JP4677354B2 - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents

Description

本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートに空気を吹き付けることによりシートを分離給送するようにしたものに関する。

従来の複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、シート積載手段に積載されたシートのうち最上位のものから１枚ずつ分離して画像形成部に給送するシート給送装置を備えたものがある。

ここで、このようなシート給送装置としては、シート積載手段に積載されたシート束に気体（主に空気）を吹き付けてシートを複数浮上、分離させ、この後、シートを吸着搬送ベルトに吸着して給送する方式のものがある（特許文献１参照。）。

図６は、このような気体（空気）を用いてシートを分離した後、吸着搬送ベルトに吸着してシートを給送するシート給送装置の構成を示すものである。

図６において、１１は不図示の画像形成装置本体に引き出し自在に設けられ、シートＳを収納する収納庫である。この収納庫１１には、複数のシートＳが積載される昇降可能なシート台１２、シートＳのシート給送方向上流（後）側の端である後端の位置を規制する後端規制板１３が設けられている。さらに、収納庫１１には、シートＳのシート給送方向と直交する幅方向の端である側端の位置を規制する側端規制板１４，１６、不図示の画像形成装置本体から収納庫１１を引き出すためのスライドレール１５等が設けられている。

また、２１はシートを吸着して給送する吸着搬送ベルト、３６は吸着搬送ベルト２１にシートＳを吸着させるための吸着ファン、３０はシート束ＳＡのシート給送方向下流（前）側の端である先端面に空気を吹き付ける空気吹き付け部である。この空気吹き付け部３０は、分離ダクト３２、捌きノズル３３、分離ノズル３４を備えている。

ここで、後端規制板１３及び側端規制板１４，１６は、シート台１２に積載されるシートのサイズに応じて図７に示す矢印Ｑ、Ｒの方向に移動可能となっている。図７において、２点鎖線は最大サイズのシートＳＬを、また中１点鎖線は最小サイズのシートＳＳをシート台１２に載置したときの位置を示している。

なお、このように後端規制板１３及び側端規制板１４，１６を移動可能に構成した場合、大きなシートＳＬを安定して保持する必要があるため、シート台１２は斜線で示す複雑な形状をしている。また側端規制板１４，１６が分割されているのも、このためである。

ここで、このような構成のシート給送装置において、ユーザーが収納庫１１を引き出し、シートＳをセットした後、収納庫１１を格納すると、不図示の駆動手段によってシート台１２が図８に示す矢印Ａの方向に上昇する。そして、このシート台１２はシート束ＳＡの上面と、吸着搬送ベルト２１との距離がＢになる位置で停止し、この後、給送信号に備える。

次に、給送信号が入力されると、分離ファン３１が作動し、図９の矢印Ｃの方向に空気を吸い込む。この空気は分離ダクト３２を介して捌きノズル３３、分離ノズル３４から、シート束ＳＡの先端面に向かってそれぞれ矢印Ｄ及びＥの方向から吹き付けられる。これにより、シート束ＳＡのうちの数枚のシートＳａが浮上する。一方で、吸着ファン３６が作動し、図９の矢印Ｆの方向に空気を吐き出す。この際、吸着ダクト３８に設けられた吸着シャッタ３７は閉じられている。

なお、側端規制板１４，１６には、それぞれ補助分離ファン１７，１８が取り付けられており、補助分離ファン１７，１８からの空気は、開口１４Ａ、１６Ａからシート束ＳＡの側端に対して吹き付けられている。そして、このように補助分離ファン１７，１８を設けることにより、シートＳａの浮上、分離がより確実に行われるようになる（特許文献２参照。）。

次に、給送信号が入力されてから所定時間が経過し、複数枚のシートＳａの浮上が安定したところで、図１０に示すように吸着シャッタ３７を矢印Ｇの方向に回転させる。これにより、吸着ファン３６により、吸着搬送ベルト２１に形成された不図示の吸引用の孔から矢印Ｈに示す方向への吸引力が発生し、浮上した複数枚のシートＳａのうちの最上部のシートＳｂが吸着搬送ベルト２１に吸着される。

そして、最後にベルト駆動ローラ４１を図１１に示す矢印Ｊの方向に回転させることで、吸着搬送ベルト２１と共にシートＳｂが矢印Ｋに示す方向に給送される。そして、この後、矢印Ｍ及びＰに示す方向に回転する引き抜きローラ対４２によって次の搬送路へ送られる。

特開平７−１９６１８７号公報（第９頁、図６） 特開２００３−１８２８７３号公報（図５）

ところで、シート束ＳＡに空気を吹き付けることによりシートを分離給送するようにした従来のシート給送装置及び画像形成装置においては、剛性が低く、シート給送方向の長さが長いシートの場合、図１２に示すようにシートＳａに、浮上しない部分が生じる。

図１２に示すように、シート束ＳＡの空気吹き付け部３０側の側端規制板１４が当接する領域では、空気吹き付け部３０からの空気と、補助分離ファン１７からの空気による浮上力により、シート束ＳＡは均等に捌けている。しかし、補助分離ファン１７による浮上力を得られる領域を過ぎると、図１２において、３５Ｂに示す領域のようにまったく浮上していない領域が発生する。

さらに、シート束ＳＡの左側の側端規制板１６が当接する領域では、補助分離ファン１８による浮上力が得られるため、シート束ＳＡは、ある程度捌けている。しかし、この領域を過ぎると、再び図１２において、３５Ｃに示す領域のように、まったく浮上していない領域が発生する。

また図１２に示すように、右側の側端規制板１４が当接する領域におけるシートの浮上高さと、左側の側端規制板１６が当接するシートの浮上高さにはＣに示す差を生じる。これは右側の側端規制板１４が当接する領域では、空気吹き付け部３０側及び補助分離ファン１７の浮上力を得られるのに対して、左側の側端規制板１６が当接する領域では補助分離ファン１８のみの浮上力しか得られないためである。

ここで、このようなシートＳが浮上していない領域はシート同士が吸着している領域であり、このような領域がある場合には、シート同士の吸着による重送の発生を防止することができない。

図１３は、このときの空気の流れを示す上視図であり、図１３において、斜線で示す部分が、シートの吸着が取れていない箇所、即ちシート同士が吸着している箇所である。また、図１３において、円で示した部分は、空気が側方に漏れる部分であり、このように空気が側方に漏れると、吹き付けられる空気の効率が低下し、吸着したシートを分離することができない。

特に、シートＳが印刷用として多く用いられる、表面に何らかのコーティング材を塗布しているような、いわゆるコート紙の場合、使用環境の温度、湿度によって吸着力が１０Ｎ以上になることも珍しくない。したがって、このようなシートの場合、空気が吸着を取りきれなかった場合には、シート同士が吸着した状態で重送されるだけでなく、時には１０枚以上のシートがまとめて給送され、ジャムが発生することになる。

そこで本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、使用環境の影響を受けることなく、シートを確実に分離することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。

本発明は、シート積載手段に積載されているシートの端部から空気を吹き付けてシートを浮上させ、浮上したシートを前記シート積載手段の上方に配置された吸着搬送部により吸着して給送するシート給送装置において、前記シート積載手段に積載されているシートのシート給送方向と直交する幅方向の両側端の位置を規制する、シート給送方向に沿って設けられた対の側端規制部材と、前記シート積載手段に積載されているシートにおけるシート給送方向の下流側端部に向けて前記シート給送方向と逆方向に空気を吹き付ける空気吹き付け手段と、前記対の側端規制部材の少なくとも一方の側端規制部材に設けられ、前記シート積載手段に積載されているシートにおける幅方向の側端部に向けて空気を吹き付ける補助空気吹き付け手段と、前記対の側端規制部材にそれぞれ複数設けられ、前記空気吹き付け手段及び前記補助空気吹き付け手段によって吹き付けられた空気により、シートの幅方向の中央部がシート給送方向の全域にわたって浮上するようにシートの幅方向の両端部を押さえる押さえ手段と、を備えたことを特徴とするものである。

本発明のように、シートの幅方向の両端部を押さえ、吹き付けられた空気によってシートのシート給送方向全域にわたってシートの幅方向の中央部を浮上させることにより、シート同士の吸着を解除することができる。これにより、使用環境の影響を受けることなく、シートを確実に分離することができる。

図１は、本発明の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。

図１において、１００はプリンタ、１０１はプリンタ本体である。このプリンタ本体１０１の上部には自動原稿給送装置１２０により原稿載置台としてのプラテンガラス１２０ａに載置された原稿Ｄを読み取る画像読み取り部１３０が設けられている。また、画像読み取り部１３０の下方には画像形成部１０２と、画像形成部１０２にシートＳを給送するシート給送装置１０３が設けられている。

ここで、画像形成部１０２には、感光ドラム１１２、現像器１１３、レーザースキャナーユニット１１１等が設けられている。また、シート給送装置１０３は、ＯＨＴ等のシートＳを収容して装置本体１０１に着脱自在な複数のシート収納部１１５及びシート収納部１１５に収納されたシートＳを送り出すシート給送手段の一例としての吸着搬送ベルト２１等を備えている。

次に、このような構成のプリンタ１００の画像形成動作について説明する。

装置本体１０１に設けられている不図示の制御装置から画像読取部１３０に画像読取信号が出力されると、画像読取部１３０により画像が読み取られる。この後、レーザースキャナーユニット１１１から、この電気信号に対応したレーザ光が感光ドラム１１２上に照射される。

このとき感光ドラム１１２は、予め帯電されおり、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで静電潜像を現像器１１３によって現像することにより、感光ドラム上にトナー像が形成される。

一方、制御装置から給紙信号がシート給送装置１０３に出力されると、シート収納部１１５からシートＳが供給される。この後、給送されたシートＳはレジストローラ１１７により感光ドラム上のトナー画像と同期を取って感光ドラム１１２と転写帯電器１１８とにより構成される転写部に送られる。

次に、このように転写部に送られたシートは、トナー像が転写され、この後、定着部１１４に搬送される。さらにこの後、定着部１１４により加熱及び加圧されることにより、シートＳに未定着転写画像が永久定着される。そして、このように画像が定着されたシートは排出ローラ１１６により装置本体１０１から排紙トレイ１１７に排出される。

図２は、シート給送装置１０３の構成を示す図である。なお、図２において、既述した図６と同一符号は、同一又は相当部分を示している。

図２に示すように、シート給送装置１０３は、シート台上のシートＳを吸着して給送するシート給送部３９と、シートＳのシート給送方向における下流側の端面に向けてシート給送方向と逆方向に空気を吹き付ける空気吹き付け手段である空気吹き付け部３０を備えている。

なお、シート給送部３９は、シート台側に設けられた吸着開口部３８ａを有する吸着ダクト３８と、吸着ダクト３８に設けられ、吸着ダクト内部に負圧を発生させる負圧生成手段である吸着ファン３６を備えている。さらに、吸着ファン３６により生成された負圧によりシートを吸着して給送するシート給送手段の一例としての吸着搬送ベルト２１を備えている。

また、シート給送装置１０３は、シート収納部１１５に設けられたシート積載手段であるシート台１２に積載されているシートＳの側端位置を規制する側端規制部材である側端規制板１４，１６を備えている。そして、この側端規制板１４，１６には多様なサイズに対応することができるようシートの幅方向の側端面に空気を吹き付ける補助空気吹き付け手段である補助分離ファン１７，１８が取り付けられている。

さらに、側端規制板１４，１６には、補助分離ファン１７，１８（の開口１４Ａ、１６Ａ）の近傍に押さえ手段（押さえ部材）である浮上規制部材４０が上下方向に回動自在に取り付けられている。

ここで、この浮上規制部材４０は、図３に示すように、付勢部材４１によって付勢されながら、所定のシート給送位置まで上昇したシート台１２に積載されたシート束ＳＡの最上位のシートＳｂの両側端に当接している。なお、この付勢部材４１による付勢力は、最上位のシートの吸着搬送ベルト２１への吸着の妨げになることなくシートの両側端部の浮上を規制するように、ごくわずかな抗力が働くように設定されている。

そして、このように浮上規制部材４０によってシートの両側端部を押さえることにより、空気吹き付け部３０から空気を吹き付けられると、シートＳは図３に示すようなシートＳの幅方向の中央部が上に凸となる浮上状態となる。なお、図３において、２１ａは吸着搬送ベルト２１に形成されたシート吸着用の孔である。

図４は、このときの空気の流れを示す上視図であり、この図４から明らかなように、浮上規制部材４０を設けることで、既述した図１３で示した空気の流れとは異なり、図１３で示す円の領域での空気漏れが防止される。

これにより、行き場のなくなった空気はシートのシート給送方向上流側へ流れて、図１３において斜線で示す吸着領域に流れ、徐々にシート同士の吸着を解除していく。この結果、図５に示すようにシート給送方向全般にわたってシートＳの幅方向の中央部が上に凸となる、樋を上にしたような浮上状態が達成される。

なお、このように構成した場合、図４において斜線で示す２つの側端規制板１４，１６の間の部分にシート同士が吸着する領域が発生することがあるが、シート同士の吸着領域はこの領域のみとなり、シートの分離、吸着にはまったく問題にはならない。

ところで浮上規制部材４０は補助分離ファン１７、１８の上流側にそれぞれ２箇所設けてあるが、浮上規制部材４０の押さえ力が弱いと、シートが樋を上にしたような浮上状態にならないことがある。そのような場合は、補助分離ファン１８の下流側（補助分離ファン１７のさらに上流側）に浮上規制部材を追加すればよい。

このように、浮上規制部材４０によってシートの両端部を押さえ、空気吹き付け部３０によって吹き付けられた空気によりシートのシート給送方向の全域にわたってシートの幅方向の中央部を浮上させることにより、シート同士の吸着を解除することができる。これにより、使用環境の影響を受けることなく、シートを確実に分離することができる。この結果、重送やジャムが発生しない、信頼性の高いシート給送装置を提供することができる。

また本実施の形態のように、浮上規制部材４０を、シート同士の吸着が生じやすい補助分離ファン１７，１８の近傍に設けることにより、より効果的に空気の漏れを防止することができ、さらに信頼性を高めることができる。

なお、これまでの説明においては、補助分離ファン１７，１８を、図４に示すように一方の側端規制板１４，１６にのみ設けるようにしたが、補助分離ファン１７，１８を、他方の側端規制板１４，１６に設けても良く、また両方に設けても良い。

本発明の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。 上記シート給送装置の概略構成図。 上記シート給送装置に設けられた浮上規制部材の作用を説明する図。 上記シート給送装置における空気の流れを示す図。 上記シート給送装置のシート給送時におけるシートの状態を示す斜視図。 従来のシート給送装置の概略構成図。 従来のシート給送装置に設けられた後端規制板、側端規制板及びシート台を説明する図。 従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第１の図。 従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第２の図。 従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第３の図。 従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第４の図。 従来のシート給送装置の問題点を説明する図。 従来のシート給送装置における空気の流れを示す図。

符号の説明

１１ 収納庫
１２ シート台
１４，１６ 側端規制板
１７，１８ 補助分離ファン
２１ 吸着搬送ベルト
３０ 空気吹き付け部
３２ 分離ダクト
３３ 捌きノズル
３４ 分離ノズル
３６ 吸着ファン
３７ 吸着シャッタ
３９ シート給送部
４０ 浮上規制部材
１００ プリンタ
１０２ 画像形成部
１０３ シート給送装置
Ｓ シート
ＳＡ シート束

Claims (5)

1. シート積載手段に積載されているシートの端部から空気を吹き付けてシートを浮上させ、浮上したシートを前記シート積載手段の上方に配置された吸着搬送部により吸着して給送するシート給送装置において、
   前記シート積載手段に積載されているシートのシート給送方向と直交する幅方向の両側端の位置を規制する、シート給送方向に沿って設けられた対の側端規制部材と、
   前記シート積載手段に積載されているシートにおけるシート給送方向の下流側端部に向けて前記シート給送方向と逆方向に空気を吹き付ける空気吹き付け手段と、
   前記対の側端規制部材の少なくとも一方の側端規制部材に設けられ、前記シート積載手段に積載されているシートにおける幅方向の側端部に向けて空気を吹き付ける補助空気吹き付け手段と、
   前記対の側端規制部材にそれぞれ複数設けられ、前記空気吹き付け手段及び前記補助空気吹き付け手段によって吹き付けられた空気により、シートの幅方向の中央部がシート給送方向の全域にわたって浮上するようにシートの幅方向の両端部を押さえる押さえ手段と、を備えたことを特徴とするシート給送装置。
2. 前記押さえ手段を前記補助空気吹き付け手段の近傍に設けたことを特徴とする請求項１記載のシート給送装置。
3. 前記押さえ手段は、前記側端規制部材に、回動可能に、かつ回動端が前記吸着搬送部によるシートの吸着の妨げとならない強さの付勢力でシートに当接する方向に付勢されて設けられている押さえ部材であることを特徴とする請求項１又は２記載のシート給送装置。
4. 前記吸着搬送部は、シート積載手段側に設けられた吸着開口部を有する吸着ダクトと、前記吸着ダクトに設けられ、吸着ダクト内部に負圧を発生させる負圧生成手段と、複数の吸着用の孔を備え、前記負圧生成手段により生成された負圧により前記孔を介してシートを吸着して搬送する吸着搬送ベルトと、を備えたことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のシート給送装置。
5. 請求項１乃至４のいずれかの１項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

Images