JP2017008170A - 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子 - Google Patents

光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2017008170A
JP2017008170A JP2015123532A JP2015123532A JP2017008170A JP 2017008170 A JP2017008170 A JP 2017008170A JP 2015123532 A JP2015123532 A JP 2015123532A JP 2015123532 A JP2015123532 A JP 2015123532A JP 2017008170 A JP2017008170 A JP 2017008170A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semi
cured product
optical element
mold
curable composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015123532A
Other languages
English (en)
Inventor
直之 師岡
Naoyuki Morooka
直之 師岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2015123532A priority Critical patent/JP2017008170A/ja
Publication of JP2017008170A publication Critical patent/JP2017008170A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、より生産性の高い光学素子の製造方法であって、有効径が大きな光学素子の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、半硬化物を得る工程は、硬化性組成物を金型上に充填し、硬化性組成物を加熱する、又は硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、半硬化物をさらに硬化させる工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である光学素子の製造方法に関する。さらに本発明は、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、光学素子の製造方法及び複合光学素子の製造方法に関する。さらに、本発明は、上記製造方法で製造された光学素子及び複合光学素子に関するものでもある。
従来、レンズ等の光学素子にはガラス材料が用いられていた。ガラス材料は様々な光学特性を備えており、環境耐性に優れるため好ましく用いられてきたが、軽量化や小型化が容易ではなく、加工性や生産性が悪いという欠点を有していた。これに対し、樹脂硬化物は、大量生産が可能であり、加工性にも優れているため、様々な光学素子に用いられるようになってきている。
近年、撮像モジュールの小型化に伴い、撮像モジュールに用いられる光学素子を小型化することが求められている。また、金型転写性や生産性を高めることで、高品質の光学素子を安価に製造する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、硬化性組成物の半硬化物を加熱加圧成形して硬化物(光学素子)を製造する方法が開示されている。特許文献1においては、上記製造方法を用いることにより、金型転写性を高めることができ、光学素子を製造する際に泡が混入することを抑制できるとされている。
特開2013−205809号公報
上述したように、特許文献1に記載されたような製造方法を採用することによって、光学素子の生産性等を高めることが提案されている。しかし、近年は、光学素子の量産化が進んでいることもあり、より一層の生産性の向上が求められていた。
また、近年は、光学素子の小型化が加速している。このような小型光学素子においては、良好な光学特性を発揮し得る光学素子の有効径をできる限り大きくすることが求められている。従来の製造方法では、有効径の拡大に限界があり、有効径をできる限り大きくする製造方法の開発が望まれていた。
そこで本発明者は、このような従来技術の課題を解決するために、より生産性の高い光学素子の製造方法であって、有効径が大きな光学素子の製造方法を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者は、光学素子の製造方法において、硬化性組成物を半硬化させる工程と、活性エネルギー線を照射することによって半硬化物を硬化させる工程を設けることにより、光学素子の生産性を高め、かつ有効径の大きな光学素子を製造し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、半硬化物を得る工程は、硬化性組成物を金型上に充填し、硬化性組成物を加熱する、又は硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、半硬化物をさらに硬化させる工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である光学素子の製造方法。
[2]半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を得る工程である[1]に記載の光学素子の製造方法。
[3]半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を得る工程である[1]又は[2]に記載の光学素子の製造方法。
[4]半硬化物をさらに硬化させる工程は、金型と、胴型と、透明基材で包囲された半硬化物を、加圧しながら活性エネルギー線によって硬化する工程であり、胴型は、金型の外側領域に周設され、胴型は、透明基材に接触して配置され、半硬化物を加圧した際には、半硬化物の一部が胴型の内周面に接触する[1]〜[3]のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
[5]胴型の内周面と、金型の外周面の間の距離が0.1mm以下である[4]に記載の光学素子の製造方法。
[6]硬化性組成物が、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
[7]硬化性組成物が、下記一般式(2)で表される化合物を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の光学素子の製造方法;
Figure 2017008170
一般式(2)中、R21、R22、R25およびR26は、それぞれ独立に置換基を表し、Aは環状構造を形成するために必要な原子団を表す。
[8]硬化性組成物が、さらにヒドロペルオキシド化合物を含む[6]又は[7]に記載の光学素子の製造方法。
[9]硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、半硬化物を得る工程は、硬化性組成物を金型上に充填し、硬化性組成物を加熱する、又は硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、半硬化物をさらに硬化させる工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射することで、透明基材と光学素子を一体成形する工程である複合光学素子の製造方法。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法で製造された光学素子。
[11][9]に記載の製造方法で製造された複合光学素子。
本発明の製造方法によれば、光学素子の生産性を高めることができる。また、本発明の製造方法によれば、光学素子の有効径を大きくすることができる。有効径の拡大は、良好な光学特性を発揮し得る領域を広くすることに繋がるため、元々の直径が小さい小型光学素子では、有効径拡大の重要度は高い。すなわち、本発明の製造方法は特に小型光学素子の製造方法に適した方法である。
図1は、本発明で用いる金型及び胴型の構成を説明する概略図である。 図2は、本発明の光学素子の製造方法を説明する工程概略図である。 図3は、本発明の光学素子の製造方法で製造された光学素子の断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(光学素子の製造方法)
本発明は、硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを含む光学素子の製造方法に関する。ここで、半硬化物を得る工程は、硬化性組成物を金型上に充填し、硬化性組成物を加熱する、又は硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程である。また、半硬化物をさらに硬化させる工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である。
ここで、本明細書中の「半硬化物」とは、硬化性組成物を重合したものであるが、完全に固体となっておらず、ある程度流動性を有する状態の物を意味する。具体的には、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が1×10〜1×10mPa・sの状態の硬化性組成物の重合体(光重合体及び/又は熱重合体)を半硬化物という。
また、本明細書中の光学素子は半硬化物をさらに硬化することで得た「硬化物」と同義であり、「硬化物」は完全に固体となっている状態の物を意味する。
なお、本明細書中における光学素子とは、光学部材又は光学部品を意味するものでもあり、具体的にはレンズ等を挙げることができる。
従来の光学素子の製造工程では、硬化性組成物は、熱又は活性エネルギー線で瞬時に硬化させられており、透明基材と組み合わせて硬化させる場合等において金型転写性が悪かった。また光学素子を作製する際に泡が混入し、不良品の割合が高くなりやすかった。これに対し、本発明では、半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程とを有することにより、硬化性組成物の金型転写性を良化させることができる。また、本発明は、半硬化物を得る工程と、半硬化物をさらに硬化させる工程の2段階工程を有するため、作製時の泡混入を抑制することができ、不良品割合を低くすることができる。すなわち、本発明の製造方法では、光学素子の生産性を高めることができる。さらに本発明の半硬化物をさらに硬化させる工程では、活性エネルギー線を用いており、このことによって、光学素子の生産性を格段に高めることができる。
本発明の半硬化物をさらに硬化する工程は、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である。本発明では、半硬化物を上記の方法で硬化させることにより、得られる光学素子の金型転写性をさらに良化させることができ、有効径を大きくとることができる。特に小型の光学素子においては、有効径を大きくし、光学特性を発揮し得る領域を広げることが求められており、本発明の製造方法は好ましく用いられる。より具体的には、本発明の光学素子の製造方法は、最大直径が10mm以下の光学素子を成形する方法であってもよく、最大直径が5mm以下の光学素子を成形する方法であってもよく、最大直径が3mm以下の光学素子を成形する方法であってもよい。
本発明の光学素子の製造方法においては、硬化性組成物を充填する金型と、半硬化物に接触することで成形金型となる透明基材が用いられる。金型は半硬化工程と半硬化物をさらに硬化させる工程(以下、本硬化工程ということもある)で同一のものを用いることが好ましい。すなわち、半硬化工程で用いた金型上で半硬化物を形成した後に、その金型上でさらに本硬化工程を行うことが好ましい。なお、半硬化工程と本硬化工程は異なる金型上で行われてもよく、ある金型で形成された半硬化物を別の金型に移動させて本硬化工程を行ってもよい。このような場合、半硬化物は、例えば、シリンジ、バキュームパッド及び真空発生器を有するエアピンセットなどを用いて別の金型に移動させることができる。
本発明の光学素子の製造方法では、本硬化工程において、胴型を用いて成形を行うことが好ましい。具体的には、本硬化工程は、金型と、胴型と、透明基材で包囲された半硬化物を、加圧しながら活性エネルギー線によって硬化する工程であることが好ましい。ここで、半硬化物が「包囲された」状態とは、半硬化物が、少なくとも金型と、胴型と、透明基材で囲まれた状態をいう。なお、この場合、金型と、胴型と、透明基材は、半硬化物に接していても、接していなくてもよい。
本発明の光学素子の製造方法においては、胴型は、金型の外側領域に周設される。図1には、本発明で用いる金型及び胴型の構成を説明する概略図が示されている。図1(a)は、金型10の外側領域に周設された胴型20の平面図であり、金型10の硬化性組成物の充填部12を垂直方向から見た図である。また、図1(b)は、図1(a)において金型10と胴型20をX1−X2方向に切断した際の断面図である。
本発明の光学素子の製造方法においては、半硬化物をさらに硬化させる工程で透明基材を用いる。なお、後述するように透明基材は胴型と共に移動(上下移動)できることが好ましく、胴型20には、透明基材保持部25が設けられていることが好ましい。
図2は、本発明の光学素子の製造方法を説明する工程概略図である。本発明の光学素子の製造方法においては、金型10と透明基材15を用いて半硬化物を加圧成形してもよいが、金型10と透明基材15と胴型20を用いて半硬化物を加圧成形することが好ましい。この場合、光学素子の製造工程においては図2(a)に示されているように金型10の外側領域に胴型20を周設することが好ましい。
図2(b)に示されているように硬化性組成物90は、金型10の充填部12に充填される。硬化性組成物90は液体状であることが好ましく、この場合、ディスペンサ30等によって充填部12に滴下されることが好ましい。なお、この際の滴下量(充填量)は、半硬化を行った際に、半硬化物の体積が、半硬化物を加圧した際に少なくとも金型と透明基材とで形成される包囲容積に相当するように調整することが好ましい。
また、硬化性組成物90は、金型10の充填部12の外部に漏れ出さないように、一定以上の粘度を有することが好ましい。硬化性組成物の液粘度(半硬化前の液粘度)は、1,000〜20,000mPa・sであることが好ましく、3,000〜15,000mPa・sであることがより好ましく、4,000〜12,000mPa・sであることがさらに好ましい。一定以上の粘度を有する硬化性組成物90は、後述するように硬化性組成物90に含まれる化合物を適宜選択することによって得ることができる。
図2(c)に示されているように、金型10の充填部12に充填された硬化性組成物90には、熱エネルギー線又は活性エネルギー線HUが照射される。このように、硬化性組成物90を加熱する、又は硬化性組成物90に活性エネルギー線を照射することにより、硬化性組成物90を半硬化物95とする。このような半硬化を得る工程は、例えば硬化性組成物90に金型10と透明基材が各々接する状態で行われてもよいが、図2(c)のように金型10上で上部を開放した状態で行われてもよい。
半硬化物を得る工程では、25℃における複素粘度が1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を形成することが好ましく、1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を形成することがより好ましく、1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を形成することがさらに好ましい。半硬化物の25℃における複素粘度は、25℃、10Hzにおける動的な複素粘度であり、具体的にはHAAKE社製レオストレスRS600を用いて測定することができる。
半硬化物の25℃における複素粘度を上記範囲内とすることにより、光学素子の低温耐久性をより高めることができる。なお、半硬化物の25℃における複素粘度は、後述するように硬化性組成物に含まれる化合物を適宜選択することによって調整することができる。
半硬化物を得る工程では、活性エネルギー線として紫外線や可視光線を用いることが好ましい。活性エネルギー線としては、例えば、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、殺菌ランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)光源ランプなどが好適に使用される。また、活性エネルギー線を照射する際の雰囲気は、空気中または不活性ガス置換あることが好ましく、酸素濃度が1%以下になるまで窒素置換した雰囲気であることがより好ましい。
半硬化物を得る工程における活性エネルギー線の照射条件は、硬化性組成物の厚み方向(すなわち活性エネルギー線照射方向)において均一な半硬化状態となる条件であることが好ましい。具体的には、硬化性組成物の厚み1mmにおける活性エネルギー線の透過率が40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。加えて、その活性エネルギー線の照射波長で光ラジカル重合開始剤が開裂し、ラジカルが発生する照射条件を採用することが好ましい。
硬化性組成物に照射する活性エネルギー線の照射波長は、UVカットフィルターやUVカットガラスを用いて、特定の波長域のみを取り出すことで制御できる。UVカットフィルターやUVカットガラスを用いることによって、開裂する波長領域が異なる2種類以上の光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。なお、照射強度、および照射時間には、特に制限はなく、目的とする半硬化状態(複素粘度)に制御できる強度と時間を選択すればよい。
半硬化物を得る工程で硬化性組成物を加熱する場合、熱成形用成形型を用いることが好ましい。熱成形用成形型は一般に2つの成形型を組み合わせて内容物に加圧しながら加熱することができる構成となっていることが好ましく、このような成形型としては金型が好ましく用いられる。熱成形用成形型としては、例えば、特開2009−126011号公報に記載のものを用いることができる。
図2(c)に示されているような工程で半硬化物95を得た後には、半硬化物95に透明基材15を接触させる。図2(d)に示されているように、透明基材15は胴型20の透明基材保持部25に接触した状態で保持されていることが好ましく、このような場合、透明基材15を保持する胴型20を半硬化物95が存在する方向に(図2(c)においては下降)させる、又は、半硬化物95を保持する金型10を透明基材15が存在する方向に(図2(c)においては上昇)させることにより、半硬化物95に透明基材15を接触させることが好ましい。このように、半硬化物95は、少なくとも金型10と透明基材15に挟まれた状態となる。この場合、金型10と透明基材15は接触してもよいし、接触しなくてもよい。
なお、胴型20は、透明基材15に接触して配置されていることが好ましいが、胴型20は、半硬化物95を加圧することにより透明基材15に接触するように配されていればよい。本明細書において、胴型20と透明基材15が接触する状態とは、胴型20と透明基材15が面接触又は線接触する状態をいう。
図2(e)に示されているように、金型10と透明基材15と胴型20で半硬化物95を挟み込んだ後には、透明基材15側から活性エネルギー線Uを照射する。この際、半硬化物95は加圧されることが好ましい。半硬化物95の加圧は、半硬化物95を透明基材15と金型10で挟み込み、例えば、金型10を押し上げることで、行うことができる。加圧する際には、0.001〜100MPaの圧力が透明基材に印加される条件とすることが好ましい。このように、半硬化物95に活性エネルギー線Uが照射されることにより、半硬化物はさらに硬化し、硬化物(光学素子100)となる。なお、図2(e)の工程は、本硬化工程と呼ぶこともできる。本硬化工程で用いる活性エネルギー線としては、半硬化物を得る工程で用いることができる活性エネルギー線と同様のものを列挙することができ、照射雰囲気も同様であることが好ましい。
本硬化工程における活性エネルギー線の照射条件は、硬化性組成物を完全硬化状態にできれば、特に制限はない。ここでいう完全硬化状態とは、活性エネルギー線をさらに照射しても、硬化性組成物のガラス転移温度が実質的に変化しない状態をいう。ここで、実質的に変化しない状態とは、ガラス転移温度の上昇が5℃以内である状態のことをいう。
本硬化工程は、金型10と、胴型20と、透明基材15で包囲された半硬化物95を、加圧しながら活性エネルギー線によって硬化する工程であることが好ましい。半硬化物95を加圧した際には、半硬化物95の一部が胴型20の内周面22に接触する。内周面22は、図2(e)では、金型10との距離が最も短い胴型20の側辺として表されている。半硬化物95の一部が胴型20の内周面22に接触することにより、半硬化物95を硬化した際に、硬化物(光学素子100)の外周縁は円筒形となる。この場合、硬化物(光学素子100)の厚み方向の断面を見た場合、外周縁の厚み方向には直線部(エッジ)が形成される。本発明では、このように外周縁に直線部(エッジ)が形成されることにより、光学素子の有効径を大きくすることができる。
硬化物(光学素子100)のエッジ長さは、光学性能に影響のない範囲であれば特に制限はないが、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上が有効径拡大の観点で好ましい。エッジ長さの上限値も、光学性能に影響のない範囲で特に制限はないが、1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下が低温保管における耐クラック性の観点で好ましい。
図2(e)の本硬化工程の後には、金型10から光学素子100を離型させる工程を有することが好ましい(図2(f))。離型させる工程では、透明基材15を保持した状態で胴型20を上昇させるか、又は、金型10のみを下降させる。本発明では、本硬化工程において活性エネルギー線を用いているため、本硬化工程の後、冷却工程等を設ける必要がなく、離型工程を進めることができる。このため、光学素子100の生産時間を短縮することができ、生産性を高めることができる
なお、本発明では、図2(g)に示されているようにさらに光学素子100を透明基材15から離型する工程を含んでいてもよい。すなわち、本発明は光学素子100を製造する方法であってもよく、透明基材15と光学素子100を一体成形する複合光学素子150の製造方法であってもよい。
上述したように本発明の光学素子の製造工程では、胴型20を用いることが好ましい。この場合、金型10と胴型20は接するように配置されていてもよいが、図1(a)及び(b)に示されているように、金型10と胴型20の間には、僅かな空間が設けられていることが好ましい。このような空間は、胴型20の内周面22と、金型10の外周面14の間に設けられるものであり、胴型20の内周面22と、金型10の外周面14の間の距離(クリアランス)は0.1mm以下であることが好ましい。胴型20の内周面22と、金型10の外周面14の間の距離は0.05mm以下であることがより好ましく、胴型20の内周面22と、金型10の外周面14の間の距離の下限値は0.001mmであってもよい。上記クリアランスは、本硬化工程において上記数値範囲内であることが好ましい。クリアランスは、例えば、異なる線膨張係数を有する材質の金型および胴型を用い、それらに熱をかけることで制御することとしてもよい。
(光学素子の製造装置)
本発明は、上記の製造工程を行う製造装置に関するものであってもよい。具体的には、光学素子の製造装置は、金型と、透明基材と、胴型とを有する。胴型は、金型の外側領域に周設されたものである。また、胴型は、透明基材に接触して配置されていることが好ましい。ここで、胴型と透明基材が接触して配置された状態は、胴型と透明基材が面接触又は線接触して配置された状態をいう。
胴型と金型の間には、僅かな空間が設けられていることが好ましい。このような空間は、胴型の内周面と、金型の外周面の間に設けられるものであり、胴型の内周面と、金型の外周面の間の距離(クリアランス)は0.1mm以下であることが好ましく、0.05mm以下であることがより好ましい。なお、クリアランスの下限値は0.001mmであってもよい。
(金型)
本発明で用いる金型は、硬化性組成物を硬化する際に用いられるものであり、硬化性組成物や半硬化物を保持し得るものである。金型上には硬化性組成物が充填され、金型上で硬化性組成物が半硬化及び本硬化することが好ましい。なお、半硬化工程と本硬化工程では、同一の金型が用いられることが好ましいが、異なる金型が用いられてもよい。
金型は、硬化性組成物を充填する充填部を有することが好ましく、充填部は金型上部に凹部として形成されていることが好ましい。金型の充填部の曲率半径は1〜5mmであることが好ましい。
金型の直径は1〜1000mmであることが好ましく、1〜10mmであることがより好ましく、1〜5mmであることがさらに好ましい。また、金型の凹部の周辺には水平領域が設けられていてもよく、水平領域を構成する幅は金型の直径の5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。なお、金型は水平領域を有さずに金型上部は凹部のみから構成されていてもよい。
半硬化物を得る工程で硬化性組成物を加熱する場合、熱成形用成形型を用いることが好ましい。熱成形用成形型は一般に2つの成形型を組み合わせて内容物に加圧しながら加熱することができる構成となっていることが好ましく、このような成形型としては金型が好ましく用いられる。熱成形用成形型としては、例えば、特開2009−126011号公報に記載のものを用いることができる。
(透明基材)
本発明では、透明基材が用いられる。透明基材は特に本硬化工程で用いられることが好ましい。本硬化工程では、半硬化物に透明基材を接触させ、透明基材側から半硬化物に活性エネルギー線を照射することで半硬化物の硬化を行う。
透明基材の直径は1〜1000mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。透明基材の曲率半径は0.5〜5mmであることが好ましい。
本発明で用いる透明基材は、レンズ基材であることが好ましい。本明細書中において「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、レンズ基材に付加される部材であり、本明細書中でいうレンズ基材そのものとは区別される。
透明基材は、例えばガラス材であることが好ましい。ガラス材としては、特に制限はないが、ガラスレンズ、平板形状ガラス、ガラスプリズム、ガラスミラーなどを挙げることができる。透明基材の表面には、シランカップリング剤を用いて表面処理を施すことが好ましく、特に透明基材としてガラス材を用いる場合は、シランカップリング処理は好ましい処理である。このようなシランカップリング処理を行うことにより、透明基材と半硬化物の密着性をより高めることができる。なお、シランカップリング剤としては、信越化学工業社製のKBM−503やKBM−5103などを好適に用いることができる。
(胴型)
胴型としては、公知の材質で形成したものを用いることができる。例えば、SUS製の胴型を用いることができる。胴型は、透明基材に接触して配置されることが好ましく、胴型には、透明基材保持部が設けられていることが好ましい。
<<硬化性組成物>>
本発明の光学素子の製造方法に用いる硬化性組成物は、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を含むことが好ましい。硬化性組成物は、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種の重合性基を有する重合体を含むことが好ましい。中でも、アリル基、ビニリデン基及びビニル基から選択される少なくとも1種の重合性基を有する重合体を含むことがより好ましい。上記重合体は単独重合体であっても、共重合体であってもよい。硬化性組成物が上記化合物を含むことにより、硬化性組成物の粘度を所望の範囲内とすることができ、硬化性組成物が金型上から漏れ出すことを抑制することができる。さらに、硬化性組成物が上記化合物を含むことにより、半硬化物の25℃における複素粘度を所望の範囲とすることができ、光学素子の低温耐久性を高めることができる。
以下において、本発明に好ましく用いられる重合体の具体例を列挙するが、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
アリル基を有する重合体
Figure 2017008170
ビニル基を有する重合体
Figure 2017008170
さらに、硬化性組成物は、メタクリル基及びアクリル基から選択される少なくともひとつの重合性基を有する重合体を含んでいてもよい。
メタクリル基を側鎖に有する重合体
Figure 2017008170
アクリル基を側鎖に有する重合体
Figure 2017008170
(分子量)
上述したような重合体の分子量は、1,000〜10,000,000であることが好ましく、2,000〜170,000であることがより好ましく、4,000〜150,000であることが特に好ましい。
(ガラス転移温度(Tg))
また重合体のガラス転移温度(以下、Tgとも言う)は、50〜400℃であることが好ましく、70〜350℃であることがより好ましく、100〜300℃であることが特に好ましい。
本発明の光学素子の製造方法では、硬化性組成物の全質量に対し、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を5〜50質量%含有することが好ましく、10〜50質量%含有することがより好ましく、20〜35質量%含有することが特に好ましい。上記化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、硬化性組成物の粘度や半硬化物の25℃における複素粘度を所望の範囲に調整しやすくなり、光学素子の生産性や光学素子の低温耐久性を高めることができる。
<非共役ビニリデン基含有化合物>
硬化性組成物は、非共役ビニリデン基含有化合物を含むことがより好ましい。中でも、硬化性組成物は、下記一般式(1)で表される非共役ビニリデン基含有化合物を含むことが好ましく、下記一般式(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物を含むことがより好ましい。なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
Figure 2017008170
一般式(1)中、R21〜R26は、それぞれ独立に置換基を表し、R21〜R26のうち少なくとも1つが環を形成しているか、少なくとも2つが互いに結合して環を形成している。但し、一般式(1)で表される非共役ビニリデン基含有化合物は、(メタ)アクリロイル基を含まない。
一般式(1)中、R21〜R26が表す置換基に特に制限はなく、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、芳香環基、複素芳香環基、脂環基等を挙げることができる。中でも、R21〜R26は、水素原子、アルキル基、アルケニル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基であることがより好ましい。
21〜R26が形成する環は、芳香環であっても、複素芳香環であっても、非芳香性の環であってもよい。その中でも、R21〜R26が形成する環は、非芳香性の環であることが好ましく、非芳香性の炭化水素環であることがより好ましい。また、R21〜R26が形成する環は、さらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基がより好ましい。また、R21〜R26が形成する環が、さらに置換基を有する場合は、その置換基同士が結合して縮合環を形成してもよい。
一般式(1)で表される非共役ビニリデン基含有化合物においてR21〜R26が形成する環は、1つであっても、複数であってもよい。また、R21〜R26が形成する環が複数である場合は、互いに独立した複数の環であっても、互いに独立した複数の環同士が縮合した縮合環であっても、上述のように1つの環がさらに置換基を有する場合はその置換基同士が結合した縮合環であってもよい。中でも、R21〜R26が形成する環は、複数の環が縮合した縮合環であることがより好ましく、1つの環がさらに置換基を有する場合はその置換基同士が結合した縮合環であることが特に好ましい。なお、後述の具体例化合物のように2つの環がスピロ縮合をしている態様も、縮合環に含まれる。また、R21とR22の結合している炭素原子、および、R25とR26の結合している炭素原子のうち、一方の炭素原子は不斉炭素原子であることが好ましい。
一般式(1)で表される非共役ビニリデン基含有化合物としては、2〜5の環が縮合した縮合環を含むことが好ましく、2または3の環が縮合した縮合環を含むことがより好ましい。また、縮合環を構成するそれぞれの環の環員数は、3〜10であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、4〜9であることが特に好ましい。
21〜R26のうち、(a)少なくとも1つが環を形成しているか、(b)少なくとも2つが互いに結合して環を形成している。中でも、非共役ビニリデン基含有化合物は、R21〜R26のうち、(b)少なくとも2つが互いに結合して環を形成している場合が好ましい。この場合、非共役ビニリデン基含有化合物は下記一般式(2)で表されることが好ましい。
Figure 2017008170
一般式(2)中、R21、R22、R25およびR26は、それぞれ独立に置換基を表し、Aは環状構造を形成するために必要な原子団を表す。
一般式(2)中、R21、R22、R25およびR26が表す置換基の好ましい範囲は、一般式(1)におけるR21〜R26の好ましい範囲と同様である。また、R21、R22、R25およびR26は、さらに互いに結合して環を形成していてもよく、その環はさらに置換基を有していてもよい。
また、R21とR22の組またはR25とR26の組のうち、いずれか一方の組のみにおいて2つの置換基の少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、いずれか一方の組のみにおいて2つの置換基の両方が水素原子であることがより好ましい。
21およびR22はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、かつ、炭素数1〜5の炭化水素基が環を形成していないことが好ましい。R21およびR22のうち、一方のみが水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、かつ、炭素数1〜5の炭化水素基が環を形成していないことが好ましい。
一般式(2)中、Aは環状構造を形成するために必要な原子団を表し、その環状構造としては、特に制限はなく、公知の環状構造でよい。環状構造としては、例えば、脂環(非芳香性の炭化水素環)、芳香環、複素環、−CO−を含むラクトン環などを挙げることができる。中でも、Aは、一般式(2)のAに連結する炭素原子および非共役ビニリデン基を構成する炭素原子を含めて炭素数4〜10の脂環を形成するために必要な原子団であることが好ましく、一般式(2)のAに連結する炭素原子および非共役ビニリデン基を構成する炭素原子を含めて炭素数5〜9の脂環を形成するために必要な原子団であることが特に好ましい。この脂環はさらなる置換基を有していてもよく、その好ましい置換基はR21、R22、R25およびR26が形成する環が有していてもよいさらなる置換基の範囲と同様である。また、Aは、不飽和の脂環であっても、飽和の脂環であってもよいが、一般式(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物全体として、少なくとも1つの不飽和結合を有することが好ましい。また、Aは、R21、R22、R25およびR26が表す置換基とさらに縮合環を形成していてもよい。
本発明では、一般式(2)中、R21、R22、R25およびR26は、それぞれ独立に水素原子および炭素原子のみからなる置換基を表し、Aは脂環(非芳香性の炭化水素)構造であることが特に好ましい。
本発明では、一般式(1)又は(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物がビニリデン基(非共役ビニリデン基)以外にさらに別のアルケニル基を有することが好ましい。一般式(1)又は(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物の有する非共役ビニリデン基以外のビニリデン基の位置としては特に制限はない。その中でも一般式(1)又は(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物は、非共役ビニリデン基以外のビニリデン基が、R21、R22、R25およびR26が形成する環に位置することが好ましい。すなわち、R21、R22、R25およびR26が形成する環は、少なくとも1つの不飽和炭化水素環を含むことが特に好ましく、少なくとも1つの二重結合を1つのみ有する不飽和炭化水素環を含むことがより特に好ましい。
以下において、本発明で用いることができる非共役ビニリデン基含有化合物の具体例を列挙するが、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
Figure 2017008170
Figure 2017008170
(分子量)
本発明で用いられる非共役ビニリデン基含有化合物の分子量は、100〜400であることが好ましく、120〜350であることがより好ましく、130〜300であることが特に好ましい。
(入手方法)
非共役ビニリデン基含有化合物の入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。本発明では、化合物(B−1)のβ−カリオフィレンは特に好ましく用いられ、商業的に入手する場合は、井上香料社製のβ−カリオフィレンなどを好ましく用いることができる。
合成により製造する場合は、一般式(1)又は(2)で表される非共役ビニリデン基含有化合物の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法で合成することができる。例えば、本発明に好ましく用いることができるβ−カリオフィレンを合成する場合は、J.Am.Chem.Soc.85,362(1964)、Tetrahedron Lette.,24,1885(1983)に記載の方法などで、合成することができる。
硬化性組成物中における、上記非共役ビニリデン基含有化合物の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましい。
<(メタ)アクリレートモノマー>
本発明で用いる硬化性組成物は、さらに(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が1,000以下の化合物をいう。
本発明で用いられる(メタ)アクリレートモノマーは、脂環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むことが好ましい。すなわち、(メタ)アクリレートモノマーは下記一般式(3)または(4)で表されることが好ましい。
Figure 2017008170
一般式(3)中、Lは単結合または2価の連結基を表し、Bは1価の脂環基を表す。
一般式(3)中、Lは、単結合または2価のアルキレン基であることが好ましく、単結合またはメチレン基であることがより好ましく、単結合であることが特に好ましい。
一般式(3)中、Bは炭素数5〜15の1価の脂環基であることが好ましく、炭素数7〜15の1価の脂環基であることがより好ましく、炭素数8〜12の1価の脂環基であることが特に好ましい。Bは2以上の環が縮合した縮合環であることが好ましく、2または3の環が縮合した縮合環であることがより好ましい。また、Bは脂環構造中に二重結合を有していないことが好ましい。
Figure 2017008170
一般式(4)中、LおよびLはそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、Bは2価の脂環基を表す。
一般式(4)中、LおよびLはそれぞれ独立に単結合または2価のアルキレン基であることが好ましく、単結合またはメチレン基であることがより好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
一般式(4)中、Bは炭素数5〜15の2価の脂環基であることが好ましく、炭素数7〜15の2価の脂環基であることがより好ましく、炭素数8〜12の2価の脂環基であることが特に好ましい。Bは2以上の環が縮合した縮合環であることが好ましく、2または3の環が縮合した縮合環であることがより好ましい。また、Bは脂環構造中に二重結合を有していないことが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーは、多官能(メタ)アクリレートモノマーと単官能(メタ)アクリレートモノマーに分けることができる。ここで、多官能(メタ)アクリレートモノマーとは官能基が複数である(メタ)アクリレートモノマーのことを言い、単官能(メタ)アクリレートモノマーとは官能基が1つである(メタ)アクリレートモノマーのことを言う。なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレートモノマーの官能基”とは、重合反応に関与するエチレン性不飽和結合のことを言う。
(多官能(メタ)アクリレートモノマー)
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば以下の物を用いることができる。トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH(エピクロロヒドリン)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート。
その中でも、本発明では脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることが好ましく、脂環構造を有する2価の(メタ)アクリレートモノマーを用いることがより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが特に好ましく、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートがより特に好ましい。
(単官能(メタ)アクリレートモノマー)
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば以下の物を用いることができる。1−アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル(メタ)アクリレート類、イソボロニル(メタ)アクリレートなどのノルボルニル(メタ)アクリレート類、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イルアクリレートなどのトリシクロデカン(メタ)アクリレート類、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO」変性クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート。
その中でも、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることが好ましく、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートおよびトリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イル(メタ)アクリレートがより好ましく、1−アダマンチルメタクリレートが特に好ましい。
以下において、本発明に好ましく用いられる(メタ)アクリレートモノマーの具体例を列挙するが、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
Figure 2017008170
単官能(メタ)アクリルモノマー
Figure 2017008170
(分子量)
本発明に好ましく用いられる(メタ)アクリレートモノマーの分子量は100〜500であることが好ましく、150〜400であることがより好ましく、200〜400であることが特に好ましい。
(入手方法)
(メタ)アクリレートモノマーの入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(化学式:Aa−1)(新中村化学工業社製)などを好ましく用いることができる。合成により製造する場合は、(メタ)アクリレートモノマーの製造方法としては特に制限はなく、公知の方法で合成することができる。
硬化性組成物中における、上記(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、50〜95質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。
<光ラジカル重合開始剤>
本発明で用いる硬化性組成物は、さらに光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルベンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1−フェニル2−ヒドロキシ−2メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリオキシレート等を挙げることができる。
その中でも、本発明では、光ラジカル重合開始剤としてBASF社製、IRGACURE184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、IRGACURE651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、LUCIRIN TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)等を好ましく用いることができる。本発明では、光ラジカル重合開始剤を2種以上併用することも好ましく、異なる波長域で開裂する2種の光ラジカル重合開始剤を併用することがより好ましい。例えば、本発明では、IRGACURE651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)とLUCIRIN TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)を併用することが好ましい。LUCIRIN TPOは380〜420nmの波長で開裂してラジカルを発生し、IRGACURE651は300〜380nmの波長で開裂してラジカルを発生する。このように、ラジカルを発生する波長域が異なる点を利用すれば、半硬化状態をより制御しやすくなる。
硬化性組成物中における光ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1.0質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることが特に好ましい。
<熱ラジカル重合開始剤>
本発明で用いる硬化性組成物は、さらに熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。このような熱ラジカル重合開始剤をあらかじめ硬化性組成物に添加しておくことで、半硬化工程において、熱重合を行うこともできる。
熱ラジカル重合開始剤としては、具体的には、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を挙げることができる。
<ヒドロペルオキシド化合物>
本発明で用いる硬化性組成物は、さらにヒドロペルオキシド化合物を含むことが好ましい。ヒドロペルオキシド化合物としては、分子内にヒドロペルオキシド基を有するヒドロペルオキシド系熱ラジカル重合開始剤を用いてもよく、このようなヒドロペルオキシド化合物は半硬化工程において熱重合を行わない場合においても含有されることが好ましい。硬化性組成物がヒドロペルオキシド化合物を含有することによって、非共役ビニリデン基含有化合物モノマーの重合中の連鎖移動を促進することができ、3次元構造のコントロール性を向上させることができるため、半硬化物の変形性を付与することができる。これにより、半硬化物の金型追従性をより高めることができ、有効径を大きくすることができる。
ヒドロペルオキシド化合物としては、例えば、日本油脂株式会社製、パークミル H(クメンヒドロペルオキシド)を好ましく用いることができる。
硬化性組成物中におけるヒドロペルオキシド化合物の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜4.0質量%であることがより好ましく、0.3〜3.0質量%であることがさらに好ましい。
<その他の添加剤>
硬化性組成物は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上記以外の樹脂、モノマー、分散剤、可塑剤、熱安定剤、離型剤、シランカップリング剤などの添加剤を含有してもよい。例えば、モノマーとしてα―ピレン等を用いることができる。
<<光学素子及び複合光学素子>>
本発明は、上記製造方法により製造された光学素子及び複合光学素子に関するものでもある。複合光学素子は、光学素子と透明基材が一体成形されたものである。
(光線透過率)
光学素子の波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率は75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上がさらに好ましい。なお、本明細書中における厚さ1mm換算の光線透過率は、厚さ1.0mmの光学素子を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
(ガラス転移温度(Tg))
光学素子のガラス転移温度(Tg)は、120〜400℃であることが好ましく、150〜300℃であることがより好ましく、180〜300℃であることがさらに好ましい。
(サイズ)
光学素子の最大厚みは0.1〜10mmであることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましく、0.15〜4mmであることがさらに好ましい。光学素子の最大直径は、1000m以下であればよいが、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。なお、光学素子の最大直径の下限値は0.5mmであることが好ましい。本発明の製造方法を用いることにより、光学素子の有効径を拡大することができ、最大直径が小さな光学素子の製造方法にも好ましく適用され得る。
(用途)
本発明の光学素子及び複合光学素子は、例えば、デジタルカメラ用レンズ、車載カメラ用レンズ、プロジェクタ用(OHP(Overhead projector)、液晶プロジェクタ用など)レンズ、内視鏡用レンズ、放送用(テレビカメラ等の撮影装置用)レンズに使用される。また、本発明の光学素子及び複合光学素子は、眼鏡レンズ、携帯カメラ用レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、マイクロレンズアレイ、およびウェハレベルレンズアレイ(特許第3926380号公報、国際公開2008/102648号、特許第4226061号公報、特許第4226067号公報)等に使用してもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(硬化性組成物の調製)
実施例及び比較例で用いる硬化性組成物A1〜A7を各々調製した。表1に示す配合となるように各成分を混合し、硬化性組成物A1〜A7を調製した。
Figure 2017008170
表1におけるポリマーは、下記に示す2つの繰り返し単位の共重合体である。
Figure 2017008170
上記共重合体は、下記のようにして得た。還流冷却器、ガス導入コックを付した1L三口フラスコに、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名FA−513AS)20.0g、アリルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)30.0g、MEK500.0gを添加し、2回窒素置換した後、開始剤として和光純薬工業株式会社製、V−65(商品名)0.6gを添加し、さらに2回窒素置換した後、窒素気流下65℃で6時間加熱した。その後、メタノール2Lに得られた反応液を注ぎ、析出した白色固体を吸引ろ過により回収した。70℃で5時間減圧乾燥を行い、溶媒を留去し、上記共重合体を得た(収率60%、数平均分子量24,000、重量平均分子量58,000)。
表1における各成分は、下記に示す化合物である。
(メタ)アクリレートモノマーとして、新中村化学社製のA−DCP、大阪ガスケミカルズ社製のオグソールEA−0200(フルオレンモノマー)、大阪有機化学工業社製のビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート)を用いた。
Figure 2017008170
非共役ビニリデン基含有化合物として、東京化成社製のβ−カリオフィレン、東京化成社製の(+)−リモネン、東京化成社製の(−)−β−ピネンを用いた。また、モノマーとして東京化成社製の(1R)−(+)−α−ピネンを用いた。
Figure 2017008170
ヒドロペルオキシド化合物として、日油社製のパークミルH−80(クメンヒドロペルオキシド)を用いた。
Figure 2017008170
光ラジカル重合開始剤(1)としてBASFジャパン社製のLUCIRIN TPOを、光ラジカル重合開始剤(2)としてBASFジャパン社製のIRGACURE651を用いた。なお、Meはメチル基を表す。
Figure 2017008170
(実施例1〜9)
直径20mm、厚み1mmからなる金型上に表1に記載の硬化性組成物を1μL滴下した。その後、Execure3000(HOYA(株)社製)を用いて活性エネルギー線を照射して、半硬化物を作製した。活性エネルギー線を照射して半硬化物を作製する際は、UVカットフィルター(LU0400、朝日分光社製)を用い、400nm以下の波長からなる光をカットした活性エネルギー線を照射した。次いで、得られた半硬化物に、透明基材を接触させた。透明基材には、半硬化物と接触する面の曲率半径が1.125mmであるものを用いた。半硬化物を透明基材と金型で挟み込み、金型を押し上げることで、0.015MPa(150gf/cm)の圧力を透明基材に印加しながら、透明基材側から活性エネルギー線を照射することで本硬化を行った。本硬化工程では活性エネルギー線を、積算照度が2J/cmとなるように照射した。その後、金型を離型することで、光学素子(硬化物)と透明基材からなる複合光学素子を得た。
なお、透明基材には、硬化性組成物との密着性を高めるため、表面をシランカップリング剤で処理した透明基材を用いた。透明基材の表面をシランカップリング剤で処理する際には、まず、イソプロパノール1mL、エタノール1mL、酢酸0.2mL、水1.5mL、及びシランカップリング剤(信越化学工業社製、KBM−5103)2mLを25℃で混合し、30分間撹拌することで、シランカップリング剤マスター液を調製した。次いで、イソプロパノール20mL、エタノール20mL、及び上記マスター液0.15mLを25℃で混合し、5分間撹拌することによりシランカップリング剤処理液を調製した。直径2.2mmの凹メニスカスレンズ(硬化性組成物と接する面の曲率半径が1.125mm)を有する透明基材の凹メニスカスレンズ側の表面を、UVオゾン洗浄装置(アズワン社製、SB−201−M3A3)で洗浄した後、硬化性組成物と接する面に上記処理液を1μL滴下塗布し、150℃で1時間乾燥させることにより、シランカップリング処理を行った。このようにして、本発明で用いる透明基材を作製した。
(比較例1)
直径20mm、厚み1mmからなる金型上に表2に記載の硬化性組成物を1μL滴下した。その後、Execure3000(HOYA(株)社製)を用いて活性エネルギー線を照射して、半硬化物を作製した。次いで、得られた半硬化物に、透明基材を接触させた。透明基材には、半硬化物と接触する面の曲率半径が1.125mmであるものを用いた。半硬化物を透明基材と金型で挟み込み、金型を押し上げることで、0.015MPa(150gf/cm)の圧力を透明基材に印加しながら、金型を200℃まで加温し、その後50℃まで冷却した。その後、金型を離型することで、光学素子(硬化物)と透明基材からなる複合光学素子を得た。
(評価)
<複素粘度測定>
直径20mm、厚み1mmからなる金型上に表2に記載の硬化性組成物を0.2g滴下した。その後、Execure3000(HOYA(株)社製)を用いて活性エネルギー線を照射することで、半硬化物を作製した。次いで、レオストレスRS600(HAAKE社製)を用いて、25℃、10Hzにおける半硬化物の動的な複素粘度を測定した。なお、活性エネルギー線の照射は、酸素濃度2%以下の雰囲気下で行い、複素粘度が10〜10mPa.sの範囲内で最小粘度となるように照度を調整した。照度を調整しても半硬化体の複素粘度が上記範囲内に制御できない場合、複素粘度が10mPa.s以上で最小複素粘度となる照度で半硬化体を作製した。
<金型転写性(レンズ有効径)>
UA3P−300(パナソニック社製)により、光学素子の直径(形状)を測定した。実施例及び比較例で成形された硬化物の形状測定値(硬化物直径)は1.7mmであった。図3には、実施例及び比較例で成形された光学素子100の形状が示されている。図3では光学素子100の形状測定値はAで示されており、硬化物の凸部120から許容形状誤差Fの範囲内にある光学素子100の直径が有効径Bとして示されている。なお、本発明では、許容形状誤差Fを7μmとし、光学素子100の有効径Bを算出した。
<生産性>
複合光学素子を1枚成形するのに要する時間を計測し、下記評価基準で評価した。
A:複合光学素子の成形時間が15分/枚よりも短い。
B:複合光学素子の成形時間が15分/枚以上である。
<低温耐久性>
実施例及び比較例で作製した複合光学素子を−20℃の恒温槽に保管し、光学素子にクラックが発生する時間、又は光学素子が透明基材から剥離する剥離故障が生じる時間を記録し、下記評価基準で評価した。
5:72時間経過時までクラックが発生しない、又は、72時間経過時まで剥離故障が生じない。
4:48時間以上72時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
3:24時間以上48時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
2:12時間以上24時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
1:12時間未満でクラックが発生するか、剥離故障が生じる。
Figure 2017008170
比較例に比べて実施例では、生産性が高く、光学素子(レンズ)の有効径が大きくなっている。また、半硬化物の複素粘度を好ましい範囲とした実施例においては、光学素子の低温耐久性が向上していることがわかる。
10 金型
12 充填部
14 外周面
15 透明基材
20 胴型
22 内周面
25 透明基材保持部
30 ディスペンサ
90 硬化性組成物
95 半硬化物
100 光学素子
120 凸部
150 複合光学素子
U 活性エネルギー線
HU 熱エネルギー線又は活性エネルギー線
A 形状測定値(光学素子直径)
B 有効径
F 許容形状誤差
C 胴型の内周面と、金型の外周面の間の距離(クリアランス)

Claims (11)

  1. 硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、前記半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、
    前記半硬化物を得る工程は、前記硬化性組成物を金型上に充填し、前記硬化性組成物を加熱する、又は前記硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、
    前記半硬化物をさらに硬化させる工程は、前記半硬化物に透明基材を接触させ、前記透明基材側から前記半硬化物に活性エネルギー線を照射する工程である光学素子の製造方法。
  2. 前記半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を得る工程である請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記半硬化物を得る工程は、25℃における複素粘度が1.0×10〜1.0×10mPa・sの半硬化物を得る工程である請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記半硬化物をさらに硬化させる工程は、金型と、胴型と、前記透明基材で包囲された前記半硬化物を、加圧しながら活性エネルギー線によって硬化する工程であり、
    前記胴型は、金型の外側領域に周設され、
    前記胴型は、前記透明基材に接触して配置され、
    前記半硬化物を加圧した際には、前記半硬化物の一部が前記胴型の内周面に接触する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記胴型の内周面と、前記金型の外周面の間の距離が0.1mm以下である請求項4に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記硬化性組成物が、アリル基、イソプロペニル基、ビニリデン基、ビニル基、アリルエーテル基、エキソメチレン基及びアルケニル基から選択される少なくとも1種を有する化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記硬化性組成物が、下記一般式(2)で表される化合物を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法;
    Figure 2017008170
    一般式(2)中、R21、R22、R25およびR26は、それぞれ独立に置換基を表し、Aは環状構造を形成するために必要な原子団を表す。
  8. 前記硬化性組成物が、さらにヒドロペルオキシド化合物を含む請求項6又は7に記載の光学素子の製造方法。
  9. 硬化性組成物を半硬化させ半硬化物を得る工程と、前記半硬化物をさらに硬化させる工程とを含み、
    前記半硬化物を得る工程は、前記硬化性組成物を金型上に充填し、前記硬化性組成物を加熱する、又は前記硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより半硬化物を得る工程であり、
    前記半硬化物をさらに硬化させる工程は、前記半硬化物に透明基材を接触させ、前記透明基材側から前記半硬化物に活性エネルギー線を照射することで、前記透明基材と前記光学素子を一体成形する工程である複合光学素子の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造された光学素子。
  11. 請求項9に記載の製造方法で製造された複合光学素子。
JP2015123532A 2015-06-19 2015-06-19 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子 Pending JP2017008170A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015123532A JP2017008170A (ja) 2015-06-19 2015-06-19 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015123532A JP2017008170A (ja) 2015-06-19 2015-06-19 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017008170A true JP2017008170A (ja) 2017-01-12

Family

ID=57760923

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015123532A Pending JP2017008170A (ja) 2015-06-19 2015-06-19 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017008170A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019230977A1 (ja) * 2018-06-01 2019-12-05 東亞合成株式会社 光成形用led硬化型組成物及びその利用

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003048727A (ja) * 2001-08-03 2003-02-21 Konica Corp プレス成形装置
JP2006272755A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Fujinon Corp 複合レンズの成形方法
JP2012000842A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Asahi Glass Co Ltd 微細パターンを表面に有する成型体の製造方法
JP2013205809A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Fujifilm Corp 複合レンズおよびその製造方法
JP2014240852A (ja) * 2011-10-06 2014-12-25 株式会社カネカ Fpdの製造方法、貼り合わせの方法、およびfpd貼り合わせ用光硬化性組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003048727A (ja) * 2001-08-03 2003-02-21 Konica Corp プレス成形装置
JP2006272755A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Fujinon Corp 複合レンズの成形方法
JP2012000842A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Asahi Glass Co Ltd 微細パターンを表面に有する成型体の製造方法
JP2014240852A (ja) * 2011-10-06 2014-12-25 株式会社カネカ Fpdの製造方法、貼り合わせの方法、およびfpd貼り合わせ用光硬化性組成物
JP2013205809A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Fujifilm Corp 複合レンズおよびその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019230977A1 (ja) * 2018-06-01 2019-12-05 東亞合成株式会社 光成形用led硬化型組成物及びその利用
CN112204056A (zh) * 2018-06-01 2021-01-08 东亚合成株式会社 光成型用led固化型组合物及其利用
JPWO2019230977A1 (ja) * 2018-06-01 2021-07-15 東亞合成株式会社 光成形用led硬化型組成物及びその利用
CN112204056B (zh) * 2018-06-01 2023-12-12 东亚合成株式会社 光成型用led固化型组合物及其利用
JP7424287B2 (ja) 2018-06-01 2024-01-30 東亞合成株式会社 光成形用led硬化型組成物及びその利用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5685149B2 (ja) 半硬化物、硬化物およびそれらの製造方法、光学部品、硬化樹脂組成物
JP5940496B2 (ja) 半硬化物、硬化物およびそれらの製造方法、光学部品、硬化樹脂組成物ならびに化合物
JP6712341B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、光学部材、レンズ及び化合物
JP5898551B2 (ja) 半硬化物、硬化物およびそれらの製造方法、光学部品、硬化樹脂組成物
TWI453454B (zh) A resin for an optical component, a raw material composition for an optical component resin, and an optical component
JP6606195B2 (ja) 化合物、硬化性組成物、硬化物、光学部材及びレンズ
JP6743279B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、光学部材及びレンズ
JPWO2014136731A1 (ja) 組成物、樹脂モールド、光インプリント方法、光学素子の製造方法、及び電子素子の製造方法
JP2011002759A (ja) 反射防止膜
JP4761021B2 (ja) 硬化性樹脂用樹脂型及び硬化樹脂成形体の製造方法
CN112352003A (zh) 固化性组合物、固化物、光学部件、透镜及化合物
JP5685054B2 (ja) 半硬化物、硬化物およびそれらの製造方法、光学部品、硬化樹脂組成物
US9566750B2 (en) Compound lens and method for manufacturing same
JP2017008170A (ja) 光学素子の製造方法、複合光学素子の製造方法、光学素子及び複合光学素子
JP5769636B2 (ja) レンズ又はレンズアレイの造形方法
JP6753938B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、光学部材、レンズ及び化合物
JP6763960B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、光学部材、レンズ及び硬化物の製造方法
JP5732187B2 (ja) 硬化物の製造方法
WO2015022973A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、光学部品、レンズおよび光学部品の製造方法
WO2014142047A1 (ja) 芳香環含有化合物、硬化性樹脂組成物、光学部品およびレンズ
WO2021132037A1 (ja) 硬化性組成物、硬化物、光学部材及びレンズ
JP2010254984A (ja) 重合性組成物およびその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180627

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180710

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180904

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180918