JP5025991B2 - アーク蒸着源、成膜装置 - Google Patents

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Description

本発明は真空成膜の技術分野にかかり、特に、アーク電流によって蒸着材料の蒸気を生成する技術分野に関する。
図7の符号101は、従来技術のアーク蒸着源であり、取付板141によって真空槽111に取りつけられている。
このアーク蒸着源101は、円筒形のアノード電極121を有している。
アノード電極121の中心軸線上には支持電極122が配置されており、支持電極122の先端には蒸着材料125が取りつけられている。
蒸着材料125は、円筒形の絶縁碍子126に挿通されており、絶縁碍子126の外周には、リング状のトリガ電極127が配置されている。
アノード電極121の開口直径はここでは33mmである。蒸着材料125は円柱状であり、直径は約10mmである。絶縁碍子126の材料にはアルミナが用いられている。トリガ電極127にはステンレスが用いられている。
真空槽111の外側には電源117が配置されている。電源117は、トリガ電源114とアーク電源115とコンデンサユニット116とから構成されている。トリガ電源114はパルストランスからなり、200Vの入力で数μ秒のパルス電圧を約17倍に変圧して3.4kV(数μA)の出力が得られるもので、コンデンサユニット116は1つの容量が2200μFのコンデンサを4つ並列に接続し、8800μFの容量になっている。
アーク電源115は−100V、数Aの直流電源であり、コンデンサユニット116の充電をする。アノード電極121と真空槽111は接地電位に接続されている。トリガ電源114はトリガ電極127と支持電極122の間に接続され、コンデンサユニット116は接地電位を介してアノード電極121と支持電極122の間に接続されている。
真空槽111内を真空排気した後、トリガ電極127にトリガ電源114から3.4kVのパルス電圧を印加し、蒸着材料125とトリガ電極127との間にトリガ放電を起こすと、トリガ放電によってアノード電極121と蒸着材料125との間にアーク放電が誘起される。このとき、コンデンサユニット116は蓄電した電荷を放電し、アノード電極121から蒸着材料125に向かってピーク値1400〜2000Aのアーク電流が約1m秒流れ、蒸着材料125から蒸着材料125の蒸気が放出されてプラズマが形成される。また、このアーク電流により磁場が形成され、このとき発生したプラズマ中の電子はこの磁場によってローレンツ力を受けアノード電極121の開口から放出される。
プラズマ中に含まれる蒸着材料蒸気の正イオンは、電子との間に働くクーロン力を受け、飛行方向が開口側に曲げられ、開口から放出される。正イオンが成膜対象物表面に到達すると薄膜が形成される。蒸着材料125表面が溶融すると巨大な液滴が飛び出すが、そのような巨大な液滴は直進し、アノード電極121の壁面に衝突し、そこに付着する。
アーク放電を用いて蒸着材料蒸気を放出させる技術は例えば下記文献に記載されている。
特開2004−292830号公報
上記従来技術のアーク蒸着源101では、直径約4インチの領域に薄膜を形成できるが、膜厚が±10%以下の範囲で形成される領域は直径約25mmであり、アノード電極121の開口と同程度の面積である。
従って、±10%以下程度の均一性で大面積に薄膜を形成しようとすると、薄膜形成領域と同じ大面積の蒸着材料や大口径のアノード電極が必要になる。
例えば、直径50mmの蒸着材料は、直径10mmの蒸着材料の25倍の面積であり、同じ成膜速度を得ようとすると、投入電力も25倍必要である。
投入電力を、電源電圧を変更せずに増大させる場合、コンデンサユニットの容量値を大きくすればよいが、容量値が大きくなるとアーク放電の減衰時間が長くなり、蒸着材料125表面が溶融し、液滴発生の原因となる。
また、大電力を投入した場合も蒸着材料125が溶融し、液滴が発生し易くなる。
本発明は上記従来技術の課題を解決するために創作されたものであり、均一な膜厚分布で薄膜を形成できる領域を拡大すること、液滴を増加させないことにある。
上記課題を解決するため、本発明は、蒸着材料と、前記蒸着材料を取囲むアノード電極と、前記アノード電極内に配置されたトリガ電極とを有し、前記トリガ電極と前記蒸着材料の間に生じたトリガ放電によって、前記アノード電極と前記蒸着材料の間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材料から前記蒸着材料の蒸気が放出され、前記蒸着材料の蒸気のプラズマが噴出されるように構成されたアーク蒸着源であって、冷媒体が循環可能な冷却電極を有し、前記蒸着材料は前記冷却電極上に配置され、前記冷媒体によって冷却されながら前記プラズマが噴出されるように構成され、前記蒸着材料は円盤状に形成され、一表面が前記アノード電極の開口に向けられ、前記蒸着材料の周囲には溝が形成され、前記溝内には絶縁物から成る浸食停止体が配置され、前記蒸着材料の裏面側には、前記蒸着材料の表面に磁界を形成する磁界形成装置が配置されたアーク蒸着源である。
また、本発明は、前記アノード電極内には支持電極が配置され、前記冷却電極は前記支持電極に接続され、前記支持電極は電源に接続され、前記蒸着材料には、前記支持電極と前記冷却電極を介して電圧が印加され、前記支持電極内を、前記アノード電極の中心軸線に沿ってアーク電流が流れるように構成されたアーク蒸着源である。
また、本発明は、前記支持電極内には、前記冷却電極に供給される前記冷媒体が流れる流路と、前記冷却電極から排出された前記冷媒体が流れる流路が形成されたアーク蒸着源である。
また、本発明は、前記支持電極を介して前記蒸着材料に電圧が印加されるように構成され、前記支持電極と前記アノード電極の間には、絶縁粒子が配置された領域が設けられたアーク蒸着源である。
また、本発明は、前記支持電極の周囲には絶縁部材が配置され、前記アノード電極と前記絶縁部材の間の領域に前記絶縁粒子が配置されたアーク蒸着源である。
た、本発明は、前記浸食停止体の前記蒸着材料の表面側の表面は、前記蒸着材料の外周付近よりも前記蒸着材料の中央に近い方が深くなる傾斜が設けられたアーク蒸着源である。
た、本発明は、前記蒸着材料の裏面に密着された導電性のバッキングプレートを有し、前記磁界形成装置は前記バッキングプレートの内部に配置されたアーク蒸着源である。
また、本発明は、真空槽と、上記いずれかに記載されたアーク蒸着源とを有し、前記アーク蒸着源から前記真空槽内に前記蒸着材料の蒸気を放出できるように構成された成膜装置である。
蒸着材料を冷却するので、蒸着材料表面が溶融せず、液滴の発生が防止される。
蒸着材料の表面に磁界が形成され、プラズマが中央に集められるので、中央付近の浸食量が多くなり、蒸着材料が長寿命、高使用効率になる。
蒸着材料の周囲に絶縁物から成る浸食停止体が嵌入されており、蒸着材料外周付近の浸食が浸食停止体で停止されるから、蒸着材料が長寿命、高使用効率になる。
本発明を図面を用いて説明する。
図1の符号10は、本発明の一例の成膜装置であり、真空槽11を有している。
真空槽11の内部には基板ホルダ12が配置されており、基板ホルダ12と対面する位置の壁面には孔が形成されており、その孔を閉塞する位置には電極取付板41が取り付けられている。
本発明の一例のアーク蒸着源13は、その電極取付板41に取りつけられている。
図2は、アーク蒸着源13の内部構造を説明するための概略断面図である。
このアーク蒸着源13は、アノード電極21と、トリガ電極27と、蒸着材料25と、冷却電極23とを有している。
アノード電極21は筒状であり、その一端は電極取付板41に固定され、他端は基板ホルダ12に向けられている。
アノード電極21の内部のアノード電極21の中心軸線上には、中心軸線に沿って支持電極22が配置されている。
支持電極22の下端は真空槽11の外部に導出されて、台座42に固定されている。
支持電極22の真空槽11の外部に位置する部分は、電極取付板41に固定された絶縁筒44に挿通され、該絶縁筒44によって電極取付板41にも固定されている。
支持電極22の周囲には、絶縁部材45が配置されている。絶縁部材45は、支持電極22の真空槽11の内部位置から外部位置まで渡って配置されている。真空槽11の外部に位置する絶縁部材45の端部は、絶縁筒44の内部に収容されている。
真空槽11には真空排気系16が接続されている。絶縁筒44や電極取付板41により、真空槽11の内部は大気から分離されており、真空排気系16により、真空槽11の内部は真空排気可能になっている。
支持電極22の先端はアノード電極21の内部に位置しており、先端上には支持電極22の径よりも大きな冷却電極23が配置されている。支持電極22の内部は中空であり、循環パイプ30が支持電極22の長手方向に沿って配置されている。
循環パイプ30の内部には、互いに分離され、循環パイプ30の長手方向に沿って、二個の液体流路31、33が設けられている。
各液体流路31、33は、一端が冷却電極23まで引き延され、他端が真空槽11の外部に導出されている。
真空槽11の外部には、冷却装置35が配置されており、循環パイプ30の真空槽11外部の端部は該冷却装置35に接続されている。
冷却電極23の内部には、冷却電極23内部を引回された液体流路32が配置されている。
循環パイプ30内の二個の液体流路31、33の冷却電極23側の端部は、それぞれ冷却電極23内の液体流路32の一端と他端にそれぞれ接続されている。
液体流路31〜33内と冷却装置35内には液体の冷媒体が配置されており、循環パイプ30内の一方の液体流路31内と、冷却電極23内の液体流路32内と、循環パイプ30内の他方の液体流路33内を通って、冷媒体が流れ、冷却電極23内で昇温され、冷却装置35に戻った冷媒体は冷却装置35で冷却された後、冷却電極23内を流れるように構成されている。
冷却電極23の先端にはバッキングプレート24が配置されている。
バッキングプレート24上には蒸着材料25が取りつけられている。後述するように、バッキングプレート24の内部には、磁界形成装置29が配置されている。
アノード電極21の内部には、筒状のトリガ碍子26が、中心軸線をアノード電極21の中心軸線と一致して配置されており、冷却電極23と、バッキングプレート24と、蒸着材料25は、トリガ碍子26の内部に収容されている。従って、冷却電極23とバッキングプレート24と蒸着材料25の周囲はトリガ碍子26によって取り囲まれ、アノード電極21の内部に露出しないようにされている。
トリガ碍子26の側面にはリング状のトリガ電極27が装着されている。トリガ電極27はアノード電極21の内側に位置し、アノード電極21にも、蒸着材料25にも接触していない。
支持電極22のアノード電極21内部に位置する部分は、上記の絶縁部材45で覆われ、支持電極22の先端は冷却電極23で覆われており、従って、支持電極22の表面は、真空槽11内に露出していない。
絶縁部材45とアノード電極21の間の空間はリング状であり、底面が電極取付板41の表面、内周側面が絶縁部材45の外周側面、外周側面がアノード電極21の内周側面によって構成されており、その空間には絶縁粒子47が多数配置され、ここでは絶縁粒子47によって充填されている。
絶縁部材45とアノード電極21の間の空間は、絶縁粒子47が配置された状態で、絶縁材料から成る蓋部材48によって蓋がされ、絶縁粒子47が外部にこぼれ出ないようにされている。
この構成は、例えば反応性ガスを導入して成膜を行う場合、特にアーク放電電圧を高くする場合に、アノード電極21内部での放電を抑制する効果を奏する。
真空槽11の外部には電源17が配置されている。
トリガ電極27には、トリガ配線51が接続されている。トリガ配線51は、アノード電極21の外部に引回され、アノード電極21よりも外側の部分で真空槽11の外部に導出され、電源17に接続されている。
トリガ配線51のアノード電極21に近い部分は、絶縁管52内に挿通され、周囲が絶縁管52で覆われており、トリガ配線51は真空槽11やアノード電極21とは絶縁されている。
支持電極22と冷却電極23とバッキングプレート24は金属製であり、互いに電気的に接続されている。ここでは蒸着材料25も金属である。
アノード電極21は、真空槽11と共に接地電位に接続されており、支持電極22は電源17に接続されている。
基板ホルダ12には、成膜対象物15が配置されている。成膜対象物15の表面に、蒸着材料25の薄膜を形成する場合を説明すると、上記真空排気系16によって真空槽11内を真空排気し、所定圧力に到達したところで、冷却装置35によって冷却電極23内に冷却媒体を流し、電源17によって、支持電極22と冷却電極23とバッキングプレート24を介して蒸着材料25に負電圧を印加し、トリガ電源17tからトリガ電極27に、蒸着材料25に対する正電圧をパルス状に印加すると、トリガ電極27と蒸着材料25の間でトリガ放電が発生し、蒸着材料25からその蒸気がアノード電極21内に放出される。
蒸着材料蒸気によってアノード電極21内の圧力が上昇し、放電耐圧が低下するとアノード電極21と蒸着材料25の間にアーク放電が誘起され、多量の蒸着材料25の蒸気と電子が放出され、その結果、蒸着材料25の表面付近に蒸着材料蒸気のプラズマが形成される。
冷却電極23内には冷媒体が循環されており、バッキングプレート24が冷却されることで、蒸着材料25は冷却されている。冷却により、大きなアーク電流が流れても表面が溶融せず、液滴の発生が防止されている。
磁界形成装置29は、同心に配置された二個のリング状磁石29a、29bで構成されており、互いに異なる極性の磁極が蒸着材料25側に向けられており、蒸着材料25の表面には、磁界形成装置29が形成する磁界が漏出されており、プラズマは、リング状磁石29a、29b間に形成される磁界中に閉じこめられる。
蒸着材料25とバッキングプレート24と冷却電極23の中心は、支持電極22の中心軸線の延長線上に位置している。
リング状磁石29a、29bの中心も支持電極22の中心軸線の延長線上に位置しており、リング状磁石29a、29bが形成する磁界34により、生成されたプラズマは支持電極22の中心軸線の延長線上、即ち、蒸着材料25の中心を通り、バッキングプレート24の表面と垂直な直線上に集められる。
アノード電極21は、蒸着材料25の外周よりも外側に位置しており、アーク放電は、蒸着材料25の外周部分とアノード電極21との間で生じ易いから、従来技術のプラズマ源では蒸着材料の外周付近の浸食量が大きくなり易い。
本発明のプラズマ源では、プラズマが蒸着材料25の中央に集められるから、図3に示すように、蒸着材料25の中央部分の浸食量を大きくし、寿命を長くすることができる。
蒸着材料25と支持電極22はアノード電極21の中心軸線上に配置されており、アーク放電によるアーク電流は、アノード電極21の中心軸線上を流れ、アノード電極21内に磁界を形成する。
アノード電極21内に放出された電子は、アーク電流によって形成される磁界により、電流が流れる向きとは逆向きのローレンツ力を受け、アノード電極21の開口から真空槽11内に放出される。
蒸着材料の蒸気の中にはイオン(荷電粒子)と中性粒子が含まれるが、電荷質量比の小さい(電荷が質量に比べて小さい)巨大荷電粒子や中性粒子は直進し、成膜対象物15から離れた方向に飛行する。
他方、電荷質量比の大きな正の荷電粒子は、電子に引き付けられ、アノード電極21の開口から真空槽11内に放出される。
基板ホルダ12の、アーク蒸着源13と対面する面には、一乃至複数個の成膜対象物15が配置されている。真空槽11内に放出された蒸着材料25の蒸気が成膜対象物15の表面に到達すると成膜対象物15の表面に薄膜が形成される。
電源17の内部には、アーク電源17aとコンデンサユニット17cとが、接地電位のアノード電極21と支持電極22との間に並列に接続されるように配置されており、コンデンサユニット17cはアーク電源17aによって充電されている。
アーク電流はコンデンサユニット17cに充電された電荷の放電によって供給され、電荷のすべてが放電するとアーク放電は消滅する。コンデンサユニット17cは、放電が終了すると再充電され、トリガ放電によって再度アーク放電が生じ得る状態にされる。
トリガ放電によってアーク放電を複数回数誘起させると成膜対象物15の表面に所望膜厚の薄膜を形成することができる。
電源17内のコンデンサユニット17cは容量2200μFであり、−400Vの充電電圧で充電されている。容量2200μF、充電電圧−100Vの場合と比べると4倍の電力(1/2×2200μ×400×400=176W)となるが、蒸着材料25は冷却電極23内を流れる冷媒体によって冷却されており、蒸着材料25は溶融せず、液滴が発生しない。
コンデンサユニット17cの容量は1/4になっており、従来の8800μFの場合はアーク電流が250〜300μ秒の間流れているのに対し、2200μFの場合は約150〜200μ秒に短縮され、アーク電流が流れる時間が短縮されると溶融による液滴発生は減少する。
図5(a)のグラフは、8800μF、−100Vの場合のアーク電流波形、同図(b)のグラフは2200μF、−400Vの場合のアーク電流波形である。グラフから明らかなように、容量を小さくすることで、アーク電流の増加時間も減衰時間も短くなっていることが分る。これは、増加時間がインダクタンスと容量値の積に、減衰時間が抵抗値と容量値の積に依存しているため、容量値が小さくなることで、両方とも短縮すると考えられる。
一方、アーク電流のピーク値は、3000Aから5000Aに増加している。
図6(a)〜(e)は、プラズマの観察写真であり、同図(a)は8800μF、充電電圧−100Vの場合であり、同図(b)〜(e)は、2200μF、(b):−100V、(c):−200V、(d):−300V、(e):−400Vの場合である。
充電電圧が高くなるに連れて、蒸着材料25の先端部分から遠くまでプラズマが噴出していることが分る。これは、充電電圧が高い方がプラズマが成膜対象物15近くまで伸び、成膜対象物15に到達する蒸着材料蒸気が増加するためである。
アーク電流が増大すると、形成される磁場強度も大きくなり、強いプラズマ流が得られる。また、イオン化率も高くなる。その結果、基板状に直径50mm以内で±10%の成膜が可能となる。
また、本発明のアーク蒸着源13では、蒸着材料25は板状に成形されており、その周囲には溝38が形成されている。
溝38の内部には、溝38の内周面と密着して絶縁物から成る浸食停止体28が配置されており、従って、溝38の内部に浸食停止体28が嵌入された状態になっている。溝38は、蒸着材料25の周囲を一周しており、従って、溝38と浸食停止体28はリング状になっている。
溝38の蒸着材料25の表面とは垂直な方向の切断断面形状は、ここでは三角形であり、その二頂点は蒸着材料25の表面と裏面に位置し、他の一頂点が蒸着材料25内部であって、蒸着材料25の厚み方向の略中央に位置している。
従って、蒸着材料25の、表面及び裏面と平行な方向の切断断面図は、表面や裏面に近い位置の方が、切断位置が厚み方向中央に近い方よりも大面積になっている。
上述したように、アーク放電は蒸着材料25の外周で発生し易いため、蒸着材料25に溝38が形成されておらず、周囲に絶縁物が嵌入されていない場合、図4(a)に示すように、蒸気放出により、蒸着材料25の外周付近が特に浸食されると、外周付近の底面にバッキングプレート24が露出したところで、中央付近では浸食量が少なくてもそれ以上アーク放電を発生させることができなくなり、蒸着材料25を交換しなければならなくなる。
それに対し、本発明のアーク蒸着源13では、蒸着材料25の周囲に絶縁物から成る浸食停止体28が嵌入されており、浸食停止体28にはアーク電流は流れず、蒸発しないから、図4(b)に示すように、浸食停止体28の表面が露出すると、外周付近のその位置の浸食は停止し、次にアーク放電が発生すると、蒸着材料25の浸食位置(蒸気放出位置)は、蒸着材料25の中央方向に移動する。
その結果、蒸着材料蒸気は、蒸着材料25の中央付近からも放出され、その結果、蒸着材料25も有効活用できるようになり、蒸着材料25の使用効率が向上する。
更に、バッキングプレート24内の磁界形成装置により、蒸着材料25の中央にプラズマが集中されているので、中央付近の浸食量が増加し、蒸着材料25の有効活用を図れる。
本発明の成膜装置を説明するための内部概略構成図 本発明のアーク蒸着源を説明するための内部概略構成図 磁界形成装置が形成する磁界を説明するための図 (a):浸食停止体が無い場合の浸食を説明するための図 (b):浸食停止体がある場合の浸食を説明するための図 (a)、(b):アーク電流波形を説明するためのグラフ (a)〜(e):プラズマの拡がりを撮影した写真 従来技術のアーク蒸着源を説明するための内部概略構成図
符号の説明
10……成膜装置
13……アーク蒸着源
21……アノード電極
22……支持電極
23……冷却電極
25……蒸着材料
24……バッキングプレート
27……トリガ電極
28……浸食停止体
29……磁界形成装置
47……絶縁粒子
45……絶縁部材

Claims (8)

  1. 蒸着材料と、
    前記蒸着材料を取囲むアノード電極と、
    前記アノード電極内に配置されたトリガ電極とを有し、
    前記トリガ電極と前記蒸着材料の間に生じたトリガ放電によって、前記アノード電極と前記蒸着材料の間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材料から前記蒸着材料の蒸気が放出され、前記蒸着材料の蒸気のプラズマが噴出されるように構成されたアーク蒸着源であって、
    冷媒体が循環可能な冷却電極を有し、前記蒸着材料は前記冷却電極上に配置され、前記冷媒体によって冷却されながら前記プラズマが噴出されるように構成され
    前記蒸着材料は円盤状に形成され、一表面が前記アノード電極の開口に向けられ、
    前記蒸着材料の周囲には溝が形成され、前記溝内には絶縁物から成る浸食停止体が配置され、
    前記蒸着材料の裏面側には、前記蒸着材料の表面に磁界を形成する磁界形成装置が配置されたアーク蒸着源。
  2. 前記アノード電極内には支持電極が配置され、
    前記冷却電極は前記支持電極に接続され、
    前記支持電極は電源に接続され、前記蒸着材料には、前記支持電極と前記冷却電極を介して電圧が印加され、
    前記支持電極内を、前記アノード電極の中心軸線に沿ってアーク電流が流れるように構成された請求項1記載のアーク蒸着源。
  3. 前記支持電極内には、前記冷却電極に供給される前記冷媒体が流れる流路と、前記冷却電極から排出された前記冷媒体が流れる流路が形成された請求項2記載のアーク蒸着源。
  4. 前記支持電極を介して前記蒸着材料に電圧が印加されるように構成され、
    前記支持電極と前記アノード電極の間には、絶縁粒子が配置された領域が設けられた請求項2記載のアーク蒸着源。
  5. 前記支持電極の周囲には絶縁部材が配置され、前記アノード電極と前記絶縁部材の間の領域に前記絶縁粒子が配置された請求項4記載のアーク蒸着源。
  6. 前記浸食停止体の前記蒸着材料の表面側の表面は、前記蒸着材料の外周付近よりも前記蒸着材料の中央に近い方が深くなる傾斜が設けられた請求項記載のアーク蒸着源。
  7. 前記蒸着材料の裏面に密着された導電性のバッキングプレートを有し、
    前記磁界形成装置は前記バッキングプレートの内部に配置された請求項記載のアーク蒸着源。
  8. 真空槽と、請求項1記載のアーク蒸着源とを有し、前記アーク蒸着源から前記真空槽内に前記蒸着材料の蒸気を放出できるように構成された成膜装置。
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