JPS6124462Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案はスノーモビル用トラツクベルトに関
し、さらに詳しくはスノーモビルの車体を支える
サスペンシヨンレールと摺動するガイドクリツプ
を設けたトラツクベルトの改良に関するものであ
る。 従来スノーモビル用トラツクベルトのサスペン
シヨンレールとの摺動部には、第１図に示すよう
に、サスペンシヨンレール３１を案内するための
ガイドクリツプ４が、トラツクベルト２の周方向
に一定の間隔をおいて取り付けられており、スノ
ーモビルの旋回走行時や斜面走行時において、サ
スペンシヨンレール３１がトラツクベルト２の摺
動部からみだりに離脱しないようになつている。 ところが上述のようにスノーモビルの旋回走行
時や斜面走行時においては、サスペンシヨンレー
ル３１がガイド４に繰返し衝撃的に圧接されるた
め、特にガイドクリツプ４の案内部４１がその折
り曲げ部Ａから破損してしまう恐れがあつた。こ
の為剛性が高く、耐久性の良い熱処理を旋した硬
鋼材や特殊鋼材を使用していた。このガイドクリ
ツプ４の製造は熱処理前の材料をプレス加工し、
その後熱処理を施す順序であり、材料費及び熱処
理費を含む製造コストが高くなるという等問題が
あつた。 さらに硬鋼材や特殊鋼材は熱処理前でも延性が
小さいため案内部４１を屈曲加工する際に、その
折り曲げ部Ａが、第２図及び第３図に示すよう
に、加締部４２とその上面に形成された摺動部と
の交点に位置する関係上、この折り曲げ部Ａに三
次元の歪が加わり、割れてしまう恐れがあるの
で、これを防止するため加工上の逃げとして、図
示のように折り曲げ部Ａの両側にあらかじめ切欠
部４４を設けざるを得なかつた。 しかしながらこのように折り曲げ部Ａに切欠部
４４を設けることは、この部分に応力の集中を招
きかえつてガイドクリツプ４の耐久性を阻割する
要因になつており耐久性を充分に発揮するには致
つていない。 本考案は上述の現状に鑑みなされたもので、前
記諸問題点を一挙に解決し、耐久性に優れると共
に加工性にも優れたサスペンシヨンレール摺動用
のガイドクリツプを取り付けたスノーモビル用ト
ラツクベルトを提供することを目的とするもので
ある。 このために、本発明は、ベルト内周面の両側部
の、サスペンシヨンレールと対向する個所に、複
数のガイドクリツプを加締部を介して一定間隔に
固設したスノーモビル用トラツクベルトにおい
て、前記ガイドクリツプを、加締部と、その上面
に形成した摺動部と、該摺動部の一端に連続して
立設した案内部とから一体的に構成すると共に、
該案内部の両側に、前記加締部を形成する両側面
に連続するリブを設けたことを特徴とするもので
ある。本発明によれば、ガイドクリツプの耐久性
を構造的に著しく向上させ、これによつて軟鋼な
どの加工しやすい材料でも使用可能にして加工を
容易にし、よつてこのガイドを多数取り付けたス
ノーモビル用トラツクベルトの耐久性、安全性及
び経済性を向上させることができる。 以下本考案を実施例により図面を参照しつつ説
明する。 第４図〜第６図に示すように、本考案は、トラ
ツクベルト２の内周面両側部のサスペンシヨンレ
ール３１と対応する部分に複数のガイドクリツプ
１をこのガイドクリツプ１の加締部１２を介して
一定間隔をおいて固設したスノーモビル用トラツ
クベルト２において、前記ガイドクリツプ１を、
加締部１２の上面に形成された摺動部１３の一端
に連続して案内部１１を立設すると共に、この案
内部１１の両側に前記加締部１２の両側と連続す
るリブ１４を設けることにより構成されている。 上述のガイドクリツプ１は軟鋼などの加工しや
すい板材をプレス加工すればよく、第７図に示す
ように、まず実線で示すように、加締部１２と、
その上面に形成される摺動部１３と、この摺動部
１３の一側に連続した案内部１１及びこの案内部
１１の両側に前記加締部１２の両側と連続するリ
ブ１４とを図示のようにプレス加工し、しかる後
前記案内部１１を点線で示すように上方にプレス
で折り曲げることによりガイドクリツプ１を成型
するものである。１５は切欠部で、各リブ１４の
基部に位置して加締部１２の両側に形成されてお
り、各リブ１４を含む案内部１１を上述のように
折り曲げる際にこの折り曲げ作業を容易化すると
共に折り曲げ部に亀裂等が発生するのを防止し得
るようにしてある。この切欠部１５はリブ１４を
介して折り曲げ部より離れた位置にあるため、こ
こに応力が集中して破損を招くということは回避
することができる。 また案内部１１の上方への折り曲げ角度は、摺
動部１３の上面に対し90゜〜105゜の範囲とする
のが好ましい。 つづいて本考案に係るスノーモビル用トラツク
ベルト２を第８図〜第１１図を参照して詳細に説
明すると、本トラツクベルト２は、その外周面の
周方向に一定の間隔をおいて、巾方向に延長する
多数のけん引突起２２が形成され、またこのけん
引突起２２と対応する内周面の巾方広両側近くに
は、駆動突起２１とサスペンシヨンレール３１の
摺動部が形成されており、この駆動突起２１を介
して駆動輪（図示しない）の駆動力がトラツクベ
ルト２に伝えられ、けん引突起２２が雪面をグリ
ツプしてスノーモビルを走行し得るようになつて
いる。 そして、このトラツクベルト２のサスペンシヨ
ンレール摺動部には、前述したサスペンシヨンレ
ール３１を案内するための本ガイドクリツプ１
が、周方向に一定の間隔をおいて取り付けられて
おり、スノーモビルの旋回走行時や斜面走行時に
おいて、サスペンシヨンレール３１がトラツクベ
ルト２の摺動部からみだりに離脱しないようにな
つている。 また本実施例において、トラツクベルト２は第
９図に示す様に合成繊維の織布あるいはコード又
は金属コード等からなる抗張力芯体７、合成繊維
の織布からなる芯体保護布８、長手方向等間隔に
配する鋼又はFRP棒からなる横剛性材９をゴム
等の可撓性材料１０で被覆し、エンドレスに構成
されている。 ゴム等の可撓性材料１０を被覆する際横剛性材
９の外周上にけん引突起２２内周上に駆動突起２
１を形成してある。 又、サスペンシヨンレールと対応する部分で横
剛性材９と横剛性材９との間に開口部２３が設け
られている。ガイドクリツプ１は、前記開口間に
位置する可撓性材料１０を被覆した横剛性材９
に、その案内部をトラツクベルト内周側に立設し
て加締部を加締めて固着されている。 つづいてトラツクベルト２の他の実施例につい
て説明すると第１０図及び第１１図に示すよう
に、無端骨格帯Ｇをゴム等の可撓性材料１０で被
覆することにより構成されている。この無端骨格
帯Ｇは、複数の補強コード７ａが並行に一層配列
されたエンドレスな抗張力芯体７と、該抗張力芯
体７の周方向に間隔をおいて、前記各補強コード
７ａを横切ると共に各補強コード７ａを互いに連
結するよう一体的に固着した複数の合成樹脂製横
剛性体９′とから構成されている。 そして上述したスノーモビル用トラツクベルト
２を製造するに際しては、まず合成繊維コードあ
るいは金属コード等からなる複数の補強コード７
ａをトラツクベルト２の巾方向に略等間隔に間隔
をおいて並行に一層配列してエンドレスな抗張力
芯体７を形成する。 次いでこの抗張力芯体７の周方向に間隔をおい
て、各補強コード７ａを横切るとともに上下から
挾持するように一対の分割された未硬化の熱硬化
性樹脂成形部材９ａ，９ｂを、サンドウイツチ状
に重合して各補強コード７ａを互いに連結する。
しかる後、この重合した各熱可塑性樹脂成形部材
９ａ，９ｂを加熱硬化せしめて、抗張力芯体７と
熱可塑性樹脂成形体９ａ，９ｂが硬化した合成樹
脂製横剛性体９′とを一体化することにより無端
骨格帯Ｇを形成する。 上記のように形成した無端骨格帯Ｇを未加硫ゴ
ム等の可撓性材料１０で被覆し、さらにこれを所
定の位置にけん引突起２２、駆動突起２１等の成
型部を備えた加硫成型用金型（図示しない）内に
収納し、所定の形状に加硫成型するものである。 従つて本実施例におけるトラツクベルト２は従
来のトラツクベルトと比較して薄く軽量化するこ
とができると共に、屈曲剛性を著しく低減せしめ
ることができて、走行動力を大きく低減すること
ができる。 また本実施例において、各ガイド１はその加締
部１２を上述した無端骨格帯Ｇの合成樹脂製横剛
性体９′にしつかりと加締ることにより取り付け
られているから、走行に際してみだりにトラツク
ベルト２から離脱することがない。 次に第１２図ａ及びｂを参照して本考案のトラ
ツクベルト２に用いられるガイドクリツプ１と従
来のトラツクベルトに用いられるガイドクリツプ
４との耐久性の差を説明する。 第１２図ａは本考案のトラツクベルト２に用い
られるガイドクリツプ１と従来のトラツクベルト
に用いられるガイドクリツプ４における荷重−撓
みテストの結果を示すもので、縦軸に荷重を、横
軸に荷重に対応したカイド案内部の撓み量がそれ
ぞれ取つてあり、実線Ａは本考案のものを示し、
破線Ｂは従来のものを示している。 なおテスト方法は第１２図ｂに示す如く、ガイ
ドクリツプ４の加締部を固定し、案内部の上端に
荷重Ｐを加えその荷重Ｐに対応する撓み量Δｔを
測定した。 図から明らかなように、例えば荷重Ｐを20Kg加
えた場合、本考案のトラツクベルトに用いられる
ガイドクリツプ１の案内部１１の先端は0.25mmし
か撓まないのに対し、従来のトラツクベルトに用
いられるガイドクリツプ４の案内部４１の先端は
0.5mm撓み、また荷重40Kgに対しては、本考案の
トラツクベルトに用いられるガイドクリツプ４１
の案内部１１の先端は0.5mm、従来のものは1.0mm
撓んでいる。 このように本考案のトラツクベルトに用いられ
るガイドクリツプ１は、従来のトラツクベルトの
ガイド４と比較して撓み量が小さく剛性が優れて
いる。 また下記表−１は、考案のトラツクベルトのガ
イドクリツプ１と従来のトラツクベルトのガイド
クリツプ４との耐久性を比較したテスト結果を示
すものである。 なお本テストは、前記荷重−撓みテストと同様
にガイドクリツプ４の加締部を固定し、案内部の
上端に繰返し荷重（０〜40Kg）を加えることによ
り、案内部が破壊されるまで実施した。

【表】 上記表１から明らかなように、本考案のトラツ
クベルトのガイドクリツプは従来のトラツクベル
トのガイドクリツプと比較して平均して約10倍も
その耐久性を向上することができ、また試作時の
試算では、その製造コストを従来品の77％に低減
することができた。 本考案は、上述のように、トラツクベルトの内
周面両側部のサスペンシヨンレールと対応する部
分に複数個取り付けたガイドクリツプを、その加
締部の上面に形成された摺動部の一端に連続して
案内部を立設すると共に、この案内部の両側に加
締部の両側と連続するリブを設けることにより構
成したから、このリブにより、ガイドクリツプの
案内部の機械的強度を著しく向上することができ
る。この結果従来ガイドクリツプ加工には強度上
使用できなかつた安価で加工性のよい軟鋼材を使
用することができて、材料費の低減のみならずそ
の加工性を著しく向上することができる。 従つて耐久性に優れたガイドクリツプを安価に
得ることができ、このガイドクリツプを多数取り
付けるスノーモビル用トラツクベルトの耐久性と
安全性並びに経済性を著しく向上することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来のものを示し、第１図は
スノーモビルの走行部の要部すなわちサスペンシ
ヨンレールと該サスペンシヨンレールの下面を摺
動するトラツクベルトの巾方向断面図、第２図は
ガイドクリツプの斜視図、第３図は同長手方向断
面図である。また第４図〜第９図は本考案の実施
例を示すもので、第４図はサスペンシヨンレール
と該サスペンシヨンレールの下面を摺動するトラ
ツクベルトの巾方向断面図、第５図はガイドクリ
ツプの斜視図、第６図は同長手方向断面図、第７
図はガイドクリツプの製造過程を示す説明図、第
８図は本ガイドクリツプを取り付けたトラツクベ
ルト及びその上部を摺動するサスペンシヨンレー
ルの一部切欠した斜視図である。第９図はトラツ
クベルトの一部切欠した斜視図、第１０図は他の
実施例におけるトラツクベルトの長手方向一部断
面図、第１１図は第１０図に示すトラツクベルト
内に埋設されている無端骨格帯の一部切欠した斜
視図である。さらに第１２図ａは本考案のガイド
クリツプと従来のガイドクリツプとの荷重−撓み
テスト結果を示す図、第１２図ｂは同テスト方法
の説明図である。 １……ガイドクリツプ、１１……案内部、１２
……加締部、１３……摺動部、１４……リブ、２
……トラツクベルト、３１……サスペンシヨンレ
ール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベルト内周面の両側部の、サスペンシヨンレー
   ルと対向する個所に、複数のガイドクリツプを加
   締部を介して一定間隔に固設したスノーモビル用
   トラツクベルトにおいて、前記ガイドクリツプ
   を、加締部と、その上面に形成した摺動部と、該
   摺動部の一端に連続して立設した案内部とから一
   体的に構成すると共に、該案内部の両側に、前記
   加締部を形成する両側面に連続するリブを設けた
   ことを特徴とするスノーモビル用トラツクベル
   ト。