JP4684764B2 - 建築板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、上記クリアー層の内部又は上記塗料層の表面に、マイカ薄片又は金属粉等よりなる光輝材を配置することによって、建築板の意匠表面に光輝性を有する(光沢のある)外観を形成している。
また、特許文献2においては、基板上に塗布したエナメル塗料の表面に、鉱物粉又は金属粉を散布又は吹き付け、その後、クリアー塗料を塗布して、長期間にわたって金属光沢を保持することができるセメント板を製造している。
また、上記特許文献2においても、エナメル塗料の表面に配置された鉱物粉又は金属粉は、クリアー塗料の下に沈降しており、鉱物粉又は金属粉の配置状態については何らの工夫がなされていない。
そのため、上記特許文献1、2によっては、光輝性物質又は鉱物粉等による十分な光輝性(光沢)を得ることが困難である。
該建築原板の上記表面に下塗り塗料を塗布してなる下塗り層と、
該下塗り層の表面に中塗り塗料を塗布してなり、上記凹凸模様に沿った凹凸表面を形成してなる中塗り層と、
該中塗り層の凹凸表面における凸部に、多数の薄片状光輝材を含有するクリアー塗料を塗布してなる光輝クリアー層と、
該光輝クリアー層の表面を含めた上記中塗り層の表面の全体に、クリアー塗料を塗布してなる表面クリアー層とを有しており、
上記光輝クリアー層における上記多数の薄片状光輝材を、沈降させることなく、上記建築原板の面方向に略平行に配置してなることを特徴とする建築板にある(請求項1)。
すなわち、本発明の建築板においては、建築原板の表面に形成した中塗り層の凹凸表面における凸部に、多数の薄片状光輝材を含有する第1クリアー塗料を塗布して、光輝クリアー層を形成している。そして、この光輝クリアー層における多数の薄片状光輝材のほとんどは、光輝クリアー層における底部に沈降しておらず、光輝クリアー層における内部に位置している。また、多数の薄片状光輝材のほとんどは、建築原板の面方向に略平行に配置されている。
これにより、建築板の表面は、これに対する入射光の角度にそれほど影響されず、ほとんどの傾斜方向から見ても光輝感を呈することができる。
これにより、薄片状光輝材によって反射された光と、中塗り層によって反射された光とが干渉して、複雑な反射の干渉色を呈することができる。
上記建築原板の上記表面に下塗り塗料を塗布して下塗り層を形成する下塗り層形成工程と、
上記下塗り層の表面に中塗り塗料を塗布して、上記凹凸模様に沿った凹凸表面を備えた中塗り層を形成する中塗り層形成工程と、
上記中塗り層の凹凸表面における凸部に、多数の薄片状光輝材を含有し、粘度が95〜120KUである第1クリアー塗料を塗布して光輝クリアー層を形成する光輝クリアー層形成工程と、
上記光輝クリアー層の表面を含めた上記中塗り層の表面の全体に、第2クリアー塗料を塗布して表面クリアー層を形成する表面クリアー層形成工程とを含んでおり、
上記光輝クリアー層形成工程においては、上記第1クリアー塗料をロール塗装することによって、上記光輝クリアー層における上記多数の薄片状光輝材を、沈降させることなく、上記建築原板の面方向に略平行に配置させることを特徴とする建築板の製造方法にある(請求項4)。
次いで、上記光輝クリアー層形成工程を行って、中塗り層の凹凸表面における凸部に、光輝クリアー層を形成する。そして、この光輝クリアー層は、薄片状光輝材を含有し、粘度が95〜120KUである第1クリアー塗料を、中塗り層の凹凸表面における凸部にロール塗装することによって形成する。
その後、上記表面クリアー層形成工程を行って、光輝クリアー層の表面を含めた中塗り層の表面の全体に、表面クリアー層を形成する。
それ故、本発明の建築板の製造方法によれば、ほとんどの傾斜方向から見ても光輝感を呈することができ、複雑な反射の干渉色を呈することができる建築板を容易に製造することができる。
上記第1の発明において、上記第1クリアー塗料の粘度の値(KU)は、ストマー粘度計(パドル粘度計)によって塗料をかき回すときの撹拌抵抗の値とすることができる。KUは、KU値又はKrebs単位と呼ぶこともある。上記第2の発明においても同様である。
また、上記薄片状光輝材としては、例えば、雲母(マイカ)の表面に二酸化チタンの被膜を形成してなるパール顔料を用いることができる。二酸化チタンは、高い屈折率を有すると共に光の拡散性が大きく、かつ半透明であるため、多重平行光を形成しやすい性質を有している。
また、その他にも、薄片状光輝材としては、薄片状のガラスであるガラスフレークにアルミニウムを蒸着してなるもの、マイカ、チタンコーティングマイカ(銀色)、白雲母、合成マイカ、干渉マイカ、酸化チタンを添加したマイカ等がある。このような薄片状光輝材は、比重4〜5程度の高比重であり、沈降しやすい傾向がある。
また、第1クリアー塗料全量に対する薄片状光輝材の含有量は、例えば、3〜7質量%とすることができる。
この場合には、凹凸表面における微細な凸部に薄片状光輝材を定着させることにより、薄片状光輝材の使用量を少なくして、光輝感に優れ、複雑な反射の干渉色を呈することができる建築板を製造することができる。また、また、高価な薄片状光輝材の使用量をできるだけ少なくすることにより、建築板のコストアップを抑制することができる。
この場合には、上記光輝感に優れ、複雑な反射の干渉色を呈することができる建築板を容易に製造することができる。
本例の建築板1は、図1に示すごとく、凹凸模様211を有する建築原板2の表面に、下塗り層3、中塗り層4、光輝クリアー層5及び表面クリアー層6を順次形成してなる。
上記下塗り層3は、図4に示すごとく、建築原板2の表面に、下塗り塗料31を塗布してなる。上記中塗り層4は、図5に示すごとく、下塗り層3の表面に中塗り塗料41を塗布してなり、建築原板2の表面における凹凸模様211に沿った凹凸表面を形成してなる。
上記表面クリアー層6は、図1に示すごとく、光輝クリアー層5の表面を含めた中塗り層4の表面の全体に、第2クリアー塗料61を塗布してなる。
図2に示すごとく、上記建築原板2は、窯業系建築板1であり、セメント質原料(セメント、ケイ酸原料等)に、木質原料(木繊維、木チップ等)、添加剤及び水等を混合して混合原料を作り、この混合原料を成形型の成形面上に散布し乾燥硬化させて成形したものである。
また、建築原板2における凹凸模様211は、多数の微細な凸部212と凹部213とを混在形成してなる。そして、凹部213に対する凸部212の突出高さは、0.1〜1mmとなっている。
上記中塗り塗料41は、粘度が80〜85KUである塗料からなる。そして、上記中塗り層4は、中塗り塗料41を、ロールコータ塗装により、4〜6g/尺2(43〜65g/m2)の塗布量で塗布してなり、建築原板2の意匠凸面21における凹凸模様211の全体に形成される。
上記第2クリアー塗料61は、粘度が20〜25秒(イワタカップ NK2、25℃)であるクリアー塗料からなる。そして、上記表面クリアー層6は、第2クリアー塗料61を、エアースプレー塗装により、4〜8g/尺2(43〜87g/m2)の塗布量で塗布してなり、建築原板2の表面の全体(意匠凸面21及び目地凹部22)に形成される。
また、中塗り塗料41及びクリアー塗料51、61は、艶消し剤をほとんど含有しておらず、艶のある塗膜を形成することができる。
建築板1を製造するに当たっては、まず、図2、図3に示すごとく、原板成形工程として、建築原板2を成形する。そして、この建築原板2には、意匠凸面21と目地凹部22とを形成し、意匠凸面21の表面には、多数の微細な凸部212と凹部213とを備えた凹凸模様211を形成する。
次いで、図示は省略するが、シーラー工程として、下塗り層形成工程の前に、建築原板2と下塗り層3とを密着させるために、建築原板2の表面の全体にシーラー処理を施す。
また、下塗り層3は、80〜110℃の温風を約3分間吹き付けて、ジェット乾燥させると共に硬化をさせる。
また、中塗り層4は、80〜110℃の温風を約3分間吹き付けて、ジェット乾燥させると共に硬化をさせる。
また、建築原板2の表面に接触させるロールコータのロール表面のゴム硬度は、35〜45度と高くし、ロール表面が、中塗り層4の凹凸表面における凸部411のみに接触するようにした。
そして、光輝クリアー層5及び表面クリアー層6を、80〜110℃の温風を約3分間吹き付けて、ジェット乾燥させると共に硬化をさせる。こうして、建築原板2の表面に塗料層を形成してなる建築板1を製造することができる。
図7は、建築板1の表面を拡大して模式的に示す図である。同図において、多数の薄片状光輝材52が配置された部分は、建築板1の表面の凹凸模様111における凸部112を示し、薄片状光輝材52がほとんど配置されていない部分は、建築板1の表面の凹凸模様111における凹部113を示す。
これにより、建築板1の表面は、これに対する入射光の角度にそれほど影響されず、ほとんどの傾斜方向から見ても光輝感を呈することができる。
これにより、薄片状光輝材52によって反射された光と、中塗り層4によって反射された光とが干渉して、建築板1は、複雑な反射の干渉色として、種々の色彩を呈することができる。
そのため、この薄片状光輝材52の欠点を補うために、本例の建築板1においては、クリアー塗膜を、薄片状光輝材52を含有する光輝クリアー層5と表面クリアー層6との2層のクリアー層により形成した。これにより、薄片状光輝材52が光輝性を発揮しない入射角の光に対しては、中塗り層4及び表面クリアー層6による反射を利用し、中塗り層4の色を反映した色彩の光輝感を発揮させるようにしている。
これに対し、本例の建築板1においては、顔料を使用せず、中塗り層4の色彩を利用して、薄片状光輝材52に光輝感のある色彩を発色させている。すなわち、中塗り層4によって反射され、薄片状光輝材52を通過して出射する光は、中塗り層4の色彩を反映して発色することができる。
それ故、本例の建築板1の表面は、ほとんどの傾斜方向から見ても光輝感を呈することができ、複雑な反射の干渉色を呈することができる。そして、上記建築板1の製造方法によれば、このように優れた作用効果を呈する建築板1を容易に製造することができる。
また、建築板1の表面の全体は、表面クリアー層6によって覆われており、この表面クリアー層6により、建築板1の表面の劣化を効果的に抑制することができる。
2 建築原板
201 表面
211 凹凸模様
212 凸部
213 凹部
3 下塗り層
31 下塗り塗料
4 中塗り層
41 中塗り塗料
5 光輝クリアー層
51 第1クリアー塗料
52 薄片状光輝材
6 表面クリアー層
61 第2クリアー塗料
Claims (2)
- 多数の微細な凸部と凹部とが混在形成されて該凹部に対する該微細な凸部の突出高さが0.1〜1mmである凹凸模様が形成された意匠凸面と、該意匠凸面から陥没し該意匠凸面を区画する目地凹部を有する表面を備えた無機質建築原板と、
該無機質建築原板の上記表面に下塗り塗料を塗布して、上記無機質建築板の上記目地凹部の色を形成してなる下塗り層と、
上記意匠凸面における凹凸模様の該下塗り層の表面に中塗り塗料を塗布してなり、上記意匠凸面における凹凸模様に沿った凹凸表面を形成してなる中塗り層と、
該中塗り層の凹凸表面における微細な凸部のみに、多数の薄片状光輝材を塗料全量に対して3〜7質量%含有して、粘度が95〜120KUである第1クリアー塗料をゴム硬度が35〜45度のロールコータによって塗布してなる光輝クリアー層と、
該光輝クリアー層の表面を含めた上記中塗り層が形成された上記意匠凸面及び上記目地凹部からなる上記無機質建築原板の表面の全体に、第2クリアー塗料を塗布してなる表面クリアー層とを有しており、
上記薄片状光輝材は、雲母(マイカ)の表面に二酸化チタンの被膜を形成してなるパール顔料を用いた薄片状光輝材、薄片状のガラスであるガラスフレークにアルミニウムを蒸着した薄片状光輝材、マイカ、チタンコーティングマイカ(銀色)、白雲母、合成マイカ、干渉マイカ、酸化チタンを添加したマイカから選択された粒径が30〜50μm、厚みが1〜2μmの薄片状光輝材であって、
上記光輝クリアー層における上記多数の薄片状光輝材を、沈降させることなく、上記無機質建築原板の面方向に略平行に配置してなることを特徴とする無機質建築板。 - 多数の微細な凸部と凹部とを混在形成されて該凹部に対する該微細な凸部の突出高さが0.1〜1mmである凹凸模様が形成された意匠凸面と、該意匠凸面から陥没し該意匠凸面を区画する目地凹部を有する表面を備えた無機質建築原板を成形する原板成形工程と、
上記無機質建築原板の上記表面に下塗り塗料を塗布して、上記目地凹部の色を形成してなる下塗り層を形成する下塗り層形成工程と、
上記意匠凸面における凹凸模様の該下塗り層の表面に中塗り塗料を塗布して、上記意匠凸面における凹凸模様に沿った凹凸表面を備えた中塗り層を形成する中塗り層形成工程と、
上記中塗り層の凹凸表面における微細な凸部のみに、多数の薄片状光輝材を塗料全量に対して3〜7質量%含有し、粘度が95〜120KUである第1クリアー塗料を塗布して光輝クリアー層を形成する光輝クリアー層形成工程と、
上記光輝クリアー層の表面を含めた上記中塗り層が形成された上記意匠凸面及び上記目地凹部からなる上記無機質建築原板の表面の全体に、第2クリアー塗料を塗布して表面クリアー層を形成する表面クリアー層形成工程とを含んでおり、
上記薄片状光輝材は、雲母(マイカ)の表面に二酸化チタンの被膜を形成してなるパール顔料を用いた薄片状光輝材、薄片状のガラスであるガラスフレークにアルミニウムを蒸着した薄片状光輝材、マイカ、チタンコーティングマイカ(銀色)、白雲母、合成マイカ、干渉マイカ、酸化チタンを添加したマイカから選択された粒径が30〜50μm、厚みが1〜2μmの薄片状光輝材であって、
上記光輝クリアー層形成工程においては、上記第1クリアー塗料をゴム硬度が35〜45度のロールコータによりロール塗装することによって、上記光輝クリアー層における上記多数の薄片状光輝材を、沈降させることなく、上記無機質建築原板の面方向に略平行に配置させることを特徴とする無機質建築板の製造方法。
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