JP3769638B2 - 螺鈿装飾品の製造方法 - Google Patents

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本発明は貝殻の光沢部分が加飾用に用いられる螺鈿装飾品の製造方法に関する。
螺鈿とは「おうむ貝,夜光貝,鮑貝,蝶貝などの真珠光を放つ部分をとって薄片とし、種々の形に切って漆器或いは木地などの面に嵌入して装飾とするもの」(広辞苑第二版)で、大変手間と時間がかかるものであった。しかも、貼り付けや研ぎ出し等の特殊な技術を必要とし、熟練した技が求められた。僅か20cm四方の作品でも3ヶ月ほどかかり、当然ながら高価なものになっていた。
こうしたことから、螺鈿加工品を比較的容易に且つ安価に造る発明技術が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−113994公報(第4−8頁)
特許文献1の技術は、透明の貼付用部材本体の一面側から図柄を形成する面状部材を仮貼りした後、前記一面側より有色塗料を塗布し、その後前記面状部材を剥離し、これにより一面側に無塗装の一面部位を形成し、しかる後、この一面部位を被うべく面状に形成された螺鈿部材を接着手段を介して前記一面側に貼り付けて螺鈿細工加工品を製造する。
しかるに、特許文献1は従来の螺鈿加工に比べれば簡単に造れるようになったものの、それでもかなりの時間と手間を要していた。まず第1に図柄を形成する面状部材を形成しなければならないこと、第2にその面状部材を貼付用部材本体の一面側に仮貼りしなければならないこと(特許文献1に係る図1のイ〜ハ)、第3に仮貼り後、前記一面側より有色塗料を塗布しなければならないこと(同文献の図2のイ,ロ)、第4に、折角貼り付けた前記面状部材を剥離しなければならないこと、第5にこの剥離により一面側に形成される無塗装の凹んだ一面部位をクリア塗料を吹き付け埋めなければならないこと(同文献の図3のイ,ロ)、第6にその後、一面部位を被うべく面状に形成された螺鈿部材を接着手段を介して一面側に貼り付けなければならないこと(同文献の図3のハ)、などである。
また、一面部位を被うべく面状に形成された螺鈿部材は結構大きなものが必要であった。貝殻から螺鈿部材を造る製造工程で、粒度の細かいものが大量に生成されるが、粒度の細かいものは使用できなかった。加えて、一面部位を被う螺鈿部材のうち、無塗装の一面部位に位置する螺鈿部材の部分は加飾用螺鈿部材として機能するが、無塗装の一面部位周りの有色塗料に載る螺鈿部材は隠れてしまい加飾用に役立たず全く無駄になった。
さらに、特許文献1を初め従来の螺鈿装飾品及びその製造方法は、大面積のものを造ったり、また管状体の曲面に形成したりするのがなかなか難しかった。
本発明は上記問題点を解決するもので、従来法に比べて極めて廉価で且つ簡便に製造でき、しかも平面に限らず曲面にもさらに大面積にも対応可能な螺鈿装飾品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、次の各工程の結合からなる螺鈿装飾品の製造方法にある。(イ)貝殻を粉砕してその光沢部分を取り出し所定粒度の螺鈿用粒状体を形成する第1工程、(ロ)第1工程の螺鈿用粒状体の形成後、無色透明又は有色透明の面状基材の裏面に、エポキシ樹脂系又はアクリルエマルジョン系の透明接着剤を使用して全面にわたって塗布するか又は図柄を描いて部分的に塗布し、クリア接着面域を形成する第2工程、(ハ)前記第2工程の後、クリア接着面域上に螺鈿用粒状体を分散させてばらまき、その後、少なくとも螺鈿用粒状体及びその周りに再び前記エポキシ樹脂系又はアクリルエマルジョン系の透明接着剤を塗布する第3工程、(ニ)前記第3工程の後、クリア接着面域及びそこに接着固定された前記螺鈿用粒状体の上に有色被膜を被着し、さらに必要に応じクリア接着面域以外の面状基材の裏面にも有色被膜を被着する第4工程。
(作用)
請求項1の発明のごとく、面状基材の裏面にクリア接着面域を形成し、該クリア接着面域上に多数の螺鈿用粒状体を振り掛け、さらに該螺鈿用粒状体及び前記クリア接着面域を有色被膜で覆うと、この簡単な構成要素の組み合わせで螺鈿装飾品が出来上がってしまう。斯る構成であれば、平面に限らず曲面にもさらに大面積にも対応可能になる。当然、低コストで製造できるようになる。面状基材の裏面にクリア接着面域を形成する透明接着剤を塗布する際に、図柄を描いて塗布すれば図柄も容易に施すことができ、螺鈿装飾加工のバリエーションも広がる。
クリア接着面域上に螺鈿用粒状体を分散させてばらまき、その後、少なくとも螺鈿用粒状体及びその周りに再び前記透明接着剤を塗布すると、螺鈿用粒状体の浮いた部分も意匠面側に現れ装飾用に利用できる。第2工程でクリア接着面域を形成した1層目のクリア層から浮いた状態にある螺鈿用粒状体は、その螺鈿用粒状体とクリア層との間に隙間があり、この状態まま次の第4工程に進むと、第4工程で該隙間が有色被膜で埋められてしまい、螺鈿用粒状体の浮いた部分が隠れ、意匠面側から見えなくなる。しかるに、2層目のクリア層を形成し前記隙間を埋めれば、さらにこの浮いた螺鈿用粒状体によって、意匠面に対し垂直方向への奥行きが創出され、立体感のある螺鈿模様が演出される。クリア接着面域への螺鈿用粒状体のより確実な接着固定にも役立つ。
本発明の螺鈿装飾品の製造方法は、従来法に比べて極めて簡便な製法で低コスト提供でき、さらに平面に限らず曲面にも装飾可能にして大面積にも対応可能であるなど優れた効果を発揮する。
以下、本発明に係る螺鈿装飾品の製造方法について詳述する。図1〜図11は本発明の螺鈿装飾品の製造方法の一形態で、図1は螺鈿用粒状体の製法説明図、図2は面状基材に透明接着剤を塗布する説明断面図、図3は図2の透明接着剤による接着面域の形成後、螺鈿用粒状体をまぶした断面図、図4は図3の螺鈿用粒状体をまぶした後、螺鈿用粒状体を含めその周りに透明接着剤を塗布した部分拡大図、図5は図4の後、螺鈿用粒状体の上にさらに面状基材の裏面に有色被膜を被覆する説明断面図、図6は2層目のクリア層の塗布を終えた仕掛品の裏面側から見た説明画像図、図7は図6の仕掛品を意匠面側から見た説明斜視図、図8は図5(ロ)の螺鈿装飾品を意匠面側から見た説明画像図、図9は他態様の螺鈿装飾品の説明図、図10,図11は他態様の螺鈿装飾品の説明画像図を示す。
(1)螺鈿装飾品の製造方法
螺鈿装飾品の製造は、まずアコヤ貝,シロチョウ貝等の貝殻3Aからその光沢部分3A(真珠層の部分)を取り出し、所定粒度の螺鈿用粒状体3を形成する(第1工程)。アコヤ貝の貝殻成分はその大部分が炭酸カルシウムで構成されているが、真珠層3Aの炭酸カルシウムはアラレ石型結晶構造(斜方晶系)であるのに対し、取り除く部分の炭酸カルシウムは方解石型結晶構造(三斜晶系)であり、蛋白質の含有割合も高く硬度も低いため、酸や物理的な衝撃によって真珠層3Aよりも溶解若しくは崩壊し易くなっている。本実施形態は、約6%の酢酸にアコヤ貝の貝殻3Aを所定時間浸漬処理し、その後ワイヤブラシ等を用いて洗浄し乾燥させ、溶解せずに残った真珠層3A以外の部分をニッパー等で切断除去した。次いで、真珠層部分3Aをクラッシャー(実験ではミキサー粉砕,プレスによる圧締粉砕,ハンマーによる打撃粉砕などを使用)等で粉砕し、粉砕された砕製造物を、その後、粒径の異なる群に分別する分粒操作によって、0〜210μm,210〜297μm,297〜500μm,500〜1190μm,1190〜2000μm,2000〜4000μmの粒度に篩い分けした。図1では便宜的に粒径の大きな螺鈿用粒状体3aと粒径の小さな微粒子の螺鈿用粒状体3bに分粒した様子を図示する。
螺鈿用粒状体3が準備できたら、次に無色透明(又は有色透明)にして板状(又はシート状)で平滑な面を有する面状基材1を用意する。そして面状基材1の裏面1bに透明接着剤2Aを使用して全面にわたって塗布するか又は図柄を描いて部分的に塗布し、クリア接着面域2を形成する(第2工程)。ここでいう図柄とは「文字,図形,記号又はこれらの結合」の標識や模様をいう。
本実施形態は、図2のような無色透明のシャーレを準備し、その裏面1bたる内側底面の全面に透明接着剤2Aを塗布した。透明接着剤2Aは、硬化被膜が透明である接着剤で、具体的には酢酸ビニルエマルジョン系,アクリルエマルジョン系,ポリエステル系,シリコン系,ポリウレタン系,エポキシ樹脂系等の接着剤がある。透明接着剤2Aは光の透過率の高いものが好ましい。また低収縮のものが望ましく、この点からいえばエポキシ樹脂系接着剤がより好ましい。第2工程の後、該透明接着剤2Aのクリア接着面域2の上に螺鈿用粒状体3をまぶし、その上に有色被膜4が被着されるが、透明接着剤2Aの収縮率が大きいと、時間経過に伴いクリア接着面域2の一部に収縮に伴う空隙ができることがあり、商品(螺鈿装飾品)になったとき該空隙が螺鈿装飾品の意匠面1aから見え、見栄えを損なうからである。本実施形態もエポキシ樹脂系接着剤を使用した。
続いて、前記透明接着剤2Aが硬化しないうちに、その接着剤がつくるクリア接着面域2上に前述の所定粒度の螺鈿用粒状体3を振り掛けて、該螺鈿用粒状体3を接着固定する(第3工程)。
ここでは、0〜210μm,210〜297μm,297〜500μm,500〜1190μm,1190〜2000μm,2000〜4000μmの粒度のうち、細かい螺鈿用粒状体3bと大きめの螺鈿用粒状体3aをクリア接着面域2上に散らすようにばらまいた(図3)。透明接着剤2Aが未だ硬化していないので、螺鈿用粒状体3は透明接着剤2Aがつくるクリア層21に一部(場合によっては全部)が沈んでいく。クリア接着面域2上に螺鈿用粒状体3を分散させる過程で、螺鈿用粒状体3の一部がクリア層21から浮いた状態(図3の左拡大図)になったり螺鈿用粒状体3の一部が重なり合ったりするが、螺鈿装飾品たる完成品に対し、そのこと自体が特に不具合を招くことはない。ただ、前記クリア接着面域2上に螺鈿用粒状体3を分散させてばらまいた後、少なくとも螺鈿用粒状体3及びその周りに再び前記透明接着剤2Aを塗布し、2層目のクリア層21bを形成するのがより好ましい(図4)。前記クリア接着面域2を形成した1層目のクリア層21aから浮いた状態にある螺鈿用粒状体3は、その螺鈿用粒状体3とクリア層21aとの間に隙間εがあり、この状態まま次の第4工程に進むと、第4工程で該隙間εが有色被膜4で埋められてしまい、螺鈿用粒状体3の浮いた部分が隠れ、意匠面1a側から見えなくなるからである。図4のごとく2層目のクリア層21bを形成し隙間εを埋めれば、螺鈿用粒状体3の浮いた部分も意匠面1a側に現れ装飾用に利用できる。さらにこの浮いた螺鈿用粒状体3によって、意匠面1aに対し垂直方向への奥行きが創出され、立体感のある螺鈿模様が演出される。クリア接着面域2への螺鈿用粒状体3のより確実な接着固定にも役立つ。本実施形態もクリア接着面域2上に螺鈿用粒状体3を接着固定した後、その上に透明接着剤2Aを塗布し2層目のクリア層21bを形成した。図6は2層目のクリア層21bの塗布を終えた仕掛品の裏面側から見た説明画像図である。
その後、前記クリア接着面域2(2層目のクリア層21bがつくるクリア接着面域2を含む)及びそこに接着固定された前記螺鈿用粒状体3の上に有色被膜4を被着し、さらに必要に応じクリア接着面域2以外の面状基材1の裏面1bにも有色被膜4を被着する(第4工程)。面状基材1の裏面1bにクリア接着面域2の1層目のクリア層21a、螺鈿用粒状体3のふりかけ、有色被膜4が順次積み重ねられる。或いは、前記螺鈿用粒状体3のふりかけの後、2層目のクリア層21b、有色被膜4が積み重ねられる。図5(イ)は有色皮膜用塗料4Aを塗布する工程を示す。
クリア接着面域2及び該クリア接着面域2に接着固定された前記螺鈿用粒状体3の上に有色被膜4が被着されることによって、螺鈿装飾品の意匠面1aに光が当たった際、螺鈿用粒状体3への光は透過する割合が減り、螺鈿用粒状体3へ入光する光の大半が反射し、螺鈿用粒状体3が光り輝く。第3工程を終えた面状基材1(シャーレ)の意匠面1a側から見る様子(図7)と、第4工程を終えた意匠面1a側から見る様子(図8)とでは、その違いが歴然としている。有色被膜4の色とのコントラストで、螺鈿用装飾品の装飾効果を一段と高める。本実施形態は、無色透明のシャーレの内側底面のクリア接着面域2の全面に、さらにクリア接着面域2以外のシャーレの側壁裏面1bにも有色被膜4を被着した。
有色被膜4は面状基材1との結合相性の良い塗料,ラッカー,ペイント等であれば種類を問わない。有色被膜4の形成に、(1)株式会社アサヒペン製「アスペン」のツヤ消し黒、(2)株式会社アサヒペン製「クリエイティブカラースプレー」のツヤ有り茶、(3)ロックペイント株式会社製「エアロック・スプレーラッカー赤」、(4)ニッペホームプロダック株式会社製「ニッペホームペイント・筆ハケ塗り用エナメル黒」等の種々のものを試み、いずれも良好な結果を得た。黒色の有色被膜4ではその有色被膜の背景にちりばめられた螺鈿用粒状体3の真珠光沢が色鮮やかに光り輝く。また有色被膜4を朱色にすると朱塗りの高級感が漂い、螺鈿用粒状体3の真珠光の輝きと相まって絶妙な螺鈿装飾品に仕立てることができる。
シャーレ(面状基材1)を用いた螺鈿用装飾品の意匠面1aは、ガラス面になるので、平滑面が確保でき手触りが良好になる。これに対しシャーレの裏面1bはクリア接着面域2上に接着固定された螺鈿用粒状体3によって凹凸が形成される。しかし、その上から全面に化粧シート5等で覆ってしまえば、裏面1b側も綺麗にすることができる(図5のロ)。螺鈿用装飾が施された所望の小物入れ容器(螺鈿用装飾品)が出来上がる。
図9は別態様の螺鈿装飾品の製造方法を示し、面状基材1の裏面1bの一部に螺鈿装飾加工を施したものである。同図(イ)は面状基材1の裏面1bの一部に透明接着剤2Aを塗布し、クリア接着面域2を形成する前記第2工程を示す。次いで、第3工程として微粒子からなる螺鈿用粒状体3bを前記クリア接着面域2上に振り掛けて接着固定する(同図のロ)。その後、第4工程として前記クリア接着面域2及びそこに接着固定された前記螺鈿用粒状体3の上を有色被膜4で覆着し螺鈿装飾品を完成させる(同図のハ)。意匠面1a側から見ると、同図(ニ)に示す天の川ような螺鈿装飾品が出来上がる。
また面状基材1の裏面1bに、透明接着剤2Aによる図柄(ここでは樹木と雲を描いた)を部分的に形成したクリア接着面域2とし、次に該クリア接着面域2上に前記螺鈿用粒状体3を振り掛けて接着固定し、その後、該クリア接着面域2及びそこに接着固定された前記螺鈿用粒状体3の上方を有色被膜4で覆って螺鈿用粒状体3による絵模様のある螺鈿用装飾品を作ることもできる(図10)。
また、本発明の螺鈿装飾品の製造方法に用いる面状基材1は特に平面に限られることなく、花瓶等の円筒部裏側の曲面にも適用できる(図11)。同図の花瓶は無色透明の有底円筒体からなる面状基材1のその円筒内面に、前記第1工程から第4工程を経る作業を行って螺鈿装飾加工をなしたものである。
(2)螺鈿装飾品
螺鈿用装飾品は、面状基材1とクリア接着面域2と多数の螺鈿用粒状体3と有色被膜4とを備えて、前記製法により意匠面1a側から面状基材1の奥に多数ちりばめられた螺鈿用粒状体3が見えるように造られたものである。無色透明又は有色透明の面状基材1の裏面1bに、透明接着剤2Aを使用して全面にわたって塗布されるか又は図柄を描いて部分的に塗布されたクリア接着面域2が形成され、該クリア接着面域2上に多数の螺鈿用粒状体3がまぶされ接着固定され、さらに該螺鈿用粒状体3及び前記クリア接着面域2を含めてその上に有色被膜4が被覆形成されてなる螺鈿用装飾品である。螺鈿用装飾品は図5に示すガラス製小物入れ容器や図11に示す花瓶等に適用される。
面状基材1はガラス製,合成樹脂製等からなる無色透明又は有色透明のものである。面状基材1の裏面1bに装飾用に配設した螺鈿用粒状体3を意匠面1a側(表側)から透視して見るためである。面状基材1は平面を形成する平板,シート状体であってもよいし、曲面を形成する曲板であってもよい。花瓶のような管状態さらに変形体とすることもできる。面状基材1の厚みは特に限定されず、板状体のみならずシート状体でもよい。いずれも本発明の作用,効果が得られるからである。また本実施形態の螺鈿装飾品は実験であるためその大きさに限りがあるが、面状基材1の大きさは特に制限がなく、建家のフロア,タイルや内装材等の大面積のものにも適用できる。
透明接着剤2Aを用いた前記クリア接着面域2の形成はスプレーやハケによる塗布の他、例えばスクリーン印刷等の印刷技術を駆使してもよい。また型紙(金属製のものでも可)を使用して図柄のクリア接着面域2を形成することができる。型紙を使用すれば同一図柄の螺鈿装飾品の量産が可能になる。
螺鈿用粒状体3は、既述のごとく貝殻3Aを粉砕してその光沢部分3Aを所定粒度にしたものである。従来の螺鈿細工は貝殻3Aの光沢部分たる真珠層3Aを薄くスライスしたものを使用しており、その厚みは薄くないといけなかった。これに対し、本願発明で使用する螺鈿用粒状体3はミキサー等のクラッシャーで粉砕した単純加工品をメッシュ篩い分けして使用できる。螺鈿用粒状体3の厚みは不揃いでもよい。螺鈿用粒状体3の厚みは不揃いでも前記第3工程,第4工程の製造過程で問題が生じず、さらに螺鈿装飾加工される部分は面状基材1の表面たる意匠面1a上ではなく面状基材1の裏面1b側だからである。本発明で使用する螺鈿用粒状体3は、一種類の貝殻3Aを用いるのでなく、様々な種類の貝殻3Aを使って、それらの光沢部分を所定粒度にしたものを混合使用してもよい。そうすれば輝きが多様になり、より趣きのある螺鈿装飾品ができる。
有色被膜4は前記螺鈿装飾品の製造方法での内容と同様で、説明を省く。
このように構成した螺鈿装飾品及びその製造方法によれば、ガラス等の透明材からなる面状基材1を用い、既述の製法を使ってその裏面1bから螺鈿装飾加工を施すことで、従来法に比べて極めて廉価で且つ簡便,迅速に製造できる。クリア接着面域2の形成や有色被膜4の形成は、スプレー塗装等の塗装技術で対応できるため、大量生産による低コスト化を実現できる。従来の螺鈿装飾加工で見られる漆塗りのような特殊技術は要しない。また本発明に用いる螺鈿用粒状体3は従来の螺鈿加工で使用するものと違って薄くスライスさせなくてもよい。従来法が貼り付けや研ぎ出し等の特殊な技術を必要としたのに対し、本発明では面状基材1の裏面1b側を活用し、クリア接着面域2上に多数の螺鈿用粒状体3を振り掛ける手法を採っているので難しい技術は不要である。多数の螺鈿用粒状体3を振り掛ける手法を採用するため、従来法と異なり粒度の細かい螺鈿用粒状体であっても使用できる。
そして、製品形状に特段の制限がなく、前記花瓶のごとく円筒状体等の曲面への螺鈿装飾が容易に行える。螺鈿装飾によって高級感漂う商品になる。透明のシート状体からなる面状基材1を採用すれば、変形可能な螺鈿装飾シート(螺鈿装飾品)の製造も可能になる。また大きなものは従来の漆塗り螺鈿細工では困難であったが、本発明の製法を用いれば大面積の螺鈿装飾品も簡単に造ることができる。加えて有色被膜4の色を種々選択することによって多様な表現が可能であり、螺鈿装飾品の品揃えが広がる。
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。面状基材1,クリア接着面域2,螺鈿用粒状体3,有色被膜4等の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて本発明の範囲内で適宜選択できる。
本発明の螺鈿装飾品の製造方法の一形態で、螺鈿用粒状体の製法説明図を示す。 面状基材に透明接着剤を塗布する説明断面図を示す。 図2の透明接着剤による接着面域の形成後、螺鈿用粒状体をまぶした断面図である。 図3の螺鈿用粒状体をまぶした後、螺鈿用粒状体を含めその周りに透明接着剤を塗布した部分拡大図である。 図4の後、螺鈿用粒状体の上にさらに面状基材の裏面に有色被膜を被覆する説明断面図である。 2層目のクリア層の塗布を終えた仕掛品の裏面側から見た説明画像図を示す。 図6の仕掛品を意匠面側から見た説明斜視図である。 図5(ロ)の螺鈿装飾品を意匠面側から見た説明画像図である。 他態様の螺鈿装飾品の説明図である。 他態様の螺鈿装飾品の説明画像図である。 他態様の螺鈿装飾品の説明図である。
符号の説明
1 面状基材
1a 裏面
2 クリア接着面域
3 螺鈿用粒状体
3A 光沢部分(真珠層)
4 有色被膜

Claims (1)

  1. 次の各工程の結合からなる螺鈿装飾品の製造方法
    (イ)貝殻を粉砕してその光沢部分を取り出し所定粒度の螺鈿用粒状体を形成する第1工程
    (ロ)第1工程の螺鈿用粒状体の形成後、無色透明又は有色透明の面状基材の裏面に、エポキシ樹脂系又はアクリルエマルジョン系の透明接着剤を使用して全面にわたって塗布するか又は図柄を描いて部分的に塗布し、クリア接着面域を形成する第2工程
    (ハ)前記第2工程の後、クリア接着面域上に螺鈿用粒状体を分散させてばらまき、その後、少なくとも螺鈿用粒状体及びその周りに再び前記エポキシ樹脂系又はアクリルエマルジョン系の透明接着剤を塗布する第3工程
    (ニ)前記第3工程の後、クリア接着面域及びそこに接着固定された前記螺鈿用粒状体の上に有色被膜を被着し、さらに必要に応じクリア接着面域以外の面状基材の裏面にも有色被膜を被着する第4工程
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