JP4214117B2 - ガラス光学素子の製造装置及び方法 - Google Patents
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Description
特開平6−9228号(以下、従来技術1という)には、加熱しながら加圧する途中において、圧力を少なくとも一回減圧するか零にして総変形量の略半分を加圧成形した後、冷却中に残りの加圧を行う成形方法が開示されている。
特開平8−325023号(以下、従来技術2という)には、平板状のガラス素材をプレス成形するにあたり、成形面の外周最頂部に溝又は突起を設け、成形面とガラス素材の間に存在する気体を外に逃がす方法が開示されている。
特開平11−236226号(以下、従来技術3という)には、加圧工程において成形室を真空にする方法が開示されている。
特開平8−245224号(以下、従来技術4という)には、加熱軟化したガラス素材を成形する直前に、ガラス素材周囲の空間を減圧し、押圧成形する方法が開示されている。
従来技術1の方法では、加熱しながら圧力を減圧又は開放することで、閉じこめられた気体を常圧にもどしている。しかし、この方法では、空間の形状や体積によっては気体が空間に残留しやすく、すべての気体を排出するには、圧力の増減を繰り返す必要がある。また、プレス温度での離型は、ガラスの融着や成形された光学素子の外観不良を起こすことがある。
しかしながら、上記のようにRM/RLが大きい場合においても、光学性能、外観品質の高いレンズを成形することが要求されている。
また、上型支持部材と点接触可能な突起を上端に設け、当該突起が上型支持部材に当接するとプレス荷重が上下型に伝達されるように上型と上型支持部材の間に介設させたキャップ部材を具備することにより、プレス荷重をかけるときには、上端突起を設けたキャップ部材を介して上型を押圧することにより、偏心精度に優れた光学素子を得ることができる。
ここで、成形型へのガラス素材の配置は、成形型の下型上にガラス素材を配置することをいう。このとき、上型とガラス素材は接触していても、接触していなくてもよい。
また、本発明のガラス光学素子の製造方法では、成形型雰囲気の減圧を、上型又は下型の少なくとも一方の成形面とガラス素材との間に空間が形成された状態で行うことによって、前記空間内のガスを排出することができる。
例えば、下型側に空間が生じる条件の場合には、ガラス素材が下型上に配置された状態で形成された空間から、上記減圧によってガスを排出する。また、上型側に空間が生じる条件の場合には、上型とガラス素材が接した状態で、形成された空間から上記減圧によってガスを排出してもよく、又は、上型とガラス素材が非接触の状態で上記減圧を行ってもよい。
1.0<RM/RL
の関係を満たすような条件の場合に、特に本発明によって有効にガストラップ痕を防止することができる。
図1に示すガラス光学素子の製造装置は、成形型を構成する上型1及び下型2と、これら上下型1,2を保持するスリーブ3を有している。上型1とスリーブ3の上部は上型加熱部材6内に相対移動可能に収納されている。下型2とスリーブの下部は下型加熱部材7内において固定されている。スリーブ3には、スリーブ3の内部における上下型1,2の間及びガラス素材Wと下型2の間に形成された空間Sからのガスをスリーブ3の外部に抜き出すための細孔3aが設けてある。
上型1と上型支持部材8の下面との間には、ばね部材としての圧縮ばね4が配設してあり、さらに、上型1及びスリーブ3の上端面と圧縮ばね4との間には、キャップ部材5が介設してある。
上型1と上型支持部材8の下面との間には、非押圧時に圧縮ばね4が上型1を押圧しないようにするための隙間が設けられている。
また、キャップ部材5は、その下面が上型1及びスリーブ3の上端面と当接可能な幅を有する平面状に加工されており、上端には、上型支持部材8の下面8aと点接触が可能な突起5aが設けてある。
このときの圧縮ばね4による荷重は、プレス荷重より小さな荷重とする。
なお、プレス荷重は、ガラス素材を所望の光学素子の形状に変形させるために必要な荷重であり、使用する硝種や、光学素子の形状により適宜選択する。上記圧縮ばねによる荷重は、このプレス荷重より小さいものであり、ガラス素材がプレスに適した温度に加熱され、あるいは均熱化される前の比較的高粘度状態であっても、型や離型膜を損傷しない程度の荷重である。具体的には、プレス荷重の1/1000〜1/50程度であることが好ましい。圧縮ばね4のばね定数は、ばねの収縮量を位置センサで読み取って制御しやすい距離となるような値とするとよい。
上型1及び下型2によって光学素子に成形されるガラス素材としてのプリフォームWは、本実施形態では球形状となっているが、楕円形、矩形等他の形状であってもかまわない。また、ガラス素材としては、プリフォームのほかガラスコブ等であってもよい。
また、成形室100を真空にするための真空ポンプ104と真空バルブ105が設けられている。成形室100には室内からガスを排気するための排気路16が設けてある。この排気路16は、バルブ105を介して真空ポンプ104に連接されている。
成形室100から排気を行うときは、窒素ガス供給用のバルブ103とリークバルブ106を閉め、排気用のバルブ105を開け、真空ポンプ104を作動させることによって行う。また、成形室100内を窒素ガス雰囲気にするときは排気用バルブ105を閉じ窒素ガス供給用バルブ103を開き、かつリークバルブ106を開くことによって行う。
まず、真空チャンバ101を上方に移動させ、下型2を高周波誘導コイル20より下方に下げた状態で上型1及びスリーブ3を持ち上げる。下型2の成形面上にガラス素材Wを載置し上型1及びスリーブ3をセットする。このとき、下型2の成形面の近軸曲率半径(レンズの近軸曲率半径)RLと、ガラス素材の曲率半径がRM1.0<RM/RLとなっているので、下型2の成形面とガラス素材Wの間に空間Sが形成される。
次に、真空チャンバ101を下げ成形室を密閉空間にする。下型加熱部材7を高周波誘導コイル20に加熱される位置まで上昇させる。このとき、圧縮ばね4の上端は上型支持部材8の下面8aに接触しない位置となっている。この状態で、バルブ操作により成形室100に対する真空引き・窒素導入を3回程度繰り返した後、成形室内が常圧又は陽圧となるようにする。このようにして成形室100内を窒素雰囲気としたところで高周波誘導コイル20に通電し上下型加熱部材6、7を加熱することで上下型1,2、スリーブ3、及び上下型間に配置されたガラス素材Wを加熱する(図2のI)。
また、温度が一定になるまでの任意の間に、バルブ105を開いて成形室100内からガスを吸引する。このときのガラス素材の温度は、プレス成形温度未満、好ましくはガラス転移点以上、プレス成形温度未満とする。
なお、プレス成形温度とは、前述のとおりガラス素材を所望の光学素子の形状に変形させるために適切な温度をいい、使用する硝種や、所望の形状によって決定する。上記ガス吸引はガラス素材がそれより低い温度にあるときに行う。
具体的には、好ましいプレス成形温度とは、106〜108.5dPa・sの粘度に相当する温度範囲内の所定温度であり、ガスを吸引するときの好ましい温度は、ガラス粘度で1011dPa・s相当温度以上、108.5dPa・s相当温度未満である。
成形室100内の真空度は、低ければ低いほど好ましいが、0.04MPa以下程度であれば本発明の効果は十分に得られる。好ましい真空度は10kPa、
より好ましくは1kPa程度以下である。この真空引きによって、空間S内のガスが排出される。
なお、下型2の荷重及び/又は移動量を微調整することによっても、上型に対し、上型1の成形面とガラス素材Wの表面によって密閉される程度の荷重をかけることも可能である。この場合には、圧縮ばね4を省略することができ、また、キャップ部材5を、上型1の上端面と上型支持部材8の下面8aの間に、圧縮ばね4を介することなく配置する。
成形時には、上下型の成形面と、ガラス素材の温度が、108.5〜107.5dPa・sの粘度に相当する温度となっていることが好ましい。このとき、成形室内には、常圧又は陽圧のガスが存在するので、これが媒体となって熱伝導が効率よく行われ、また、熱電対を用いた温度コントロールも安定して行うことができる(以上、図2のII)。
プレス時の下型上昇速度は、0.001〜1mm/secが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.5mm/secである。プレス荷重は50〜300kgf/cm2が適切であり、100〜200kgf/cm2がより好ましい。キャップ部材5の下面が上型1の上端面を押圧しスリーブ3の上端面と当接した(押し切った)ところで(例えば20秒間程度)維持する(図2のIII)。
冷却の際、成形された光学素子は熱収縮するが、このときにスリーブや上下型と熱膨張係数が異なる。これを考慮し、冷却中に上下型の成形面が離れることの無いように、ガラスの熱収縮に上型が追随できるように、上型1のフランジとスリーブ3の段部の間が、押し切り時に接触しないよう、余裕を設けてある。このようにすることで、光学素子のヒケを防止し、良好な面精度を達成する。
また、上記の代替手段として、成形型外でガラス素材を転移点以上、好ましくは1011dPa・s相当温度以上となる温度に加熱し、その後成形型内に供給してもよい。
本実施形態の場合、成形面とガラス素材Wの間に形成される空間Sは下型側であったが、上型側でもよく、両方にあってもよい。成形しようとするレンズ形状とガラス素材の形状の関係で、どちらか一方に空間が生じる場合には、下型側になるように配置することが好ましい。
さらに、前述のとおり、成形室100内を減圧する際の真空度は、低ければ低いほど好ましいが、0.04MPa以下程度であれば本発明の効果は十分に得られる。この場合、プレス成形開始時に、下型の上昇速度を小さくすることによって、空間Sにトラップされたガスを排出することができる。例えば、減圧時に0.04MPaの真空度であって、プレス時の下型の上昇速度を0.5mm/sec以下としたとき、成形された光学素子にガストラップは見られなかった。
本発明で適用されるガラス素材の大きさに制限はない。しかし、重量精度の高い球プリフォームを用いることが好適であり、さらに、溶融ガラスの滴下による熱間成形プリフォームが最も適している。また、このようなプリフォームの体積は、5〜70mm3が好ましい。
1.0<RM/RL の関係であるとき、
好ましくは、1.0 < RM/RL ≦ 1.6の関係、
より好ましくは、1.2 ≦ RM/RL ≦ 1.6の関係
であるときに、効果が顕著である。
また、本発明は、ガラス素材が、球状のときに好適に実施することができるが、扁平球(両凸形状)にも適用することができる。この場合には、光学素子の近軸部分に対応する偏平球の曲率半径をRMとする。
本発明によれば、ガラス素材と成形面の間に空間が生じる条件を避けるために、ガラス素材に特殊な形状加工を施す必要がなく、溶融状態から滴下又は流下したガラスを熱間で成形した、球状又は扁平球状の公知のガラス素材を用いることができる。したがって、生産効率が高く、コスト上も有利である。
レンズの大きさは、外径が5mm以下のものが好ましい。
1<d/f<3 の関係となるような形状であるとき、本発明の効果が顕著である。このようなガラス素材体積とレンズ形状の相関が、ガストラップを生じやすいものになるからである。
例えば、第1面又は第2面の近軸曲率半径がRLであるような曲面を有する光学素子であって、光学素子の体積をVとするとき、
(4/3)π(RM’)3 = V
の関係を満たすRM’が、1.0<RM’/RL の関係であるときには、前記光学素子表面近傍に存在するガストラップ痕が直径200μm以下のガラス光学素子を製造することが可能である。
ここで、光学素子表面近傍のガストラップ痕とは、素子表面下に気泡が見られるもの、及び表面上に凹みとして見られるものをも含む。特に、1.0<RM’/RL<1.6のとき、効果が顕著である。
また、光学素子としては、成形後に芯取り工程を必要としない芯取りレスレンズが好ましい。このようにすると、レンズ体積と等しい体積のプリフォームを使用でき、また、工程を増やさなくてすむからである。
特に、前記ガラス光学素子は、いずれかの光学機能面(好ましくは第1面)の開口数NAが0.7以上、さらには、0.8以上であるときに、本発明の効果が顕著である。
この非球面レンズは、光ピックアップ装置に用いることができる。具体的には、対物レンズとして用いる単レンズであって、開口数NAが0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、使用波長380〜450nmにおいて、波面収差総合値WFEが0.06λrms以下、より好ましくは0.04λrmsであることができる。このような対物レンズは、高密度の光情報記録媒体の記録/再生用のピックアップ装置に用いることができる。
このようなピックアップ装置としては、例えば、光源と、光源からの光束を光情報記録媒体に集光する対物レンズとを有する光ピックアップ装置において、前記光源の波長が700nm以下、より好ましくは500nm以下であるような装置がある。
図1に示すガラス光学素子製造装置を用いた第1実施例について説明する。
図2には第1実施例におけるプレススケジュールを示す。
本実施例において、ガラス素材Wは球体であり、nd=1.69350 νd=53.20 屈伏点温度560℃ 転移点温度520℃の光学ガラス素材を、φ2.7mmに研磨加工して製造したものである。
このガラス素材Wを、成形面の近軸曲率半径が1.1mmである下型2の成形面上に室温で載せ、次に上型1、スリーブ3をセットした。下型2とガラス素材Wとの間には空間Sが形成され、中心の最大高さは75μmであった。なお、図1では、わかりやすくするため空間の大きさが強調して描写されている。
下型2とガラス素材の接触している部分の径はφ2.2mmである。プレス後のレンズは外径φ3.1mm、肉厚2.0mmである。
成形室100内の成形型にガラス素材Wをセットした後、バルブ103,105,106を操作して成形室100内に対し真空引き・窒素導入を3回繰り返した。その後、成形室100内を窒素雰囲気としたところで高周波誘導コイル20に通電し上下型加熱部材6,7を加熱することで上下型1,2、スリーブ3、ガラス素材Wを加熱した。上下型測温用熱電対12,13で温度をモニターし(実際にはガラス素材温度は、実測している型温度より、若干温度上昇に遅れが出る(図2参照))、1011da・s相当の530℃になったところで成形室100内の真空度が50Pa程度以下になるまで真空引きをした。
その後、下型2を上方に移動させ、圧縮ばね4を1mm縮めることによりガラス素材Wに250gf程度の荷重を作用させた。10秒程度その状態を維持した後、成形室100内に窒素ガスを導入して陽圧にした。次いで、108.0dPa・s相当の温度590℃になったところで、この温度を一定に保ち始めさせた。型温度を一定に保つ均熱化を30秒経た後、下型2を0.03mm/secの速度で上昇させプレスを開始した。プレス荷重は150kgfとした。押し切ったところで20秒間維持した。その後、90℃/minの徐冷速度で冷却し、転移点温度以下の500℃で荷重を解放し、急冷を開始した。冷却後、下型2を高周波誘導コイル20より下方に下げ、窒素導入を停止し真空チャンバ101を上方に移動させ、上型1及びスリーブ3取り除きプレスされた光学素子(レンズ)を取り出した。
比較のため、真空引き中における圧縮ばね4による弱い荷重を、プレス時と同様の荷重にしたところ、ガラス素材Wは粉々に破壊され、下型2のSiCからなる型材も破損した。
また、従来技術にあるように、ガラス素材Wを均熱化して成形温度に達した後に成形室100内を真空にし、その後プレスした結果、得られた光学素子には、ガストラップ痕があった。これは、均熱化によりガラス素材の粘度が下がり、弱い荷重でも変形する粘度となっているため、ガラス素材Wが下型成形面に密着し、成形室100内を真空にしても、空間Sからガスが排出されなかったためである。
さらに、圧縮ばねによる弱い荷重を作用させないで上記成形プロセスを実行したところ、ガストラップ痕がレンズに発生した。これは、真空引き後における、窒素ガスの再導入時に、空間Sに窒素ガスが入り込んだためである。
また、さらに、成形室を真空にしたまま加熱してプレスしたところ、温度制御している熱電対が成形温度になった後、均熱時間を設けプレスを行ったが、ガラス素材の加熱が十分に行われずガラス素材が割れ、型が破損した。
また、真空引き中の弱い荷重は、ガラス素材と型の接触径がφ2.2mmの場合、50gf以上であることが好ましく、これ以下ではガストラップ痕が発生することがある。真空引き後窒素ガスを導入してからの均熱時間は10秒以上あればよいが、好ましくは30秒以上である。
図3に示すガラス光学素子の製造装置を用いた本発明の第2実施例について説明する。
図3は、装置の型周辺部の縦断面図である。図4は本第2実施例におけるプレススケジュールを示す。
ガラス素材の硝種、レンズ及び型形状は第1実施例と同じ構成とした。
本実施例においては、成形室100は、プレス室チャンバ101aと、加熱炉チャンバ101b及び冷却炉チャンバ101cを有しており、成形型は、成形室内を図3において左から右へ、図示しないレールあるいは回転テーブルなどによって移動する構成となっている。成形室100の各チャンバ101a〜101cは、真空ポンプ104によりいったん真空引きされ、バルブ105a,105b,105cを閉じた後窒素ガス導入バルブ103a,103b,103cを開いて窒素ガスに置換することができる構成となっている。加熱炉チャンバ101b、プレス室チャンバ101a及び冷却炉チャンバ101cは図示しない抵抗加熱ヒータにより一定温度に設定されている。
図示しない型分解組み立てユニットにより下型2にガラス素材Wを置く。次いで、上型1をスリーブ3に挿入したものを型支持台17に設置し、図示しない予備室チャンバに投入し真空引きを行った後窒素ガスを導入してガス置換を行った。窒素ガス置換終了後シャッター112を開け加熱炉チャンバ101bに型支持台17ごと移動させる。加熱炉チャンバ101bの第一加熱炉は700℃に設定されていて100秒後に第二加熱炉に移動する。第二加熱炉は630℃に設定されており、ここで100秒間加熱されたところで、型支持台17は108.5dPa・s相当の温度580℃まで加熱される。次にシャッター113を開け型支持台17ごと640℃に設定されたプレス室チャンバ101aに移動させ、シャッター113を閉じる。このとき、シャッター114も閉じておく。次に、バルブ105bを開けプレス室チャンバ101a内を50Pa程度の真空度にする。これにより、下型2の空間Sからガスが排出される。
以上のようなプロセスにより製造された光学素子の外観を観察したところ、ガストラップ痕は全く見られず完全に型を転写していた。また、レンズの性能として収差を測定したところ405nmの測定波長でトータル波面収差0.02〜0.03λrmsを満足していた。
なお、真空引きを開始する温度は、第1実施例のように上記条件より低い温度でもよいが、このようにするとサイクルタイムが長くなる。
以上のように、第2実施例においても、第1実施例と同様ガストラップ痕のない外観性能の良好な光学素子を得ることができる。また、成形型を各炉に一型ずつ位置するようにセットすれば、成形サイクルタイム100秒以下で光学素子を製造することができる。また、各炉に型を多数セットできるようにしプレスヘッドもそれに合わせた本数とすることにより量産化も可能となり、低コスト生産が実現できる。
2 下型
3 スリーブ
4 圧縮ばね(ばね部材)
5 キャップ部材
W ガラス素材
S 空間
Claims (9)
- 少なくともいずれか一方が上下動可能な上型と下型を有する成形型を備え、前記上型と下型の成形面の少なくともいずれか一方との間に気体が残留するような空間が形成されるガラス素材をプレス成形するガラス光学素子の製造装置であって、
前記ガラス素材のプレス成形を開始する前に、前記上型と上型支持部材の間に配設されたばね部材が押されて縮むことにより、前記上型を介して前記ガラス素材に前記プレス成形の荷重よりも小さい荷重をかけて前記空間を密閉する押圧手段と、
前記上型支持部材と点接触可能な突起を上端に設け、前記突起が前記上型支持部材に当接するとプレス荷重が前記上下型に伝達されるように前記上型と前記上型支持部材の間に介設させたキャップ部材と、
前記成形型を密閉する真空チャンバと、
前記成形型を加熱する加熱手段と、
前記真空チャンバからガスを吸引する吸引手段と、
前記チャンバ内に雰囲気ガスを供給するガス供給手段と、
を具備したことを特徴とするガラス光学素子の製造装置。 - 前記プレス成形の荷重よりも小さい荷重が、前記プレス成形の荷重の1/1000〜1/50である請求項1に記載のガラス光学素子の製造装置。
- 少なくともいずれか一方が上下動可能な上型及び下型を有する成形型を用い、前記上型と下型の成形面の少なくともいずれか一方との間に気体が残留するような空間が形成されるガラス素材を加熱し、プレス成形することによりガラス光学素子を製造する方法であって、
前記ガラス素材を上型及び下型と接する状態にしたとき、上型又は下型の少なくとも一方の成形面とガラス素材との間に前記空間が形成される前記成形型内にガラス素材を配置する工程と、
前記ガラス素材がプレス成形温度まで加熱される前に、成形型雰囲気を減圧する工程と、
前記ガラス素材のプレス成形を開始する前に、前記ガラス素材と上型又は下型が接した状態で、前記上型と上型支持部材の間に配設されたばね部材が押されて縮むことにより、前記上型を介して前記ガラス素材にプレス荷重よりも小さい荷重をかけて、上型又は下型の少なくとも一方の成形面とガラス素材との間に生じた前記空間を密閉する工程と、
成形型雰囲気にガスを導入し、ガラス素材をガス雰囲気下で加熱又は均熱化する工程と、
前記上型支持部材と点接触可能な突起を上端に設けたキャップ部材を前記上型と前記上型支持部材の間に介設させ、前記突起が前記上型支持部材に当接すると、ガラス素材にプレス荷重をかけて、プレス成形する工程と、
を有することを特徴とするガラス光学素子の製造方法。 - 前記プレス成形の荷重よりも小さい荷重が、前記プレス成形の荷重の1/1000〜1/50である請求項3に記載のガラス光学素子の製造方法。
- 前記成形型雰囲気の減圧工程が、上型又は下型の少なくとも一方の成形面とガラス素材との間に前記空間が形成された状態で、前記空間内のガスを排出する工程である請求項3又は4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 上記減圧工程の前に、ガラスと型を前記成形温度未満の所定温度まで加熱する工程を有する請求項3〜5のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
- 前記空間を密閉する工程において、成形型によってガラス素材にプレス荷重より小さな荷重をかけることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のガラス光学素子の製造方法。
- 前記プレス成形温度が、ガラス粘度で106dPa・s以上、108.5dPa・s未満である請求項3〜7のいずれか一項に記載のガラス光学素子の製造方法。
- ガラス光学素子のいずれか一方の面の近軸曲率半径RLと、ガラス素材の曲率半径RMが、
1.0<RM/RL
の関係を満たす請求項3〜8のいずれか一項に記載のガラス光学素子の製造方法。
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