JP3587499B2 - ガラス成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプレス成形後において研削や研磨を必要としない、高精度のレンズ等のガラス光学素子を含むガラス成形体の製造方法に関する。特に本発明は、より高い面精度を有するガラス成形体を高い生産効率で製造する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟化ガラスが融着せず、鏡面加工が可能な型材料を精密加工した成形型を用い、プレス成形後において研削や研磨を必要としない、高精度のレンズ等のガラス光学素子の成形方法が近年種々開発されてきた。プレス成形により、要求されるレンズを得るには表面形状精度や表面の品質(滑らかな面粗度)とともに、肉厚、外径、偏心等のスペックを満足させなければならない。屈折率や透過率等の内部品質が良好であることは勿論である。
【0003】
さらに、このようなガラス光学素子の成形方法を実用化するに当たっては、どの程度の生産性が得られるかが大きな問題となっている。即ち、より短い時間でより多くのガラス光学素子を生産できるかが、大きな課題である。
生産性を向上させる手段の1つは、複数のガラス素材を並行して加工することであり、もう1つは1回の加工時間を短縮することである。それぞれについて種々の改良方法が提案されている。1回の加工時間の短縮には、成形型の加熱冷却のサイクルをより短縮する必要があり、そのため、成形条件の内の成形時のガラス素材と成形型の温度条件を種々工夫している。
【0004】
例えば、特開平7−10556号公報(以下先行技術1という)には、10〜10ポアズの範囲の粘度を有するガラス素材をこのガラス素材が1010〜1012ポアズの粘度を示す温度の成形型で加圧成形する方法が記載されている。また、特開平9−12317号公報(以下先行技術2という)には105.5 〜10ポアズの範囲の粘度を有するガラス素材をこのガラス素材が10〜1012ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、成形型の温度はガラス素材の温度より低い)で加圧成形する方法が記載されている。
何れの方法も成形型の温度を不必要に高くしないことで、昇温及び降温に要する時間を短縮してサイクルタイムを短縮している。
さらに、いずれの方法でも、成形型の成形面の劣化防止のため、成形型以外の場所で加熱軟化したガラス素材を成形前に成形型に移送し、成形している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガラス光学素子の成形方法においては、上記のようにサイクルタイムの短縮や成形型の劣化防止といった生産技術的な要求の他に、成形品の性能に対する要求もある。即ち、ニーズに合致した、光学的に優れた性質を有する光学素子を提供する必要もある。
ガラス光学素子に要求される面精度は、ガラス光学素子の用途等により異なるが、通常の用途では、面精度の尺度であるニュートンは±4本以内、好ましくは±2本以内であり、アスについては、1本以内、好ましくは0.5本以内であることが必要である。
上記先行技術1の実施例に記載の方法について、成形されたガラス光学素子について面精度を測定した。即ち、加圧成形後、ガラス転移点以下まで冷却せずに成形体を離型する場合(先行技術1の表2の条件)、ニュートンは4〜6本であり、クセは1〜2本と上記規格を満足できないものであった。また、先行技術2の場合、ニュートンは±2〜4本であったが、アスは1〜1.5本と上記規格を満足できないものであった。
また、同一の成形条件であっても、被成形ガラス素材の大きさや目的とする成形体の形状等により得られる面精度が異なる場合があった。特に、外径が15mm以上の比較的大型のガラス光学素子を成形する場合、所望の面精度が得られないことが多かった。
そこで本発明の目的は、面精度のより優れたガラス光学素子の成形方法を提供することにあり、より詳しくは、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内であるガラス光学素子の成形方法を提供することにある。
特に、本発明の目的は、比較的大型のガラス光学素子であっても、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内という高い面精度が得られるガラス光学素子の成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで第1の態様(参考例に属する)は、105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方法であって、前記初期加圧完了からガラス転移点以下までの降温の間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴とするガラス成形体の製造方法に関する。
【0007】
第2の態様(本発明)は、105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方法であって、前記初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して10〜200kg/cm2 の範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴とするガラス成形体の製造方法に関する。
【0008】
第3の態様(本発明)は、105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方法であって、前記初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続け、次いで成形ガラスに対して10〜200kg/cm2 の範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴とするガラス成形体の製造方法に関する。
【0009】
上記本発明の第2及び第3の態様のガラス成形体の製造方法によれば、例えば、φ20mm以下の両凸レンズやメニスカスレンズに加えて、φ20mmを超える大型の凸レンズ、両凹レンズ、肉厚とコバ厚の差の大きいレンズについても、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内という高い面精度が得られる。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下本発明について説明する。
本発明は、第2及び第3の態様ともに、105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方法である。
【0011】
被成形ガラス素材を構成するガラスの種類及び形状等は、従来から公知のものである。ガラス素材は、例えば、ガラスプリフォームやガラスゴブであることができる。ガラスプリフォームとは、ガラス光学素子を成形する際に前駆体として用いる所定形状に成形した成形品をいう。ガラスプリフォームは、冷間成形又は溶融ガラスを熱間成形により成形したもの、さらには、これらを鏡面研磨等したものであることかできる。さらに表面は鏡面でなく粗面であることもでき、例えば#800のダイヤモンドで研削した研削品をガラスプリフォームとして用いることもできる。
【0012】
ガラスプリフォームの形状は、製品であるガラス光学素子の大きさ及び容量、成形時の変化量等を考慮して決定される。さらに、成形の際、ガストラップが生じないようにするため、成形品の中心がプリフォームの被成形面と最初に接触するような形状とすることが好ましい。ガラスプリフォームの形状は、例えば、球状、マーブル状、円板状、球面状等であることができる。
一方、ガラスゴブは、溶融ガラスを所定容量に分割したガラス片であって、通常シワなどの不規則な形状を有するものである。前記ガラスプリフォームは、このガラスゴブをさらに所定形状に成形したものである。
尚、プリフォーム又はゴブの容量は最終製品の容量よりわずかに大きくし、後工程で芯取りすることにより、最終外径を決めることもできる。
【0013】
本発明の成形方法では、前記ガラス素材を該ガラス素材の粘度が105.5 〜10ポアズの範囲の粘度に相当する温度に加熱して軟化させる。ガラス素材の粘度が10ポアズ以下であることで、10〜1010.5ポアズの粘度に相当する温度に予熱した成形型でガラス素材を十分に変形させて成形することが可能である。また、ガラス素材の粘度が105.5 ポアズ以上であることで、成形前にガラス素材が自重により大きく変形することを防ぐことができる。成形型の温度を比較的低温にして安定して、良好な成形を行うには、ガラス素材は、好ましくは106.5 〜107.6 ポアズに相当する温度に加熱して軟化させることが適当である。
成形型の予熱の温度は、前記ガラス素材の粘度が10〜1010.5ポアズに相当する温度とする。粘度が1010.5ポアズに相当する温度未満では、ガラス素材を大きく伸ばして、コバ厚の薄いガラス成形体を得ることが難しくなり、また、高面精度が得にくく、粘度が10ポアズに相当する温度を超える温度では、成形のサイクルタイムが必要以上に長くなり、また、成形型の寿命が短くなる。成形型の予熱の温度は、好ましくは前記ガラス素材の粘度が10〜109.6 ポアズに相当する温度とする。
尚、成形型の温度は被成形ガラス素材の温度より低く設定する。このようにすることで、サイクルタイムを短縮することが可能になり、かつ成形型の寿命を長くすることができる。
【0014】
さらに、初期加圧成形開始時において、上型温度を下型温度より低く設定するすることが、離型時に成形体が上型に貼付くのを防止するという観点から特に好ましい。より具体的には、上型温度を下型温度より5〜20℃低くすることが適当である。
【0015】
本発明に用いる成形型は、従来から公知の成形型をそのまま用いることができる。但し、成形型の成形面が非晶質及び/又は結晶質の、グラファイト及び/又はダイヤモンドの、単一成分層又は混合層からなる炭素膜で構成されているものを用いることが好ましい。上記のような炭素膜で構成されている成形面を有する成形型では、成形型の温度が、ガラス素材のガラス転移点以上であっても、ガラスの融着(固着)が生じることはない。
上記の炭素膜は、スパッタリング法、プラズマCVD法、CVD法、イオンプレーティング法等の手段で成膜されるものである。スパッタリング法で成膜する場合には、基盤温度250〜600℃、RFパワー密度5〜15W/cm、スパッタリング時真空度5×10−4〜5×10−1torrの範囲でスパッタガスとしてArの如き不活性ガスを、スパッタターゲットとしてグラファイトを用いてスパッタリングするのが好ましい。
マイクロ波プラズマCVD法により成膜する場合には、基盤温度650〜1000℃、マイクロ波電力200W〜1kW、ガス圧力10−2〜600torrの条件下に、原料ガスとしてメタンガスと水素ガスを用いて成膜するのが好ましい。
イオンプレーティング法により形成する場合には、基盤温度を200〜450℃とし、ベンゼンガスをイオン化するのが好ましい。
これらの炭素膜はC−H結合を有するものを含む。
【0016】
本発明の成形方法においては、前記加熱軟化したガラス素材を前記予熱した成形型内で初期加圧する。初期加圧の条件は、ガラス素材及び成形型の温度条件やガラス素材の材質等により適宜選択することができる。例えば、加圧時間は2〜60秒間の範囲とすることができる。2秒以上とすることでガラスを十分に伸ばして所望の形状のガラス光学素子を得ることができる。また、初期加圧は、長くなればそれだけ面精度等は向上するが、長すぎるとサイクル時間が短縮できず、また、成形型の寿命にも悪影響を及ぼすことがあり、上限はせいぜい60秒である。また、成形圧力も、ガラス素材の温度及び成形型の温度等を考慮して適宜決定することができ、通常30〜350kg/cmの範囲の圧力とすることが適当である。好ましくは50〜250kg/cmの範囲の圧力とし、かつ被成形ガラス素材が最終製品の肉厚より若干厚い所定の肉厚の成形ガラスになった時点で初期加圧を完了することが、最終製品の肉厚バラツキを小さくするという観点から好ましい。
【0017】
前記初期加圧開始と同時に、または前記初期加圧の途中で、または前記初期加圧の終了後に、前記成形型の成形面近傍を冷却して、ガラス素材の転移点以下に降温させる。成形型の成形面近傍の冷却は、早めに開始することでサイクルタイムを短縮できるが、ガラス成形体の大きさや形状によっては冷却の開始を遅らせることで面精度を高くすることも可能である。冷却の開始は、初期加圧開始後0〜20秒後、好ましくは5〜20秒後とすることが適当である。降温の速度は、サイクルタイムと成形ガラスの品質とに考慮して適宜決定でき、例えば、20℃/分以上の速度で冷却することが適当である。冷却速度を20℃/分より遅くしてもかまわないが、不必要に成形のサイクルタイムが長くなるだけである。ガラス成形体の大きさ、形状によって異なるが、高面精度を得るという観点から、成形面近傍は20〜180℃/分の速度で冷却することが好ましい。
【0019】
また、本発明の第2の態様においては、初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して10〜200kg/cmの範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け(中間加圧)、次いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cmの圧力を加え続ける(最終加圧)。面精度をより高めるという観点から、初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度までの中間圧力は、好ましくは30kg/cm以上であり、100kg/cm以下である。また、ガラス転移点以下までの最終圧力は、好ましくは0.003kg/cm以上であり、0.2kg/cm以下である。
このとき、最終加圧を開始する時点、すなわち中間加圧を終了した時点で、ガラスの粘度は、107.6 ポアズ以上であることが好ましい。かかる粘度で初期加圧を終了することにより、中間加圧によって最終製品に略近い形状にし、次いで行う最終加圧によってその面精度を維持又は向上させることができる。
【0020】
さらに、本発明の第3の態様においては、初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cmの圧力を加え続ける(中間加圧(1))、次いで成形ガラスに対して10〜200kg/cmの範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け(中間加圧(2))、次いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cmの圧力を加え続ける(最終加圧)。面精度をより高めるという観点から、中間加圧(1)は、好ましくは0.003kg/cm以上であり、0.2kg/cm以下であり、中間加圧(2)は、好ましくは30kg/cm以上であり、100kg/cm以下である。また、最終圧力は、好ましくは0.003kg/cm以上であり、0.2kg/cm以下である。
このとき、最終加圧を開始する時点、すなわち中間加圧を終了した時点で、ガラスの粘度は、107.6 ポアズ以上であることが好ましい。かかる粘度で初期加圧を終了することにより、中間加圧によって最終製品に略近い形状にし、次いで行う最終加圧によってその面精度を維持又は向上させることができる。
【0021】
上記条件で中間加圧をしながら成形面近傍を冷却することで、ひけや面形状に歪みが生じることなく良好な面精度が得られ、かつ中心肉厚も許容公差内に保てるばかりでなく、所望の面精度を有するガラス成形体を得ることができる。尚、成形ガラスに対する0.001 〜0.5kg/cm2 の中間加圧()及び最終圧力は、成形型の上型の自重により与えることができ、成形型の上型の重量は、この点を考慮して決定することが好ましい。さらに、上記0.001 〜0.5kg/cm2 の最終加圧は、ガラス転移点以下でガラスがガラス転移点より50℃低い温度以上の温度まで行うことが、良好な精度が得られると同時にサイクルタイムを長引かせることもないという観点から好ましい。
【0022】
上記本発明の第2及び第3の態様の条件によれば、比較的大型のガラス成形体(直径が約20〜30mm)であっても、容易に、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内である面精度を有する成形体が得られる。比較的大型のガラス成形体としては、例えば、直径20mmを超える凸レンズ、両凹レンズ、肉厚とコバ厚の差が大きいレンズを挙げることができる。
【0023】
本発明の第2の態様及び第3の態様においては、加熱軟化したガラス素材の中心肉厚を、最終製品の中心肉厚より0.03mm小さく、0.15mm大きい範囲内になるように初期加圧し、次いで中間加圧することが、最終製品の中心肉厚の許容公差内に保つという観点から好ましい。即ち、中間加圧においては一気に減圧され、かつ、ガラスは高粘度(約107.6 ポアズ以上) となっているため、中心肉厚を0.001〜0.12mm程度しか加圧変形させることができないので、最終的な中心肉厚を公差±0.03mmの範囲に入れることが容易である。
【0024】
上記初期加圧及び中間加圧は、加熱軟化したガラス素材の初期加圧を、最終製品の中心肉厚より0.03mm小さく、0.15mm大きい範囲内の所望の中心肉厚になるように加圧が停止する手段により停止し、さらに初期加圧停止前又は停止と同時に中間加圧を開始することにより行う。これにより、最終製品の中心肉厚が得られ、かつ、初期加圧と中間加圧の間で、加圧が連続して行われるため、面精度が損なわれることがなく、好ましい。外部ストッパー機構等により所望の中心肉厚を得て、さらに中間加圧する場合は、加圧が一瞬間断するため、良好な面精度が得にくい傾向がある。上記初期加圧及び中間加圧は、2重シリンダー機構により行うこともできる。本発明において、初期加圧は、成形型に加えられる圧力であり、外部ストッパー機構等により停止するまでの間、この圧力がガラス素材に加えられる。また、中間加圧及び最終加圧は、加圧の間、上記所定の圧力がガラス素材に加えられる。
【0025】
上記のように加圧成形され、次いで冷却されたガラス成形品は、成形面近傍の温度が前記ガラス素材の粘度がガラス転移温度以下になった後に成形型から離型される。ガラス転移温度以下になれば、短時間ではガラスの粘性流動が起こることがなく、ほぼガラスは固結したとみなしてよい。その結果、離型後にガラス成形体に変形等が生じることがなく、良好な面精度が得られる。ガラス成形体の離型は、最終加圧を終了後、直ちに行うことが好ましい。前述のように、0.001 〜0.5kg/cmの最終加圧は、ガラス転移点以下でガラス転移点より50℃低い温度以上の温度まで行うことが好ましいことから、ガラス成形体の離型も上記温度範囲で行うことが適当である。
【0026】
ガラス成形体の離型は、成形ガラスをガラス転移点以下に降温した後、成形ガラスを上型から離型し、次いで下型上から取り出すことが好ましい。これは、下型から離型すると上型に付着した成形ガラスが上型と下型が離れた後に落下して、ガラス成形体の破損や装置停止の原因となるからである。
さらに、成形ガラスを成形型から取り出す時点において上型温度を下型温度より低く設定することが、成形ガラスの上型への貼付きを防止するという観点から好ましい。より具体的には、上型温度を下型温度より5〜20℃低く設定することが適当である。
【0027】
本発明の成形方法に用いる成形型には、特に制限はない。さらに、型の加熱には、抵抗加熱ヒーター、高周波加熱ヒーター、赤外線ランプヒーター等を用いることもできる。特に、成形型温度の回復時間が短いという観点からは、高周波加熱ヒーター、赤外線ランプヒーターが好ましい。さらに、成形型の冷却は、断電冷却や成形型内部を流通する冷却ガス等により行うことができる。
【0028】
本発明の成形方法には例えば、図2に示すような成形型1を用いることができる。図中、成形型1 は上型2 、下型3 、スリーブ4 、上母型5 、6 、下母型7 、8 、上型の下降止めリング9 とバネ10、並びに第2加圧(中間加圧)用押棒11で構成されている。成形型の上型、下型、スリーブとしては、例えば、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、酸化アルミニウムや炭化チタンのサーメットや、これらの表面にダイヤモンド、耐熱金属、貴金属合金、炭化物、窒化物、硼化物、酸化物などのセラミックスなどを被覆したものを使用することができる。特に、炭化ケイ素焼結体上にCVD法により炭化ケイ素膜を形成して、仕上がり形状に加工した後、イオンプレーティング法等によりi−カーボン膜等の非晶質及び/又は結晶質のグラファイト及び/又はダイヤモンドの単一成分層又は混合層からなる炭素膜を形成したものが好ましい。その理由は、成形型温度を比較的高温にして成形しても、融着が起こらないこと及び、離型性がよいため比較的高温で容易に離型できることによる。上下の母型およびリングは例えば、金属製であり、またバネはセラミックス製であることができる。さらに、成形型1は、高周波コイルを配置したプレス装置内に取り付けられ、成形が行われる。
【0029】
本発明の成形方法の温度と加圧条件を、本発明の第2の態様を例に、上記 図2に示す成形装置を用いた場合について、図4を参照してさらに説明する。尚、図4中、左の縦軸は温度、右の縦軸は圧力、横軸は時間を示す。
(i)ガラス素材の温度は、このガラス素材の粘度が105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度に相当する温度(好ましくは106.5 〜107.6 ポアズに相当する温度)である。
(ii)成形型の予熱の温度は、前記ガラス素材の粘度が108 〜1010.5ポアズに相当する温度(好ましくは前記ガラス素材の粘度が108 〜109.6 ポアズに相当する温度)である。
(iii)初期加圧P1開始が開始される。30〜350kg/cm2 、好ましくは50〜250kg/cm2 の範囲の圧力とする。初期加圧は、図に示す成形型において上母型5、6に対して、下母型7、8を上昇させることにより行う。ガラス素材は粘性体であるため、加圧され延びる間は実際には上記圧力が掛かる訳ではなく、上記圧力は、設定圧力を延びたレンズの断面積で除した値である。初期加圧時間は、成形ガラスが所定の肉厚になって上母型5と下母型7とが当接するまでの時間(約2〜60秒間)である。上母型5と下母型7とが当接した後は、ガラスには初期加圧は加わらない。
(iv)成形型の温度は、初期加圧開始後0〜20秒間、好ましくは5〜20秒間は保持され、その後冷却が始まる。冷却速度は20〜180℃/分( 高面精度を得るという観点から)。
(v)中間加圧P2が、例えば、初期加圧開始後5〜20秒後に開始される。中間加圧は、初期加圧終了前に開始される場合もあり、この場合、ガラス素材にはP1+P2の圧力が加えられる。但し、P1+P2の圧力は、初期加圧と同様の30〜350kg/cm2 、好ましくは50〜250kg/cm2 の範囲の圧力とする。
(vi)中間加圧P2は、10〜200kg/cm2 (好ましくは10kg/cm2〜150kg/cm2 )の範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力とする。尚、中間加圧P2は、途中で 図4に示すように低減することもできる。
(vii)最終加圧P3の開始。ガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度とする。
(viii)最終加圧P3は、0.001 〜0.5kg/cm2 (好ましくは0.003kg/cm2 〜0.2kg/cm2)の範囲である。
(ix)離型温度は、ガラス転移点以下でガラス転移点より50℃低い温度以上の温度である。
【0030】
さらに本発明の成形方法の温度と加圧条件を、本発明の第3の態様を例に、上記 図2に示す成形装置を用いた場合について、図5を参照してさらに説明する。尚、図5中、左の縦軸は温度、右の縦軸は圧力、横軸は時間を示す。(i)(iv)は、上記第2の態様と同様である。
(v)中間加圧(1)P2(1)が、例えば、初期加圧開始後5〜20秒後に開始される。
(vi)中間加圧(1)P2(1)は、0.001 〜0.5kg/cm2 (好ましくは0.003kg/cm2〜0.2kg/cm2 )の範囲である。中間加圧(1)P2(1)は、例えば、5〜120秒行う。次いで、中間加圧(2)P2(2)を行う。中間加圧(2)P2(2)は、10〜200kg/cm2 (好ましくは10kg/cm2〜150kg/cm2 )の範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力とする。尚、中間加圧(2)P2(2)は、図4で示したと同様に途中で低減することもできる。
(vii)最終加圧P3の開始。ガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度とする。
(viii)最終加圧P3は、0.001 〜0.5kg/cm2 (好ましくは0.003kg/cm2 〜0.2kg/cm2)の範囲である。
(ix)離型温度は、ガラス転移点以下でガラス転移点より50℃低い温度以上の温度である。
【0031】
本発明の成形方法において、前記ガラス素材の加熱軟化は、該ガラス素材体を気流により浮上させながら行うことができ、加熱軟化したガラス素材は前記予熱した成形型に移送される。
ガラス素材が、その自重によって変形する程の低粘性域においては、加熱の際にガラス素材を保持する治具とガラスの融着を防止するのは非常に困難である。それに対して、治具の内部よりガスを噴出することにより、ガラス素材を気流により浮上させることで、治具面とガラス両面にガスのレイヤーを形成し、その結果、治具とガラスが反応することなく、加熱軟化することが可能である。更にガラス素材がプリフォームの場合、プリフォームの形状を維持しつつ加熱軟化することができる。また、ガラス素材がガラスゴブであり、不規則な形状で表面にシワ等の表面欠陥がある場合でも、加熱軟化しながら気流により浮上させることで、形状を整え、表面欠陥を消去することも可能である。
【0032】
ガラス素材の浮上や加熱軟化したガラス素材の予熱した成形型への移送は、例えば、特開平8−133758号に記載の方法で行うことができる。ガラス素材の加熱は、常温から所定温度に加熱する場合、ある程度の温度のガラス素材を用いさらに加熱する場合、さらに所定温度に既に加熱されているガラス素材を用いる場合を含む。例えば、ガラス素材がガラスゴブの場合、溶融ガラスから作製されたガラスゴブを冷却することなく用いることもできる。
本発明の成形方法によれば、面精度の優れた種々のガラス成形体を製造することができる。特に、本発明ではガラス成形体としてガラス光学素子、例えば、ガラスレンズ、プリズム等を挙げることができる。ガラスレンズの種類には制限はなく、例えば、球面または非球面の凸レンズ、メニスカスレンズ等を挙げることができるが、これらに限られない。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、プレス成形に要するサイクル時間を大幅に短縮できる、加熱軟化したガラスプリフォーム等のガラス素材を予熱した成形型で押圧成形することによりガラス光学素子を形成する方法であって、面精度のより優れたガラス光学素子を成形する方法を提供することができる。特に本発明の方法によれば、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内であるガラス光学素子を提供することができる。具体的には、本発明の第1の態様のガラス成形体の製造方法によれば、例えば、φ20mm以下の両凸レンズやメニスカスレンズについて、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内という高い面精度が得られる。さらに、本発明の第2及び第3の態様のガラス成形体の製造方法によれば、例えば、上記小型のレンズに加えて、φ20mmを超える大型の凸レンズ、両凹レンズ、肉圧とコバ厚の差の大きいレンズについても、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内という高い面精度が得られる。
【0034】
【実施例】
実施例を説明するに先立ち、使用したバリウムホウケイ酸ガラス(歪点478 ℃、転移点514 ℃、屈伏点545 ℃)の温度と粘度の関係を表1に示す。温度はガラスの種類によって変わるので、粘度が重要である。
【0035】
【表1】
680℃ 105.8 ポアズ
643 106.6
618 107.3
615 107.4
596 108.0
590 108.2
578 108.7
567 109.2
558 109.7
549 1010.2
543 1010.7
531 1011.7
【0036】
参考例
参考例で使用した成形型を図1に示す。成形型1 は上型2 、下型3 、スリーブ4 、上母型5 、6 、下母型7 、8 、上型の下降止めリング9 とバネ10で構成されている。上型、下型、スリーブは炭化ケイ素からなり、上下型の成形面には炭素系の薄膜を被覆した。上下の母型およびリングは金属製で、バネはセラミックス製である。
【0037】
バリウムホウケイ酸ガラス(転移点514 ℃、屈伏点545 ℃)をプレス外径15mmのメニスカス形状のレンズ(凸面が球面、凹面が非球面)に成形した例を図3により説明する。
マーブル形状に熱間成形された表面欠陥のないプリフォームを643℃(ガラス粘度が106.6 ポアズに相当する温度)に予熱し、成形室の下方にて約567℃(ガラス粘度が109.2 ポアズに相当する温度)の下型上に不図示の吸着パッドで移送する(図3a)。直ちに、下型を上昇させて100Kg/cmの圧力でプレスを開始する。図3cはプレスを開始したところ、図3dはプレス途中、図3eは押し切ったところを示す。このとき、上母型と下母型がぶつかり、レンズの中心肉厚が決まる。バネの力により下がっていたスリーブは押し上げられ、図3eの状態になる。このときプレス品の外径は上型成形面の外径よりわずかに大きくプレスされ、スリーブの構造は図のようであるからスリーブには当たらない。スリーブは上型および下型と狭いクリアランスで嵌合し、滑動することによりレンズの上下面の軸ずれを防止している。
【0038】
次に、型および成形されたレンズをガラスの転移点以下になるまで70℃/ 分の冷却速度で冷却する。このときガラスの収縮に対して上型が追随し、上型自重(0.005kg/cmの圧力)のみかかった状態で冷却される。すなわち冷却中はレンズの上面と上型の接触が保たれている。このことにより離型後のレンズは良好な面精度が得られる。ここでは500 ℃で下型を下降させて離型した。その様子を図3f、図3gに示す。下型をわずかに下降した瞬間においてはメニスカス形状であるため下型からは離型しやすく上型に貼り付く(図3f)。下型の下降と同時にバネの力によりスリーブが下降し、プレス品の上面端部にスリーブの段部が当たり、レンズを下に押す。このとき上型はわずかに下降するがホルダーに上型フランジ部の下面がぶつかることによりそれ以上の下降が止められる。その結果レンズは上面から離型し、下型上に落ちる(図3g)。下型を成形室の下まで下降させ、不図示の吸着パッドでレンズを取り出す。取り出したレンズは必要に応じ、その後アニールする場合もある。得られたレンズは高面精度で、表面品質も良好で、心取り後の偏心も良好だった。面精度を表2に示す。
【0039】
球状および最終製品の形状に近似した形状に研磨したプリフォームを用い、プレス開始温度のみ、ガラス粘度がそれぞれ106.3 ポアズおよび107.3 ポアズに相当する温度とし、成形条件を一部変更し、他の条件は上記と同様にしてプレスした結果、それぞれ良好な結果が得られた。成形条件及び結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0003587499
【0041】
実施例
プレス外径が30mmで、型が少し大きくなっていることと上母型の上部の中央に第2加圧を行うための穴があけられ、穴に上母型と同一材料の第2加圧用押棒11が配置されている以外は参考例の図1に示すと型構造と同一である(図2)。本実施例ではプリフォームと成形型は別々に加熱する。プリフォームは下部からガスを噴出する割型式浮上皿上で浮上させて加熱軟化する(特開平8−133758号に記載の方法に従った)。浮上皿を下型の直上に移送し、左右に素早く開き、軟化したプリフォームを所定温度になった下型上に落下させた。直ちに下型を成形室に上昇させ、所定温度になった上型とで150Kg/cm2 の圧力でプレスした。上下の母型がぶつかったら直ちに30℃/ 分の冷却速度で冷却を開始し、中心部を押し棒で押すことにより、低圧(40Kg/cm2)で第2の加圧を行った。冷却中ガラスの粘度が109.5 から1012ポアズの間で第2加圧を解除して、ガラスにかかる圧力は上型自重(0.007Kg/cm2 )のみとし、ガラスの転移点以下まで冷却し、その後は参考例と同様にして離型し、取り出した。実施例の成形条件及び物性を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0003587499
【0043】
2と3に用いたプリフォームは参考例と同様、マーブル形状に熱間成形された表面欠陥のないプリフォームである。1は#800のダイヤモンドで研削した球面のプリフォームを用いたが、プリフォームの加熱によって砂目は消え、プレス後の表面品質は2、3と変わらず、良好だった。初期加圧後の第2加圧によるのびは、わずかであるため中心肉厚はスペック内で安定し、冷却の初期の粘度領域においては低圧を維持し、粘弾性領域においては上型自重のみにしてガラスの収縮に上型が追随して接触を保つようにしたことにより、参考例に比べて大きいレンズであるにもかかわらず、高面精度が得られた。尚、プレス開始と同時に冷却を開始しても面精度は得られた。離型については参考例と同様のメカニズムにより、良好だった。得られたレンズはアニールして使用する。離型し、レンズを取り出した後は直ちに型温を回復させ、次の成形を行う。この方法では非常に速いサイクルタイムで連続成形を行うことができる。尚、レンズが大きくなり、要求精度もより高い場合、歪点(本ガラスでは478℃)以下まで降温してから離型した方がよい場合がある。
【0044】
実施例
実施例と同様の方法で上面が平面に近い非球面からなるメニスカスレンズをプレスした。平面に近いとやや上型からの離型性が悪くなり実施例と同一条件では離型温度をやや下げる必要が生じた。離型温度を下げるとサイクルタイムが長くなる。そこで、バネを強くする方法もあるが、ここでは上、下型に温度差をつける方法を併用した。上、下型の平均温度は実施例の表とほぼ同様にし、下型に比べ上型の温度を約10℃低くした。その結果、下型に比べて上型のプレス時の密着性が相対的に劣るようになるため、上型から良好に離型し、下型からも容易に取り出せた。上下の温度差が20℃を超えると面精度が悪化する。また、上下に温度差をつけて、バネを除いた場合は、上型からの離型不良が生じた。
【0045】
実施例
バリウムホウケイ酸ガラス(転移点514 ℃、屈伏点545 ℃)を参考例又は実施例1と同様にマーブル形状に熱間成形された表面欠陥のないプリフォームを用いて、プレス外径15mmの両凸レンズまたはプレス外径22mmの凸メニスカスレンズに成形した。但し、表4(第一の態様(参考例))、表5(第2の態様)及び表6(第3の態様)に示す成形条件とした。その結果、得られたガラス成形体の面精度はいれもニュートン±2本以内、アス0.5本以下で、カンやワレのような欠陥も無かった。
【0046】
【表4】
Figure 0003587499
【0047】
【表5】
Figure 0003587499
【0048】
【表6】
Figure 0003587499

【図面の簡単な説明】
【図1】第1の態様(参考例)の成形方法に使用する成形型の説明図。
【図2】本発明の第2及び第3の態様の成形方法に使用する成形型の説明図。
【図3】図1に示す成形型を利用した成形方法の実施状況の説明図。
【図4】本発明の成形方法(第2の態様)の温度と加圧条件の時系列の説明図。
【図5】本発明の成形方法(第3の態様)の温度と加圧条件の時系列の説明図。

Claims (9)

  1. 105.5〜108ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、
    成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び
    成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方法であって、
    前記初期加圧完了からガラスが109.5〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して10〜200kg/cm2の範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001〜0.5kg/cm2の圧力を加え続けることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 105.5〜108ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、
    成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び
    成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方法であって、
    前記初期加圧完了からガラスが109.5〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して0.001〜0.5kg/cm2の圧力を加え続け、次いで成形ガラスに対して10〜200kg/cm2の範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001〜0.5kg/cm2の圧力を加え続けることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  3. 成形ガラスに対する0.001〜0.5kg/cm2の圧力が成形型の上型の自重により与えられる請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 被成形ガラス素材の初期加圧が、30〜350kg/cm2の圧力で行われ、かつ被成形ガラス素材が所定の肉厚の成形ガラスになった時点で完了する請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. ガラス転移点以下で、ガラス転移点より50℃低い温度以上の温度において、成形ガラスに対して圧力を解除して離型する請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 初期加圧成形開始時において、上型温度を下型温度より低く設定する請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 成形ガラスを成形型から取り出す時点において上型温度を下型温度より低く設定する請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 106.5〜107.6ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材を、この被成形ガラス素材が108〜109.6ポアズの粘度を示す温度の成形型で初期加圧することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. ガラス成形体がガラス光学素子である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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