JP5234317B2 - かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法 - Google Patents

かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5234317B2
JP5234317B2 JP2008001273A JP2008001273A JP5234317B2 JP 5234317 B2 JP5234317 B2 JP 5234317B2 JP 2008001273 A JP2008001273 A JP 2008001273A JP 2008001273 A JP2008001273 A JP 2008001273A JP 5234317 B2 JP5234317 B2 JP 5234317B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
line
optical
optical material
cage
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008001273A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009161487A (ja
Inventor
晶子 宮川
留美 品川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2008001273A priority Critical patent/JP5234317B2/ja
Publication of JP2009161487A publication Critical patent/JP2009161487A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5234317B2 publication Critical patent/JP5234317B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Description

本発明は、かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法に関する。
光学材料からなる2つの光学部材が密着し、その界面が回折格子を形成している密着複層型回折光学素子は、使用波長の広帯域化が可能であり、さらに格子と格子との位置合わせが容易であるという長所を備えている。
この密着複層型回折光学素子では、例えば、特開平9−127322号公報(特許文献1)に記載されているように、回折光学面を挟む2つの光学部材の光学特性が相対的に高屈折率低分散および低屈折率高分散であることが求められる。
このような光学材料としては、軽量化できる点で樹脂が適している。また、樹脂を用いることによって成形性や量産性が向上し、低コストでの製造を実現することができる。特に、紫外線硬化樹脂は、転写性に優れ、硬化に要する時間が短く、熱源が不要であるため、さらに低コストでの製造が可能となる。
しかしながら、光学分野において従来から用いられてきた樹脂では、低屈折率と高分散とを高水準で同時に達成することが困難であり、相対的に高屈折率低分散な樹脂と組み合わせて密着複層型回折光学素子を構成しても、回折効率の向上や使用波長の広帯域化には限界があった。このため、新規な低屈折率高分散樹脂が求められてきた。例えば、国際公開第2006/068137号パンフレット(特許文献2)には、低屈折率高分散樹脂として、2官能含フッ素(メタ)アクリレートと、フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含む樹脂前駆体組成物の硬化物が開示されている。
特開平9−127322号公報 国際公開第2006/068137号パンフレット
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、密着複層型回折光学素子の回折効率を向上させることを可能とする、低屈折率と高分散とを高水準で同時に実現した光学材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、かご型構造を有するポリシルセスキオキサン誘導体が光学材料の屈折率を低下させることができ、また、芳香族環を有するポリシルセスキオキサン誘導体が光学材料に高分散性能を付与することができることを見出した。さらに、(メタ)アクリル基を有するポリシルセスキオキサン誘導体が樹脂前駆体との相溶性に優れることを見出した。その結果、これらの構造を有するポリシルセスキオキサン誘導体が光学材料の低屈折率と高分散とを高水準で同時に実現することが可能なこと、および均一な光学材料用樹脂前駆体組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、下記式(1):
Figure 0005234317
で表され、
前記式(1)中、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの少なくとも1つが下記式(2):
Figure 0005234317
(式(2)中、Xは炭素数1〜3のアルキル基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)
で表される基であり、
残りの基のうちの少なくとも1つが(メタ)アクリロキシアルキル基であり、
さらにその残りの基がそれぞれ独立に水素原子、水酸基、または炭素数1〜3のアルキル基である、
ことを特徴とするものである。
前記式(1)中のR11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの2〜5つは前記式(2)で表される基であることが好ましく、残りの基のうちの1〜4つが(メタ)アクリロキシアルキル基であることが好ましい。
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物は、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)と、フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレート(B)と、前記2官能(メタ)アクリレート(B)以外の2官能含フッ素(メタ)アクリレート(C)とを含有することを特徴とするものである。また、本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物はさらに光重合開始剤(D)を含有することが好ましい。
本発明の光学材料用樹脂は、本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物を硬化させて得られることを特徴とするものである。この光学材料用樹脂は、22.5℃におけるd線(587.562nm)、C線(656.273nm)、F線(486.133nm)に対する屈折率が下記式(I)および(II):
≦(n−n)×6.24+1.42 (I)
1.48≦n≦1.56 (II)
(式(I)および(II)中、n、n、nはそれぞれd線、C線、F線に対する屈折率を示す。)
で表される条件を満たすことが好ましい。
本発明の光学素子は、第一の光学材料からなる第一の光学部材と、前記第一の光学部材上に配置された、第二の光学材料からなる第二の光学部材とを備える光学素子であって、
前記第一の光学部材と第二の光学部材との界面で回折格子が形成され、
前記第一の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率と、前記第二の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率とが下記式(III)および(IV):
1d<n2d (III)
1F−n1C>n2F−n2C (IV)
(式(III)中、n1d、n2dはそれぞれ第一および第二の光学材料のd線に対する屈折率を示し、式(IV)中、n1C、n1Fはそれぞれ第一の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示し、n2C、n2Fはそれぞれ第二の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示す。)
で表される条件を満たし、
前記第一の光学材料が、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を硬化させて得られる光学材料用樹脂である、
ことを特徴とするものである。前記第一の光学材料は本発明の光学材料用樹脂であることが好ましい。
本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の製造方法は、下記式(3):
Figure 0005234317
(式(3)中、R111〜R113、R121〜R123、R131〜R133、R141〜R143、R151〜R153、R161〜R163、R171〜R173、およびR181〜R183のうちの2つ以上が水素原子であり、残りの基が炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表されるかご型ポリシルセスキオキサンと、
下記式(4)
Figure 0005234317
(式(4)中、Xは炭素数1〜3のアルキル基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)
で表されるジフェニルアセチレン化合物と、
(メタ)アクリル酸アルケニル化合物と、
を反応させることを特徴とするものである。
本発明の光学素子の製造方法は、第一の光学材料からなる第一の光学部材に回折格子形状を形成する工程と、
前記回折格子形状の上に、第二の光学材料からなる第二の光学部材を形成する工程と、
を含む光学素子の製造方法であって、
前記第一の光学材料が、請求項1または2に記載のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を硬化させて得られる光学材料用樹脂であり、
前記第二の光学材料が、前記第一の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率と、前記第二の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率とが下記式(III)および(IV):
1d<n2d (III)
1F−n1C>n2F−n2C (IV)
(式(III)中、n1d、n2dはそれぞれ第一および第二の光学材料のd線に対する屈折率を示し、式(IV)中、n1C、n1Fはそれぞれ第一の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示し、n2C、n2Fはそれぞれ第二の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示す。)
で表される条件を満たすものである、
ことを特徴とするものである。
本発明によれば、光学材料の低屈折率と高分散とを高水準で同時に実現することができ、さらには密着複層型回折光学素子の回折効率を向上させることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<かご型ポリシルセスキオキサン誘導体>
先ず、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体について説明する。本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、下記式(1):
Figure 0005234317
で表される構造を有することを特徴とするものである。
前記式(1)中、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの少なくとも1つは下記式(2):
Figure 0005234317
(式(2)中、Xは炭素数1〜3のアルキル基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)
で表される基である。残りの基のうちの少なくとも1つは(メタ)アクリロキシアルキル基であり、さらにその残りの基はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、または炭素数1〜3のアルキル基である。
前記式(1)に示すようなかご型構造を有する本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、分子間および分子内に比較的大きな空隙を有するため、これを添加することによって光学材料の屈折率を低下させることできる。
前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体は前記式(2)に示すようなジフェニルビニル構造を有する。これにより光学材料に高分散性能を付与することができる。このジフェニルビニル構造は1つの構造中に2つの芳香族環を有するため、効率よく高分散性能を付与することができる。前記式(1)において、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの好ましくは2〜5つ(より好ましくは3〜5つ)は前記式(2)で表される基である。前記式(2)で表される基の数が上記下限未満になると光学材料に十分な高分散性能を付与できない傾向にある。他方、上記上限を超えると立体障害のため合成が困難になる傾向にある。
前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体は(メタ)アクリロキシアルキル基を有する。これにより後述する樹脂前駆体と紫外線による共重合が可能となる。前記式(1)において、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの好ましくは1〜4つ(より好ましくは1〜3つ)は(メタ)アクリロキシアルキル基である。(メタ)アクリロキシアルキル基の数が上記下限未満になると後述する樹脂前駆体との共重合性が低下する傾向にある。他方、上記上限を超えると立体障害のため合成が困難になる傾向にある。また、かご型ポリシルセスキオキサン誘導体の分散を大きくさせるという観点から前記(メタ)アクリロキシアルキル基中のアルキル基の炭素数は2〜6個であることが好ましい。
また、以上のような観点から、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、前記式(1)において、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの2〜5つが前記式(2)で表される基であり、残りの基のうちの1〜4つが(メタ)アクリロキシアルキル基であるものがさらに好ましく、3〜5つが前記式(2)で表される基であり、残りの基のうちの1〜3つが(メタ)アクリロキシアルキル基であるものが特に好ましい。
さらに、合成時の立体障害を考慮すると、R11〜R13のうちの1つが前記式(2)で表される基または(メタ)アクリロキシアルキル基である場合には、残りの2つの基はそれぞれ独立に水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基であることが最も好ましい。これは、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83についても同様である。
本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、ジフェニルビニル構造と(メタ)アクリロキシアルキル基とを有するため、樹脂前駆体との相溶性が向上し、また硬化時の相分離による白濁も防止することができる。
このようなかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、例えば以下の方法により製造することができる。下記式(3):
Figure 0005234317
(式(3)中、R111〜R113、R121〜R123、R131〜R133、R141〜R143、R151〜R153、R161〜R163、R171〜R173、およびR181〜R183のうちの2つ以上、好ましくは4つ以上が水素原子であり、残りの基が炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表されるかご型ポリシルセスキオキサンに、下記式(4):
Figure 0005234317
(式(4)中、X、mおよびnは式(2)中のX、mおよびnと同義である。)
で表されるジフェニルアセチレン化合物と(メタ)アクリル酸アルケニル化合物とを溶媒中で付加反応させる。
この付加反応の際の立体障害を考慮すると、前記式(3)における、R111〜R113からなる群、R121〜R123からなる群、R131〜R133からなる群、R141〜R143からなる群、R151〜R153からなる群、R161〜R163からなる群、R171〜R173からなる群、およびR181〜R183からなる群のそれぞれについて、3つの置換基のうちの少なくとも1つが水素原子であることがより好ましい。
このようなかご型ポリシルセスキオキサンは、例えば、以下の方法により調製することができる。先ず、アミノアルコールの存在下でテトラアルコキシシランを縮合反応させてかご型ポリシルセスキオキサンのアンモニウム塩を調製する。次いで、このかご型ポリシルセスキオキサンのアンモニウム塩とモノハロゲン化アルキルシランとを反応させることにより前記式(3)で表されるかご型ポリシルセスキオキサンが得られる。
また、かご型ポリシルセスキオキサン誘導体の分散を大きくさせるという観点から前記(メタ)アクリル酸アルケニル化合物中のアルケニル基の炭素数は2〜6個であることが好ましい。前記付加反応に用いる溶媒としては、脱水トルエンなどの脱水溶媒が挙げられる。付加反応の際のゲル化を避けるためには反応系から水分を除去することが望ましく、器具の乾燥、反応物の真空加熱乾燥、脱水溶媒の使用、アルゴンまたは窒素雰囲気での反応が望ましい。また必要に応じて、使用するモノマー等の蒸留や乾燥を行なうことが望ましい。
前記付加反応の反応温度は、使用する触媒に応じて適当な温度を選択することが好ましい。(メタ)アクリロキシアルキル基は光および熱のいずれによっても重合反応を起こすため、置換基導入の際に重合反応を起こさせないことが重要である。したがって、反応系を遮光することに加え、2.1〜2.4質量%白金(0)ジビニル時シロキサン錯体キシレン溶液のように低温でも反応が進行する触媒を用い、冷却下で反応を実施することが望ましい。ただし、氷点下まで冷却することは、反応速度が遅くなりすぎ、さらに氷点下から室温まで戻す過程で急激に発熱しながら反応が進行するため好ましくない。また、室温付近で反応を開始させることは、反応物を滴下した際の局所的な温度上昇が避けられないため好ましくない。したがって、(メタ)アクリロキシアルキル基の重合を避けるための好ましい反応温度は5〜10℃であり、反応物の滴下を終了した後、室温までゆるやかに温度を上昇させることが好ましい。
<光学材料用樹脂前駆体組成物および光学材料用樹脂>
次に、本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物および光学材料用樹脂について説明する。本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物は、かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)と、フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレート(B)と、前記2官能(メタ)アクリレート(B)以外の2官能含フッ素(メタ)アクリレート(C)と、必要に応じて光重合開始剤(D)を含有することを特徴とするものである。
(A)かご型ポリシルセスキオキサン誘導体:
本発明に用いられるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)は、前記式(1)で表されるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体である。このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物における前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)の含有率は10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)の含有率が上記下限未満になると光学材料における分散が小さくなる傾向にある。他方、上記上限を超えると粘度が高くなり取扱いが困難となる傾向にある。
また、本発明の光学材料用樹脂を密着複層型回折光学素子の低屈折率高分散樹脂として使用する場合には、前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)の含有率が上記上限を超えると屈折率が上昇して高屈折率低分散樹脂との屈折率差が小さくなる傾向にある。その結果、回折格子の格子高を高くせざるを得なくなり、光学性能や生産性が悪化する傾向にある。
(B)2官能(メタ)アクリレート:
本発明に用いられるフルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレート(B)(以下、「2官能(メタ)アクリレート(B)」という。)としては、例えば、下記式(5):
Figure 0005234317
で表される化合物が挙げられる。式(5)中、RおよびRはそれぞれ独立に−((CHO)または−(CHCH(OH)CHO)であり(ただし、mは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数である。)、R〜R10はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、フェニル基、フッ化フェニル基、または炭素数1〜6の炭化水素基が置換されたフェニル基を示し、R11〜R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。これらの2官能(メタ)アクリレート(B)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この2官能(メタ)アクリレート(B)はフルオレン構造を有するため、高分散性能付与に有効である。また、(メタ)アクリル基を有するため、相溶性にも優れている。さらに、フッ素原子を含有する場合、光学材料の屈折率を低下させることもできる。
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物における前記2官能(メタ)アクリレート(B)の含有率は2〜40質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。2官能(メタ)アクリレート(B)の含有率が上記下限未満になると光学材料に十分な高分散性能を付与することが困難となる傾向にある。他方、上記上限を超えると樹脂前駆体組成物の粘度が高くなりすぎ、作業性が低下したり、また屈折率を十分に低下させることが困難となる傾向にある。
(C)2官能含フッ素(メタ)アクリレート:
本発明に用いられる、前記2官能(メタ)アクリレート(B)以外の2官能含フッ素(メタ)アクリレート(C)(以下、「2官能(メタ)アクリレート(C)」という。)としては、例えば、下記式(6):
Figure 0005234317
で表される化合物が挙げられる。式(6)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、xは1〜2の整数であり、Yは炭素数2〜12のパーフルオロアルキル基または−(CF−O−CFを示し、zは1〜4の整数である。
具体的には、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3−テトラフルオロブタン、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン、1,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン、1,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン、1,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロノナン、1,10−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカン、1,12−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9、10,10,11,11−イコサフルオロドデカンなどが挙げられる。また、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなども前記2官能(メタ)アクリレート(C)として使用することができる。これらの2官能(メタ)アクリレート(C)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この2官能(メタ)アクリレート(C)はフッ素原子を含有するため、光学材料の屈折率を低下させることもできる。また、(メタ)アクリル基を有するため、相溶性にも優れている。さらに、前記2官能(メタ)アクリレート(B)による樹脂前駆体組成物の粘度上昇を抑制することができる。
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物における前記2官能(メタ)アクリレート(C)の含有率は5〜75質量%であることが好ましく、20〜75質量%であることがより好ましい。2官能(メタ)アクリレート(C)の含有率が上記下限未満になると前記2官能(メタ)アクリレート(B)による樹脂前駆体組成物の粘度上昇を十分に抑制することができず、作業性が低下する傾向にある。他方、上記上限を超えると光学材料用樹脂前駆体組成物の分散が小さくなる傾向にある。
(その他の(メタ)アクリレート)
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物には、前記2官能(メタ)アクリレート(B)および(C)に加えて、必要に応じて、これらと共重合可能なその他の(メタ)アクリレートを含有させてもよい。これにより樹脂前駆体組成物の粘度調整が可能になるとともに、硬化物(光学材料用樹脂)の透明性を向上させることができる。
前記その他の(メタ)アクリレートとしては、1〜4官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの1〜4官能の(メタ)アクリレートは硫黄、塩素、臭素、脂環構造を含まないことが好ましい。これらの原子または構造を含むと光学材料の分散性が低下する傾向にある。1〜4官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、国際公開第2006/068137号パンフレットにおいて第3成分として例示されている(メタ)アクリレートが上げられる。これらのその他の(メタ)アクリレートは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物における前記その他の(メタ)アクリレートの含有率は40質量%以下であることが好ましい。その他の(メタ)アクリレートの含有率が上記上限を超えると低屈折率と高分散とを高水準で同時に実現することが困難となる傾向にある。
(D)光重合開始剤:
前記光重合開始剤(D)は特に限定されるものではなく、光硬化型樹脂に通常使用されるものを適宜選択して使用することができる。
(その他の添加剤)
本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物には、必要に応じて安定剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を含有させることができる。
本発明の光学材料用樹脂は前記光学材料用樹脂前駆体組成物を加熱や紫外線照射により硬化させることによって得られるものである。この光学材料用樹脂は、前記式(1)で表されるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体から導かれる構造を含むため、低屈折率と高分散とが高水準で同時に達成される。
また、本発明の光学材料用樹脂は、22.5℃におけるd線(587.562nm)、C線(656.273nm)、F線(486.133nm)に対する屈折率が下記式(I)および(II):
≦(n−n)×6.24+1.42 (I)
1.48≦n≦1.56 (II)
(式(I)および(II)中、n、n、nはそれぞれd線、C線、F線に対する屈折率を示す。)
で表される条件を満たすことが好ましい。前記条件を満たす光学材料用樹脂は密着複層型回折光学素子の低屈折率高分散材料として好適に使用することができる。
<光学素子>
次に本発明の光学素子について説明する。本発明の光学素子は、第一の光学材料からなる第一の光学部材と、前記第一の光学部材上に配置された、第二の光学材料からなる第二の光学部材とを備えるものであり、前記第一の光学部材と第二の光学部材との界面で回折格子が形成された密着複層型回折光学素子である。
本発明の光学素子において、前記第一の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率と、前記第二の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率とは下記式(III)および(IV):
1d<n2d (III)
1F−n1C>n2F−n2C (IV)
(式(III)中、n1d、n2dはそれぞれ第一および第二の光学材料のd線に対する屈折率を示し、式(IV)中、n1C、n1Fはそれぞれ第一の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示し、n2C、n2Fはそれぞれ第二の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示す。)
で表される条件を満たす。
また、前記第一の光学材料は、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を硬化させて得られる光学材料用樹脂(低屈折率高分散樹脂)である。前記樹脂前駆体組成物としては、組成物の安定性の観点から本発明の光学材料用樹脂前駆体組成物が好ましく、前記第一の光学材料としては均質な点で本発明の光学材料用樹脂が好ましい。
一方、前記第二の光学材料としては、前記式(III)および(IV)で表される条件を満たすものであれば、特に限定されない。例えば、低融点ガラスをモールド成形により表面に回折格子形状を形成したガラス、国際公開第2005/023363号パンフレットなどに記載の従来公知の高屈折率低分散樹脂、その他の射出成形用熱可塑性樹脂、各種の熱硬化性樹脂などが挙げられる。
本発明の光学素子は、低屈折率高分散樹脂(第一の光学材料)が従来のものに比べて低屈折率と高分散とを高水準で同時に達成したものであるため、より高い回折効率を示す。
このような光学素子は、例えば以下の方法により製造することができる。まず、ガラスなどの母材上に、表面に回折格子形状を有する金型を配置する。次いで、この金型と母材との間に、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を充填して硬化させる。これにより、母材上に、前記第一の光学材料(低屈折率高分散樹脂)からなる第一の光学部材が形成されると同時に、前記第一の光学部材の母材との界面と反対側の面に回折格子形状が形成される。
また、上記の母材を用いる方法に代えて、表面が連続面である第一の金型と表面に回折格子形状を有する第二の金型とを対向させて配置し、その間に本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を充填して硬化させても良い。これにより一方の面が連続面であり且つその反対面に回折格子形状が形成された第一の光学材料からなる第一の光学部材を形成することができる。
次に、前記金型を取り外し、代わりに表面が連続面の金型をこの第一の光学部材上に配置する。続いて、この金型と前記第一の光学部材との間に、前記第二の光学材料を形成するための樹脂前駆体組成物を充填して硬化させる。これにより、前記第一の光学部材上に、前記第二の光学材料(高屈折率低分散樹脂)からなる第二の光学部材が形成されると同時に、前記第一の光学部材と第二の光学部材との界面に回折格子が形成される。
また、高屈折率低分散樹脂の代わりに、表面に回折格子形状が形成されたガラスを第二の光学材料として使用する場合には、以下の方法により本発明の光学素子を製造することができる。まず、前記ガラスの回折格子形状が形成された面上に、表面が連続面の金型を配置する。続いて、この金型と前記ガラスとの間に、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を充填して硬化させる。これにより、前記ガラス上に、前記第一の光学材料(低屈折率高分散樹脂)からなる第一の光学部材が形成されると同時に、前記ガラス(第二の光学部材)と前記第一の光学部材の界面に回折格子が形成される。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、かご型ポリシルセスキオキサンの合成方法および樹脂前駆体の調製方法を以下に示す。
(合成例1)
容量500mlのナスフラスコにテトラエトキシシラン(ナカライテスク(株)製)50.2g(241mmol)とコリン(東京化成工業(株)製)57.0g(236mmol)とを仕込み、室温で終夜攪拌した。攪拌中、ポリシルセスキオキサンのアンモニウム塩が析出して攪拌が困難になった時点でメタノール(ナカライテスク(株)製)50mlを加えて前記ポリシルセスキオキサンのアンモニウム塩を溶解した。これにより、均一なポリシルセスキオキサンアンモニウム塩のメタノール溶液を得た。
一方、還流冷却管と攪拌子を備えた容積1000mlの三ツ口フラスコにクロロジメチルシラン(東京化成工業(株)製)約100ml(91.15g(964mmol))とヘキサン(ナカライテスク(株)製)200mlとを仕込んだ。
このクロロジメチルシランのヘキサン溶液に前記ポリシルセスキオキサンアンモニウム塩のメタノール溶液を氷冷攪拌しながら約1時間かけて滴下した。滴下終了後、溶液の温度を室温に戻し、有機層を分液した。得られた有機層をロータリーエバポレーターで約50mlまで濃縮した。この濃縮液にアセトニトリル(ナカライテスク(株)製)200mlを添加し、生じた白色沈殿を濾過して真空乾燥し、白色粉末22.2gを得た。
この白色粉末が、下記式(7):
Figure 0005234317
で表される六面体状のかご型ポリシルセスキオキサンであることを以下の手順で確認した。まず、この白色粉末をH−NMR測定(溶媒:CDCl飽和溶液)および29Si−NMR測定(溶媒:CDCl飽和溶液)により同定した。図1にH−NMRスペクトル、図2に29Si−NMRスペクトルを示す。H−NMRスペクトルでは、Si−CHのピーク(0.25ppm)およびSi−Hのピーク(4.72ppm)のみが検出され、その他のピークは検出されなかった。また、29Si−NMRスペクトルでは、骨格のSiのピーク(−108.3ppm)と、側鎖のジメチルシリル基(Si(CHH)(−1.5ppm)の2本のピークのみが検出された。したがって得られた白色粉末は1種類の骨格Siと1種類の側鎖Siとから構成されており、骨格部分は閉じたかご型構造であることが確認された。
次に、この白色粉末について質量分析を実施した。質量分析装置として日本電子製JMS−700を使用し、FD(電解脱離)イオン化法によって分析を行なったところ、m/z=1016のピークが検出された。また、同装置を用いてEI(電子イオン化)法による分析も実施したところ、同様にm/z=1016である結果が示唆された。
以上の分析結果により、得られた白色粉末は、上記式(7)に示す六面体状の構造を有するかご型ポリシルセスキオキサンであることが確認された。
なお、文献(Chem.Mater.,vol.8,No.8,1996,p.1592−1593の第2欄脚注の下から21〜9行目)によれば、H−NMRスペクトルでは、前記式(7)中のシリル基(SiH)由来のピークは4.72ppmに現れ、ジメチルシリル基(Si(CHH)由来のピークは0.25ppmに現れる。また、29Si−NMRスペクトルでは、前記式(7)中のジメチルシリル基(Si(CHH)中のSiのピークは−1.1ppmに現れ、前記式(7)中のかご構造の頂点のSi(OSi(CHHが結合したSi)のピークは−107.8ppmに現れる。一方、図1および図2に示すように、合成例1で得られた白色粉末についてはH−NMRスペクトルでは0.25ppmおよび4.72ppmにピークが現れ、29Si−NMRスペクトルでは−1.5ppmおよび−108.3ppmにピークが現れた。このことからも、得られたかご型ポリシルセスキオキサンは前記式(7)で表されるものであることが確認された。
なお、合成例1で得られたかご型ポリシルセスキオキサンの収率は74%であった。
(調製例1)
フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレート(B)として9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30質量部と、2官能含フッ素(メタ)アクリレート(C)として2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジアクリレート70質量部とを混合し、均一になるまで攪拌して樹脂前駆体を調製した。
<かご型ポリシルセスキオキサン誘導体>
(実施例1)
容量200mlの三ツ口フラスコに還流冷却管、乾燥アルゴンを充填した風船、三方コック、および攪拌子を装着した。この三ツ口フラスコをドライヤーで加熱して系内を乾燥させながら真空ポンプによる吸引と乾燥アルゴン供給とを繰り返した後、系内に乾燥アルゴンを充填した。
この三ツ口フラスコに、合成例1で得た前記かご型ポリシルセスキオキサン3.05g(3.0mmol)と脱水トルエン(関東化学(株)製、有機合成用脱水溶媒)20mlとを仕込んだ。これに、室温で攪拌しながら、アセトンジメチルアセタール(東京化成工業(株)製)100μl、2.1〜2.4質量%の白金(0)ジビニルジシロキサン錯体キシレン溶液(Gelest社製)50μl、ヒドロキノンモノメチルエーテル(ナカライテスク(株)製)10mg、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール(東京化成工業(株)製)10mgを添加し、かご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液を調製した。系内が均一になった時点で5℃に冷却し、アルミ箔で系全体を遮光した。
一方、ジフェニルアセチレン(東京化成工業(株)製)2.14g(12.0mmol)とメタクリル酸アリル(東京化成工業(株)製)0.76g(6.0mmol)とを脱水トルエン(関東化学(株)製、有機合成用脱水溶媒)30mlに溶解してジフェニルアセチレンとメタクリル酸アリルとを含むトルエン溶液を調製した。
この溶液を、冷却した前記かご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液に撹拌しながらゆっくり滴下した。このとき、系内の温度が10℃以上とならないように留意した。滴下終了後、遮光したまま室温で終夜撹拌した。次いで、トリフェニルホスフィン(ナカライテスク(株)製)少量、粒状活性炭(和光純薬工業(株)製)少量を添加し、10分間撹拌した後、終夜静置した。
その後、粒状活性炭を濾別し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後、真空乾燥して下記式(8):
Figure 0005234317
で表されるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体4.8g(収率86%)を得た。
このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体をH−NMR測定(溶媒:CDCl飽和溶液)および29Si−NMR測定(溶媒:CDCl飽和溶液)により同定した。図3にH−NMRスペクトル、図4に29Si−NMRスペクトルを示す。また、図3および図4に示す結果から置換基Rなどのモル比を算出した結果を表1に示す。
Figure 0005234317
この結果から、前記式(8)中の8個のRのうち、約3〜4個はジフェニルビニル基であり、約1〜2個はメタクリロキシプロピル基であり、約3〜4個は水素原子または水酸基であった。また、図4に示す結果から明らかなようにかご構造の頂点のSiのピークは図2と同じ位置であるため、上記合成反応後もかご型構造は維持されていることが確認された。
(実施例2)
合成例1で得た前記かご型ポリシルセスキオキサンの量を9.15g(9.0mmol)、脱水トルエンの量を60ml、アセトンジメチルアセタールの量を200μl、2.1〜2.4質量%の白金(0)ジビニルジシロキサン錯体キシレン溶液の量を100μl、ヒドロキノンモノメチルエーテルの量を45mg、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノールの量を45mgに変更した以外は実施例1と同様にしてかご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液を調製した。
また、ジフェニルアセチレンの量を7.92g(36.0mmol)、メタクリル酸アリルの量を4.56g(36.0mmol)、脱水トルエンの量を90mlに変更した以外は実施例1と同様にしてジフェニルアセチレンとメタクリル酸アリルとを含むトルエン溶液を調製した。
その後、前記かご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液および前記ジフェニルアセチレンとメタクリル酸アリルとを含むトルエン溶液を使用した以外は実施例1と同様にして前記式(8)で表されるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体16.2g(収率91%)を得た。
このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を実施例1と同様にして同定した。図5にH−NMRスペクトル、図6に29Si−NMRスペクトルを示す。また、図5および図6に示す結果から置換基Rなどのモル比を算出した結果を表2に示す。
Figure 0005234317
この結果から、前記式(8)中の8個のRのうち、約4〜5個はジフェニルビニル基であり、約2個はメタクリロキシプロピル基であり、約2個は水素原子または水酸基であった。また、図6に示す結果から明らかなようにかご構造の頂点のSiのピークは図2と同し位置であるため、上記合成反応後もかご型構造は維持されていることが確認された。
<光学材料用樹脂前駆体組成物および光学材料用樹脂>
(実施例3)
実施例1で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体(以下、「かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A1)」という。)50質量部と調製例1で得た樹脂前駆体50質量部とを混合して均一になるまで攪拌した。得られた樹脂前駆体組成物に光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2質量部を添加した。
この樹脂前駆体組成物に100,000mJ/cmの紫外線を照射して厚さ5mmの硬化物(光学材料用樹脂)を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物のd線(587.562nm)、C線(656.273nm)、F線(486.133nm)に対する屈折率(n、n、n)を、カールツァイス・イエナ製屈折計(PR−2型)を用いて22.5℃で測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
(実施例4)
前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A1)の量を10質量部、前記樹脂前駆体の量を90質量部に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂前駆体組成物を調製し、硬化物を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物の屈折率を実施例3と同様にして測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
(実施例5)
前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A1)の代わりに実施例2で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体(以下、「かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A2)」という。)を50質量部使用した以外は実施例3と同様にして樹脂前駆体組成物を調製し、硬化物を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物の屈折率を実施例3と同様にして測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
(実施例6)
前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A2)の量を46.4質量部、前記樹脂前駆体の量を53.6質量部に変更した以外は実施例5と同様にして樹脂前駆体組成物を調製し、硬化物を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物の屈折率を実施例3と同様にして測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
(実施例7)
前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A2)の量を30質量部、前記樹脂前駆体の量を70質量部に変更した以外は実施例5と同様にして樹脂前駆体組成物を調製し、硬化物を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物の屈折率を実施例3と同様にして測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
(比較例1)
かご型ポリシルセスキオキサン誘導体を使用せず、前記樹脂前駆体を100質量部使用した以外は実施例3と同様にして樹脂前駆体組成物を調製し、硬化物を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物の屈折率を実施例3と同様にして測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
(比較例2)
合成例1で得られたかご型ポリシルセスキオキサンの量を6.1g(6.0mmol)、脱水トルエンの量を40ml、アセトンジメチルアセタールの量を200μl、2.1〜2.4質量%の白金(0)ジビニルジシロキサン錯体キシレン溶液の量を100μl、ヒドロキノンモノメチルエーテルの量を65mg、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノールの量を65mgに変更した以外は実施例1と同様にしてかご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液を調製した。
一方、メタクリル酸アリル(東京化成工業(株)製)6.55g(52.0mmol)を脱水トルエン(関東化学(株)製、有機合成用脱水溶媒)60mlに溶解してメタクリル酸アリルを含むトルエン溶液を調製した。
その後、前記かご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液および前記メタクリル酸アリルを含むトルエン溶液を使用した以外は実施例1と同様にして前記式(8)で表されるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体10.0g(収率94%)を得た。
このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を実施例1と同様にして同定した。図7にH−NMRスペクトル、図8に29Si−NMRスペクトルを示す。また、図7および図8に示す結果から置換基Rなどのモル比を算出した結果を表3に示す。
Figure 0005234317
この結果から、前記式(8)中の8個のRのうち、約6個はメタクリロキシプロピル基であり、約1〜2個は水素原子または水酸基であった。また、図8に示す結果から明らかなようにかご構造の頂点のSiのピークは図2と同じ位置であるため、上記合成反応後もかご型構造は維持されていることが確認された。
このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体100質量部に光重合開始剤としてイルガキュア184を2質量部添加した。この組成物に100,000mJ/cmの紫外線を照射して厚さ5mmの硬化物を作製した。得られた硬化物は白濁せず、屈折率測定が可能なものであった。この硬化物の屈折率を実施例3と同様にして測定した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
比較例2で合成したかご型ポリシルセスキオキサン誘導体は、メチルメタクリレートや前記樹脂前駆体と良好な相容性を示したが、分散(n−n)が小さいため、これらと混合して硬化物を形成しても、密着複層型回折光学素子として望ましい低屈折率高分散の硬化物は得られない。
(比較例3)
合成例1で得た前記かご型ポリシルセスキオキサンの量を6.1g(6.0mmol)、脱水トルエンの量を30ml、アセトンジメチルアセタールの量を200μl、2.1〜2.4質量%の白金(0)ジビニルジシロキサン錯体キシレン溶液の量を50μl、ヒドロキノンモノメチルエーテルの量を30mg、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノールの量を30mgに変更した以外は実施例1と同様にしてかご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液を調製した。
一方、ビニルベンゼン(東京化成工業(株)製)2.62g(25.2mmol)とメタクリル酸アリル(東京化成工業(株)製)3.18g(25.2mmol)とを脱水トルエン(関東化学(株)製、有機合成用脱水溶媒)40mlに溶解してメタクリル酸アリルを含むトルエン溶液を調製した。
その後、前記かご型ポリシルセスキオキサンのトルエン溶液および前記ビニルベンゼンと前記メタクリル酸アリルとを含むトルエン溶液を使用した以外は実施例1と同様にして前記式(8)で表されるかご型ポリシルセスキオキサン誘導体8.9g(収率77%)を得た。
このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を実施例1と同様にして同定した。図9にH−NMRスペクトル、図10に29Si−NMRスペクトルを示す。また、図9および図10に示す結果から置換基Rなどのモル比を算出した結果を表4に示す。
Figure 0005234317
この結果から、前記式(8)中の8個のRのうち、約2〜3個はフェニルエチル基であり、約2〜3個はメタクリロキシプロピル基であり、約1〜2個は水素原子または水酸基であった。また、図10に示す結果から明らかなようにかご構造の頂点のSiのピークは図2とほぼ同じ位置であるため、上記合成反応後もかご型構造は維持されていることが確認された。
このかご型ポリシルセスキオキサン誘導体100質量部に光重合開始剤としてイルガキュア184を2質量部添加した。この組成物に100,000mJ/cmの紫外線を照射したが、十分に硬化せず、屈折率測定が可能な硬化物は得られなかった。そこで、前記かご型ポリシルセスキオキサン誘導体とイソボルニルアクリレートとを数種の混合比で混合し、この組成物100質量部に光重合開始剤としてイルガキュア184を2質量部添加して100,000mJ/cmの紫外線を照射し、屈折率測定が可能な硬化物を作製した。得られた屈折率の測定値を外挿して、比較例3のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体のみを硬化した場合の屈折率を算出した。n、n、nおよびn−nの値を表5に示す。
この結果から明らかなように、比較例3のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の屈折率(n)は小さいが、分散(n−n)も小さいため、比較例3のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体と前記樹脂前駆体とを混合して硬化物を形成しても、密着複層型回折光学素子として望ましい低屈折率高分散の硬化物は得られない。
Figure 0005234317
表5に示した結果から明らかなように、ジフェニルビニル基とメタクリロキシアルキル基とを有する本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を用いた場合(実施例1〜7)は、密着複層型回折光学素子として望ましい低屈折率高分散の硬化物が得られた。一方、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を添加しなかった場合(比較例1)、ジフェニルビニル基を含まないかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を用いた場合(比較例2)、およびジフェニルビニル基の代わりにフェニルエチル基を有するかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を用いた場合(比較例3)には、硬化物は低屈折率であるが、分散は小さいものとなる。
<密着複層型回折光学素子>
(実施例8)
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートとジ(2−メルカプトエチル)スルフィドとをモル比2.5:1で混合し、トリエチルアミンを触媒としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートにジ(2−メルカプトエチル)スルフィドを付加してオリゴマーを得た。このオリゴマー100質量部に光重合開始剤としてイルガキュア184を2質量部添加して高屈折率低分散光学材料用組成物を得た。
この組成物に10,000mJ/cmの紫外線を照射して厚さ5mmの硬化物(高屈折率低分散樹脂)を作製した。また、実施例6で調製した樹脂前駆体組成物にも100,000mJ/cmの紫外線を照射して厚さ5mmの硬化物(低屈折率高分散樹脂)を作製した。
これらの硬化物のh線、g線、F線、e線、d線、C線、およびr線に対する屈折率を、カールツァイス・イエナ製屈折計(PR−2型)を用いて22.5℃で測定した。その結果を表6に示す。なお、高屈折率低分散樹脂のn−nは0.011であった。
Figure 0005234317
次に、前記高屈折率低分散樹脂と前記低屈折率高分散樹脂とを用いて格子高が15μmの密着複層型回折光学素子を作製した場合について、前記密着複層型回折光学素子の波長λ(単位:nm)におけるm次光の回折効率ηを下記式(V)および(VI)を用いて算出した。1次光についての計算結果を図11に示す。
η=[sin{π(α−m)}/{π(α−m)}] (V)
α={(n1λ−1)−(n2λ−1)}×d/λ (VI)
式(V)および(VI)中、dは回折格子の高さ(nm)を示し、n1λおよびn2λはそれぞれ波長λにおける光学部材1および2の屈折率を示す。
次に、前記高屈折率低分散光学材料用組成物と、低屈折率高分散光学材料用組成物として実施例6で調製した樹脂前駆体組成物とを用いて密着複層型回折光学素子を作製する方法を説明する。
図12(a)に示すように、まず、ガラス製母材1の樹脂層を形成する面2にシランカップリング処理を施す。次に、図12(b)に示すように、表面に上記格子形状が成形される金型3と処理面2とを対向させ、その間に実施例6で調製した樹脂前駆体組成物4を充填し、紫外線を照射して硬化させて低屈折率高分散樹脂からなる光学部材5を形成する。金型3としては、例えば外径が50mm、格子高が15μmであり、格子ピッチが中心付近で3.5mm、外周付近で0.17mmであり、外周に近いほど格子ピッチが小さくなる回折格子が形成されるものを使用することができる。その後、図12(c)に示すように離型する。
次いで、図12(d)に示すように、回折格子形状がなく連続面が成形される金型7と前記光学部材5とを対向させ、その間に前記高屈折率低分散光学材料用組成物6を充填し、紫外線を照射して硬化させて高屈折率低分散樹脂からなる光学部材8を形成する。その後、図12(e)に示すように、離型して密着複層型回折光学素子を得る。この回折光学素子は前記計算式により計算されるとおり高い回折効率を示すものである。
(比較例4)
2官能含フッ素(メタ)アクリレートとして2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジアクリレート59質量部と、フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレートとして9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン37質量部と、1官能アクリレートとしてメトキシポリプロピレングリコールアクリレート4重量部とを混合し、均一になるまで攪拌して低屈折率高分散光学材料用組成物を調製した。
この組成物100質量部に光重合開始剤としてイルガキュア184を2質量部添加した。この組成物に10,000mJ/cmの紫外線を照射して厚さ5mmの硬化物(低屈折率高分散樹脂)を作製した。この硬化物の屈折率を実施例8と同様にして測定した。その結果を表7に示す。
Figure 0005234317
次に、この低屈折率高分散樹脂と実施例8に記載の高屈折率低分散樹脂とを用いて格子高が15μmの密着複層型回折光学素子を作製した場合について、実施例8と同様にして密着複層型回折光学素子の波長λ(単位:nm)におけるm次光の回折効率ηを算出した。1次光についての計算結果を図11に示す。
図11に示した結果から明らかなように、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を用いた密着複層型回折光学素子(実施例8)は、本発明のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を用いなかったもの(比較例4)に比べて回折効率に優れるものであった。
以上説明したように、本発明によれば、光学材料の低屈折率と高分散とを高水準で同時に実現することが可能となる。
したがって、本発明の密着複層型回折光学素子は、回折効率に優れるため、カメラ、顕微鏡、双眼鏡など、使用波長帯域の広い光学製品に用いる光学素子などとして有用である。
合成例1で得たかご型ポリシルセスキオキサンのH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例1で得たかご型ポリシルセスキオキサンの29Si−NMRスペクトルを示すグラフである。 実施例1で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 実施例1で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の29Si−NMRスペクトルを示すグラフである。 実施例2で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 実施例2で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の29Si−NMRスペクトルを示すグラフである。 比較例2で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 比較例2で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の29Si−NMRスペクトルを示すグラフである。 比較例3で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 比較例3で得たかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の29Si−NMRスペクトルを示すグラフである。 密着複層型回折光学素子の各波長における1次光回折効率を示すグラフである。 実施例8における密着複層型回折光学素子の製造工程で得られる光学素材を模式的に示す断面図であり、(a)はシランカップリング処理後のガラス製母材の断面図であり、(b)は低屈折率高分散樹脂からなる光学部材を形成した後の光学素子の断面図であり、(c)は離型後の光学素子の断面図であり、(d)は高屈折率低分散樹脂からなる光学部材を形成した後の光学素子の断面図であり、(e)は離型後の光学素子の断面図である。
符号の説明
1…ガラス製母材、2…シランカップリング処理面(樹脂層形成面)、3…金型、4…低屈折率高分散樹脂前駆体組成物、5…低屈折率高分散樹脂からなる光学部材、6…高屈折率低分散光学材料用組成物、7…金型、8…高屈折率低分散樹脂からなる光学部材。

Claims (10)

  1. 下記式(1):
    Figure 0005234317
    で表され、
    前記式(1)中、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの少なくとも1つが下記式(2):
    Figure 0005234317
    (式(2)中、Xは炭素数1〜3のアルキル基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)
    で表される基であり、
    残りの基のうちの少なくとも1つが(メタ)アクリロキシアルキル基であり、
    さらにその残りの基がそれぞれ独立に水素原子、水酸基、または炭素数1〜3のアルキル基である、
    ことを特徴とするかご型ポリシルセスキオキサン誘導体。
  2. 前記式(1)中のR11〜R13、R21〜R23、R31〜R33、R41〜R43、R51〜R53、R61〜R63、R71〜R73、およびR81〜R83のうちの2〜5つが前記式(2)で表される基であり、
    残りの基のうちの1〜4つが(メタ)アクリロキシアルキル基である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体。
  3. 請求項1または2に記載のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体(A)と、フルオレン構造を有する2官能(メタ)アクリレート(B)と、前記2官能(メタ)アクリレート(B)以外の2官能含フッ素(メタ)アクリレート(C)とを含有することを特徴とする光学材料用樹脂前駆体組成物。
  4. さらに光重合開始剤(D)を含有することを特徴とする請求項3に記載の光学材料用樹脂前駆体組成物。
  5. 請求項3または4に記載の光学材料用樹脂前駆体組成物を硬化させて得られることを特徴とする光学材料用樹脂。
  6. 22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率が下記式(I)および(II):
    ≦(n−n)×6.24+1.42 (I)
    1.48≦n≦1.56 (II)
    (式(I)および(II)中、n、n、nはそれぞれd線、C線、F線に対する屈折率を示す。)
    で表される条件を満たすことを特徴とする請求項5に記載の光学材料用樹脂。
  7. 第一の光学材料からなる第一の光学部材と、前記第一の光学部材上に配置された、第二の光学材料からなる第二の光学部材とを備える光学素子であって、
    前記第一の光学部材と第二の光学部材との界面で回折格子が形成され、
    前記第一の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率と、前記第二の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率とが下記式(III)および(IV):
    1d<n2d (III)
    1F−n1C>n2F−n2C (IV)
    (式(III)中、n1d、n2dはそれぞれ第一および第二の光学材料のd線に対する屈折率を示し、式(IV)中、n1C、n1Fはそれぞれ第一の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示し、n2C、n2Fはそれぞれ第二の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示す。)
    で表される条件を満たし、
    前記第一の光学材料が、請求項1または2に記載のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を硬化させて得られる光学材料用樹脂である、
    ことを特徴とする光学素子。
  8. 前記第一の光学材料が請求項5または6に記載の光学材料用樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  9. 下記式(3):
    Figure 0005234317
    (式(3)中、R111〜R113、R121〜R123、R131〜R133、R141〜R143、R151〜R153、R161〜R163、R171〜R173、およびR181〜R183のうちの2つ以上が水素原子であり、残りの基が炭素数1〜3のアルキル基である。)
    で表されるかご型ポリシルセスキオキサンと、
    下記式(4)
    Figure 0005234317
    (式(4)中、Xは炭素数1〜3のアルキル基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)
    で表されるジフェニルアセチレン化合物と、
    (メタ)アクリル酸アルケニル化合物と、
    を反応させることを特徴とする請求項1に記載のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体の製造方法。
  10. 第一の光学材料からなる第一の光学部材に回折格子形状を形成する工程と、
    前記回折格子形状の上に、第二の光学材料からなる第二の光学部材を形成する工程と、
    を含む光学素子の製造方法であって、
    前記第一の光学材料が、請求項1または2に記載のかご型ポリシルセスキオキサン誘導体を含む樹脂前駆体組成物を硬化させて得られる光学材料用樹脂であり、
    前記第二の光学材料が、前記第一の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率と、前記第二の光学材料の22.5℃におけるd線、C線、F線に対する屈折率とが下記式(III)および(IV):
    1d<n2d (III)
    1F−n1C>n2F−n2C (IV)
    (式(III)中、n1d、n2dはそれぞれ第一および第二の光学材料のd線に対する屈折率を示し、式(IV)中、n1C、n1Fはそれぞれ第一の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示し、n2C、n2Fはそれぞれ第二の光学材料のC線、F線に対する屈折率を示す。)
    で表される条件を満たすものである、
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
JP2008001273A 2008-01-08 2008-01-08 かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法 Active JP5234317B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008001273A JP5234317B2 (ja) 2008-01-08 2008-01-08 かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008001273A JP5234317B2 (ja) 2008-01-08 2008-01-08 かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009161487A JP2009161487A (ja) 2009-07-23
JP5234317B2 true JP5234317B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=40964529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008001273A Active JP5234317B2 (ja) 2008-01-08 2008-01-08 かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5234317B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5383250B2 (ja) * 2009-02-26 2014-01-08 新日鉄住金化学株式会社 硬化性樹脂組成物及び硬化物
JP2011154361A (ja) * 2009-12-28 2011-08-11 Panasonic Corp 回折光学素子及び光学機器
JP5813357B2 (ja) * 2011-04-19 2015-11-17 株式会社カネカ 硬化性組成物
WO2013069227A1 (ja) * 2011-11-09 2013-05-16 パナソニック株式会社 回折光学素子ならびにこれを用いた撮像装置および照明装置
WO2018168233A1 (ja) * 2017-03-15 2018-09-20 富士フイルム株式会社 硬化性組成物、硬化物、光学部材及びレンズ

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20080094712A1 (en) * 2004-12-20 2008-04-24 Nikon Corporation Close-Bonded Diffractive Optical Element, Optical Material Used Therefore, Resin Precursor And Resin Precursor Composition
JP5275589B2 (ja) * 2007-08-02 2013-08-28 日本曹達株式会社 シルセスキオキサンを含有する組成物及びシルセスキオキサン含有ヒドロキシアルキルセルロース樹脂組成物
WO2009084562A1 (ja) * 2007-12-27 2009-07-09 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. 籠構造含有硬化性シリコーン共重合体及びその製造方法並びに籠構造含有硬化性シリコーン共重合体を用いた硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009161487A (ja) 2009-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5234317B2 (ja) かご型ポリシルセスキオキサン誘導体、それを含む光学材料用樹脂前駆体組成物、光学材料用樹脂、および光学素子、ならびにこれらの製造方法
JP6438199B2 (ja) 重合性無機粒子分散剤、該重合性無機粒子分散剤を含む無機有機複合粒子、および無機有機樹脂複合材
JP6304960B2 (ja) (メタ)アクリレート化合物、光学用組成物、成形体および光学素子
JP6828981B2 (ja) 多面体オリゴマーシルセスキオキサンおよびその製造方法
CN108779192B (zh) 有机硅相容的化合物
JP2010519397A (ja) 有機シロキサン重合体の製造方法
JP4277105B2 (ja) トリフルオロビニルエーテル官能基を含有するシロキサン単量体と、このシロキサン単量体を用いて製造されたゾル−ゲルハイブリッド重合体
Shelkovnikov et al. Synthesis and thermomechanical properties of hybrid photopolymer films based on the thiol-siloxane and acrylate oligomers
WO2017038943A1 (ja) アクリル基を有するシルセスキオキサン化合物を含む重合性組成物
US20190233556A1 (en) High refractive index polymerizable monomers and applications thereof
TWI616459B (zh) 矽可相容光引發劑
JP4919745B2 (ja) ナノ粒子及びナノ粒子複合体
TWI808082B (zh) 包含反應性倍半矽氧烷化合物之光波導形成用組成物
KR102314075B1 (ko) 반응성 폴리실록산 및 이것을 포함하는 중합성 조성물
JP6555499B2 (ja) 高屈折率重合性化合物の低粘度化剤及びそれを含む重合性組成物
KR101057734B1 (ko) 고굴절율을 갖는 아크릴레이트 및 그 제조방법
KR101965194B1 (ko) 불소계 모노머 및 올리고머 화합물, 광중합형 조성물, 및 이들을 이용한 소수성 필름
JP7234677B2 (ja) 多官能プロパルギル化合物及びそれを含む光学用組成物
CN111253430B (zh) 具有硅杂环丁烷交联结构的环硅氧烷聚合单体及其制备方法
KR101406059B1 (ko) 실리콘-함유 아크릴레이트 또는 메타크릴레이트 단량체 및 그의 용도
JPWO2017179438A1 (ja) フェナントレン環含有反応性シルセスキオキサン化合物を含む重合性組成物
US20160032028A1 (en) Polyelectrolyte polymers, their manufacture and use
KR20240056091A (ko) 신규한 아크릴계 화합물 및 이를 포함하는 저유전 코팅액 조성물
KR101306981B1 (ko) 황을 함유하는 단환구조체로부터 고굴절율 및 고열광학 특성을 갖는 광학 고분자 재료
KR101316079B1 (ko) 고굴절율 및 고열광학 특성을 갖는 고분자 광소자 재료

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130313

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5234317

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250