JP3763552B2 - ガラス被覆層を有するガラスレンズ及びその製造方法 - Google Patents

ガラス被覆層を有するガラスレンズ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ガラス基材の上にこのガラス基材と熱的特性が異なるガラスを積層成形したガラスレンズ及びその製造方法に関する。本発明の製造方法は、例えば、光学ガラス製の非球面レンズの製造方法に適しており、特に、交換レンズなどの撮影レンズとして用いられる、外径が30mm以上の大きな非球面レンズの量産が可能な製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
近年、プレス成形後に研削や研磨を必要としない一発成形による高精度ガラスレンズの製造技術(精密プレス成形技術)が進歩している。研削や研磨を必要としないことから、低コストでの製造が可能である。この技術は非球面レンズの製造に対して特に有効であり、ビデオカメラやレンズシャッターカメラ等の撮影レンズや、光ディスクのピックアップレンズとして非球面レンズが広範に使用されるようになった。これらの撮影レンズやピックアップレンズは径が20mm以下と比較的小さいレンズである。さらに、径が30mm以上の大きいレンズに対しても上記技術を応用して、より低コストで製造されることが望まれている。しかるに、極めて少量生産の場合以外、本格的な量産には至っていない。
【0003】
精密プレス成形技術による成形方法の代表例は、例えば、米国特許第3,833,347 号(以下、先行技術1という)に開示された方法がある。この方法は、特殊な型材料を用い、非酸化性雰囲気で、型にガラス素材をセットして型とガラスをガラスの軟化点近傍に昇温し、型によりガラス素材を加圧し、加圧を維持しながら型温度をガラスの転移点以下まで冷却し、更に冷却して取り出すものである。
先行技術1に記載の方法をレンズ径が30mm以上の大きさのレンズの成形に適用すると以下のような問題がある。即ち、上記のような大きさのレンズは、肉厚も厚くなり、中心肉厚とコバ厚の差が大きくなる。そのため、プレス成形後のガラス転移温度付近でガラスが固化するまでの冷却過程を、レンズ径が20mm以下のレンズと同様の冷却速度で冷却すると、ガラス表面と内部の温度差が大きくなりヒケが生じ、形状精度が得られない。このため、大きいレンズでは非常にゆっくりと冷却する必要がある。その結果、成形のサイクルタイムが極端に長くなり、量産には適しないという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような欠点を解消する目的で、基材ガラスに、この基材ガラスよりガラス転移温度が低いガラスを積層プレスすることにより、上記問題を解決することが提案されている。
例えば、特公平1−42900号公報(以下、先行技術2という)には、「合成光学素子の機能面となる面を有する所定の形状に形成されたガラスからなる第1の光学素子と、前記合成光学素子の他の機能面を形成する面を有する成形用型の間に配置された第2の光学素子を成形するためのガラス素材を、該素材が成形可能であり、かつ前記第1の光学素子が変形されない所定の温度に於いて、前記第1の光学素子と前記成形用型によって加圧し、前記第2の光学素子を成形すると共にこれを前記第1の光学素子に一体化する工程を含むことを特徴とする合成光学素子の製造方法」が開示されている。しかしながら、本発明者らが知る限り、この技術による製品は実用化はされていない。
【0005】
そこで本発明者らは、先行技術2に記載の製造方法を追試して、実用性の確認を行った。先行技術2の実施例では、光学ガラスLaSFO16 (転移温度700 ℃、平均線膨張係数72×10-7/℃)を基材とし、光学ガラスSF14(軟化温度586 ℃、平均線膨張係数82×10-7/℃)の外径10mmの球形素材を外径20mmに570 ℃で押圧成形し、変形しない温度まで3時間かけて徐冷し、更に室温まで冷却している。本発明者らの追試では、サイクルタイムを短縮して量産することを考慮し、変形しない温度まで15分かけて冷却した場合、得られたガラスレンズにクラックが入ってしまい使用できるものではなかった。先行技術2の明細書には、平均線膨張係数の差による収縮歪みのためのクラック(割れ)が入らないように十分ゆっくり冷却することが好ましいと記載されているが、短時間に冷却する場合に発生するクラックをどのように防止するかについては言及がない。従って、先行技術2の記載の方法をサイクルタイムの短縮を必要とする量産にそのまま適用することはできなった。
【0006】
また、特公平1−46453号(以下、先行技術3という)には、「芯ガラスと、少なくとも1種の面形成ガラスとを融着したことを特徴とするモールドレンズ」が開示されている。さらに「芯ガラスの転移温度が、面形成ガラスの転移温度よりも高い」上記モールドレンズ及び「芯ガラスの平均線膨張係数と、面形成ガラスの平均線膨張係数とがほぼ等しい」上記モールドレンズが開示されている。
先行技術3の実施例1では、光学ガラスLaLF3 (転移温度600 ℃、平均線膨張係数82×10-7/℃)を芯ガラス(基材)とし、光学ガラスSF15(軟化温度445 ℃、平均線膨張係数82×10-7/℃)を面形成ガラスとし、実施例2では、光学ガラスLaK9(転移温度625 ℃、平均線膨張係数78×10-7/℃)を芯ガラス(基材)とし、光学ガラスSF 8(軟化温度425 ℃、平均線膨張係数77×10-7/℃)を面形成ガラスとしている。
本発明者らは、先行技術3の方法(芯ガラスの直径:40mm)をガラス転移温度以下の温度まで15分かけて冷却した場合について追試した。その結果、面形成ガラスが0.5mm である場合には、得られたガラスレンズにクラックが入ることなく、外観は良好なレンズが得られた。しかし、面形成ガラスを1.0mm とした場合、得られたガラスレンズにクラックが入った。
【0007】
上記技術と類似したものとして、ガラス製の球面レンズの表面に非球面型でプラスチック層を成形し、紫外線で硬化させて非球面の薄層を設けた複合型非球面レンズがあり、広く使用されている。
しかし、プラスチック薄層を設けた複合型非球面レンズでは、プラスチックの硬化時の収縮が大きいため、レンズ径が大きくなるとガラスとの界面に大きな応力が発生して剥離やカケが生じ易い。また、非球面量(参照球面からのずれ)が大きくなるとヒケが生じて形状精度も得られない。このため非球面量は0.5〜0.7mm程度が限界で、大きいレンズには適しない。
【0008】
そこで本発明の目的は、ガラス基材の上にこのガラス基材と熱的特性が異なるガラスを被覆成形した新規なガラスレンズの製造方法であって、量産化のため冷却時間を短縮した場合にガラス層の膜厚が比較的大きくなりクラックの入り易い大型の非球面レンズ等を、クラックを生じることなく製造することが可能な方法を提供することにある。
さらに本発明の別の目的は、ガラス基材の上にこのガラス基材と熱的特性が異なるガラスを被覆成形した新規なガラスレンズを提供することにある。
本発明者らは、ガラス基材とその上に積層したガラス層との間に生じる歪量と両者の平均線膨張係数の差及びガラス層の厚みとの関係に注目し、大型の非球面レンズの製造において量産化のため冷却時間を短縮した場合でも、クラックが生じることがないレンズの製造方法について検討し本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[ ] ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
前記ガラス層を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8× 10 -7 /℃小さいことを特徴とする製造方法;
[ ] ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
前記ガラスレンズのレンズ径は 20mm 以上であり、
前記ガラス層を構成するガラスとガラス基材を構成するガラスとの平均線膨張係数の差及び前記ガラス層の厚みを、前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下となるように選択することを特徴とする製造方法;
[ ] ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
ガラス層を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8× 10 -7 /℃小さく、
前記ガラス層の厚みを、前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下となるように選択することを特徴とする製造方法;
[ ] ガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も厚い部分で2 mm 以下である [ ] [ ] のいずれかに記載の製造方法;
[ ] ガラス層をガラス基材に融着させて一体化させた後、 10 50 ℃/分の冷却速度で冷却する [ ] [ ] のいずれかに記載の製造方法;
[ ] ガラスレンズが、少なくとも一方の光学機能面が非球面である非球面レンズである [ ] [ ] のいずれかに記載の製造方法;
[ ] ガラス基材は一方の面が球面であり、他方の面が形成しようとする非球面の近似球面であり、前記近似球面上に非球面を有するガラス層を成形する [ ] に記載の製造方法;
[ ] ガラス基材の球面に近似した球面形状のガラス基材保持のための面(以下、ガラス基材保持面という)を有する成形型1とガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型2とを用意し、これらの成形型1及び2内で、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移点より低い温度で軟化したガラス層形成用ガラス片をガラス基材に積層プレスする [ ] に記載の製造方法;
[ ] 第1のガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型3と第2のガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型4とを用意し、これらの成形型3及び4内で、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移点より低い温度で軟化した2つのガラス層形成用ガラス片をガラス基材に積層プレスする [ ] に記載の製造方法;
[ 10 ] レンズ径が 30mm 以上である [ ] [ ] のいずれかに記載の製造方法;
[ 11 ] ガラス層形成用のガラス片が、ガラス転移点が 530 ℃以下、 100 300 ℃の範囲で測定した平均線膨張係数が73× 10 -7 /℃以下である [ ] [ 10 ] のいずれかに記載の製造方法;
[ 12 ] 前記ガラス基材が、 100 300 ℃の範囲で測定した平均線膨張係数が 78 × 10 -7 /℃以下である [ ] [ 11 ] のいずれかに記載の製造方法;
[ 13 ] ガラス基材の上にガラス層形成用ガラス片を載置して、前記ガラス層形成用ガラス片の粘度が 10 9.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、
加熱した前記ガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材を成形型1と成形型2とからなる成形型内に移送し、
前記ガラス層形成用ガラス片の粘度が 10 7.5 ポアズ以上に相当する温度の成形型内で前記ガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材を加圧成形し、
前記ガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却し、次いで
成形されたガラスレンズを成形型から取り出す [ ] 記載の製造方法;
[ 14 ] ガラス基材の上に第1のガラス層形成用ガラス片を載置して、前記第1のガラス層形成用ガラス片の粘度が 10 9.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、また
第2のガラス層形成用ガラス片をその粘度が 10 9.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、
加熱した第2のガラス層形成用ガラス片及び加熱した第1のガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材をこの順に成形型3と成形型4とからなる成形型内に移送し、
前記第1及び第2のガラス層形成用ガラス片の粘度が 10 7.5 ポアズ以上に相当する温度の成形型内で前記第1のガラス層形成用ガラス片、ガラス基材及び第2のガラス層形成用ガラス片を加圧成形し、
前記第1及び第2のガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却し、次いで
成形されたガラスレンズを成形型から取り出す [ ] 記載の製造方法;
[ 15 ] 成形型4の外周に、ガラス基材の下面の端部に加圧成形により押し当てるとともに第2のガラス層形成用ガラス片の成形による肉厚を決める手段を設け、
成形型3の外周に設けた押し当て部材でガラス基材の上面の端部を加圧することにより第2のガラス層形成用ガラス片の成形による肉厚を決めるとともに、
ガラス基材と上下一対の非球面型の心出しを行う [ 14 ] 記載の製造方法
に関する。
【0010】
さらに本発明は、
[ 16 ] ガラス基材及びその一方または両方の表面上に設けられたガラス層からなるガラスレンズであって、
前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は、前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低く、
前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下であり、かつ
ガラス層を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8× 10 -7 /℃小さいことを特徴とするガラスレンズ;
[ 17 ] ガラス基材及び前記ガラス基材の一方または両方の表面上に設けられたガラス層からなるガラスレンズであって、
前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は、前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低く、
ガラス層を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8× 10 -7 /℃小さいことを特徴とするガラスレンズ;
[ 18 ] ガラス基材及び前記ガラス基材の一方または両方の表面上に設けられたガラス層からなる、レンズ径20mm以上のガラスレンズであって、
前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は、前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低く、
前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下であることを特徴とするガラスレンズ;
[ 19 ] 少なくとも一方の光学機能面が非球面である非球面レンズである [ 16 ] [ 18 ] のいずれかに記載のガラスレンズ;
[ 20 ] ガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も厚い部分で 0.5 2mm の範囲である [ 16 ] [ 19 ] のいずれかに記載のガラスレンズ
に関する。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下、本発明について説明する。
本発明の製造方法は、ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧して形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなるものである。
本発明の製造方法は、ガラス基材の一方の表面上にガラス層を形成する場合と、ガラス基材の両方の表面のそれぞれにガラス層を形成する場合とを包含する。
【0012】
さらに本発明の製造方法においては、ガラス層を構成するガラスとしてそのガラス転移温度がガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より40℃以上低いガラスを用いる。本発明の製造方法において、加圧の際、前記ガラス基材は実質的に変形することなく、ガラス層形成用のガラス片のみが軟化、変形してガラス層を形成する必要がある。ある温度においてガラスが変形するか否かは、その温度におけるガラスの粘度と加える圧力により決まる。一般に、ガラスを加圧成形する場合に用いられる圧力においてガラスを変形させるには、ガラス転移温度より30℃以上高い温度に加熱されることが必要である。一方、上記加圧は、ガラス基材が変形しない条件で行う必要があり、ガラスを変形させないためには、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度より10℃以上低い温度であることが適当である。
そこで本発明の製造方法では、ガラス層を構成するガラスとガラス基材のガラス転移温度の差を40℃以上とする。但し、ガラスの変形をより容易にするという観点からは、ガラス層形成用のガラス片はガラス転移温度より50℃以上高い温度に加熱されることが好ましく、よって、上記ガラス転移温度の差は60℃以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の製造方法の最大の特徴は、前記ガラス層を構成するガラスとガラス基材を構成するガラスとの平均線膨張係数の差及び前記ガラス層の厚みを、形成されるガラスレンズ内に生じる歪量を指標として制御することにある。このような制御をすることで、加圧成形の温度からガラス転移温度以下の温度までの冷却を短時間に行ってもクラックの発生がないガラスレンズを製造することができる。上記歪量は、形成されるレンズの外周から内側4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量とする。尚、測定方法は後述の実施例にて詳述する。その表面にガラス層を形成したガラス基材内の歪は、本発明者らの測定の結果、厚み方向ではガラス層との界面に近い程大きくなり、またレンズの中心からレンズの外周になるにつれて大きくなった。歪量の測定位置は、本来任意に設定することができ、同一のレンズについても、歪量の測定位置を変えると、検出される歪量も変化する。但し、本発明においては、歪量が比較的大きく、測定が容易であるという観点から、上記外周から内側4mm で界面から0.5mm の位置とした。
上記測定位置において、歪量が±20nm/cm 以下となるように、ガラス層を構成するガラスとガラス基材を構成するガラスとの平均線膨張係数の差及びガラス層の厚み選択する。この歪量の値が、20nm/cm を越えるか、または−20nm/cm を下回ると、クラックを生じや易くなり、また、面精度も得られにくくなり、量産に適さなくなる。歪量の値は、好ましくは、±15nm/cm 以下となるように上記平均線膨張係数の差とガラス層の厚み選択することで、より高い面精度のガラス層を有するガラスレンズを得ることができる。
【0014】
本発明の製造方法において、ガラス層を構成するガラスとして、その100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数がガラス基材を構成するガラスの100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数より3〜8×10-7/℃小さいガラスを用いることが好ましい。このようなガラスを用いることで、上記範囲の歪量とすることが容易になり、その結果、クラックが無く高い面精度を有するガラス層を備えたガラスレンズを得ることが容易になる。尚、ガラスの平均線膨張係数は30-300℃の範囲で測定すると、100-300 ℃の範囲で測定するのに比べて、通常2 〜3 ×10-7/℃小さい値となる。
【0015】
本発明の製造方法において、ガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も厚い部分で2mm以下となるようにガラス層を形成することが好ましい。ガラス層の厚みが増すとその分ガラス中の歪みも増加し、ガラス層が厚くなり過ぎると、ガラス層形成用ガラス及びガラス基材の平均線膨張係数の調整がより厳密に必要となり、実用化が難しくなる。そのため、上記のように最も厚い部分で2mm以下とすることが好ましい。最も厚い部分のガラス層の厚みに下限はないが、薄過ぎては、所望の形状の面を得られにくくなる。通常は、最も厚い部分のガラス層の厚み0.5mm 以上である。
【0016】
本発明の別の態様として、ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より40℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
前記ガラス層を構成するガラスの100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)よりが3〜8×10-7/℃小さく、かつガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も厚い部分で2mm以下であることを特徴とする製造方法を挙げることができる。
この方法によっても、量産化のため冷却時間を短縮した場合にガラス層の膜厚が比較的大きくなりクラックの入り易い大型の非球面レンズ等を、クラックを生じることなく製造することが可能である。特に、ガラス層をガラス基材に融着させて一体化させた後、10〜50℃/分の冷却速度ですることが、上記ガラス層の膜厚が比較的大きくなりクラックの入り易い大型の非球面レンズ等でも、クラックを生じることなく製造することができるという観点から好ましい。
【0017】
本発明の製造方法において、ガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も薄い部分で0.03mm以上であることが好ましい。ガラス層が薄くなりすぎて、場合によっては部分的に消滅するような場合、良好な面精度を得られにくくなる。最も薄い部分の厚みが0.03mm以上であれば、良好な面精度を得られので、最も薄い部分であっても、このような厚みとすることが好ましい。
【0018】
本発明の製造方法は、少なくとも一方の面が非球面である非球面レンズの製造方法に特に適している。大型の非球面レンズは、従来の精密プレス法では高い生産性で製造することが困難であった。本発明の製造方法によれば、高い生産性、即ち冷却時間を短縮し、サイクルタイムを短縮しても、良好な光学特性を有する大型の非球面ガラスレンズが得られる。
上記非球面ガラスレンズは、光学機能面の一方が球面であり、他方が非球面である片面非球面レンズと両方の面が非球面である両面非球面レンズとを包含する。
【0019】
また、本発明の製造方法により得られるガラスレンズのサイズについては特に制限は無い。例えば、従来法において成形が行われているレンズ径20mm以下のものについて良好に成形ができる。また、製法の特性上、従来短いサイクルタイムでの成形が困難であったレンズ径20mm以上、さらに30mm以上のレンズについても良好な光学特性を有するものが得られることが特に有効である。また、上限も特に無いが、平均線膨張係数の差とガラス層の厚みを適当に選択し、かつ冷却速度を加減することで、レンズ径60mm程度のガラスレンズは十分に製造可能である。
【0020】
ガラス層形成用のガラス片として、ガラス成分として重量%で、
B2O3 15〜40、
SiO2 1〜30、
RO(2価金属の酸化物)40〜60、
R'O(アルカリ金属酸化物)0〜7、
Al2O3 0〜10
を含有するガラスであって、ガラス転移点が530℃以下、100〜300℃の範囲で測定した平均線膨張係数が73×10-7/℃以下であるガラスを用いることが好ましい。レンズ全体の光学特性は、概ね基材の光学特性に依存する。レンズ設計上、表1に例示したSKやLa系ガラスを基材として好んで使用するが、これらのガラスの平均線膨張係数が78×10-7/℃以下であることが多く、基材ガラスと被覆層ガラスの平均線膨張係数を所定の値にするという理由から上記ガラス成分をガラス層形成用のガラス片として使用することが好ましい。
【0021】
特に、上記ガラス層形成用のガラス片は、ガラス成分として重量%で、
RO(2価金属の酸化物)としてZnO 40〜60、
R'O (アルカリ金属酸化物)としてLi2O 1.5〜7、
Al2O3 0.5〜10
を含有するガラスであることが低軟化性かつ低膨張性であり、化学的耐久性にも優れているという理由から好ましい。
【0022】
上記片面非球面ガラスレンズは、例えば、一方の面が球面であり、他方の面が非球面の近似球面であるガラス基材を用い、このガラス基材の前記近似球面上に非球面を有するガラス層を成形することにより製造することができる。
本明細書において「非球面の近似球面」とは、形成しようとする非球面形状にほぼ近似する球面であって、通常は「参照球面」にほぼ相当する球面である。尚、「参照球面」とは、非球面の頂点と有効径での高さとを結んだ球面を意味する。
【0023】
上記片面非球面ガラスレンズは、例えば、ガラス基材の球面に近似した球面形状のガラス基材保持のための面(ガラス基材保持面)を有する成形型1とガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型2とを用意し、これら成形型1及び2内で、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移点より低い温度で軟化したガラス層形成用ガラス片をガラス基材に積層プレスすることにより製造することができる。尚、上記ガラス基材保持面は、ガラス基材の球面に近似した球面形状であることが好ましいが、ガラス基材の外周部を保持できる形状でさえあれば、必ずしも球面でなくてもよく、外周付近で接する平面でもよい。
【0024】
上記片面非球面ガラスレンズは、より具体的には、以下のようにして製造される。
ガラス基材の上にガラス層形成用ガラス片を載置して、前記ガラス層形成用ガラス片の粘度が109.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱される。ガラス層形成用ガラス片の粘度は、好ましくは、107 〜109 ポアズの範囲である。ガラスの粘度をこの範囲とすることで、ガラス片を容易に変形させることができる。
次に、加熱した前記ガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材を成形型1と成形型2とからなる成形型内に移送する。
次いで、前記ガラス層形成用ガラス片の粘度が107.5 ポアズ以上に相当する温度の成形型内で前記ガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材を加圧成形する。上記温度は、好ましくは、108 〜1011ポアズの範囲である。成形型の温度をこの範囲とすることで、ガラス片を変形させることができる。
次に、成形品と成形型とを前記ガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却する。冷却温度は、速ければそれだけサイクルタイムを短縮することが可能になるが、速すぎると、ヒケや割れを生じることになる。本発明の製造方法では、レンズの大きさにもよるが、例えば、10℃/分〜80℃/分の範囲の冷却速度を採用することができる。
ガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却された成形品(ガラスレンズ)は成形型から取り出され、必要によりさらにアニールに付すこともできる。
【0025】
尚、上記成形型1のガラス基材保持面の曲率半径を、前記ガラス基材保持面とガラス基材の球面の少なくとも外周とが当接するように選択する。即ち、ガラス基材保持面の曲率半径とガラス基材の球面とをほぼ等しくするか、あるいは外当たりになるように設定する。このように設定することで、ベルチャック方式によるガラス基材と成形型2の心出しを行うことができる。このような心出しは、例えば、成形型2の外周に設けた押し当て部材をガラス基材の上面の端部に押し当てて、ガラス基材をはさみ込むことにより行うことができる。
【0026】
ガラス層形成用ガラス片及びガラス基材の加熱は、ガラス基材上にガラス層形成用ガラス片を載置して行うことが好ましい。これにより、ガラス層形成用ガラス片を加熱するための特別な手段が不要となる。ガラス層形成用ガラス片を単独で加熱しようとすると、低軟化点であるため変形等を生じる恐れがある。尚、上記ガラス基材はリング状部材で保持することが適当である。
さらに、上記リング状部材は、その内径が、下方より上方が大きく、ガラス基材の下面の周縁をリング状部材の内側段部に載せることができ、上方部分はガラス基材及びガラス層形成用ガラス片が狭いクリアランスで挿入されるようなっており、このリング状部材とともにガラス基材及びガラス層形成用ガラス片を横ずれすることなく成形型1上に移送することができる。さらに、上記リング状部材を成形型1に挿入することにより、ガラス基材と成形型2の心出しを行うこともできる。
【0027】
また、上記両面非球面ガラスレンズは、例えば、両面がそれぞれ非球面の近似球面であるガラス基材を用い、このガラス基材の前記近似球面上のそれぞれに非球面を有する第1及び第2のガラス層を成形することにより製造することができる。
ここで、第1及び第2のガラス層の非球面形状は、所望により同一でも異なってもよく、また、ガラス素材も、非球面形状、ガラス層の厚み、加圧成形条件等を考慮して、同一のものとしても、異なる組成のものを用いても良い。
【0028】
上記両面非球面ガラスレンズは、例えば、第1のガラス層に付与すべき非球面を形成面として有する成形型3と第2のガラス層に付与すべき非球面を形成面として有する成形型4とを用意し、これらの成形型3及び4内で、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移点より低い温度で軟化した2つのガラス層形成用ガラス片をガラス基材に積層プレスすることにより製造することができる。
【0029】
上記両面非球面ガラスレンズは、より具体的には、以下のようにして製造される。
ガラス基材の上に第1のガラス層形成用ガラス片を載置して、前記第1のガラス層形成用ガラス片の粘度が109.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、またこれとは別に、好ましくは並行して、第2のガラス層形成用ガラス片をその粘度が109.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱する。
ガラス層形成用ガラス片の粘度は、それぞれ好ましくは、107 〜109 ポアズの範囲である。ガラスの粘度をこの範囲とすることで、ガラス片を容易に変形させることができる。
次いで、加熱した第2のガラス層形成用ガラス片及び加熱した第1のガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材をこの順に成形型3と成形型4とからなる成形型内に移送する。
次いで、前記第1及び第2のガラス層形成用ガラス片の粘度が107.5 ポアズ以上に相当する温度の成形型内で前記第1のガラス層形成用ガラス片、ガラス基材及び第2のガラス層形成用ガラス片を加圧成形する。上記温度は、好ましくは、108 〜1011ポアズの範囲である。成形型の温度をこの範囲とすることで、ガラス片を変形させることができる。
次いで、前記第1及び第2のガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却する。冷却温度は、速ければそれだけサイクルタイムを短縮することが可能になるが、速すぎると、ヒケや割れを生じることになる。本発明の製造方法では、レンズの大きさによるが、例えば、10℃/分〜80℃/分の範囲の冷却速度を採用することができる。
ガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却された成形品(ガラスレンズ)は成形型から取り出され、必要によりさらにアニールに付すこともできる。
【0030】
上記方法において、所望の構造のガラスレンズを得るために、ガラス基材を第2のガラス層形成用ガラス片上の適正な位置に載置することが適当であり、そのために成形型4の周辺部に配備したガイド手段を用いることが好ましい。
【0031】
さらに、成形型4の外周に、ガラス基材の下面の端部に加圧成形により押し当てるとともに第2のガラス層形成用ガラス片の成形による肉厚を決める手段を設け、 成形型3の外周に設けた押し当て部材でガラス基材の上面の端部を加圧することにより第2のガラス層形成用ガラス片の成形による肉厚を決めるとともに、 ガラス基材と上下一対の非球面型の心出しを行うことが好ましい。
【0032】
また、第2のガラス層形成用ガラス片を皿部材から気体を噴出させて浮上させて加熱軟化し、しかる後に成形型4の成形面上に落下させることにより移送することが好ましい。通常、皿又はリング上でガラス層形成用ガラス片を加熱軟化させると、融着、へたり等の問題が発生する。また、軟化したガラスをパッド等により移送すると変形や融着等の問題が発生する。しかるに、上記の方法によれば、このような問題を回避することができる。
【0033】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
〔平均線膨張係数差に関する基礎的検討〕
本発明を実施するにあたり必要となる基礎的条件の検討を行った。ガラスを高精度にプレス成形するのに適当なガラスの粘性は107.0 〜109.5 ポアズの範囲といえる。ガラスの粘度と温度の関係はガラスによって異なるため一概には言えないが、この粘度を示す温度はガラス転移点よりおおよそ50〜120 ℃程度高いところである(温度に対する粘度変化の大きいガラスでは40℃程度のものもある)。基材ガラスはこのプレス成形の温度で短時間で粘性流動が起こらない条件でなければならないため(粘性流動が起こると変形)、ガラス転移点以下である必要がある。基材ガラスの上に被成形ガスラ素材を載せてこの条件でプレス成形を行うと、プレス後の冷却過程において固化が始まった後、基材とガラス層成形用ガラスの収縮挙動が異なると界面付近に応力が発生し、その程度が大きいとクラックが生じる。
【0034】
図1に基材ガラスおよびガラス層成形用ガラスとして適当と思われる光学ガラスの転移点と平均線膨張係数(100〜300℃の範囲の値)の関係の例を示す。Aグループのガラスを基材とし、それとほぼ等しい平均線膨張係数のBグループのガラスをガラス層成形用ガラスとして選べばよいと想定できる。Aグループの転移点はBグループの転移点に比べ平均線膨張係数のほぼ等しいガラス間では40〜50℃以上高いため、Bグループのガラスが軟化しプレス成形する温度では、Aグループのガラスは転移点以下であるため変形することはない。なお、ここに平均線膨張係数は100〜300℃の範囲の平均線膨張係数を示したが、30〜300℃の範囲の平均線膨張係数にすると通常2〜3×10-7/℃小さな値となる。
【0035】
次に、平均線膨張係数の異なる種々の光学ガラスを用意し(表1に特性を示す)、外径40mm、厚さ5mmの平板に研磨し、基材とした。ガラス層成形用ガラスとして表2〜5に示す組成と特性のガラスからNo. 1、No. 2、No. 3の3種を選び、それぞれ3種類の容量のマーブル形状の被成形ガラス素材とした。ガラス層成形用ガラスとしての表2〜5のガラスの組成的特徴はプレス成形の温度が低く、かつ、No. 2のように低膨張のガラスが得られることである。基材となるガラスが低膨張のものが多いため(特にSK系およびLa系ガラスの需要が高い)、低軟化点で低膨張のガラス層成形用ガラスは極めて有効である。
【0036】
【表1】
Figure 0003763552
【0037】
【表2】
Figure 0003763552
【0038】
【表3】
Figure 0003763552
【0039】
【表4】
Figure 0003763552
【0040】
【表5】
Figure 0003763552
【0041】
図2(a)、(b)にプレス成形前とプレス成形後の様子を示す。1は基材、2は被成形ガラス素材(熱間で成形し、表面欠陥のないもの)、3はプレス成形された被覆層である。3種類の容量の被成形ガラス素材により、被覆層の厚さ0.5、1.0および1.5mmにプレス成形した。支持体上に被成形ガラス素材2を載せた基材1をセットし、窒素雰囲気で被成形素材の粘度が108.3 ポアズになる温度に、上方にセットしてある平面研磨した成形用型とともに昇温し、成形用型を下降させて50kg/cm2 の圧力で2分間加圧成形した。その後減圧して被成形ガラス素材の転移点以下まで20℃/分の速度で冷却し、その後は圧力を解除し冷却速度を速くして取り出した。
【0042】
【表6】
Figure 0003763552
【0043】
【表7】
Figure 0003763552
【0044】
得られた成形品の観察結果、歪み測定結果及び面精度測定結果を表6、7に示す。歪みは成形品を切断、研磨し、外周より4mm内側で、界面より0.5mmのところの基材側を測定した。この結果を図示すると図3、図4のようになる。100 〜300 ℃の範囲での平均線膨張係数がガラス層より基材が約6×10-7/℃大きいところで歪みがゼロとなり、平均線膨張係数の差がこれからずれると歪みは大きくなり、ガラス層が厚いと非常に顕著になることが非常に明確に明らかになった。ガラス層より基材の平均線膨張係数が若干大きいところで歪みがゼロになる理由を、図5に示すガラスの線膨張曲線(ガラス棒の上に10gの荷重をかけて測定)で説明する。プレス成形されたガラス層は冷却過程で転移点Tgより若干高いa点で実質的に固化する。従って、a点から室温までの収縮量が被覆ガラス層と基材で等しいときに歪みがゼロになると大まかに言える。このために100 〜300 ℃の範囲での平均線膨張係数の値としてはガラス層がやや小さいところで歪みがゼロになる。
【0045】
このようにレンズ径が大きくなり、ガラス層の厚みも厚くなると、歪みが許容値以上にならないように基材とガラス層の平均線膨張係数の適合したガラスの組み合わせを選ぶことが極めて重要である。レンズ径が30mm以上になると、基材に比べ、100 〜300 ℃の範囲で測定した平均線膨張係数が3〜8×10-7/℃小さい範囲にある被成形ガラス素材にする必要があり、成形されたガラス層の厚さは2mm以下に抑える必要がある。
表8に基材として使用する種々の平均線膨張係数の光学ガラスの例とそれに適した被成形ガラス素材(ガラス層)のガラス組成及び特性を示す。
【0046】
【表8】
Figure 0003763552
【0047】
〔実施例1〕
外径50mmで凹面が非球面、凸面が球面の凹メニスカスレンズの成形例を説明する。図6にプレス成形装置の概略模式図を示す。1はガラス素材の加熱室、2は成形室、3は成形品の徐冷室、4は赤外線ランプヒーター、5はシリカチューブで、装置全体を窒素雰囲気にしてある。6は保持型(成形型1)、7は成形型(成形型2)である。8はガラス素材および成形品の受け渡し位置である。図7(a)はプレス直前の状態を示し、(b)はプレス直後の状態を示す。ガラス基材9は重クラウン系光学ガラスのSK15で、転移点が655 ℃、平均線膨張係数が74×10-7/℃(100 〜300 ℃)である。ガラス基材の下面10は最終製品の曲率半径R=45mmの球面に研磨仕上げしてある。上面11は最終の非球面の参照球面R=28mmに研磨した(参照球面とは非球面の頂点と有効径での高さを結んだ球面)。外径は50mm、中心肉厚は3mmで、上面の周縁部には平面部12がある。ガラス層形成用ガラス片13は前記の表2のNo. 4のガラスで、転移点480 ℃、平均線膨張係数69×10-7/℃である。ガラス層形成用ガラス片は表面欠陥がないように熱間成形されたものであり、プレス成形後に所定の厚さになるように容量設定されている。
【0048】
保持型14は成形温度にてガラス基材9の下面と同一曲率半径になるように球面研磨した。15は非球面に仕上げ加工した成形用型、16は成形用型の外周に配置しガラス基材の上面の平面部12に押し当ててベルチャック機構により心出しする押し当て部材、17は保持型の外周にあり、16が挿入されて全体の心出しを行うスリーブである。ガラス基材9の上にガラス層形成用ガラス片13を置き、図6の加熱室1にあるリング18上で550℃に加熱した。この加熱によりガラス層形成用ガラス片は107.4 ポアズの粘度になる。不図示の吸着パッドでガラス基材の平面部を吸着し、図6の受け渡し位置8に移送し、ガラス層形成用ガラス片の載ったガラス基材を保持型14上に載置した。このとき保持型、成形用型および他の部材はガラス層形成用ガラス片の109.5 ポアズに相当する温度の515℃になっている(これらは赤外線ランプヒーター4で加熱)。直ちに保持型を成形室2に上昇させてガラス基材の上面の平面部12を押し当て部材16に押し当て、次いで成形用型(非球面型)15を下降して50kg/cm2 の圧力で1分間加圧成形し(ガラス層形成用ガラス片が所望の肉厚までのびた時点で上型自重のみの荷重になるようにしてある)、その後成形用型および保持型をガラス層形成用ガラス片の転移点以下の温度まで20℃/分の速度で冷却した。その後離型して保持型を受け渡し位置8まで下降し、ガラス基材にガラス層形成用ガラス片が成形されて一体となったレンズを不図示の吸着パッドで徐冷室3に移送し徐冷した。
【0049】
得られたレンズの非球面部(ガラス層の部分)は図8のような形状で、光軸方向に対し厚いところが1.8mm、薄いところが0.1mmであり、大きな非球面量のレンズであるにもかかわらず歪みは小さく、良好な非球面形状が得られた。また、押し当て部材と保持型により、ベルチャック機構で心出しを行ったため、偏心も極めて少なかった。
本発明のこの製造方法では全体軟化法に比べてプレス成形するのはガラス層のみであるから冷却速度を速くしてもヒケが生じない。しかも成形型とは別の場所でガラスを加熱し、ガラス基材上でガラス層形成用ガラス片を軟化するという効率の良い方法を採り、型には大きな温度サイクルを与えないので、成形のサイクルタイムは短く、生産性が非常に高いという利点がある。
【0050】
〔実施例2〕
本実施例は外径が50mmで凹メニスカス形状である点は実施例1と同様であるが、非球面が凸面に形成されている。図9(a)はプレス直前の状態を示し、(b)はプレス直後の状態を示す。ガラス基材9及びガラス層形成用ガラス片13の材料等は実施例1とそれぞれ同様である。本実施例ではガラス基材9の下面は最終製品の球面に仕上げ研磨し、上面は非球面の参照球面に研磨した。ガラス層形成用ガラス片13としては2平面に研磨した円板を用いた。ガラス基材9、ガラス層形成用ガラス片13とも外径精度を高く仕上げ、段付きのリング状部材19にきっちりと挿入した。リング状部材19にこのようにセットした状態で、図6に示す加熱室でリング状部材と共にガラス基材、ガラス層形成用ガラス片を530℃に加熱して、ガラス層形成用ガラス片の粘度を108.5 ポアズとし、不図示の移送手段で移送して図9(a)のように保持型(成形型1)にセットした。このとき保持型(成形型1)14及び成形用型(成形型2)15はガラス層形成用ガラス片の108.5 ポアズの粘度に対応する530 ℃になっている。直ちに保持型を上昇させ、成形室がOリングによって閉じた後、成形室を10-2torrの真空雰囲気にし、成形用型を下降させて50kg/cm-2の圧力で1分間加圧成形した。その後再び窒素雰囲気に戻し、加圧を維持したままガラス層形成用ガラス片の転移点以下まで40℃/分の冷却速度で冷却し、離型して受け渡し位置8に下降し、リング状部材と共に成形されたレンズを徐冷室3に移した。
【0051】
得られたレンズの非球面部(ガラス層の部分)は図10のような形状で、光軸方向に対し厚いところが1.5mm、薄いところが0.5mmであり、大きな非球面量のレンズであるにもかかわらず歪みは小さく、良好な非球面形状が得られた。また、ガラス基材の外径精度を高くしてリング状部材に挿入したため、偏心も極めて少なかった。
なお、本実施例でプレス開始時に真空雰囲気にしたのは、ガラス層形成用ガラス片の上面の平面を凹型の成形用型でプレスすると窒素雰囲気ではガストラップが生じるためである。また、本実施例ではガラス基材上に下面が平面のガラス層形成用ガラス片を傾き少なくセットするために、ガラス層形成用ガラス片の外径精度を高くしリング状部材にきっちり挿入しているが、ガラス層形成用ガラス片の下面をガラス基材の上面に近似の形状とし、上面もガストラップが生じない形状にすれば、実施例1と同様の方法を取ることもできる。
【0052】
〔実施例3〕
本実施例では両面非球面の場合の実施例を説明する。形状は実施例1と同様、外径50mmの凹メニスカスレンズである。図11(a)はプレス直前の状態を示し、(b)はプレス直後の状態を示す。ガラス基材9は実施例1と同様重クラウン系光学ガラスのSK15で、転移点が655℃、平均線膨張係数が74×10-7/℃(100〜300℃)である。ガラス基材9の上面および下面はそれぞれ最終の非球面の参照球面に研磨した。第1および第2のガラス層形成用ガラス片13、13' は実施例1のガラス層形成用ガラス片と同様、前記の表2のNo. 4のガラスで、転移点480℃、平均線膨張係数69×10-7/℃である。成形型は上型(成形型3)15、下型(成形型4)14とも非球面に仕上げ加工してある。
【0053】
第2のガラス層形成用ガラス片13' の加熱軟化にあたっては、内部から気体(窒素ガス)を噴出させる図12に示す割型式の浮上皿30を用い、浮上させて加熱軟化した。このための加熱室は図6の受け渡し位置の向こう側にある(不図示)。浮上軟化後アームによって浮上皿が受け渡し位置に進入し、割型を左右に開いて下型上に第2のガラス層形成用ガラス片13' を落下させる。続いて直ちに、実施例1と同様の方法で加熱した第1のガラス層形成用ガラス片13の載ったガラス基材9をガイド部材20をガイドにして図11のように挿入する。直ちに、成形室に上昇してまず押し当て部材16によりプレスを開始し、少し遅れて上型によるプレスを開始した。押し当て部材による加圧により第2のガラス層形成用ガラス片13' がガラス基材9によって加圧され、ガラス基材9の周辺部が下型の外周に設けたストッパー21にぶつかることにより第2のガラス層形成用ガラス片13' の成形による肉厚が決まるとともにベルチャック機構によりガラス基材9が上下型に対して心出しされる。その後、上型による加圧によって第1のガラス層形成用ガラス片13の成形による肉厚が決まる。本実施例では以上説明した以外の加熱条件、プレス条件、冷却条件、移送方法等は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0054】
このようにして短時間の成形で、性能、品質の良好な、外径50mmの両面が非球面の凹メニスカスレンズが得られた。
以上外径が50mmの凹メニスカス形状の非球面レンズについて実施例で説明してきたが、大きさや形状はこれに限定されるものではもちろんない。型の材質やガラス素材の材料についても限定されるものではない。種々の組み合わせに対して本発明の範囲によってレンズ設計者がレンズ設計を行えば実用に供することができるものである。
【0055】
【発明の効果】
本発明では、特に、外径が30mm以上の大きなレンズに対して、基材にガラス層を設ける方法を採り、平均線膨張係数差による歪み発生の基礎検討から、基材とガラス層との間の歪量を考慮して、平均線膨張係数の適合したガラスの組み合わせを選ぶことが極めて重要であることを明らかにした。本発明では、基材に比べ、100〜300℃の範囲で測定した平均線膨張係数が3〜8×10-7/℃小さい範囲にある被成形ガラス素材にし、形成されたガラス層の厚さを2mm以下に抑えると、性能、品質の良好な非球面レンズが得られる。
本発明の製造方法では全体軟化法に比べてプレス成形するのはガラス層のみであるから冷却速度を比較的速くしてもヒケが生じない。しかも成形型とは別の場所でガラスを加熱し、ガラス基材上でガラス層形成用ガラス片を軟化するという効率の良い方法を採り、型には大きな温度サイクルを与えないので、成形のサイクルタイムは短く、生産性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基材ガラスおよびガラス層成形用ガラスとして適当と思われる光学ガラスの転移点と平均線膨張係数(100〜300℃の範囲の値)の関係の例を示す。
【図2】 プレス成形前のガラス基材とガラス層形成用ガラス片(a)とプレス成形後のガラス基材とガラス層を示す。
【図3】 基材ガラスとガラス層形成用ガラスとの平均線膨張係数及び歪量との関係を示す。
【図4】 基材ガラスとガラス層形成用ガラスとの平均線膨張係数及び歪量との関係を示す。
【図5】 ガラス層よりガラス基材の平均線膨張係数が若干大きいところで歪みがゼロになる理由の説明図。
【図6】 実施例で用いたプレス成形装置の概略模式図。
【図7】 実施例1におけるプレス直前の状態(a)とプレス直後の状態(b)を示す。
【図8】 実施例1で得られたレンズの非球面部(ガラス層の部分)の形状を示す図。
【図9】 実施例2におけるプレス直前の状態(a)とプレス直後の状態(b)を示す。
【図10】 実施例2で得られたレンズの非球面部(ガラス層の部分)の形状を示す図。
【図11】 実施例3におけるプレス直前の状態(a)とプレス直後の状態(b)を示す。
【図12】 実施例3で使用した第2のガラス層形成用ガラス片の加熱軟化用割型式の浮上皿の説明図。

Claims (20)

  1. ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より40℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
    前記ガラス層を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8× 10 -7 /℃小さいことを特徴とする製造方法。
  2. ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
    前記ガラスレンズのレンズ径は 20mm 以上であり、
    前記ガラス層を構成するガラスとガラス基材を構成するガラスとの平均線膨張係数の差及び前記ガラス層の厚みを、前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下となるように選択することを特徴とする製造方法。
  3. ガラス基材の少なくとも一方の表面上にガラス片を加圧被覆し、形成される少なくとも1つのガラス層を前記ガラス基材に融着させて一体化することからなり、かつ前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低い、ガラスレンズの製造方法であって、
    ガラス層を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの 100-300 ℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8× 10 -7 /℃小さく、
    前記ガラス層の厚みを、前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下となるように選択することを特徴とする製造方法。
  4. ガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も厚い部分で2mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. ガラス層をガラス基材に融着させて一体化させた後、 10 50 ℃/分の冷却速度で冷却する請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. ガラスレンズが、少なくとも一方の光学機能面が非球面である非球面レンズである請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. ガラス基材は一方の面が球面であり、他方の面が形成しようとする非球面の近似球面であり、前記近似球面上に非球面を有するガラス層を成形する請求項に記載の製造方法。
  8. ガラス基材の球面に近似した球面形状のガラス基材保持のための面(以下、ガラス基材保持面という)を有する成形型1とガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型2とを用意し、これらの成形型1及び2内で、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移点より低い温度で軟化したガラス層形成用ガラス片をガラス基材に積層プレスする請求項に記載の製造方法。
  9. 第1のガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型3と第2のガラス層に付与すべき非球面を成形面として有する成形型4とを用意し、これらの成形型3及び4内で、ガラス基材を構成するガラスのガラス転移点より低い温度で軟化した2つのガラス層形成用ガラス片をガラス基材に積層プレスする請求項に記載の製造方法。
  10. レンズ径が30mm以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. ガラス層形成用のガラス片がガラス転移点が530℃以下、100〜300℃の範囲で測定した平均線膨張係数が73×10-7/℃以下である請求項1〜10のいずれか1項に項記載の製造方法。
  12. 前記ガラス基材が、 100 300 ℃の範囲で測定した平均線膨張係数が 78 × 10 -7 /℃以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. ガラス基材の上にガラス層形成用ガラス片を載置して、前記ガラス層形成用ガラス片の粘度が109.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、
    加熱した前記ガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材を成形型1と成形型2とからなる成形型内に移送し、
    前記ガラス層形成用ガラス片の粘度が107.5 ポアズ以上に相当する温度の成形型内で前記ガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材を加圧成形し、
    前記ガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却し、次いで
    成形されたガラスレンズを成形型から取り出す請求項記載の製造方法。
  14. ガラス基材の上に第1のガラス層形成用ガラス片を載置して、前記第1のガラス層形成用ガラス片の粘度が109.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、また
    第2のガラス層形成用ガラス片をその粘度が109.5 ポアズ以下に相当する温度に加熱し、
    加熱した第2のガラス層形成用ガラス片及び加熱した第1のガラス層形成用ガラス片を載置したガラス基材をこの順に成形型3と成形型4とからなる成形型内に移送し、
    前記第1及び第2のガラス層形成用ガラス片の粘度が107.5 ポアズ以上に相当する温度の成形型内で前記第1のガラス層形成用ガラス片、ガラス基材及び第2のガラス層形成用ガラス片を加圧成形し、
    前記第1及び第2のガラス層形成用ガラスの転移温度以下の温度に冷却し、次いで
    成形されたガラスレンズを成形型から取り出す請求項記載の製造方法。
  15. 成形型4の外周に、ガラス基材の下面の端部に加圧成形により押し当てるとともに第2のガラス層形成用ガラス片の成形による肉厚を決める手段を設け、
    成形型3の外周に設けた押し当て部材でガラス基材の上面の端部を加圧することにより第2のガラス層形成用ガラス片の成形による肉厚を決めるとともに、
    ガラス基材と上下一対の非球面型の心出しを行う請求項14記載の製造方法。
  16. ガラス基材及びその一方または両方の表面上に設けられたガラス層からなるガラスレンズであって、
    前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は、前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より40℃以上低く、
    前記レンズの外周から内側4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が±20nm/cm 以下であり、かつ
    ガラス層を構成するガラスの100-300℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの100-300℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8×10-7/℃小さいことを特徴とするガラスレンズ。
  17. ガラス基材及び前記ガラス基材の一方または両方の表面上に設けられたガラス層からなるガラスレンズであって、
    前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は、前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より40℃以上低く
    ガラス層を構成するガラスの100-300℃の範囲の平均線膨張係数(α)がガラス基材を構成するガラスの100-300℃の範囲の平均線膨張係数(α)より3× 10 -7 〜8×10-7/℃小さいことを特徴とするガラスレンズ。
  18. ガラス基材及び前記ガラス基材の一方または両方の表面上に設けられたガラス層からなる、レンズ径20mm以上のガラスレンズであって、
    前記ガラス層を構成するガラスのガラス転移温度は、前記ガラス基材を構成するガラスのガラス転移温度より 40 ℃以上低く、
    前記レンズの外周から内側 4mm 、ガラス層とガラス基材との界面から 0.5mm の位置におけるガラス基材の歪量が± 20nm/cm 以下であることを特徴とするガラスレンズ。
  19. 少なくとも一方の光学機能面が非球面である非球面レンズである請求項16〜18のいずれか1項に記載のガラスレンズ。
  20. ガラス層のレンズの光軸方向の厚さが、最も厚い部分で0.5 〜2mmの範囲である請求項1619のいずれか1項に記載のガラスレンズ。
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