JP4818685B2 - ガラス光学素子成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の成形型により加熱軟化したガラス素材を押圧してガラス光学素子を成形するガラス光学素子成形方法に関する。
近年、ガラスレンズである光学素子は、例えば、デジタルカメラなどの撮像素子の高画素化が進み、高精度な光学面形状が求められている。また、カメラ筐体の小型化に伴って、非球面形状の高精度な凹レンズ面を有する光学素子の需要が高くなっている。
このような高精度が要求される光学素子は、例えば、特許文献1、及び特許文献2の光学素子の成形方法に記載されているように、鏡面仕上げを行った成形面をもつ成形型によってガラス素材である光学素材を加熱軟化した状態でプレス成形する光学素子成形装置によって製造される。
特許文献1に記載される光学素子の成形方法では、高精度な光学素子の光学面を成形型の光学成形面によって転写する精度を保つために、加熱軟化している成形後の光学素子の冷却速度を10℃/minとして、ゆっくりと冷却する技術が開示されている。
また、特許文献2に記載される光学素子の成形方法では、光学素子の成形時に発生する光学面(光学機能面)のクセをキャンセルするような形状に成形型を加工し、光学素子の成形における種々の成形条件を設定する技術が開示されている。
特開平5−2185号公報 特開平6−72726号公報
しかしながら、上述の特許文献1の技術では、光学素子の冷却速度を遅くすると、製造のサイクルタイムが長くなり、生産性が劣るという問題がある。また、凹レンズのような高精度が要求される光学面の成形では、冷却速度を遅くするだけでは成形型による転写精度が得られない場合がある。
また、特許文献2の技術では、光学素子成形装置に対して、光学面のクセをキャンセルする形状に加工された成形型から光学素子を離型する際に発生する光学素子の反りなどによって生じる不良を回避する種々の成形条件を何度も設定する必要がある。そのため、特許文献2の光学素子の成形方法では、種々の成形条件の設定に労力を要すると共に、該成形条件に合わせた成形型の加工時間が必要となるため、歩留まり低減の要因となる問題がある。
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、高精度な光学面を有する光学素子の光学性能を確保すると共に、生産性が向上することで、歩留まりが向上するガラス光学素子成形方法を提供することを目的とする。
上述のように、押圧されて必要光学面を得る光学素子は必ずしも所望の光学面を得られず、設計される理想光学面からの誤差を有する。本発明は、この誤差を有する光学面を直接的に設計理想面に近づけることなく、押圧されて成形された一対の光学面の光軸中心からの任意半径位置においての面間寸法を、設計上の一対の光学面の光軸中心からの該任意半径位置においての面間寸法に近づけることにより、その光学性能を確保するものである。そして、このような手段により得られた誤差光学面を有する光学素子の全てが、光学的に性能を満足させるものではないものの、少なくともそれら一部の光学素子が実用に供し得るという事実が存在する。
そこで、本発明の第1のガラス光学素子成形方法は、ガラス素材を一対の型により押圧してガラス光学素子を成形するガラス光学素子成形方法において、上記ガラス光学素子の設計値に基づいた光学面形状を転写可能な形状に加工された光学成形面を有する上記一対の型を用いて成形した上記ガラス光学素子の一対の上記光学面形状と上記設計値に基づいて決まる上記光学面形状との差を測定する第1の工程と、上記測定された差に基づいて、上記一対の一方の型の上記光学成形面を、設計とおりの面形状に修正することなく、光軸と平行な上記光学成形面間の距離を上記設計値に基づいて決まる距離と同じ距離に工する第2の工程と、 上記加工された上記一方の型と、上記一対の型の他方の型と伴に上記ガラス光学素子を成する第3の工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、高精度な光学面を有する光学素子の光学性能を確保すると共に、生産性が向上することで、歩留まりが向上するガラス光学素子成形方法を実現できる。
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1から図12は、本発明のガラス光学素子成形方法における第1の実施の形態に係り、図1は光学素子成形装置の内部を示す断面図である。図2は、図1の光学素子成形装置の一対の型、スリーブ、及びガラス素材を示す断面図である。図3は、成形後のガラス光学素子の断面図である。図4は、ガラス素材からガラスレンズを成形する光学素子成形装置の動作フローチャートである。図5は、光学性能を満足するように設計値に近似する光学素子を成形する動作フローチャートである。図6は、一実施例の図3のガラス光学素子の一断面における凹レンズ面の形状を示す関数グラフである。図7は、一実施例の図3のガラス光学素子の一断面における凸レンズ面の形状を示す関数グラフである。図8は、図6、及び図7に示した関数を重ね合わせた関数グラフである。図9は、図6、及び図7に示した関数を合成した関数グラフである。図10は、上型の断面に成形後のガラスレンズの断面を重ね合わせた状態を示す図であり、図10(a)は一方の手段を説明し、図10(b)は他方の手段を説明するための図である。図11は、加工後の上型の凸状成形面によって成形された一実施例のガラス光学素子の一断面における凹レンズ面の形状を示す関数グラフである。図12は、図7、及び図9に示した関数を合成した関数グラフである。
図1、及び図2に示す、本実施形態の光学素子成形装置1は、光学素材であるガラス素材15Aを加熱軟化させ、一対の成形型で押圧し、冷却後に上記一対の成形型間を開くことで所望の面形状を有するガラス光学素子であるガラスレンズ15を製造するための装置である。この光学素子成形装置1の内部には、主要構成部材として、一対の成形型である上型2、及び下型3と、上型2を支持する上軸4と、下型3を支持する下軸5と、上型2、及び下型3を覆うスリーブ6と、上軸4を上下方向に密閉状態で移動自在に保持している昇降ベース体7と、該昇降ベース体7に一体的に固設される石英管8と、昇降ベース体7の上部に配設される上冷却板9と、下軸5が載置されるベース板10と、該ベース板10の下部に配設される下冷却板11と、石英管8の周囲に配される型加熱用熱源である赤外線ランプヒータ12と、上型2及び下型3の夫々の内部に埋め込まれている型加熱用熱源であるカートリッジヒータ13a,13bと、上型2と下型3の間に配設される離型リング14と、を有している。
尚、光学素子成形装置1は、石英管8、赤外線ランプヒータ12などの周囲に配される上下方向に開閉自在な密閉炉(不図示)と、図示しないフレームに支持されて、上軸4を上下方向に移動させるサーボモータ、或いはエアーシリンダからなる駆動装置(不図示)と、石英管8、昇降ベース体7、及びベース板10によって囲まれたガラスレンズ15を成形する成形室内を真空状態にする排気装置(不図示)と、成形室内を所定の圧力に設定する窒素ガスなどの不活性ガス(非酸化性ガス)を送気する流量調整用装置(不図示)と、ガラス素材15Aを下型3に自動セットし、且つ成形後のガラスレンズ15を自動的に取り出すオートローダ(不図示)と、成形室内の温度、圧力、ガス流量、真空などの制御やガラス素材15Aを下型3にセットする位置制御を行う制御装置(不図示)を有している。
この光学素子成形装置1によって、ガラスレンズ15に成形されるガラス素材15Aは、図2に示すように、設計上のガラスレンズ15の近似形状に磨かれた、例えば、ガラス転移点506℃、軟化点607℃のモールド用の硝材である。
上型2と下型3は、ガラス素材からガラスレンズ15を成形するに足る温度領域で十分な強度を有する材料であって、超硬合金、または、SIC(炭化珪素)等によって形成された略円柱状の一対の型を構成している。この上型2と下型3は、略同一の外径が設定されており、夫々の軸が同一線上を通るように、図示しない固定部材によって、上軸4、及び下軸5に夫々嵌合固定されている。
本実施の形態の上型2は、ガラスレンズ15の一方のレンズ面である非球面状の凹レンズ面15a(図3参照)を成型し、ガラスレンズ15の熱収縮などによる体積変形のみを見込んだ設計値に基づく非球面形状が設定された凸状成形面2aを有しており、下型3はガラスレンズ15の他方のレンズ面である球面状の凸レンズ面15b(図3参照)を成型し、上型2と同様に、ガラスレンズ15の熱収縮などによる体積変形のみを見込んだ設計値に基づく球面形状が設定された凸状成形面2aを有している。これら各型2,3の夫々の成形面2a,3aは、ガラスレンズ15の光学機能面を転写形成する鏡面加工が施されている。
また、各型2,3の夫々の内部には、各軸4,5を貫挿して配される型加熱用熱源であるカートリッジヒータ13a,13b、及び型温度検出用の図示しない熱電対が夫々埋め込まれている。これらのカートリッジヒータ13a,13bは、上型2、及び下型3を熱伝導により加熱し、且つ、各型2,3を介してガラス素材15Aを加熱する。
上軸4、及び下軸5には、それぞれ型冷却用の冷却水が流通可能な冷却経路(図示せず)が設けられている。さらに、上軸4には、中途外周部分に段部が形成されており、上昇時に該段部の上面が昇降ベース体7の下面となる対向面と当接することで、昇降ベース体7、石英管8、及び図示しない密閉炉を一緒に持ち上げる。
スリーブ6は、円筒形状のセラミックス材料で形成され、上方部が上型2に固着され、且つ精密嵌合(隙間5μmまたはそれ以下の極めて少ない状態)しており、下型3に対してスライド可能に精密嵌合(隙間5μm程度の極めて少ない状態)している。従って、赤外線ランプヒータ12による照射熱は、石英管8、及びスリーブ6を介して上型2、及び下型3に効率よく伝達される。また、スリーブ6は、各型2,3と精密嵌合することで、各型2,3の軸心を合わせるためのものでもある。
石英管8は、上型2、下型3、及びスリーブ6の周囲空間を外界より密閉、または、外界に開放可能であり、ガラス素材15Aの成形中、密閉状態にあるとき、真空または非酸化雰囲気で充満できるように、夫々の接触部にはシールが施されている。この石英管8により密閉された空間がガラスレンズ15を成形する成形室16となる。
上冷却板9、及び下冷却板11は、例えば、表面に凹凸が形成されており、その表面積を大きくすることで、各型2,3の熱を外部へ放出する。尚、各冷却板9,11に、上述の型冷却用の冷却水が流通可能な冷却経路を設けても良い。
赤外線ランプヒータ12は、密閉炉(不図示)の内側壁に固定支持されており、石英管8の外周に沿って位置している。尚、カートリッジヒータ13a,13bや赤外線ランプヒータ12、また、上記冷媒は、熱電対(不図示)によって検出される型温度に基づいて、上述した光学素子成形装置1の図示しない制御部により制御され、各工程時におけるガラス素材15Aおよび上型2、及び下型3の温度制御が行われる。
離型リング14は、上型2の凸状成形面2a周りに装着されており、図示しないシリンダにより上下動して、上型2に貼着した成形後のガラスレンズ15の離型を行うためのものである。
成形室16は、ガラス素材15Aからガラスレンズ15を押圧成形中に密閉されて、図示しない不活性ガス供給管から上述の不活性ガスが内部に充填されて不活性雰囲気となる。
次に、上述した構成を有する光学素子成形装置1によりガラスレンズ15を成形する工程について図4のフローチャートを用いて説明する。尚、本実施の形態の光学素子成形装置1によって成形されるガラスレンズ15は、例えば片面非球面の凹メニスカスレンズであり、外径がφ12.2mm、凹レンズ面15a側が近軸中心R4.3、及び有効径φ8.6mmの非球面形状を有し、凸レンズ面15b側が曲率R36、有効径φ11mmの球面形状を有するように設計値が決められている。
まず、上述の設計値に基づいて形成される近似値形状に磨かれたガラス素材15Aをオートローダ(不図示)によって搬送し、下型3の凹状成形面3a上に載置する(S1)。そして、石英管8、及び密閉炉(不図示)により成形室16内を密閉状態とする(S2)。
上型2を下型3に向かった方向に降下させ、ガラス素材15Aの表面近傍に上型2の凸状成形面2aが到達したとき、上型2を一旦停止させる(S3)。そこで、成形室16は、図示しない制御部のコントロールのもとで、内部が真空状態にされ、流量調整用装置(不図示)によって、不活性ガスである窒素ガスが充填される(S4)。
そして、光学素子成形装置1の制御部のコントロールのもとで、カートリッジヒータ13a,13bや赤外線ランプヒータ12に通電し、上型2、下型3、スリーブ6、及びガラス素材15Aの加熱を開始する(S5)。
そして、図示しない熱電対の温度検知により、ねらいの所定温度(ここでは成形温度565℃)に到達したら、上型2を下型3方向に再降下させて型閉じ状態とし、凸状成形面2a、及び凹状成形面3aによりガラス素材15Aを押圧する(S6)。次に、所定量の押圧後、カートリッジヒータ13a,13b、及び赤外線ランプヒータ12の通電を停止させる(S7)。
そして、各軸4,5の冷却経路に冷却水(例えば、冷媒としての純水)を通して冷却工程に入り、各型2,3の冷却を開始する(S8)。上記冷却により上型2、下型3、及びガラス素材15Aの熱は、上記冷媒を介して系外に放出されると共に、各冷却板9,11により外気へ放出される。そして、ガラス素材15Aは、押圧成形されてガラスレンズ15の形状となる。
その後、図示しない熱電対の検知結果から各型2,3の型温度が酸化せず、変形温度以下の温度、例えば、常温(25℃)付近まで下がったとき、駆動装置(不図示)によって上軸4を上昇させ、上型2、及びスリーブ6を上昇させると共に、昇降ベース体7を上軸4の段部で、石英管8、および密閉炉(不図示)と一緒に持ち上げて、上型2からガラスレンズ15を離型する(S9)。最後にガラスレンズ15は、オートローダー(図示せず)によって外部に搬出される(S10)。尚、ガラスレンズ15は、冷却により熱収縮変形し、上型2の凸状成形面2aに吸着する場合があるが、離型リング14が上下動することで、該凸状成形面2aに貼り付くことなく離型する。
以上のような工程手順により、本実施の形態の光学素子成形装置1は、凹メニスカスレンズであるガラスレンズ15を製造する。尚、成形されたガラスレンズ15は、その形状が冷却時に発生する各型2,3との熱収縮量の違いにより、上述の設計値と異なった形状となってしまう。
そこで、図5のフローチャートの各ルーチンに従って、図3のガラスレンズ15の断面図、及び実験結果の一例である図6〜図12の図面を参照して、設計上のガラスレンズ15の光学性能を補正する工程について説明する。
その前にここで、型修正の考え方の概要を述べておく。
図3に示すように、レンズ15は凹レンズ面15aとそれに対向する凸レンズ面15bを有する所望の理想レンズ(設計レンズ)であり、成形されて出来上がったレンズ面の一方は、凹レンズ面15aに対し、光軸O方向に微小に平行移動してズレた位置に、凸レンズ面15aと同一形状のレンズ面15a´を仮定し、これに対し面形状誤差を有したレンズ面15a´´すなわち曲線g1(r)があるとする。さらに成形されて出来上がったレンズ面の他方は、凸レンズ面15bに対し、光軸O方向に微小に平行移動してズレた位置に、凸レンズ面15bと同一形状のレンズ面15b´を仮定し、これに対し面形状誤差を有したレンズ面15b´´すなわち曲線g2(r)があるとする。上述のレンズ面15a´とレンズ面15b´を仮定したのは成形されたレンズ面の光軸Oにおける面間(面厚)が必ずしも設計値のレンズ面の光軸Oにおける面間(面厚)と同じであるとは断言できないからである。
また、理想レンズ面である凹レンズ面15aと光軸Oとの交点を原点とし、横軸にレンズ半径rを採り、理想レンズ面である凸レンズ面15bと光軸Oとの交点を原点とし、横軸にレンズ半径rを採り、さらに各原点より光軸O方向の上方向(下型3から上型2への向き)を+に採り、これら原点よりレンズ半径方向(外径方向)に+とした座標系で、理想レンズ面である凹レンズ面15aを表す曲線をG1(r)とし、理想レンズ面である凸レンズ面15bを表す曲線をG2(r)とすると、任意半径rにおける理想レンズ15における光軸Oに平行な面間Dは、
=G1(r)+T−G2(r)=f(r)
と定義できる。ただし、T{T=f(0)}は、光軸O上での面間距離(定数)とする。
ここで所望とするのは任意半径位置での光軸に平行な面間D=f(r)であるが実際は上述の通りg1(r)、g2(r)のように設計値に対し光軸O方向にズレた面が形成されている。ここでのg1(r)、g2(r)は測定より得られたデータを近似した高次式を近似曲線とする。ただし、横軸はレンズ半径rをとり、縦軸は理想レンズを基準とした量(μm)である。
そこで、光軸Oとg1(r)、g2(r)とが交わる点を各原点として、これら原点より光軸を縦軸として上方向(下型から上型への向き)を+に採り、これら原点よりレンズ半径方向(外径方向)に+とした横軸とで座標系を定義する。
実際に成形されたレンズ15の面間Dは、
=g1(r)+T´−g2(r)=f(r)
と定義できる。ただし、T´{T´=f(0)}は光軸O上での面間距離(定数)とする。
従って、理想レンズ15に対する実際に成形されたレンズ15の面間誤差は、
−D=g1(r)+T´−g2(r)−G1(r)−T+G2(r)=f(r)−f(r)=Δd(r)
となる。
ここで、G1(r)、G2(r)、Tの各項は設計値であり、既知の数値である。従って、残りの項のg1(r)、g2(r)、T´を測定、計測し、これを基に型を修正すれば良い。但し、T´は後述するが、型修正時に変動してしまう可能性があるので、型修正後の再度の成形後に成形レンズを測定することで型間の調整を行い、これを修正できる。従って当然ではあるが、人為的に操作できる残った項のg1(r)−g2(r)が最小となるように型を修正すれば良いことになる。
すなわち、このg1(r)−g2(r)を最小化すべく、型の一方を追加工(型修正)する、もしくは場合により両方の型を追加工(型修正)してもよい。ここまでが型修正の考え方である。
そして、上記レンズ面15a´とレンズ面15b´の設計値からの平行移動ズレ量(図3中のT−T´)及び後述する型修正加工時に発生するレンズ面の光軸O方向平行移動量の修正は成形時の上型、下型の型間調整により行われる。
まず、図5に示すように、最初に成形されたガラスレンズ15を基に、この凸レンズ面15bの有効径内の形状を触針式表面形状測定機などにより測り、この測定結果と上述の設計値との凸レンズ面15bのズレである形状誤差を測定する(S11)。その測定結果の一例は、図3に示すガラスレンズ15の断面において、凸レンズ面15bは、図7に示す曲線に沿った形状をしており、設計値(設計レンズ面形状)に対する光軸O方向の面形状誤差量が最大でおよそ+0.3μmの誤差量Δt2を有していた(S12)。
詳しくは、設計値に基づいて加工された下型3によって押圧成形された、図3の断面におけるガラスレンズ15の凸レンズ面15bは、ここでは点Q1から点Q2までが最大の面形状誤差量となっている。
次いで、成形されたガラスレンズ15の凹レンズ面15aの有効径内の形状を触針式表面形状測定機などにより測り、この測定結果と上述の設計値との凹レンズ面15aのズレである形状誤差を測定する(S13)。その測定結果の一例は、図3に示すガラスレンズ15の断面において、凹レンズ面15aは、図6に示すグラフ曲線に沿った形状をしており、設計値(設計レンズ面形状)に対する光軸O方向の面形状誤差量がおよそ+0.8μmの誤差量Δt1を有していた(S14)。
詳しくは、設計値に基づいて加工された上型2によって押圧成形された、図3の断面におけるガラスレンズ15の凹レンズ面15aは、ここでは点P1から点P2までが最大の面形状誤差量となっている。
この段階での成形後のガラスレンズ15は、凹レンズ面15a、及び凸レンズ面15bに設計値に対する形状誤差量Δt1,Δt2を有し、これら形状誤差量Δt1,Δt2が複合して、レンズ単体の性能低下を招き、例えば、複数枚組み合わせて作成されるレンズの光学性能が非常に劣化するため不良品となってしまう。
しかし、設計値からの形状誤差が僅かであって、(本実施の形態では、凹レンズ面15aにおいて、設計値に対する形状誤差量Δt1が最大でおよそ0.8μm以下の誤差量である。)各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離が設計値に対して同等のガラスレンズ15であれば、光学性能を満足することが確認されている。そのため、ガラスレンズ15は、どちらか一方のレンズ面を各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離が設計値と同等になるように補正するため、レンズ面を転写する上型2、或いは下型3のどちらか一方を再加工すれば良い。場合によっては、両型2,3を再加工しても良い。
本実施の形態では、安価に初期型加工のできる球面状の凹状成形面3aを有する下型3を設計値に基づいた状態のままとし、非球面の凸状成形面2aを有する上型2のみを再加工し、ガラスレンズ15の凹レンズ面15aを補正する。つまり、この再加工した上型2によって凹レンズ面15aを補正し、この上型2と初期加工のままの下型3を使用して、ガラスレンズ15を押圧成形する。
ここで、ガラスレンズ15の各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離について、説明する。図3に示すように、光軸Oから半径方向への距離rにおけるガラスレンズ15の各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離は、D=f(r)定義でき、レンズ面15a,15bの面形状を表す、前述のような近似の高次式を用いれば容易に算出できる。
そこで、ステップS12,S14によって得られた形状誤差の測定結果を上述のg1(r)-g2(r)によって合成し(図8参照)、合成形状誤差Rを算出する(S15)。その合成形状誤差Rは、グラフ(図9参照)のように、およそ0.48μmの幅を有する合成形状誤差Rとなる。詳しくは、成形されたガラスレンズ15の光軸Oに平行な距離Dは、設計値に基づいて決まるガラスレンズ15の光軸Oに平行な距離Dに対して、図9に示すグラフ曲線に沿った形状をしており、0.48μmの誤差と、設計光学面に対し光軸Oへ不明な量の平行移動分を有している。
従って、最初にこの光軸O方向への不明な平行移動分を考えずに、このグラフ曲線に示された形状に沿って、上型2の凸状成形面2aを補正する。
また、図6〜図9に示した関数は、図3に示したガラスレンズ15の光軸Oが通る一断面のレンズ面15a,15b形状を表しているため、光軸Oを軸とした合成形状誤差Rを演算処理して算出する。
尚、以上に説明した各ルーチンの動作が本実施形態の第1の工程となる。
ここでのステップS16での合成形状誤差が光学的性能を満たすかどうか、言い換えればその誤差量(誤差幅)が所定値以下であるかどうかを判断する。この誤差量が所定値以下であれば後述のステップS20に進み、所定値を越えていれば型修正の工程であるステップS17,S18に進む。
次に、ステップS15で得た合成形状誤差(補正形状R)に基づき、上型2の凸状成形面2aを再加工する(S17)。詳しくは、成形されたガラスレンズ15が設計値に対する光軸Oと平行な方向の合成形状誤差量である、補正形状Rに基づいて、上型2の凸状成形面2aのみを、図9に示したグラフ曲線の軌跡に合わせて削り加工する。
この修正加工(追加工)の手段の一つを、図10(a)を用いて説明する。図10(a)のg´´は図9の結果、すなわちg1(r)−g2(r)から算出された量を未修正の凸状成形面2a上に、反転した、すなわち−(g1(r)−g2(r))を反映した線図を示す。ここにおいては型の光軸中心表面を0とした座標を採る。
図9のグラフ中の(+)部分は成形されたガラスレンズの肉厚が相対的に余計であり、(−)部分は肉厚が相対的に足りないというということを示している。このため上型の型表面全体に、図9のグラフ中の(+)部分の肉厚量を上回る肉厚pを溶接、硬質鍍金等により肉盛りし、この肉盛り全体を切削、研削、研磨等の必要な追加工を行い、有効径内に必要な曲線g´´を得るということが考えられる。すなわち、肉盛り表面から曲線g´´までの肉部分である図10(a)の領域S1を除去する。ただし、図10(a)中の(+)部分はその肉盛り部分と伴に上型一部を上記のような追加工が施される。
また別の手段として図10(b)に示すように、上型2の中に、凸状成形面2aと同じ面を光軸O方向に図9のグラフ中の(+)量の最大値を超える平行移動した曲線2a´´を仮定し、この曲線2a´´上に上記曲線g´´を重ね、少なくとも有効径内の、現状未修正の凸状成形面2aと曲線g´´との間に型肉である図10(b)の領域S2を除去するように切削、研削、研磨等の必要な追加工を行う。
上記二つの手段のうち、後者の工程が簡便である。
尚、上軸4への上型2の固定時に設計値に基づくガラスレンズ15の各レンズ面15a,15b間における光軸Oと平行な方向の距離Dを考慮して、上型2と下型3との離間する高さ方向の位置調整を行うようにする。もしくは、型閉め時の型間のストロークを調整すればよい。
この段階では、成形されるガラスレンズ15の各レンズ面15a,15bの光軸Oに平行な距離T´と、設計上のガラスレンズ15の各レンズ面15a,15bの光軸Oに平行な距離Tの一致は考えずに、下型3の凹状成形面3aは加工せずに、上型2の凸状成形面2aのみを合成形状誤差(補正形状R)に従って再加工する。尚、このステップS17の動作が本実施の形態における第2の工程となる。
次に、再加工した上型2と、未加工の(設計値に基づいて加工された)下型3を使用して、光学素子成形装置1により、ガラス素材15Aからガラスレンズ15を成形する(S18)。尚、このルーチンは、図4に示したフローチャートに示すステップS1〜S10の手順と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
そして、形成したガラスレンズ15の凹レンズ面15aの面形状を触針式表面形状測定機などにより測定する(S13)。その測定結果の一例は、図11に示すように、ガラスレンズ15の凹レンズ面15aの形状が設計値に対して光軸O方向に0.35μmの幅の誤差量である形状誤差量Δt´を有していた。ここで、設計値に対する面形状誤差を表す線図をg1m(r)とする。
このステップS14での凹レンズ面15aの形状誤差量Δt1´と、ステップS14での凸レンズ面15bの形状誤差量Δt2(ここでは、0.3μm)に基づいて、ガラスレンズ15の設計値に対する合成形状誤差を算出する。
その算出のため、ステップS16で行ったように、面形状誤差を表すg2(r)と型修正されて成形された凹レンズ面15aの面形状誤差を表すg1m(r)とを重ね合わせ(図12)その差をg1m(r)−g2(r)を算出する。この結果が図13であり、合成形状誤差を表す線図となり、この線図の最大値と最小値との間隔が最終的な合成面形状誤差となる。
その結果の一例は、図13に示すように、成形後のガラスレンズ15は、有効径内における各レンズ面15a,15bで形成された合成面形状誤差が設計値に対して、0.1μm以下である最大でおよそ0.09μmの誤差に収まっていた。
次に、ステップS15での結果から、成形されたガラスレンズ15が所定の光学性能を満足しているか否かの判断を行う(S16)。ここでの判断は、成形後のガラスレンズ15の有効径内における各レンズ面15a,15bの光軸Oと平行な誤差量が設計上の光学面に対する誤差量Δd(r)が光学性能を満足可能とする許容精度(品質)である±2μm以内(-2μm≦Δd(r)≦+2μm)であるか否かの判断を行い、この光学性能を満足可能とする許容精度範囲内であれば、次の工程である第4の工程で型間調整を行う。
尚、合成面形状誤差量が±2μm以内に収まっていない場合は、再度ステップS17に移行し、各ルーチン(ステップS17,18,S13〜S16)を実施する。また、これらステップS17〜S16で行われるルーチンが本実施の形態の第3の工程となる。
そして、最後の工程である第4の工程を説明する。この工程では、修正された型により成形されたガラスレンズ15は、上述のように光軸O中心での肉厚が、設計値であるTに対し、その寸法がその値からずれたT´という寸法で成形されているので、成形されたガラスレンズの光軸O中心肉厚T´を測定し、設計値Dとの差分を成形時の型間で調整する(S19)。これによれば、合成面形状誤差が修正された一対の面間はその修正を崩さず相対的にその間隔が変更されるだけでこの差分が除去される。
このように、ガラスレンズ15は、凸レンズ面15bと凹レンズ面15aとの相対距離が設計によって決まる値と略同じとなり、良好な光学性能を満足する許容精度(品質)を備えている。
以上に説明した形状補正のため再加工された上型2と、設計値に基づいて加工された下型3とを使用して、光学素子成形装置1によって、連続10000ショット以上のガラスレンズ15の成形を実施して検証した結果、成形された全てのガラスレンズ15は、各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離が設計上の距離に対して、良好な光学性能を満足する許容精度(品質)である誤差量±2μm以内という結果が得られた。
また、本実施の形態においては、一対の型の一方である上型2の非球面形状の凸状成形面2aのみを再加工し、一対の型の他方である下型3の球面形状の凹状成形面3aは再加工しないため、型を作り直す手間が掛からず、安価な初期加工で済むと共に、型自体の加工におけるリードタイムが1ヶ月以上の期間で短縮できた。さらに、上型2の再加工時には、下型3の初期加工が完了しているため、型の成形面を加工する加工機は上型2の凸状成形面2aの再加工に集中して使用することができ、該加工機稼動の分散化を図ることができた。
以上に説明したように本実施の形態のガラス光学素子成形方法によれば、一対の型2,3による押圧成形により、各成形面2a,3aが転写するガラスレンズ15の各レンズ面15a,15bの面精度を考慮しなくとも、上述した簡易な方法によりガラスレンズ15の概略形状である各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離を設計値に合わせることで、該ガラスレンズ15の光学性能を満足することができるため、難形状の光学素子の成形においても容易に設定が可能となる。
また、本実施の形態のガラス光学素子成形方法は、光学素子成形装置1の種々の設定をガラスレンズ15の良好な光学性能を満足するように何度も変更しなくても、成形するガラスレンズ15のサンプリングに合わせて、各レンズ面15a,15b間の光軸Oに平行な距離を設計値に基づいて決まる距離に合わせるための上型2の補正加工だけでよいので、労力を要せず、時間短縮可能となり、ガラスレンズ15の生産性を向上することができる。また、本実施の形態のガラス光学素子成形方法は、ガラスレンズ15の冷却速度を遅くする必要が無いため、ガラスレンズ15の製造のサイクルタイムの増大を防止でき、生産性が劣るという問題も回避することができる。以上の結果から、ガラスレンズ15の製造における歩留まりを向上することができる。
尚、本実施の形態では、上型2の凸状成形面2a側を補正加工したが、これに限ることなく、下型3の凹状成形面3a側を各レンズ面15a,15b間における光軸Oに平行な軸に沿った距離と設計値で決まる距離との合成形状誤差であるズレ部分を補正する補正加工を行っても良い。
また、本実施の形態では、凸レンズ面15bが球面形状のガラスレンズ15を例に挙げたが、これに限定されることなく、両レンズ面15a,15bが非球面形状のガラスレンズ15に適用可能である。つまり、両レンズ面15a,15bに光学面を転写する各型2,3のいずれか一方に上記ズレ部分の量をフィードバックして補正加工すれば良い。
さらに、本実施の形態では、ガラスレンズ15の屈折率調整のためのアニール工程を実施していないが、該アニール工程を実施する場合、アニール後のガラスレンズ15の形状を基準に上記ズレ部分の量をキャンセルするように、一対の型2,3の一方のみを補正加工すれば良い。
(第2の実施の形態)
本実施の形態のガラス光学素子成形方法は、第1の実施の形態での成形する一対の光学面の有効径が同一のガラスレンズ15に対し、一対の光学面の有効径が互いに異なるガラスレンズを成形し補正する場合である。ここで、第1の実施の形態において記載した各構成については、同じ符号を使って、それらの詳細な説明を省略する。
以下に、一対の光学面の有効径が互いに異なる本実施の形態のガラス光学素子成形方法を図14〜図16を用いて説明する。尚、図14は、凹レンズ面15aから見たガラスレンズ15の平面図である。図15は、凸レンズ面15bから見たガラスレンズ15の平面図である。図16は、図14、及び図15のXI−XI線に沿ったガラスレンズ15の断面図である。尚、図15は、図14に示したa−a´方向のみが逆向きに、図14に示したb−b´方向を変更せずに、図14のガラスレンズ15を裏返した状態を示している。
図14に示すように、ガラスレンズ15の凹レンズ面15aには、第1の有効径Z1を有し、図15に示すように、ガラスレンズ15の凸レンズ面15bには第2の有効径Z2を有している。本実施の形態のガラスレンズ15は、凹レンズ面15a側の有効径Z1に対して、凸レンズ面15b側の有効径Z2が大きい(Z1<Z2)、凹メニスカスレンズである。
以下に、本実施の形態のガラス光学素子成形方法を説明する。
尚、成形したガラスレンズ15の一方の面であるレンズ面15aにおける光軸中心からの任意半径における一点と該一点に対応する他方の面であるレンズ面15bにおける後述する一点との距離(これを説明中では「成形擬似面間」と称する)と、設計上のガラスレンズ15の一方の面であるレンズ面15aにおける光軸O中心からの任意半径における一点と該一点に対応する他方の面であるレンズ面15bにおける後述する一点との距離(これをこの説明中では「設計擬似面間」と称する)とが略同一であれば、成形したガラスレンズ15は、必要な半径における光学性能を略満足することが確認されている。そのため、本実施の形態では、以下に説明するような方法によって、ガラス光学素子であるガラスレンズ15を成形する。
先ず、光学素子成形装置1によって、第1の実施の形態と同様に、図4に示したフローチャートの手順でガラスレンズ15の設計に基づく成形面2a,3aが加工された各型2,3によりガラスレンズ15を押圧形成する。そして、第1の実施の形態でのステップS11,S13と同様にして、ガラスレンズ15の各レンズ面15a,15bの夫々の有効径内の形状を触針式表面形状測定機などにより測定する。
次に、成形されたガラスレンズ15から、該ガラスレンズ15の有効径Z1内における光軸Oからの半径方向の第1の距離r1にある凹レンズ面15a上の任意の第1の点A(図14参照)を決定する。そして、凹レンズ面15aの有効径Z1と凸レンズ面15bの有効径Z2の比率により、凹レンズ面15a上の第1の距離r1にある第1の点Aに対応した凸レンズ面15b上の有効径Z2内にある第2の点A´(図15参照)の位置を特定する。
この第2の点A´を特定するにあたり、先ず、光軸Oからの半径方向の第2の距離r2を求める。詳しくは、上記任意の点Aに対応する該凸レンズ面15b上の点A´における光軸Oからの第2の距離r2は、
Z2×r1/Z1=r2・・・式(4)
から算出することができる。
すなわち、この点A´は、凹レンズ面15aの点Aと光軸Oとを有する面内にある点であって、この面によって切断される図16に示すガラスレンズ15の断面内にあると共に、上記点Aの近傍における光軸Oから距離r2にあって、光軸Oに直交する直線と凸レンズ面15bとが交わった位置にある点となる。
次に、凹レンズ面15aの点Aと凸レンズ面15bの点A´の位置における設計値に対する夫々の誤差量Δt1,Δt2を上述の触針式表面形状測定機によって測定した値から算出する。そして、これら誤差量Δt1,Δt2を上記第1の実施の形態と同様に合成し、成形したガラスレンズ15の設計値に対する合成形状誤差を算出する。この合成の際、レンズ面15a,15bでの誤差を表す線図は、任意点AとA´との対比において、横軸方向に互いにズレているので、単純に合成できない。この線図の合成においては、上記有効径比を凹レンズ面15a、若しくは凸レンズ面15bの一方の横軸に乗算するか除算をしてから合成する。この合成形状誤差が本実施の形態での補正形状Rとなる。
即ち、本実施の形態では、第1の実施の形態での光軸Oと平行な方向の距離に対して、ガラスレンズ15の各レンズ面15a,15bの補正形状Rから算出するのではなく、各レンズ面15a,15bの有効径Z1,Z2の比率により対応する点A,A´間の、距離L(r1)が設計値に基づいて決まる距離L(r1)との誤差に合わせて補正形状Rから算出する。
尚、成形後のガラスレンズ15の各有効径Z1,Z2における凹レンズ面15a上の任意の点Aに対する凸レンズ面15b上の点A´を特定したように、凹レンズ面15a上の任意の複数箇所の点Aに対する凸レンズ面15b上の点A´を式(4)に基づいて、特定し、上記の補正形状Rから算出する。
そして、第1の実施の形態と同様にして、成形後のガラスレンズ15の凹レンズ面15aを補正するために、下型3の凹状成形面3aは加工せずに、上型2の凸状成形面2aのみを上記補正形状Rに基づいて再加工する。次に、再加工した上型2と、未再加工の(設計値に基づいて加工された)下型3を使用して、光学素子成形装置1により、第1の実施の形態と同様にして、ガラス素材15Aからガラスレンズ15を成形する。
尚、修正された上記上型2を用いて、このガラスレンズ15を押圧成形する際には、第1の実施の形態と同様に、光軸中心の型間の調整するか、もしくは上軸4への上型2の固定時に設計上のガラスレンズ15を考慮して、上型2と下型3との離間する高さ方向の位置調整を行うようにする。
そして、次に、再度成形したガラスレンズ15における合成形状誤差を上記と同じく算出する。
尚、成形したガラスレンズ15の各レンズ面15a,15bの有効径Z1,Z2における凹レンズ面15a上の任意の点Aに対する凸レンズ面15b上の点A´を特定したように、凹レンズ面15a上の任意の複数箇所の点Aに対する凸レンズ面15b上の点A´を特定し、その各点A,A´を結んだレンズ面15a,15b間の第2の距離Lを複数個所で測定し、夫々対応する設計によって決まる各点A,A´を結んだ上記第1の距離L(r1)と比較する。
また、成形したガラスレンズ15と、設計上のガラスレンズ15との上記点A−A´間の長さにおける誤差量ΔL(r1)は、
(r1)−L(r1)=ΔL(r1) ・・・式(5)(但し、r2は上記の式(4)である。)
と定義できる。
そして、本実施の形態のガラス光学素子成形方法では、求められたレンズ面15a,15b間の各点における設計擬似面間に対する誤差量ΔL(r1)が略ゼロ(ΔL(r1)≒0)とするように、第1の実施の形態と同様にして、上型2の凸状成形面2aのみを補正の為に追加工する。そして、必要に応じ型間の調整を行い、レンズを成形する。
こうして成形したガラスレンズ15は、各レンズ面15a,15bの有効径Z1,Z2の比率に対応した、光軸Oからの距離r1,r2にある各レンズ面15a,15b上の複数個所の2つの点(A,A´)間の距離Lを設計上の同じ各点位置における各レンズ面15a,15b間の距離Lと略同じ長さとなるように、形状が補正されることで、各レンズ面15a,15bが設計値に対して微小な誤差領域内の形状のズレを有していても、より良好な光学性能を満足することができる。
また、上記発明の説明において、T´をTに合わせる、若しくは近づけるために型間の調整を行えばよいと説明したが、必ずしもこの調整は場合により必要でない。つまり、1つのケースとして、成形されたガラスレンズの肉厚(面間距離)が全体的に理想レンズ(設計レンズ)のそれより薄い場合は、理想レンズの面間Tに対する成形されたレンズの収縮量を考慮、計算して型を追い込むように追加工すればよい。もし、この計算値から再度成形されたガラスレンズ15のT´がTから大きく外れた場合は型間の調整を行えばいいだけの事となる。
また、本発明によれば設計とおりの理想レンズ面形状に修正することも無く容易な修正で済み、型加工に膨大な時間をかけることも無くレンズを生産できるので生産性の向上に寄与するものである。
また、本発明の実施は、レンズの屈折調整のためのアニール処理後の形状と設計レンズ形状との対比にて行われてもよい。
また、上記各実施形態の光学素子成形装置1では、上型2側を可動型としているが、これに限らず、上型2側を固定型とし、下型3側を可動型として、他は同様な構成を適用することも可能である。
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明によるガラス光学素子成形方法を用いることで、良好な光学性能を満足する光学素子を製造する生産性を向上する光学素子成形装置に適用可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係る光学素子成形装置の内部を示す断面図である。 同、図2は、図1の光学素子成形装置の一対の型、スリーブ、及びガラス素材を示す断面図である。 同、図3は、成形後のガラスレンズの断面図である。 同、ガラス素材からガラスレンズを成形する光学素子成形装置の動作フローチャートである。 同、光学性能を満足するように設計値に近似する光学素子を成形する動作フローチャートである。 同、図3のガラス光学素子の一断面における凹レンズ面の形状を示す関数グラフである。 同、図3のガラス光学素子の一断面における凸レンズ面の形状を示す関数グラフである。 同、図6、及び図7に示した関数を重ね合わせた関数グラフである。 同、図6、及び図7に示した関数を合成した関数グラフである。 同、図10(a)は修正加工(追加工)の手段の一つを説明するための上型の断面に成形後のガラスレンズの断面を重ね合わせた状態を示す図、図10(b)は図10(a)での修正加工(追加工)の手段の一つとは別の手段を説明するための上型の断面に成形後のガラスレンズの断面を重ね合わせた状態を示す図である。 同、加工後の上型の凸状成形面によって成形されたガラスレンズの一断面における凹レンズ面の形状を示す関数グラフである。 同、面形状誤差と型修正されて成形された凹レンズ面の面形状誤差とを重ね合わせた状態のガラスレンズの一断面における凹レンズ面の形状を示す関数グラフである。 同、図7、及び図9に示した関数を合成した関数グラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る凹レンズ面から見たガラスレンズの平面図である。 同、凸レンズ面から見たガラスレンズの平面図である。 同、図13、及び図14のXI−XI線に沿ったガラスレンズの断面図である。
符号の説明
1 ・・・光学素子成形装置
2 ・・・上型(一対の型の一方)
2a ・・・凸状成形面
3 ・・・下型(一対の型の他方)
3a ・・・凹状成形面
15A・・・ガラス素材
15 ・・・ガラスレンズ(光学素子)
15a・・・凹ガラス面(光学面)
15b・・・凸ガラス面(光学面)
O ・・・光軸

Claims (1)

  1. ガラス素材を一対の型により押圧してガラス光学素子を成形するガラス光学素子成形方法において、
    上記ガラス光学素子の設計値に基づいた光学面形状を転写可能な形状に加工された光学成形面を有する上記一対の型を用いて成形した上記ガラス光学素子の一対の上記光学面形状と上記設計値に基づいて決まる上記光学面形状との差を測定する第1の工程と、
    上記測定された差に基づいて、上記一対の一方の型の上記光学成形面を、設計とおりの面形状に修正することなく、光軸と平行な上記光学成形面間の距離を上記設計値に基づいて決まる距離と同じ距離に加工する第2の工程と、
    上記加工された上記一方の型と、上記一対の型の他方の型と伴に上記ガラス光学素子を成する第3の工程と、
    を備えることを特徴とするガラス光学素子成形方法。
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