JP6743279B2 - 硬化性組成物、硬化物、光学部材及びレンズ - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物、硬化物、光学部材及びレンズに関する。
従来、カメラ、ビデオカメラあるいはカメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどの撮像モジュールの光学部材にはガラス材料が用いられていた。ガラス材料は様々な光学特性を備えており、環境耐性に優れるため好ましく用いられてきたが、軽量化や小型化が容易ではなく、加工性や生産性が悪いという欠点を有していた。これに対し、樹脂硬化物は、大量生産が可能であり、加工性にも優れているため、近年、様々な光学部材に用いられるようになってきている。
近年、撮像モジュールの小型化に伴い、撮像モジュールに用いられる光学部材を小型化することが求められているが、光学部材を小型化していくと、色収差の問題が生じる。樹脂硬化物を用いた光学部材においては、硬化性組成物に種々の添加物を加えて硬化後の特性を変えることで、アッベ数を調整して色収差の補正を行うことが検討されている。
光学部材を製造するための硬化性組成物に用いられるモノマーとして、フルオレン骨格を有する化合物が用いられている。例えば、特許文献1には、フルオレン骨格を有する化合物であって、芳香環縮合環基を有する化合物を用いることで、低アッベ数である硬化物を成形し得る硬化性組成物が得られることが開示されている。また、特許文献2には、特定の構造を有するかご型ポリシルセスキオキサン誘導体と、フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレートと、2官能含フッ素(メタ)アクリレートと、を含有する光学材料用樹脂前駆体組成物が開示されている。
特許第5940496号公報 特開2009−161487号公報
光学特性を発揮し得る材料においては、硬化物のアッベ数(νd)が高くなるに従って、部分分散比(θg,F)は小さくなる傾向があり、アッベ数(νd)と部分分散比(θg,F)の値には負の相関関係があることが知られている。しかし、硬化物の用途によっては、所定のアッベ数を有する硬化物において予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)が求められる場合がある。
しかしながら、特許文献1及び2においては、所定のアッベ数を有する硬化物における部分分散比(θg,F)が十分に高いものが得られていなかった。このため、予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)を発揮し得る硬化物を成形し得る硬化性組成物の開発が求められている。
また、硬化物を成形する際には、硬化物の面形状の高精度化も求められており、金型転写性に優れた硬化性組成物の開発も求められている。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、所定のアッベ数を有する硬化物において予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)を有する硬化物を成形し得る硬化性組成物を提供することを目的として検討を進めた。また、本発明者らは、金型転写性に優れた硬化性組成物を提供することも目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するための具体的手段は、以下の通りである。
[1] 下記一般式(A)で表される化合物Aと、
少なくとも1つのフッ素原子及び少なくとも1つのラジカル架橋性基を1分子内に有する化合物Bと、
熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種と、
を含有する硬化性組成物;

一般式(A)中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す;
1、Y1、X2及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素原子であり、Z1はX1−C=C−Y1とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表し、Z2はX2−C=C−Y2とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表す;
Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環を含むアリーレン基又は破線で囲まれた芳香環を含むヘテロアリーレン基を表し、Ar13とAr14のうち少なくとも一方はフェニレン基以外の基である;
3〜R6はそれぞれ独立に、置換基を表し、q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数であり、vは0以上の整数であり、vの最大数は、X1−C=C−Y1とZ1が形成する環に置換可能な置換基の最大数であり、wは0以上の整数であり、wの最大数は、X2−C=C−Y2とZ2が形成する環に置換可能な置換基の最大数である;
1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又は硫黄原子を表し、R11及びR12はそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、アミド結合、カーボネート結合及びアルキレン基から選択される少なくとも1種を含む連結基、又は単結合を表し、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す;
Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれた芳香環を縮合環のひとつとして含む縮合環基である場合は、L1を連結基として有する基、L2を連結基として有する基、及びR3〜R6はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環に置換していても、破線で囲まれた芳香環以外の縮合環に置換していてもよい。
[2] Ar13とAr14のうち少なくとも一方は、破線で囲まれた芳香環を含む縮合環基である[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 化合物Bは、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及びパーフルオロアルキレンオキシ基から選択される少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル架橋性基と、を1分子内に有する化合物である[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 非共役ビニリデン基含有化合物をさらに含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5] 熱ラジカル重合開始剤を含み、熱ラジカル重合開始剤としてハイドロパーオキサイド化合物を含有する[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物の半硬化物であって、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が105〜108mPa・sである半硬化物。
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
[8] [7]記載の硬化物を含む光学部材。
[9] [7]記載の硬化物を含むレンズ。
本発明によれば、所定のアッベ数を有する硬化物において、予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)を有する硬化物を成形し得る硬化性組成物を得ることができる。また、本発明によれば、金型転写性に優れた硬化性組成物を得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルを表す。本発明におけるモノマーは、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が1,000以下の化合物をいう。
また、本明細書における基の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
(硬化性組成物)
硬化性組成物は、後述する一般式(A)で表される化合物Aと、少なくとも1つのフッ素原子及び少なくとも1つのラジカル架橋性基を1分子内に有する化合物Bと、を含有する。硬化性組成物は、上記構成により、所定のアッベ数を有する硬化物において、予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)を有する硬化物を成形することができる。また、優れた金型転写性を発揮する。
硬化性組成物から成形される硬化物のアッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)は、アッベ屈折計(カルニュー光学工業株式会社製)を用いて測定した値である。具体的には、硬化性組成物を、直径10mm、厚み1mmの透明ガラス型に注入し、酸素濃度1%以下の雰囲気下200℃で加熱することで硬化物を成形し(加熱工程)、この硬化物についてアッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)を測定する。硬化物のアッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)は、下記式により算出される。なお、硬化物を成形する際には、上記加熱工程に代えて紫外線照射工程を採用してもよく、加熱工程と紫外線照射工程の両方を採用してもよい。
νd=(nd−1)/(nF−nC)
θg,F=(ng−nF)/(nF−nC)
ここで、ndは波長587.56nmにおける屈折率、nFは波長486.13nmにおける屈折率、nCは波長656.27nmにおける屈折率、ngは波長435.83nmにおける屈折率を表す。
所定のアッベ数を有する硬化物において、予測される部分分散比(θg,F)は、d線を基準とするアッベ数(νd)を横軸、部分分散比(θg,F)を縦軸としたグラフにおいて、硝種A(株式会社オハラ、硝種名NSL7)と硝種B(株式会社オハラ、硝種名PBM2)を結ぶ直線を標準線としたとき、この標準線上の部分分散比(θg,F)である。硝種Aのアッベ数(νd)は60.49であり、部分分散比(θg,F)は0.5436である。また、硝種Bのアッベ数(νd)は36.26であり、部分分散比(θg,F)は0.5828である。標準線は、この2点を結ぶ直線である。
Δ(θg,F)は、対象物の部分分散比(θg,F)と、標準線における部分分散比(θg,F)との差分であり、下記式により算出される。
Δ(θg,F)=対象物の部分分散比(θg,F)−対象物と同じアッベ数(νd)の標準線における部分分散比(θg,F)
上記式により算出されるΔ(θg,F)の値が大きい程、予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)が得られていると言える。本発明においては、Δ(θg,F)は0.040以上であることが好ましく、0.046以上であることがより好ましく、0.060以上であることがさらに好ましく、0.080以上であることが一層好ましく、0.100以上であることが特に好ましい。Δ(θg,F)の値を上記範囲とすることにより、本発明の硬化性組成物から成形される硬化物において色収差の補正を効果的に行うことができる。
本発明の硬化性組成物から成形される硬化物のアッベ数は特に限定されるものではないが、硬化物のアッベ数は35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、27以下であることがさらに好ましく、25以下であることが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、優れた金型転写性を発揮することができる。ここで、金型転写性は、硬化性組成物を硬化させて硬化物を100個成形し、その良品率により評価することができる。硬化物の表面に、微細な凹凸(シワ)が発生しているものを不良品、発生していないものを良品として評価する。良品率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、金型転写性を評価する際に用いる硬化物を成形する際には、実施例の<複合レンズの作製>の工程に記載の方法で複合レンズを作製し、複合レンズの外観を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−1000)を用いて評価する。
本発明の硬化性組成物の粘度は、20,000mPa・s以下であることが好ましく、15,000mPa・s以下であることがより好ましく、13,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、10,000mPa・s以下であることが特に好ましい。硬化性組成物の粘度を上記範囲内とすることにより、硬化物を成形する際のハンドリング性を高め、高品質な硬化物を形成することができる。なお、硬化性組成物の粘度は、2,000mPa・s以上であることが好ましく、3,000mPa・s以上であることがより好ましく、4,000mPa・s以上であることがさらに好ましく、5,000mPa・s以上であることが特に好ましい。
(化合物A)
硬化性組成物は、下記一般式(A)で表される化合物Aを含む。
一般式(A)中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す。
1、Y1、X2及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素原子であり、Z1はX1−C=C−Y1とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表し、Z2はX2−C=C−Y2とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表す。
Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環を含むアリーレン基又は破線で囲まれた芳香環を含むヘテロアリーレン基を表し、Ar13とAr14のうち少なくとも一方はフェニレン基以外の基である。
3〜R6はそれぞれ独立に、置換基を表し、q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数であり、vは0以上の整数であり、vの最大数は、X1−C=C−Y1とZ1が形成する環に置換可能な置換基の最大数であり、wは0以上の整数であり、wの最大数は、X2−C=C−Y2とZ2が形成する環に置換可能な置換基の最大数である。
1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又は硫黄原子を表し、R11及びR12はそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、アミド結合、カーボネート結合及びアルキレン基から選択される少なくとも1種を含む連結基、又は単結合を表し、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれた芳香環を縮合環のひとつとして含む縮合環基である場合は、L1を連結基として有する基、L2を連結基として有する基、及びR3〜R6はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環に置換していても、破線で囲まれた芳香環以外の縮合環に置換していてもよい。
一般式(A)中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す。Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基であることが好ましい。Ar11及びAr12が、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基である場合は、アリール基は、炭素数6〜18のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜14のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることが特に好ましい。中でも、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環のみから構成されるフェニル基であることが特に好ましい。なお、Ar11及びAr12が、破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基である場合は、ヘテロアリール基は、環員数9〜14のヘテロアリール基であることが好ましく、環員数9〜10のヘテロアリール基であることがより好ましい。Ar11及びAr12が、破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基である場合、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を挙げることができる。
一般式(A)中、X1、Y1、X2及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素原子である。X1、Y1、X2及びY2の全てが炭素原子であってもよく、X1、Y1、X2及びY2の全てが炭素以外の原子(酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される少なくとも1種)であってもよい。また、X1、Y1、X2及びY2の一部が炭素原子であり、X1、Y1、X2及びY2の一部が酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される少なくとも1種であってもよい。
1はX1−C=C−Y1とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表し、Z2はX2−C=C−Y2とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表す。Z1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子を含む原子群であることが好ましく、炭素原子からなる原子群であることがより好ましい。また、Z1はX1−C=C−Y1とともに5又は6員の芳香環を形成する原子群であることが好ましく、6員の芳香環を形成する原子群であることがより好ましい。Z2はX2−C=C−Y2とともに5又は6員の芳香環を形成する原子群であることが好ましく、6員の芳香環を形成する原子群であることがより好ましい。
一般式(A)中、Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環を含むアリーレン基又は破線で囲まれた芳香環を含むヘテロアリーレン基を表す。Ar13及びAr14が、破線で囲まれた芳香環を含むアリーレン基である場合は、アリーレン基は、炭素数6〜18のアリーレン基であることが好ましく、炭素数6〜14のアリーレン基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアリーレン基であることが特に好ましい。また、Ar13及びAr14が、破線で囲まれた芳香環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリーレン基である場合は、ヘテロアリーレン基は、環員数9〜14のヘテロアリーレン基であることが好ましく、環員数9〜10のヘテロアリーレン基であることがより好ましい。Ar13及びAr14が、破線で囲まれた芳香環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリーレン基である場合、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を挙げることができる。
ここで、Ar13とAr14のうち少なくとも一方はフェニレン基以外の基である。Ar13とAr14のうち少なくとも一方は、破線で囲まれた芳香環を含む縮合環基であるか、もしくは破線で囲まれた芳香環がヘテロ環であることが好ましい。中でも、Ar13とAr14のうち少なくとも一方は、破線で囲まれた芳香環を含む縮合環基であることがより好ましく、縮合環基としては例えばナフチレンを挙げることができる。特に、Ar14が破線で囲まれた芳香環を含む縮合環基であることが好ましい。また、縮合環はヘテロ原子を含んでいることも好ましく、ヘテロ原子としては、窒素原子を好ましく例示できる。なお、Ar13とAr14は同じ基でないことが好ましい。この場合、Ar13もしくはAr14のもう一方はフェニレン基であることが特に好ましい。
一般式(A)中、R3〜R6はそれぞれ独立に、置換基を表す。R3〜R6が表す置換基としては特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、水酸基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、脂肪族環基、シアノ基などを挙げることができる。R3〜R6が表す置換基はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はシアノ基であることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基又はシアノ基であることがより好ましく、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基又はシアノ基であることが特に好ましい。中でも、R3及びR4は、それぞれ独立にメチル基又はメトキシ基であることが好ましく、R5はハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であることが好ましく、R6はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はシアノ基であることが好ましい。
q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数であり、0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましい。また、vは0以上の整数であり、vの最大数は、X1−C=C−Y1とZ1が形成する環に置換可能な置換基の最大数である。vは0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましい。wは0以上の整数であり、wの最大数は、X2−C=C−Y2とZ2が形成する環に置換可能な置換基の最大数である。wは0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましい。なお、q、r、v及びwのいずれもが0であってもよい。また、qが2〜4の整数である場合、複数のR3は同じであっても異なっていてもよく、rが2〜4の整数である場合、複数のR4は同じであっても異なっていてもよい。vが2以上の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、wが2以上の整数である場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよい。
一般式(A)中、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又は硫黄原子を表す。L1及びL2はそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
11及びR12はそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、アミド結合、カーボネート結合及びアルキレン基から選択される少なくとも1種を含む連結基、又は単結合を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合及びアルキレン基から選択される少なくとも1種を含む連結基、又は単結合であることが好ましく、アルキレン基を含む連結基であることがより好ましい。中でも、R11及びR12はそれぞれ独立に、アルキレン基からなる連結基であることが特に好ましい。この場合、アルキレン基の炭素数は、2〜8であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましい。
21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
なお、Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれた芳香環を縮合環のひとつとして含む縮合環基である場合は、L1を連結基として有する基、L2を連結基として有する基、及びR3〜R6はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環に置換していても、破線で囲まれた芳香環以外の縮合環に置換していてもよい。
以下において、本発明の硬化性組成物に好ましく用いられる化合物Aの具体例を列挙するが、以下の化合物に限定されるものではない。なお、以下の構造式におけるMeOはメトキシ基を表す。
中でも、化合物Aは、A−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6であることが好ましく、A−1、A−2、A−3、A−5、A−6であることがより好ましく、A−3、A−6であることが特に好ましい。
硬化性組成物中における化合物Aの含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。化合物Aの含有量を上記範囲内とすることにより、所定のアッベ数を有する硬化物において、予測される部分分散比(θg,F)よりも高い部分分散比(θg,F)が達成されやすくなる。また、化合物Aの含有量を上記範囲内とすることにより、硬化性組成物はより優れた金型転写性を発揮する。
硬化性組成物中には、一般式(A)で表される化合物Aが2種以上含有されていてもよい。化合物Aが2種以上含有されている場合は、合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(化合物B)
硬化性組成物は、少なくとも1つのフッ素原子及び少なくとも1つのラジカル架橋性基を1分子内に有する化合物Bを含む。このような化合物を含むことで、金型転写性に優れた硬化性組成物を得ることができる。化合物Bが有するラジカル架橋性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、α−トリフルオロメチルアクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等が挙げられる。中でも、ラジカル架橋性基は、(メタ)アクリロイル基又はアリル基であることが好ましい。
化合物Bは、(1)1分子内に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を1つ有する単官能モノマーであってもよく、(2)1分子内に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を2つ以上有する多官能モノマーであってもよく、(3)側鎖に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を有する反応性ポリマーであってもよい。また、化合物Bとして、上記(1)単官能モノマー、(2)多官能モノマー及び(3)反応性ポリマーから選択される2種以上を併用してもよい。
(1)1分子内に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を1つ有する単官能モノマーとしては、例えば、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
(2)1分子内に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を2つ以上有する多官能モノマーとしては、例えば、1,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2−ジフルオロプロパン、1,4−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3−テトラフルオロブタン、1,5−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン、1,6−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン、1,7−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタン、1,8−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン、1,9−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロノナン、1,10−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカン、1,11−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−オクタデカフルオロウンデカン、1,12−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−エイコサフルオロドデカン、1,8−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,7−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラフルオロオクタン、1,7−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,8−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラフルオロオクタン、2,7−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−1,8−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラフルオロオクタン、1,10−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,9−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2,10−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、2,9−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−1,10−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,2,7,8−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4,4,5,5−テトラフルオロデカン、1,2,8,9−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロノナン、1,2,9,10−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,2,10,11−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−デカフルオロウンデカン、1,2,11,12−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ドデカフルオロドデカン、1,10−ビス(α−フルオロアクリロイルオキシ)−2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,9−ビス(α−フルオロアクリロイルオキシ)−2,10−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、2,9−ビス(α−フルオロアクリロイルオキシ)−1,10−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,2,9,10−テトラキス(α−フルオロアクリロイルオキシ)−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,2,11,12−テトラキス(α−フルオロアクリロイルオキシ)−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ドデカフルオロドデカン等を挙げることができる。また、(2)1分子内にラジカル架橋性基を2つ以上有する多官能モノマーとして、特開2013−76786号公報の段落0151〜0155及び0160〜0171に記載の化合物F−1〜F−30、F−36〜F−40、F−42〜F−46、F−48〜F−61、F−64〜F−69、F−71〜F−79、F81〜F84等を用いることもできる。
(3)側鎖に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を有する反応性ポリマーとしては、例えば、フッ素原子を側鎖に有する構成単位(a)と、架橋性基を側鎖に有する構成単位(b)を有するポリマーを挙げることができる。側鎖にラジカル架橋性基を有する反応性ポリマーの分子量(重量平均分子量)は、1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜100,000であることがさらに好ましい。側鎖にラジカル架橋性基を有する反応性ポリマーの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法による標準ポリスチレン換算で算出した値である。
フッ素原子を側鎖に有する構成単位(a)としては、上述した(1)の1分子内にラジカル架橋性基を1つ有する単官能モノマー由来の構成単位を挙げることができる。架橋性基を側鎖に有する構成単位(b)としては、例えば、以下の構造を有する構成単位を挙げることができる。
なお、上記構造式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
また、(3)側鎖に少なくとも1つのフッ素原子及びラジカル架橋性基を有する反応性ポリマーの構成単位として、構成単位(a)及び構成単位(b)以外の構成単位を含んでいてもよい。構成単位としては、例えば、側鎖にアリール基を有する構成単位を挙げることができる。(3)側鎖にラジカル架橋性基を有する反応性ポリマーが、側鎖にアリール基を有する構成単位をさらに有することで化合物Aと化合物Bの相溶性を高めることができる。なお、側鎖にアリール基を有する構成単位としては、例えば以下の構造を有する構成単位を挙げることができる。
上記構造式中、Raは、水素又はメチル基を表す。また、nは0〜10の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
化合物Bは、1分子内に少なくとも1つのフッ素原子を有しており、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及びパーフルオロアルキレンオキシ基から選択される少なくとも1つの基を有するものであることが好ましい。化合物Bの一分子中に占めるフッ素原子の割合は、5質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。
以下において、本発明に好ましく用いられる化合物Bの具体例を列挙するが、以下の化合物に限定されるものではない。
硬化性組成物中における化合物Bの含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましい。
また、硬化性組成物中に含まれるフッ素原子の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、硬化性組成物中に含まれるフッ素原子の含有量は、30質量%以下であることが好ましい。硬化性組成物中における化合物B及び/又は硬化性組成物中に含まれるフッ素原子の含有量を上記範囲内とすることにより、硬化性組成物はより良好な金型転写性を発揮することができる。
(その他の成分)
硬化性組成物は、上述した化合物A及び化合物Bの他に、さらにその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、具体的には以下のものが挙げられる。例えば、硬化性組成物は、後述する(メタ)アクリレートモノマーと、非共役ビニリデン基含有化合物と、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種と、をさらに含有してもよい。
<(メタ)アクリレートモノマー>
硬化性組成物は、(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよい。(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーであってもよく、分子中に1つの(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、特開2012−107191号公報の段落0037〜0046に記載の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
本発明で好ましく用いることができる(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、モノマー1(フェノキシエチルアクリレート)又はモノマー2(ベンジルアクリレート)で表わされる芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーや、モノマー3(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)又はモノマー4(ジシクロペンタニルアクリレート)で表わされる脂肪族環を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。(メタ)アクリレートモノマーの分子量は100〜500であることが好ましい。

(メタ)アクリレートモノマーの入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、ビスコート#192 PEA(モノマー1)(大阪有機化学工業株式会社製)、ビスコート#160 BZA(モノマー2)(大阪有機化学工業株式会社製)、A−DCP(モノマー3)(新中村化学工業株式会社製)、FA−513AS(モノマー4)(日立化成工業株式会社製)を好ましく用いることができる。
硬化性組成物が(メタ)アクリレートモノマーを含有する場合、(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、1〜80質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましく、3〜40質量%であることがさらに好ましい。
<非共役ビニリデン基含有化合物>
硬化性組成物は、非共役ビニリデン基含有化合物を含んでもよい。
非共役ビニリデン基含有化合物としては、特開2012−107191号公報の段落0016〜0033に記載の化合物を用いることができる。本明細書には、特開2012−107191号公報の段落0016〜0033に記載の内容が組み込まれる。
非共役ビニリデン基含有化合物の分子量は、100〜400であることが好ましく、120〜350であることがより好ましく、130〜300であることが特に好ましい。
非共役ビニリデン基含有化合物の入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、β−カリオフィレン(株式会社井上香料製造所製)や(+)−リモネン(東京化成工業株式会社製)などを好ましく用いることができる。
硬化性組成物が非共役ビニリデン基含有化合物を含有する場合、非共役ビニリデン基含有化合物の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましい。
(重合開始剤)
硬化性組成物は、熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種を含む。
<熱ラジカル重合開始剤>
硬化性組成物は、熱ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。これにより、硬化性組成物を熱重合することにより、耐熱性が高い硬化物を成形することができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、具体的には以下の化合物を用いることができる。例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を挙げることができる。
中でも、硬化性組成物は、熱ラジカル重合開始剤として、ハイドロパーオキサイド化合物を含むことが好ましい。ハイドロパーオキサイド化合物は、過酸化物であり、ペルオキシ基を有する化合物である。なお、ハイドロパーオキサイド化合物においては、ペルオキシ基(−O−O−)の一方の酸素原子には水素原子が置換しており、ハイドロパーオキサイド基(−O−O−H)を含む。分子内にハイドロパーオキサイド基を有するハイドロパーオキサイド化合物は非共役ビニリデン基含有化合物の重合中の連鎖移動を促進する効果があり、硬化性組成物が硬化する際の3次元構造のコントロール性がより向上し、半硬化物に変形性を付与することができる。
ハイドロパーオキサイド化合物の入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、日本油脂株式会社製のパークミルH−80(クメンハイドロパーオキサイド)等を用いることができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、ハイドロパーオキサイド化合物と、他の熱ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。他の熱ラジカル重合開始剤としては、非ハイドロパーオキサイド化合物を挙げることができる。ハイドロパーオキサイド化合物は熱ラジカル重合を開始する温度が一般に高いため、熱重合開始温度の低い非ハイドロパーオキサイド化合物を共に含むことが好ましい。非ハイドロパーオキサイド化合物としては、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製、パーブチルO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製、パーブチルE)等のパーオキシエステル系化合物を用いることが好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5.0質量%であることがより好ましく、0.05〜2.0質量%であることがさらに好ましい。
<光ラジカル重合開始剤>
硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、具体的には以下の化合物を用いることができる。例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリオキシレート、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
中でも、光ラジカル重合開始剤として、BASF社製、イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュア819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、イルガキュア651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンを好ましく用いることができる。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.05〜1.0質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
なお、硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤の両方を含むことが好ましく、この場合、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤の合計含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5.0質量%であることがより好ましく、0.05〜3.0質量%であることがさらに好ましい。
<ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体>
硬化性組成物は、上述した化合物とは別に、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体をさらに含んでもよい。但し、この場合、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は、フッ素原子を含むものではない。ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は硬化性組成物の粘度を高める働きをするため、増粘剤もしくは増粘ポリマーと呼ぶこともできる。なお、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は、硬化性組成物の粘度を所望の範囲内に調整する必要がある際に添加することができる。
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。中でも、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は共重合体であることが好ましい。ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体が共重合体である場合は、少なくとも一方の共重合成分がラジカル重合性基を有していればよい。また、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体が共重合体である場合は、側鎖にラジカル重合性基を有する単量体単位と、側鎖にアリール基を有する単量体単位を含む共重合体であることがより好ましい。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を挙げることができる。ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体には、ラジカル重合性基を有する繰り返し単位が、5〜100質量%含まれていることが好ましく、10〜90質量%含まれていることがより好ましく、20〜80質量%含まれていることがさらに好ましい。
以下に好ましく用いられるラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の具体例を列挙するが、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は以下の構造に限定されるものではない。
以下の構造式において、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素又はメチル基を表す。なお、1つのポリマー中における複数のRaは同一であっても、異なっていてもよい。また、nは0〜10の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の分子量(重量平均分子量)は、1,000〜10,000,000であることが好ましく、5,000〜300,000であることがより好ましく、10,000〜200,000であることがさらに好ましい。また、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体のガラス転移温度は、50〜400℃であることが好ましく、70〜350℃であることがより好ましく、100〜300℃であることがさらに好ましい。
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。なお、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の含有量は、0質量%であってもよく、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体を添加しない態様も好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の趣旨に反しない限りにおいて、硬化性組成物は上述した成分以外のポリマーやモノマー、分散剤、可塑剤、熱安定剤、離型剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(硬化物の製造方法)
硬化物の製造方法は、上述した硬化性組成物を光硬化する工程及び/又は熱硬化する工程を含む。中でも、硬化物の製造方法は、硬化性組成物に光照射するか又は硬化性組成物を加熱することによって半硬化物を形成する工程と、得られた半硬化物に光照射するか又は半硬化物を加熱することによって硬化物を形成する工程と、を含むことが好ましい。
<半硬化物を形成する工程>
半硬化物を形成する工程はまず転写工程を含むことが好ましい。転写工程は、上述した硬化性組成物に金型を押し当てる工程である。転写工程では、一対の金型の一方に注入された硬化性組成物に他方の金型を押し当てて硬化性組成物を押し広げる。
硬化物の製造方法で用いる金型は、窒化クロム処理が施されたものであることが好ましい。これにより、後工程で行う離型工程で、良好な金型離型性を得ることができ、光学部材の製造効率を高めることができる。
窒化クロム処理としては、例えば金型表面に窒化クロム膜を成膜する方法を挙げることができる。金型表面に窒化クロム膜を製膜する方法としては、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法とPVD(Physical Vapor Deposition)法とがある。CVD法は、クロムを含む原料ガスと窒素を含む原料ガスとを高温で反応させて基体表面に窒化クロム膜を形成する方法である。また、PVD法は、アーク放電を利用して基体表面に窒化クロム膜を形成する方法(アーク式真空蒸着法)である。このアーク式真空蒸着法は、真空容器内に例えばクロムよりなる陰極(蒸発源)を配置し、陰極と真空容器の壁面との間でトリガを介してアーク放電を起こさせ、陰極を蒸発させると同時にアークプラズマによる金属のイオン化を図り、基体に負の電圧をかけておき、かつ真空容器に反応ガス例えば窒素ガスを数10mTorr(1.33Pa)程度入れることにより、イオン化した金属と反応ガスを基体の表面で反応させて化合物の膜を作るという方法である。本発明における金型表面の窒化クロム処理は、上記CVD法、又はPVD法により実施されている。
ここで、金型は、一般的に2つの金型を組み合わせて内容物に加圧しながら加熱することができるようになっており、金型に低粘度の組成物を注入すると、成形型クリアランスへの漏れの原因となる。このため、金型に注入される硬化性組成物は、一定以上の粘度を有していることが好ましい。硬化性組成物の粘度を調整するために、硬化性組成物に上述したラジカル重合性基を側鎖に有する重合体を添加してもよい。
金型を押し当てる工程の後には、半硬化物を形成する工程が設けられる。半硬化物は、金型内に注入された硬化性組成物を半硬化することで得られる。半硬化物を形成する工程では、光照射又は加熱を行う。本明細書では、このような工程を半硬化工程と呼ぶこともできる。
半硬化物を形成する工程では、硬化性組成物に対して光照射及び加熱のうち少なくとも一方を行って、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が105〜108mPa・sの半硬化物を形成することが好ましい。
ここで、本明細書中において「半硬化物」とは、硬化性組成物を重合したものであり、完全に固体となっておらず、ある程度流動性を有する状態の物を意味する。25℃、周波数10Hzにおける複素粘度の上限値が1.0×109mPa・s未満の物は半硬化物とみなせる。硬化性組成物の重合体の、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が105〜108mPa・sである場合、その重合体は半硬化物である。一方、「硬化物」とは、硬化性組成物を重合により硬化させたものであり、完全に固体となっている状態の物を意味する。
光照射に用いられる光は、紫外線又は可視光線であることが好ましく、紫外線であることがより好ましい。例えばメタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、殺菌ランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)光源ランプなどが好適に使用される。光照射時の雰囲気は、空気又は不活性ガス置換雰囲気であることが好ましく、酸素濃度1%以下になるまで窒素置換した雰囲気であることがより好ましい。
半硬化工程において、加熱半硬化工程を設ける場合、加熱半硬化は、加熱後の半硬化物の25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が、105〜108mPa・sとなるように行うことが好ましい。
本発明は、上述した方法で製造される半硬化物にも関する。このような半硬化物は、後述する硬化物の製造方法に好ましく用いることができる。ここで、半硬化物の複素粘度の好ましい範囲は、上述した半硬化物を形成する工程における半硬化物の複素粘度の好ましい範囲と同様である。
半硬化物には、光照射工程後において、光ラジカル重合開始剤が全て消費されていて全く含まれていなくてもよく、光ラジカル重合開始剤が残留していてもよい。
また、半硬化物のガラス転移温度は、−150〜0℃であることが好ましく、−50〜0℃であることがより好ましく、−20〜0℃であることが特に好ましい。
<硬化物を形成する工程>
硬化物を形成する工程は、半硬化物を成形型に入れ加圧変形し、加熱して熱重合させるか、もしくは光照射を行うことで光重合させることにより硬化物を得る重合工程を含むことが好ましい。本明細書では、このような工程を硬化工程と呼ぶこともできる。なお、硬化物を形成する工程における光照射の条件と加熱条件は、上述した半硬化工程における条件と同様である。
硬化工程が熱重合工程である場合、重合工程で用いられる成形型のことを、熱成形用成形型とも言う。熱成形用成形型は、一般に2つの成形型を組み合わせて内容物に加圧しながら加熱することができる構成となっていることが好ましい。また、硬化物の製造方法では、硬化物を得る熱重合工程において、成形型として金型を用いることがより好ましい。このような熱成形用成形型としては、例えば、特開2009−126011号公報に記載のものを用いることができる。また、金型は、窒化クロム処理が施されたものであることが好ましい。
熱重合工程では、成形型に入れた半硬化物を、加圧変形し、加熱して熱重合させて硬化物を得る。ここで、加圧変形と加熱は同時に行ってもよく、加圧変形した後で加熱を行ってもよく、加熱した後で加圧変形を行ってもよいが、その中でも加圧変形と加熱を同時に行うことが好ましい。また、加圧変形と加熱を同時に行った上で、加圧が安定してからさらに高温に加熱することも好ましい。
熱重合工程では、半硬化物を150℃以上の温度で加熱して硬化させ、硬化物を得る。
加熱温度は、150℃以上であり、160〜270℃であることが好ましく、165〜250℃であることがより好ましく、170〜230℃であることがさらに好ましい。
この硬化工程では、加熱を行うとともに加圧変形を行うことが好ましい。これにより金型内面の反転形状を硬化物に精度よく転写することができる。
加圧変形における圧力は、0.098MPa〜9.8MPaであることが好ましく、0.294MPa〜4.9MPaであることがより好ましく、0.294MPa〜2.94MPaであることが特に好ましい。
熱重合の時間は、30〜1000秒であることが好ましく、30〜500秒であることがより好ましく、60〜300秒であることが特に好ましい。熱重合時の雰囲気は、空気又は不活性ガス置換雰囲気であることが好ましく、酸素濃度1%以下になるまで窒素置換した雰囲気であることがより好ましい。
硬化工程の後には、離型工程が設けられる。硬化工程で熱重合を行った場合、離型工程では、150〜250℃の温度範囲で硬化物から金型を引き離すことが好ましい。離型工程における温度を上記範囲内とすることにより、硬化物から金型を容易に引き離すことができ、製造効率を高めることができる。
以上、硬化物の製造方法の一例について説明したが、本発明の硬化物の製造方法はこれに限るものではなく、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、転写工程と半硬化工程で用いた金型を、そのまま硬化工程で用いてもよく、半硬化工程を行った後、半硬化物から金型を引き離し、この半硬化物を別の金型(熱成形用成形型)に移動させて硬化工程を行ってもよい。この場合、半硬化工程及び硬化工程で用いる金型には上述したクロム処理が施されていることが好ましい。
また、半硬化工程で、金型内の硬化性組成物に光照射を行うとともに、加熱を行うようにしてもよい。これにより、所望の硬化度を有する半硬化物を確実に得ることができる。
(半硬化物)
本発明は、硬化性組成物の半硬化物にも関する。半硬化物は、上述した硬化性組成物を半硬化することにより形成される。本発明の半硬化物は、上述した半硬化物の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。また、半硬化物は、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が105〜108mPa・sであることが好ましい。
(硬化物)
本発明は、硬化性組成物の硬化物にも関する。硬化物は、上述した半硬化成分を硬化することにより形成される。本発明の硬化物は、上述した硬化物の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。
(サイズ)
本発明の硬化物は、最大厚みが0.1〜10mmであることが好ましい。最大厚みは、より好ましくは0.1〜5mmであり、特に好ましくは0.15〜3mmである。本発明の硬化物は、最大直径が1〜1000mmであることが好ましい。最大直径は、より好ましくは2〜200mmであり、特に好ましくは2.5〜100mmである。
(光学部材)
本発明は、上述した硬化物を含む光学部材にも関する。本発明の硬化物は、光学特性に優れた成形体であるため、光学部材に好ましく用いられる。本発明の光学部材の種類は、特に制限されない。特に、硬化性組成物の優れた光学特性を利用した光学部材、特に光を透過する光学部材(いわゆるパッシブ光学部材)として好適に利用することができる。このような光学部材を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP(Overhead projector)、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
また、光学機能装置に用いられるパッシブ光学部材としては、例えば、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル(板状成形体)、フィルム、光導波路(フィルム状やファイバー状等)、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。このようなパッシブ光学部材には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、無機粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、任意の付加機能層が設けられてもよい。任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート膜等が挙げられる。コーティング層を形成するためのコーティング法としては、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
(応用例)
本発明の硬化物を用いた光学部材は、特にレンズ基材に好ましく用いられる。本発明の硬化性組成物を用いて製造されたレンズ基材は低アッベ数を有し、好ましくは、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、硬化性組成物を構成するモノマーの種類を適宜調整することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
なお、本明細書中において「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、ガラスレンズ基材や、プラスチックレンズ基材に積層させた複合レンズにすることができる。さらにレンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。但し、これらの膜や枠などは、レンズ基材に付加される部材であり、本明細書中でいうレンズ基材そのものとは区別される。
レンズ基材をレンズとして利用するに際しては、レンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、上述した膜や枠、その他レンズ基材などを付加してレンズとして用いてもよい。レンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。
レンズ基材は携帯電話やデジタルカメラ等の撮像用レンズやテレビ、ビデオカメラ等の撮映レンズ、さらには車載レンズ、内視鏡レンズに使用されることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(化合物A)
化合物Aとして下記の化合物を使用した。
<化合物A−1の合成>
特許第5940496号公報の段落0128〜0129に記載の方法に従って、化合物A−1を合成した。
<化合物A−4の合成>
特許第5940496号公報の段落0132〜0133に記載の方法に従って、化合物A−4を合成した。
<化合物A−3の合成>
5,6−ジメトキシ−1−インダノン290gと、オルトフタルアルデヒド204gを1500mLのメタノールに溶解させた。反応溶液を加温し、60℃に保ちつつ、水酸化カリウム255gをメタノール1750mLに溶解させたものを反応溶液に滴下した。5時間攪拌した後、反応溶液を室温に戻し、析出した結晶を濾取し、化合物3−1Aを230g得た。
化合物3−1A 200gと、フェノール320gをメタンスルホン酸320mLに溶解させた。反応溶液を加温し、60℃に保ちつつ、3−メルカプトプロピオン酸3.2mLを滴下した。5時間攪拌後、反応溶液にメタノールを720mL滴下し、30分攪拌後、さらに1400mLのメタノールを滴下した。反応溶液を室温に戻し、析出した結晶を濾取し、化合物3−1Bを292g得た。
2−ヒドロキシエチルアクリレート100gに、トリエチルアミン132mLと、酢酸ブチル650mLを加え攪拌した。反応溶液を5℃に保ちつつ、メタンスルホン酸クロリド70mLを1時間かけて滴下した。1時間攪拌後、反応溶液に水500mL加え、攪拌した後、水層を除去する操作を3回繰り返した。ジブチルヒドロキシトルエンを30mg加えた後、減圧することで酢酸ブチルを留去し、化合物3−1Cを160g得た。
化合物3−1B 100gに酢酸ブチル500mL、ニトロベンゼン0.5mL、炭酸カリウム138g、及びテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)8gを加え攪拌した。反応溶液に、化合物3−1Cを150g加え、80℃に保ちつつ、5時間反応させた後、トルエンを250mL加え攪拌した。反応溶液に、水300mLを加え、60℃に保ちつつ攪拌した後、水層を除去する操作を3回繰り返した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物A−3を120g得た。
<化合物A−2の合成>
5,6−ジメトキシ−1−インダノンの代わりに6−メトキシ−1−インダノンを用いること以外は化合物A−3の合成と同様の操作を行い、化合物A−2を合成した。
<化合物A−6の合成>
o−フェニレンジアミン21.6g及びニンヒドリン35.6gに対して、エタノール50mL、酢酸10mLを加えて70℃で3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却したのち、析出した結晶を濾取し、エタノールで洗浄、乾燥することで、化合物6−1Aを40.9g得た。
化合物6−1Aを20gと、2、6−ジメチルフェノール36gをメタンスルホン酸30mLに溶解させた。反応溶液を加温し、100℃に保ちつつ、3−メルカプトプロピオン酸0.3mLを滴下した。3時間攪拌後、反応溶液にトルエンを70mL滴下し、30分攪拌後、さらに140mLのトルエンを滴下した。反応溶液を室温に戻し、析出した結晶を濾取し、化合物6−1Bを29g得た。
化合物3−1Bの代わりに化合物6−1Bを用いること以外は化合物A−3の合成と同様の操作を行い、化合物A−6を合成した。
<化合物A−8の合成>
化合物6−1Aの代わりに4,5−ジアザフルオレン−9−オン(東京化成工業製)を用いること以外は化合物A−6の合成と同様の操作を行い、化合物A−8を合成した。
(比較化合物A)
比較化合物Aとして下記の化合物RA−1を使用した。
<化合物RA−1の合成>
特許第5898551号公報の段落0097に記載の方法に従って、化合物RA−1を合成した。
(化合物B)
化合物Bとして下記の化合物を使用した。
化合物B−1:2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(東京化成工業製)
化合物B−2:2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(東京化成工業製)
化合物B−3:1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート8F)
化合物B−4:ジアクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業製)
<化合物B−5の合成>
特開2013−181140号公報の段落0177〜0180に記載の方法に従って、化合物B−5を合成した。
<化合物B−6の合成>
1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート8FM)25.0gと、ベンジルメタクリレート(大阪有機工業株式会社製)5.0gと、アリルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)20.0gを、メチルエチルケトン150.0gに溶解させ、これを70℃に加熱した。この溶液に、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、V−65)0.96gをメチルエチルケトン12.0gに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに70℃で4.5時間反応させた。反応液を放冷後、ヘキサン900.0gに滴下し、析出した粉体を濾取し、乾燥させた。このようにして重合体B−6を41.0g得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法による標準ポリスチレン換算で33,900であり、分散度(Mw/Mn)は、3.2であった。
<化合物B−7の合成>
1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート8FM)5.0gと、ベンジルメタクリレート(大阪有機工業株式会社製)25.0gと、アリルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)20.0gを、メチルエチルケトン150.0gに溶解させ、これを70℃に加熱した。この溶液に、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、V−65)0.96gをメチルエチルケトン12.0gに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに70℃で4.5時間反応させた。反応液を放冷後、ヘキサン900.0gに滴下し、析出した粉体を濾取し、乾燥させた。このようにして重合体B−7を39.0g得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法による標準ポリスチレン換算で39,200であり、分散度(Mw/Mn)は、3.7であった。
(比較化合物B)
比較化合物Bとして下記の化合物RB−1を使用した。
<化合物RB−1の合成>
1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート8FM)25.0gと、ベンジルメタクリレート(大阪有機工業株式会社製)25.0gを、メチルエチルケトン150.0gに溶解させ、これを70℃に加熱した。この溶液に、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、V−65)0.96gをメチルエチルケトン12.0gに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに70℃で4.5時間反応させた。反応液を放冷後、ヘキサン900.0gに滴下し、析出した粉体を濾取し、乾燥させた。このようにして重合体B−7を36.0g得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法による標準ポリスチレン換算で24,100であり、分散度(Mw/Mn)は、3.0であった。
(実施例1〜21及び比較例1〜3)
下記表に記載の組成となるように各成分を添加し、攪拌して均一にし、硬化性組成物を調製した。
(その他の重合性化合物)
その他の重合性化合物として、下記の化合物を使用した。
<非共役ビニリデン基含有化合物>
非共役ビニリデン基含有化合物として、β−カリオフィレン(株式会社井上香料製造所製)又は(+)−リモネン(東京化成工業株式会社製)を使用した。なお、光学異性体は特に限定する必要はない。
<光ラジカル重合開始剤>
光ラジカル重合開始剤として、Irgacure819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド:BASF社製)を使用した。
<熱ラジカル重合開始剤>
熱ラジカル重合開始剤として、パーブチルO(日本油脂株式会社製;t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)及び/又はパークミルH−80(日本油脂株式会社製;クメンハイドロパーオキサイド)を使用した。
(評価)
<アッベ数及び部分分散比>
実施例及び比較例で得られた硬化性組成物を、直径10mm、厚み1mmの透明ガラス型に注入し、酸素濃度1%以下の雰囲気下、200℃に加熱することで熱硬化物を作製した。得られた熱硬化物のアッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)を、アッベ屈折計(カルニュー光学工業株式会社製)を用いて測定した。
νd=(nd−1)/(nF−nC)
θg,F=(ng−nF)/(nF−nC)
ここで、ndは波長587.56nmにおける屈折率、nFは波長486.13nmにおける屈折率、nCは波長656.27nmにおける屈折率、ngは波長435.83nmでの屈折率を表す。
次いで、Δ(θg,F)を算出した。Δ(θg,F)は、d線を基準とするアッベ数(νd)を横軸、部分分散比(θg,F)を縦軸としたグラフにおいて、硝種A(株式会社オハラ、硝種名NSL7)と硝種B(株式会社オハラ、硝種名PBM2)を結ぶ直線を標準線としたとき、標準線における部分分散比(θg,F)と、対象物の部分分散比(θg,F)の差分である。
なお、これらの測定には、熱硬化物を用いたが、紫外線照射後に熱硬化を行った硬化物であってもアッベ数に変化はない。
<複合レンズの作製>
表面が窒化クロム処理された成形金型(硬化性組成物と接する面が非球面形状を有する)に実施例及び比較例で得た硬化性組成物を200mg注入し、硬化性組成物の成形金型と接していない側のすべての表面上を覆うように透明なガラスレンズ(硝材BK−7、直径33mm、中心厚み3mm、硬化性組成物と接する面の曲率半径=44.3mm、硬化性組成物と接しない面の曲率半径=330.9mmである凸レンズ)を被せて、硬化性組成物の直径が30mmとなるように押し広げた。この状態とした後、ガラスレンズの上方から、Execure3000(HOYA株式会社製)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した(半硬化物を形成する工程)。なお、得られた半硬化物について、HAAKE社製レオメーターRS6000を用いて、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度を測定したところ5.0×106mPa・sであった。次いで、成形金型及びガラスレンズによって挟まれた状態を維持したまま、硬化性組成物に0.196MPa(2kgf/cm2)の圧力を印加しながら200℃まで昇温し、硬化させた(硬化物を形成する工程)。ついで、金型温度を180℃に冷却した後、硬化性組成物の硬化物と成形金型とを0.05mm/秒の速度で引き離すことにより、複合レンズを作製した(金型を引き離す工程)。以下の評価に用いるために上記の工程を100回繰り返し、100個の複合レンズを作製した。
<金型転写性>
上記のとおり作製した各複合レンズの外観を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−1000)を用いて評価した。複合レンズ表面に、微細な凹凸(シワ)が発生しているものを不良品、発生していないものを良品とした。作製した100個の複合レンズを評価し、そのうちの良品の割合を良品率とし、以下の基準で評価した。なお、ランク2以上を合格レベルとした。
ランク4:良品率が90%以上であった。
ランク3:良品率が70%以上90%未満であった。
ランク2:良品率が50%以上70%未満であった。
ランク1:良品率が50%未満であった。
実施例で得られた硬化性組成物より形成された硬化物においては、Δ(θg,F)の値が大きく、かつ硬化物を成形する際の金型転写性に優れていた。
一方、比較例1では、所定構造を有さない化合物Aを用いているため、Δ(θg,F)の値が小さかった。また、比較例2では、化合物Bを含有していないため、金型転写性に劣っており、比較例3では、所定構造を有さない化合物Bを用いているため、硬化性組成物より形成した硬化物が白濁したため、評価ができなかった。

Claims (9)

  1. 下記一般式(A)で表される化合物Aと、
    少なくとも1つのフッ素原子及び少なくとも1つのラジカル架橋性基を1分子内に有する化合物Bと、
    熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種と、
    を含有する硬化性組成物;

    一般式(A)中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す;
    1、Y1、X2及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素原子であり、Z1はX1−C=C−Y1とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表し、Z2はX2−C=C−Y2とともに5〜7員の芳香環を形成する原子群であって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び炭素原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表す;
    Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環を含むアリーレン基又は破線で囲まれた芳香環を含むヘテロアリーレン基を表し、Ar13とAr14のうち少なくとも一方はフェニレン基以外の基である;
    3〜R6はそれぞれ独立に、置換基を表し、q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数であり、vは0以上の整数であり、vの最大数は、X1−C=C−Y1とZ1が形成する環に置換可能な置換基の最大数であり、wは0以上の整数であり、wの最大数は、X2−C=C−Y2とZ2が形成する環に置換可能な置換基の最大数である;
    1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又は硫黄原子を表し、R11及びR12はそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、アミド結合、カーボネート結合及びアルキレン基から選択される少なくとも1種を含む連結基、又は単結合を表し、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す;
    Ar11〜Ar14がそれぞれ独立に破線で囲まれた芳香環を縮合環のひとつとして含む縮合環基である場合は、L1を連結基として有する基、L2を連結基として有する基、及びR3〜R6はそれぞれ独立に、破線で囲まれた芳香環に置換していても、破線で囲まれた芳香環以外の縮合環に置換していてもよい。
  2. Ar13とAr14のうち少なくとも一方は、破線で囲まれた芳香環を含む縮合環基である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記化合物Bは、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及びパーフルオロアルキレンオキシ基から選択される少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル架橋性基と、を1分子内に有する化合物である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 非共役ビニリデン基含有化合物をさらに含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 熱ラジカル重合開始剤を含み、
    前記熱ラジカル重合開始剤としてハイドロパーオキサイド化合物を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物の半硬化物であって、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が105〜108mPa・sである半硬化物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  8. 請求項7記載の硬化物を含む光学部材。
  9. 請求項7記載の硬化物を含むレンズ。
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