JP2006347859A - 熱可塑性素材又は光学素子の成形方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 成形装置6において、各々が設定温度の異なる上伝熱板8、下伝熱板9、上伝熱板10、下伝熱板11、上伝熱板12、下伝熱板13を備えた加熱工程部18、成形工程部19および冷却工程部20の各々に温度調節器24、25、26、27、28、29を設け、型セット1をこれらの工程間を順次移動させて上下の伝熱板で挟持することで、型セット1の昇温、成形、冷却を行うとともに、成形工程部19では、上伝熱板10および下伝熱板11から型セット1に対して成形範囲での温度変化および成形圧の変化を連続的に与える。設定温度の異なる各工程部間の移動による温度変化と、個々の工程部内での温度変化とを組み合わせる。
【選択図】 図1
Description
本発明の他の目的は、型セットの数を必要以上に増加させることなく、低コストにて高精度の成形品を高スループットにて製造することが可能な成形技術を提供することにある。
前記加熱工程、成形工程および冷却工程の少なくとも一つにおいて、前記型セットを一対の前記熱伝導体で挟持してから解放するまでの過程で、前記熱伝導体の設定温度を変化させる熱可塑性素材の成形方法を提供する。
前記加熱工程、成形工程および冷却工程の少なくとも一つにおいて、前記型セットを一対の前記熱伝導体で挟持してから解放するまでの過程で、前記熱伝導体の設定温度を変化させる光学素子の成形方法を提供する。
各対の前記熱伝導体の温度を個別に変化させる温度変更手段を備えた光学素子の成形装置を提供する。
前記型セットを所定の加熱温度で押圧成形を開始した後、前記一対の成形型の型間距離が所定値に達した時点を基準として、前記熱伝導体の温度を変化させる熱可塑性素材の成形方法を提供する。
前記駆動手段の移動量に基づき前記一対の成形型の型間距離を検知する検知手段と、
該検知手段にて検知された前記型間距離に基づき前記熱伝導体の温度を制御する制御手段と、を備えている熱可塑性素材の成形装置を提供する。
前記型セットを所定の加熱温度で押圧成形を開始した後、前記一対の成形型の型間距離の変化速度を検出して、前記変化速度が所定の速度よりも遅いときは前記熱伝導体の温度を上昇させ、速いときは前記温度を下降させて、所定の成形速度に近づける熱可塑性素材の成形方法を提供する。
前記駆動手段の移動量に基づき前記一対の成形型の型間距離を連続的に検知する検知手段と、
該検知手段にて検知された前記型間距離の連続検知に基づき該型間距離の変化速度を演算し、該演算された前記変化速度に基づき前記熱伝導体の温度を制御する制御手段と、を有する熱可塑性素材の成形装置を提供する。
また、型セットの数を必要以上に増加させることなく、低コストにて高精度の成形品を高スループットにて製造することが可能となる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態である成形方法を実施する成形装置の構成の一例を示す概念図であり、図2は、本実施の形態の成形装置の熱伝導体の一つを取り出して示す断面図、図3は、本実施の形態の成形装置に供される型セットの構成の一例を示す断面図、図4および図5は、本実施の形態の成形方法および成形装置の作用の一例を示す線図である。
加熱工程部18は、上下に対向する一対の熱伝導体としての上伝熱板8および下伝熱板9と、上伝熱板8を上下(対向)方向に駆動する駆動手段としてのエアシリンダ15を含んでいる。エアシリンダ15による上伝熱板8の昇降動作により、加熱工程部18における型セット1の挟持、挟圧、解放等の動作が行われる。上伝熱板8および下伝熱板9には、温度調節器24および温度調節器25がそれぞれ接続されており、上伝熱板8および下伝熱板9の温度制御が行われる。
このように、上伝熱板8〜下伝熱板13の各々を容積の小さな板状の伝熱体23で構成することにより、当該伝熱体23の温度は、内部ヒータ22による加熱/加熱停止により、良好な応答性にて制御される。
図4に示すように、本実施の形態における加熱工程部18、成形工程部19および冷却工程部20の各々における初期設定温度は、それぞれ、加熱工程温度T1が830℃,成形工程温度T2が800℃,冷却工程温度T3が520℃に設定されているものとする。
そして、冷却工程部20では、エアシリンダ17の駆動により上伝熱板12を降下させて型セット1を下伝熱板13との間で挟持して所定の温度まで冷却する。このとき、上伝熱板12および下伝熱板13の冷却初期温度Tcs(この場合、520℃)により成形素材温度T0(成形素材5)は540℃まで冷却されて、さらに、上伝熱板12,下伝熱板13の温度を冷却終期温度Tce(この場合、430℃)までスムーズに低下させ、成形素材温度T0が、たとえば450℃となるようにして、急激な冷却による成形品のヒビ、割れ、カン(表面の微小欠落)の発生を防止する。
[変形例1]
成形素材5を成形するときに、連続的な荷重の付加と段階的でないスムーズな温度変化としたい温度範囲では、通常使用する熱可塑性の成形素材5を加熱して変形可能な硬さとし、その後、冷却して変形不能な硬さまで保持し続けることが望ましい。
[変形例2]
本変形例の場合、成形素材5の成形時における型セット1の温度の変更幅については、たとえば、100℃を超えるような比較的大きな温度変化を要する場合は、それぞれに異なる温度に設定された工程間の型セット1の移動により、当該型セット1に温度変化を与え、また、100℃に満たないような比較的小さな温度変化を要する場合は、各工程に装備した上下の伝熱板の設定温度の変更によって、型セット1に温度変化を与えるようにする。この基準で、工程間の移動による温度制御および工程内での温度制御を使い分けることにより、工程の細分化を防止し工程数の増加を抑制する。
[変形例3]
加熱軟化が完了した成形素材5を押圧変形させて成形する場合において、成形工程部19の温度変化は変形例1と変形例2に示す温度範囲において実施することが良好な転写性を実現する観点から有効である。さらに、成形素材5の加熱軟化後の成形工程における、上下の伝熱板、型セット1および成形素材5の温度変化は、上述の実施の形態に示すように、連続的かつスムーズに、高温側から低温側に、つまり成形素材5が軟らかい側から硬い側に変化しつつ、その間、常時、荷重Fを付加して変形させるのが、転写性のさらなる向上に有効である。
[変形例4]
本変形例では加熱工程部18の後の成形工程部19において、上伝熱板10、下伝熱板11、型セット1、成形素材5の温度を低下させつつ荷重Fを付加して、硬化と変形を同時に進行させ良好な転写性を得る。
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の成形装置を示している。同図において、図1に示した部材と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。また、前述と同様に、成形素材5も、ガラスやポリエチレン、ポリカーボネイト等の熱可塑性素材を用いた場合について説明する。
図7(a)は、成形工程部19における成形温度と成形時間との関係を示す図であり、図7(b)は、高さ監視部46での演算内容を示すもので、押込み量(成形量)と成形時間との関係を示す図である。
本実施の形態によれば、最終の変形成形量(b点からc点までの変形量)は、常に2.6mm(途中中心肉厚3.8mm―最終中心肉厚1.2mm)と毎回一定となり、この区間では温度・荷重も等しく与えることで、均等な成形条件を得ることができる。これにより、成形品の品質(成形品中心肉厚、転写精度)を安定させることができる。また、成形素材5の中心肉厚が1.2mmとなったところで、変形成形を完了するようにしたので、常に、最終の変形成形距離を一定に保つことができる。このため、変形成形時間が大幅に変動することもなく、また、押込み量(成形量)も一定化させることができるので、転写不良の発生も抑制することができる。
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態の成形装置を示している。同図において、図1及び図6に示した部材と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。また、成形素材5も、ガラスやポリエチレン、ポリカーボネイト等の熱可塑性素材を用いた場合について説明する。
図9(a)は、速度監視部51での演算内容を示すもので、成形工程部19におけるロッド部16aの高さ位置と成形時間との関係を示す図であり、図9(b)は、制御温度と成形時間との関係を示す図である。同図(a)において、この速度監視部51では、エアシリンダ16による成形開始位置(荷重開始位置)o点より0.4秒後におけるロッド部16aの高さ位置a点と、成形開始位置o点より0.6秒後におけるロッド部16aの高さ位置b点に基づき、型セット1の型間距離の変化速度V=(a−b)mm/ΔT(0.2sec)を求める。なお、成形開始位置o点より0.4秒後におけるロッド部16aの高さ位置a点を基準としたのは、上伝熱板10が型セット1に当接するまでに必要十分な時間として設定したものである。図9(a)によると、o'点で上伝熱板10が型セット1に当接したことがわかる。
更に、図示しないが、成形開始時点より1.0秒後と1.2秒後において、同様の変化速度Vを求め、その結果、2つめの基準値V02=2.0mm/secよりも小さい場合は、成形工程部19の上下伝熱板10,11の制御温度をプラス10℃分変更制御し、また、大きい場合はマイナス10℃分変更制御を行う。
2 上型
2a 成形面
3 下型
3a 成形面
4 スリーブ
5 成形素材
6 成形装置
7 成形室
8 上伝熱板
9 下伝熱板
10 上伝熱板
11 下伝熱板
12 上伝熱板
13 下伝熱板
15 エアシリンダ
16 エアシリンダ
16a ロッド部
17 エアシリンダ
18 加熱工程部
19 成形工程部
20 冷却工程部
22 内部ヒータ
23 伝熱体
24 温度調節器
25 温度調節器
26 温度調節器
27 温度調節器
28 温度調節器
29 温度調節器
30 動作制御盤
35 移動アーム
40 検知片
41 センサ
42 制御部
46 高さ監視部
51 速度監視部
T0 成形素材温度
T1 加熱工程温度
T2 成形工程温度
T3 冷却工程温度
TH 成形上限温度
TL 成形下限温度
Tce 冷却終期温度
Tcs 冷却初期温度
Tme 成形終期温度
Tms 成形初期温度
Tg 転移点
At 屈伏点
F 荷重
Claims (13)
- 熱可塑性素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを、各々が互いに異なる温度に設定された一対の熱伝導体を有する加熱工程、成形工程および冷却工程を順に移動せしめつつ前記熱可塑性素材を成形する熱可塑性素材の成形方法であって、
前記加熱工程、成形工程および冷却工程の少なくとも一つにおいて、前記型セットを一対の前記熱伝導体で挟持してから解放するまでの過程で、前記熱伝導体の設定温度を変化させることを特徴とする熱可塑性素材の成形方法。 - 成形素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを、各々が互いに異なる温度に設定された一対の熱伝導体を有する加熱工程、成形工程および冷却工程を順に移動せしめつつ前記成形素材を成形する光学素子の成形方法であって、
前記加熱工程、成形工程および冷却工程の少なくとも一つにおいて、前記型セットを一対の前記熱伝導体で挟持してから解放するまでの過程で、前記熱伝導体の設定温度を変化させることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 請求項2記載の光学素子の成形方法において、
前記成形素材は熱可塑性材料であり、前記成形工程における前記設定温度を、当該成形素材の転移点よりも30℃低い温度から、屈伏点よりも30℃高い温度の範囲内で変化させることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 請求項2記載の光学素子の成形方法において、
前記型セットに与える必要のある温度の変化幅が100℃以上あるような大きな温度制御は、前記各工程間を移動させることによって行い、前記変化幅が100℃未満の比較的小さな温度制御は、個々の前記工程の前記熱伝導体の前記設定温度の変化によって実現することを特徴とする光学素子の成形方法。 - 請求項2記載の光学素子の成形方法において、
前記成形工程では、前記型セットの前記成形型に対する荷重を漸増させることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 請求項2記載の光学素子の成形方法において、
前記加熱工程、成形工程および冷却工程の各々に備えられた前記伝熱板の前記設定温度は、高温側から低温側へと減少方向に変化するように設定されていることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 請求項2記載の光学素子の成形方法において、
前記加熱工程、成形工程および冷却工程のうち、前記型セットを挟持する間に前記設定温度を変化させる工程では、前記型セットの解放後に、初期設定温度に復帰させることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 成形素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを挟持可能に対向して配置され、各対の設定温度が互いに異なる複数対の熱伝導体と、各対の前記熱伝導体を対向方向に相対的に変位させる駆動手段と、を含む光学素子の成形装置であって、
各対の前記熱伝導体の温度を個別に変化させる温度変更手段を備えたことを特徴とする光学素子の成形装置。 - 請求項8記載の光学素子の成形装置において、前記温度変更手段は、個々の前記熱伝導体の温度を制御する複数の温度調節器と、前記温度調節器および前記駆動手段を制御する制御盤とを含み、
前記制御盤は、前記温度調節器による前記熱伝導体の温度変化と同期して前記駆動手段による前記型セットの挟圧力を変化させる制御機能を備えたことを特徴とする光学素子の成形装置。 - 熱可塑性素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを、熱伝導体にて加熱・昇温し、前記熱可塑性素材を軟化させ、押圧成形する熱可塑性素材の成形方法であって、
前記型セットを所定の加熱温度で押圧成形を開始した後、前記一対の成形型の型間距離が所定値に達した時点を基準として、前記熱伝導体の温度を変化させる、
ことを特徴とする熱可塑性素材の成形方法。 - 熱可塑性素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを挟持又は載置可能に配置された熱伝導体と、該熱伝導体を前記熱可塑性素材の押圧成形方向に移動させる駆動手段と、を備えた熱可塑性素材の成形装置であって、
前記駆動手段の移動量に基づき前記一対の成形型の型間距離を検知する検知手段と、
該検知手段にて検知された前記型間距離に基づき前記熱伝導体の温度を制御する制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする熱可塑性素材の成形装置。 - 熱可塑性素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを、熱伝導体にて加熱・昇温し、前記熱可塑性素材を軟化させ、押圧成形する熱可塑性素材の成形方法であって、
前記型セットを所定の加熱温度で押圧成形を開始した後、前記一対の成形型の型間距離の変化速度を検出して、前記変化速度が所定の速度よりも遅いときは前記熱伝導体の温度を上昇させ、速いときは前記温度を下降させて、所定の成形速度に近づける、
ことを特徴とする熱可塑性素材の成形方法。 - 熱可塑性素材を挟んで対向する一対の成形型および前記成形型が挿嵌されるスリーブを含む型セットを挟持又は載置可能に配置された熱伝導体と、該熱伝導体を前記熱可塑性素材の押圧成形方向に移動させる駆動手段と、を備えた熱可塑性素材の成形装置であって、
前記駆動手段の移動量に基づき前記一対の成形型の型間距離を連続的に検知する検知手段と、
該検知手段にて検知された前記型間距離の連続検知に基づき該型間距離の変化速度を演算し、該演算された前記変化速度に基づき前記熱伝導体の温度を制御する制御手段と、を有する、
ことを特徴とする熱可塑性素材の成形装置。
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