JP2009043615A - パルス電子ビーム発生装置およびパルス電子ビーム成膜装置 - Google Patents

パルス電子ビーム発生装置およびパルス電子ビーム成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間に亘って安定して動作するパルス電子ビーム発生装置およびこの装置を用いたパルス電子ビーム成膜装置を得る。
【解決手段】パルス状の電子ビームを発生するためのパルス電子ビーム発生部(8a)と、絶縁材料で構成された中空のチューブであって、パルス電子ビーム発生部(8a)に連結され、発生させた電子ビームをターゲット表面に案内するためのガイドチューブ(8b)とを備えるパルス電子ビーム発生装置(8)において、ガイドチューブ(8b)の側面に、その長手方向と交差する方向に高さを有する絶縁材料のフィン(8c)を、ガイドチューブ側面をほぼ一周するように設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、パルス電子ビームを安定して発生することが可能なパルス電子ビーム発生装置およびこのパルス電子ビーム発生装置を用いた成膜装置に関する。
パルス電子ビーム堆積法(PED法)とは、基板に対向して設置されたターゲットの表面にパルス化された電子ビームを照射することにより、ターゲット表面の一部をアブレージョンし、これによって生じたプラズマ流を基板に付着させることによって、基板上にターゲットと同一物質の膜を形成する方法である。この方法は、ターゲットのアブレージョンに連続した電子ビームを使用する通常の電子ビーム蒸着法とは異なって、高い出力密度を得ることが可能なパルス状の電子ビームを用いている。そのため、ターゲット物質の融点あるいは比熱といった熱力学的特性に大きく依存することなくアブレージョンを行いうるので、ターゲット物質が複合材料の場合に特に有用な成膜方法である。また、ナノコンポジット材料の開発に当たって有用な手段を提供するものとして、その将来が期待されている。
パルス電子ビーム堆積法は理論としては比較的以前から提案されている。例えば、特許文献1は、パルス電子ビーム成膜装置に使用されるパルス電子ビーム発生装置の基本的な構造を開示している。この装置では、プラズマ源に電界を印加することによって取り出した電子ビームを誘電体のガイドチューブによってターゲット上に導き、ターゲット成分を蒸発させるようにしている。電子ビームは、誘電体のガイドチューブに設けた磁石によって曲げられ、ターゲット表面上に誘導される。
また、特許文献2はパルス電子ビーム発生の原理と構成を記載している。特に、高品質の電子ビームを高い発射回数で出射することを意図して改良を行ったパルス電子ビーム発生装置を開示している。なお、現在市販されているパルス電子ビーム発生装置としては、Neocera社製のPEBS−20が存在するのみである。
特表平07−501654号 特表2005−518637号
上述したように、パルス電子ビーム堆積法は理論としては比較的以前から提案されているが、成膜装置として製品化されたのは最近のことである。その重要な原因として、パルス電子ビーム発生装置を安定して長時間連続駆動することが難しいことがある。成膜中にパルス電子ビーム発生装置が異常停止すると、必要な厚さの成膜を行うことができない。パルス電子ビームの励起電圧にもよるが、現在入手可能な装置の場合、数百〜数千程度のパルス電子ビームを発射することにより装置が異常停止し、その結果成膜作業が不完全なまま終了する。
したがって、実用に耐えうるパルス電子ビーム成膜装置を得るためには、安定して長時間作動し、成膜の途中で異常停止しないパルス電子ビーム発生装置を得ることが必須である。なお、ここで、長時間作動するとは、連続して発射可能な総パルス数が大きいことを意味している。
本発明は、従来のパルス電子ビーム発生装置の上記のような問題を解決するためになされたもので、安定して長時間動作可能なパルス電子ビーム発生装置および実用に耐えうるパルス電子ビーム成膜装置を得ることを課題とする。
上記課題を解決するために、第1の発明にかかるパルス電子ビーム発生装置では、パルス状の電子ビームを発生するためのパルス電子ビーム発生部と、絶縁材料で構成された中空のチューブであって、前記パルス電子ビーム発生部に連結され、前記発生させた電子ビームをターゲット表面に案内するためのガイドチューブとを備え、前記ガイドチューブ側面に、その長手方向と交差する方向に高さを有する絶縁材料のフィンを、前記ガイドチューブ側面をほぼ一周するように設けている。
前記フィンは円盤のような板状または椀状である。また、板状のフィンの場合、ガイドチューブ側面に少なくとも2個のフィンが設けられ、2個のフィンの間隔aと前記フィンの高さbとが、b/a≧1の関係を有するように設定されている。
パルス電子ビーム発生装置を使用して成膜を行う場合、ターゲット表面から蒸発したターゲット物質がパルス電子ビーム発生装置の方向に飛散し、その先端部に設けられたガイドチューブに付着して徐々に堆積する。ターゲット物質が導電性である場合、ガイドチューブへのターゲット物質の堆積によってガイドチューブの絶縁性が破壊される。堆積の進行と共に絶縁性の破壊が進行し、ガイドチューブ先端部からパルス電子ビーム発生部に到る導電路が形成されると、ガイドチューブ先端より放出されてターゲット表面へ向かうべき電荷がガイドチューブ表面を伝わって、パルス電子ビーム発生部および真空槽本体へ逃げてしまう。その結果、パルス電子ビーム装置の正常な動作が損なわれ、装置が異常停止するものと考えられる。
上記本発明の第1のパルス電子ビーム発生装置では、絶縁性のガイドチューブに絶縁性のフィンを設けることによって、成膜中にガイドチューブに付着するターゲット物質の量を抑制するようにしている。また、フィンのターゲット方向とは反対の側のガイドチューブ表面上にターゲット物質が廻り込み難くなるので、ターゲット物質が付着しない小さな領域が形成される。そのため、ターゲット物質のガイドチューブへの付着が進んだ場合でも、ターゲット先端部分からパルス電子ビーム発生部に到る導電路が形成され難い。その結果として、ガイドチューブの絶縁性が比較的長く保持され、パルス電子ビーム装置は成膜中に異常停止することはない。
なお、板状のフィンを複数個設ける場合に、隣接する2個のフィン間の間隔aよりもフィンの高さbを大きくすることによって、フィン間にターゲット成分の粒子が侵入し難くなり、ガイドチューブ両端を導通する導電路が形成され難い。その結果、ガイドチューブの絶縁性がより長く保持され、パルス電子ビーム発生装置は長時間に亘って安定して動作するようになる。また、椀状のフィンの場合には、ターゲット成分粒子がフィンの背後(ターゲットとは反対の側)に廻り込み難い効果が顕著である。
なお、板状のフィンは必ずしもガイドチューブ全周を覆うものでなくても良い。複数のフィンが一部切り欠きを有するフィンである場合、切り欠き部を通してガイドチューブ両端を導通する導電路が形成されないように、それぞれの切り欠き部の配置を考慮する必要がある。
本発明の第2のパルス電子ビーム発生装置は、上記第1のパルス電子ビーム発生装置のフィンに代わって、ガイドチューブの側面を一周する少なくとも1個の溝を設けている。成膜中、この溝の中にターゲット成分粒子が侵入しにくいため、ガイドチューブは比較的長く絶縁性を保持し、その結果、パルス電子ビーム発生装置は長時間に亘って安定して動作するようになる。なお、溝の開口部の幅aと溝の深さbとがb/a≧1の関係を有するように構成することにより、ターゲット成分粒子がこの溝の中に侵入する確率をさらに低下させることができる。その結果、より長時間安定して動作するパルス電子ビーム発生装置を得ることができる。
本発明の第3のパルス電子ビーム発生装置は、第1、第2の装置に設けられたフィンおよび溝の両者を備えるガイドチューブを有している。その結果、ガイドチューブの絶縁性がより長く保持され、より長時間安定して動作するパルス電子ビーム発生装置を得ることができる。
本発明の第1のパルス電子ビーム成膜装置は、真空槽と、前記真空槽内に設けられ、パルス電子ビームが照射されるターゲットを保持するためのターゲット保持台と、前記真空槽内に設けられ、前記ターゲットへのパルス電子ビームの照射によって蒸発したターゲット材料により成膜される基板を保持するための基板保持台と、前記ターゲット保持台に保持されたターゲットにパルス電子ビームを照射するためのパルス電子ビーム発生装置と、を備え、前記パルス電子ビーム発生装置として、上記第1乃至第3のパルス電子ビーム発生装置を用いて構成される。
上述したように、本発明の第1乃至第3のパルス電子ビーム発生装置は、ガイドチューブの絶縁性が長時間に亘って破壊されずそれによって長時間安定して動作する。したがって、このパルス電子ビーム発生装置を用いた成膜装置では、実用に耐えうる成膜作業を実施することができる。
本発明の第2のパルス電子ビーム成膜装置は、真空槽と、前記真空槽内に設けられ、パルス電子ビームが照射されるターゲットを保持するためのターゲット保持台と、前記真空槽内に設けられ、前記ターゲットへのパルス電子ビームの照射によって蒸発したターゲット材料により成膜される基板を保持するための基板保持台と、前記ターゲット保持台に保持されたターゲットにパルス電子ビームを照射するためのパルス電子ビーム発生装置と、を備え、前記パルス電子ビーム発生装置は、発生させたパルス電子ビームを前記ターゲット方向に案内するための絶縁性のガイドチューブを備え、さらに、前記ターゲット保持台はパルス電子ビーム出射口付近を残して前記ガイドチューブ先端部分をカバーするカバー部材を備えて構成される。
ターゲット保持台に、パルス電子ビーム発生装置のガイドチューブ先端部周辺をカバーするカバー部材を設けることによって、従来のパルス電子ビーム発生装置を用いて成膜作業を行った場合であっても、ターゲット成分粒子がガイドチューブ先端部に付着する量を大幅に抑制することができる。これによって、ガイドチューブの絶縁性が長時間保持され、パルス電子ビーム発生装置が長時間安定して動作するので、実用に耐えうる充分な成膜作業を実施することできる。
本発明の第3のパルス電子ビーム成膜装置は、上記第2のパルス電子ビーム成膜装置におけるガイドチューブに、本発明の第1乃至第3のパルス電子ビーム発生装置のガイドチューブに設けたフィン、溝またはフィンと溝の両者を備えて構成される。
この構成によって、成膜中のガイドチューブの絶縁性がさらに長く維持されるので、パルス電子ビーム発生装置がより長時間に亘って安定して動作し、実用に耐えうる充分な成膜作業を実施することが可能となる。
以上の様に、本発明のパルス電子ビーム発生装置では、成膜中のガイドチューブの絶縁性が長時間に亘って維持されるため、高い回数のパルス電子ビーム発射に耐えうる。したがって、このパルス電子ビーム発生装置を用いた成膜装置では、実用に耐えうる充分な成膜作業の実施が可能となる。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1にかかるパルス電子ビーム成膜装置の概略構成を示す図である。図において、1は真空槽であって、ターボ分子ポンプなどの排気装置を連結するための連結部2およびマスフローコントローラなどのガス導入装置を連結するための連結部3を有している。真空槽1内には、ターゲット4を保持するターゲット保持部5、成膜するための基板6を保持する基板保持部7が設けられている。8は、ターゲット4にパルス電子ビームを照射するためのパルス電子ビーム発生装置である。
図2は、図1の成膜装置による基板6上への成膜の原理、およびパルス電子ビーム発生装置8の詳細構造を示す拡大図である。図1の装置では、図2に示すように、パルス電子ビーム発生装置8からターゲット4に対して、例えば角度40°でパルス状の電子ビームを照射することにより、ターゲット物質を蒸発、アブレージョンさせ、プラズマ流9を生成する。このプラズマ流が基板6に達して堆積することにより、ターゲットと同一物質の膜が基板6上に形成される。
パルス電子ビーム発生装置8は、図2(a)に示すように、パルス電子ビーム発生部8aと絶縁性のガイドチューブ8bで構成されている。ガイドチューブ8bは、パルス電子ビーム発生部8aで生成されフォーカスされたパルス電子ビームを、ターゲット4の表面にガイドするために設けられたものである。本実施形態ではガイドチューブ8bを絶縁性材料で構成された円筒形のチューブとしている。ガイドチューブ8bが絶縁体である必要性については諸説あり、パルス電子ビーム発生部8aからフローティングされていれば金属性であっても良いとする説もあるが、しかしながらパルス電子ビーム発生部8aおよび真空槽1とは絶縁されていなければならない。
本実施形態にかかるパルス電子ビーム発生装置8は、図2(a)に示すように、ガイドチューブ8bの先端付近において、ガイドチューブ8bへのターゲット成分粒子の付着を抑制する絶縁性材料の、例えば円盤のような板状フィン8cを有している。フィン8cの形状は特に規定しないが、ガイドチューブ8bの長さ方向と交差する方向に比較的大きな面積を有していれば良い。また、図2(b)に示すように、円盤状フィン8cは、ガイドチューブ8bの中心軸に対して傾斜して取り付けられていても良い。この場合、図(a)の場合よりもフィン8cをターゲット4に近づけることができるので、ターゲット成分粒子のガイドチューブ8bへの付着をさらに抑制することが可能となる。
図2(a)に示すように、ターゲット成分のアブレージョンによるプラズマ流9は方向性を有しているため、フィン8cが存在することによってフィン8cの後方(パルス電子ビーム発生部8a側)へのターゲット成分粒子の飛散が阻止され、ガイドチューブへのターゲット成分粒子の付着量が抑制される。さらにフィン8cの後方直下ではターゲット成分粒子の廻り込みによる付着が抑制されるので、その部分にターゲット成分粒子が付着しない小領域が形成され、ターゲット先端8dとパルス電子ビーム発生部8a間に導電性ターゲット成分粒子による導電路が形成され難い。そのため、ガイドチューブ8bとパルス電子ビーム発生装置8間の絶縁性が長時間に亘って保持され、その間、パルス電子ビーム発生装置8が正常に動作する。
図3は、パルス電子ビーム発生装置8を駆動して成膜中の、ガイドチューブ8bの先端部分の状態を示す図である。ガイドチューブ8bの先端からターゲット4にパルス電子ビームを照射すると、ターゲット材料がターゲット表面から蒸発しその一部はガイドチューブ8bの方向に向かって飛散しガイドチューブ8bに到達してこれに付着する。図3の9aはガイドチューブ8bに付着し堆積したターゲット成分粒子を示す。なお、図3では、ターゲット成分粒子9aは拡大して示してある。
本実施形態のガイドチューブ8bでは、その先端付近に例えば円盤状のフィン8cが形成されているので、ターゲット表面から飛散しガイドチューブ8bの方向に向かうターゲット成分粒子9aはフィン8cによって阻止され、フィン8cの後方には向かわない。これによって、成膜作業中にガイドチューブ8bに付着するターゲット成分粒子9aの量が大幅に抑制される。
一方、ガイドチューブ8bの方向以外に飛散したターゲット成分粒子であっても、真空槽1内のガス分子に衝突し種々の方向に散乱されてその一部はフィン8cの後方に達し、ガイドチューブ8cに付着する。しかしながら、フィン8cが存在することによって、散乱粒子がフィン8cの後方直下に廻りこんで付着することが抑制され、ガイドチューブ上に導電性粒子が存在しない小領域が形成される。その結果、ガイドチューブ両端を導通する電流の経路が形成され難くなる。
以上のように、実施形態1にかかるパルス電子ビーム生成装置では、ガイドチューブ8bに絶縁性材料で構成されるフィン8cが設けられているので、ターゲット成分粒子のガイドチューブへの付着が大幅に抑制される。また、導電性のターゲット成分粒子がガイドチューブに付着したとしても、フィンの存在によって、導電成分によるガイドチューブ先端からパルス電子ビーム発生部8aへの通電経路が途中で遮断されるので、ガイドチューブ8bの絶縁性が長期間に亘って維持され、結果としてパルス電子ビーム発生装置が多くのパルス電子ビームを安定して発生することができるようになる。
図4は、図1、2に示すフィン8cの種々の変形例を示す図である。ガイドチューブ8bに設けるフィンは、ターゲット成分粒子がガイドチューブに付着することを防止できれば、必ずしも板状である必要はない。図8(a)はガイドチューブ8bに椀状のフィン8c’を取り付けた状態を示し、図(b)にその断面図を示す。椀状のフィン8c’では、図1、2に示した円盤状のフィン8cと比べて、ターゲット成分粒子のフィン後方への回り込みをさらに効果的に防止することができる。図4(c)では、椀状のフィン8c’を開口部分をターゲット4の方向に向けて取り付けた例を示す。図(d)はその場合の断面図である。図(c)の形状のフィンでは、開口部によってターゲット成分粒子を確実に捕獲することができるので、ガイドチューブの他の部分に飛散するターゲット成分粒子量を抑制することができる。なお、図(e)およびその断面図である図(f)に示すように、椀状フィン8c’に円盤状フィンで構成される補強材81を設けることによって、椀状フィン8c’の強度を向上させることができる。
[実施形態2]
図5は、本発明の実施形態2にかかるパルス電子ビーム発生装置18の概略構成を示す図である。本実施形態のパルス電子ビーム発生装置18は、ガイドチューブ18bに、少なくとも2個の円盤状フィン18cで構成されるフィン状構造体20を設けたことを特徴としている。フィン状構造体20の各フィン18c1、18c2・・・18c5は絶縁性の材料で構成されている。これらのフィンの個数は少なくとも2個あればよく、また少なくとも1組の隣接するフィン間で、フィンの間隔aとフィンの高さbとの間に、b/a≧1(式1)の関係を有していればよい。その他の条件、例えばフィンの位置、形状には特に規定されることはない。
図6は、成膜中のガイドチューブ18bの先端部分の拡大図、図7の(a)〜(c)は、フィン状構造物20の隣接する2個のフィンの間隔aとフィンの高さbとの関係を示す図である。図6に示す例では、フィン状構造物20は5個のフィン18c1〜18c5を含んでいるが、基本的には少なくとも2個のフィンを含んでいれば良い。このとき、隣接する2個のフィン、例えばフィン18c1と18c2において、上記式1の関係が成立するように2個のフィン18c1と18c2を構成することが好ましい。
図6に示すように、成膜作業中、パルス電子ビームの照射によってターゲット成分が蒸発し、その一部分がガイドチューブ18bの方向に飛散してガイドチューブ先端付近に付着する。一方、ガイドチューブ18bの方向以外に飛散したターゲット成分粒子であっても、真空槽1内のガス分子に衝突して種々の方向に散乱され、先頭のフィン18c1の後方(パルス電子ビーム発生部18a側)に達してガイドチューブ18b上に付着し、同時に隣接する2個のフィン間の隙間にも侵入しようとする。
しかしながら、隣接する2個のフィン間の間隔aに対してフィンの高さbが大きい程、ターゲット成分粒子がこの隙間に侵入する確率が低下し、ガイドチューブ表面へのターゲット成分の付着を抑制することができる。そのため、ターゲット成分粒子9aによって形成されるガイドチューブ18bの先端からパルス電子ビーム発生装置18に到る導電経路が途中で遮断され、成膜中であっても、ガイドチューブ18bはパルス電子ビーム発生部18aに対して絶縁状態を比較的長時間に亘って維持することが可能となる。なお、ターゲット成分粒子のガイドチューブ表面への付着は、b/aの値が大きい程、より抑制される。
式1におけるaおよびbは、図7(a)〜(c)に示すようにして決定する。即ち、図7(a)に示すように、フィン18c1と18c2とが同じ高さを有する場合、高さbはフィン18c1または18c2がガイドチューブ18bの外表面から突出した部分(フィンの高さ)として定義される。一方、図(b)または(c)に示すように、フィン18c1、18c2の高さが違う場合は、低い方のフィン18c1の高さによってbを規定する。また、フィン18c1と18c2との間隔aは、各フィンが図7(a)、(b)に示すように平面状の先端を有する場合は、隣接する側面間を間隔aと定義し、図(c)に示すようにフィンの先端が突出している場合は先端間を間隔aと定義する。
図8は、円盤状フィンの好ましい形状および好ましくない配置方法を示す図である。図8(a)に示すようにフィン18cはガイドチューブ18bの全周を覆うものでも良く、あるいは図(b)に示すように一部に切り欠きを有するものでも良い。しかしながら、フィン18cが切り欠きを有する場合、図(c)に示すように切り欠き部18eがガイドチューブ18bの両端部分を連結するように、フィン18c1〜18c5を配置することは好ましくない。このような場合、例えば、各フィンの切り欠き部18eを相互にずらして配置するか、あるいは複数のフィンのうちの1個を全周のフィンにすれば良い。
[実施形態3]
図9は、本発明の実施形態3にかかるパルス電子ビーム発生装置のガイドチューブ先端部分を示す図である。本実施形態のパルス電子ビーム発生装置では、図示するように、絶縁性材料で構成されたガイドチューブ21の先端21e付近に少なくとも1個の溝21cを設けたことを特徴としている。溝21cの幅、深さおよび位置については、実施形態1、2の場合と同様に特に規定しないが、実施形態2の場合と同様に、溝21cの開口部幅aと溝の深さbとの間に、b/a≧1の関係を有していることが望ましい。
このようなガイドチューブ21では、ターゲット表面からガイドチューブ先端部分21eの方向に飛来したターゲット成分粒子は、ガイドチューブ21の表面には付着するが、実施形態2の場合と同様の理由で溝21c内には侵入し難く、そのため、導電性のターゲット成分粒子がガイドチューブ21の両端間で連続した導電経路を形成するのが抑制される。これによって、ターゲット成分が導電性であっても、成膜中にガイドチューブの絶縁性が比較的長時間維持され、パルス電子ビーム発生装置はその間、安定して動作する。
なお、溝21cはガイドチューブ21の全周に亘って形成されること、即ち溝加工の始点および終点が連結されていることが好ましく、図10に示すように、溝の始点と終点が連結されていないものは望ましくない。
[実施形態4]
図11は、本発明の実施形態4にかかるパルス電子ビーム発生装置のガイドチューブ先端部分を示す図である。本実施形態では、ガイドチューブ22に、実施形態2に示した複数のフィン23および実施形態3に示した複数の溝21cの両方を設けることにより、より高い絶縁効果を発揮することができるようにしたものである。フィン23の高さ、フィン間の幅、溝21cの開口部の幅、溝の深さにおけるそれぞれの関係は、実施形態2および3で説明したものと同じである。
[実施形態5]
図12は、本発明の実施形態5にかかる成膜装置の、特にターゲット保持部30の構成を示す図である。本実施形態では、上記で説明した各実施形態とは異なり、ターゲット保持部30上に設置されるターゲット31と、パルス電子ビーム発生装置32に設けたガイドチューブ33の先端部分34との間に、カバー35を設けたことを特徴としている。例えば絶縁性のカバー35は、図示するように、ガイドチューブ33の先端部分34をパルス電子ビームの出射口を除いてカバーする形状を有している。
そのため、ガイドチューブ33の先端開口から出射したパルス電子ビームによってターゲット成分が蒸発した場合、ガイドチューブ33方向に飛散するターゲット成分粒子はカバー35によってガイドチューブ33方向への飛散が阻止される。その結果、成膜中にガイドチューブ33に付着する導電性のターゲット成分粒子の量が抑制され、ガイドチューブ33の絶縁性が長期間保持される。これによって、パルス電子ビーム発生装置32は、長時間に亘って安定して動作する。
図12の装置では、パルス電子ビーム発生装置32として、ガイドチューブ33に実施形態1乃至4に示したフィンあるいは溝を設けないものを示しているが、ガイドチューブ33にフィンあるいは溝、その両者を設けた構造のパルス電子ビーム発生装置を用いれば、ガイドチューブの絶縁性保持効果はさらに向上し、パルス電子ビーム発生装置はより安定して動作するようになる。
図13は、図12のパルス電子ビーム発生装置32に代わって、図5に示すパルス電子ビーム発生装置18を使用した状態を示す図である。この場合、ガイドチューブ18bに複数の円盤状フィンからなるフィン状構造体20が設けられているので、ガイドチューブ18bへのターゲット成分粒子の付着がさらに抑制され、ガイドチューブはより長く絶縁性を保持する。
図14は、図12の成膜装置において、パルス電子ビーム発生装置のガイドチューブを図9に示した溝を有するガイドチューブ21で構成した場合を示し、さらに図15は、図11に示すフィンおよび溝の両者を有するガイドチューブ22で構成した場合を示す。何れの場合も、ガイドチューブへのターゲット成分粒子の付着がさらに抑制され、長期間に亘って安定して動作するパルス電子ビーム成膜装置を得ることができる。
[発明の効果の検証]
図16は、本発明を適用したパルス電子ビーム成膜装置と、従来のパルス電子ビーム成膜装置とを用いて成膜実験を行った結果を比較する表である。実験は、真空槽内に配置するターゲット材料としてTiを用い、アルミナ製の基板をターゲット材料に対して対向配置して行った。パルス電子ビーム発生装置は、ターゲットに対して40度の角度となるように配置した。パルス電子ビーム発生部は、Neocera社製のPEBS−20を使用し、本発明の装置ではガイドチューブとして図5に示す構造のものを取り付けた。従来の装置では、フィンあるいは溝を設けないガイドチューブを使用した。実験例1、2、3は、ガイドチューブの径、フィンの径、フィン間の間隔等を変えて行ったものである。
実験条件は次の通りである。
ガス導入前真空槽内圧力:3×10−8torr以下
導入ガス種:Ar−1%H
ガス導入量:図15に示す3水準
ガス導入後真空槽内圧力:図15に示す3水準
パルス電子ビーム発生装置における加速電圧:図15に示す2水準
パルス電子ビーム発生装置におけるパルス周波数:図15に示す2水準
ガイドチューブ先端/ターゲット表面距離:図15に示す2水準
図15の、「パルス電子ビーム発生装置が異常を検知して停止するまでの総パルス数」の項を参照することによって明らかなように、従来の装置では、数百から数千パルスを発生することによってパルス電子ビーム発生装置が異常停止するが、本発明の装置では、実験例1、2、3の何れでも、10,000パルス以内では装置が異常停止することはなかった。これにより、本発明の顕著な効果を理解することができる。
本発明の実施形態1にかかるパルス電子ビーム成膜装置の概略構成を示す図。 図1に示すパルス電子ビーム発生装置の構成を説明するための図。 図2に示すガイドチューブの絶縁性保持効果を説明するための図。 ガイドチューブに設けるフィンの種々の変形構造を示す図。 本発明の実施形態2にかかるパルス電子ビーム発生装置の概略構成を示す図。 図5に示すガイドチューブの絶縁性保持効果を説明するための図。 図6に示すフィンの構造を説明するための図。 図6に示すフィンの構造を説明するための図。 本発明の実施形態3にかかるパルス電子ビーム発生装置におけるガイドチューブの構成を示す図。 実施形態3のガイドチューブの好ましくない構成を示す図。 本発明の実施形態4にかかるパルス電子ビーム発生装置のガイドチューブの構成を示す図。 本発明の実施形態5にかかるパルス電子ビーム成膜装置の構成を示す図。 実施形態5の変形例を示す図。 実施形態5の他の変形例を示す図。 実施形態5のさらに他の変形例を示す図。 本発明にかかる成膜装置と従来の成膜装置の動作結果を比較した表。
符号の説明
1 パルス電子ビーム成膜装置
4 ターゲット
5 ターゲット保持台
6 基板
7 基板保持台
8 パルス電子ビーム発生装置
8a パルス電子ビーム発生部
8b ガイドチューブ
8c 円盤状フィン
8c’ 椀状フィン
9 プラズマ流
9a ターゲット成分粒子
18c フィン
20 フィン状構造体
21 ガイドチューブ
21c 溝
22 ガイドチューブ
23 フィン
30 ターゲット保持台
31 ターゲット
35 カバー

Claims (9)

  1. パルス状の電子ビームを発生するためのパルス電子ビーム発生部と、
    絶縁材料で構成された中空のチューブであって、前記パルス電子ビーム発生部に連結され、前記発生させた電子ビームをターゲット表面に案内するためのガイドチューブと、を備えるパルス電子ビーム発生装置において、
    前記ガイドチューブ側面に、その長手方向と交差する方向に高さを有する絶縁材料のフィンを、前記ガイドチューブ側面をほぼ一周するように設けたことを特徴とする、パルス電子ビーム発生装置。
  2. 請求項1に記載のパルス電子ビーム発生装置であって、前記フィンは板状または椀状であることを特徴とする、パルス電子ビーム発生装置。
  3. 請求項1に記載のパルス電子ビーム発生装置であって、前記フィンが板状のフィンである場合、当該フィンが前記ガイドチューブ側面に少なくとも2個設けられ、前記2個のフィンの間隔aと前記フィンの高さbとが、b/a≧1の関係を有するように設定されていることを特徴とする、パルス電子ビーム発生装置。
  4. パルス状の電子ビームを生成するためのパルス電子ビーム発生部と、
    絶縁材料で構成された中空のチューブであって、前記パルス電子ビーム発生部に連結され、前記電子ビームをターゲット表面にガイドするためのガイドチューブと、を備えるパルス電子ビーム発生装置において、
    前記ガイドチューブ側面にその側面を一周する少なくとも1個の溝を設けたことを特徴とする、パルス電子ビーム発生装置。
  5. 請求項3に記載のパルス電子ビーム発生装置であって、前記溝の開口部の幅aと溝の深さbとがb/a≧1の関係を有するように構成されていることを特徴とする、パルス電子ビーム発生装置。
  6. 請求項1に記載のパルス電子ビーム発生装置であって、さらに、前記ガイドチューブ側面に前記ガイドチューブを一周する少なくとも1個の溝を設けたことを特徴とする、パルス電子ビーム発生装置。
  7. 真空槽と、
    前記真空槽内に設けられ、パルス電子ビームが照射されるターゲットを保持するためのターゲット保持台と、
    前記真空槽内に設けられ、前記ターゲットへのパルス電子ビームの照射によって蒸発したターゲット材料により成膜される基板を保持するための基板保持台と、
    前記ターゲット保持台に保持されたターゲットにパルス電子ビームを照射するためのパルス電子ビーム発生装置と、を備えるパルス電子ビーム成膜装置において、
    前記パルス電子ビーム発生装置を請求項1乃至6の何れか1項に記載のパルス電子ビーム発生装置で構成したことを特徴とする、パルス電子ビーム成膜装置。
  8. 真空槽と、
    前記真空槽内に設けられ、パルス電子ビームが照射されるターゲットを保持するためのターゲット保持台と、
    前記真空槽内に設けられ、前記ターゲットへのパルス電子ビームの照射によって蒸発したターゲット材料により成膜される基板を保持するための基板保持台と、
    前記ターゲット保持台に保持されたターゲットにパルス電子ビームを案内するためのガイドチューブを有するパルス電子ビーム発生装置と、を備えるパルス電子ビーム成膜装置であって、
    前記ターゲット保持台は、パルス電子ビーム出射口付近を残して前記パルス電子ビーム発生装置の前記ガイドチューブ先端部分をカバーするカバー部材を備えることを特徴とする、パルス電子ビーム成膜装置。
  9. 請求項8に記載のパルス電子ビーム成膜装置であって、前記パルス電子ビーム発生装置は請求項1乃至6の何れか1項に記載のパルス電子ビーム発生装置であることを特徴とする、パルス電子ビーム成膜装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114774866A (zh) * 2022-05-13 2022-07-22 南京邮电大学 一种连续化镀膜制备系统及方法

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