JP4660452B2 - 拡径管型プラズマ生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、真空雰囲気下に設定されたアーク放電部で真空アーク放電を行ってプラズマを発生させ、プラズマの発生時に陰極から副生する陰極材料粒子(以下、「ドロップレット」という)を除去するドロップレット除去部を備えたプラズマ生成装置に関する。
一般に、プラズマ中で固体材料の表面に薄膜を形成したり、イオンを注入することにより、固体の表面特性が改善されることが知られている。金属イオンや非金属イオンを含むプラズマを利用して形成した膜は、固体表面の耐磨耗性・耐食性を強化し、保護膜、光学薄膜、透明導電性膜などとして有用なものである。特に、カーボンプラズマを利用した炭素膜はダイヤモンド構造とグラファイト構造のアモルファス混晶からなるダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜という)として利用価値が高い。
金属イオンや非金属イオンを含むプラズマを発生する方法として、真空アークプラズマ法がある。真空アークプラズマは、陰極と陽極の間に生起するアーク放電で形成され、陰極表面上に存在する陰極点から陰極材料が蒸発し、この陰極蒸発物質により形成されるプラズマである。また、雰囲気ガスとして反応性ガス又は/及び不活性ガス(希ガスという)を導入した場合には、反応性ガス又は/及び不活性ガスも同時にイオン化される。このようなプラズマを用いて、固体表面への薄膜形成やイオンの注入を行って表面処理を行うことができる。
一般に、真空アーク放電では、陰極点から陰極材料イオン、電子、陰極材料中性粒子(原子及び分子)といった真空アークプラズマ構成粒子が放出されると同時に、サブミクロン以下から数百ミクロン(0.01〜1000μm)の大きさのドロップレットと称される陰極材料微粒子も放出される。しかし、成膜等の表面処理において問題となるのはドロップレットの発生である。このドロップレットが被処理物表面に付着すると、被処理物表面に形成される薄膜の均一性が失われ、薄膜の欠陥品となる。
ドロップレットの問題を解決する一方法として、磁気フィルタ法(P.J. Martin, R.P. Netterfield and T.J. Kinder, Thin Solid Films 193/194 (1990)77)(非特許文献1)がある。この磁気フィルタ法は、真空アークプラズマを湾曲したドロップレット捕集ダクトを通して処理部に輸送するものである。この方法によれば、発生したドロップレットは、ダクト内周壁に付着捕獲(捕集)され、ダクト出口ではドロップレットをほとんど含まないプラズマ流が得られる。また、ダクトに沿って配置された磁石により湾曲磁場を形成し、この湾曲磁場によりプラズマ流を屈曲させ、プラズマを効率的にプラズマ加工部に誘導するように構成されている。
特開2002−8893号公報(特許文献1)にはドロップレット捕集部を有するプラズマ加工装置が開示されている。図13は、従来のプラズマ加工装置の構成概略図である。プラズマ発生部102では、陰極104とトリガ電極106の間に電気スパークを生起し、陰極104と陽極108の間に真空アークを発生させてプラズマ109が生成される。プラズマ発生部102には、電気スパーク及び真空アーク放電を発生するための電源110が接続され、プラズマ109を安定化させるプラズマ安定化磁場発生器116a、116bが配設されている。プラズマ109はプラズマ発生部102からプラズマ加工部112に誘導され、プラズマ加工部112に配置された被処理物114が前記プラズマ109により表面処理される。また、プラズマ加工部112に接続されるガス導入システムGtにより必要に応じて反応性ガスが導入され、ガス排気システムGhにより反応ガスやプラズマ流が排気される。
プラズマ発生部102から放出されるプラズマ109は、磁場によりプラズマ発生部102と対面しない方向に屈曲され、プラズマ加工部112に流入される。プラズマ発生部102と対面する位置には、プラズマ109の発生時に陰極から副生される陰極材料微粒子(ドロップレット)118が捕集されるドロップレット捕集部120が配設されている。従って、磁場の影響を受けないドロップレット118がドロップレット捕集部120に進行して捕集され、ドロップレット118がプラズマ加工部112内に進入することが防止される。
特開2002−8893号公報 P.J. Martin, R.P. Netterfield and T.J. Kinder, Thin Solid Films 193/194 (1990)77
図13に示した、従来のプラズマ加工装置では、前記磁場の影響を受けないドロップレット118がドロップレット捕集部120に捕集されるが、プラズマ109との相互作用などにより電荷が付与された帯電ドロップレットが磁場によりプラズマ加工部112に誘導される場合があった。更に、ドロップレット捕集部120に捕集されない、粒径の小さなドロップレットがプラズマ流に随伴してプラズマ加工部112に誘導されていた。従って、捕集されずにプラズマ流に混入した帯電ドロップレットや微小なドロップレット等のドロップレットが被処理物表面に付着するため、被処理物表面に対する薄膜形成や表面改質の均一性が失われ、被処理物の表面特性を低下させるといった問題を生じていた。
また、非特許文献1に記載の磁気フィルタ法においても、前述のように、湾曲磁場によりプラズマ流を屈曲させ、プラズマを効率的にプラズマ加工部に移動させるものであるから、プラズマ流に混入する帯電ドロップレットや微小なドロップレットが除去されずにプラズマ加工部に誘導され、被処理物表面に衝突又は付着することを防止できなかった。
最近のプラズマ成膜技術においては、種々の材料を用いた成膜が行われているが、成膜装置による平滑性等の成膜精度の向上が求められている。上述のように、ドロップレット付着が成膜精度に強く影響することから、プラズマ生成装置におけるドロップレット除去効率の向上が必要とされている。また、図13のように、ドロップレット除去用磁場発生装置等を多く設置すると、装置の複雑化を生じ、しかも装置や成膜処理費用のコストアップを招来する問題があった。
従って、本発明の目的は、プラズマ生成装置において生成されるプラズマに混入するドロップレットを効率的に除去し、しかも簡易かつ安価にドロップレット除去部を構成でき、高純度プラズマによる成膜等の表面処理精度の向上を図ることのできるプラズマ生成装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、真空雰囲気下で真空アーク放電を行ってプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記プラズマ発生部により発生されたプラズマが被プラズマ処理部側に進行するプラズマ進行路とを備えたプラズマ生成装置において、前記プラズマ進行路に、プラズマの発生時に陰極から副生するドロップレットを除去するドロップレット除去部を配置し、このドロップレット除去部は、拡径管と、前記拡径管のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管と、前記拡径管のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管と、前記拡径管の前記始端及び前記終端に形成された段差部とから構成されるプラズマ生成装置である。
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管の管軸を前記拡径管の管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させ、前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管を前記拡径管に連接したプラズマ生成装置である。
本発明の第3の形態は、前記第1又は第2の形態において、前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管の管軸が前記拡径管に対して互いに交差するように配置したプラズマ生成装置である。
本発明の第4の形態は、前記第2又は第3の形態において、前記プラズマ進行路は、前記プラズマ発生部に連接された直進管を有し、前記導入側縮径管を前記直進管に対して垂直又はほぼ垂直に連接し、前記直進管の終端にドロップレット捕集部を配設したプラズマ生成装置である。
本発明の第5の形態は、前記第2〜第4のいずれかの形態において、前記拡径管は、内周管と外周管からなり、前記内周管を前記外周管に対して挿脱自在にしたプラズマ生成装置である。
本発明の第6の形態は、前記第5の形態において、前記内周管の内壁に複数のドロップレット捕集板が植設されたプラズマ生成装置である。
本発明の第7の形態は、前記第6の形態において、前記ドロップレット捕集板の表面が粗面加工を施されているプラズマ生成装置である。
本発明の第8の形態は、前記第7の形態において、前記ドロップレット捕集板を前記導入側縮径管に向けて斜行配置したプラズマ生成装置である。
本発明の第9の形態は、前記第1〜第8のいずれかの形態において、前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管にドロップレット捕集用アパーチャーを配設したプラズマ生成装置である。
本発明の第10の形態は、前記第1〜第9のいずれかの形態において、複数の前記拡径管を、縮径管を介して連接したプラズマ生成装置である。
本発明の第11の形態は、前記第1〜第10のいずれかの形態において、前記拡径管の断面周方向に回転磁場を発生させる回転磁場印加手段が少なくとも1つ以上設けられ、この回転磁場印加手段により前記プラズマに回転磁場を印加し、前記プラズマを回転させながら前記拡径管を進行させて前記ドロップレットを遠心力により除去するプラズマ生成装置である。
本発明の第12の形態は、前記第11の形態において、前記回転磁場印加手段が振動磁場を発生させる複数の振動磁場発生器から構成され、これらの振動磁場発生器により位相及び振動方向が異なる複数の振動磁場を発生させ、これらの振動磁場から前記回転磁場が合成されるプラズマ生成装置である。
本発明の第13の形態は、前記第1〜第10のいずれかの形態において、偏心位置に通過孔を有するアパーチャーが前記拡径管内に1つ以上設けられ、前記拡径管の外周に前記プラズマを前記アパーチャーの偏心通過孔に通過させるための磁場発生手段が配設されており、この磁場発生手段に基づく磁場により、前記プラズマは前記拡径管内で湾曲して前記アパーチャーの偏心通過孔を通過し、前記湾曲時に前記ドロップレットを前記プラズマから分離させ、前記ドロップレットを前記アパーチャーの壁面に衝突させて除去するように構成されたプラズマ生成装置である。
本発明の第14の形態は、前記第13の形態において、前記アパーチャーは、前記拡径管内に複数設けられ、隣り合う前記偏心通過孔は、その位置を互いにずらせて配置されており、始端側のアパーチャーの偏心通過孔を前記プラズマに随伴して通過した前記ドロップレットは次のアパーチャーの壁面に衝突して除去され、前記プラズマは前記次のアパーチャーの偏心通過孔を通過するように構成されたプラズマ生成装置である。
本発明の第15の形態は、前記第13又は14の形態において、前記磁場発生手段は、斜行磁場発生器で構成され、この斜行磁場発生器は前記拡径管の軸方向から斜行した方向に斜行磁場を形成し、この斜行磁場により、前記プラズマを前記アパーチャーの偏心通過孔に通過させるようにしたプラズマ生成装置である。
本発明の第16の形態は、前記第1〜第15のいずれかの形態において、前記導入側縮径管と前記拡径管と前記排出側縮径管を少なくとも含むプラズマ搬送用のダクト部は、前記プラズマ発生部及び前記被プラズマ処理部と電気的に絶縁されているプラズマ生成装置である。
本発明の第17の形態は、前記第1〜第16のいずれかの形態において、前記ダクト部にバイアス電圧を印加するプラズマ生成装置である。
本発明の第18の形態は、前記第1〜第17のいずれかの形態において、前記ダクト部内にプローブを挿入するか、又は前記ダクト部をプローブとして利用して、プラズマの物性量を測定するプラズマ生成装置である。
本発明の第19の形態は、前記第1〜第18のいずれかの形態において、前記プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和のいずれかひとつ又はその組み合わせがドロップレット低減条件を満足するように設定されたプラズマ生成装置である。
本発明の第20の形態は、前記第19の形態において、前記有効全長が1600〜900mmで設定されたプラズマ生成装置である。
本発明の第21の形態は、前記第19の形態において、前記直径が200〜90mmで設定されたプラズマ生成装置である。
本発明の第22の形態は、前記第19の形態において、前記屈曲数が3〜1で設定されたプラズマ生成装置である。
本発明の第23の形態は、前記第19の形態において、前記屈曲角の総和が150〜90°で設定されたプラズマ生成装置である。
本発明の第24の形態は、前記第1〜第23のいずれかの形態において、前記プラズマ発生部におけるアーク電流値が140〜30Aの範囲で調整されたプラズマ生成装置である。
本発明の第1の形態によれば、前記プラズマ進行路に配置したドロップレット除去部は、拡径管と、前記拡径管のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管と、前記拡径管のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管と、前記拡径管の前記始端及び前記終端に形成された段差部とから構成されるので、前記導入側縮径管より前記拡径管内に導入されたプラズマ流が前記拡径管による前記プラズマ進行路の拡径作用により拡散される。そのプラズマ流の拡散により、プラズマに混入しているドロップレットも前記拡径管内に拡散するため、前記段差部付近及び前記拡径管の内側壁に衝突して付着、回収される。また、前記拡径管内のプラズマ流が排出されるときには、前記拡径管から前記排出側縮径管への縮径作用により、前記拡径管内壁面側に飛散したドロップレットが段差部に衝突して付着・回収され、プラズマ流に合流することが無くドロップレットの再混入を防ぐことができる。従って、前記段差部付近及び前記拡径管の内側壁にドロップレットを付着させて、十分に回収でき、前記プラズマ進行路においてドロップレットを効率的に除去することができる。また、拡径管と導入側縮径管及び/又は排出側縮径管の中心軸を合致させずに偏心させておけば、プラズマ流からドロップレットが分離しやすくなり、ドロップレットの捕集効果が一層高まる。しかも、前記プラズマ進行路に前記拡径管を形成するだけで、簡易かつ安価にドロップレット除去部を構成でき、更にドロップレット除去効率の向上により得られる高純度プラズマを用いて成膜等の表面処理精度を向上させ、被処理物表面の表面改質や形成膜の均一性を格段に向上させることができる。
本発明において、前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管の管軸を前記拡径管の管軸に沿って屈曲させずに線状に配置しても、前記拡径管を用いた前記プラズマ進行路の拡径作用及び縮径作用により、前記拡径管内に拡散されたドロップレットを効率的に回収、除去することが可能である。しかし、本発明の第2の形態によれば、前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管の管軸を前記拡径管の管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させ、前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管を前記拡径管に連接したので、プラズマ進行路の屈曲により、ドロップレットは直進してプラズマ流から分離し、前記拡径管の内壁面及び/又は前記排出側縮径管の内壁面に衝突させて付着、回収できる。前記拡径管の内壁で吸着されずに反射したものは段差部に衝突して付着回収でき、ドロップレットの効率的な除去が可能になる。及び/又はの用語により、前記屈曲は導入側のみ、排出側のみ、又は導入側と排出側の両者に設けることができる。従って、プラズマ流に混入したドロップレットを高効率に分離することができ、高純度化されたプラズマ流を前記排出側縮径管より排出させて、ドロップレット除去効率の向上を図ることができる。また、導入側縮径管と拡径管の管軸を偏心させたり、排出側縮径管と拡径管の管軸を偏心させることにより、管軸合致させた場合よりドロップレット回収効率が高まることは前述した通りである。
前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管の管軸方向を互いに平行又はほぼ平行にする平行配置の場合には、前記拡径管内を流通するプラズマ流の中心付近に混入したドロップレットを分離できずに前記排出側縮径管を通過させ、被プラズマ処理部側まで流通させてしまうおそれがある。しかし、本発明の第3の形態によれば、前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管の管軸が前記拡径管に対して互いに交差するように配置したので、前記導入側縮径管に対して交差する向きの前記排出側縮径管内壁に、前記拡径管より排出されたプラズマ流が衝突し、蛇行しながら前記排出側縮径管内を流通していく。従って、前記段差部付近及び前記拡径管の内側壁に衝突させてドロップレットを付着、回収した後、プラズマ流の中心付近に混入したドロップレットが記拡径管より排出されても、ドロップレットが直進して前記排出側縮径管内壁に衝突し、付着し、回収されるので、より高効率にドロップレットを除去することができる。
本発明の第4の形態によれば、前記プラズマ進行路は、前記プラズマ発生部に連接された直進管を有し、前記導入側縮径管を前記直進管に対して垂直又はほぼ垂直に連接し、前記直進管の終端にドロップレット捕集部を配設したので、前記プラズマ発生部において発生されたドロップレットの一部は前記直進管に沿って直進し、前記ドロップレット捕集部に捕集され回収される。従って、前記直進管に対して垂直又はほぼ垂直に連接された前記導入側縮径管には、プラズマ進行路の屈曲作用により、ドロップレットの一部が除去されたプラズマ流が流入するため、本発明に係るプラズマ進行路におけるドロップレット除去部によるドロップレット除去との相乗効果により、ドロップレットの高効率除去が可能となる。
プラズマ進行路にドロップレット除去部を設置する場合には、内壁に付着したドロップレットの剥離回収による清掃を必要とするが、清掃時にはプラズマ進行路の分解等を伴い、プラズマ生成装置の稼動効率が低下するおそれを生じる。そこで、本発明の第5の形態によれば、前記拡径管において前記内周管を前記外周管に対して挿脱自在にしたので、ドロップレットで汚染された前記内周管を随時、交換可能にすることができ、ドロップレット清掃作業性が向上し、プラズマ生成装置の稼動効率を低下させずに、プラズマ生成処理を円滑に行うことができる。前記内周管の内面には多数のドロップレット捕集板が形成され、内周管を抜き出してドロップレット捕集板の清掃・修理が容易になる。内周管は外周管と電気的に導通させてもよいが、内周管を絶縁リング等の絶縁材を介して外周管に固定すれば、内周管と外周管は電気的に絶縁される。
本発明の第6の形態によれば、前記内周管の内壁に複数のドロップレット捕集板が植設されているので、前記拡径管内でのドロップレット付着表面積を多くして、飛散ドロップレットを大量かつ確実に付着、回収でき、プラズマ流の高純度化を実現することができる。
プラズマ進行路において、前記第6の形態に係るドロップレット捕集板を多数個設置すれば、ドロップレット除去面積を増大することができるが、進行路形状や内径等の形態条件によって、設置数に限界を生じるといった課題を生じる。この課題に関して、本発明者は、鋭意検討した結果、前記ドロップレット捕集板の表面に粗面加工を施すことにより、この粗面にドロップレットが付着し易くなり、ドロップレットの捕集率の向上を図ることが出来る点に着目した。即ち、本発明の第7の形態によれば、前記ドロップレット捕集板の表面が粗面加工を施されているので、前記ドロップレット捕集板の捕集面積の増大と付着強度が増大して、捕集効率が向上しドロップレット除去効率の向上に寄与することができる。
前記ドロップレット捕集板を前記内周管の内壁に対し管軸に直交するように植設しても捕集効果はあるが、本発明の第8の形態によれば、前記ドロップレット捕集板を前記導入側縮径管に向けて斜行配置したので、ドロップレット捕集板間でドロップレットの再反射捕集確率が増加して逃散するドロップレットが少なくなり、また前記拡径管内に流入するドロップレットを受ける面積が多くなり、前記ドロップレット捕集板の捕集効率が向上しドロップレット除去効率の向上により一層寄与することができる。
本発明の第9の形態によれば、前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管にドロップレット捕集用アパーチャーを配設したので、例えば、プラズマ進行路の管径を縮小し、あるいは偏心により開口形状を変形させるアパーチャーを用いて、プラズマ進行路の始端及び終端において直進するドロップレットを捕集してドロップレット除去効率の向上に寄与する。
本発明の第10の形態によれば、複数の前記拡径管を、縮径管を介して連接したので、複数段階に亘ってドロップレットを除去することができ、高純度のプラズマ流を生成することができる。この場合に、拡径管と拡径管の管軸を偏心させればドロップレット捕集効率が上がることは前述した通りである。
本発明の第11の形態によれば、ドロップレットが混合したプラズマが進行する拡径管内の断面周方向に回転磁場を発生させる回転磁場印加手段が配置され、前記回転磁場により前記ドロップレット混合プラズマが回転しながら進行するから、このドロップレット混合プラズマから遠心力により前記帯電ドロップレットや微小なドロップレットを分離することができる。前記ドロップレット混合プラズマは、回転しながら前記筒状進行路の断面周方向に屈曲して進行し、徐々に回転半径が拡大する。更に、前記回転磁場が印加されない領域まで進行すると、前記拡径管の終端側又は全体に印加される直進方向の磁場により、前記拡径管の中心軸に近づくか、又は前記拡径管の終端に向かって直進する。前記ドロップレットは、プラズマ構成粒子より質量が大きいため、急激なプラズマ流の進行方向の変化に追従できないから、前記ドロップレットを慣性力により前記拡径管内の壁面に衝突させて除去することができる。即ち、前記回転磁場に固定された回転座表系から見れば、前記ドロップレットは回転磁場と質量に比例する遠心力を受けるから、この遠心力により前記ドロップレットを前記ドロップレット混合プラズマから分離して、高純度のプラズマ流を形成することができる。
また、磁場を増大させることにより、微小なドロップレットを除去することができ、大きな質量を有する帯電ドロップレットも、前記遠心力により高効率に除去することができる。従って、本発明に係るドロップレット除去装置は、被処理物表面に高純度の薄膜を形成することができ、前記被処理物表面に均一な表面改質を施すことができる。また、前記ドロップレット混合プラズマが進行する経路は、磁場強度を調整することにより所望の大きさに設定することができるから、ドロップレット除去装置を小型化することができる。
更に、拡径管外周の直進磁場発生器による直進磁場との電磁相互作用により、プラズマ流が直進磁場の方向に沿って螺旋軌道を描きながら進行するから場合、前記プラズマの旋回方向に回転する回転磁場を前記ドロップレット混合プラズマに印加することにより、前記ドロップレットに作用する遠心力を増大させることができる。従って、前記ドロップレット混合プラズマから前記ドロップレットを高効率に分離して除去することができる。
本発明の第12の形態によれば、前記回転磁場印加手段が振動磁場を発生させる複数の振動磁場発生器から構成され、これらの振動磁場発生器により位相及び振動方向が異なる複数の振動磁場を発生させ、これらの振動磁場から前記回転磁場を合成するから、この回転磁場を高精度に制御することができる。前記振動磁場発生器は電磁石から構成され、取付け位置と印加電圧を調整することにより、振動磁場の位相、振幅、振動数及び振動方向を自在に調節することができ、複数の振動磁場を組み合わせることにより、所望の回転磁場を合成することができる。即ち、前記拡径管の形状や大きさ、またはプラズマやドロップレットの特性や状態に応じて好適な回転磁場を印加することができ、回転磁場の回転方向や強度等を自在に設定することができる。従って、プラズマ流が進行方向に沿って螺旋軌道を描きながら進行する場合、前記プラズマ流の旋回方向に応じて回転磁場の回転方向を自在に選択することができる。また、各振動磁場発生器の配置は、所望の回転磁場が合成可能であれば良く、振動磁場発生器をプラズマ進行方向に沿って複数段に配置すれば更にドロップレットを効率的に遠心力で除去できる。
前記回転磁場印加手段が2つの振動磁場発生器から構成される場合、これらの振動磁場が直交又は略直交するように前記振動磁場発生器が配設できるから、2つの振動磁場を、夫々、X軸成分及びY軸成分とすれば、種々の回転磁場を合成することができる。
前記直交又は略直交する2つの振動磁場の位相差が90°又は略90°に設定される場合、前記2つの振動磁場により回転磁場を容易に制御することができ、安定した回転磁場を発生させることができる。前記2つの振動磁場の振幅を同一に設定すれば、回転磁場の強度を一定に維持することができ、前記ドロップレット混合プラズマを円形に回転させながら筒状進行路内を進行させることができる。前記ドロップレット混合プラズマの進行方向に沿って複数の回転磁場印加手段が前記筒状進行路に配設される場合、複数段に亘ってドロップレットを除去することができ、高純度のプラズマ流を供給することができる。
前記複数の回転磁場印加手段により印加される各回転磁場の位相が同位相に設定されると、簡易に複数の回転磁場印加手段を制御することができる。即ち、前記複数の回転磁場印加手段に接続される制御装置を全て同条件に設定することができ、複数の回転磁場を簡易に調整することができる。
前記複数の回転磁場印加手段により印加される各回転磁場の位相が前記ドロップレット混合プラズマの進行方向に沿って交互に180°又は略180°異なるように設定されると、前記ドロップレット混合プラズマが屈曲する方向が交互に逆方向となるから、遠心力により分離されるドロップレットの放出方向を交互に反転させることができ、分離されたドロップレットが前記ドロップレット混合プラズマに再混入することを防止することができる。
前記振動磁場発生器がコイルを巻回した馬蹄形磁性体から形成される場合、コイルの両端から発生する磁場を拡径管内に印加することができ、前記磁性体に巻回されることにより磁場が増強されるから、高効率に振動磁場を発生させることができる。従って、コイルの自己インダクタンスを小さく設定することができ、振動磁場の最大振動数を増大させることができる。更に、コイルから発生する熱量を前記馬蹄形磁性体を介して放出することができる。
本発明の第13の形態によれば、拡径管内に1つ以上のアパーチャーが設けられ、このアパーチャーの偏心位置に通過孔が設けられている。拡径管の外周に配設された磁場発生手段によって、磁力線が前記偏心通過孔を湾曲状に通過するような磁場が形成される。プラズマを構成する+イオンや電子は荷電粒子であるから、このプラズマは磁力線に巻き付きながら偏心通過孔を湾曲通過する。プラズマに随伴するドロップレットは電荷を持っていないので、プラズマがアパーチャーの偏心通過孔を湾曲通過するときにその慣性によって直進し、外側に飛び出してアパーチャーの壁面に衝突して除去される。従って、ドロップレットが殆ど混入しないプラズマだけで拡径管の前方に配置される被処理物の表面を処理することができる。このように、ドロップレットが殆ど混入しないプラズマだけで被処理物の表面を処理できるから、被処理物の表面に高純度の被膜を形成することができる。
また、拡径管内にアパーチャーを配設するだけであるから、ドロップレットが付着したアパーチャーの壁面や筒状進行路の壁面を容易にオーバーホールでき、付着したドロップレットを取り除く作業を簡単に行うことができる。このように、ドロップレット除去装置全体の構造を簡単化することができ、安価で容易に装置を製作することができる。
本発明の第14の形態によれば、拡径管内に複数のアパーチャーを設け、隣り合うアパーチャーの偏心通過孔の位置を互いにずらせて配置している。従って、1段目のアパーチャーの偏心通過孔をプラズマに随伴して通過した小さなドロップレットはプラズマが偏心通過孔を湾曲通過するときに、その慣性によって直進して外側に飛び出し、2段目のアパーチャーの壁面に衝突させて除去される。3段目のアパーチャーをプラズマが湾曲通過するときに、更にプラズマに随伴している小さなドロップレットを除去することができる。このようにアパーチャーを多段に設けることによって、プラズマに随伴するドロップレットを少なくすることができて、筒状進行路の前方に配置される被処理物の表面をより一層純度の高いプラズマで処理することができる。更に、隣り合うアパーチャーの偏心通過孔は、周方向に180度位置をずらして配置することができることは勿論であるが、90度あるいは60度等ずらす角度は任意に選択することができる。また、アパーチャーの偏心通過孔の位置を径方向にずらして形成することも可能である。
本発明の第15の形態によれば、磁場発生手段が斜行磁場発生器で構成されているので、この斜行磁場発生器によって、磁力線が偏心通過孔を湾曲状に通過するような斜行磁場が形成される。斜行磁場発生器で斜行磁場を形成するから、この斜行磁場をアパーチャーの偏心通過孔に合わせて、自在に調整することができ、プラズマ流をこの偏心通過孔に確実に誘導させることができる。
前記斜行磁場発生器が筒状進行路の外周面に斜行配置された電磁石又は永久磁石で形成される場合、磁力線が偏心通過孔を湾曲状に通過する斜行磁場が形成される。電磁石で斜行磁場を形成する場合には、コイルの巻数を多くすることによって、強力な斜行磁場を形成することができる。コイルの巻数を変えることによってコイル電流を可変するだけで、磁場の強さを簡単に大小制御することができる。電磁石の傾きを変化させることにより、斜行磁場の角度を簡易に変更・調整することができる。前記電磁石として超伝導磁石(超伝導線をコイルにした電磁石)を用いることにより、エネルギーの損失がほとんど無く、強磁場を発生することができる。また、永久磁石で斜行磁場を形成する場合には、永久磁石の向きを調整することによって、アパーチャーの偏心通過孔に合致した位置の斜行磁場を形成することができる。更に、拡径管の外周に配置する永久磁石のN極とS極の位置を自在に選択することができ、この永久磁石のN極とS極を簡単に取り付けることができる。
直進磁場発生器で発生される直進磁場と径方向磁場発生器で発生される径方向磁場の合成により斜行磁場を形成すると、この斜行磁場は、磁力線が偏心通過孔を湾曲状に通過する位置に形成される。径方向磁場を大きくすることによって、大きく湾曲したプラズマ流を形成でき、偏心通過孔を通過する際にドロップレットを確実に遮蔽除去できる。前記径方向磁場発生器が、筒状進行路の外周にX−X軸方向とY−Y軸方向に直角又は略直角に2組配されると、X−X軸方向とY−Y軸方向の磁場を所定の強度に設定することにより、所望の向きと強度を有する合成磁場を形成することができる。従って、プラズマをアパーチャーの偏心通過孔に誘導する合成磁場を形成することができる。また、2組の径方向磁場発生器が電磁石で形成される場合、電磁コイルの巻数を増加させるか又はコイル電流を調整することにより、合成磁場の向き及び強度を自在に制御することができる。従って、アパーチャーの偏心通過孔の位置を適宜に設定し、この偏心通過孔の位置に適する合成磁場を容易に形成することができる。
本発明の第16の形態によれば、前記導入側縮径管と前記拡径管と前記排出側縮径管を少なくとも含むプラズマ搬送用のダクト部は、前記プラズマ発生部及び前記被プラズマ処理部と電気的に絶縁される。即ち、ダクト部とは、前記プラズマ発生部及び前記被プラズマ処理部を除く本装置のプラズマ搬送用配管の全領域を云い、多くの場合、ダクト部の全体が電気的導通性を有している。但し、拡径管の内部に絶縁材を介して内周管を挿入する場合には、内周管は他のダクト部と電気的に浮動状態になるが、この場合でも内周管はダクト部を構成する。被プラズマ処理部とは、プラズ処理物を表面処理する加工部のことである。ダクト部の始端側とプラズマ発生部の間に絶縁用プレートを介装し、ダクト部の終端側と被プラズマ処理部の間に絶縁用プレートを介装するだけで、電気絶縁が達成される。この電気絶縁により、ダクト部(プラズマ搬送部)を電気的に浮動させることが可能になる。通常、プラズマ発生部は高電位に設定され、被プラズマ処理部は接地されるから、前記電気絶縁により、ダクト部は高電位及びGNDと離れた浮動状態に保持できる。この電気的浮動性により、プラズマに対する電磁的作用が消去され、プラズマの搬送効率に対する影響が無くなり、ダクト部の全長が長くなってもダクト部におけるプラズマ量及びプラズマ密度の低下を抑制でき、プラズマ搬送効率の低下を防止できる。
本発明の第17の形態によれば、前記ダクト部にバイアス電圧が印加されるから、ダクト部のバイアス電位を調整することにより、プラズマの減衰を抑制でき、プラズマ搬送効率を増加させることが可能になる。ダクト部の電位は+の場合と−の場合がある。また、拡径部の中に挿入される内周管もダクト部に含まれる。拡径部にバイアス電位を印加する場合には、プラズマと接触する内周管に印加することが好ましい。特に、内周管が外周管と電気絶縁されている場合には、内周管にバイアス電位が印加される。内周管と外周管の間にバイアス電圧を印加してもよいし、内周管とGNDの間にバイアス電圧を印加してもよいなど、印加形態は好適に選択される。+電位の場合には、+イオンは反発して搬送方向に押し出され、−電位の場合には電子が反発して搬送方向に押し出される。+−いずれの電位を印加するかは、プラズマ搬送効率を増加させるように選択される。また電位の大きさも種々に調節され、プラズマ搬送効率を増加させる電位強度が選択される。
本発明の第18の形態によれば、前記ダクト部内にプローブを挿入するか、又は前記ダクト部をプローブとして利用してプラズマの物性量を測定することができる。プラズマ物性量とは、イオン密度、電子密度、プラズマ移動速度、プラズマ温度などのプラズマパラメータである。ダクト部内に前記プローブを挿入すると、プラズマ流に擾乱を起こす場合があり、極力擾乱を起こしにくいプローブの大きさに調整される。挿入されるプローブの個数は1本、2本など種々に選択できる。この擾乱を避けるために、前記プローブを挿入せずに、ダクト部自体をプローブとして利用することができる。前記プローブ又はプローブとして利用されるダクト部に印加される電位の極性は+又は−が選択され、その電位強度も種々に調整される。また、プラズマは導通性を有するから、このプラズマと接触するダクト部にはプラズマ電位が印加される。従って、外部電圧を全く印加せずに、ダクト部とGNDの間の電圧を計測することにより、前記ダクト部に印加されるプラズマ電位からプラズマパラメータを測定することができる。プローブから出力される波形や波高などの値が前記プラズマパラメータと直接対応する場合もあり、また所定の計算によりプラズマパラメータを導出することもできる。プローブ計測において適用される技術的手段は、プラズマの状態に応じて調節できることは云うまでもない。
本発明の完成に至る経緯において、本発明者は、ドロップレット低減条件の目標を達成するには、前記プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和のいずれかひとつ又はその組み合わせ等の形態因子が有効要素となるという知見を得た。そこで、本発明の第19の形態によれば、前記プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和のいずれかひとつ又はその組み合わせがドロップレット低減条件を満足するように設定されているので、前記プラズマ進行路に設置した前記ドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。
本発明の第20の形態によれば、前記有効要素のひとつである前記有効全長が1600〜900mmで設定されることにより、前記プラズマ進行路に設置した前記ドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。
本発明の第21の形態によれば、前記有効要素のひとつである、前記直径が200〜90mmで設定されることにより、前記プラズマ進行路に設置した前記ドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。
本発明の第22の形態によれば、前記有効要素のひとつである、前記屈曲数が3〜1で設定されることにより、前記プラズマ進行路に設置した前記ドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。
本発明の第23の形態によれば、前記有効要素のひとつである、前記屈曲角の総和が150〜90°で設定されることにより、前記プラズマ進行路に設置した前記ドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。
本発明者は、前記有効要素の形態因子とは別に、前記プラズマ発生部におけるアーク電流値もドロップレット除去に有効な要素になり得るといった知見を得た。即ち、本発明の第24の形態によれば、前記プラズマ発生部におけるアーク電流値が140〜30Aの範囲で調整されることにより、前記プラズマ進行路に設置した前記ドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。
以下、本発明に係るプラズマ生成装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。本発明において、被処理物を加工するプラズマ加工部(被プラズマ処理部)を付設した装置又はプラズマ加工部を付設しない装置の両方がプラズマ生成装置として包含される。プラズマ加工部を有するプラズマ生成装置は、プラズマ加工装置と称されてもよい。
図1は本発明に係るプラズマ生成装置の概略構成図である。図に示すプラズマ生成装置1は、プラズマ発生部2、プラズマ加工部12及びプラズマ進行路5から構成される。プラズマ進行路5には、プラズマの発生時に陰極4から副生するドロップレットを除去するドロップレット除去部が配置されている。このドロップレット除去部は、プラズマ進行路5を形成する拡径管3と、拡径管3のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管34と、拡径管3のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管39と、拡径管3の始端及び終端に形成された段差部40とから構成される。導入側縮径管34の前段には連結進行路7が連接されている。
プラズマ発生部2から前方に直進管41が配設されており、この直進管41から90°の屈曲角θの主折曲部7aを介して前記連結進行路7が設けられている。この連結進行路7の主折曲部7aから前方に、前記直進管41内にドロッレット進行路32が形成されている。拡径管3と導入側縮径管34とは導入折曲部7bを介して交差するように接続され、この実施例では前記導入折曲部7bの屈曲角θは30°である。また、排出側縮径管39と拡径管3との屈曲角θも30°に設定され、屈曲角の総和θ(=θ+θ+θ)は150°になる。拡径管3は、内周管36と外周管35からなる。外周管35はプラズマ流の進行に関与せず、内周管36の保護部材であり、内周管36は、絶縁リングなどの絶縁材46を介して外周管35内に取着され、内周管36と外周管35とは電気的に絶縁されている。内周管36は絶縁材46と一体に外周管35より分離されて取り出される構成にあり、外周管35に対して挿脱自在に取り付けられている。
プラズマ発生部2は、陰極(カソード)4、トリガ電極6、陽極(アノード)8、アーク電源10、陰極プロテクタ27、プラズマ安定化磁界発生器(電磁コイル若しくは磁石)16を備えている。陰極4は、プラズマ構成物質の供給源であり、その形成材料は、導電性を有する固体なら特に限定されず、金属単体、合金、無機単体、無機化合物(金属酸化物・窒化物)等を単独又は2種以上混合して用いることができる。陰極プロテクタ27は、蒸発する陰極表面以外を電気絶縁し、陰極4と陽極8との間に発生するプラズマが後方に拡散することを防止するものである。陽極8の形成材料は、プラズマ温度でも蒸発せず、非磁性の材料で導電性を有する固体なら特に限定されない。また陽極8の形状はアークプラズマの全体の進行を遮るものでなければ、特に限定されない。更に、プラズマ安定化磁界発生器16は、プラズマ発生部2の外周に配置され、プラズマを安定化させる。プラズマに対する印加磁場が互いに逆方向(カスプ形)となるようにアーク安定化磁界発生器16が配置された場合、プラズマはより安定化する。また、プラズマ発生部2と直進管41とはプラズマ発生部側絶縁プレート42で電気的に絶縁され、プラズマ発生部2に高電圧が印加されても、直進管41から前方部は電気的に浮動状態にあり、プラズマがプラズマ進行路内で電気的な影響を受けないように構成されている。また、排出側縮径管39とプラズマ加工部12の間にも加工部側絶縁プレート44が介装されている。その結果、直進管41から排出側縮径管39までのプラズマ搬送用のダクト部の全体が、電気的に浮動状態に設定され、搬送されるプラズマに外部電源(高電圧やGND)の影響がない様に構成されている。
内周管36にはバイアス電源48が接続され、内周管36を+電位に設定したり、−電位に設定することができる。内周管36のバイアス電位が+電位の場合には、プラズマ中の+イオンを搬送方向に押し出す効果があり、−電位の場合にはプラズマ中の電子を搬送方向に押し出す効果がある。+−のいずれを選択するかはプラズマ搬送効率を低下させない方向に選択され、プラズマの状態で判断される。電位強度も可変であり、通常は内周管36を+15Vに設定することが搬送効率の観点から選ばれている。
また、外周管35にはプローブ電源49が接続され、外周管35と導通している前述したダクト部の電位が調節される。プラズマ自体はプラズマ電位を有しているため、ダクト部の電位は前記プローブ電位とプラズマ電位が重畳された合成電位になる。ダクト部とGNDの間にオッシロスコープを接続すると、前記合成電位の波形が測定され、この波高値や周期などからプラズマパラメータが測定できる。プローブ電源を接続しない場合には、ダクト部の電位は前記プラズマ電位になり、ダクト部とGNDの間にオッシロスコープを接続することによりプラズマ電位を計測することが可能である。プラズマ自体が導通性を有するから、ダクト部の電位がプラズマ電位を反映することから、上記内容が理解できる。
プラズマ発生部2では、陰極4とトリガ電極6の間に電気スパークを生起し、陰極4と陽極8の間に真空アークを発生させてプラズマが生成される。このプラズマの構成粒子は、前記陰極4からの蒸発物質、蒸発物質と反応ガスを起源とする荷電粒子(イオン、電子)と共に、プラズマ前状態の分子、原子の中性粒子を含む。また、プラズマ構成粒子が放出されると同時に、サブミクロン以下から数百ミクロン(0.01〜1000μm)サイズのドロップレット18が放出される。このドロップレット18は、プラズマ流との混合状態を形成し、ドロップレット混合プラズマ9としてプラズマ進行路7内を移動する。
プラズマ進行路5に配置したドロップレット除去部において、導入側縮径管34より拡径管3内に導入されたプラズマ流が拡径管3によるプラズマ進行路の拡径作用により拡散される。そのプラズマ流9bは拡散するが、プラズマに混入しているドロップレットは直進するから拡径管3の管内壁面に衝突しながら拡径管3の内部に拡散する。この拡散によりプラズマ流の中心部分ではドロップレットが減少し、プラズマ流体の外周に多くドロップレットが分布する状態に遷移する。この分布変化により、段差部40付近及び内周管36の内壁面にドロップレット18が衝突して付着、回収される。また、内周管36内のプラズマ流が排出されるときには、内周管36から排出側縮径管39への縮径作用により、内周管36内側壁側に飛散したドロップレットがプラズマ流9bに合流して再び混入することを防ぐことができる。排出折曲部7cから飛び出たドロップレット18は直進して排出側縮径管39の内壁面に衝突して回収されるが、プラズマ流9bは磁場により排出折曲部7cに沿って湾曲し、ドロップレット18と分離される。その結果、プラズマ流9bから殆んどのドロップレット18が分離捕集されるため、プラズマ加工部12には純粋なプラズマ9aが供給されることになる。従って、段差部40付近及び内周管36の内側壁にドロップレットを付着させて、十分に回収でき、プラズマ進行路5においてドロップレットを効率的に除去することができる。しかも、プラズマ進行路5に拡径管3を形成するだけで、簡易かつ安価にドロップレット除去部を構成でき、更にドロップレット除去効率の向上により得られる高純度プラズマをプラズマ加工部12に導入して、成膜等の表面処理の加工精度を向上させ、被処理物表面の表面改質や形成膜の均一性を格段に向上させることができる。導入側縮径管34及び排出側縮径管39の内径は同じであり、これらに対するより拡径管3の内周管36の拡径度合いは、前者に対して約1.2〜3倍程度であればよい。
拡径管3において内周管36を外周管35に対して挿脱自在にしているので、ドロップレットで汚染された内周管36を随時、交換可能にすることができ、ドロップレット清掃作業性が向上し、プラズマ生成装置の稼動効率を低下させずに、プラズマ生成処理を円滑に行うことができる。
導入側縮径管34及び排出側縮径管39は、それぞれの管軸が拡径管3の管軸に対して所定屈曲角(θ+θ=60°)で傾斜配置され、拡径管3に対するそれぞれの接合面は楕円形状になっている。これにより、導入側縮径管34、排出側縮径管39及び拡径管3による、屈曲型プラズマ進行路が形成されるので、拡径管3内で拡散されたドロップレットをより効率的に段差部40付近及び拡径管3の内側壁に衝突させて付着、回収できる。従って、プラズマ流に混入したドロップレットを高効率に分離することができ、高純度化されたプラズマ流を前記排出側縮径管より排出させて、ドロップレット除去効率の向上を図ることができる。
本実施形態においては、導入側縮径管34及び排出側縮径管39の管軸を拡径管3の始端及び終端に対して同じ向きに連接した平行配置(θ=30°、θ=30°)の場合である。また、例えば排出側縮径管39の管軸を拡径管3の管軸に対して逆方向に30°で傾斜(θ=−30°)させれば、導入側縮径管34及び排出側縮径管39の管軸を拡径管3の始端及び終端に対して互いに交差するような交差配置(θ=30°、θ=−30°)になるので、導入側縮径管34に対して交差する向きの排出側縮径管39内壁に、拡径管3より排出されたプラズマ流が衝突し、蛇行しながら排出側縮径管内を流通させることができる。従って、前記平行配置の場合に比較して、段差部40付近及び内周管36の内側壁に衝突させてドロップレットを付着、回収した後、プラズマ流の中心付近に混入したドロップレットが内周管36より排出されても、ドロップレットが直進して排出側縮径管内壁39に衝突し、付着回収されるので、より高効率にドロップレットを除去することができる。
図2はドロップレット捕集板38を有する内周管36の部分拡大断面図である。内周管36の内壁には、複数枚のドロップレット捕集板38が植設されている。ドロップレット捕集板38の傾斜角αは15〜90°の範囲で設定されるが、経験的に30〜60°が好適であり、この実施例ではα=45°に設定されている。この傾斜角では、プラズマ流9bから分離されたドロップレット18はドロップレット捕集板38を図示する様に多重反射しながら確実に付着回収できる。
図3はドロップレット捕集板38の構造の一部断面図であり、(3A)はその部分断面図、(3B)は1枚のドロップレット捕集板38の外観図である。複数枚のドロップレット捕集板38により内周管36内でのドロップレット付着表面積を多くして、飛散ドロップレットを大量かつ確実に付着、回収することができる。プラズマ進行路において、内周管36の管長による制限によってドロップレット捕集板38の設置枚数が制約されるので、ドロップレット除去面積を増大するために、ドロップレット捕集板38の表面に粗面加工が施され、無数の凹凸を有した粗面38aが形成されている。ドロップレット捕集板38の表面が粗面38aになっているから、ドロップレット捕集板38の捕集面積が増大して、捕集効率が向上させることができる。また、凹部に衝突したドロップレット18は凹部で確実に固着され、ドロップレット捕集効率が格段に増加する。粗面加工38aには、筋目加工や梨地加工を使用することができる。筋目加工方法としては、例えば、研磨紙による研磨処理を用いる。梨地加工方法には、例えば、アルミナ、ショット、グリッド、ガラスビーズ等によるブラスト処理を用い、特に、圧縮空気等により数ミクロン粒子を加速してノズル噴射させるマイクロブラスト加工が、ドロップレット捕集板38の狭い表面に微細凹凸加工を施すことができる。
前述したようにドロップレット捕集板は重要であるから、ここで再記しておく。ドロップレット捕集板38の捕集面は図3に示すように、内周管36の内壁に対し約45°傾斜している。従って、内周管36にドロップレット捕集板38を取り付けた状態においては、捕集面が導入側縮径管34に向けて斜行配置されるので、内周管36内に流入するドロップレットを受ける面積が多くなる。従って、ドロップレット捕集板38の捕集効率の向上により、ドロップレット除去効率を一層高めることができる。また、約45°傾斜させることにより、捕集したドロップレットが捕集面に衝突・反射し、再度捕集板より飛び出すことを防ぐことが出来る。図1では、導入側縮径管34及び排出側縮径管39にも同様の縮径管用ドロップレット捕集板37が多数植設されている。この縮径管用ドロップレット捕集板37は縮径管内面に対し90°で直立配置されているが、前記ドロップレット捕集板18と同様に適切な傾斜角で傾斜配置してもよいことは云うまでもない。また、連結進行管7及びドロップレット進行路32の管壁内面にも多数のドロップレット捕集板33が配設されているが、図示は省略している。これらのドロップレット捕集板33の傾斜配置についても上述と同様である。
図1において、連結進行路7が連結された直進管32には、第1磁場発生器26、屈曲磁場発生器28が配設され、また連結進行路7と導入側縮径管34の外周には第2磁場発生器30、30が配設されている。拡径管3の外周には直進磁場発生器24が配置され、排出側縮径管39の外周にも第3磁場発生器31が配置されている。第1磁場発生器26、第2磁場発生器30、第3磁場発生器31及び直進磁場発生器24はプラズマを前進させるために設けられている。折曲部7aに斜行配置された屈曲磁場発生器28により屈曲磁場が印加され、プラズマ発生部2から放出されたドロップレット混合プラズマ9は、折曲部7aで屈曲される。このとき、電気的に中性なドロップレット18は、屈曲磁場の影響を受けず、慣性力によってドロップレット進行路32を進行し、ドロップレット進行路32の終端に設けたドロップレット捕集部20に捕集される。従って、ドロップレット進行路32に対して、連結進行路7を介して垂直又はほぼ垂直に連接された導入側縮径管34には、プラズマ進行路の屈曲作用により、あらかじめドロップレットの一部が除去されたプラズマ流を流入させることができるため、上記プラズマ進行路5に設けたドロップレット除去部によるドロップレット除去との相乗効果により、ドロップレットの高効率除去が可能となる。また、導入側縮径管34と排出側縮径管39を拡径管3に対し傾斜配置することで、ドロップレット捕集効率を更に増加させることができる。
導入側縮径管34は連結進行路7に対して僅かに縮径されており、この縮径作用によってもドロップレットの除去が行われるが、連結進行路7との連結部付近にロップレット捕集用アパーチャー50を配設している。排出側縮径管39のプラズマ加工部12側開口付近には、ドロップレット捕集用アパーチャー51を配設している。アパーチャー50、51には、例えば、プラズマ進行路の管径を縮小し、あるいは偏心、もしくは縮小・偏心により開口形状を変形させる円板型アパーチャーを用いることができる。これらのアパーチャー50、51を設置することにより、プラズマ進行路の始端及び終端において直進するドロップレットを捕集してドロップレット除去効率の向上に寄与する。
上記構成に係るプラズマ生成装置1において、ドロップレット捕集部20及びプラズマ進行路5のドロップレット除去部やアパーチャー50、51によりドロップレットが除去された高純度のプラズマ9aは、排出側縮径管39に配設された第3磁場発生器31の磁場により誘導されて進行し、プラズマ加工部12に導入され、被処理物14の表面処理が行われる。従って、高純度プラズマにより被処理物表面に均一な表面改質を施したり、欠陥や不純物の少ない高品質の薄膜を形成することができる。
本発明者の得た知見によれば、ドロップレット低減条件の目標を達成するには、プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和のいずれかひとつ又はその組み合わせ等の形態因子が有効要素となる。図4及び図5の(5A)はこれらの形態因子についての有効性を検証した結果を示す。この検証においては、プラズマ進行路を全長に亘り同一径の管路で形成した。
図4はプラズマ進行路の有効全長L(mm)、直径D(mm)、屈曲数Nとドロップレット除去率との相関関係を示すグラフである。図5の(5A)は、プラズマ進行路の屈曲角の総和(=θ+θ+θ)とドロップレット除去率との相関関係を示すグラフである。図4における縦軸のNは、単位面積(2.5inch×2.5inch)当たりの被処理物へのドロップレット付着数を示す。成膜速度が10A/sec(A=0.1nm)で、例えば10nm膜の形成を行う場合に、N<100を、プラズマ加工部12における表面処理能力の目標値として、つまりドロップレット低減条件の目標値と設定した。
図4から分かるように、有効全長が1600〜900mmで設定されることにより、また管直径が200〜90mmで設定されることにより、更に屈曲数が3〜1で設定されることにより、上記ドロップレット低減条件を満足させることができる。
図5の(5A)における縦軸のN/Nは、直進プラズマ進行路のみの場合の被処理物へのドロップレット付着数Nとの比較を示す。N/Nが1以下であればあるほど、プラズマ加工部12における表面処理能力を高めることができるので、それをドロップレット低減条件の目標値と設定した。屈曲角はプラズマ流の進行に対しての管路が屈曲される角度である。図5の(5A)から分かるように、屈曲角の総和が150〜90°で設定されることにより、上記ドロップレット低減条件を満足させることができる。
上記の検証結果から、プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和のいずれかひとつ又はその組み合わせがドロップレット低減条件を満足するように設定されることにより、プラズマ進行路に設置したドロップレット除去部のドロップレット除去効果を一層向上させることができる。上記実施形態においては、プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和をそれぞれ、1500mm、200mm、3(主折曲部7a、導入折曲部7b、排出折曲部7cによる3箇所)、150°(90°+30°+30°)としており、上記の形態因子の有効要素を包含させている。
本発明者の得た知見によれば、上記有効要素の形態因子とは別に、プラズマ発生部2におけるアーク電流値もドロップレット除去に有効な要素になり得る。
図5の(5B)は縦軸のN/Nに対するプラズマ発生部2におけるアーク電流値との関係を示す。即ち、プラズマ発生部2におけるアーク電流値が140〜30Aの範囲で調整されることにより、上記有効要素の形態因子と同様に、上記ドロップレット低減条件を満足させることができ、本実施形態に係るドロップレット除去部との併用により、ドロップレット除去効率を一層向上させることができる。
複数の拡径管を、縮径管を介して連接することにより、ドロップレット除去効率の向上を図ることができる。
図6は、複数の拡径管配置の一例であり、直線状に2個の拡径管200、201を中継縮径管202を介して連接したプラズマ進行路を示す。導入側縮径管203は拡径管201に対して傾斜配置され、拡径管201は中継縮径管202を介して拡径管200に連接され、更に拡径管200には排出側縮径管204が連接されている。これらの連接された拡径管200、201により、複数段階に亘ってドロップレットを除去することができ、高純度のプラズマ流を生成することができる。しかも、図示するように、連接される管路の管軸が合致しないように偏心させて、拡径管200、201に形成される段差部におけるドロップレットの除去効果を高めている。なお、中継縮径管202を湾曲形成して、外部にプラズマ誘導磁場発生部を設け、プラズマ進行路をより屈曲度合いを高めながら複数の拡径管を連接してもよい。
図7は2個の拡径管の更に多様な接続形態を示す概念図である。(7A)では、拡径管200、201の管軸を一致させた場合が示される。この場合には、プラズマ流Pは直線状に進行し、ドロップレットDは拡径管の段差部と内周面で捕集される。(7B)では、拡径管200、201の管軸をずらせた場合が示される。この場合には、プラズマ流Pはやや蛇行し、この蛇行によりドロップレットDがプラズマ流Pから分離するため、ドロップレットDの段差部捕集が増強される。(7C)は、導入側縮径管203と排出側縮径管204を平行配置(θ=0、θ=0)させた場合である。傾斜角θ、θは図1に示されるものと同定義である。この場合には、プラズマ流Pは直進し、ドロップレットDは拡径管の段差部で捕集される。(7D)では、導入側縮径管203と排出側縮径管204を斜行配置(θ=−30°、θ=−30°)させた場合に相当する。結果的に導入側縮径管203と排出側縮径管204は平行することになる。この場合には、プラズマ流PはS字状に蛇行し、このS字蛇行によりドロップレットDはプラズマ流Pから強制分離され、ドロップレットDの拡径管段差部による捕集効果が増強される。(7E)では、導入側縮径管203と排出側縮径管204を斜行配置(θ=30°、θ=−30°)させた場合が示される。この場合には、導入側縮径管203と排出側縮径管204の管軸は交差する。プラズマ流Pは湾曲状に蛇行し、この湾曲蛇行によりドロップレットDはプラズマ流Pから分離し、ドロップレットDの拡径管段差部による捕集効果が増強される。(7A)と(7B)の選択、更に(7C)〜(7E)の選択があり、両者の組合せにより多様性が広がる。また、拡径管が3個以上になると更に多様性が増加するが、選択の基準は、ドロップレットの捕集効率を最大化し、同時にプラズマ搬送効率の低下を最大抑制することである。本発明を利用すれば、多種多様に選択の幅を広げることが可能になる。
図8は本発明に係るプラズマ生成装置の別実施例の概略構成図である。図1と同一部分には同一符号を使用し、その作用効果は同一であるからその記載を省略する。以下に、異なる符合部分について、作用効果を説述する。
拡径部3には、X軸方向の振動磁場Bを発生させる振動磁場発生器22a、22a及びY軸方向の振動磁場Bを発生させる振動磁場発生器22、22(図9参照)が、振動磁場Bと振動磁場Bが直交するように配設されている。Z軸方向の直進磁場Bは直進磁場発生器24により形成される。回転磁場は振動磁場Bと振動磁場Bの合成磁場からなり、本発明の回転磁場発生手段の具体例として、振動磁場発生器22a、22a及び振動磁場発生器22、22の組合せが挙げられる。前記回転磁場と前記直進磁場の合成により螺旋磁場が形成される。直進磁場発生器24は前記拡径部3の外周に巻回された電磁コイルから構成される。従って、前記ドロップレット混合プラズマは、前記回転磁場と直進磁場により前記筒状進行路を螺旋回転しながら進行する。この回転に基づく遠心力によりドロップレット18はプラズマ流9bから強力に分離され、ドロップレット捕集板38及び段差部40に効率的に捕獲される。傾斜角θ、θによるドロップレット分離に加えて、この実施例では遠心力分離が加算され、ドロップレットの分離効率が一層に増強される。
図9は、拡径管3に形成される回転磁場の説明図である。(9A)には、振動磁場発生器22a、22aによる時刻tの振動磁場B(t)、振動磁場発生器22、22による時刻tの振動磁場B(t)及び時刻tの回転磁場B(t)の関係を示す。(9A)では、前記拡径管におけるプラズマ流が通過する1つの位置に印加される磁場を示し、直進磁場Bは定常磁場としている。しかし、前記直進磁場を時間と共に変化させることもできる。時刻t=tにおける振動磁場B(t)及びB(t)から回転磁場B(t)が合成される。
(9B)及び(9C)(時刻表記(t)を省略)に示すように、前記回転磁場Bと直進磁場Bから合成磁場Bが合成され、前記ドロップレット混合プラズマ9は、合成磁場Bの方向に屈曲されて前記拡径管3を進行する。同様に、(9A)では、時刻t=tにおける振動磁場B(t)及びB(t)から回転磁場B(t)が合成される。即ち、時刻tがtからtに進むと、振動磁場B(t)、B(t)が振動磁場B(t)、B(t)に変化し、前記回転磁場B(t)がB(t)からB(t)へ回転する。従って、振動磁場発生器22a、22a、22、22に通電する交流電流の位相差、振動数及び電流量を調整し、振動磁場B(t)、B(t)を制御することにより、所望の回転磁場B(t)を発生させることができる。尚、以下では時刻表記(t)を省略して、振動磁場B、B及び回転磁場Bと表記する。
(9B)及び(9C)には、振動磁場B、B、直進磁場B、回転磁場Bと合成磁場Bの関係を示す。(9B)では、振動磁場Bの振幅BX0と振動磁場Bの振幅BY0が同じ値に設定され、位相差90°の振動磁場B、Bが同じ振動数で振動することにより、回転磁場Bが一定強度で回転する。従って、前記プラズマ流は、円形に回転しながら前記拡径管3を進行する。(9C)では、振幅BX0より振幅BY0が小さく設定され、(9B)と同様に、位相差90°の振動磁場B、Bを同じ振動数で振動させることにより、(9C)の回転磁場Bのベクトルは楕円形に回転する。従って、前記プラズマ流は、Y方向に屈曲される力が小さくなるから、楕円状に回転しながら前記拡径管3を進行する。
以上のように、本実施例によれば、真円回転や楕円回転による遠心力で、ドロップレットを効率的に除去できることが実証された。
図10は本発明に係るプラズマ生成装置の更に他の実施例の概略構成図である。図1と同一部分には同一符号を使用し、その作用効果は同一であるからその記載を省略する。以下に、異なる符合部分について、作用効果を説述する。
図10に示すように、拡径管3内に、偏心した位置に通過孔25aを有するアパーチャー25を前後2つ配設している。大枠で説明すると、プラズマ流9bが拡径管3を蛇行しながら偏心通過孔25aを通過する際に、プラズマ流9b(Pとも書かれる)からドロップレット18(Dとも書かれる)が分離除去される。即ち、プラズマPに随伴する小さなドロップレットDは、プラズマPがアパーチャー25の偏心通過孔25aを湾曲して通過するときに、外側に飛び出してアパーチャー25の壁面に衝突して除去される。
斜行磁場発生器は、拡径管3の外周面に配設される直進磁場発生器24と、この外周に配置される径方向磁場発生器23、23aから構成される。直進磁場と径方向磁場の合成により斜行磁場が形成され、この斜行磁場に誘導されて、プラズマPはアパーチャー25の偏心通過孔25aを湾曲して前進することになる。
図10において、始端側のアパーチャー25には、左側に偏心通過孔25aが形成され、終端側のアパーチャー25には、右側に偏心通過孔25aが形成されている。また、始端側の径方向磁場発生器23は図の右側にN極が配置され、左側にS極が配置されており、終端側の径方向磁場発生器23は図の左側にN極が配置され、右側にS極が配置されている。従って、拡径管3の始端側には右側から左側に向いた径方向磁場が形成され、終端側には左側から右側に向いた径方向磁場が形成される。これらの径方向磁場と直進磁場発生器24による直進磁場の合成により、拡径管3の始端側には左寄りの斜行磁場が発生し、終端側には右寄りの斜行磁場が発生する。プラズマPは拡径管3の始端側で左寄りの斜行磁場に誘導されて左向きに湾曲して始端側のアパーチャー25の偏心通過孔25aを通過する。終端側では右寄りの斜行磁場に誘導されてプラズマは右向きに湾曲して終端側のアパーチャー25の偏心通過孔25aを通過する。
プラズマPに随伴する小さなドロップレットDはプラズマPの湾曲によって外向きに飛び出して始端側のアパーチャー25及び終端側のアパーチャー25の壁面に衝突して除去される。従って、プラズマ加工部12の被処理物14の表面は、ドロップレットDを含まない純度の高いプラズマPで処理することができる。尚、排出側縮径管39にはプラズマ9aをプラズマ加工部12に向けて前進させるための第3磁場発生器31が配置されている。
図11は拡径管内に配設されるアパーチャーの偏心通過孔をプラズマが通過する状態を示す説明図である。図11に示すように、拡径管3内に配設されたアパーチャー25の偏心通過孔25aをプラズマPが湾曲して通過する際に、このプラズマPに随伴する小さなドロップレットDはプラズマPの湾曲時に外向きに飛び出す。始端側に飛び出した小さなドロップレットDはアパーチャー25の壁面に衝突して除去される。終端側に飛び出した小さなドロップレットDは図示しない終端側のアパーチャー25の壁面に衝突して除去される。
図12は拡径管内に配設されるアパーチャーを示し、(12A)は左側に偏心通過孔25aを有するアパーチャー25の斜視図、(12B)は右側に偏心通過孔25aを有するアパーチャー25の斜視図である。(12A)に示すように、拡径管3の始端側に配設されるアパーチャー25には図の左側に偏心通過孔25aが形成され、始端側ではプラズマPがこの左側の偏心通過孔25aを湾曲して通過する。(12B)に示すように、拡径管3の終端側に配設されるアパーチャー25は図の右側に偏心通過孔25aが形成され、終端側ではプラズマPがこの右側の偏心通過孔25aを湾曲して通過する。
前記傾斜角θ、θによるドロップレット分離に加えて、この実施例では蛇行分離が加算され、ドロップレットの分離効率が一層に増強され、ドロップレットを効率的に除去できることが実証された。
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明に係るプラズマ生成装置はプラズマ進行路にドロップレット除去部を設けて、高純度で均一なプラズマ流を被プラズマ処理部に導入することができる。また、プラズマ進行路に拡径管を形成するだけで、簡易かつ安価にドロップレット除去部を構成できる。更に、本発明に係るプラズマ生成装置により生成される高純度プラズマを用いれば、プラズマ中で固体材料の表面に欠陥や不純物が格段に少ない高純度の薄膜を形成したり、プラズマを照射することにより、固体の表面特性を欠陥や不純物を付与することなく、均一に改質することができ、例えば固体表面における耐磨耗性・耐食性強化膜、保護膜、光学薄膜、透明導電性膜などを高品質かつ高精度に形成することができる。
本発明に係るプラズマ生成装置の実施例の概略構成図である。 ドロップレット捕集板38を有する内周管36の部分拡大断面図である。 ドロップレット捕集板38及びその構造体の概略説明図である。 プラズマ進行路の有効全長L(mm)、直径D(mm)、屈曲数Nと単位面積当たりの被処理物へのドロップレット付着数との関係を示すグラフである。 プラズマ進行路の屈曲角の総和θ(°)及びアーク電流値I(A)とドロップレット除去率との相関関係を示すグラフである。 複数の拡径管の概略配置構成図である。 2個の拡径管の更に多様な接続形態を示す概念図である。 本発明に係るプラズマ生成装置の別実施例の概略構成図である。 拡径管3に形成される回転磁場の説明図である。 本発明に係るプラズマ生成装置の更に他の実施例の概略構成図である。 拡径管内に配設されるアパーチャーの偏心通過孔をプラズマが通過する状態を示す説明図である。 拡径管内に配設される偏心通過孔を有するアパーチャーの説明図である。 従来のプラズマ加工装置の構成概略図である。
符号の説明
1 プラズマ生成装置
2 プラズマ発生部
3 拡径管
3a 壁面
4 陰極
5 プラズマ進行路
6 トリガ電極
7 連結進行路
7a 主折曲部
7b 導入折曲部
7c 排出折曲部
8 陽極
9 ドロップレット混合プラズマ
9a プラズマ流
9b プラズマ流
10 アーク電源
12 プラズマ加工部
14 被処理物
16 プラズマ安定化磁界発生器
18 ドロップレット
20 ドロップレット捕集部
22 振動磁場発生器
22a 振動磁場発生器
23 径方向磁場発生器
23a 径方向磁場発生器
24 直進磁場発生器
25 アパーチャー
25a 偏心通過孔
26 第1磁場発生器
27 陰極プロテクタ
28 屈曲磁場発生器
30 第2磁場発生器
31 第3磁場発生器
32 ドロップレット進行路
33 ドロップレット捕集板
34 導入側縮径管
35 外周管
36 内周管
37 縮径管用ドロップレット捕集板
38 ドロップレット捕集板
38a 粗面
39 排出側縮径管
40 段差部
41 直進管
42 プラズマ発生部側絶縁プレート
44 加工部側絶縁プレート
46 絶縁材
48 バイアス電源
49 プローブ電源
50 アパーチャー
51 アパーチャー
102 プラズマ発生部
104 陰極
106 トリガ電極
108 陽極
109 プラズマ
110 電源
112 プラズマ加工部
114 被処理物
116a プラズマ安定化磁場発生器
116b プラズマ安定化磁場発生器
118 陰極材料微粒子(ドロップレット)
120 ドロップレット捕集部
200 拡径管
201 拡径管
202 中継縮径管
203 導入側縮径管
204 排出側縮径管

Claims (24)

  1. 真空雰囲気下で真空アーク放電を行ってプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記プラズマ発生部により発生されたプラズマが被プラズマ処理部側に進行するプラズマ進行路とを備えたプラズマ生成装置において、前記プラズマ進行路に、プラズマの発生時に陰極から副生する陰極材料粒子(以下「ドロップレット」という)を除去するドロップレット除去部を配置し、このドロップレット除去部は、拡径管と、前記拡径管のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管と、前記拡径管のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管と、前記拡径管の前記始端及び前記終端に形成された段差部とから構成され、前記拡径管は、内周管と外周管からなり、前記内周管を前記外周管に対して挿脱自在にしたことを特徴とするプラズマ生成装置。
  2. 前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管の管軸を前記拡径管の管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させ、前記導入側縮径管及び/又は前記排出側縮径管を前記拡径管に連接した請求項1に記載のプラズマ生成装置。
  3. 前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管の管軸が前記拡径管に対して互いに交差するように配置した請求項1又は2に記載のプラズマ生成装置。
  4. 前記プラズマ進行路は、前記プラズマ発生部に連接された直進管を有し、前記導入側縮径管を前記直進管に対して垂直又はほぼ垂直に連接し、前記直進管の終端にドロップレット捕集部を配設した請求項1、2又は3に記載のプラズマ生成装置。
  5. 前記内周管の内壁に複数のドロップレット捕集板が植設された請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  6. 前記ドロップレット捕集板の表面が粗面加工を施されている請求項に記載のプラズマ生成装置。
  7. 前記ドロップレット捕集板を前記導入側縮径管に向けて斜行配置した請求項5又は6に記載のプラズマ生成装置。
  8. 前記導入側縮径管及び前記排出側縮径管にドロップレット捕集用アパーチャーを配設した請求項1〜のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  9. 複数の前記拡径管を、縮径管を介して連接した請求項1〜のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  10. 前記拡径管の断面周方向に回転磁場を発生させる回転磁場印加手段が少なくとも1つ以上設けられ、この回転磁場印加手段により前記プラズマに回転磁場を印加し、前記プラズマを回転させながら前記拡径管を進行させて前記ドロップレットを遠心力により除去する請求項1〜のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  11. 前記回転磁場印加手段が振動磁場を発生させる複数の振動磁場発生器から構成され、これらの振動磁場発生器により位相及び振動方向が異なる複数の振動磁場を発生させ、これらの振動磁場から前記回転磁場が合成される請求項10に記載のプラズマ生成装置。
  12. 偏心位置に通過孔を有するアパーチャーが前記拡径管内に1つ以上設けられ、前記拡径管の外周に前記プラズマを前記アパーチャーの偏心通過孔に通過させるための磁場発生手段が配設されており、この磁場発生手段に基づく磁場により、前記プラズマは前記拡径管内で湾曲して前記アパーチャーの偏心通過孔を通過し、前記湾曲時に前記ドロップレットを前記プラズマから分離させ、前記ドロップレットを前記アパーチャーの壁面に衝突させて除去するように構成された請求項1〜のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  13. 前記アパーチャーは、前記拡径管内に複数設けられ、隣り合う前記偏心通過孔は、その位置を互いにずらせて配置されており、始端側のアパーチャーの偏心通過孔を前記プラズマに随伴して通過した前記ドロップレットは次のアパーチャーの壁面に衝突して除去され、前記プラズマは前記次のアパーチャーの偏心通過孔を通過するように構成された請求項12に記載のプラズマ生成装置。
  14. 前記磁場発生手段は、斜行磁場発生器で構成され、この斜行磁場発生器は前記拡径管の軸方向から斜行した方向に斜行磁場を形成し、この斜行磁場により、前記プラズマを前記アパーチャーの偏心通過孔に通過させるようにした請求項1213に記載のプラズマ生成装置。
  15. 前記内周管が絶縁材を介して前記外周管内に取着され、前記内周管と前記外周管とが電気的に絶縁され、前記内周管にバイアス電圧を印加する請求項1〜14のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  16. 前記導入側縮径管と前記拡径管と前記排出側縮径管を少なくとも含むプラズマ搬送用のダクト部は、前記プラズマ発生部及び前記被プラズマ処理部と電気的に絶縁される請求項1〜14のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  17. 前記ダクト部にバイアス電圧を印加する請求項16に記載のプラズマ生成装置。
  18. 前記ダクト部内にプローブを挿入するか、又は前記ダクト部をプローブとして利用してプラズマの物性量を測定する請求項16に記載のプラズマ生成装置。
  19. 前記プラズマ進行路の有効全長、直径、屈曲数及び屈曲角の総和のいずれかひとつ又はその組み合わせがドロップレット低減条件を満足するように設定された請求項1〜18のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
  20. 前記有効全長が1600〜900mmで設定された請求項19に記載のプラズマ生成装置。
  21. 前記直径が200〜90mmで設定された請求項19に記載のプラズマ生成装置。
  22. 前記屈曲数が3〜1で設定された請求項19に記載のプラズマ生成装置。
  23. 前記屈曲角の総和が150〜90°で設定された請求項19に記載のプラズマ生成装置。
  24. 前記プラズマ発生部におけるアーク電流値が140〜30Aの範囲で調整された請求項1〜23のいずれかに記載のプラズマ生成装置。
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