JP2017008170A - 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×105〜1.0×108mPa・sの半硬化物を得る工程である[1]に記載の光学素子の製造方法。
[3]半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×105〜1.0×106mPa・sの半硬化物を得る工程である[1]又は[2]に記載の光学素子の製造方法。
[4]半硬化物をさらに硬化させる工程は、金型と、胴型と、透明基材で包囲された半硬化物を、加圧しながら活性エネルギー線によって硬化する工程であり、胴型は、金型の外側領域に周設され、胴型は、透明基材に接触して配置され、半硬化物を加圧した際には、半硬化物の一部が胴型の内周面に接触する[1]〜[3]のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
[5]胴型の内周面と、金型の外周面の間の距離が0.1mm以下である[4]に記載の光学素子の製造方法。
[6]硬化性組成物が、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
[7]硬化性組成物が、下記一般式(2)で表される化合物を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の光学素子の製造方法;
[8]硬化性組成物が、さらにヒドロペルオキシド化合物を含む[6]又は[7]に記載の光学素子の製造方法。
[9]硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、半硬化物を得る工程は、硬化性組成物を金型上に充填し、硬化性組成物を加熱する、又は硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、半硬化物をさらに硬化させる工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射することで、透明基材と光学素子を一体成形する工程である複合光学素子の製造方法。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法で製造された光学素子。
[11][9]に記載の製造方法で製造された複合光学素子。
本発明は、硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを含む光学素子の製造方法に関する。ここで、半硬化物を得る工程は、硬化性組成物を金型上に充填し、硬化性組成物を加熱する、又は硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程である。また、半硬化物をさらに硬化させる工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である。
また、本明細書中の光学素子は半硬化物をさらに硬化することで得た「硬化物」と同義であり、「硬化物」は完全に固体となっている状態の物を意味する。
なお、本明細書中における光学素子とは、光学部材又は光学部品を意味するものでもあり、具体的にはレンズ等を挙げることができる。
本発明の光学素子の製造方法においては、半硬化物をさらに硬化させる工程で透明基材を用いる。なお、後述するように透明基材は胴型と共に移動(上下移動)できることが好ましく、胴型20には、透明基材保持部25が設けられていることが好ましい。
半硬化物の25℃における複素粘度を上記範囲内とすることにより、光学素子の低温耐久性をより高めることができる。なお、半硬化物の25℃における複素粘度は、後述するように硬化性組成物に含まれる化合物を適宜選択することによって調整することができる。
硬化性組成物に照射する活性エネルギー線の照射波長は、UVカットフィルターやUVカットガラスを用いて、特定の波長域のみを取り出すことで制御できる。UVカットフィルターやUVカットガラスを用いることによって、開裂する波長領域が異なる2種類以上の光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。なお、照射強度、および照射時間には、特に制限はなく、目的とする半硬化状態(複素粘度)に制御できる強度と時間を選択すればよい。
なお、胴型20は、透明基材15に接触して配置されていることが好ましいが、胴型20は、半硬化物95を加圧することにより透明基材15に接触するように配されていればよい。本明細書において、胴型20と透明基材15が接触する状態とは、胴型20と透明基材15が面接触又は線接触する状態をいう。
本発明は、上記の製造工程を行う製造装置に関するものであってもよい。具体的には、光学素子の製造装置は、金型と、透明基材と、胴型とを有する。胴型は、金型の外側領域に周設されたものである。また、胴型は、透明基材に接触して配置されていることが好ましい。ここで、胴型と透明基材が接触して配置された状態は、胴型と透明基材が面接触又は線接触して配置された状態をいう。
本発明で用いる金型は、硬化性組成物を硬化する際に用いられるものであり、硬化性組成物や半硬化物を保持し得るものである。金型上には硬化性組成物が充填され、金型上で硬化性組成物が半硬化及び本硬化することが好ましい。なお、半硬化工程と本硬化工程では、同一の金型が用いられることが好ましいが、異なる金型が用いられてもよい。
金型の直径は1〜1000mmであることが好ましく、1〜10mmであることがより好ましく、1〜5mmであることがさらに好ましい。また、金型の凹部の周辺には水平領域が設けられていてもよく、水平領域を構成する幅は金型の直径の5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。なお、金型は水平領域を有さずに金型上部は凹部のみから構成されていてもよい。
本発明では、透明基材が用いられる。透明基材は特に本硬化工程で用いられることが好ましい。本硬化工程では、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射することで半硬化物の硬化を行う。
透明基材の直径は1〜1000mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。透明基材の曲率半径は0.5〜5mmであることが好ましい。
胴型としては、公知の材質で形成したものを用いることができる。例えば、SUS製の胴型を用いることができる。胴型は、透明基材に接触して配置されることが好ましく、胴型には、透明基材保持部が設けられていることが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法に用いる硬化性組成物は、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を含むことが好ましい。硬化性組成物は、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種の重合性基を有する重合体を含むことが好ましい。中でも、アリル基、ビニリデン基及びビニル基から選択される少なくとも1種の重合性基を有する重合体を含むことがより好ましい。上記重合体は単独重合体であっても、共重合体であってもよい。硬化性組成物が上記化合物を含むことにより、硬化性組成物の粘度を所望の範囲内とすることができ、硬化性組成物が金型上から漏れ出すことを抑制することができる。さらに、硬化性組成物が上記化合物を含むことにより、半硬化物の25℃における複素粘度を所望の範囲とすることができ、光学素子の低温耐久性を高めることができる。
上述したような重合体の分子量は、1,000〜10,000,000であることが好ましく、2,000〜170,000であることがより好ましく、4,000〜150,000であることが特に好ましい。
また重合体のガラス転移温度(以下、Tgとも言う)は、50〜400℃であることが好ましく、70〜350℃であることがより好ましく、100〜300℃であることが特に好ましい。
硬化性組成物は、非共役ビニリデン基含有化合物を含むことがより好ましい。中でも、硬化性組成物は、下記一般式(1)で表される非共役ビニリデン基含有化合物を含むことが好ましく、下記一般式(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物を含むことがより好ましい。なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、R21とR22の組またはR25とR26の組のうち、いずれか一方の組のみにおいて2つの置換基の少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、いずれか一方の組のみにおいて2つの置換基の両方が水素原子であることがより好ましい。
R21およびR22はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、かつ、炭素数1〜5の炭化水素基が環を形成していないことが好ましい。R21およびR22のうち、一方のみが水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、かつ、炭素数1〜5の炭化水素基が環を形成していないことが好ましい。
本発明では、一般式(2)中、R21、R22、R25およびR26は、それぞれ独立に水素原子および炭素原子のみからなる置換基を表し、Aは脂環(非芳香性の炭化水素)構造であることが特に好ましい。
本発明で用いられる非共役ビニリデン基含有化合物の分子量は、100〜400であることが好ましく、120〜350であることがより好ましく、130〜300であることが特に好ましい。
非共役ビニリデン基含有化合物の入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。本発明では、化合物(B−1)のβ−カリオフィレンは特に好ましく用いられ、商業的に入手する場合は、井上香料社製のβ−カリオフィレンなどを好ましく用いることができる。
合成により製造する場合は、一般式(1)又は(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法で合成することができる。例えば、本発明に好ましく用いることができるβ−カリオフィレンを合成する場合は、J.Am.Chem.Soc.85,362(1964)、Tetrahedron Lette.,24,1885(1983)に記載の方法などで、合成することができる。
本発明で用いる硬化性組成物は、さらに(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が1,000以下の化合物をいう。
一般式(3)中、L1は、単結合または2価のアルキレン基であることが好ましく、単結合またはメチレン基であることがより好ましく、単結合であることが特に好ましい。
一般式(3)中、B1は炭素数5〜15の1価の脂環基であることが好ましく、炭素数7〜15の1価の脂環基であることがより好ましく、炭素数8〜12の1価の脂環基であることが特に好ましい。B1は2以上の環が縮合した縮合環であることが好ましく、2または3の環が縮合した縮合環であることがより好ましい。また、B1は脂環構造中に二重結合を有していないことが好ましい。
一般式(4)中、L2およびL3はそれぞれ独立に単結合または2価のアルキレン基であることが好ましく、単結合またはメチレン基であることがより好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
一般式(4)中、B2は炭素数5〜15の2価の脂環基であることが好ましく、炭素数7〜15の2価の脂環基であることがより好ましく、炭素数8〜12の2価の脂環基であることが特に好ましい。B1は2以上の環が縮合した縮合環であることが好ましく、2または3の環が縮合した縮合環であることがより好ましい。また、B2は脂環構造中に二重結合を有していないことが好ましい。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば以下の物を用いることができる。トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH(エピクロロヒドリン)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート。
その中でも、本発明では脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることが好ましく、脂環構造を有する2価の(メタ)アクリレートモノマーを用いることがより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが特に好ましく、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートがより特に好ましい。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば以下の物を用いることができる。1−アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル(メタ)アクリレート類、イソボロニル(メタ)アクリレートなどのノルボルニル(メタ)アクリレート類、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イルアクリレートなどのトリシクロデカン(メタ)アクリレート類、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO」変性クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート。
その中でも、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることが好ましく、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートおよびトリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イル(メタ)アクリレートがより好ましく、1−アダマンチルメタクリレートが特に好ましい。
本発明に好ましく用いられる(メタ)アクリレートモノマーの分子量は100〜500であることが好ましく、150〜400であることがより好ましく、200〜400であることが特に好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーの入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(化学式:Aa−1)(新中村化学工業社製)などを好ましく用いることができる。合成により製造する場合は、(メタ)アクリレートモノマーの製造方法としては特に制限はなく、公知の方法で合成することができる。
本発明で用いる硬化性組成物は、さらに光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。
本発明で用いる硬化性組成物は、さらに熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。このような熱ラジカル重合開始剤をあらかじめ硬化性組成物に添加しておくことで、半硬化工程において、熱重合を行うこともできる。
本発明で用いる硬化性組成物は、さらにヒドロペルオキシド化合物を含むことが好ましい。ヒドロペルオキシド化合物としては、分子内にヒドロペルオキシド基を有するヒドロペルオキシド系熱ラジカル重合開始剤を用いてもよく、このようなヒドロペルオキシド化合物は半硬化工程において熱重合を行わない場合においても含有されることが好ましい。硬化性組成物がヒドロペルオキシド化合物を含有することによって、非共役ビニリデン基含有化合物モノマーの重合中の連鎖移動を促進することができ、3次元構造のコントロール性を向上させることができるため、半硬化物の変形性を付与することができる。これにより、半硬化物の金型追従性をより高めることができ、有効径を大きくすることができる。
硬化性組成物は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上記以外の樹脂、モノマー、分散剤、可塑剤、熱安定剤、離型剤、シランカップリング剤などの添加剤を含有してもよい。例えば、モノマーとしてα―ピレン等を用いることができる。
本発明は、上記製造方法により製造された光学素子及び複合光学素子に関するものでもある。複合光学素子は、光学素子と透明基材が一体成形されたものである。
光学素子の波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率は75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上がさらに好ましい。なお、本明細書中における厚さ1mm換算の光線透過率は、厚さ1.0mmの光学素子を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
光学素子のガラス転移温度(Tg)は、120〜400℃であることが好ましく、150〜300℃であることがより好ましく、180〜300℃であることがさらに好ましい。
光学素子の最大厚みは0.1〜10mmであることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましく、0.15〜4mmであることがさらに好ましい。光学素子の最大直径は、1000m以下であればよいが、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。なお、光学素子の最大直径の下限値は0.5mmであることが好ましい。本発明の製造方法を用いることにより、光学素子の有効径を拡大することができ、最大直径が小さな光学素子の製造方法にも好ましく適用され得る。
本発明の光学素子及び複合光学素子は、例えば、デジタルカメラ用レンズ、車載カメラ用レンズ、プロジェクタ用(OHP(Overhead projector)、液晶プロジェクタ用など)レンズ、内視鏡用レンズ、放送用(テレビカメラ等の撮影装置用)レンズに使用される。また、本発明の光学素子及び複合光学素子は、眼鏡レンズ、携帯カメラ用レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、マイクロレンズアレイ、およびウェハレベルレンズアレイ(特許第3926380号公報、国際公開2008/102648号、特許第4226061号公報、特許第4226067号公報)等に使用してもよい。
実施例及び比較例で用いる硬化性組成物A1〜A7を各々調製した。表1に示す配合となるように各成分を混合し、硬化性組成物A1〜A7を調製した。
(メタ)アクリレートモノマーとして、新中村化学社製のA−DCP、大阪ガスケミカルズ社製のオグソールEA−0200(フルオレンモノマー)、大阪有機化学工業社製のビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート)を用いた。
直径20mm、厚み1mmからなる金型上に表1に記載の硬化性組成物を1μL滴下した。その後、Execure3000(HOYA(株)社製)を用いて活性エネルギー線を照射して、半硬化物を作製した。活性エネルギー線を照射して半硬化物を作製する際は、UVカットフィルター(LU0400、朝日分光社製)を用い、400nm以下の波長からなる光をカットした活性エネルギー線を照射した。次いで、得られた半硬化物に、透明基材を接触させた。透明基材には、半硬化物と接触する面の曲率半径が1.125mmであるものを用いた。半硬化物を透明基材と金型で挟み込み、金型を押し上げることで、0.015MPa(150gf/cm2)の圧力を透明基材に印加しながら、透明基材側から活性エネルギー線を照射することで本硬化を行った。本硬化工程では活性エネルギー線を、積算照度が2J/cm2となるように照射した。その後、金型を離型することで、光学素子(硬化物)と透明基材からなる複合光学素子を得た。
直径20mm、厚み1mmからなる金型上に表2に記載の硬化性組成物を1μL滴下した。その後、Execure3000(HOYA(株)社製)を用いて活性エネルギー線を照射して、半硬化物を作製した。次いで、得られた半硬化物に、透明基材を接触させた。透明基材には、半硬化物と接触する面の曲率半径が1.125mmであるものを用いた。半硬化物を透明基材と金型で挟み込み、金型を押し上げることで、0.015MPa(150gf/cm2)の圧力を透明基材に印加しながら、金型を200℃まで加温し、その後50℃まで冷却した。その後、金型を離型することで、光学素子(硬化物)と透明基材からなる複合光学素子を得た。
<複素粘度測定>
直径20mm、厚み1mmからなる金型上に表2に記載の硬化性組成物を0.2g滴下した。その後、Execure3000(HOYA(株)社製)を用いて活性エネルギー線を照射することで、半硬化物を作製した。次いで、レオストレスRS600(HAAKE社製)を用いて、25℃、10Hzにおける半硬化物の動的な複素粘度を測定した。なお、活性エネルギー線の照射は、酸素濃度2%以下の雰囲気下で行い、複素粘度が105〜108mPa.sの範囲内で最小粘度となるように照度を調整した。照度を調整しても半硬化体の複素粘度が上記範囲内に制御できない場合、複素粘度が105mPa.s以上で最小複素粘度となる照度で半硬化体を作製した。
UA3P−300(パナソニック社製)により、光学素子の直径(形状)を測定した。実施例及び比較例で成形された硬化物の形状測定値(硬化物直径)は1.7mmであった。図3には、実施例及び比較例で成形された光学素子100の形状が示されている。図3では光学素子100の形状測定値はAで示されており、硬化物の凸部120から許容形状誤差Fの範囲内にある光学素子100の直径が有効径Bとして示されている。なお、本発明では、許容形状誤差Fを7μmとし、光学素子100の有効径Bを算出した。
複合光学素子を1枚成形するのに要する時間を計測し、下記評価基準で評価した。
A:複合光学素子の成形時間が15分/枚よりも短い。
B:複合光学素子の成形時間が15分/枚以上である。
実施例及び比較例で作製した複合光学素子を−20℃の恒温槽に保管し、光学素子にクラックが発生する時間、又は光学素子が透明基材から剥離する剥離故障が生じる時間を記録し、下記評価基準で評価した。
5:72時間経過時までクラックが発生しない、又は、72時間経過時まで剥離故障が生じない。
4:48時間以上72時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
3:24時間以上48時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
2:12時間以上24時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
1:12時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
12 充填部
14 外周面
15 透明基材
20 胴型
22 内周面
25 透明基材保持部
30 ディスペンサ
90 硬化性組成物
95 半硬化物
100 光学素子
120 凸部
150 複合光学素子
U 活性エネルギー線
HU 熱エネルギー線又は活性エネルギー線
A 形状測定値(光学素子直径)
B 有効径
F 許容形状誤差
C 胴型の内周面と、金型の外周面の間の距離(クリアランス)
Claims (11)
- 硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、前記半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、
前記半硬化物を得る工程は、前記硬化性組成物を金型上に充填し、前記硬化性組成物を加熱する、又は前記硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、
前記半硬化物をさらに硬化させる工程は、前記半硬化物に透明基材を接触させ、前記透明基材側から前記半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である光学素子の製造方法。 - 前記半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×105〜1.0×108mPa・sの半硬化物を得る工程である請求項1に記載の光学素子の製造方法。
- 前記半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×105〜1.0×106mPa・sの半硬化物を得る工程である請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
- 前記半硬化物をさらに硬化させる工程は、金型と、胴型と、前記透明基材で包囲された前記半硬化物を、加圧しながら活性エネルギー線によって硬化する工程であり、
前記胴型は、金型の外側領域に周設され、
前記胴型は、前記透明基材に接触して配置され、
前記半硬化物を加圧した際には、前記半硬化物の一部が前記胴型の内周面に接触する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。 - 前記胴型の内周面と、前記金型の外周面の間の距離が0.1mm以下である請求項4に記載の光学素子の製造方法。
- 前記硬化性組成物が、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- 前記硬化性組成物が、さらにヒドロペルオキシド化合物を含む請求項6又は7に記載の光学素子の製造方法。
- 硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、前記半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、
前記半硬化物を得る工程は、前記硬化性組成物を金型上に充填し、前記硬化性組成物を加熱する、又は前記硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、
前記半硬化物をさらに硬化させる工程は、前記半硬化物に透明基材を接触させ、前記透明基材側から前記半硬化物に活性エネルギー線を照射することで、前記透明基材と前記光学素子を一体成形する工程である複合光学素子の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造された光学素子。
- 請求項9に記載の製造方法で製造された複合光学素子。
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