JP2001011608A - 膜形成装置 - Google Patents

膜形成装置

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JP2001011608A
JP2001011608A JP11177691A JP17769199A JP2001011608A JP 2001011608 A JP2001011608 A JP 2001011608A JP 11177691 A JP11177691 A JP 11177691A JP 17769199 A JP17769199 A JP 17769199A JP 2001011608 A JP2001011608 A JP 2001011608A
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film forming
magnetic
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Koji Matsunaga
幸二 松永
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Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマ輸送時に粗大粒子を除去する磁気フ
ィルタを改善して、そのプラズマ輸送効率を高くする。 【解決手段】 この膜形成装置は、真空アーク蒸発源1
2と成膜室2との間に、プラズマ22を輸送すると共に
当該プラズマ22中から粗大粒子を除去する磁気フィル
タ24aを備えている。この磁気フィルタ24aは、湾
曲した輸送管26と、この輸送管26の内面近傍を覆う
複数のカスプ磁場を形成する複数の永久磁石34とを備
えて成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、真空アーク蒸発
源を用いたいわゆるアーク式イオンプレーティング法に
よって、例えば自動車部品、工作機械部品、工具等の基
体の表面に、例えば潤滑性や硬度等に優れた膜を形成す
る膜形成装置に関し、より具体的には、その磁気フィル
タの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】真空アーク放電によって陰極を溶解させ
て陰極物質を含むプラズマを生成する真空アーク蒸発源
を用いて、この真空アーク蒸発源で発生させたプラズマ
中のイオン(この明細書では正イオンを意味する)を負
バイアス電圧等によって基体に引き込んで基体の表面に
膜を形成する手法は、アーク式イオンプレーティング法
とも呼ばれており、成膜速度が大きい、膜の密着性が高
い等の特長を有している。成膜速度が大きいのは、真空
アーク放電を利用して陰極を溶解させて、陰極物質を大
量に蒸発させることができるからである。膜の密着性が
高いのは、上記プラズマ中のイオンを、負バイアス電圧
等による電界によって基体に引き込んで衝突させること
ができるからである。
【0003】しかし、真空アーク蒸発源の陰極から蒸発
させる陰極物質には、成膜に好ましい微小粒子の他に、
例えば直径が数μm程度またはそれ以上という粗大粒子
(これはドロップレットとも呼ばれる)が含まれてお
り、この粗大粒子が基体に飛来して付着してしまい、こ
れが原因で基体に対する膜の密着性や膜表面の平滑性が
低下するという問題がある。
【0004】プラズマ中から粗大粒子を除去するために
磁気フィルタを用いる技術が既に幾つか提案されてい
る。例えば、I. I. Aksenov et al Sov. J. Plasma Phy
s. 4(1978)425-428(文献1)、A. Anders et al Plasm
a Sources Sci. Technol. 4(1995)1-12(文献2)参
照。この文献1または2に記載されたような磁気フィル
タを用いた膜形成装置の例を以下に説明する。
【0005】図5に示す膜形成装置は、図示しない真空
排気装置によって真空排気される成膜室(換言すれば真
空容器)2を備えており、その中に、成膜しようとする
基体6を保持するホルダ8が設けられている。成膜室2
内には、必要に応じて、不活性ガス、反応性ガス等のガ
ス4が導入される。この成膜室2およびそれに接続され
た後述する輸送管26は、この例では電気的に接地され
ている。
【0006】ホルダ8およびそれに保持される基体6に
は、バイアス電源10から、例えば−数百V〜−100
0V程度の負のバイアス電圧が印加される。但し、基体
6に負のバイアス電圧を印加しなくても、即ち基体6を
接地電位にしておいても、その近傍のプラズマ22の方
が基体6よりも正電位になりやすいので、このプラズマ
22と基体6との電位差によってプラズマ22中のイオ
ンを基体6に向けて加速することも可能である。
【0007】成膜室2の壁面には、磁気フィルタ24を
構成する輸送管26の一方の端部が、ホルダ8上の基体
6に向くように接続されている。この輸送管26内も、
成膜室2と共に真空排気される。この例ではこの輸送管
26の他方の端部付近内に、真空アーク蒸発源12が設
けられている。
【0008】真空アーク蒸発源12は、この例では金属
製の支持体16に取り付けられた陰極14を有してい
て、当該陰極14とこの例では陽極を兼ねる輸送管26
との間の真空アーク放電によって、陰極14を局部的に
溶解させて陰極物質14aを蒸発させるものである。こ
のとき、陰極14の前方近傍には、アーク放電によって
プラズマが生成され、陰極物質14aの一部はイオン化
される。即ち、陰極14の前方近傍には、イオン化され
た陰極物質14aを含むプラズマ22が生成される。
【0009】このとき、陰極14と輸送管26との間に
は、アーク電源18から、前者を負極側にして、例えば
数十V〜数百V程度のアーク放電電圧が供給される。陰
極14の近傍には、必要に応じて、上記ガス4と同種類
のガス20が導入される。なお、通常は、アーク放電起
動用のトリガ電極が備えられているが、ここではその図
示を省略している。
【0010】磁気フィルタ24は、この例では、湾曲し
た前記輸送管26と、その外周部に当該輸送管26に直
交するように配置されていて輸送管26に沿って湾曲し
た磁場(トロイダル磁場)を形成する複数の(通常は図
示の3個よりも多い)トロイダルコイル28と、このト
ロイダルコイル28に直流電流を流す直流電源(図示省
略)とを備えている。このトロイダルコイルで発生する
磁力線30は、図中にその一部を概略的に示している
が、輸送管26の内面にほぼ沿っている。
【0011】上記複数のトロイダルコイル28の代わり
に、図6に示す磁気フィルタ24のように、輸送管26
の外周部に沿って巻かれたソレノイドコイル32によっ
て、輸送管26に沿って湾曲した磁場(ソレノイド磁
場)を形成する例もある。
【0012】真空アーク蒸発源12によって生成された
プラズマ22は、上記磁気フィルタ24中をその磁場に
沿って輸送されて、成膜室2内の基体6の近傍に導かれ
る。その際、プラズマ22中に含まれている粗大粒子は
次のような作用によって除去される。
【0013】即ち、真空アーク蒸発源12の陰極14か
ら蒸発する陰極物質14aには、前述したように成膜に
好ましい微小粒子だけでなく、例えば直径が数μm程度
またはそれ以上という粗大粒子も含まれているが、この
粗大粒子がイオン化した場合、それは磁気フィルタ26
内の磁場に捕捉されてその磁力線30を中心軸として螺
旋運動をする。この螺旋運動の半径(ラーマー半径)は
質量に比例して大きくなるため、粗大粒子の場合は極端
に大きく、結果的に輸送管26の内壁や当該内壁に突設
したフィン(図示省略)等に衝突して消滅(付着)す
る。
【0014】イオン化していない粗大粒子や他の中性粒
子は、陰極14から直線的に飛散するため、これも湾曲
した輸送管26の内壁またはフィンに衝突して消滅す
る。
【0015】従っていずれにしても、粗大粒子および中
性粒子は、磁気フィルタ24内においてプラズマ22中
から除去され、成膜室2内には、イオン化した微小粒子
および電子から成り、粗大粒子を殆ど含まないプラズマ
22が輸送され、これが基体6の近傍に導かれる。従っ
て、粗大粒子が基体6に付着することを防止することが
できる。
【0016】プラズマ22中に含まれているイオン化し
た陰極物質14aは、バイアス電圧によって基体6に向
けて加速されて、基体6の表面に入射堆積して膜を形成
する。このとき、前記ガス4および20が反応性ガスの
場合は、それと陰極物質14aとが化合した化合物膜が
形成される。例えば、陰極14をTi 、ガス4および2
0をN2 とすれば、TiN膜が形成される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなトロイダ
ル磁場またはソレノイド磁場を用いた磁気フィルタ24
では、上記文献2の第9〜11頁にも記載されているよ
うに、輸送されるプラズマ22の条件等によって、プラ
ズマ22に不安定が発生しやすく、プラズマ22の輸送
効率を高めることが難しいという課題がある。
【0018】この不安定発生機構について簡単に説明す
ると、プラズマには種々の条件によって異なった種類の
不安定が発生するため、一概には言えないけれども、一
般的には、磁場中のプラズマが電流を持つ場合、この電
流と磁場とが相互作用を起こし、プラズマに不安定が発
生する。しかも磁場が強いほど不安定が発生しやすい。
【0019】真空アーク放電で作られるプラズマは、一
例を挙げれば、数十eV程度のエネルギーに相当するド
リフト速度(従ってイオン電流)を持っている。このと
き、プラズマ中の揺らぎ(波動)がE×Bドリフト波と
呼ばれるものの場合、その位相速度はE/Bに比例する
(即ちBが増加すると位相速度は小さくなる)。ここ
で、Eはプラズマ中の電界強度、Bは磁場強度である。
この位相速度がイオンのドリフト速度よりも小さくなっ
た場合、イオンの持つエネルギーが波に転換されて波が
増幅される。これがプラズマの不安定である。プラズマ
不安定が発生すると、輸送管26中のプラズマ22は異
常に拡散が大きくなり、消滅してしまう。
【0020】プラズマ22のドリフトには、上記E×B
ドリフトと呼ばれるものの他に、プラズマ密度勾配ドリ
フト、磁場勾配ドリフト、トロイダルドリフト等と呼ば
れる様々なものがあり、これらが複合してプラズマ不安
定が発生する。
【0021】特に、従来の磁気フィルタ24が採用して
いるトロイダル磁場やソレノイド磁場では、輸送管26
の中心軸に近い所ほど磁場が強くなり、このような磁場
配位では磁場勾配ドリフトが発生しやすい。また、この
ような磁場配位に伴って、輸送管26内での半径方向に
おけるプラズマ22の空間的不均一性が大きくなり、プ
ラズマ密度勾配ドリフトも発生しやすい。更に、トロイ
ダル磁場では、磁場の曲率に伴うトロイダルドリフトが
発生しやすい。
【0022】このような理由から、従来の膜形成装置で
は、その磁気フィルタ24でのプラズマ22の輸送効率
を高めることが難しいので、粗大粒子を除去することは
できるものの、成膜速度が低下して、アーク式イオンプ
レーティング法の前述した成膜速度が大きいという特長
を十分に生かすことができないという課題がある。
【0023】そこでこの発明は、上記のような磁気フィ
ルタを改善して、そのプラズマ輸送効率を高くすること
を主たる目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】この発明の膜形成装置
は、前記磁気フィルタが、湾曲した輸送管と、この輸送
管の内面近傍を覆う複数のカスプ磁場を形成する複数の
永久磁石とを備えて成ることを特徴としている。
【0025】上記磁気フィルタによれば、その輸送管の
内面近傍を覆うように形成された複数のカスプ磁場によ
って、真空アーク蒸発源で生成したプラズマを、輸送管
に沿ってしかもその内壁から離して(即ち内部に閉じ込
めて)輸送することができる。その際、真空アーク蒸発
源で生成したプラズマ中の中性の粗大粒子等は、直進し
て、湾曲した輸送管の内壁等に衝突して消滅する。イオ
ン化した粗大粒子も、その質量が大きくてカスプ磁場に
十分に捕捉されずに輸送管の内壁等に衝突して消滅す
る。従って、従来例の場合と同様に、輸送するプラズマ
中から粗大粒子および中性粒子を除去することができ
る。
【0026】しかも、カスプ磁場の場合は、輸送管の内
壁近傍は磁場が強いけれども、輸送管内部は磁場が弱
く、このような磁場配位では、従来のトロイダル磁場や
ソレノイド磁場に比べて、ドリフトによるプラズマ不安
定が起こりにくい(これについては後で更に説明す
る)。
【0027】従って、上記磁気フィルタによれば、従来
のトロイダル磁場やソレノイド磁場を用いた磁気フィル
タに比べて、プラズマの輸送効率を高くすることができ
る。その結果、このような磁気フィルタを備えるこの発
明の膜形成装置によれば、粗大粒子が基体およびその表
面に形成される膜に付着することを防止すると共に、大
きな成膜速度を実現することが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る膜形成装
置の一例を示す概略水平断面図である。図2は、図1の
線A−Aに沿う拡大断面図である。図5に示した従来例
と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下に
おいては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0029】この膜形成装置は、前述した従来の磁気フ
ィルタ24の代わりに、磁気フィルタ24aを備えてい
る。この磁気フィルタ24aは、例えば前述したような
湾曲した輸送管26と、この輸送管26の内面近傍を覆
う複数のカスプ磁場を形成する複数の永久磁石34とを
備えて成る。この複数のカスプ磁場は、この例では、輸
送管26の内面をほぼ全域に亘って覆うように形成され
ている。この複数のカスプ磁場は、多極磁場とも呼ばれ
る。
【0030】輸送管26の断面形状は、例えば円形であ
るが、それに限定されるものではなく、方形やその他の
形状でも良い。
【0031】各永久磁石34は、図1および図2に示す
例では、細長い棒状(短冊状とも言える)のものであ
り、これを湾曲した輸送管26に(即ちその湾曲した軸
に)沿って配置している。そしてこのような永久磁石3
4を、輸送管26の周囲に互いの間に所定の間隔をあけ
て配置している。
【0032】各永久磁石34は、図3および図4に示す
磁気フィルタ24aのように、輸送管26の周囲に、当
該輸送管26に(即ちその湾曲した軸に)ほぼ直交する
ように環状に配置しても良い。各永久磁石34の間は互
いに所定の間隔をあけている。
【0033】あるいは、上記二例の中間として、各永久
磁石34を、輸送管26の周囲に、輸送管26に沿って
斜めに(即ち螺旋状に)配置しても良い。
【0034】各永久磁石34は、輸送管26に向かう面
に磁極を有している。従って、各永久磁石34に出入り
するときの磁力線36は、その一例を図2および図4に
示すように、輸送管26の内面にほぼ垂直になる。しか
も、複数の永久磁石34を、N極とS極とが交互に現れ
るように並べている。それによって、図2および図4に
示すように、輸送管26の内面近傍に、当該内面を覆う
ように、複数のカスプ磁場(より具体的にはこの例では
線カスプ磁場)が形成される。
【0035】上記各永久磁石34は、それぞれ複数個に
分割しても良い。その場合、永久磁石34が図3および
図4に示す配置で、輸送管26の断面が円形の場合は、
直線状の多数の永久磁石を円環状に配列しても良いし、
曲率を持つ複数個の永久磁石を円環状に配列しても良
い。後者の方がより円形に近くなるので好ましい。
【0036】各永久磁石34の材質は、例えばサマリウ
ムコバルト(SmCo )であるが、それに限られるもの
ではない。
【0037】上記磁気フィルタ24aによれば、その輸
送管26の内面近傍を覆うように形成された複数のカス
プ磁場によって、真空アーク蒸発源12で生成したプラ
ズマ22を、輸送管26に沿ってしかもその内壁から離
して(即ち内部に閉じ込めて)輸送することができる。
【0038】その際、真空アーク蒸発源12で生成した
プラズマ22中の中性の粗大粒子や中性粒子は、陰極1
4から直線的に飛散するため、湾曲した輸送管26の内
壁や当該内壁に突設したフィン(図示省略)等に衝突し
て消滅する。イオン化した粗大粒子も、質量が大きくて
カスプ磁場に十分に捕捉されずに輸送管26の内壁等に
衝突して消滅する。従って、従来例の場合と同様に、輸
送するプラズマ22中から粗大粒子および中性粒子を除
去することができる。
【0039】このようにして、真空アーク蒸発源12に
よって生成したプラズマ22を、その中から粗大粒子お
よび中性粒子を除去して、成膜室2内の基体6の近傍に
輸送することができる。
【0040】しかも、カスプ磁場の場合は、輸送管26
の内壁近傍は磁場が強いけれども、輸送管26の内部は
磁場が弱く、このような磁場配位では、従来のトロイダ
ル磁場やソレノイド磁場に比べて、プラズマ22のドリ
フトによる不安定が起こりにくい。
【0041】即ち、輸送管26の内部は磁場が弱いの
で、前述したE×Bドリフトによるプラズマ不安定が起
こりにくい。
【0042】また、カスプ磁場の場合は、従来のトロイ
ダル磁場やソレノイド磁場とは逆に、輸送管26の中心
軸に近づくほど磁場が弱くなる磁場配位を有しているの
で、前述した磁場勾配ドリフトによるプラズマ不安定も
起こりにくい。
【0043】また、カスプ磁場の場合は、輸送管26の
中心軸付近の磁場は周辺と比較して弱く、輸送管26内
をプラズマ22が自由に移動でき、輸送管26内のプラ
ズマ22の空間的均一性が良くなるので、プラズマ密度
勾配が小さく、前述したプラズマ密度勾配ドリフトによ
るプラズマ不安定も起こりにくい。
【0044】更に、カスプ磁場の場合は、前述したトロ
イダル磁場に伴うトロイダルドリフトによるプラズマ不
安定も起こらない。
【0045】従って、上記磁気フィルタ24aによれ
ば、従来のトロイダル磁場やソレノイド磁場を用いた磁
気フィルタ24に比べて、プラズマ22の輸送効率を高
くすることができる。その結果、このような磁気フィル
タ24aを備えるこの膜形成装置によれば、粗大粒子が
基体6およびその表面に形成される膜に付着することを
防止すると共に、大きな成膜速度を実現することが可能
になる。従って、アーク式イオンプレーティング法の成
膜速度が大きいという特長を十分に生かすことができ
る。
【0046】しかも、カスプ磁場を用いる上記磁気フィ
ルタ24aによれば、大口径のプラズマ22の輸送が可
能であり、しかも当該磁気フィルタ24aの出口部で
の、即ち基体6の近傍での、プラズマ22の均一性が高
い。
【0047】これを詳述すると、従来のトロイダル磁場
またはソレノイド磁場を用いた磁気フィルタ24では、
輸送管26の内部全体に輸送管26に沿って磁場(磁力
線)が存在していて、輸送管26の中心軸付近に真空ア
ーク蒸発源12から入射したプラズマ22は、上記磁力
線にほぼ沿って移動するため、輸送管26の出口でのプ
ラズマ22の大きさ(断面積)は、ほぼ入射時のプラズ
マ22の大きさで決まってしまう。しかも、当該プラズ
マ22の半径方向の密度分布は、磁場を横切る拡散のた
め、ガウス分布に近いものとなる。従って、入射プラズ
マが小口径の場合は出口でも小口径のままであり、かつ
その密度分布の均一性も悪い。
【0048】これに対して、カスプ磁場を用いた上記磁
気フィルタ24aでは、前述したように輸送管26の中
心軸付近の磁場は周辺に比べて弱く、輸送管26内全体
をプラズマ22が自由に移動できるので、入射プラズマ
22が小口径であっても、輸送管26内のほぼ全体を覆
う大口径のプラズマ22となる。しかも、輸送管26内
の周辺のみで強い磁場の影響を受けて反射を繰り返し、
かつ輸送管26内の周辺で初めて磁場を横切る拡散が生
じるため、磁気フィルタ24aの出口付近ではプラズマ
22は台形状の均一性の高い密度分布を持つようにな
る。従って、大口径のプラズマ22の輸送が可能であ
り、かつ当該磁気フィルタ24aの出口部付近での、即
ち基体6の近傍での、プラズマ22の均一性も高い。そ
の結果、大型の基体6に均一性の高い膜形成を行うこと
が可能になる。
【0049】また、従来の磁気フィルタ24は、輸送管
26内の全体に磁場を発生させるものであるため、トロ
イダルコイル28またはソレノイドコイル32が大型に
なると共にその励磁用の直流電源も必要であり、装置が
大型化せざるを得ない。これに対して、この磁気フィル
タ24aでは、輸送管26内の周辺部にのみカスプ磁場
を発生させれば良いので、小型の磁石で済み、しかも永
久磁石を用いているので電源も不要である。従って、磁
気フィルタ24aひいては膜形成装置を小型化すること
ができる。
【0050】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、カスプ
磁場を用いた磁気フィルタを備えており、カスプ磁場の
場合は従来のトロイダル磁場やソレノイド磁場に比べて
プラズマ不安定が起こりにくいので、磁気フィルタでの
プラズマの輸送効率を高くすることができる。
【0051】その結果、このような磁気フィルタを備え
るこの発明の膜形成装置によれば、粗大粒子が基体およ
びその表面に形成される膜に付着することを防止すると
共に、大きな成膜速度を実現することが可能になる。従
って、アーク式イオンプレーティング法の成膜速度が大
きいという特長を十分に生かすことができる。
【0052】しかも、上記磁気フィルタによれば、カス
プ磁場を用いているので、大口径のプラズマの輸送が可
能であり、かつ出口部での、即ち基体の近傍でのプラズ
マの均一性も高い。従って、大型の基体に均一性の高い
膜形成を行うことが可能になる。
【0053】更に上記磁気フィルタでは、輸送管内の周
辺部にのみカスプ磁場を発生させれば良いので、小型の
磁石で済み、しかも永久磁石を用いているので電源も不
要である。従って、磁気フィルタひいては膜形成装置を
小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る膜形成装置の一例を示す概略水
平断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う拡大断面図である。
【図3】この発明に係る膜形成装置を構成する磁気フィ
ルタの他の例を示す概略断面図である。
【図4】図3の線C−Cに沿う拡大部分断面図である。
【図5】従来の膜形成装置の一例を示す概略水平断面図
である。
【図6】従来の磁気フィルタの他の例を示す概略断面図
である。
【符号の説明】
2 成膜室 6 基体 10 バイアス電源 12 真空アーク蒸発源 14a 陰極物質 22 プラズマ 24a 磁気フィルタ 26 輸送管 34 永久磁石 36 磁力線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体を収納して真空排気される成膜室
    と、真空アーク放電によって陰極を溶解させて陰極物質
    を含むプラズマを生成する真空アーク蒸発源と、この真
    空アーク蒸発源によって生成したプラズマを磁場によっ
    て湾曲させて粗大粒子を除去して前記成膜室内の基体の
    近傍に導く磁気フィルタとを備える膜形成装置におい
    て、前記磁気フィルタが、湾曲した輸送管と、この輸送
    管の内面近傍を覆う複数のカスプ磁場を形成する複数の
    永久磁石とを備えて成ることを特徴とする膜形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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