JP4567145B2 - ゴムクローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業用作業車、土木作業機械、建設機械、運搬車等の無限軌道走行装置に装着され用いられるゴムクローラに関するものであり、特にゴムクローラ内部に埋設される抗張体の連結部の改良に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでゴムクローラは、農業用作業車、土木作業機械、建設機械、運搬車等の多種にわたる自走式移動機械の走行装置に使用されてきている。
従来のゴムクローラは、図28、図29に示すように、ゴムクローラ17のゴム弾性体18の内部に、金属製の芯金19を周方向に一定間隔に横並べして埋設し、芯金19の接地面側(外周側)に複数の抗張体(通常スチールコード21が使用される。)を周方向に引き揃えて埋設してゴムクローラを構成している。なお図28は従来のゴムクローラの一例を示す斜視図、図29は従来のゴムクローラの一例を示す要部断面透視斜視図であり、22は外れ防止ガイド、20はラグである。
【0003】
通常、農作業車(コンバインやトラクター等)や、農業用運搬車、そして雪上車が走行する走行地盤は、粘土状の土や雪であり、かつ比較的平坦地を走行している。このため、これら作業車等に使用されているゴムクローラにおいては、ゴムクローラ内に埋設されている抗張体の連結部が破損することはまれであった。
また、ミニショベルやパワーショベル等の土木作業機械や建設機械は、不整地を走行するため、土砂や砂利等を走行装置に噛み込み、このことに起因するゴムクローラへの異常テンション及び大きな駆動力が頻繁に発生し、時にゴムクローラの抗張体の連結部が破損することがあった。しかし、ミニショベルやパワーショベル等は掘削が主作業の機械であり、従来このことが特に大きく問題にされることは少なかった。
更に、キャリヤダンプ等の運搬車は、不整地等の悪路を走行することが主目的ではあるが、専ら移動のみであり、土砂や砂利が走行装置に噛み込むことがなく、従来使用されているゴムクローラの抗張体の連結部に特に問題が発生することは少ないのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、スキッドステアやブルドーザーはキャリヤダンプ等の運搬車と似た場所で作業する機械であるが、土砂や砂利等を押したり、すくい上げたりする作業を行うため、大きな駆動力を必要とし、更には、土砂や砂利の中をジグザグに走行することも多く、ミニショベルやパワーショベル等と同様に走行装置に土砂や砂利を噛み込み易く、これが主作業の機械であるため、使用されているゴムクローラの抗張体連結部が破損することが多く、問題となっており、特に巻き付き径の小さいスプロケット、アイドラ、転輪が装着されている走行装置で問題となり易く、又、ミニショベルでもアイドラスプリングのない走行装置では問題となる場合がある。
【0005】
従来ゴムクローラの抗張体としては通常スチールコードが最も一般的に使用されている。そして、スチールコードの連結方法として従来最も一般的に行われているのは、スチールコードの端部オーバーラッピング方式(重ね合わせ方式)によるものである。
図30〜図32は従来の端部オーバーラッピング方式によるゴムクローラの連結部を説明する図である。図30は要部透視斜視図、図31は図30のX−X線断面図、図32は図53のY−Y線断面図であり、帯状に複数本引揃えたスチールコード21は、その末端部を重ね合わせ、接着ゴム層23を介して連結されている。
図33にゴムクローラを接続する成形工程の略図を、図34に接続成形金型内部の状態を示す断面図を示す。
通常エンドレスのゴムクローラを製造するには、まず長尺のベルト状本体部分を、両端部からスチールコードが延出するような構成となるよう未加硫ゴムと芯金そしてスチールコードとをプレス金型により加硫成型し、次いでベルト状本体部分の両端部から延出した帯状に複数本引揃えたスチールコード層を重ね合わせて芯金及び未加硫ゴムとを連結用プレス金型内に型込めし、加硫成型を行い、ゴムクローラとするのである。
【0006】
スチールコードのオーバーラッピング(ゴムクローラ厚さ方向の重ね合わせ)長さL0は、通常は次の計算により適宜必要性能を選び決定されている。
スチールコードオーバーラッピング部のせん断破壊荷重(F0)は、スチールコードのオーバーラッピング長さをL0[mm]、スチールコード列幅をh[mm]、単位面積当たりのせん断破壊荷重をf0[N/mm2]、そして、連結部のせん断破壊荷重をF0[N]とすると数式1で表される。
【0007】
【数式1】
F0=L0×h×f0
【0008】
しかし、通常は安全率を考慮するため、従来のゴムクローラのスチールコードオーバーラッピング長さは、安全率をS、スチールコードの破断強度をF2とした場合、数式2に示される数式により求められる。
【0009】
【数式2】
L0>F0×S/(h×f0)
【0010】
しかし、端部オーバーラッピング方式によるスチールコードの連結は、製造時の作業性が非常に簡便で効率がよい反面、スチールコードのオーバーラッピング長さを伸ばしてもスチールコード連結部の耐久性向上による走行可能時間の向上には限界があり、また用途も限られている。
これは、図30〜図32に示した通り、ゴムクローラのスチールコードオーバーラッピング部(スチールコードの両端部を重ね合わせた部分)は二層のスチールコードの間に接着ゴム層を挟んだ構成としてあるため、スチールコードのオーバーラッピング部が走行装置のアイドラ、スプロッケットに巻き付いた際に、二層のスチールコードの外周側(接地面側)のスチールコードは、内周側(転輪側)のスチールコードより長くならないと円滑に巻き付くことができないものであるが、スチールコードは伸縮も圧縮も殆ど無いため、スチールコードオーバーラッピング部のスチールコード間接着ゴム層が変形して巻き付いている。このためスチールコードオーバーラッピング部の外周側、内周側の両端部の接着ゴムにせん断変形が発生するのである。
【0011】
従って、ゴムクローラ連結部のスチールコードオーバーラッピング部には、元々スチールコードに掛かる張力に加えて、異物のかみ込みや土砂の蓄積による異常テンションが加わりオーバーラッピングしたスチールコード間の接着ゴム層にせん断変形が起こり、更には、オーバーラッピング部がアイドラ、スプロケットに巻き付いた際にオーバーラッピング部端部の接着ゴム層に繰り返しせん断変形力が加わりせん断変形し、連結部の接着ゴム層がスチールコード端部から次第に破壊され、ゴムクローラの耐久性が著しく低下しているのである。
この問題点については、特開平9−109948号公報においても取り上げられ対策案が提案され、かなりの改善効果を上げているが、かならずしも万能ではない。
【0012】
また、別の方法として、エンドレス巻きする方法が、特開平11−179731号公報に提案されている。
しかし、この方法だと連結部の破損は無くなるが、特製のエンドレス巻き装置が必要であり、ゴムクローラの周長の異なる製品毎に装置を設けねばならず、また加硫行程においては、ゴムクローラの製造法として従来一般的に行われている長尺プレスで大部分を成形加硫し、この両端をオーバーラッピング法により連結するという製造法がとれず、少なくとも5〜6回の成形加硫が必要となり、生産効率が非常に悪くなる。またこれを1回で成形加硫するためには非常に高価な特製の成形加硫装置が必要となる。
【0013】
更に、別の方法として、スチールコード列を複数に区分けし、この区分けされたスチールコード群がジグザグに突き合わされるように両端からのびるスチールコード列を芯金上でつき合わせて連結する方法があるが、この方法による連結ではスチールコードの相互の長さが長く取れない場合、充分な引き抜き強さが得られず、スチールコードが引き抜かれてしまう問題点があり、この問題点を解決するため、突き合わせ連結部に第2のスチールコード列を埋設し、引抜強度不足を向上させる提案が特開平3−295776号公報に、また、このつき合わせ部に芯金に合わせて短柵状の添板をゴム弾性体中に埋設し連結し、引抜強度不足を向上させる提案が、特開平4−283180号公報に提案されている。
しかし、この提案では、連結部の耐久性については、かならずしも万全の対策とはなっていない。
【0014】
その他の連結方式として、相互差し込み方式によるものがある。この差し込み方式は、片側の抗張体を一本づつ他側の抗張体と抗張体との間に入り込ませて連結し、無端状としている。
しかし、製造時の作業性が悪く、また作業時間が長くかかるため製造コストがかかるという問題があり、更にゴムクローラ幅方向において、連結部の抗張体列幅が他の部位に比べて幅広くなるという配列形状の問題もあり、現在ではこの方法による連結はほとんど使用されていない。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、次のような構成を用いることとした。ゴムクローラを構成するゴム弾性体内に、ゴムクローラの周方向に沿って複数本の抗張体をゴムクローラの幅方向に引き揃えて並べ列状に配列し、抗張体列として埋設し、抗張体の両端部先端を突き合わせて連結部を構成し、一本の抗張体の突き合わせ部の位置に対し、隣り合う抗張体の突き合わせ部の位置をゴムクローラ周方向にシフトする(ずらす)ように配列し抗張体を埋設した。そして、当該連結部におけるゴムクローラ周方向の一方側からのびた或る抗張体の端部と、これに隣接する抗張体がゴムクローラ周方向の他方側からのびた端部とが重複するシフトラッピング長さを、抗張体列における全ての抗張体の引抜強度の総和PSが、列条に配列された抗張体の全ての抗張体本数TNから、それぞれの突き合わせ部が存在する各同一芯金ピッチ範囲のうち最も突き合わせ部が多い同一芯金ピッチ範囲内の突き合わせ数CNを引いた残りの抗張体の引張強度の総和の80%以上となる長さにした。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のゴムクローラの構成は、ゴム弾性体内に、ゴムクローラの周方向に沿って、複数本の抗張体をゴムクローラの幅方向に引き揃えて並べ列状に配列し、各々の抗張体両端部先端を突き合わせて連結することにより無端状とし、一本の抗張体の突き合わせ部の位置に対し、隣り合う抗張体の突き合わせ部の位置をゴムクローラ周方向前後にシフトさせ(ずらして)隣り合う抗張体の対向するそれぞれの抗張体先端が重複する構成として埋設し、装着される走行装置の駆動力やある程度の異常な負荷に耐えうる引抜強度となるようにした。
【0017】
上記の隣り合うそれぞれの抗張体の両端部先端の突き合わせ部の位置は、好ましくは抗張体の引抜強度を、抗張体の引張強度に見合う大きさとなるようにシフトさせるのがよく、抗張体の引抜強度と抗張体の引張強度が、共に装着される走行装置の駆動力やある程度の異常な負荷に耐えうる強度となるようにすればよい。
そして、一本の抗張体の両端部先端の突き合わせ部の位置と、これと隣り合う抗張体の両端部先端の突き合わせ部の位置を、ゴムクローラの周方向にシフトさせ、隣り合う抗張体においてゴムクローラ周方向の一方側からのびた抗張体と、ゴムクローラ周方向の他方側からのびた抗張体とが重複するシフトラッピング長さ(重複する長さ)は、抗張体の引抜強度が抗張体の引張強度に見合う大きさとなる関係を満足する長さ以上とするのが好ましいのであるが、ゴムクローラの幅方向に引き揃えて並べ列状に配列され隣り合う抗張体の対向するそれぞれの抗張体の先端が重合する抗張体の引抜強度の総和PSが、列状に配列された抗張体の全ての抗張体本数TNから、それぞれの突き合わせ部が存在する各同一芯金ピッチ範囲のうち、最も突き合わせ部が多い同一芯金ピッチ範囲内の突き合わせ数CNを引いた残りの抗張体の引張強度の総和の80%以上となる数式3に示す関係式を満足する総引抜強度が得られるシフトラッピング総長さとすればよいのであり、一部の抗張体において引張強度と引抜強度の値が前後しても問題はない。なお、Tbは一本の抗張体の引張強度である。
【0018】
【数式3】
PS≧(TN−CN)Tb×0.8
【0019】
本発明は、上述の通りの形態であり、抗張体両端部の先端を突き合わせにしたので、スプロケット(駆動輪)、アイドラ(誘導輪)巻き付き部において、抗張体間に、従来の端部オーバーラッピング方式の連結部で発生していたような大きなせん断変形が発生する箇所が無くなり、また、隣り合う抗張体の突き合わせ部の位置を周方向にシフトさせ、シフトラッピング長さを、装着される走行装置の駆動力やある程度の異常な負荷に耐えうる引抜強度が得られる長さとすることが可能となり、スプロケットやアイドラ巻き付き部等において起こる繰り返し屈曲に対する耐久性(耐疲労性)が向上し、異常テンションが加わったとしても抗張体の連結部が容易に破壊されることは無く、連結部の耐久性が向上し信頼性の高いゴムクローラとなる。
【0020】
また、全ての抗張体において一本の抗張体の突き合わせ部の位置に対し、隣り合う抗張体の突き合わせ部の位置がゴムクローラ周方向前後にシフトした配置で埋設されるのが望ましいが、全抗張体の内80%の本数の抗張体において一本の抗張体の突き合わせ部の位置に対し、隣り合う抗張体の突き合わせ部の位置がゴムクローラ周方向前後にシフトした配置としても、装着される走行装置の駆動力やある程度の異常な負荷に耐えうる引抜強度となるシフトラッピング長さを得ることは可能である。
更に望ましいのは、各々の抗張体の突き合わせ部の位置は、他の抗張体の突き合わせ部の位置と一致しないようにゴムクローラ周方向にシフトさせ、全ての突き合わせ部の位置がゴムクローラ幅方向視にて同一位置とならないようにすることがよい。
これは、抗張体の突き合わせ部が一番耐久性が劣るため、この耐久性の劣る部位を一箇所に集中させないことにより、連結部の耐久性を向上させるものとなるのである。
【0021】
通常、ゴムクローラは、図33に示したプレス成型装置、プレス金型を使用してエンドレス状に成形される。
図1はゴムクローラ連結工程における、ゴムクローラの周長と連結部の長さの関係を示す説明図である。
l1は連結部の可能最大長さ、l2はピッチずれ防止のため連結用金型に型込めされるゴムクローラ長尺本体端部の長さ、l3は連結加硫成型時にゴムクローラ長尺本体が曲げられる部分の長さ、そして、l4は連結金型の長さである。なお、1はゴムクローラ、15は連結金型の上金型、16は下金型である。
ゴムクローラは装着される機械の大きさ(重さ)と周長及び幅、厚さ、ピッチにおいて相関するものであり、従ってl2,l3は共に、特殊な例を除きゴムクローラの周長Lに略比例する変数である。
図2に実際のゴムクローラのゴムクローラ周長Lと連結部の最大長さl1の関係を示す。この関係は数式4で表される。
【0022】
【数式4】
l1=19L/64−470
【0023】
従って各種ゴムクローラの連結部の最大長さl1は図2と数式3から判るようにゴムクローラの周長Lに制限されるのであり、本発明はこの制限された長さの中で耐久性のある連結方法を提供するのである。
【0024】
本発明の連結方法の基本パターンの代表例を図3〜図6に示す。この例では抗張体はスチールコードであり、図3は1シフトラッピングの基本パターン、図4は2シフトラッピングの基本パターン、図5は3シフトラッピングの基本パターン、図6は4シフトラッピングの基本パターンである。図中51〜55はスチールコード、81−2〜84−5はスチールコードとスチールコードのシフトラッピング部、6はスチールコード端末の突き合わせ部、そしてLSはシフトラッピング長さである。
各基本パターン共にシフトラッピング部8で連結部の荷重を負担する。従って、図3では2本のスチールコード51,52で1箇所のシフトラッピング部81−2を構成しており、連結効率は1/2となる。同様に図4のパターンでは3本のスチールコード51,52,53で2箇所のシフトラッピング部81−2,82−3を構成しており、連結効率は2/3となり、図5は3/4、図6は4/5となる。
なお、実用に供するゴムクローラにおいては、この基本パターンに限らず変形パターンや、組み合わせパターン等を用いて配設してもよいことはむろんであり、各シフトラッピング方式の連結効率を上げることは可能である。
【0025】
理想的な抗張体(スチールコード)連結部のシフトラッピング長さ(Ls)は、通常下記の通り設計される。これについて以下説明する。
図7A〜Cはスチールコードの引抜強度を試験する試験片11である。引抜強度は、a方向の2本のスチールコード5aを固定し、b方向の1本のスチールコード5bを矢印方向に引っ張り、スチールコード間の接着ゴム7が破壊し、スチールコードが抜ける際の強度である。
特定のスチールコードの単位長さ当たりの引抜強度をfS[N/mm]、スチールコードのシフトラッピング長さをLS[mm]とし、スチールコードの引張(破断)強度をTb[N]とすると、数式5の関係にあればスチールコードが破断してもゴム部は破損しないことになる。
【0026】
【数式5】
LS×fS>Tb
【0027】
ゴムクローラに埋設したスチールコードは、走行装置のスプロケットから芯金に受けた駆動力をゴムクローラ全体に伝達し、機体本体を移動させるのであり、またスチールコードは芯金と接着ゴムを介して接着されており、芯金からスチールコードへの駆動力の伝達は接着ゴムを介して行われる。
ゴムクローラは通常、装着される機械の重量、走行装置の駆動力等の条件を考慮し設計されており、芯金の形状や大きさも同様に設計されている。そして、スチールコードは、芯金からの駆動力をゴムクローラ全体へ伝達させると同時に、走行装置とゴムクローラとの間に異物がかみ込むことにより起こる駆動力の何倍もの異常テンションを受けるために、芯金の限られた範囲に配列する必要があり、スチールコードの配列が密にならざるを得ない。
スチールコードの配列が密になるとスチールコードとスチールコードの間隔が狭くなり、連結部のスチールコードに引抜力が加わった際にスチールコードとスチールコードの間の接着ゴムにせん断力が集中して加わることとなる。
【0028】
図8はゴムクローラ内のスチールコードの配列を説明するゴムクローラの一部断面図である。
スチールコードの外径をd、スチールコードの配列ピッチをPとすると、P/dはほぼ1.1〜1.5の範囲にありスチールコード51とスチールコード53を図面の手前に引っ張り、スチールコード52を図面奥側へ引っ張るとき、スチールコード51,53とスチールコード52の間の接着ゴム7に応力集中がおこり、この部分からゴム破壊がはじまるので、スチールコードの配列が疎の場合に比べて引抜強度が低くなるため、シフトラッピング長さを、スチールコードの配列が疎のものに比べ密のものは長くする必要がある。
図9にΦ2.3のスチールコードのP/dに対するスチールコードの引抜強度とそれに対するスチールコードが切断するシフトラッピング長さの関係を示す。
一般的なゴムクローラのスチールコードの配列のP/dは1.22〜1.44であり、P/dが1.3のときのスチールコードが切断するシフトラッピング長さは22cmであるのに対し、P/dが2.2以上の配列では12.5cmであり、同じ引抜強度を得るためには約1.8倍のシフトラッピング長さが必要となる。
【0029】
図10に実際のゴムクローラにおけるスチールコード径に対応した引抜強度が引張強度と同等となるシフトラッピング長さを示す。2.3Φのスチールコードを使用したときシフトラッピング長さを22cm以上とすれば引抜強度は引張強度以上となる。しかし、連結部の長さは先に示した製造上の制限があり、引抜強度が引張強度に見合う強度、即ち、引張強度の80%以上とするのが実用的であり、効率の良い連結が確保できる。
スチールコード径に対応した各シフトラッピング数とゴムクローラ連結部の長さの関係を図11に示す。これからも判るとおり連結部の制限された長さの中で可能なシフト数は通常1〜8となる。
【0030】
そして、ゴムクローラ連結部における芯金から、隣接する芯金までの間の同一芯金ピッチの範囲内にある突き合わせ部を形成する抗張体のうち、左右に隣合う抗張体のゴムクローラ周方向の逆方向から延びる抗張体と全く重ならない抗張体が、全ての抗張体の25%を越えて集中させて配置しないようにするのが好ましいのである。この際、強度不足がある場合(例えば芯金−芯金間に25%の突き合わせ部がある場合)には、通常より抗張体の本数を増やすか、抗張体の破断強度を上げればよい(25%の強度不足を補うだけの抗張体本数を増やすか、破断強度の大きい抗張体を利用する。)のであるが、むやみに抗張体の本数を増やしたり、抗張体の破断(引張)強度の大きな抗張体を使用すると、製造コストが上がり余り好ましくない。
【0031】
このゴムクローラ連結部における芯金から、隣接する芯金までの間の同一芯金ピッチの範囲内にある突き合わせ部を形成する抗張体のうち、左右に隣合う抗張体のゴムクローラ周方向の逆方向から延びる抗張体と全く重ならない抗張体を、全ての抗張体の25%以下とするのは、ゴムクローラの抗張体の切断が通常、隣り合う芯金−芯金間の範囲内で切断されることが多く、また、隣り合う反対方向からの抗張体と重なり合う部分が無い抗張体の突き合わせ部を、この1ピッチの範囲内に25%以下にすれば連結部の耐久性が向上することになるからである。
また、この25%以内の強度不足は、配列する抗張体の本数を増やすか、抗張体の破断(引張)強度が高い抗張体を使用すれば強度不足を補うことも可能となるのである。
【0032】
この際、抗張体の突き合わせ部を形成する抗張体のうち、左右に隣合う抗張体のゴムクローラ周方向の逆方向から伸びる抗張体と全く重ならない抗張体が、全ての抗張体の25%以下となるように配置する範囲を、隣接する2つの芯金の全投影面の範囲内とするのであり、隣接する2つの芯金の間の範囲内で達成されるのが更に望ましいのである。
【0033】
更にまた、ゴムクローラ連結部における芯金から隣接する芯金までの間の同一芯金ピッチ範囲内にある抗張体の突き合わせ部を40%以下にするのであり、34%以下にするのが望ましい。
また、隣接する2つの芯金間の芯金が埋設されていない範囲内には25%以下とするのが好ましい。
これは先にも述べたとおり、ゴムクローラの抗張体が、通常最も多く切断されている部位が隣接する芯金−芯金間の間であるため、この間にある抗張体の突き合わせ部の数を制限することにより耐久性が向上することとなる。
【0034】
また、各々の抗張体の突き合わせ部の位置をラグの投影面内、あるいは芯金の投影面内に配置するのが好ましいのであり、これにより、ゴムクローラの屈曲部又は接地側のゴム厚の薄い部分に抗張体の突き合わせ部がなく、ゴムクローラの使用中に抗張体の端部が接地側のゴム弾性体を突き破り露出することを防止することとなり、ゴムクローラの耐久性が向上する。
【0035】
抗張体としては、一般的にスチールコードが使用されているが、この他、ビニロン、ナイロン、テトロン、ベクトラン、ケブラー等も利用可能であり、これらに限定されるものではない。
【0036】
ゴム弾性体は、天然ゴム、合成ゴム(SBR、BR、IR、ウレタン等)の単独、あるいはこれらを複数組み合わせてブレンドしたもの、もしくはこれらとハイスチレン樹脂等の高分子樹脂等を適宜選択しブレンドしたものへ、カーボンブラック等の補強剤、充填剤、酸化防止剤、加硫促進剤、加硫剤等を、ゴムクローラの使用条件や必要とする耐久性、そしてコスト等を考慮して適宜選択し、配合設計を行い使用するものである。
なお、本発明のゴムクローラに使用されるゴム弾性体は、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明の抗張体の連結法を利用したゴムクローラとしては、従来のゴムクローラのようなゴム弾性体の内部に、金属製の芯金を周方向に一定間隔に横並べして埋設し、芯金の接地面側(外周側)に複数本の抗張体をゴムクローラの幅方向に引き揃えて並べ列状に配列し埋設したもののほか、主に高速走行用ゴムクローラに多く用いられている金属製の芯金が埋設されていない、いわゆる芯金レスゴムクローラにも利用可能である。
【0038】
【実施例】
以下図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
図12は、本発明の第1実施例の一部透視斜視図であり、図13は連結部の配列を示す一部透視平面図、図14は側面断面図、図15は図13の要部拡大図、図16はゴムクローラ内にどのように抗張体が配列されているかを示す斜視図である。
第1実施例のゴムクローラ1は、ゴム弾性体2と、ゴム弾性体2内にゴムクローラ周方向に一定間隔で埋設された金属製の芯金3と、ゴムクローラ1の接地面側に突設させたラグ4と、そして、芯金3の外周側(接地面側)に複数本のスチールコード5を、ゴムクローラ1の中央にある係合孔9の左右に振り分けてゴムクローラ1の幅方向に引き揃えて並べた左右2列条のスチールコード列より構成されている。
そして、スチールコード5の連結部はスチールコード5の両端部5a、5bを突き合わせて突き合わせ部6を形成し、且つ、隣り合うスチールコード5の突き合わせ部6の位置はゴムクローラ1の周方向にシフトさせている。
【0039】
図15において、隣り合うスチールコード51、52の突き合わせ部61、62の位置は周方向にシフトしており、隣り合うスチールコード51の端部51bとスチールコード52の端部52aは周方向で重合し、スチールコード51の端部51bと、スチールコード52の端部52aはその間の接着ゴム7を介して接合される。この際、スチールコード51の突き合わせ部61の位置からスチールコード52の突き合わせ部62の位置までの長さがシフトラッピング長さLsであり、このシフトラッピング長さLsは、ゴムクローラ1の使用条件や必要とする耐久性等の設計条件により、数式3に従い引抜強度をスチールコード5の破断強度と見合う強度又はそれ以上となるように設計する。
なお本実施例は、シフトラッピング数2の組み合わせ配置例である。
【0040】
図17は本発明の第2実施例のスチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図であって、各々のスチールコード5の突き合わせ部6の位置に対し、その他のスチールコード5の突き合わせ部6の位置をゴムクローラ1の周方向前後にシフトさせ、各々のスチールコード5の突き合わせ部6の位置が一致しないように配置している。なお、シフトラッピング数3の組み合わせ配置例である。
本実施例のゴムクローラ1の周長Lは5112mmであり、連結部の長さl1は994mmである。使用したスチールコード5の外径dは2.3mmであり、引張強度Tbは5256Nである。そして単位引抜強度は27N/mmであり、シフトラッピング長さLsが225mmであるので、引抜強度fsは6075Nとなっており、引抜強度が引張強度を上まわった設計となっている。そして係合孔9をはさんだ片側のスチールコード列の10本のスチールコード5において、左右に隣り合うスチールコード5のゴムクローラ1の周方向の逆方向から伸びるスチールコード5と重なる重複箇所が7箇所あるので(1本のスチールコード5が隣り合う左右のスチールコード5と同時に重なる場合は、連結効率は1となるので1箇所の重複箇所と計算する。)引抜強度の総和は、7×6075=42525Nであり、また突き合わせ部6が存在する各同一芯金ピッチ範囲のうち最も突き合わせ部6が多い同一芯金ピッチ範囲内の突き合わせ部6の数は2であるので、引張強度の総和は、(10−2)×5256=42048Nとなり、引抜強度の総和が引張強度の総和をも上回った設計となっている。
【0041】
図18は本発明の第3実施例のスチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図であって、各々のスチールコード5の突き合わせ部6の位置を、全てラグ4投影面内で、且つ芯金3投影面内に配置している。
また本実施例は、シフトラッピング数4の組み合わせ配置例である。
【0042】
図19は本発明の第4実施例のスチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図であって、図20は図19のスチールコード5の配置を説明するための説明図である。
本実施例は、第3実施例同様シフトラッピング数4の組み合わせ配置例であるが、スチールコード5の突き合わせ部6の位置をゴムクローラ1の幅方向で同一線上に無い配置としている。
そして、連結部の係合孔9をはさんだ片側のスチールコード列の10本のスチールコード5のうち、芯金3(ゴムクローラ周方向の幅)の中心から、隣接する芯金3(ゴムクローラ周方向の幅)の中心までの間(K)の同一範囲内(芯金1ピッチ内)にある突き合わせ部6を形成するスチールコードのうち、左右に隣合うスチールコード5のゴムクローラ1の周方向の逆方向から伸びるスチールコード5と全く重ならないスチールコード5が、全てのスチールコード5の25%以下となるように配置している。
【0043】
即ち、芯金31(ゴムクローラ周方向の幅)の中心から、隣接する芯金32(ゴムクローラ1の周方向の幅)の中心までの間(K1−2)の範囲内に突き合わせ部6があるのは、スチールコード51の突き合わせ部61と、スチールコード56の突き合わせ部66の2箇所である。この2本のスチールコード51a,56aは、それぞれ左右に隣合うスチールコードのゴムクローラ1の周方向の逆方向から延びるスチールコード52b,55b,57bとは全く重なっていない。
しかし、これは全体のスチールコード(10本)に対する比率が20%(2本)であるので特に問題とはならない。
また、芯金32の中心から、隣接する芯金33の中心までの間(K2−3)の範囲内に突き合わせ部6はなく、これは全体のスチールコード(10本)に対し比率が0%(0本)である。
そして、K3−4間は20%、K4−5間は0%、K5−6間は20%、K6−7間は0%、K7−8間は20%、K8−9間は0%、そしてK9−10間は20%であり、全ての範囲内で25%以下となっている。
この際、突き合わせ部6を形成するスチールコード5のうち、左右に隣合うスチールコード5のゴムクローラ1の周方向の逆方向から延びるスチールコード5と全く重ならないスチールコード5が、全てのスチールコード5の25%以下となるように配置する範囲を、隣接する2つの芯金3の全投影面と隣接する2つの芯金3の間の範囲(例えばK'1−2間、K'2−3間)で達成されるのが望ましいのであり、本実施例はこの条件をも満足する突き合わせ部6の配置になっている。
【0044】
図21は本発明の第5実施例のスチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図であって、5シフトラッピングの突き合わせ部6の配置を組み合わせた配置を示す一実施例である。
【0045】
図22は本発明の第6実施例の抗張体連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図であって、図23は図22の抗張体配置を説明するための説明図であり、1シフトラッピングの突き合わせ部6の配置を組み合わせた配置の一実施例である。
図において隣り合うスチールコード51、52の突き合わせ部61、62の位置は周方向にシフトしており、隣り合うスチールコード51の端部51bとスチールコード52の端部52aは周方向で重合し、スチールコード51の端部51bとスチールード52の端部52aは、接着ゴム71−2を介して接合される。
更に、スチールコード52の端部52aとスチールコード53の端部53bは周方向で重合し、その間の接着ゴム72−3で接合される。
ところで、スチールコード53の端部53aは隣り合う逆方向から延びるスチールコード52の端部52b及びスチールコード54の端部54bとも重合していない。
しかし、スチールコード53の端部53aはスチールコード52の端部52aと接着ゴム7'2−3で接合されており、スチールコード53の端部53aとスチールコード52の端部52aが接着している。従って、スチールコード53の端部53aとスチールコード51の端部51bの周方向長さLS’がスチールコード5の引張強さと見合う引抜強さが得られる長さとすると十分な連結効果が得られるのであり、図22の1シフトラッピング方式の連結効率は83%であり、特に問題はなく、実用的な連結方法である。
【0046】
図24は本発明の第7実施例を示す図であり、スチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図である。
第7実施例のゴムクローラ1は、複数本のスチールコード5をゴムクローラ1の幅方向に三列条の抗張体列として配置し、各々のスチールコード5の突き合わせ部6の位置に対し、隣り合うスチールコード5の突き合わせ部6の位置をゴムクローラ周方向前後にシフトさせて配置している。
【0047】
図25は本発明の第8実施例を示す図であり、スチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を使用したゴムクローラ1の斜視図である。図26Aは本発明の第8実施例のスチールコード5の連結部の突き合わせ部6の配置を示す一部透視平面図であって複数本のスチールコード5をゴムクローラ1の幅方向に一列条の抗張体列として配置している。また、第8実施例のゴムクローラ1は、ゴムクローラ1の本体内に芯金3が埋設されていない、芯金レスゴムクローラである。
図26Bは、図26Aに示す第8実施例の別例を示す一部透視平面図であり、第8実施例のゴムクローラ1内に芯金3が埋設されている例である。
【0048】
本発明のスチールコード連結方式に基づきスチールコードを連結したゴムクローラと、従来のスチールコードをゴムクローラの厚さ方向に重複させて連結するオーバーラッピング方式でスチールコードを連結したゴムクローラを、それぞれ図27の屈曲試験機に装着し屈曲疲労試験を行った。表1に屈曲疲労試験に用いたゴムクローラの仕様と試験結果を示す。
屈曲試験は、図27に示す屈曲試験機の偏芯スプロケットと駆動スプロケットにゴムクローラを装着し、ゴムクローラに14.7kNの張力が加わるようにスプリングをセットして試験を行った。なおこの際の偏芯スプロケットと駆動スプロケットの歯底径は共に224mmを使用した。
【0049】
表1に示す通り、従来のオーバーラッピング方式でスチールコードを連結したゴムクローラでは、56万回の屈曲(97万回のテンション負荷)で帯状にオーバーラップした外周側(接地側)のスチールコードの先端から165mm剥離したが、本発明の連結方式で連結したゴムクローラでは572万回の屈曲(988万回のテンション負荷)を行ったが何ら異常はなく、従来の10倍以上の耐久性があるものとなったのである。
【0050】
【表1】
【0051】
その他、本発明は次の通り実施することができる。
(1)ゴムクローラ中央の係合部の左右に抗張体を振り分け、2列の抗張体列をゴムクローラ内に埋設させる実施例では、左右の抗張体列の連結部における抗張体突き合わせ部の配置を、上述の第1実施例に示す左右対称配置や、第2実施例に示す左右で同一配置以外に、左右で突き合わせ部の配置が異なるように配置することも可能である。
(2)上述の実施例では一本の抗張体の両端部先端を突き合わせて連結し、無端状としているが、2本以上の抗張体を本発明に基づき連結し、連結部を2箇所以上としてもよい。
(3)ゴムクローラに埋設している芯金は、金属製のもののほか、高分子樹脂製のものでもよく。芯金の素材は必要な耐久性と経済性を考慮して適宜選択して用いるものであり、芯金の埋設されていない芯金レスのゴムクローラとしてもよいのである。
(4)上述の実施例に示すゴムクローラの中央係合部左右に抗張体を振り分け、2列の抗張体列をゴムクローラ内に埋設させたゴムクローラや、ゴムクローラの内周側に設けた駆動突起により駆動する係合孔のないゴムクローラに多く用いられているゴムクローラの幅中央に1列の抗張体列をゴムクローラ内に埋設させたゴムクローラのほか、抗張体列を3列以上に振り分けてゴムクローラ内に埋設するゴムクローラにも実施可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明は以上の構成としたので、抗張体の連結部が、スプロケット、アイドラ巻き付き部においても、抗張体間に従来のオーバーラッピング法による連結部において発生していたような大きなせん断変形が発生する箇所が無くなり、異常テンションが加わったとしても容易に抗張体の連結部が破壊されることは無く、連結部の耐久性が向上し信頼性の高いゴムクローラとなる。
【0053】
また、連結部の長さに制限がある中で抗張体のシフトラッピング長さを、全抗張体の引抜強度の総和が、全ての抗張体本数から、それぞれの突き合わせ部が存在する各同一芯金ピッチ範囲のうち、最も突き合わせ部が多い同一芯金ピッチ範囲内の突き合わせ部の数を引いた残りの抗張体の引張強度の総和の80%以上となるように設計した長さとするのであり、実用的で効率のよい連結ができ耐久性の良いゴムクローラが得られる。
【0054】
更に、各々の抗張体の突き合わせ部の位置を、他の抗張体の突き合わせ部の位置と一致しないようにゴムクローラ周方向にシフトさせた構成においては、耐久性が劣る突き合わせ部の位置を一箇所に集中させないことになり、連結部の耐久性を向上させるものとなる。
【0055】
そして、ゴムクローラの連結部における芯金から隣接する芯金までの間の同一芯金ピッチの範囲内にある突き合わせ部を形成する抗張体のうち、左右に隣合う抗張体のゴムクローラ周方向の逆方向から伸びる抗張体と全く重ならない抗張体が、全ての抗張体の25%を越えて集中させて配置しない構成においては、強度不足を配列する抗張体の本数を増やすか、抗張体の破断強度が高い抗張体を使用して補う必要がなく、コストを抑えることになり、更には、連結部の耐久性が向上することになる。
【0056】
更にまた、各々の抗張体の突き合わせ部の位置をラグの投影面内、あるいは芯金の投影面内に配置する構成においては、ゴムクローラの使用中に抗張体の端部が接地側のゴム弾性体を突き破り露出することを防止することとなり、ゴムクローラの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴムクローラの周長と連結部の長さの関係を示す説明図である。
【図2】ゴムクローラの周長と連結部の最大長さの関係を示すグラフである。
【図3】本発明のゴムクローラの1シフトラッピングの基本パターンを示す説明図である。
【図4】本発明のゴムクローラの2シフトラッピングの基本パターンを示す説明図である。
【図5】本発明のゴムクローラの3シフトラッピングの基本パターンを示す説明図である。
【図6】本発明のゴムクローラの4シフトラッピングの基本パターンを示す説明図である。
【図7】Aはスチールコードの引抜強度を試験する試験片を示す斜視図、Bは平面図、Cは側面図である。
【図8】スチールコードの配列を説明するゴムクローラの一部断面図である。
【図9】Φ2.3のスチールコードのP/dとスチールコードの引抜強度及びスチールコードが切断するシフトラッピング長さの関係を示すグラフである。
【図10】スチールコード径に対応した引抜強度が引張強度と同等となるシフトラッピング長さを示すグラフである。
【図11】スチールコード径に対応した各シフトラッピング数とゴムクローラ連結部の長さの関係を示すグラフである。
【図12】本発明の第1実施例を示す一部透視斜視図である。
【図13】本発明の第1実施例の連結部のスチールコード配列を示す一部透視斜視図である。
【図14】図13の側面断面図である。
【図15】図13の要部拡大図である。
【図16】ゴムクローラ内にどのように抗張体が配列されているかを示す斜視図である。
【図17】本発明の第2実施例を示す一部透視平面図である。
【図18】本発明の第3実施例を示す一部透視平面図である。
【図19】本発明の第4実施例を示す一部透視平面図である。
【図20】図19に示す第4実施例のスチールコード突き合わせ部の配置を説明するたの説明図である。
【図21】本発明の第5実施例を示す一部透視平面図である。
【図22】本発明の第6実施例を示す一部透視平面図である。
【図23】図22に示す第6実施例のスチールコード突き合わせ部の配置を説明するための説明図である。
【図24】本発明の第7実施例を示す一部透視平面図である。
【図25】本発明の第8実施例を示す斜視図である。
【図26】Aは図25を示す第8実施例の一部透視平面図であり、Bは本発明の第8実施例の別例を示す一部透視平面図である。
【図27】屈曲試験機を示す側面図である。
【図28】従来のゴムクローラの一例を示す斜視図である。
【図29】従来のゴムクローラの一例を示す要部断面透視斜視図である。
【図30】従来のゴムクローラの端部オーバーラッピング方式の連結部を示す要部透視斜視図である。
【図31】図30のX−X線断面図である。
【図32】図30のY−Y線断面図である。
【図33】ゴムクローラを無端状に接続する成形工程を示す略図である。
【図34】接続成型金型内部の状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1、17 ゴムクローラ
2、18 ゴム弾性体
3、19 芯金
4、20 ラグ
5、21 スチールコード
5a、5b スチールコード端部
6 スチールコードの突き合わせ部
7 接着ゴム
8 シフトラッピング部
9 係合孔
10 駆動用ガイド突起
11 試験片
12 スプロケット
13 アイドラー
14 スプリング
15 連結金型(上金型)
16 連結金型(下金型)
22 外れ防止ガイド
23 接着ゴム層
Claims (1)
- ゴム弾性体内に、ゴムクローラの周方向に沿って複数本の抗張体をゴムクローラの幅方向に引き揃えて並べ列状に配列した抗張体列をゴムクローラ内に埋設したゴムクローラにおいて、各々の抗張体両端部先端を突き合わせて連結することにより無端状とし、前記抗張体列の連結部における一本の抗張体の突き合わせ部の位置に対し、隣り合う抗張体の突き合わせ部の位置をゴムクローラ周方向前後にシフトさせて連結部を構成しており、かつ、当該連結部におけるゴムクローラ周方向の一方側からのびた或る抗張体の端部と、これに隣接する抗張体がゴムクローラ周方向の他方側からのびた端部とが重複するシフトラッピング長さを、抗張体列における全ての抗張体の引抜強度の総和PSが、列条に配列された抗張体の全ての抗張体本数TNから、それぞれの突き合わせ部が存在する各同一芯金ピッチ範囲のうち最も突き合わせ部が多い同一芯金ピッチ範囲内の突き合わせ数CNを引いた残りの抗張体の引張強度の総和の80%以上となる長さにしたことを特徴とするゴムクローラ。
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