JP3837643B2 - クローラー成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、RV車等の高速雪上車あるいは建設車両等に装着されて使用される無端状のクローラの成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、レジャー用のRV車における通常の駆動車輪を取り外して、複数のスプロケットおよび転輪からなる無限軌道駆動装置を装着して、雪上車等として使用するケースが増大している。このような無限軌道駆動装置には無端状のゴムベルト等から構成されるクローラーが装着されるが、クローラーのRV車への装着に伴って、走行速度の高速化に対応する必要が急務となっている。また、通常の雪上車等のみならず、騒音、振動等が低減されるゴムクローラーが装着されるようになってきた建設車両等においても、クローラーの高速化への対応が迫られている。
一般に、このような無限軌道駆動装置に装着されるクローラーは図5および図6に示したような方法によって成、加硫される。
【0003】
図5に示したものは、基本的な製造方法であり、図5(A)のような図示省略の補強コードを埋設した帯状ゴム等からなるクローラー31を、図5(B)に示したように、上下の型(モールド)33、32にて挟持するとともに、それらの上下をさらに外熱盤34および内熱盤35によって挟持して加温することによりクローラー31を加硫し、その後、図5(C)に示したように、クローラー31の食い違い状の両端部31A、31Bを重合して、端部接合用の上下の型33T、32Tおよび内外熱盤35T、34Tによって両端部を加硫接合し、無端状のクローラー製品を得る。
【0004】
図6に示したものは、送り加硫と称される製造方法であり、比較的長尺のクローラーを加硫する際に用いられる。図6(A)のような図示省略の補強コードを埋設した長尺の帯状ゴム等からなるクローラー31を、図6(B)に示したように、比較的短い所定長さの上下の型33T、32Tにて挟持するとともに、それらの上下をさらに外熱盤34Tおよび内熱盤35Tによって挟持して加温することによりクローラー31の所定長さ部分を加硫し、これを順次繰り返してクローラー31の全長を加硫した後、図6(C)に示したように、クローラー31の食い違い状の両端部31A、31Bを重合して、上下の型33T、32Tおよび内外熱盤35T、34Tによって両端部を加硫接合し、無端状のクローラー製品を得るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の加硫方法によって成されたクローラーにあっては、クローラの成は別途工程によって予め行っておかねばならず、その後に加硫工程に投入されるため、製造工程に多大の時間を要していた。
また、前記図5に示した加硫方法では、型および熱盤が長大化して大きなスペースの設置場所を要する他、さらに端部のみの接合加硫工程を要した。
また、前記図6に示した加硫方法では、型および熱盤は小型化されたものの、所定長さ毎に加硫を数回から10回程度繰り返す必要があり、さらに多大の加硫時間を必要とする上、前記と同様の端部のみの接合加硫工程を要した。
しかも、これらの加硫による製造方法では、帯状のクローラーを両端部を加硫して接合せねばならず、無端リング状のクローラーが円周上で全て均一な諸特性を備えさせることは不可能である他、長さ方向に多数並設して埋設される補強コードの各端部同士の連結処理も面倒な上、補強強度において連続性が断たれる虞れもあった。ましてや、円周上均質な補強強度を可能にするスパイラル補強コードの埋設は不可能であった。
このようなことから、従来の加硫による製造方法にては車両の高速化に伴うクローラーの高速での回転に対応できなくなってきた。
【0006】
そこで本発明では、以上述べてきたような従来の成および加硫方法における課題を解決して、工程数が少なく、円周上均質な強度特性を備えさせることを可能にして、高速走行に対応でき、しかもスパイラス補強コードの埋設をも可能にした継目なしのクローラー成形装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため本発明では、無端リング状の外型と内型との間においてクローラーを一体成加硫するクローラー成装置において、前記外型および内型を加硫用の熱盤によって構成するとともに、前記内型は、クローラの内周側を画定する形状をなし、軸方向の中間位置において軸方向に2分割したことを特徴とするものである。
また本発明は、前記外型を離型した後のクローラーの外周面の左右をそれぞれ把持する一対の左右の把持片を具備するとともに、前記軸方向に2分割された左右一対の内型を各別に軸方向に離型する左右のモールドチャックを具備することを特徴とするものである。 また本発明は、前記無端リング状の外型と内型との間において一体成加硫されるクローラーにその周方向に補強コードを螺旋状に埋設すべくワイヤー供給装置を設置したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0008】
【実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明のクローラー成形装置の1実施の形態を示す図で、図1(A)は加硫工程を型枠との関係で説明する図、図2は枠と外型を示す側面図、図3はクローラー成装置全体の平面および正面図、図4はクローラー成装置全体の側面図である。
図2に示すように、クローラーの接地面のトレッドパターン等を画定する外型3は、縮径可能な内枠5の内周側に設置されており、該内枠5はテーパー状の傾斜面6を介して外枠4に対して軸方向および径方向に移動自在に嵌合される。
これらの外型3、内外枠5、4は全て側面視で無端リング状に形成される。
一方、図1に示したように、スプロケットへの噛合突起等のクローラーの内周側を画定する内型2についても、前記外型3と対向して側面視で無端リング状に形成されるとともに、軸方向の中間位置において軸方向に2分割されている。
図1(A)において符号7は、クローラー1の成、加硫時に内外枠5、4と内外型2、3との位置関係がずれないように押さえておく押え板である。
【0009】
図1(A)の前段階の外型3が未装着の状態にて、内型2の外周上においてクローラー1の埋設部となる周上に補強コード用ワイヤー(後述の図3および図4の符号12参照)がスパイラス状に巻き付けられた後、成されて図1(A)の状態にて内外型2、3が熱盤として加温される。これによって、クローラー1は内外型2、3間において一挙に成、加硫が行われる。
次いで、図1(B)に示したように、外枠4に対して内枠5を軸方向に移動させることで外型3を設置した内枠5が径方向に拡開し、外型3をクローラー1の外周面から離型させることができる。
その後、図1(C)に示したように、内側に内型2の左右いずれか一方、例えば右側の内型2Bを介在させた状態にてクローラーの一方(右側)の外周面を把持片8Bにて把持して他方(左側)の内型2Aを軸方向に離型させる。
そして、図1(D)に示したように、同様に、僅かに軸方向に離型させた状態の他方(左側)の内型2Aを介在させた状態でクローラーの他方(左側)の外周面を把持片8Aにて把持して、前記一方(右側)の内型2Bを離型させる。
このように、2分割された各内型を軸方向に離型する際に、相手方のクローラーの内側にその内型を介在させた状態にてクローラーの外周面を把持片にて確実に把持することができるので、各内型を円滑に離型させることができる。
【0010】
図3および図4は、クローラー成装置全体を示すものである。図3(A)に示すように、軸方向に分割された左右一対の内型2A、2Bは、それぞれ基礎上のレール10、10上を軸方向に移動自在な左右一対の離型駆動部9A、9Bに回転自在に軸支された左右のモールドチャック14A、14Bによってそれぞれ把持されている。図3(B)に示すように、これらのモールドチャック14A、14Bは、メインモーター16によって回転駆動される。
また、これらの左右の離型駆動部9A、9Bには、それぞれ左右の把持シリンダー15A、15Bの伸長によって加硫後のクローラー1の外周面を把持する左右の把持片8A、8Bが設置されている。なお、図3(B)において符号17は左右の離型駆動部9A、9Bの相対位置を変更するシフトシリンダーを示す。
【0011】
メインモーター16の駆動力によって回転する左右両モールドチャック14A、14Bによって把持された内型2A、2Bの外周上において、成されるべきクローラー1に、図3(A)に示すように、埋設すべき補強コードを形成するワイヤー12がクローラー1の接線方向に繰り出される。複数本のワイヤー12がワイヤードラム11から繰り出されてピッチ送り装置13によって縒り合わされて1本のコードとして所定のピッチにてクローラー1の埋設部位にスパイラル状に巻き付けられる。その後、補強コード層の外周にはクローラ1のドレッド部分となるべきのゴム等が巻き付けられて成がなされる。
図4にはこの様子が明確に示されており、ピッチ送り装置13から繰り出された補強コードはワイヤー添設装置18によって所定のピッチにてクローラー1の接線方向に添設載置される。
【0012】
このような構成のクローラー成装置により、図1(A)の前段階の補強コードの埋設およびクローラー1の成が行われた後、図1(A)の状態の加硫が行われ、次いで、図1(B)のように内外枠5、4および外型3が離型されると、右離型駆動部9Bにおける把持シリンダー15Bが伸長して把持片8Bがクローラー1の外周を把持し、シフトシリンダー17の僅かな伸長によって左右の離型駆動部9A、9Bが離れることにより、左内型2Aを軸方向に僅かに離型させることができる(図1(C)の状態)。
次いで、僅か離型させた左内型2Aを内側に介在させた状態にて、今度は左離型駆動部9Aにおける把持シリンダー15Aを伸長させて把持片8Aをクローラー1の外周に把持させ、シフトシリンダー17を伸長させて左右の離型駆動部9A、9Bを離すことによって、一対の内型2A、2Bのクローラー1の内周面からの離型を完了することができる。
【0013】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明の趣旨の範囲内で、内外枠および内外型の形状、外型の離型形態、把持片の形状および把持型式、左右の離型駆動部およびモールドチャックの型式、モールドチャックの各内型への把持形態、左右の離型駆動部の相対移動型式、ワイヤーの供給型式等については適宜採用できるものである。
【0014】
【発明の効果】
以上、詳細に述べたように、本発明によれば、外型および内型を加硫用の熱盤によって構成したので、内外型が熱盤として加温されて、無端リング状の外型と内型との間においてクローラーを一挙に成、加硫することができることになり、工期の大幅な短縮が可能となる他、無端リング状の内外型内にてクローラーが成、加硫されるので端部の継目がなく、円周上で全て均一な諸特性を備えさせることができる。
その上、内型の外周上においてクローラーの埋設部となる周上に補強コード用ワイヤーをスパイラス状に巻き付けることができるので、従来のもののように多数並設して埋設される補強コードの各端部同士の連結処理に煩わされる必要もなく、補強強度において連続性が断たれ、安定した補強強度の確保によって、クローラーの高速安定性が向上し、長寿命となる。
また、内型を軸方向に2分割したことによって、分割された内型に対応する相手方のクローラーの内側にその内型を介在させた状態にてクローラーの外周面を把持片にて確実に把持することが可能となり、各内型を円滑に離型させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のクローラー成形装置の1実施の形態を示す図で、加硫工程を型枠との関係で説明する図である。
【図2】 本発明のクローラー成形装置の1実施の形態を示す図で、枠と外型を示す側面および断面図である。
【図3】 本発明のクローラー成装置の1実施の形態を示す図で、クローラー成装置全体の平面および正面図である。
【図4】 本発明のクローラー成装置の1実施の形態を示す図で、図3(A)のB矢視側面図である。
【図5】 第1従来例のクローラー成方法を示す図である。
【図6】 第2従来例のクローラー成方法を示す図である。
【符号の説明】
1 クローラー
2 内型
2A 左内型
2B 右内型
3 外型
4 外枠
5 内枠
6 傾斜面
7 押え板
8 把持片
9 離型駆動部
10 レール
11 ワイヤードラム
12 ワイヤー
13 ピッチ送り装置
14 モールドチャック
15 把持シリンダー
16 メインモーター
17 シフトシリンダー

Claims (3)

  1. 無端リング状の外型と内型との間においてクローラーを一体成加硫するクローラー成装置において、前記外型および内型を加硫用の熱盤によって構成するとともに、前記内型は、クローラの内周側を画定する形状をなし、軸方向の中間位置において軸方向に2分割したことを特徴とするクローラー成装置。
  2. 前記外型を離型した後のクローラーの外周面の左右をそれぞれ把持する一対の左右の把持片を具備するとともに、前記軸方向に2分割された左右一対の内型を各別に軸方向に離型する左右のモールドチャックを具備することを特徴とする請求項1に記載のクローラー成装置。
  3. 前記無端リング状の外型と内型との間において一体成加硫されるクローラーにその周方向に補強コードを螺旋状に埋設すべくワイヤー供給装置を設置したことを特徴とする請求項1または2に記載のクローラー成装置。
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