JP2008191299A - コンポジット材料からなる光学材料およびそれを用いた光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い屈折率を得るには無機微粒子の充填量を大きくすることが必要になるが、無機微粒子を大量に充填した場合には、微粒子が十分に分散できずに微粒子同士で凝集したりすることで光散乱性が大きくなり、透明性が得られない。
【解決手段】第1の金属酸化物11を含む多分岐ポリマ12と、マトリクス材料14とを有し、前記多分岐ポリマ12が前記マトリクス材料14中に分散されているコンポジット材料からなる光学材料である。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンポジット材料からなる光学材料とこれを用いた光学部品に関する。例えば、レンズ、回折光学素子等の光学部品に関する。
近年、樹脂材料からなる光学部品が広く開発され、眼鏡レンズ、プロジェクター、カメラ、光ディスクなどの光学機器に組み込まれ実用に供されるようになってきた。
さらに、屈折率の高い樹脂材料による光学部品の小型化などを図るため、金属粉末あるいは金属酸化物、金属硫化物粉末の無機化合物の微粒子を有機樹脂中に分散させることで高屈折率を実現する超微粒子分散型光学材料が開示されている(特許文献1)。また、酸化物や硫化物からなる無機成分、重合性官能基を有する有機成分、および重合開始剤を含んだ光学材料が提案されている(特許文献2)。これらの光学材料は、無機化合物の微粒子が用いられており、それ無機化合物自体で高い屈折率を有するため、樹脂材料中に分散させることで高屈折率を得るというものである。また、ジアリルエーテルイソフタレート樹脂(屈折率は1.56)にジルコニア(ZrO2)微粒子(バルク状態で屈折率は2.1)を50重量%分散させた分散体の屈折率は、加成則により1.83になることが開示されている(特許文献3)。
特開2000−44811号公報 特開2006−215295号公報 特開昭61−291650号公報
このように高屈折率物質としてよく知られている金属の酸化物や硫化物等の無機微粒子を樹脂材料に分散させることで高屈折率の材料が得られることは知られているが、従来の樹脂材料よりも高い屈折率を得るには無機微粒子の充填量を大きくすることが必要になる。
しかしながら、屈折率を制御するために、無機微粒子を大量に充填した場合には、微粒子が十分に分散できずに微粒子同士で凝集したりすることで、光散乱性が大きくなり、透明性が得られないという問題点がある。このような特性になると、光学部品において、光学性能の低下を生じてしまうという問題点となる。
本発明の目的は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、屈折率やアッベ数などの特性を制御でき、それによって所望の光学定数を得られるとともに、光散乱性が少なく、光学特性に優れたコンポジット材料を提供することである。また、本発明の目的は、そのようなコンポジット材料を用いることで、光学性能に優れた光学部品を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明のコンポジット材料からなる光学材料は、第1の金属酸化物を含む多分岐ポリマと、マトリクス材料とを有し、前記多分岐ポリマが前記マトリクス材料中に分散されている。
また本発明の回折光学素子は、表面に回折格子形状が形成された基材と、前記回折格子形状を覆うように配置された保護膜とを有する回折光学素子であって、前記基材と前記保護膜の少なくとも一方が上記本発明のコンポジット材料からなる光学材料を含む。
また本発明の光学部品は、上記本発明のコンポジット材料からなる光学材料を含む。
本発明によれば、多量の金属酸化物が均一に分散されたコンポジット材料からなる光学材料を得ることができ、その屈折率の制御を広い範囲で行うことができる。さらに、光散乱性が小さく、透明性に優れた光学部品を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明のコンポジット材料からなる光学材料の一実施形態について、図1を用いて説明する。本実施形態のコンポジット材料は、多分岐ポリマ12中に金属酸化物11が分散されてなる金属酸化物含有多分岐ポリマ13が、マトリクス材料14に分散されてなるコンポジット材料10である。
本実施形態の構成によると、金属酸化物含有多分岐ポリマ13においては、金属酸化物11が多分岐ポリマ12の中で均一に分散されている。これは、多分岐ポリマ12によって、金属酸化物11が凝集しないで存在しているためである。この多分岐ポリマ12は、デンドリマー、ハイパーブランチポリマ及びスターバーストポリマからなる群から選択される少なくとも1種を含有してなることが好ましく、この分子鎖が幾重にも枝分かれした立体的な分子構造によって、金属酸化物11が分子中で固定されていることによるものである。
さらに、この金属酸化物含有多分岐ポリマ13をマトリクス材料14に分散しているため、金属酸化物11は多分岐ポリマ同士の立体的な規制によって、隣接した金属酸化物含有多分岐ポリマ中の金属酸化物11は凝集せずに存在する。この効果によって、コンポジット材料10の屈折率特性を制御するために、多くの金属酸化物11をマトリクス材料14中に充填することができ、例えば、高い屈折率を得ることができる。
なお、本明細書において、均一に分散しているとは、コンポジット材料10の内部で、金属酸化物11が特定の位置に偏在したり、凝集したりすることなく存在している状態を意味するものである。
次に、本実施形態に用いる金属酸化物含有多分岐ポリマについて説明する。
本実施形態の金属酸化物含有多分岐ポリマは、多分岐ポリマとそれに分散した金属酸化物で構成される。本発明に用いる多分岐ポリマとして、デンドリマー、ハイパーブランチポリマ及びスターバーストポリマからなる球状ポリマであり、基核を中心として分子の枝分かれが外に向かって倍、更に倍と放射状に広がっていくため、多分岐ポリマ内に隣接する分子や官能基の間隔が広い空間が多数存在することになる。このような多分岐ポリマの分子構造により、多量の金属酸化物を充填することができるとともに、立体構造的に金属酸化物含有多分岐ポリマの中の金属酸化物と他の多分岐ポリマ中の金属酸化物が接触しないために、マトリクス材料中に金属酸化物は凝集することなく均一に分散することができる。
また、多分岐ポリマの分子構造は、2つ以上の分岐鎖延長単位に結合している多価の基核を中心としてなり、その基核は、連結基を形成するための反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、且つ該分岐鎖延長単位が、該反応性基(a)と化学結合して連結基を形成する反応性基(b)を1つと、反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する分岐鎖延長化合物と、該基核との化学結合によって形成されており、分岐鎖延長単位が、脂環式環、アリール環から選ばれる少なくとも1つの環構造及びアルキレン鎖構造を含有するのが好ましい。
本実施形態の金属酸化物含有多分岐ポリマの構造について図2を用いて説明する。金属酸化物含有多分岐ポリマの構造として、図2に示すように、以下の3種類のいずれかが可能である。なお、図2の構造としては、多分岐ポリマの末端に重合性官能基を有している構造で説明しているが、重合性官能基を有していない多分岐ポリマにおいても金属酸化物の配置する構成は同じである。
多分岐ポリマ分子中に金属酸化物及び重合性官能基が存在する位置に注目すると、(A)多分岐ポリマ分子の末端に金属酸化物、重合性官能基が結合している多分岐ポリマ、(B)構成ユニット自体が配位性官能基を有し、その側鎖に金属酸化物を結合した多分岐ポリマ、(C)構成ユニット自体が有機金属錯体であり、分子の末端に重合性官能基が結合している多分岐ポリマ、の3種類のいずれかが可能である。
このような金属酸化物含有多分岐ポリマの合成として、多分岐ポリマの分岐枝となる化合物を、デンドロンの世代を増やす反応(例えば、エステル化反応、アミド化反応、エーテル反応)、およびその後の脱保護反応を繰り返し行うことにより、金属原子を含んだ構造ユニットとして合成する。そして、前記構造ユニットをコアユニットとのカップリング反応(例えば、エステル反応、アミド反応、エーテル反応)に供することにより前記金属酸化物含有多分岐ポリマを作製することができる。実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
次に、本実施形態に用いる第1の金属酸化物について説明する。金属酸化物含有多分岐ポリマを構成する第1の金属酸化物としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナといった金属酸化物を用いる。
また、金属酸化物の選定は、コンポジット材料として実現したい光学特性を考えて選択すればよい。図5に本発明で好ましく用いた金属酸化物の屈折率、アッベ数を示す。各金属酸化物におけるd線(波長587nm)での屈折率nと、波長分散性を示すアッベ数νの関係である。なお、アッベ数は、(数1)により定義される数値である。(数1)において、n、nはそれぞれ、F線(波長486nm)ならびにC線(波長656nm)においての屈折率である。
Figure 2008191299
第1の金属酸化物は、以下に説明するように屈折率や透明性などで優れた光学特性を得るために、粒子状であることが好ましい。さらに、第1の金属酸化物を分散させたコンポジット材料の透光性を確保するため、その粒子の粒径が重要となる。第1の金属酸化物の粒径が光の波長よりも充分に小さいときは、第1の金属酸化物が分散されているコンポジット材料を、屈折率のばらつきがない均質な媒体とみなすことができる。また、第1の金属酸化物の粒径が光の波長の1/4以下になると、コンポジット材料中における光の散乱はレイリー散乱のみとなって透光性が高くなる。そのため、高い透光性を実現するためには、第1の金属酸化物の粒径は100nm以下であることが好ましい。一方、第1の金属酸化物の粒径が1nm未満になると、量子的な効果が発現する材質では蛍光を生じる場合がある等、光学部品を形成した場合の特性に影響を及ぼす場合がある。
以上の観点から、第1の金属酸化物の実効粒径は1nm以上100nm以下の範囲内、特に1nm以上50nm以下の範囲内にあればより好ましい。その中でも、1nm以上20nm以下の範囲内にあれば、レイリー散乱の影響が非常に小さくなり、コンポジット材料の透光性が特に高くなることからさらに好ましい。
ここで、金属酸化物の実効粒径について図4を用いて説明する。
図4において、横軸は金属酸化物の粒径を表し、左側の縦軸は横軸の粒径に対する頻度、右側の縦軸は粒径の累積頻度をそれぞれ表す。実効粒径としては、金属酸化物全体のうち、その粒径頻度分布において累積頻度が50%となる中心粒径(メジアン径:d50)とする。さらに、累積頻度が75%となる粒径が好ましい粒径の範囲内にある金属酸化物を使用すれば、より多くの粒子がレイリー散乱による光損失を誘起せず屈折率の向上に寄与できるためより好ましい。
コンポジット材料内における第1の金属酸化物の粒径は、電子顕微鏡やX線小角散乱法等により確認することができる。なお、電子顕微鏡での観察などによって、実効粒径の値を精度よく求めるには、例えば、200個以上の微粒子を対象とすればよい。
また、コンポジット材料の製造工程、あるいはコンポジット材料を用いた光学部品の製造工程においては、コンポジット材料内における金属酸化物の粒径を、光散乱法や超音波法等の粒度分布計を用いて測定することにより、コンポジット材料の品質管理を実施することも可能である。
次に、本実施形態に用いるマトリクス材料について説明する。マトリクス材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエネルギー線硬化性樹脂といった樹脂の中で、透光性の高い樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のメタクリル樹脂;エポキシ樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリカプロラクトン等のポリエステル樹脂;ポリスチレン等のポリスチレン樹脂;ポリプロピレン等のオレフィン樹脂;ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミドやポリエーテルイミド等のポリイミド樹脂;ポリビニルアルコール;ブチラール樹脂;酢酸ビニル樹脂;脂環式ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。また、ポリカーボネート、液晶ポリマ、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、非晶性ポリオレフィン等のエンジニアリングプラスチックを用いてもよい。また、これらの樹脂(高分子)の混合体や共重合体を用いてもよい。また、これらの樹脂を変性したものを用いてもよい。また、マトリクス材料には、多分岐ポリマの重合性官能基と共重合可能な重合性化合物、及び重合開始剤を含有してもよい。
(実施の形態2)
本発明のコンポジット材料からなる光学材料の他の実施形態について、図3を用いて説明する。本実施形態のコンポジット材料20は、末端に重合性官能基を有する多分岐ポリマ22中に第1の金属酸化物21が分散されている金属酸化物含有多分岐ポリマ23がマトリクス材料24に分散されて構成される。この金属酸化物含有多分岐ポリマ23は、重合性官能基によってマトリクス材料24との硬化反応によって結合層25を形成している。
本実施形態に用いる多分岐ポリマとして、多分岐ポリマの末端に重合性官能基を有する分子構造であり、その重合性官能基はラジカル重合性基及びカチオン重合性基、並びに加水分解性基置換のシリル基等から選ばれる少なくとも1種を含有する。これによって、マトリクス材料との硬化反応による結合層を形成することが可能になる。
また、本実施形態の構成によると、金属酸化物含有多分岐ポリマ23においては、金属酸化物21が多分岐ポリマ22の中で均一に分散されている。これは、多分岐ポリマ22によって、金属酸化物21が凝集しないで存在しているためである。
また、この金属酸化物含有多分岐ポリマ23をマトリクス材料24に分散しているため、金属酸化物21は多分岐ポリマ同士の立体的な規制によって、隣接した金属酸化物含有多分岐ポリマ中の金属酸化物21は凝集せずに存在する。この効果によって、コンポジット材料20の屈折率特性を制御するために、多くの金属酸化物21をマトリクス材料24中に充填することができ、例えば、高い屈折率を得ることができる。
さらに、硬化反応による結合層25が形成されていることによって、機械的特性が向上するとともに、耐熱性、耐久性、信頼性に優れたコンポジット材料が得られるものである。
(実施の形態3)
本実施形態のコンポジット材料からなる光学材料は、上述のように、第1の金属酸化物を分散させることにより構成される。
コンポジット材料に分散させる第1の金属酸化物としては、第1の金属酸化物を分散させたコンポジット材料が屈折率や透明性などで優れた光学特性を得るために、アッベ数が高く、かつ屈折率が高い金属酸化物を用いることが好ましい。図5に示すように、各金属酸化物の中で、酸化ジルコニウムはd線においての屈折率ndが2.1と高く、またアッベ数も35と比較的高い値が得られた。これらの値は、屈折率については2.0以上であり、高屈折率材料として知られている酸化チタンに近いものであった。
また、アッベ数については、酸化チタン等と比較すると高い値を示し、波長分散性の低い特性で、高屈折率と低波長分散性のバランスに優れた材料であることがわかった。
上述のように、酸化ジルコニウムは屈折率と波長分散性のバランスに優れていることから、この酸化ジルコニウムを含む第1の金属酸化物をさまざまな屈折率を有する樹脂と適切に組み合わせてコンポジット材料を構成することにより、従来樹脂材料では実現が困難であった粒子分散性に優れた高屈折率かつ低波長分散性領域の光学特性を有する材料を広範囲で調製することが可能となり、その結果光学部品設計の自由度を飛躍的に拡大することができる。
以上の検討に基づき、発明者は、第1の金属酸化物を多分岐ポリマ12に分散させたコンポジット材料において、光学材料としてのアッベ数の低下を抑制しつつ屈折率を向上させるために、酸化ジルコニウムを用いることが効果的であることを見い出した。
本発明のコンポジット材料の基材となる樹脂は、高い透光性を確保し、高屈折率かつ低波長分散性を示すコンポジット材料を得るために、透光性でありかつd線屈折率が1.4〜1.7の範囲にあることが好ましい。
多分岐ポリマのアッベ数νmについては特に限定はされないが、基材となる樹脂のアッベ数νmが高いほど、第1の金属酸化物を分散して得られるコンポジット材料のアッベ数νCOMも向上することは言うまでもない。
特に、樹脂としてアッベ数νmが45以上を示すものを使用することにより、アッベ数νCOMが40以上の、レンズ等の光学部品への応用に際して十分な光学特性を有するコンポジット材料を得ることが可能となりより好ましい。
また、コンポジット材料の屈折率については、第1の金属酸化物及び樹脂の屈折率から、例えば(数2)にて表されるマックスウェル−ガーネット理論により推定できる。
(数2)によりd線、F線ならびにC線における屈折率をそれぞれ推定することにより、さらにコンポジット材料のアッベ数を推定することも可能である。逆にこの理論に基づく推定から、第1の金属酸化物と樹脂の重量比を決めてもよい。
Figure 2008191299
なお、(数2)において、nCOMλはある特定波長λにおけるコンポジット材料の平均屈折率であり、npλ、nmλはそれぞれにおける第1の金属酸化物及び樹脂の屈折率である。
Pは、コンポジット材料全体に占める第1の金属酸化物の体積比である。第1の金属酸化物が光を吸収する場合や第1の金属酸化物が金属を含む場合には、(数2)の屈折率を複素屈折率として計算する。なお、(数2)はnpλ≧nmλの場合に成立する式であり、nppλ<nmλの場合は以下の(数3)を用いて屈折率の推定を行う。
Figure 2008191299
なお先に述べたとおり、コンポジット材料の屈折率を推算するマックスウェル−ガーネット理論は、コンポジット材料中における第1の金属酸化物と樹脂の体積比を用いて計算を行う。第1の金属酸化物と樹脂の体積比については、各成分の重量比から密度値(酸化ジルコニウム:5.9、シリカ:2.2、アルミナ:3.8、マトリクス材料の密度は構造により異なる)を用いて変換する。
例えば、密度1.2の樹脂中に、酸化ジルコニウム50wt%、アルミナ20wt%を分散させたコンポジット材料の場合、各成分の体積比は以下のように算出される。
樹脂
(0.3/1.2)÷(0.3/1.2+0.5/5.9+0.2/3.8)=64.5体積%
酸化ジルコニウム
(0.5/5.9)÷(0.3/1.2+0.5/5.9+0.2/3.8)=21.9体積%
アルミナ
(0.2/3.8)÷(0.3/1.2+0.5/5.9+0.2/3.8)=13.6体積%
コンポジット材料の実際の屈折率の評価は、調製したコンポジット材料を後述の測定法に対応した厚みに成膜又は成型し、エリプソメトリ法、アベレス法、光導波路法、分光反射率法等の分光測定法や、プリズムカプラ法等で実測することによって求めることができる。
d線屈折率が1.5の樹脂を用いる場合、d線屈折率2.1の酸化ジルコニウムをその体積比が35%以上となるように混合することによって、d線屈折率が1.7以上のコンポジット材料が得られると予想される。
また、d線屈折率が1.6の樹脂を用いる場合、d線屈折率2.1の酸化ジルコニウムをその体積比が22%以上となるように混合することによって、d線屈折率が1.7以上のコンポジット材料が得られると予想される。また、(数2)又は(数3)をF線ならびにC線において同様に用いることにより、F線ならびにC線における屈折率が算出されるので、得られる屈折率を(数1)に代入することによりアッベ数を推定することができる。
一例として、2種類の樹脂(d線屈折率が1.5、アッベ数が50の樹脂、又は、d線屈折率が1.6、アッベ数が25の樹脂)に、金属酸化物として、酸化ジルコニウム(d線屈折率2.1、アッベ数35)を、コンポジット材料全体に占める体積比が0%、10%、20%、30%(40%、又は50%)となるように混合させて得られるコンポジット材料10について、d線屈折率とアッベ数との関係を(数2)及び(数3)より算出した。
なお、2種類の樹脂の密度はいずれも1.2g/cm3とし、酸化ジルコニウムの体積比10%、20%、30%、40%、50%は、重量比に換算するとそれぞれ35%、55%、68%、77%、83%に相当する。屈折率の算出結果を図7(a)(b)に示す。同図において、(a)は金属酸化物の体積比50%(重量比83%)までを、(b)は金属酸化物の体積比30%(重量比68%)までを示す。
酸化ジルコニウム体積比の増加に従い、図7中に示したコンポジット材料の屈折率は上昇する。図7中の矢印の方向は酸化ジルコニウム体積比の増加を示す。図7に示したとおり、酸化ジルコニウムを含む金属酸化物を樹脂中に分散させることにより、高屈折率と低波長分散性のバランスに優れたコンポジット材料を得ることが可能となる。
そして、金属酸化物を多分岐ポリマに分散させることで金属酸化物の充填量増加に伴った凝集は無くなり、加工性の優れたかつ高屈折率と低波長分散性のバランスに優れたコンポジット材料を得ることができる。
また、コンポジット材料中に分散させる金属酸化物の添加量も、酸化ジルコニウムの方がアルミナより少量で済むため、透光性や成形性等の点でも有利である。
なお本明細書において、金属酸化物のコンポジット材料全体に対する「重量比」又は「体積比」とは、コンポジット材料、すなわち多分岐ポリマ及びマトリクス材料を含む樹脂、及び金属酸化物の合計に対する金属酸化物の重量比又は体積比を指す。したがって、溶媒等、硬化後のコンポジット材料中に本質的に残留しない成分については、重量比ならびに体積比の算出においては計上しない。
(実施の形態4)
本発明のコンポジット材料からなる光学材料の他の実施形態について、図6を用いて説明する。本実施形態のコンポジット材料30は、第1の金属酸化物31と第1の金属酸化物31とは異なる組成を有した第2の金属酸化物36が多分岐ポリマ32中に分散されてなる金属酸化物含有多分岐ポリマ33を含み、かつ金属酸化物含有多分岐ポリマ33がマトリクス材料34に均一に分散していることにより構成される。
金属酸化物含有多分岐ポリマ33がマトリクス材料34に均一に分散しているとは、コンポジット材料30内の特定の位置に偏在することなく、実質的に均一に分散していることを意味する。
本実施の形態における多分岐ポリマ32に分散させる第1の金属酸化物32としては、実施の形態1及び2の場合と同様の金属酸化物を用い、第2の金属酸化物36としては、第1の金属酸化物32とは異なる組成を有した金属酸化物を用いる。
また、第1の金属酸化物32とともに、第2の金属酸化物36をコンポジット材料30に共存させることは、コンポジット材料30のアッベ数の低下を抑制できることに加え、基材となるマトリクス材料34の耐久性等に与える影響が比較的小さいことや、金属酸化物の入手及び調製が容易でコンポジット材料30の生産コストも安価となることからさらに好ましい。
以上のことから、金属酸化物含有多分岐ポリマ33の末端に重合性官能基を有することで、マトリクス材料34と硬化反応により結合層35が形成され固定化させることができ、かつ金属酸化物含有多分岐ポリマ33がマトリクス材料34内で均一に分散されてなるコンポジット材料30の作製が可能になる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、第1の金属酸化物として酸化ジルコニウムを用い、第2の金属酸化物としてアルミナまたはシリカを用いた実施の形態について説明する。
第1の金属酸化物32と第1の金属酸化物32とは異なる組成を有した第2の金属酸化物36を分散させたコンポジット材料30の透光性を確保するためには、第1の金属酸化物32と第1の金属酸化物32とは異なる組成を有した第2の金属酸化物36の粒径が重要となる。第2の金属酸化物36についても、第1の金属酸化物32と同様の理由により、第1の金属酸化物11の実効粒径は1nm以上100nm以下の範囲内、特に1nm以上50nm以下の範囲内にあればより好ましい。
また基材となる樹脂ついては、第1の実施形態にて述べたものと同様の材料を使用することができる。この点については、以下の実施形態においても同様である。
また、(数3)に示したマックスウェル−ガーネット理論は本来2元系について成立するものであるが、二種類の金属酸化物を樹脂中に分散させた3元系のコンポジット材料の屈折率に関しては、(数2)を拡張した(数4)及び(数5)により、ある程度推定することができる。
Figure 2008191299
Figure 2008191299
なお、(数5)において、nCBλは樹脂に第2の金属酸化物36を単独で分散させたコンポジット材料30のある特定波長λにおける屈折率、npBλは第2の金属酸化物36のλにおける屈折率である。
Pm、PBはそれぞれ、コンポジット材料30全体に占める樹脂ならびに第2の金属酸化物36の体積比である。(数5)はnpBλ≧npmλの場合に成立する式であり、npBλ<npmλの場合は(数4)と同様に(数5)を修正し屈折率を推定する。
また(数5)において、npAλは第1の金属酸化物32のλにおける屈折率である。PAは、コンポジット材料30全体に占める第1の金属酸化物32の体積比であり、コンポジット材料30が樹脂、第1の金属酸化物32ならびに第2の金属酸化物36の3成分のみにより構成される場合はPA+PB+Pm=1となる。
(数5)はnpAλ≧nCBλの場合に成立する式であり、npAλ<nCBλの場合は(数4)と同様に(数5)を修正しコンポジット材料30の屈折率を推定する。
一例として、2種類の樹脂(d線屈折率が1.5、アッベ数が50の樹脂、又は、d線屈折率が1.6、アッベ数が25の樹脂、密度はいずれも1.2)に、金属酸化物として、酸化ジルコニウム(d線屈折率2.1、アッベ数35)と、アルミナ(d線屈折率1.74、アッベ数76)又はシリカ(d線屈折率1.46、アッベ数68)を、コンポジット材料全体に占める金属酸化物の体積比が合計で0%、10%、30%、又は50%となるように混合させて得られるコンポジット材料について、屈折率とアッベ数との関係を(数4)及び(数5)より算出した。
酸化ジルコニウムと、アルミナ又はシリカの体積比については、10:0、8:2、6:4、5:5、4:6、2:8、1:9と変化させた。なお、樹脂、酸化ジルコニウム並びにアルミナ又はシリカの体積比と重量比の関係は下の(表1)(表2)に示すとおりとなる。
Figure 2008191299
Figure 2008191299
屈折率の算出結果を図8に示す。金属酸化物の体積比の増加に従い、図8中に示したコンポジット材料30の屈折率は上昇する。
また、金属酸化物中における酸化ジルコニウムの体積比が大きいほど、図8中に示したコンポジット材料の屈折率は上昇するが、逆にアッベ数は低下する。
図7に示したとおり、第1の金属酸化物32とともに、第2の金属酸化物36として、波長分散性の低い、例えばアッベ数νpが50以上を示す粒子をコンポジット材料30中に共存させることにより、コンポジット材料30のアッベ数の低下をさらに抑制することが可能となる。
上述のように、屈折率と波長分散性のバランスに優れた金属酸化物と、低波長分散性の金属酸化物を他分岐ポリマに共存させることにより、波長分散性を増大させることなく屈折率ならびにアッベ数の調整を容易に実施することが可能となり、光学部品設計の自由度がさらに拡大される。
なお、本発明のコンポジット材料30において、第1の金属酸化物32としては、実施の形態1及び2のコンポジット材料30の場合と同様、本発明の効果が得られる限り、いずれの金属酸化物を含んでもよい。第2の金属酸化物36においても、アッベ数νpが50以上を示す限り、上述した金属酸化物以外の金属酸化物を含んでもよい。
(実施の形態6)
本発明のコンポジット材料からなる光学材料を用いた光学部品の一実施形態として、回折光学素子を図9を用いて説明する。
図9においては、回折格子形状を表面に形成した回折光学素子の一例についてその断面図を示し説明を行う。
なお、図9に示した回折光学素子は一例であり、本発明は他の様々な形態にも適用可能である。回折光学素子91の表面には輪帯状の回折格子形状92aが形成され、その対抗面にも輪帯状の回折格子形状92bが形成されている。これらの回折格子形状92a、92bを覆うように保護膜93a、93bがそれぞれ形成されている。
なお図9の回折光学素子に関しては回折格子形状92ならびに保護膜93が両面に形成された構成としているが、基材91表面に形成される回折格子形状92は、基材のいずれか片面に形成されていても、両面に形成されていてもよい。
両面に形成される場合において、両面の回折格子形状92a、92bは必ずしも同じ深さ、形状である必要はない。また、回折格子内の輪帯ピッチは同じである必要はない。また、輪帯である必要はなく直線状、曲線状の回折格子やホログラフィック回折格子形状でも差し支えない。また両面における保護膜93a、93bのそれぞれの材料、及びそれぞれの厚みも同じである必要はない。また、基材の形状は、両面ともが凸面である必要はなく、凹面と凸面、両面凹面、両面平面、平面と凸面、平面と凹面等でもよい。
本発明の回折光学素子において、コンポジット材料は、回折光学素子の基材91として使用することができる。
本発明のコンポジット材料は高屈折率かつ低波長分散性を示すことから、コンポジット材料を基材91として使用することにより、従来のプラスチックレンズと比較して薄型化が可能となるとともに、像面湾曲や色収差の影響も低減される。
特に基材表面の少なくとも一方に回折格子形状92を形成することにより、さらに薄型かつ光学特性に優れた回折光学素子を得ることができる。本発明のコンポジット材料を回折光学素子基材91として使用する場合の加工方法は、コンポジット材料の基材となる樹脂により異なる。
例えば、基材形状を形成する金型に、コンポジット材料を軟化又は溶融させた状態で供給し成形を行う方法や、樹脂原料である単量体やオリゴマー等に金属酸化物又は金属酸化物の原料を混合した状態にて注型し、加熱及び/又はエネルギー線照射により樹脂原料を重合したりする方法等により、所望の基材形状に成形することが考えられる。
この際、金型に回折格子形状を形成しておくことにより、得られる基材の表面に回折格子形状82が形成される。なお、回折光学素子の加工方法はこれらに限定されるものではない。本発明のコンポジット材料を回折光学素子基材91として使用する場合、コンポジット材料の基材となる樹脂は本発明の効果が得られる限り、一般にプラスチックレンズ等に使用される透光性の樹脂を使用することができる。
例えばメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、脂環式ポリオレフィン樹脂等を用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。その中でも、成型加工が容易で生産性がより高いことから、熱可塑性樹脂を基材として使用することが特に好ましい。
本発明の回折光学素子は、樹脂をベースにしたコンポジット材料からなるので製造が容易である。回折格子形状が形成された回折光学素子基材は金型による成形で容易に大量生産できる。金型の加工の一例としては金型表面にメッキ膜を形成し、このメッキ膜にダイヤモンドバイト等による旋削加工を用いて用の成形駒を加工する。
上記材料は熱可塑性樹脂であるポリカーボネートやシクロオレフィン系樹脂等が配合されているので、射出成形により回折格子が形成された回折光学素子を容易に作製できる。また、型材として石英等の紫外線や可視光を透過する材料にドライエッチング等で階段状の回折格子(反転形状)を形成してもよい。このような型材を用いれば、光硬化樹脂を含むコンポジット材料の混合物を型材に塗布等を行い、紫外線硬化樹脂や可視光硬化樹脂を硬化し離型する方法、いわゆるフォトポリマ成形を用いることにより、コンポジット材料からなり回折格子形状が形成された回折光学素子を容易に作製できる。
なお、金型加工の容易さと、回折光学素子性能面での回折格子形状の寄与、及び周辺温度に対する安定性を確保するには回折格子形状の深さを20μm以下にすることが望ましい。数十μmを越える深さの回折格子形状に対しては加工精度の高い金型加工が困難である。なぜなら、一般に金型加工はバイトを用いて行うが、回折格子形状の深さが深いと加工量が増え、バイト先端が磨耗するため、加工精度が劣化する。同時に回折格子形状の深さが深くなると回折格子形状のピッチを狭くすることができない。回折格子形状が深くなると先端の曲率半径の大きなバイトで金型を加工する必要があり、その結果、ある程度回折格子形状のピッチを広げないと回折格子形状の加工ができないためである。
これにより回折格子形状の深さが深いほど回折格子形状の設計自由度がなくなり、回折格子形状による収差低減効果がほとんどなくなっていく。なお、本発明のコンポジット材料を使用して形成される回折光学素子基材91上に、屈折率、反射率等の光学特性や、耐摩擦性、熱膨張性等の力学特性を調整する作用を有する保護膜を別途形成してもよい。
また、本発明の回折光学素子において、コンポジット材料からなる光学材料を回折光学素子基材91上に形成する保護膜93として使用してもよい。コンポジット材料からなる光学材料を回折光学素子基材91上の保護膜93として形成した場合についても、回折光学素子基材91に使用した場合と同様、像面湾曲や色収差の影響を低減することが可能である。
なお、本発明のコンポジット材料からなる光学材料は、高屈折率と低波長分散性のバランスに優れていることから、波長特性が良好でかつ小型の光学部品に利用することができる。例えばレンズ、光導波路を有する固体撮像素子、光ファイバー、光ディスク基板、光フィルタ、光学用接着剤等、及びこれらを応用した光学機器・システムに展開可能である。
以下に本発明のコンポジット材料からなる光学材料についての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ジルコニウムを分散させたコンポジット材料を、次の方法により調製した。
DPTS(8.6mg、1mL塩化メチレン)とDCC(43.7mg、2mL塩化メチレン)の存在下、1−PZr−CO2H(75.5mg、0.09mmol)とコアとなるヘキサ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン(7mg、2mL THF)の混合溶液を5日間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラム(展開液:塩化メチレン/メタノール(100/5))にかけ、粗生成物をリサイクル分取型高速液相クロマトグラフ(展開液:THF)にかけ、生成物を得た。その後、N―(tert―ブトキシカルボニル)―L―フェニルアラニンと縮合し、ギ酸で処理した後、アクリル酸―N―ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させることによって、デンドリマーを合成した。これをプレポリマーとし、前記プレポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレートを10:90(重量比)で混合し、重合開始剤としてテトラメチルチウラムスルフィドとを0.5重量%混合した。さらに、PGMEに溶解して樹脂溶液とした。その後、前記樹脂溶液をシリコン基板上に塗布し、コンポジット膜を作製した。このコンポジット材料のd線屈折率は1.60〜1.63、アッベ数は36〜42であった。
(実施例2)
ジルコニウム及びケイ素原子を分散させたコンポジット材料を、次の方法により調製した。
18−c−6(0.39g、0.0014mol)、炭酸カリウム(0.43g、3.07mmol)およびフッ化カリウム(0.86g、0.015mol)の存在下、1−(Si)PH−COZr(0.76g、0.75mmol)と3,5−ジメトキシベンジルブロミド(0.88g、3.82mmol)のTHF(20mL)溶液をアルゴン下にて3日間加熱還流した。反応溶液を濃縮乾固した後、塩化メチレン/水で洗浄、抽出し、有機層をシリカゲルカラム(展開液:塩化メチレン)にかけた。得られたピンク色の固体を塩化メチレン(5mL)に溶かし、酢酸ジルコニウム(1.0g、0.0054mol)を加え、混合溶液を24時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し,酢酸エチル/水で洗浄、抽出し、有機層をシリカゲルカラム(塩化メチレンから塩化メチレン/メタノール(90/10;勾配1%メタノール))にかけ、生成物を得た。その後、N―(tert―ブトキシカルボニル)―L―フェニルアラニンと縮合し、ギ酸で処理した後、アクリル酸―N―ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させることによって、デンドリマーを合成した。これをプレポリマーとし、前記プレポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレートを10:90(重量比)で混合し、重合開始剤としてテトラメチルチウラムスルフィドとを0.5重量%混合した。さらに、PGMEに溶解して樹脂溶液とした。その後、シリコン基板上に塗布し、コンポジット膜を作製した。このコンポジット材料からなる光学材料のd線屈折率は1.60〜1.63、アッベ数は36〜42であった。
(実施例3)
本発明のコンポジット材料を使用した回折光学素子を、次の方法により作成した。
まず、樹脂溶液として実施例1で合成したジルコニウムを分散させたコンポジット材料を用いた。また、基材91にはポリカーボネート樹脂に深さ15.50μmの輪帯状回折格子形状を付加したものを用いた。この回折格子形状92a、92bを覆うように、コンポジット材料の塗液をディスペンサにより滴下した後、80℃、90分間恒温槽内で乾燥、紫外線を照射して硬化を実施し、最大膜厚30μmの保護膜93a、93bとして両面に形成した。なお、このコンポジット材料のd線屈折率は1.60〜1.63、アッベ数は36〜であった。
(実施例4)
本発明のコンポジット材料を使用した回折光学素子を、次の方法により作成した。
まず、樹脂溶液として実施例2で合成したジルコニウム及びケイ素原子を分散させたコンポジット材料を用いた。また、レンズ基材91として、ポリカーボネート樹脂(d線屈折率1.585、アッベ数27.9)に深さ10.70μmの輪帯状回折格子形状92a、92bを両面にそれぞれ付加したものを用いた。この回折格子形状92a、92bを覆うように、前記コンポジット材料をディスペンサにより滴下した後、80℃、90分間恒温槽内で乾燥、紫外線を照射して硬化を実施し、最大膜厚20μmの保護膜93a、93bとして両面に形成した。このコンポジット材料からなる光学材料のd線屈折率は1.64、アッベ数は45であった。
本発明のコンポジット材料からなる光学材料は、高屈折率と低波長分散性のバランスに優れていることから、波長特性が良好でかつ小型の光学部品に利用することができる。例えばレンズ、回折光学素子(回折格子を形成したレンズ、空間ローパスフィルタ、偏光ホログラム等)、光導波路を有する固体撮像素子、光ファイバー、光ディスク基板、光フィルタ、光学用接着剤等、及びこれらを応用した光学機器・システムに展開可能である。
本発明の第1の実施形態に係るコンポジット材料からなる光学材料を模式的に示す断面図 本発明の第2の実施形態に係るコンポジット材料からなる光学材料を模式的に示す断面図 本発明に係る金属酸化物含有多分岐ポリマの分子構造を模式的に示す図 本発明のコンポジット材料からなる光学材料に添加される金属酸化物の微粒子の実効粒径を説明するグラフ 本発明のコンポジット材料からなる光学材料に使用する金属酸化物における、d線(波長587nm)においての屈折率ndと、波長分散性を示すアッベ数νの関係を示すグラフ 本発明の第3の実施形態に係るコンポジット材料からなる光学材料を模式的に示す断面図 本発明の第4の実施形態に係るコンポジット材料からなる光学材料における屈折率とアッベ数との関係を示すグラフ 本発明の第5の実施形態に係るコンポジット材料からなる光学材料における屈折率とアッベ数との関係を示すグラフ 本発明の第6の実施形態に係る回折光学素子の一例を模式的に示す断面図
符号の説明
10,20,30 コンポジット材料からなる光学材料
11,21,31 第1の金属酸化物
12,22,32 多分岐ポリマ成分
13,23,33 金属酸化物含有多分岐ポリマ
14,24,34 マトリクス材料
25,35 エネルギー線硬化/熱硬化による結合層
36 第2の金属酸化物
50 金属酸化物含有多分岐ポリマ
51 第1の金属酸化物
52 第2の金属酸化物
53 硬化性反応基
54 多分岐ポリマの分子鎖
55 配位結合
91 回折光学素子
92a,92b 回折格子
93a,93b 保護膜

Claims (12)

  1. 第1の金属酸化物を含む多分岐ポリマと、マトリクス材料とを有し、前記多分岐ポリマが前記マトリクス材料中に分散されているコンポジット材料からなる光学材料。
  2. 前記多分岐ポリマは、デンドリマー、ハイパーブランチポリマ、及びスターバーストポリマからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  3. 前記多分岐ポリマが重合性官能基を有する請求項1または2のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  4. 前記多分岐ポリマとマトリクス材料とが結合している請求項1から3のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  5. 前記多分岐ポリマは第2の金属酸化物を含む請求項1から4のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  6. 前記第1の金属酸化物あるいは前記第2の金属酸化物が粒子状である請求項1から5のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  7. 前記第1の金属酸化物あるいは前記第2の金属酸化物の実効粒径が、1nm以上100nm以下の範囲内である請求項6に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  8. 前記マトリクス材料が樹脂材料である請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  9. 前記樹脂材料がエネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項6に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  10. d線における屈折率nCOMが1.60以上であり、アッベ数νCOMが20以上である請求項1から9のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料。
  11. 表面に回折格子形状が形成された基材と、前記回折格子形状を覆うように配置された保護膜とを有する回折光学素子であって、前記基材と前記保護膜の少なくとも一方が請求項1から10のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなるからなる光学材料を含む回折光学素子。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のコンポジット材料からなる光学材料を含む光学部品。
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