力をかけ続けることができる(図2(a)−冷却ステージ)。
また、この冷却による光学素子の温度に応じて光学素子に対して段階的に加圧し、冷却時、光学素子に常に圧力をかけ続けることができる(図2(a)−冷却ステージ)。
まず、冷却プレート5a及び5bの温度の調節について説明する。プレスステージから成形型2が搬送されてきた際には、冷却プレート5a及び5bの設定温度を、ガラス素材の屈伏点以下ガラス転移点以上の温度であって、プレスプレートの温度よりも10〜100℃程度低い温度とし、成形型2と冷却プレート5a及び5bの温度が設定温度になるまで一定の温度を保持する(冷却プレート5a及び5bは、他の成形型2の冷却操作を終了したばかりなので当初は設定温度よりも低い温度になっている)。成形型2と冷却プレート51の温度が設定温度になったら、歪点以下の温度まで一定の速度で冷却する(図2(b)−冷却ステージ)。このとき、降温速度は5〜150℃/分程度が好ましい。
本発明では、このような温調冷却に伴って、成形型2への力も変化させることが好ましく、例えば、当初の成形型2と冷却プレート5a及び5bとをガラス素材80の屈伏点以下ガラス転移点以上の温度に冷却するまでの間はガラス素材に低い圧力を、上記設定温度から降温していき、ガラス転移点まではガラス素材に中程の圧力を、ガラス転移点よりも低い温度になってからはガラス素材に高い圧力を、かけるように段階的に加圧するようにすればよい。ガラス転移点以上の温度を低圧にする理由は、肉厚バラツキを抑える(押込み量を少なくする)為であり、それ以下の温度域では押込み量がほとんど無いので段階的に増圧する。すなわち、ガラス素材が硬化状態に近づくガラス転移点(Tg)付近までは低圧で保圧し、ガラス転移点(Tg)付近からそれ以下の温度となりガラス素材が固化するまで、加圧を継続する。
ここで、低い圧力とは2.5N/mm2以下、中程の圧力とは2.5N/mm2超20N/mm2以下、高い圧力とは、20N/mm2超である。高い圧力をかける際には、ガラス素材にワレが生じる等の不具合がない限りはどのような圧力でもよいが、通常、30N/mm2程度が上限である。図2では、2.5N/mm2、12.5N/mm2、25N/mm2と3段階に加圧する場合を例として示した(図2(c)−冷却ステージ)。このとき、上記では3段階に圧力を増加させていく例を示したが、それ以上の多段階として加圧してもよい。
なお、本発明においては、プレスステージで所定の厚みよりも1〜30μm厚いレンズを成形し、冷却工程で1〜30μm押込むことで、所定の厚みを有する光学素子が得られる。
上記のように、冷却工程において、温度を調節しながら冷却することで、従来、ステージ間の移動により急激な温度差により冷却されていたものを、穏やかな条件で冷却できるため光学素子の面形状の不具合を抑制できる。さらに、従来、冷却ステージを複数のプレートを用いて段階的に冷却したものを、温調冷却することで、1つのプレートで達成でき、装置構成を簡素にできる。また、複数のプレートを移動する時に圧力がかからないため、成形された光学素子の面形状が安定しない、という問題を解決できる。
また、本発明は、プレスステージにおいて、スペーサープレートを用いて、さらに上型を押し込む余地を残しておき、この冷却ステージにおいて、冷却時、ガラス素材に圧力をかけ続けることで、光学素子の面形状の不具合を抑制できる。
なお、本発明の加熱工程の前には、予めガラス素材を加熱しておく予熱工程を行うことが好ましく、この予熱工程での加熱温度は、ガラス転移点以下歪点以上の温度が好ましい。予熱工程を行うことで、ガラス素材の急激な加熱が起こるのを防ぐことができる。
また、本発明の冷却工程の後には、歪点付近の温度から室温にまで冷却する水冷工程を行うことが好ましく、この工程を行うことで、成形型の非酸化温度の200℃以下まで冷却できる。
上記説明では、外胴及び内胴の2つの胴型を有する成形型を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図3に示したように、外胴が無く、1つの胴型を有する成形型12を用いることもできる。
この成形型12は、上型121と、下型122と、胴型123と、厚み調整部材124と、から構成される、外胴が無く、1つの胴型123で光軸を同軸上に規制する機能と上下方向の距離を規制する機能とを両方発揮できる。この胴型123は、プレス工程において、その上面が厚み調整部材124を介して上部のプレスプレートにより押し下げられていき、胴型123の下面は下型のフランジ部分に接触して押しつけられる。このように、胴型123が、上下方向から加圧されることによって胴型123の垂直度が上がり、その結果、特に、光軸のずれを低減するように胴型123が働き、面間チルトのバラツキの少ない精度の高い光学素子を製造できる。なお、この成形型12を用いた場合には、プレス工程において、上記説明したように本発明の特徴的な構成であるスペーサープレート6を、厚み調整部材124とプレスプレートの間に介在させてプレス成形する。
また、厚み調整部材124は、これを設けることなく、胴型123の上面が上部の加熱プレートに接触するように設けてもよいが、この厚み調整部材124を設けることで、製造する光学素子の厚みを調整できる。この厚み調整部材124を、目的の光学素子形状に応じて交換することによって、得られる光学素子の厚さを調整できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図1の光学素子の成形装置を用いて、光学素子の成形を以下の通り行った。なお、この実施例においても図2の操作、符号を参照しながら、以下説明する。
図1の光学素子の成形装置を用いて、光学素子の成形を以下の通り行った。なお、この実施例においても図2の操作、符号を参照しながら、以下説明する。
ここで用いた成形型は、タングステンカーバイドからなる超硬合金製であり、プレス成形により、直径16mm、中心厚さ1mm、周辺厚さ5mmの凹メニスカス形状の光学素子が得られる。
この成形型の内部に直径φ14mm、中心厚み5.4mmの断面楕円状のランタン系のガラス素材を収容し、成形型を600℃に加熱した。なお、このガラス素材の歪点は580℃、ガラス転移点(Tg)は616℃、屈伏点(At)は662℃である。
ガラス素材を収容した成形型を、搬送手段により加熱プレート3b上に搬送し載置すると同時に加熱プレート3aを下降させ、上型に接触させ、上型、下型及びガラス素材を150秒間充分に加熱し、ガラス素材を軟化状態とした。この加熱プレート3a及び3bの温度は690℃である
次に、加熱された成形型をプレスプレート4b上に搬送し載置し、プレスプレート4aを下降させ、プレス成形を行った。このとき、プレスプレート4aと外胴23aの間に厚さ5mmのスペーサープレート6(素材としてアンビロイ(登録商標;三菱マテリアルシーエムアイ株式会社製)を用いた)を設置し、プレス成形を行った。このとき、プレスプレート4a及び4bの温度は690℃であり、成形時のガラス素材への圧力は12.5N/mm2とした。
プレス後、成形型を冷却プレート5b上に搬送し載置すると同時に冷却プレート5aを下降させて上型21に接触させ、ガラス素材に2.5N/mm2の圧力をかけながら、冷却プレート5a及び5bの設定温度を640℃として、冷却プレート自体の温度とガラス素材の温度を640℃とした。なお、冷却プレートの温度は、成形型が冷却プレート上に搬送されたときには、一つ前の成形型の冷却工程を行った直後であったため、580℃弱の温度であり、出来るだけすばやくプレートの温度を640℃に上げる必要がある。
ガラス温度と冷却プレートの温度が安定したら、温度制御手段により、降温速度を30℃/分として、580℃まで一定の速度で冷却するように冷却プレート温度及びガラス素材の温度を調節した。このとき、ガラス素材の温度が、そのガラス転移点を超えているときには、ガラス素材に12.5N/mm2の圧力をかけ、ガラス転移点以下の温度となったときには、25N/mm2の圧力をかけて、ガラス素材温度に応じて、圧力を段階的に増加させた。
ガラス素材が歪点以下の温度となったところで、成形型を水冷プレート上に搬送し載置して、ガラス素材を室温になるまで冷却し、十分に冷却したところで、成形型から取り出し、光学素子を得た。この光学素子の成形を200ショット行い、得られた光学素子の面ワレの有無を確認したところ、表1に示した結果が得られた。
(比較例1)
プレスステージにおいて、スペーサープレートを用いない点、冷却ステージにおいて温度調節及び段階的加圧を行わず2.5N/mm2の圧力をかける点、冷却ステージを2回行うようにし、プレスステージ直後の冷却プレート温度を630℃で一定とし、2回目の冷却ステージの冷却プレート温度を620℃一定とした点、以外は実施例1と同様の操作により、光学素子の成形を行った。
プレスステージにおいて、スペーサープレートを用いない点、冷却ステージにおいて温度調節及び段階的加圧を行わず2.5N/mm2の圧力をかける点、冷却ステージを2回行うようにし、プレスステージ直後の冷却プレート温度を630℃で一定とし、2回目の冷却ステージの冷却プレート温度を620℃一定とした点、以外は実施例1と同様の操作により、光学素子の成形を行った。
なお、冷却ステージにおいては、上記の通りガラス素材の圧力が抜けないようにしたが、外胴の膨張により、冷却プレートと上型との間に空間が生じ、ガラス素材に圧力がかかっていない状態となる時間があった。実施例1と同様に、この光学素子の成形を200ショット行い、得られた光学素子の面ワレの有無を確認したところ、表1に示した結果が得られた。なお面ワレとは、光学機能面の形状が境界を持って不連続に変化する離型不良に起因する形状不良である。
面ワレの有無:面ワレについては、目視で非連続となる面の境界の有無を確認し、比較例1では200ショット中20個ランダムに発生し、実施例1では200ショット中発生ゼロ、という結果であった。
(実施例2)
加熱ステージにおいて、ガラス温度が急激に上がらないように加熱プレートの温調制御を行った以外は、実施例1と同様の操作により光学素子を製造した。このとき、加熱プレートの温調は、図4に示したように、加熱プレートをガラス転移点以下歪点以上の温度からプレス時の温度である690℃まで、60℃/分の昇温速度で徐々に加熱していく。この昇温速度は、30〜60℃/分程度が好ましい。
このとき、実施例1では、上下面頂に若干クモリが生じたり、プリフォームの自重変形が生じたりしたが、本実施例ではそのいずれも生じることなく、よりバラツキのない安定した光学素子を製造できた。その結果を表2に示した。ここで面頂とは、レンズの中心部分であり、加熱中に光学素子成形素材が成形型と接触している部分を示す。
加熱ステージにおいて、ガラス温度が急激に上がらないように加熱プレートの温調制御を行った以外は、実施例1と同様の操作により光学素子を製造した。このとき、加熱プレートの温調は、図4に示したように、加熱プレートをガラス転移点以下歪点以上の温度からプレス時の温度である690℃まで、60℃/分の昇温速度で徐々に加熱していく。この昇温速度は、30〜60℃/分程度が好ましい。
このとき、実施例1では、上下面頂に若干クモリが生じたり、プリフォームの自重変形が生じたりしたが、本実施例ではそのいずれも生じることなく、よりバラツキのない安定した光学素子を製造できた。その結果を表2に示した。ここで面頂とは、レンズの中心部分であり、加熱中に光学素子成形素材が成形型と接触している部分を示す。
(実施例3)
冷却ステージにおいて、ガラス温度に対する圧力の制御を図5に示した以外は実施例2と同様の操作により光学素子を製造した。
すなわち、プレス後、成形型を冷却プレート5b上に搬送し載置すると同時に冷却プレート5aを下降させて上型21に接触させ、ガラス素材に2.5N/mm2の圧力をかけながら、冷却プレート5a及び5bの設定温度を640℃として、冷却プレート自体の温度とガラス素材の温度を640℃とした。ガラス温度と冷却プレートの温度が安定したら、温度制御手段により、降温速度を30℃/分として、580℃まで一定の速度で冷却するように冷却プレート温度及びガラス素材の温度を調節した。この降温操作と同時に、ガラス素材に25N/mm2の圧力をかけて、圧力を増加した。ここで得られた光学素子は、面ワレの発生が抑制されたものであった。その結果を表2に示した。また、あわせて、クモリ、自重変形、押し込み量、肉厚バラツキについても、表2に示した。
冷却ステージにおいて、ガラス温度に対する圧力の制御を図5に示した以外は実施例2と同様の操作により光学素子を製造した。
すなわち、プレス後、成形型を冷却プレート5b上に搬送し載置すると同時に冷却プレート5aを下降させて上型21に接触させ、ガラス素材に2.5N/mm2の圧力をかけながら、冷却プレート5a及び5bの設定温度を640℃として、冷却プレート自体の温度とガラス素材の温度を640℃とした。ガラス温度と冷却プレートの温度が安定したら、温度制御手段により、降温速度を30℃/分として、580℃まで一定の速度で冷却するように冷却プレート温度及びガラス素材の温度を調節した。この降温操作と同時に、ガラス素材に25N/mm2の圧力をかけて、圧力を増加した。ここで得られた光学素子は、面ワレの発生が抑制されたものであった。その結果を表2に示した。また、あわせて、クモリ、自重変形、押し込み量、肉厚バラツキについても、表2に示した。
(実施例4,5)
加熱ステージの温度設定を670℃、680℃とプレスステージよりも低く設定した点以外は実施例1と同様の操作により光学素子の成形を行った。
加熱ステージの温度設定がプレスステージよりも20℃低い場合には、実施例1と比較してプレスステージでのガラス素材をプレスするのに60秒多くの時間を要した。同様に10℃低い場合には、30秒多くの時間を要した。このとき、面頂クモリ/自重変形、面ワレ、押し込み量、肉厚バラツキは実施例1と同等であり、面ワレの発生を抑制できた。ただし、成形品表面に成形型とガラスが擦れたことによる傷が若干発生していた。
上述のように加熱ステージの温度設定がプレスステージの温度設定よりも低い場合にはプレスタクトが長くなりコスト上好ましくない。更に傷が成形品に発生し歩留りを落とすため好ましくない。
加熱ステージの温度設定を670℃、680℃とプレスステージよりも低く設定した点以外は実施例1と同様の操作により光学素子の成形を行った。
加熱ステージの温度設定がプレスステージよりも20℃低い場合には、実施例1と比較してプレスステージでのガラス素材をプレスするのに60秒多くの時間を要した。同様に10℃低い場合には、30秒多くの時間を要した。このとき、面頂クモリ/自重変形、面ワレ、押し込み量、肉厚バラツキは実施例1と同等であり、面ワレの発生を抑制できた。ただし、成形品表面に成形型とガラスが擦れたことによる傷が若干発生していた。
上述のように加熱ステージの温度設定がプレスステージの温度設定よりも低い場合にはプレスタクトが長くなりコスト上好ましくない。更に傷が成形品に発生し歩留りを落とすため好ましくない。
(実施例6,7)
加熱ステージの温度設定を700℃、710℃とプレスステージよりも高く設定した点以外は実施例1と同様の操作により光学素子の成形を行った。
このとき、自重変形、面ワレ、押し込み量、肉厚バラツキは実施例1と同等であり、面ワレの発生を抑制できた。ただし、加熱ステージの温度がプレスステージよりも高い場合には、得られた光学素子の中心部分、すなわち加熱ステージでガラス素材と成型型が接触する部分に面頂クモリがいくつか発生した。
上述のように加熱ステージの温度設定がプレスステージの温度設定よりも高い場合には光学素子の中心部分にポツ状の曇りが発生し歩留りを落とすので好ましくない。
加熱ステージの温度設定を700℃、710℃とプレスステージよりも高く設定した点以外は実施例1と同様の操作により光学素子の成形を行った。
このとき、自重変形、面ワレ、押し込み量、肉厚バラツキは実施例1と同等であり、面ワレの発生を抑制できた。ただし、加熱ステージの温度がプレスステージよりも高い場合には、得られた光学素子の中心部分、すなわち加熱ステージでガラス素材と成型型が接触する部分に面頂クモリがいくつか発生した。
上述のように加熱ステージの温度設定がプレスステージの温度設定よりも高い場合には光学素子の中心部分にポツ状の曇りが発生し歩留りを落とすので好ましくない。
面頂クモリ:目視によりクモリの有無を判定した。
自重変形:加熱軟化させた後、プレスをしないでガラス素材を型から取り出し、ガラス素材の変形の有無を判定した。
押し込み量:冷却ステージにおける、冷却プレート5aを下降させて、ガラス素材を押し込んだ距離である。
肉厚バラツキ:200個の中心肉厚を測定し、その標準偏差σを求めた。
自重変形:加熱軟化させた後、プレスをしないでガラス素材を型から取り出し、ガラス素材の変形の有無を判定した。
押し込み量:冷却ステージにおける、冷却プレート5aを下降させて、ガラス素材を押し込んだ距離である。
肉厚バラツキ:200個の中心肉厚を測定し、その標準偏差σを求めた。
(実施例8)
成形型として、図3に記載の成形型を用いた以外は実施例1と同様にして成形操作を行い、光学素子を得た。ここで用いた成形型は、タングステンカーバイドからなる超硬合金製であり、プレス成形により、直径16mm、中心厚さ1mm、周辺厚さ5mmの凹メニスカス形状の光学素子が得られる。
成形型として、図3に記載の成形型を用いた以外は実施例1と同様にして成形操作を行い、光学素子を得た。ここで用いた成形型は、タングステンカーバイドからなる超硬合金製であり、プレス成形により、直径16mm、中心厚さ1mm、周辺厚さ5mmの凹メニスカス形状の光学素子が得られる。
表3に、この実施例8と、胴型として外胴及び内胴を用いた実施例1の面間チルトについて示した。
面間チルトばらつき:得られた光学素子 100個について、チルトセンサー(製造元:パナソニック株式会社、商品名:UA3P)により面間チルトを測定し、その標準偏差σを求めて面間チルトばらつきとした。
実施例8では、1つの胴型123により光軸を合わせると共に、上下の加熱プレートの上下位置を規制する際に、胴型123は、その上面は厚み調整部材124を介して上部の加熱プレートにより押し下げられていき、胴型123の下面は下型のフランジ部分に接触して押しつけられる。このように、胴型123が、上下方向から加圧されることによって胴型123の垂直度が上がり、面間チルトのバラツキの少ない精度の高い光学素子を製造できることがわかった。
以上に示したように、本発明の光学素子の成形方法により、冷却時に、ガラス素材に圧力を常にかけることにより成型した光学素子の面ワレ等の面形状の不具合が生じることを効果的に抑制できることがわかった。なお、本実施例では光学素子の直径16mmから計算される201平方mmの面積に対して最大でガラス素材に25N/mm2の圧力を加えている。なお実施例では、エアシリンダーを用いたが、電動サーボシリンダー、油圧シリンダー、電動油圧シリンダーなど他の種類のシリンダーを用いても良い。
本発明の光学素子の成形方法及び成形装置は、プレス成形による光学素子の製造に利用できる。
1…光学素子の成形装置、2…成形型、3a,3b…加熱プレート、4a,4b…プレスプレート、5a,5b…冷却プレート、6…スペーサープレート、7…温度及び圧力制御手段、21…上型、22…下型、23…胴型、80…ガラス素材
Claims (10)
- 上型、下型及び胴型からなる成形型にガラス素材を収容し、前記成形型を加熱してガラス素材を軟化させる加熱工程と、軟化したガラス素材を、プレスプレートを用いて前記成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス工程と、プレス工程後、前記成形型を冷却し、光学素子形状を付与したガラス素材を固化させる冷却工程と、からなる光学素子の成形方法であって、
前記プレス工程において、前記プレスプレートと前記胴型間にスペーサープレートを介在させてプレスし、
前記冷却工程において、前記ガラス素材が固化するまで前記ガラス素材の加圧を継続することを特徴とする光学素子の成形方法。 - 前記冷却工程において、前記ガラス素材を段階的に加圧していく請求項1記載の光学素子の成形方法。
- 前記冷却工程において、前記ガラス素材を、その屈伏点以下ガラス転移点以上であって、前記プレス工程の加熱温度よりも低い温度に冷却し、次いで、前記ガラス素材の歪点以下の温度にまで一定の速度で冷却する請求項1又は2記載の光学素子の成形方法。
- 前記冷却工程において、ガラス素材の屈伏点以下ガラス転移点以上の温度に冷却する間は、2.5N/mm2以下の圧力で、前記歪点以下の温度になるように冷却する間は、2.5N/mm2超の圧力でガラス素材に加圧する請求項1乃至3のいずれか1項記載の光学素子の成形方法。
- 前記冷却工程における歪点以下の温度になるように冷却する間、前記ガラス素材がガラス転移点より高い温度にあるときには、2.5N/mm2超20N/mm2以下の圧力で、前記ガラス素材がガラス転移点より低い温度にあるときは、20N/mm2超の圧力で、段階的にガラス素材に加圧していく請求項4記載の光学素子の成形方法。
- 前記加熱工程とプレス工程の温度設定は略同じとすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光学素子の成形方法。
- ガラス素材を収容してプレス成形できる上型、下型及び胴型からなる成形型と、前記成形型を加熱してガラス素材を軟化させる加熱手段と、軟化したガラス素材を、前記成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス手段と、前記成形型を冷却し、光学素子形状を付与したガラス素材を固化させる冷却手段と、を有し、前記成形型を前記加熱手段、プレス手段及び冷却手段へ順次移動させる型移動方式の光学素子の成形装置であって、
前記プレス手段によって前記ガラス素材をプレスする際に、前記プレス手段と前記胴型間に介在させて前記上型及び下型間の距離を調整するスペーサープレートと、
前記冷却手段の温度及び前記冷却手段により前記ガラス素材にかける圧力を制御できる温度及び圧力制御手段と、を有することを特徴とする光学素子の成形装置。 - 前記温度及び圧力制御手段が、前記ガラス素材にかける圧力を段階的に加圧するように制御される請求項6記載の光学素子の成形装置。
- 前記温度及び圧力制御手段が、前記ガラス素材を、その屈伏点以下ガラス転移点以上の温度に冷却した後、前記歪点以下の温度にまで一定の速度で冷却する請求項6又は7記載の光学素子の成形装置。
- 前記スペーサープレートが、超硬合金、ステンレス鋼又はタングステンを主成分とする合金で形成されている請求項6乃至8のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
Priority Applications (1)
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JP2010232700A JP2011116632A (ja) | 2009-10-29 | 2010-10-15 | 光学素子の成形方法及び成形装置 |
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JP2010281025A (ja) * | 2009-06-04 | 2010-12-16 | Qinghua Univ | カーボンナノチューブ線状構造体の製造方法 |
JP5971421B2 (ja) * | 2013-07-22 | 2016-08-17 | 村田機械株式会社 | 糸製造装置 |
WO2017064979A1 (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | オリンパス株式会社 | 光学素子製造装置の制御方法、光学素子の製造方法及び光学素子製造装置 |
-
2010
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