JP4677156B2 - 弾性無端クローラ - Google Patents
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Description
本発明は、細長いベルト状の弾性クローラ本体と、クローラ本体中にアレイ状に配置されてクローラ本体長手方向に延びるように埋設された複数のコードとを含み、クローラ本体一端から突出する各コード突出部と、クローラ本体他端から突出する対応コード突出部とをオーバーラップさせて、コード突出部全体に加硫処理を施して一体化接続して成る環状の弾性無端クローラに関する。
背景技術
図1〜図4を参照して従来例のラバークローラ1について説明する。
ラバークローラ1の製造工程では、先ず、図3に示すように、クローラ本体一端1a及びクローラ本体他端1bからスチールコード3を同じ長さだけ突出させた半製品が形成される。
次いで、図4に示すように、クローラ本体一端1aの各コード突出部3aとクローラ本体他端1bの対応コード突出部3bとがオーバーラップするように配置される。コード突出部先端を結んだ線A0−A0、B0−B0は、ベルト幅方向にベルト幅全体にわたって延びる直線である。尚、分かり易いように、図4では、コード突出部同士のオーバーラップ部分を太い線で誇張して描いてある。
そして、コード突出部3a、3b全体に対して加硫処理(未加硫ラバーの加熱充填)を施すことにより、図1及び図2に示すような一体のラバークローラ1が出来上がる。
しかしながら、ラバークローラ1の剛性は、スチールコード3に依存し、スチールコード3がオーバーラップする部分を含むクローラ本体部分は、オーバーラップしない部分を含むクローラ本体部分よりも必然的に剛性が高くなる(非常に固くなる)。
このため、ラバークローラ1を、図示しないスプロケットやアイドラーに巻き掛けて使用する際に、ラバークローラ1の固い部分と固くない部分が間欠的に係合する状態が生じるために、振動や騒音が不可避的に生じてしまう。
また、ラバークローラ1の高剛性(固い)部分とそうでない部分との間の境界を構成する線A0−A0、直線B0−B0が、クローラ本体幅方向(即ち、ベルト幅方向)全体にわたって延びる直線であるが故に、ラバークローラ1は、これらの線A0−A0、線B0−B0を略中心にして相当に折れ曲がり易い。
発明の開示
本発明は、スチールコードのオーバーラップ部分を含むクローラ本体部分とそれ以外の部分との剛性差を出来るだけ小さくできるように構成して、振動や騒音の発生を抑制することを1つの目的とする。
また、ラバークローラの高剛性部分とそうでない部分との境界を特徴的に構成して、ラバークローラの折れ曲がりや座屈の発生を軽減して、耐久性・信頼性に優れたラバークローラを提供することを別の目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る弾性無端クローラは、細長いベルト状の弾性クローラ本体と、クローラ本体中にアレイ状に配置されてクローラ本体長手方向に延びるように埋設された複数のコードとを含み、クローラ本体一端から突出する各コード突出部と、クローラ本体他端から突出する対応コード突出部とをオーバーラップさせ、コード突出部全体に加硫処理を施して一体化接続して成る環状の弾性無端クローラにおいて、クローラ本体の各端のコード突出部は、突出長さが異なるグループに分けられることを特徴とする。
本発明に係る別の弾性無端クローラは、ベルト面に垂直な方向から見て、クローラ本体一端のコード突出部全体は、雄形状を呈し、クローラ本体他端のコード突出部全体は、雌形状を呈することを特徴とする。
本発明に係る更に別の弾性無端クローラは、ベルト面に垂直な方向から見て、クローラ本体の各端におけるコード突出部先端を結ぶ線は、テラス状、段々状、又は鋸歯状であることを特徴とする。
本発明に係る他の弾性無端クローラは、ベルト面に垂直な方向から見て、オーバーラップ部は、ベルト長手方向に離間した2つのアウトラインを含み、両アウトラインは、折れ曲がった線から成ることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明は、図面を参照して、複数の実施例に関連して説明されるが、本発明を該実施例に限定する意図がないことが理解されるべきである。例えば、実施例のラバークローラは、内駆動型と呼ばれるラバークローラであるが、本発明はこれに限定されない。
先ず、図5〜図8を参照して第1実施例について説明する。
第1実施例のラバークローラ11は、図5及び図6に示すように、細長いベルト状の弾性クローラ本体と、クローラ本体中にアレイ状に配置されてクローラ本体長手方向に延びるように埋設された例えばスチール製の複数のコード13とを含む。ラバークローラ(ベルト)下面側、即ち、クローラ内周面側には、ラバークローラ駆動用の突起17が複数形成されている。
図7に示すように、ラバークローラ製造工程(接続工程)では、クローラ本体一端11a及びクローラ本体他端1bからコード13(13a、13b)を突出させた半製品が形成され、対向配置される。
次いで、図8に示すように、クローラ本体一端11aの各コード突出部13aとクローラ本体他端11bの対応コード突出部13bとがオーバーラップするように配置される。尚、分かり易いように、コード突出部同士のオーバーラップ部分を太い線で誇張して描いてある。
そして、コード突出部13a、13b全体に対して加硫処理(未加硫ラバーの加熱充填)を施すことにより、図5及び図6に示すような一体接続されたラバークローラ製品が出来上がる。
本実施例の構成的特徴は、図7に示すように、クローラ本体各端11a、11bのコード突出部13a、13bが、突出長さが異なるグループに分けられることにある。
詳細には、ベルト面に垂直な方向から見て、クローラ本体一端11aのコード突出部全体は、凸形状(雄形状)を呈し、クローラ本体他端11bのコード突出部全体は、凹形状(雌形状)を呈する。
別言すると、クローラ本体各端におけるコード突出部先端を結ぶ線は、テラス状、段々状、又は鋸歯状である。
オーバーラップ状態を示す図8から理解され得るように、オーバーラップ部は、アウトライン(A1−A1’−A1)とアウトライン(B1−B1’−B1)とを含む。
両アウトラインは、ベルト長手方向(即ち、クローラ本体長手方向)に離間されている。各アウトラインは、1本の直線ではなく、折れ曲がった線から成る。
以上の本実施例の構成的特徴から、上記従来のラバークローラ1と比較して、オーバーラップ部を含むクローラ本体部分とそれ以外のクローラ本体部分との剛性差が小さくなる。要するに、そんなに固くならない。
このため、上記従来の高騒音や高振動の問題が見事に解決する。これは、高剛性を生じさせ得るオーバーラップ部分をベルト長手方向に部分的にオフセットしたこと(即ち、分散させたこと)によると考えられる。
また、ラバークローラ11の高剛性部分とそうでない部分との境界を構成するアウトライン(A1−A1’−A1)とアウトライン(B1−B1’−B1)とが共に直線ではないので、上記従来のラバークローラと比較して、両アウトラインを略中心としたラバークローラ11の折れ曲がりが発生しにくくなる。
ところで、図6及び図8を参照すると、ベルト長手方向におけるB1位置から、A1’及びB1’の中間位置(即ち、P1位置)までの寸法Hが10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることが更に好ましい。これは、10mm以下、又はゼロの場合に、オーバーラップ部を含むラバークローラ中間部分において座屈が非常に生じ易くなるからである。
次に、図9〜図11を参照して第2実施例のラバークローラ21について、上記第1実施例と異なる点を主として説明する。
第2実施例では、オーバーラップ状態を示す図11から理解され得るように、両コード突出部23a、23bのオーバーラップ部は、アウトライン(A2−A2’−A2’’−A2’−A2)とアウトライン(B2−B2’−B2’’−B2’−B2)とを含む。
両アウトラインは、ベルト長手方向に離間され、各アウトラインは、1本の直線ではなく、折れ曲がった線から成る。別言すると、クローラ本体各端21a、21bにおけるコード突出部先端を結ぶ線は、テラス状、段々状、又は鋸歯状である。
以上の第2実施例の構成的特徴から、上記第1実施例と同等もしくはそれ以上の優れた効果を得ることができる。即ち、要するに、オーバーラップ部を含むクローラ本体部分が固くならず、アウトラインを略中心にした折れ曲がりが起きにくくなる。
尚、図11を参照すると、座屈の発生の抑制の観点から、ベルト長手方向におけるA2’’及びB2’’の中間位置が、B2の位置やB2’の位置と一致しないようにすることが好ましい。
上記第1実施例及び第2実施例のいずれについても妥当するが、ラバークローラ使用時において、コード突出部先端(図6のB1’及び図9のB2’’)は、ラバー製のクローラ本体を突き破る虞れがある。そこで、該先端が駆動用ラバー突起17、27とオーバーラップする位置に位置するようにコードを埋設することが望ましい。これにより、該不都合を回避できる。
また、クローラ本体各端のコード突出部は、いずれがラバークローラ内周側(あるいは外周側)に位置するように構成しても差し支えない。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明によれば、クローラ本体の接続箇所とそれ以外の箇所との剛性差を小さくすることができ、接続箇所における折れ曲がりや座屈の発生を抑制でき、これにより、耐久性・信頼性の優れたラバークローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来のラバークローラの接続箇所の断面側面図である。
図2は、図1のラバークローラの平面図である。
図3は、図1のラバークローラの接続工程におけるクローラ本体各端のコード突出部の平面図である。
図4は、図3のコード突出部をオーバーラップさせた状態の平面図である。
図5は、第1実施例のラバークローラの接続箇所の断面側面図である。
図6は、図5のラバークローラの平面図である。
図7は、図5のラバークローラの接続工程におけるクローラ本体各端のコード突出部の平面図である。
図8は、図7のコード突出部をオーバーラップさせた状態の平面図である。
図9は、第2実施例のラバークローラの平面図である。
図10は、図9のラバークローラの接続工程におけるクローラ本体各端のコード突出部の平面図である。
図11は、図10のコード突出部をオーバーラップさせた状態の平面図である。
Claims (6)
- 細長いベルト状の弾性クローラ本体と、前記弾性クローラ本体中において前記弾性クローラ本体幅方向に横並びに配置されて前記弾性クローラ本体長手方向に延びるように埋設された複数のコードとを含み、
前記弾性クローラ本体一端から突出する各コード突出部と、前記弾性クローラ本体他端から突出する対応コード突出部とをオーバーラップさせ、前記コード突出部全体に加硫処理を施して一体化接続して成る環状の弾性無端クローラにおいて、
前記弾性クローラ本体の各端の前記コード突出部は、突出長さが異なるグループに分けられ、
前記弾性クローラ本体一端の、前記弾性クローラ本体幅方向に関して中間に位置するグループのコード突出長さは、その両側のグループのコード突出長さよりも長く、
前記弾性クローラ本体他端の、前記弾性クローラ本体幅方向に関して中間に位置するグループのコード突出長さは、その両側のグループのコード突出長さよりも短く、
かつ、
前記弾性クローラ本体の内周面上に、前記弾性クローラ本体の駆動用の突起が、前記弾性クローラ本体長手方向に間隔をあけて複数形成されており、
前記弾性クローラ本体一端の、前記弾性クローラ本体幅方向に関して中間に位置するグループのコード突出部の先端が、前記駆動用の突起とオーバーラップする位置に位置するようにコードが埋設されている、
ことを特徴とする弾性無端クローラ。 - 請求項1記載の弾性無端クローラにおいて、
前記弾性クローラ本体一端のコード突出部形状と、前記弾性クローラ本体他端のコード突出部形状とは、相補的であることを特徴とする弾性無端クローラ。 - 請求項1記載の弾性無端クローラにおいて、
各端のコード突出部形状は、前記弾性クローラ本体中央を長手方向に延びる長手軸線に関して対称な形状であることを特徴とする弾性無端クローラ。 - 請求項1〜請求項3の何れか1項記載の弾性無端クローラにおいて、
前記弾性クローラ本体は、ラバー製であることを特徴とする弾性無端クローラ。 - 請求項1〜請求項4の何れか1項記載の弾性無端クローラにおいて、
各コードは、スチール製であることを特徴とする弾性無端クローラ。 - 請求項1〜請求項5の何れか1項記載の弾性無端クローラにおいて、
前記弾性クローラ本体のベルト面に垂直な方向から見て、前記弾性クローラ本体の各端におけるコード突出部先端を結ぶ線は、段々状であることを特徴とする弾性無端クローラ。
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