JPWO2013069227A1 - 回折光学素子ならびにこれを用いた撮像装置および照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈折率と低波長分散性とがバランス良く両立し、かつ加工性に優れ、さらには耐熱性が高く温度変化に強い回折光学素子を提供する。
【解決手段】回折光学素子1は、第1の屈折率及び第1のアッベ数を有するシルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料で構成され、その表面に回折格子4が形成された基材2と、第1の屈折率より小さい第2の屈折率及び第1のアッベ数より小さい第2のアッベ数を有するシリコーン樹脂材料で構成され、回折格子4が形成された基材2上に形成された保護膜3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、回折現象を利用して光の集光または発散を行う回折光学素子(回折光学レンズ)ならびにこれを用いた撮像装置および照明装置に関する。
近年、情報通信の高速化、各種電子機器の小型軽量化等を実現するためのキーテクノロジーとしてオプトエレクトロニクスが注目されており、これを実現するための光学材料の開発が急がれている。
光学材料としては、従来、光学ガラス等の無機系材料が一般的に使用されている。しかし、無機系光学材料は加工が難しく、これを用いて微細化かつ複雑化が進む光学部品を大量かつ安価に生産することが困難であるという問題を潜在的に有する。
一方、樹脂を中心とした有機系光学材料は、加工性に優れ生産コストの低減が可能であること、さらに軽量であることから、今後のオプトエレクトロニクス技術を支えていく材料として期待されており、近年開発が加速する傾向にある。
有機系光学材料の課題のひとつとして、有機系光学材料単独で光学部品を形成する場合、屈折率が十分に高くない点、及び屈折率と波長分散性とのバランスが取れている材料が少ない点があげられる。有機系光学材料として最も用いられる樹脂材料のD線(波長589nm)における屈折率nmDと波長分散性を示すアッベ数νmとは、おおむね下記(式1)を満足することが知られている(非特許文献1参照)。なお、D線とd線(波長587nm)については波長が非常に近いところから、各材料のD線における屈折率とd線における屈折率とはほぼ同傾向にあると考えてよい。
1.66−0.004νm≦nmD≦1.8−0.005νm・・・(式1)
樹脂の屈折率が十分に高くない点、及び屈折率と波長分散性とのバランスが取れている材料が少ない点は、例えば光学部品としてレンズを考えた場合、色収差や像面湾曲により十分な特性が得られないという問題を生じさせる。また、光学部品として光導波路を有する固体撮像素子を考えた場合、光導波路とその周辺材料との間で十分な屈折率差が得られず、その結果として集光効率が低下するという問題を生じさせる。
これらの課題を解決するため、例えば基材となる樹脂に対し無機系の微粒子を分散させ、高屈折率を有する有機系光学材料を調製し、この材料を用いて光学部品を構成することが検討されている。
特許文献1には、高屈折率かつ低波長分散性を示す有機系光学材料からなる光学部品を得る方法として、メタクリル樹脂等の透明な基材樹脂に、アルミナや酸化イットリウム等の微粒子を分散させた樹脂組成物により光学部品を構成する方法が開示されている。
また、特許文献2〜4には、一定以上の光学特性を有する熱可塑性樹脂に、酸化チタン又は酸化亜鉛の微粒子を分散させた熱可塑性樹脂組成物により光学部品を構成する方法が開示されている。
また、特許文献5には、回折格子を設けたレンズ基体に樹脂からなる光学調整膜を設けた回折格子レンズが開示されている。特許文献5においては、回折格子が形成されたレンズ基体の表面上に、レンズ基体とは異なる屈折率および屈折率分散(refractive index dispersion)を有する光学材料からなる光学調整膜を設けることが開示されている。これによれば、回折格子が形成された基体の屈折率と、回折格子を覆うように形成された光学調整膜の屈折率とを特定の条件に設定することにより、回折効率の波長依存性を低減し、不要次数回折光を低減し、不要次数回折光によるフレアを抑制することができるとしている。
特開2001−183501号公報 特開2003−073559号公報 特開2003−073563号公報 特開2003−073564号公報 特開平09―127321号公報
井出文雄著、「季刊化学総説No.39 透明ポリマーの屈折率制御」、日本化学会編、1998年11月10日発行、9頁図2)
しかしながら、特許文献1に開示されている方法においては、d線(波長587nm)における屈折率(以下、「d線屈折率」という)が1.76のアルミナを基材樹脂に分散させるため、高屈折率の樹脂組成物を得ることは原理的に難しかった。なお、特許文献1には、アルミナ以外の無機微粒子を基材樹脂に分散させる方法も開示されているが、この場合においては、十分高いアッベ数、すなわち低い波長分散性を得るために、赤外線吸収染料等の異常分散物質をさらに分散させると記載されている。また、特許文献2〜4に開示されている方法においては、基材樹脂に分散させる無機微粒子として、波長分散性の高い酸化チタン(アッベ数12)又は酸化亜鉛(アッベ数12)を使用するため、高屈折率の樹脂組成物を得るために無機微粒子の分散比率を増加すると波長分散性が著しく増大し、高屈折率と低波長分散性とが両立した樹脂組成物を得ることは困難であった。
さらに、価格が安い樹脂組成物のみで構成され、加工性の高い光学材料は、携帯電話や小型カメラ、車載カメラ、セキュリティカメラなどに用いられる回折格子レンズ、特に可視光の全波長域にわたって略均一な回折効率を有する白色回折レンズとして好適である。但し、このような白色回折レンズは、それを保持する部材を介して、他の電子部品、例えば撮像素子等とともに電子基板に実装され、そのままリフローはんだ可能であることを要求される場合がある。そうすれば、他の電子部品とともに、白色回折レンズも電子基板上に固定可能となる。そのためには、白色回折レンズ自身も、最高200℃を超えるリフローはんだ炉の環境に耐えうるものが望ましい。
しかしながら、特許文献1〜5に開示された樹脂組成物或いは構成では、このような高温環境に対応することが困難であった。
本発明は、高屈折率と低波長分散性とがバランス良く両立し、かつ加工性に優れ、さらには耐熱性が高く温度変化に強い回折光学素子を提供することを目的とする。
本発明に係る回折光学素子は、上記目的を達成するために、第1の屈折率及び第1のアッベ数を有するシルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料で構成され、その表面に回折格子が形成された基材と、第1の屈折率より小さい第2の屈折率、及び前記第1のアッベ数より小さい第2のアッベ数を有するシリコーン樹脂材料で構成され、回折格子が形成された基材上に形成された保護膜と、を備えるものである。
本発明の回折光学素子によれば、高屈折率かつ低波長分散性を有する樹脂材料と低屈折率かつ高波長分散性を有する樹脂材料とがバランス良く両立し、かつ加工性に優れ、さらには耐熱性が高く温度変化に強い回折光学素子を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る回折光学素子を用いた凸レンズを示す説明図 本発明の第1実施形態に係る樹脂材料のアッベ数と屈折率との関係を示すグラフ 本発明の第1実施形態の回折光学素子において回折格子を備えた基材の製造工程を示す説明図 本発明の第1実施形態の回折光学素子において回折格子が形成された基材上に保護膜を形成する工程を示す説明図 本発明の第1実施形態の回折光学素子の変形例を示す説明図 本発明の第2実施形態に係る回折光学素子を内蔵した撮像装置の斜視図 本発明の第2実施形態に係るカメラ部の内部構成を示す断面図 本発明の第3実施形態に係る照明装置を備えた内視鏡の全体構成図 本発明の第3実施形態に係る内視鏡の挿入部先端の内部構造を示す側面図 本発明の第3実施形態に係る内視鏡の挿入部先端の内部構造を示す斜視図 本発明の第3実施形態に係る内視鏡の挿入部先端の断面図 本発明の第3実施形態に係る内視鏡の照明の態様を示す説明図 図12Aに示した照明の比較例を示す説明図 回折による照明光の拡散効果の例を示す説明図
(第1実施形態)
以下、本発明の具体的な内容について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る回折光学素子を用いた凸レンズ(回折光学レンズ)を示す説明図である。図1に示す凸レンズ1において、基材2はシルセスキオキサン樹脂材料で構成され、保護膜3は基材2上に接触し、シリコーン樹脂材料で構成される。回折格子(ブレーズ型回折格子)4は、基材2と保護膜3との界面において、基材2の中心に対して同心円状に形成されている。CEは凸レンズ1の光軸である。
保護膜3は、基材2に設けられた回折格子4を物理的に保護する機能を有すると共に、光学調整膜としての機能も備える。即ち、回折格子4が形成された基材2の屈折率と、回折格子4を覆うように形成された保護膜3の屈折率とを適切に設定することにより、回折効率の波長依存性を低減すること等ができる。
また、図中の点線は回折格子4の断面における鋸歯状溝の上頂点又は下頂点を連結した線を示す(図5において同じ)。図1ではこれらの上下頂点の幅を非常に大きく描いているが、実際は数μmから後述するように約30μmの範囲とされている(図3、図4、図5において同じ)。
ここでシルセスキオキサン樹脂とはケイ素上に有機置換基をひとつ有する有機ケイ素ポリマー(一般式RSiO1.5)を総称するものであり、当該樹脂材料については、例えば、東亜合成研究年報 TREND 2004 第7号 37〜41ページ 「シルセスキオキサン誘導体「SQシリーズ」」(著者: 新製品開発研究所 田島 誠太郎 氏)に詳細に記載されている。なお、図1に示す凸レンズ1はレンズの光軸方向の片面のみを図示したものであるが、それと反対側にある図示しないレンズ面は、第1実施形態における回折格子4と保護膜3を持たず、通常の屈折力を有する非球面または球面状の凸または凹レンズ面を有するのが一般的である。もちろん、光軸方向の両主面に回折格子4が形成された構成としてもよい。
図2は、本発明の第1実施形態に係る樹脂材料のアッベ数と屈折率との関係を示すグラフである。図2において、横軸はアッベ数ν、縦軸は屈折率ndである。
ここで、以下の直線A,Bを定義する。
直線A:nd=−0.0061ν+1.8507
直線B:nd=−0.0141ν+1.9949
直線Aは、後述する(式2)〜(式4)に基づくηm(λ)とdの条件を満たすシルセスキオキサン樹脂材料におけるアッベ数νと屈折率ndの組み合わせのうち、アッベ数を変えたときに屈折率ndが最小となるポイントをプロットしたものであり、直線Bは、同様にシリコーン樹脂材料における屈折率ndが最大となるポイントをプロットしたものである。
第1実施形態において、略直線A上又は直線Aよりも屈折率が大きい領域にあるシルセスキオキサン樹脂材料と、略直線B上又は直線Bよりも屈折率が小さい領域にあるシリコーン樹脂材料との組み合わせであれば、下記の(式2)および(式3)に示す回折効率計算式ηm(λ)による回折効率の平均値が80%以上となる。そして、下記の(式3)に示すブレーズdが30μm以下となるものが存在する。
ηm(λ)=[sin{π(φ(λ)−m)}/{π(φ(λ)−m)}](式2)
φ(λ)={d*|n1(λ)−n2(λ)|/λ} (式3)
d=|0.588/(n1−n2)| (式4)
ここでλは回折光学素子に入射する光の波長を示すもので、波長400〜700nmの可視光である。また、(式2)の変数mは回折光の次数を示すものであり、1次回折光の場合はm=1となる。なお、第1実施形態においては主に1次回折光の回折効率を確保することが目的であるため、m=1について回折効率を計算している。また、回折効率計算式ηm(λ)による一次回折効率を80%以上必要としたのは、一般に撮像系レンズとして実用可能な回折効率がこの数値以上とされているからである。
また、(式4)における値「0.588」(μm)はd線の波長であり、可視光の中心波長として一般的に用いられるものである。第1実施形態の回折光学素子は可視光の全波長領域についてレンズ効果を得るものであるため、この波長を採用したが、回折光学素子の用途によっては、他の値を中心波長として採用しても良い。例えば、赤外光領域に重点的に用いられる場合は、その領域に最適な中心波長を採用すれば良い。
さて、図2において、△は現時点で入手可能なシルセスキオキサン樹脂材料について、□は現時点で入手可能なシリコーン樹脂材料の分布を示しているが、発明者らは、領域C及び領域Dに含まれるシルセスキオサン樹脂材料、シリコーン樹脂材料のなかでそれぞれ回折光学素子に最適な樹脂材料の組み合わせを見出した。それが、シルセスキオサン樹脂材料については点Eに位置するSQ1であり、シリコーン樹脂材料については点Fに位置するSC4である。
第1実施形態で採用されるシルセスキオサン樹脂材料SQ1は、図2に示す領域Cに対応するアッベ数及び屈折率を有し、例えば点Eのアッベ数及び屈折率を有する。また、シリコーン樹脂材料SC4は領域Dに対応するアッベ数及び屈折率を有し、例えば点Fのアッベ数及び屈折率を有する。
SQ1は、例えば新日鐵住金化学製のシルプラス(登録商標。以下同じ)を用いることができる。第1実施形態においては、シルプラスとして屈折率nd:約1.52、アッベ数:約54を有する材料を採用している。なお、シルプラスは屈折率nd:1.51〜1.53、アッベ数:44〜54の範囲(図示するS1の範囲)で選択可能だが、上述した直線Aとの関係(シルセスキオサン樹脂材料は、略直線A上又は直線Aよりも屈折率が大きい領域のものを選択する)において、商品化されている全ての材料を採用できるわけではない。
一方、シリコーン樹脂材料SC4は、例えばモメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製のIVS5022を用いることができる。第1実施形態においては、IVS5022として、屈折率nd:1.50、アッベ数:34.7を有する材料を採用している。IVS5022は屈折率nd:1.41〜1.53、アッベ数:34.2〜54の範囲(図示するS2の範囲)で選択可能だが、上述した直線Bとの関係(シリコーン樹脂材料は、略直線B上又は直線Bよりも屈折率が小さい領域のものを選択する)において、商品化されている全ての材料を採用できるわけではない。
SQ1,SC4のアッベ数νと屈折率ndの値を先に示した(式2)〜(式4)に代入し、波長400〜700nmの可視光に対して1nm刻みで算出した回折効率ηm(λ)の平均値を計算すると、その回折効率の平均値は約98%となり、この組み合わせが極めて高い回折効率を有することが分かる。
以下にSQ1とSC4以外の組み合わせで回折光学レンズを構成した場合の特性について説明する。直線Aの下側には、例えばSQ2〜SQ7の位置に対応するアッベ数と屈折率を有するシルセスキオサン樹脂材料が存在し、直線Bの上側には、例えばSC1〜SC3,SC5の位置に対応するアッベ数と屈折率を有するシリコーン樹脂材料が存在する。これらの中から適宜屈折率差を確保できる組み合わせを選択して回折光学レンズを構成したとしても、特定の波長領域において回折効率が低下する。即ち特定色(スペクトル)で収差が発生するため、いわゆる白色レンズとしては用いることができない。
また、領域Cにはシルセスキオキサン以外の樹脂材料が、領域Dにはシリコーン以外の樹脂材料が存在するが、これらの材料を用いて回折光学レンズを構成した場合は、一般に耐熱性に劣るため、リフローはんだのような高温環境には耐えることができない。
さて、(式4)によれば、SQ1,SC4を組み合わせたときの光軸方向CEにおける回折格子4の溝の深さdは29.4μmとなることが分かる。
図3は、本発明の第1実施形態の凸レンズ1において回折格子4を備えた基材2の製造工程を示す説明図である。なお、図3では凸レンズ1の両面に回折格子形状が形成された構成について、その製造工程を示している(図4も同じ)。
まず、図3(a)に示すように、回折格子4の形状をかたどった型51a,51bを用意する。そして、図3(b)に示すように、真空注入ノズル52(図3(a)参照)から、型51a,51bに未硬化状態のシルセスキオキサン樹脂材料53を流し入れて充填する。そして、図3(c)に示すように、型51a,51bを外して、回折格子4が形成された面を含む基材2を形成する。なお、シルセスキオキサン樹脂からなる基材2を形成する工程は、型を用いた成形プロセスに限定されず、例えばレーザ加工等によって回折格子4とすべき部分に溝を形成する工程を含んでいてもよい。
図4は、本発明の第1実施形態の凸レンズ1において回折格子4が形成された基材2上に保護膜3を形成する工程を示す説明図である。
まず、図4(a)に示すように、真空注液ノズル42,43を備えた気密容器41の内部に基材2を設置し、気密容器41の内部を減圧する。気密容器41内の圧力は、真空蒸着やCVD等の真空プロセスで求められるほど低くする必要はない。例えば、1Paから5000Pa程度の圧力で十分に効果が得られ、100Pa以下が好ましい。
次に、図4(b)に示すように、減圧された気密容器41内において、真空注液ノズル42から、シリコーン樹脂材料からなる保護膜3を形成するための塗液(シリコーン樹脂材料を含む溶媒)を基材2の回折格子4の形状が形成された面に塗布する。そして、気密容器41内の圧力を減圧前の圧力に戻すことによって、塗液内から気泡を除去して回折格子4の形状の微細部分に塗液を隙間なく密着させ、回折格子4の全体を覆うように保護膜3を形成する。次に、図4(c)に示すように、基材2を反転させて、気密容器41の内部を減圧し、真空注液ノズル42から、シリコーン樹脂材料からなる保護膜3を形成するための塗液(シリコーン樹脂材料と溶媒の混合物)を基材2の回折格子4の形状が形成された面に塗布する。そして気密容器41内の圧力を上げて、保護膜3を形成する。
その後、気密容器41から基材2に保護膜3が形成された凸レンズ1を取り出し、塗液中の溶媒を除去する硬化処理によって保護膜3を備えた凸レンズ1が完成する。なお、硬化処理は、光硬化、熱硬化、乾燥処理等で行うことができる。
さて、このような製造工程で製造される基材2において、回折格子4の溝が30μm以上の深さになると、光の入出射方向(光軸CE)と平行な面より漏れ出す光が多くなり(図1参照)、結像に寄与しない不要光の発生要因となる。このため、回折格子4の溝の深さは30μmより小さくするのが望ましい。その点で、上述した回折格子4の溝の深さd=29.4μmの値は、回折格子4の性能を発揮させる観点では限界に近いものである。
ちなみに、上述した樹脂材料の組み合わせにおいて、屈折率が高い側の樹脂材料として屈折率nd=1.52のシルセスキオサン樹脂を採用する前提では、低い側(シリコーン樹脂材料)の屈折率ndが1.50より小さいと、回折格子4の溝の深さdは30μmより大きくなる。従って、この屈折率nd=1.50は、第1実施形態において採用される樹脂材料が有する屈折率の実質的な下限と考えて良い。言い換えれば、いずれの樹脂材料も、少なくとも屈折率nd=1.50以上を有することが必要となる。
以降、図2に戻って説明を続ける。図2における直線Aと直線Bは、点Q(ν,nd)=(18.025,1.741)において交差する。点Qでは屈折率を始めとする両者の樹脂材料の特性が同一であることを意味する。しかしながら、両者の樹脂材料の特性が同じであれば、仮に図1に示すような構成を取ったとしても、高屈折率かつ低波長分散性を確保することはできない。それは同一の樹脂材料のみで構成された通常の屈折力を有するレンズと何ら変わらないからである。従って、この点(ν,nd)=(18.025,1.741)が、図2に示す直線Aおよび直線Bにとっての右端側の境界値となる。
そして本発明に係る回折光学素子は、上記したように、領域Cに存在するシルセスキオキサン樹脂材料と領域Dに存在するシリコーン樹脂材料とを組み合わせて構成することに加え、実質的には以下の条件を満たすことが必要となる。すなわち、領域Cに存在するシルセスキオキサン樹脂材料においては、
アッベ数ν>18.025(式5)
となる領域にあることがさらに必要であり、
領域Dに存在するシリコーン樹脂材料においては、
屈折率nd<1.741(式6)
となる領域にあることがさらに必要である。
ちなみに、上述の点E(SQ1)と点F(SC4)の組み合わせは、これ自体で十分に高い回折効率を有している。そのため、例えば従来技術に開示されている二酸化ジルコニアのようなナノメートルサイズの無機微粒子材料を保護膜に分散させて回折効率を稼ぐ必要が無いので、無機微粒子材料の凝集や保護膜の白濁等の不具合も発生しない。また、無機微粒子材料の添加による基材2及び保護膜3間の接着力の低下を防ぐ事が可能となる。
さらに、ガラス転移温度Tgはシリコーン樹脂材料では200℃以上、シルセスキオキサン樹脂材料では300℃以上であり、また、熱膨張係数はシリコーン樹脂材料では2.8×10−4、シルセスキオキサン樹脂材料では0.9〜1.1×10−4とされている。このように両者ともにガラス転移温度Tgが高く、かつ熱膨張係数はいずれも10−4オーダーと小さいことから、熱による材料そのものの変形や、材料間の熱膨張率の差によって基材2から保護膜3が剥離するようなこともなくリフローによる実装が可能となり、生産効率が上がる。さらに、保存温度が飛躍的に向上する。そして、これらはいずれも加工性の高い樹脂材料なので、上述のように金型を用いた製造工程により安価にかつ短期間で大量に製造可能である。
以上、第1実施形態では、基材2をシルセスキオキサン樹脂材料とし、保護膜3をシリコーン樹脂材料とした凸レンズ1について説明した。この構成においては、高屈折率(屈折率ndが大きく、かつアッベ数νも大きい)かつ低波長分散性(アッベ数が大きい)を有する第1の樹脂材料(シルセスキオキサン樹脂材料)と低屈折率(第1の樹脂材料に対して相対的に屈折率が小さく、かつアッベ数も小さい)かつ高波長分散性(第1の樹脂材料に対して相対的にアッベ数が小さい)を有する第2の樹脂材料(シリコーン樹脂材料)とがバランス良く両立して、高性能の凸レンズを実現することができる。
このように、第1実施形態の回折光学素子は、第1の屈折率(例えばnd=1.52)及び第1のアッベ数(例えばν=54)を有するシルセスキオキサン樹脂材料で構成され、その表面に回折格子4が形成された基材2と、第1の屈折率より小さい第2の屈折率(例えばnd=1.50)、及び第1のアッベ数より小さい第2のアッベ数(例えばν=34.7)を有するシリコーン樹脂材料で構成され、回折格子4が形成された基材2上に形成された保護膜3と、を備えている。
図5は、本発明の第1実施形態の回折光学素子の変形例を示す説明図である。本発明は上述した凸レンズ1に限らず応用することができる。図5(a)は基材12をシルセスキオキサン樹脂材料とし、保護膜13をシリコーン樹脂材料とした凹レンズ11を示し、図5(b)は、基材22をシリコーン樹脂材料とし保護膜23をシルセスキオキサン樹脂材料とした凸レンズ21を示し、図5(c)は基材32をシリコーン樹脂材料とし保護膜33をシルセスキオキサン樹脂材料とした凹レンズ31を示している。
このように、第1実施形態の回折光学素子の変形例は、第2の屈折率(例えばnd=1.50)及び第2のアッベ数(例えばν=34.7)を有するシリコーン樹脂材料で構成され、その表面に回折格子4が形成された基材2と、第2の屈折率より大きい第1の屈折率(例えばnd=1.52)、及び第2のアッベ数より大きい第1のアッベ数(例えばν=54)を有するシルセスキオキサン樹脂材料で構成され、回折格子4が形成された基材2上に形成された保護膜3と、を備えるものを含む(図5(b),(c)を参照)。
以上説明したように、本発明に係る回折光学素子は、凸レンズのみならず凹レンズとしてもよく、基材・保護膜それぞれを構成する樹脂材料を入れ替えたりしても良い。ただし一般に、重合前のモノマー粘性が高いシルセスキオキサン樹脂材料を基材とし、相対的に重合前のモノマー粘性の低いシリコーン樹脂材料を保護膜としたほうが、加工性はより良好である。なお、基材2と保護膜3のどちらをシルセスキオキサン樹脂材料とし他方をシリコーン樹脂材料とするかによって、回折格子4(14,24,34)の溝の形状は異なる。それは2つの材料の屈折率とアッベ数が異なるためである。
(第1実施形態の変形例)
次に、本発明の第1実施形態の変形例による回折光学素子について説明する。この変形例では、上述のレンズを構成する材料として、シルセスキオキサン樹脂材料の代わりにデンドリマー材料を用いる点において第1実施形態の場合とは異なる。なお、変形例について、以下で特に言及しない事項については第1実施形態の場合と同様とする。
デンドリマー材料としては、所望の特性(屈折率、アッベ数等)を実現可能な周知の材料を選択することができる。そのような材料として、例えば、特開平11−60540に開示のように、複数のカルボキシル基を有する芳香族化合物を中心成分とし、1個の水酸基と2個のカルボキシル基とを有する芳香族化合物を枝成分とした次の一般式で表される芳香族エステル(メタ)アクリレートデンドリマー、及びこれと重合開始剤とを必須成分として含む硬化性樹脂組成物が挙げられる。
Figure 2013069227
ただし、mは1〜10の繰り返し数を示し、nは3〜6の整数を示す。
ここで、中心部分Xは炭素数6〜20の多価カルボン酸又はその誘導体から生じる芳香族残基であり、好ましくは次に示すような母核を有する芳香族化合物等から生じる芳香族残基である。
Figure 2013069227
また、Yはアクリル基又はメタクリル基を有する炭素数6〜20の有機基を示し、次の一般式で示される。
(CH=CR−COO)−Q−O−
ここで、Qは炭素数1〜17の炭化水素基、Rは水素又はメチル基を示し、nは1〜5の整数である。
また、Zは直接結合又は炭素数6〜20の芳香族残基を示し、好ましくは次に示すものである。
Figure 2013069227
このような芳香族エステル(メタ)アクリレートデンドリマーを用いることにより、屈折率ndを1.525〜1.620の範囲とし、アッベ数νを54〜26の範囲とする樹脂材料を実現することが可能となる。市場で入手可能な樹脂材料としては、例えば、新日鐵住金化学製のESDRIMER(登録商標)Lseries((nd,ν)=(1.525, 54)、 (1.582, 33)、 (1.602, 29)、 (1.620, 26))があり、特に、屈折率nd:約1.525、アッベ数ν:約54の樹脂は、上述の図2の点Eにおけるシルセスキオサン樹脂材料(SQ1)と同等の特性を有する。また、この樹脂材料は耐熱性にも優れ、リフローはんだのような高温環境にも適用可能である。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る回折光学素子を内蔵した撮像装置100の斜視図であり、図7は、本発明の第2実施形態に係るカメラ部103の内部構成を示す断面図である。以降、図6、図7を用いて本発明の第2実施形態の撮像装置について詳細に説明する。
第2実施形態に係る撮像装置100は、被写体(ここでは、略六角錐形の立体物)102を撮像するものである。撮像により取得した複数の画像データは例えばプロジェクタ等に表示され、または図示しないPC(Personal Computer)等に転送されて画像加工用途に利用される。
撮像装置100は、例えば、書画カメラや最近急速に普及が進んでいるいわゆる「自炊」用のスキャナとしての使用に好適である。また、本発明に係る回折光学素子は周辺部の解像度劣化が小さいことから、例えば監視カメラにおいて可動部を省いた、いわゆる全周囲カメラとしての応用が可能である。更に、小型化と性能向上が両立するため、携帯電話用、車載用、医療用のカメラとしても好適である。
図6に示すように、撮像装置100は、被写体102を撮像するカメラ部103と、このカメラ部103を保持するアーム104を有するスタンド部105とを備える。スタンド部105は、ユーザが撮像の操作指示等を行うための複数の操作ボタン106を有している。また、撮像装置100は、図示しない通信制御部および外部インターフェースによって画像処理装置との間で画像データや各種制御信号を送受信可能である。
図7に示すように、カメラ部103の内部には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)等からなるイメージセンサ72、イメージセンサ72により検出された情報から被写体像を形成する演算回路73が設けられている。また、イメージセンサ72の上方(図7は図6に対して天地が反転している)には、第1実施形態で詳細に説明した構成から選ばれた1つの形態に係る凸レンズ1を含む光学系71が設けられている。なお、光学系71の構成は、ここに示したものに限らず、より収差を低減させるために他のレンズを追加した構成や、ズーム光学系等、撮像装置100に必要とされる光学特性に応じて種々の変更が可能である。
当該光学系では、光軸CEが上下方向に沿って配置されており、被写体102からの光は、光学系71で集光され、イメージセンサ72の受光面に結像される。そして、イメージセンサ72で受光された光が電気信号に変換され、演算回路73でカラー合成等の処理がなされ、適当な表示手段を接続することにより、画像として表示される。
従来、カラー画像用途の撮像素子として、各画素にベイヤー配列等の特定の規則で緑、赤、青の色フィルタを配列し、隣接する画素による演算でカラー画像を得るものが知られている。
このようなカラー画像を得る場合には、少なくとも2〜3枚の非球面レンズを光軸上に配列した光学系を用いるのが一般的であった。これは、1枚の非球面レンズでは色収差、すなわち波長による集光特性のずれを解消することができないため、解像度の高いカラー画像を得ることが困難となるためである。
一方、第2実施形態の撮像装置100では、屈折作用に加えて、回折作用をも合わせ持つ1枚のレンズからなる光学系71を用いているため、1枚のレンズで高い解像度を有するカラー画像を得ることが可能である。
したがって、第2実施形態の撮像装置100は、薄型及び小型化が可能になるとともに、光学系71に含まれるレンズ枚数を削減できるため各レンズの位置決め調整工程が簡略化し、生産性、経済性に優れる撮像装置100とすることができる。
なお、第2実施形態では、1枚のレンズで構成した撮像装置100を説明したが、複数枚のレンズからなる光学系の一部に、本発明の回折光学素子を組み入れた撮像装置としてもよい。この場合は、レンズ枚数を削減できるので有用である。
また、複数レンズからなる撮像レンズ系の1面に、一般的な回折格子4の形状を形成し、色収差を低減することが最近行われている。その場合、不要な回折光によるフレアやゴーストが発生しないように回折輪帯数は多くしないようにしているが、周辺に比べて輝度の高い被写体を撮影する場合には、本発明に係る回折光学素子を組み入れると、フレアやゴーストが発生せず有用である。
また、第2実施形態では、一対のレンズ及びイメージセンサ72からなる撮像装置100を例に説明したが、これを複数対、あるいは並列に配置した複眼型撮像装置としてもよい。この場合は複数画像を合成処理できる演算回路73を用いればよい。
(第3実施形態)
図8は本発明の第3実施形態に係る照明装置を備えた内視鏡の全体構成図であり、図9及び図10はそれぞれ内視鏡の挿入部先端の内部構造を示す側面図及び斜視図であり、図11は内視鏡の挿入部先端の断面図である。図9では内視鏡の外筒を切断することにより、図10では内視鏡の外筒の一部を取り外すことにより内部構造を示している。なお、第3実施形態について、以下で特に言及しない事項については上述の第1実施形態およびその変形例の場合と同様とする。
図8に示すように、内視鏡201は、医療用として用いられる軟性鏡であり、照明用の光源等(図示せず)が内蔵された本体部202と、この本体部202から前方に延設され、観察対象の内部に挿入される挿入部203とから主として構成される。内視鏡201は、周知の機能を有するビデオプロセッサ204との間で電力受給や各種信号(映像信号、制御信号など)の送受信が可能である。挿入部203は、小径(ここでは、約1.8mm)の円形断面を有しており、本体部202に後端が接続された可撓性の軟性部211と、この軟性部211の前端に連なり先端部を形成する高剛性の硬性部212とを有している。
図9及び図10に示すように、内視鏡201の先端側では、軟性外筒213の先端が硬性外筒214の後部開口に嵌め込まれている。また、硬性外筒214の前側には撮像ユニットホルダ221が嵌め込まれており、撮像ユニットホルダ221の前側には、後述するレンズユニット231を介して透光性の材料(光学材料)からなる円環状の先端カバー(回折光学素子)222が取り付けられている。撮像ユニットホルダ221の前側は、硬性外筒214から前方に突出しており、この突出部位の外周には固定リング226が嵌め込まれている。固定リング226は、撮像ユニットホルダ221の外周に嵌め込まれた状態で硬性外筒214の前側の端面に固着されている。
撮像ユニット225は、観察部位の撮像に供されるものであり、対物光学系をなすレンズユニット231と、このレンズユニット231の後側に配置され、レンズからの光が受光面に結像されるイメージセンサ232と、このイメージセンサ232の後面側に折り畳まれた状態で接続された平型のフレキシブルケーブル233とを有している。レンズユニット231の後側は撮像ユニットホルダ221に嵌め込まれている。
図11に示すように、先端カバー222は、挿入部203におけるR面取り部を形成する先端側の前面222aと、その後側(硬性外筒214側)に位置する後面222bとを有している。前面222aは、環状の面取り面をなす。後面222bは、挿入部203の軸に直交すると共に、前面222aの外周縁に連なる環状平面をなす。
フレキシブルケーブル233の後部には、撮像ユニット225と本体部202(図8参照)との間の電力および各種信号の伝送に供される電力・信号用ケーブル241(ここでは、4芯同軸ケーブル)の先端側が接続されている。
また、内視鏡201には、観察対象を照らすための照明装置250が設けられおり、この照明装置250は、上述の本体部202内の光源(ここでは、白色LED)と、この光源からの光を挿入部203の先端に導く複数(ここでは、4本)の光伝送用ケーブル(光伝送路)242と、この光伝送用ケーブル242から出射された光を拡散する先端カバー222とから主として構成される。各光伝送用ケーブル242は、複数の小径の光ファイバFが束ねられた構成を有している。各光伝送用ケーブル242の先端部は、金属管243によって被覆されており、撮像ユニットホルダ221の外周に設けられた保持溝244(図10参照)によって保持されている。各光伝送用ケーブル242の出射端242aは、先端カバー222の後面222bと対向するように配置することができるが、ここでは、出射端242aは先端カバー222内に埋没している(より詳細には、後述する第2層252を構成するシリコーン樹脂材料が金属管243および保持溝244(図10)の先端側まで充填されている。)。出射端242aからの出射光は、所定の出射角(ここでは、120°)で出射された後、照明用レンズとして機能する先端カバー222内を通ってR面取りされた前面222aから挿入部203の前方に出射される。
図12は内視鏡の照明の態様を示す説明図であり、先端カバー222の模式的な断面を示している。図12Aは、先端カバー222において、デンドリマー材料からなる第1層251とシリコーン樹脂材料からなる第2層252との界面253に回折格子(ブレーズ型回折格子)254を形成した例を示しており、図12Bは、先端カバー222をシリコーン樹脂材料のみで形成した比較例(回折格子なし)を示している。
図12Bに示す比較例において、光ファイバFから前方に所定の照射角度をもって出射された光は、先端カバー222の後面222b側から入射し、R面である前面222aでの屈折により挿入部203の中心軸側に集光される傾向にある。つまり、先端カバー222は凸レンズとして機能し、これにより、内視鏡201の照明領域は、イメージセンサ232の撮像範囲の全域をカバーできずに照明領域の周辺に観察不能な領域が生じ得る。
照明装置250では、図12Aに示すように、第1実施形態の基材2に概ね対応する第1層251が、後面222bを含む先端カバー222の環状の後部(入射部)を構成する。また、第1実施形態の保護膜3に概ね対応する第2層252は、前面222aを含む先端カバー222の環状の前部(出射部)を構成する。界面253は、光ファイバFの光軸に直交する環状面からなり、光伝送用ケーブル242に対向する径方向中央には環状凹部255が設けられている。環状凹部255は、後方(光伝送用ケーブル242側)に向けて凹んだ円弧面を有する。
先端カバー222の後面222b側から入射した光ファイバFからの光は、第1層251と第2層252との界面253における回折格子254および環状凹部255の作用によって径方向に広がるように拡散する。つまり、先端カバー222の界面253(特に、環状凹部255)は凹レンズとして機能し、これにより、内視鏡201の照明領域は、図12Bの場合と比べてより外側に広がり、撮像範囲において観察不能な領域を減少させることが可能となる。したがって、光伝送用ケーブル242の出射端242a(図11参照)を挿入部先端のR面の背後(後面側)に配置してR面から照明光を出射させる構成においても、R面からの出射光が内視鏡の中心側に偏ることが防止され、照射領域(観察領域)の縮小が回避される。また、回折で生じる色収差が補正され、良好な白色色度を有する広範囲な照明を実現できる。
なお、先端カバー222における界面253の形状および配置は、図12Aに示したものに限らず、種々の変更が可能である。例えば、図12A中の2点鎖線で示すように、断面における界面253全体を円弧状とする構成も可能である。同様に、回折格子254の構造についても種々の変更が可能である。
図13は回折による照明光の拡散効果の例を示す説明図である。ここでは、LED素子261からの白色光を光学材料からなる拡散レンズ(回折光学素子)262を介してスクリーン面Sに照射した場合(光軸Cの上側のみ)を示している。拡散レンズ262は、互いに平行に配置された平坦な入射面(回折面)262aおよび出射面262bを有し、入射面262aには所定のピッチ(ここでは、17μm)で回折格子263が環状に設けられている。入射面262aと出射面262bとの距離(拡散レンズ262の厚み)L2は10mm、LED素子261と拡散レンズ262の入射面262aとの距離L1は5mm、拡散レンズ262の出射面262bとスクリーン面Sとの距離L3は20mmにそれぞれ設定されている。
LED素子261から出射された光265は、ランバーシアンの光強度分布を示すが、拡散レンズ262(特に、入射面262aでの回折)により拡散されて外側(ここでは、スクリーン面Sの上方)に広がる。これにより、スクリーン面S上における拡散角度は75°程度となり、スクリーン面Sの中心(LED素子261の光軸Cの位置)から照明領域の上端までの距離L4は100mm程度となる。なお、回折格子263では、光265の波長毎に異なる角度の回折光が生じるが、上述のようなシルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料と、シリコーン樹脂材料とで拡散レンズ262を構成することにより、均一かつ広範囲な照明が可能となる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本出願のパリ条約に基づく優先権主張の基礎出願の全内容及び本出願中で引用された従来技術の全内容は、それに言及したことをもって本願明細書の一部とする。
以上のように本発明の回折光学素子は、高屈折率かつ低波長分散性を有する樹脂材料と低屈折率かつ高波長分散性を有する樹脂材料とがバランス良く両立し、かつ加工性に優れ、さらには耐熱性が高く温度変化に強いところから、例えばカメラ用のレンズや、固体撮像素子と組み合わせたカメラモジュール、書画カメラ、全周囲カメラ(監視カメラ)、携帯電話装置、内視鏡などへの利用が可能である。
1,21 凸レンズ(回折光学素子)
2,12,22,32 基材
3,13,23,33 保護膜
4,14,24,34 回折格子
11,31 凹レンズ(回折光学素子)
71 光学系
72 イメージセンサ(撮像素子)
73 演算回路
100 撮像装置
103 カメラ部
201 内視鏡
222 先端カバー(回折光学素子)
250 照明装置

Claims (6)

  1. 第1の屈折率及び第1のアッベ数を有するシルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料で構成され、その表面に回折格子が形成された基材と、
    前記第1の屈折率より小さい第2の屈折率、及び前記第1のアッベ数より小さい第2のアッベ数を有するシリコーン樹脂材料で構成され、前記回折格子が形成された基材上に形成された保護膜と、
    を備えることを特徴とする回折光学素子。
  2. 第2の屈折率及び第2のアッベ数を有するシリコーン樹脂材料で構成され、その表面に回折格子が形成された基材と、
    前記第2の屈折率より大きい第1の屈折率、及び前記第2のアッベ数より大きい第1のアッベ数を有するシルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料で構成され、前記回折格子が形成された基材上に形成された保護膜と、
    を備えることを特徴とする回折光学素子。
  3. 屈折率n1を有する回折格子が表面に形成された第1の材料からなる基材と、
    屈折率n2を有し第2の材料からなる保護膜と、を備え、
    前記第1の材料および第2の材料のいずれか一方がシリコーン樹脂材料で、他方がシルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料であり、
    前記屈折率n1とn2との組み合わせが、波長400〜700nmの光に対して、回折効率計算式ηm(λ)による1次回折効率(m=1)が80%以上であり、前記回折格子の深さが30μm以下となることを特徴とする回折光学素子。
  4. 前記シルセスキオキサン樹脂材料またはデンドリマー材料は、屈折率nd=約1.52、アッベ数=約54を有し、前記シリコーン樹脂材料は、屈折率nd=約1.50、アッベ数=34.7を有したことを特徴とする請求項1乃至3記載の回折光学素子。
  5. 請求項1乃至4記載の回折光学素子を備える撮像装置。
  6. 請求項1乃至4記載の回折光学素子を備える照明装置。
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