JPH11269634A - 真空アーク蒸発源 - Google Patents

真空アーク蒸発源

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JPH11269634A
JPH11269634A JP7217498A JP7217498A JPH11269634A JP H11269634 A JPH11269634 A JP H11269634A JP 7217498 A JP7217498 A JP 7217498A JP 7217498 A JP7217498 A JP 7217498A JP H11269634 A JPH11269634 A JP H11269634A
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JP
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magnetic field
evaporation
source
evaporating
magnetic
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JP7217498A
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Inventor
Hirobumi Fujii
博文 藤井
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 磁場形状を小型、簡易な構造で実現し得て、
成膜速度を犠牲にせずに溶融粒子の発生を抑制し、蒸発
物質を均一に消耗させることにより、周辺装置及び皮膜
形成過程への磁場の影響を最小限に留め得る真空アーク
蒸発源の提供。 【解決手段】 真空アーク蒸発源の磁場発生源1を、そ
れにより発生する磁極の中心が蒸発物質2の蒸発面2a
に対し後方、かつ蒸発物質2を同軸的に囲む外周側にあ
って、同極性の磁極が対面するように配設した。また、
磁場発生源1から発散する磁力線のうちの蒸発面2a を
貫通する磁力線をその蒸発面2a に平行な成分が蒸発面
2a の内側に向く方向に発散させるように、磁場発生源
1が配設される。また、磁場発生源1から発散する磁力
線のうちの蒸発面2a を貫通する磁力線をその蒸発面2
a に平行な成分が蒸発面2a の外側に向く方向に発散さ
せるように、磁場発生源1が配設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具、機械部
品、電子部品、プリント回路等の各分野での耐摩耗性コ
ーティング用の皮膜形成に専ら使用される真空アーク蒸
着装置に適用される真空アーク蒸発源に関する。
【0002】
【従来の技術】真空アーク蒸着法は、真空室内で蒸発物
質を陰極とするアーク放電を発生させ、アーク電流のエ
ネルギーにより陰極材料を蒸発・イオン化させ、基板上
に皮膜を堆積させる方法である。この真空アーク蒸着法
の特徴は、基板(コーティング処理物)への入射粒子の
エネルギーが高いため、皮膜の密度が高く、強度及び耐
久性に優れた膜が得られること、さらに工業的には成膜
速度が高く、生産性に優れていることである。
【0003】しかし、この真空アーク蒸着法は、蒸発粒
子・イオン化粒子に比べて遙に大きい数μm以上の径を
持つ溶融粒子が発生することが避けられず、これが皮膜
中に混入することによって皮膜面粗度の悪化や皮膜組成
の不均一性をもたらすことが欠点となっている。この溶
融粒子の発生あるいは皮膜への混入を抑制するため種々
の方法が試みられているが、実用的、工業的に適用され
ている例は極めて少ない。
【0004】真空アーク蒸着法及び装置に関して溶融粒
子の低減を目的とした典型的な先行技術が、特開平 9
−157837号公報、特開平 7−166331号公報、特開平
7−70742号公報、特開平 9−170075号公報に挙示さ
れる。これらの先行技術に関して、は蒸発源陰極と基
板の間にメッシュ状の中間電極を配置してこれに陰極と
基板の中間の電位を与えることにより、基板へのエッチ
ング現象を抑制し、さらに中間電極を動かすことにより
溶融粒子を捕捉するアーク式イオンプレーティング装置
である。この装置は、真空アーク蒸着法の特徴である成
膜速度が著しく低下してしまうこと、装置が複雑で中間
電極の性能維持が難しいこと等の問題がある。
【0005】は、陰極を周速度15m/秒程度以上で
回転することにより、発生した溶融粒子を回転の接線方
向に飛ばして皮膜への混入を抑制するドロップレットの
ない薄膜の形成法であるが、真空アーク蒸着法で通常使
用されるアーク放電電流数10〜200A程度を陰極に
供給しながら上記速度で回転させる機構は耐久性に乏し
く、実用に耐えない問題点を有する。
【0006】は、蒸発源から発生した粒子が基板に向
かって飛翔する経路に加熱保持した反射板を設け、この
反射板で捕捉した粒子を蒸発させることにより皮膜への
粒子混入を抑制する真空アーク蒸着法であって、実質的
に溶融加熱方式の真空蒸着と同じであり、真空アーク蒸
着法の特徴である高成膜速度、高生産性並びに皮膜の緻
密性が得られないのが難点とされる。
【0007】は、チタン陰極の放電面に窒素ガスを吹
き付けて、陰極物質よりも高融点の窒化チタンを形成す
ることにより溶融粒子の発生を抑制する膜形成方法であ
るが、ガス吹き付け機構に多量の蒸発物質が付着し、効
果を維持し難いこと、窒素を使用しないプロセスには適
用できないことなどの難点がある。
【0008】ところで、真空アーク蒸着法において磁場
を利用した例を挙げると、蒸発物質の均一な消耗を得る
ために蒸発物質の蒸発面後方に配置、移動(回転)する
ことは公知の技術であるが、特公昭60− 36468号公報
は、陰極蒸発面の前方に管状陽極と、その外側にソレノ
イドを配し、該ソレノイドの蒸発面周りの部分の単位長
さ当たりの巻き数を他の部分の2倍以上としたもので、
アークの安定性と磁場がプラズマを導く効果により効率
的な蒸発物質の利用が実現する特徴があるが、前述した
溶融粒子発生の問題は依然として残っている。
【0009】真空アーク蒸発源と基板との間に、直角
に曲げられ、ソレノイドが配置された管路が設けられ、
イオン化した粒子のみ磁場に誘導されて基板に到達し、
溶融粒子は直進して上記管路に付着し皮膜への混入を抑
制可能としたものもあるが、成膜速度が著しく低下して
しまい、また成膜装置が非常に大掛かりであり、管路内
面に付着した蒸発物質の除去等のメンテナンスが困難で
ある等の問題がある。
【0010】特公平 2−194167号公報は、真空アーク
蒸着装置において、少なくとも一つのコイルを蒸発源と
基板との間に蒸発面と同軸上に、かつ、磁力線がコイル
内側で収束するように配置した構成であり、また、磁力
線が蒸発面の半径方向外向きに発散する位置に配置した
構成である。また、磁場に沿って絞られたプラズマ流の
径よりも僅かに大きな開口を有するオリフィスあるいは
管状部を配置した構成であって、皮膜に付着する溶融粒
子数の減少及び溶融粒子径の小型化を目的としており、
工業的には徐々に適用されつつある。
【0011】このような構成の真空アーク蒸着装置で
は、電磁コイルによる磁場によってプラズマ流が収束し
た状態でワーク(基板)に到達するため、皮膜形成範囲
が狭く、広範囲での均一な膜厚を得にくいおそれがあ
る。さらに、皮膜形成過程で、上記磁場が皮膜構造に悪
影響を及ぼす可能性がある。また、オリフィス部や管状
部に付着した蒸発物質は、絶縁不良ひいては異常放電を
惹き起こし易く清浄さを保つことが要求されているが、
清掃し難い構造とならざるを得ないのが問題でもある。
【0012】一方、電磁コイルで数十ガウスレベルの磁
場を発生させるためには、数Aの電流を流通させる電線
数百ターン巻いたコイルが必要で、管状部とともに数十
kg程度の大変な重量となり、作業性が悪いことが考えら
れる。また、コイルによる磁場が広範囲に発生するた
め、複数の蒸発源を同時に使用する場合、近隣の蒸発源
に対して蒸発特性に好ましくない影響を与えやすいし、
コイルを励磁するために大きな容量の電源も必要とな
る。
【0013】特公平 8−283933号公報には、真空アー
ク式蒸発源に関する技術が開示されているが、これは先
行技術の陰極蒸発面にガスを吹き付けるものにおい
て、互いに極性の異なる複数の磁極を陰極後面に対向さ
せて配置することにより、溶融粒子が飛散することを防
止できるとしたものである。しかし、複数の磁極を設け
たとき、磁力のばらつき、磁極の配置精度、蒸発物質が
消耗したときの蒸発面における磁場の不均一性などによ
り、アーク放電軌跡を蒸発面上に均一に分布させたり、
トロコイド運動を継続して起こさせることは現実には極
めて難しく実用的でない。また、磁極を複数(多数)設
けるため、陰極後面の構造が複雑で、製作コストが高く
つくし、メンテナンス性も悪い問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように上記
各先行技術ではそれぞれ一長一短があって、特に大型、
大量処理装置への展開が種々の制約を伴うおそれがある
点で困難であり、また、工業的規模での実施には多くの
障害を有する等、工業化の推進を阻害する幾つかの問題
点がある。
【0015】本発明は、このような問題点の解消を図る
ために成されたものであり、従って、本発明の目的は、
磁場形状を先行技術と同等の非常に小型、簡易な構造
で実現し得て、成膜速度を犠牲にせずに溶融粒子の発生
を抑制し、さらに蒸発物質を均一に消耗させることによ
り、もって、他の蒸発源も含めた周辺装置及び皮膜形成
過程への磁場の影響をできるかぎり最小限にとどめるこ
とが可能な真空アーク蒸発源を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため以下に述べる構成としたものである。即
ち、本発明に係る請求項1の発明は、真空アーク蒸発源
の磁場発生源を、それにより発生する磁極の中心が蒸発
物質の蒸発面に対し後方、かつ該蒸発物質を同軸的に囲
む外周側にあって、同極性の磁極が対面するように配設
したことを特徴とする真空アーク蒸発源である。
【0017】また本発明に係る請求項2の発明は、上記
請求項1の発明に関して、磁場発生源から発散する磁力
線のうちの前記蒸発面を貫通する磁力線をその蒸発面に
平行な成分が蒸発面の内側に向く方向に発散させるよう
に、前記磁場発生源が配設されることを特徴とする。
【0018】また本発明に係る請求項3の発明は、上記
請求項1の発明に関して、磁場発生源から発散する磁力
線のうちの前記蒸発面を貫通する磁力線をその蒸発面に
平行な成分が蒸発面の外側に向く方向に発散させるよう
に、前記磁場発生源が配設されることを特徴とする。
【0019】また本発明に係る請求項4の発明は、上記
請求項1の発明に関して、磁場発生源から発生する磁力
線のうちの前記蒸発面を貫通する磁力線をその蒸発面に
平行な成分が蒸発面の内側に向く方向と外側に向く方向
とに混在状態で発散させるように、前記磁場発生源が配
設されることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を、添付図面を参照しながら具体的に説明する。本発明
の実施形態に係る真空アーク蒸発源が適用される真空ア
ーク蒸着装置は、図1に模式的に示されるが、非磁性材
料から形成される真空チヤンバ3と、この真空チヤンバ
3の図1上で左端部となる頸部の外側に配設されるリン
グ状永久磁石で実現される磁場発生源1と、前記頸部内
に配置される陰極としての蒸発物質2と、アーク放電電
流を供給するためのアーク電源5とを含んで構成され、
真空チヤンバ3内の軸中心部に配置したワークとしての
基板4に対して、リング状永久磁石1と円盤状を成す蒸
発物質2とが、同軸的にそれぞれ配置されている。
【0021】上記真空アーク蒸着装置において、リング
状永久磁石1と蒸発物質2とは、図1及びそれらの配置
関係が示される図2(イ)、(ロ)を参照して、リング
状永久磁石1の磁極中心が蒸発物質2の蒸発面2a (基
板4に対向する側の面)に対し後方(基板4側を前方と
する)にあり、かつ、この蒸発物質2を同軸的に囲む外
周側の位置にあるような配置関係となっている。そし
て、リング状永久磁石1は、例えば内周面側がS極、外
周面側がN極となって、中心軸の周りに同極性の磁極が
対面するように配設されている。
【0022】このような真空アーク蒸着装置は、リング
状永久磁石1から発散する磁力線が蒸発物質2の蒸発面
2a を貫通するが、真空下において蒸発物質2から発生
させた皮膜形成材料のプラズマ流が磁力線に沿って導か
れて真空チヤンバ3内を流動して基板4に到達しコーテ
ィングを行うものである。
【0023】この場合、リング状永久磁石1と蒸発物質
2の配置関係によって、蒸発面2aを貫通する磁力線
を、面に直角な方向でなく蒸発面2a と平行な成分を持
つ方向に流通させることができ、これが蒸発物質2のア
ークスポット(真空アーク放電を発生させたときに陰
極、すなわち蒸発物質2の表面でアーク電流が一点に集
中するという現象があり、その集中点のこと)から流出
するイオン、電子と直交し、電磁的な相互反発作用によ
ってアークスポットを強制的に動かすので、アークスポ
ットは蒸発面2a 上を高速で周回運動する。その結果、
アークスポットがある一個所に滞留する時間が短くな
り、アークスポットの周囲の溶融部分の発生が抑制さ
れ、蒸発面2a 上から発生する溶融粒子の発生量を減少
し、また溶融粒子径を短小化する作用を生じる。
【0024】図3には、本発明の第1実施形態に係る真
空アーク蒸発源のリング状永久磁石1と蒸発物質2との
右半分示配置関係図が、また、図4には、図3に対応す
る磁場解析図がそれぞれ示される。この第1実施形態は
図3に示されるように、例えば内径152mm、外径20
0mm、厚さ14mmのリング状永久磁石1と、内径100
mmの円盤状を成す蒸発物質2とが、同軸で、かつリング
状永久磁石1の前面と蒸発物質2の後面とが略面一にな
る位置関係で配設されてなるものである。
【0025】このような配置としたことによって、図4
に磁場を解析して示しているように、リング状永久磁石
1から発散する磁力線のうちの蒸発物質2の蒸発面2a
を貫通する磁力線を、蒸発面2a に平行な成分が該蒸発
面2a の内側(蒸発物質の中心軸)に向く方向に発散さ
せるようにすることができる。
【0026】一方、図5には、本発明の第2実施形態に
係る真空アーク蒸発源のリング状永久磁石1と蒸発物質
2との配置関係及び磁場解析結果が示される。この図5
と図3とを対比すれば明らかなように、第2実施形態は
前記第1実施形態に比べてリング状永久磁石1が蒸発物
質2に対してより後退した後方位置に配設された構造と
なっている。
【0027】このような配置としたことによって、図5
に磁場を解析して示しているように、リング状永久磁石
1から発散する磁力線のうちの蒸発物質2の蒸発面2a
を貫通する磁力線を、蒸発面2a に平行な成分が該蒸発
面2a の外側に向く方向に発散させるようにすることが
できる。
【0028】また、図6には、本発明の第3実施形態に
係る真空アーク蒸発源のリング状永久磁石1と蒸発物質
2との配置関係及び磁場解析結果が示される。この図6
と図3とを対比すれば明らかなように、第3実施形態は
前記第1実施形態に比べて、リング状永久磁石1の内径
を蒸発物質2の径に略等しくなるように小さくさせて、
磁極が蒸発物質2の側方により接近した配置形態をとる
ようにした構造に特徴を有する。
【0029】このような配置としたことによって、図6
に磁場を解析して示しているように、リング状永久磁石
1から発散する磁力線のうちの蒸発物質2の蒸発面2a
を貫通する磁力線を、蒸発物質2の中心に近い方は蒸発
面2a に平行な成分が該蒸発面2a の内側に向く方向に
発散させ、逆に遠い方の辺縁部に近い方は蒸発面2aに
平行な成分が該蒸発面2a の外側に向く方向に発散させ
て、内側向きと外側向きとが混在する状態で発散させる
ようにすることができる。
【0030】図7(イ)、(ロ)には、本発明の第4実
施形態に係る真空アーク蒸発源の磁場発生源と蒸発物質
との配置関係が示される。この第4実施形態は、基本的
な構成が図2(イ)、(ロ)に示される実施形態と類似
していて、対応する各部材には同一の参照符号を付して
いる。この第4実施形態において構造上の特徴を成す点
は、磁場発生源である永久磁石が複数個の円筒形永久磁
石(立方体形でも可)6からなっていて、これらの偶数
個の円筒形永久磁石6を蒸発物質2の蒸発面2a に対し
後方に、かつ、この蒸発物質2を同軸的に囲む一つの仮
想円上に等分周で分散配置した構成を有することであ
る。これらの円筒形永久磁石6は、例えば、蒸発物質2
に近い側の内周面側がS極に、外周面側がN極になっ
て、蒸発物質2の中心軸の周りに同極性の磁極が対面す
るように配設されている。
【0031】このような第4実施形態は、円筒形永久磁
石6から発散する磁力線が蒸発物質2の蒸発面2a を貫
通して、真空下において蒸発物質2から発生させた皮膜
形成材料のプラズマ流を磁力線に沿って導いて真空チヤ
ンバ3内を流動させ基板4に到達しコーティングさせる
真空アーク蒸着作用を行う点では、前記第1乃至第3実
施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0032】図8には、本発明の実施形態に係る真空ア
ーク蒸発源の円形蒸発物質の場合の磁場発生源の中心エ
リア説明図が示され、また、図9には、同じく真空アー
ク蒸発源の矩形蒸発物質の場合の磁場発生源の中心エリ
ア説明図が示される。両図を参照して、本発明に関して
は、永久磁石1,6で実現される磁場発生源を、それに
より発生する磁極の中心が蒸発物質2の蒸発面2a に対
し後方、かつ該蒸発物質2を同軸的に囲む外周側にあっ
て、同極性の磁極が対面するように配設してなる点を基
本的な構成とするものであることは、以上の各実施形態
についての説明内容によって明らかにされる通りである
が、この場合、磁場発生源の中心(磁極の中心)部分の
配置付けを蒸発物質2との関連で検討すると、図8及び
図9にそれぞれ示される領域(エリア)Sに規定するの
が好ましい。
【0033】即ち、蒸発物質2が円形である場合は、図
8に示されるように蒸発物質2の径をDとすると、蒸発
物質2と同径Dかつ同軸を成す仮想円筒と、この仮想円
筒と同軸で大径5Dを成す仮想円筒との間に形成され
て、蒸発面2a から後方に軸方向の長さが2Dの円ドー
ナッツ状短柱体の立体空間が、磁場発生源の中心部の位
置として許容される領域Sとなる。
【0034】一方、蒸発物質2が矩形である場合は、図
9に示されるように蒸発物質2の短辺長をDとすると、
蒸発物質2と同平面形かつ同軸を成す仮想角筒と、この
仮想角筒と同軸で短辺長が5D、長辺長が蒸発物質2の
長辺+4Dの仮想矩形角筒との間に形成されて、蒸発面
2a から後方に軸方向の長さが2Dの角ドーナッツ状短
柱体の立体空間が、磁場発生源の中心部の位置として許
容される領域Sとなる。なお、例示しないが、蒸発物質
2が多角形である場合は、図8の円形の例に準拠して磁
場発生源の中心部の位置として許容される領域を規定す
ればよい。
【0035】このような領域内において、磁場発生源の
磁極中心を周囲方向に接近又は離間させ、また、前後方
向に接近又は離間させて位置付けることにより、蒸発面
2aを貫通する磁力線を、蒸発面2a に平行な成分が該
蒸発面2a の内側に向く方向に発散させる第1実施形
態、外側に向く方向に発散させる第2実施形態、内側向
きと外側向きとが混在する状態で発散させる第3実施形
態の何れかを選択することが可能である。
【0036】図10には、本発明の第5実施形態に係る
真空アーク蒸発源のリング状永久磁石1と蒸発物質2と
の配置関係が概要示される。この第5実施形態に関して
は、例えば装置構成上の制約等により、蒸発面上の磁力
線の方向が図11に示されるように蒸発物質2の辺縁部
において外向きとなって所望の向き(内向き)とならな
いような場合には、磁場中の例えば蒸発物質2の辺縁部
に接する個所で磁極に対向する位置に磁性体7を配置す
ることにより、図10に示されるように磁場形状を補正
することも可能であり、このように、磁場発生源と蒸発
物質の相対位置関係に加えて磁性体7を利用する手段を
講じることで、蒸発面上の磁力線の方向を随意に変更さ
せることができる。
【0037】以上、本発明の各実施形態に関して、磁場
発生源として永久磁石を例に挙げて詳述してきたが、本
発明は、磁場発生源が永久磁石に限るものではなく、こ
れに替えて電磁石を用いるようにしたものでも勿論差し
支えないことであって、かかる変形もまた本発明の範囲
に包含されることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0039】本発明によれば、蒸発面上において従来技
術と同等形状の磁場を得るとともに、同様の溶融粒子低
減効果並びに蒸発物質の均一消耗効果を奏しようとする
には、小型、軽量、簡易な構造の下で実現できる。ま
た、磁場発生源として永久磁石を使用することにり、装
置構成上現実的な大きさ・重量の電磁コイルでは実現で
きないとされる強さの磁力、具体的には1桁以上大きい
磁力を得ることができ、荷電粒子のらせん運動(従来技
術の記述では”ラーモア旋回運動”)が活発化し、成膜
粒子の活性化を大幅に促進する。同時に蒸発面に平行な
磁力成分も大きくなるので、アーク電流との相互作用に
よるアークスポットの動きがより高速になり、溶融粒子
の発生がさらに抑制される。
【0040】また、磁場源から発生した磁力線が、蒸発
面を通過後急速に発散するため、その磁力線に巻き付い
て誘導されるプラズマ流の分布が広くなり、蒸発面を基
板(コーティング処理物)から離さなくても広範囲に均
一な膜厚分布を得ることができる。
【0041】さらに、蒸発面の後方に磁場源を置くた
め、蒸発面・基板間が自由に使用可能であり、装置構成
の自由度が高い。また、メンテナンス性の点でも飛躍的
に向上する利点がある。
【0042】また、磁力線が蒸発面表面で蒸発面の内側
を向いている場合は、アークスポットは蒸発面内側に分
布して、また外側を向いている場合は蒸発面の辺縁部に
寄って周回運動する。このことを利用して磁場発生装置
の位置を変えたり、磁場中に磁性体を配置することによ
り、磁力線形状を変えて蒸発物質の消耗を均一化するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る真空アーク蒸発源が適
用される真空アーク蒸着装置の構成を概要示する模式図
である。
【図2】図1におけるリング状永久磁石1と蒸発物質2
との配置関係図で、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)の
A−A矢視線断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る真空アーク蒸発源
のリング状永久磁石1と蒸発物質2との右半分示配置関
係図である。
【図4】図3に対応する磁場解析図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る真空アーク蒸発源
のリング状永久磁石1と蒸発物質2との配置関係及び磁
場解析を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る真空アーク蒸発源
のリング状永久磁石1と蒸発物質2との配置関係及び磁
場解析を示す図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る真空アーク蒸発源
の磁場発生源と蒸発物質との配置関係図で、(イ)は正
面図、(ロ)は左側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る真空アーク蒸発源の円
形蒸発物質の場合の磁場発生源の中心エリア説明図で、
(イ)は右半分示正面図、(ロ)は左側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る真空アーク蒸発源の矩
形蒸発物質の場合の磁場発生源の中心エリア説明図で、
(イ)は右半分示正面図、(ロ)は左側面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る真空アーク蒸発
源のリング状永久磁石1と蒸発物質2との右半分示配置
関係図である。
【図11】図10に対応する補正前の右半分示配置関係
図である。
【符号の説明】
1…リング状永久磁石 2…蒸発物質 2a…蒸発面
3…真空チヤンバ 4…基板 5…アーク電源 6…円筒形永久磁石 7…
磁性体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空アーク蒸発源の磁場発生源を、それ
    により発生する磁極の中心が蒸発物質の蒸発面に対し後
    方、かつ該蒸発物質を同軸的に囲む外周側にあって、同
    極性の磁極が対面するように配設したことを特徴とする
    真空アーク蒸発源。
  2. 【請求項2】 磁場発生源から発散する磁力線のうちの
    前記蒸発面を貫通する磁力線をその蒸発面に平行な成分
    が蒸発面の内側に向く方向に発散させるように、前記磁
    場発生源が配設される請求項1記載の真空アーク蒸発
    源。
  3. 【請求項3】 磁場発生源から発散する磁力線のうちの
    前記蒸発面を貫通する磁力線をその蒸発面に平行な成分
    が蒸発面の外側に向く方向に発散させるように、前記磁
    場発生源が配設される請求項1記載の真空アーク蒸発
    源。
  4. 【請求項4】 磁場発生源から発生する磁力線のうちの
    前記蒸発面を貫通する磁力線をその蒸発面に平行な成分
    が蒸発面の内側に向く方向と外側に向く方向とに混在状
    態で発散させるように、前記磁場発生源が配設される請
    求項1記載の真空アーク蒸発源。
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