JP7262271B2 - 塗装物 - Google Patents
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Description
このような塗装により模様を表出させた塗装物としては、例えば、特許文献1、2に記載されている。
特許文献1記載の塗装物は、素材の表面に塗装された着色ベース塗料層と、着色塗料を斑点状に塗装した多彩模様層とを備えて構成されている。ここで、着色ベース塗料層は、斑点模様層と共色、具体的には、着色ベース塗料層の色調が斑点模様層に比べて淡色なものとされている。
また、特許文献2には、金属やガラス等の表面に、透明な塗料を塗布した上で高粘度の塗料をスプレーガンで強制的に吹き付けて、細かな線と点が混ざった不規則な模様付けを行った塗装物が示されている。
しかしながら、この塗装物にあっては、着色ベース塗料層にライトグレーやライトブラウン等の色を用いる一方、着色多彩模様層にホワイト、アイボリー、グレー、ダークグレー等の色を用いて上述の淡色となる関係を満たす共色としているだけのものである。そのため、斑点模様と、斑点間の着色ベース塗料層との見え方に相違が見られることにはなるが、全体としての意匠性は単調なものとならざるを得ない。しかも、斑点模様を多彩なものとしても、そのことが塗装物に奥行感や深み感等という意匠性に寄与することにはなっていない。更に、表面の全域において、見る角度や光源との相対位置に応じて見え方を異ならせる材料についての積極的な考察はなされていない。
本発明の目的は、全体的に輝度が高められた高質感を付与することができるとともに、見る位置や角度等によって異なる美観を表出させる等、意匠性に多様性が付与された塗装物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、斑点模様を構成する凸部と凸部間の凹部との間に、陰影のコントラストを明瞭に生じさせるとともに、メタリック層を通じてそれを目視できるようにして奥行感や深み感等を際立たせることのできる塗装物を提供することにある。
前記凸部間の凹部となる被塗装物の表面及び前記凸部となる斑点模様の表面に塗装されたメタリック層とを備えた塗装物において、
前記メタリック層は、前記凹部、凸部の表面に倣って高低差を有する面に設けられる、という構成を採っている。
また、光反射材の配向を通じて、見る位置や角度等によって明暗等が異なる美観を表出するようになり、意匠的な多様性を備えた塗装物を提供することができる。
また、被塗装物の表面が艶消し調であれば、斑点模様を艶有りとして凸部と凸部間の凹部との間に陰影のコントラストを明確にすることができる。また、メタリック層を透かして斑点模様、被塗装物の表面を見えるようにして奥行感や深み感等を際立たせることもできる。
更に、透明層を設けた構成によれば、斑点模様の保護が図れるとともに、外観に濡れ色が付与された意匠性を表出させることができる。
なお、塗装物が天板や壁面材等に適用される構成では、当該天板等が適用されるキッチン等の全体的な質感向上に有効に寄与することができる。
図1に示されるように、模様付きの塗装物10は、板状の被塗装物11と、当該被塗装物11の表面に塗布された凸状の斑点模様12と、これら被塗装物11及び斑点模様12の表面を覆うように塗装されたメタリック層14と、当該メタリック層14の表面に塗装された透明層16とを構成されている。
基材11Aを構成する人造大理石は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を染料や顔料によって着色するとともに、プラスチック材等を粉砕して様々な色、形状、大きさとされた粒体の他、人造大理石、天然石等を粉砕して得られる粒体、各種添加剤を配合することにより形成されている。熱硬化性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
なお、本実施形態における基材11Aの好ましい板厚としては、1mm~50mmのもの、さらに好ましくは3mm~20mmが例示できる。
ベース層11Bの塗布は、エアスプレ-により行うことができるが、その他の手段、例えば、ローラー等によるものであってもよい。
ベース層は、艶消し塗料による塗装の他、サンドペーパー等で表面を荒して艶消し調にすることができる。
なお、ベース層11Bは必ずしも設けることを要しない。この場合には、基材11Aを構成する人造大理石の表面が艶消し調のものであれば足りる。
斑点模様12は、[図1](A)、(B)では、凸部が一つずつ独立したものが示されているが、実際には、[図1](C)に示されているとおり、凸部が重なり合う場合や面方向につながる場合もある。
なお、斑点模様12は、スプレーガンを用いて塗布することが好ましいものとされるが、これに限定されるものではなく、ローラー等を用いた他の塗装手段を用いることもできる。例えば、凸部に対応する多数の穴を備えたマスキングシートをベース層11B上に配置し、塗料を含浸したローラーをシート上で転動させた後、当該シートを除去する方法等も採用できる。この場合には、斑点模様12の位置が共通化ないしは規格化された塗装物を提供でき、スプレー塗布に要求される熟練度を必要とすることはない。
斑点模様12の塗料の粘度は、アネスト岩田株式会社製の粘度カップNK-2にて滴下時間が9秒~12秒になるように調整する。これにより、スプレーガンを用いて斑点模様12を塗布した際に、上記大きさ、高さを有する凸部を無理なく形成することができる。なお、凸部を大きく形成するためには12秒~18秒に調整することが好ましい。
また、斑点模様12は、公知のアルミフレーク等の光反射材を添加したメタリック塗料で塗装することにより設けられてもよい。
なお、メタリック層は、2μm~15μm程度の厚さで塗布することができる。得られる塗装物に全体的に高い輝度を表出させるためには、凸部、凹部全体の70%以上がアルミ粒子で隠蔽されるように塗布することが好ましい。また、奥行方向に見える奥行感若しくは深み感を得るためには、凸部、凹部全体の5%以上が奥行方向に透かして見えるように塗布することが好ましい。
[実施例1]
板厚10mmの人造大理石を#240のペーパー研磨で荒らしたものを基材として用い、その表面に黒色塗料(カシュー株式会社製ストロンTXL No30 1分艶有 黒(改))をスプレーガンで塗布して乾燥硬化させ、厚み約10μmの艶消し調となるベース層を形成した。
ベース層の表面に黒色塗料(カシュー株式会社製ストロンTXL No30 1分艶有 黒(改))をアネスト岩田株式会社製の粘度カップNK-2にて滴下時間が10秒程度になるように調整してスプレーガンで塗布を行った。これにより大きさ2mm2~30mm2、高さ約10μm~50μmの凸部からなる斑点模様を形成した。
斑点模様の乾燥硬化後、アルミ粒子入りメタリック塗料(カシュー株式会社製ストロンTXL No30 高輝度シルバーSB)でベース層及び斑点模様の表面を塗装し、厚さ約3μm前後のメタリック層を形成し、次いで、その表面にガラスビーズ入りクリア塗料を塗布して厚さ約20μmの透明層を形成した。
なお、メタリック層は凸部、凹部全体の90%を覆う範囲をアルミ粒子で隠蔽するように塗布し、残り10%の範囲は奥行方向に透かして見えるように塗布した。
実施例1と同様の条件で被塗装物を形成するとともに、実施例1と同一の黒色塗料を用いて斑点模様を有する塗装物を得た。
この塗装物を目視観察したところ、輝度が無く、艶消し面となるベース層に、艶のある斑点模様が分散して見える状態が認められるだけで、奥行感ないし深み感を認めることはできなかった。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
また、上記に開示した塗装物の塗装条件すなわち材料、色、大きさ、厚み、高さなどは、任意に、或いは、それらの相互関係において変化し得るものであり、これらに関する上記の限定は、本発明の目的を達成することができるかぎり変更することを妨げない。
Claims (5)
- 被塗装物の表面に高低差を有する凸部を塗装して形成された斑点模様と、
前記凸部間の凹部となる被塗装物の表面及び前記凸部となる斑点模様の表面に塗装されたメタリック層とを備えた塗装物において、
前記メタリック層は、前記凹部、凸部の表面に倣って高低差を有する面に設けられていることを特徴とする塗装物。 - 前記被塗装物の表面は艶消し調である一方、前記斑点模様は艶有りの凸部により構成されていることを特徴とする請求項1記載の塗装物。
- 前記被塗装物の表面は塗装を施すことによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装物。
- 前記メタリック層の表面に透明層を更に備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の塗装物。
- 前記塗装物は、キッチン、浴室、洗面台、家具の天板、壁面材若しくは扉面材であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の塗装物。
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