JP5340848B2 - プラズマ処理装置および光学素子成形型の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなプラズマ処理装置として、例えば、特許文献1には、ターゲット材料を軸心に配置したコイル形状の螺旋体からなるアーク電極を用いた薄膜形成装置が記載されている。
この薄膜形成装置によれば、アーク放電を起こすための電流がアーク電極に流れる際、コイルに流れる螺旋状の電流により、ターゲット材料の周囲にターゲット材料の軸線に沿う方向の磁場、およびターゲット材料内を流れる電流によってターゲット材料の軸線回りに周回する磁場が発生する。そして、このような磁場の作用により、プラズマの発生位置がターゲット材料の軸回りに回転しながら、軸線方向に沿って移動されるため、プラズマの放出方向の偏りが低減されプラズマの濃度分布が均等化される。このため、磁場を発生させない場合に比べて均一に成膜できる領域が広げられるものである。
また、特許文献2には、円筒状のアーク電極から放出されるプラズマに磁場をかけることで、プラズマの進行方向を偏向させ、アーク放電時に発生する電気的に中性なドロップレットや飛散粒子などを直進させ、プラズマと分離できるようにした表面処理装置が記載されている。
この表面処理装置によれば、ドロップレットや飛散粒子などが被処理体の表面に到達することを阻止できるため、ドロップレットや飛散粒子が原因で発生する被処理体の表面の欠陥の発生を防止することができる。
特許文献1に記載の技術では、プラズマの濃度分布を均等化することができるものの、ドロップレットや飛散粒子などとプラズマとを分離する構成を有していないため、ドロップレットや飛散粒子によって被処理体の表面に欠陥が発生するおそれがある。
また、特許文献2に記載の技術では、アーク電極が円筒形状のため、ターゲットの軸方向に沿う磁場が形成されにくいため、プラズマ放出方向の偏りが発生しやすくなり、特許文献1の場合に比べて、ターゲットの消耗に偏りが生じたり、表面処理の均一性が劣ったりする。
特許文献1のコイル形状のアーク電極と、特許文献2の磁場によるプラズマの偏向手段とを組み合わせることも考えられるが、電気的に中性で磁場の影響を受けないドロップレットや飛散粒子は、コイル形状のアーク電極の隙間を通過し被処理体に向かって飛散したり、アーク電極のコイルの内周側に衝突して反射されてから、アーク電極の隙間を通過して被処理体に向かって飛散したりする成分が発生する。このため、被処理体に到達するドロップレットや飛散粒子を良好に除去することができないという問題がある。
この発明によれば、プラズマ放出部のトリガー電極からターゲットへトリガー放電させることで、アノード電極の周回電極部とターゲットとの間にアーク放電が誘起され、ターゲットの表面にターゲットのイオンを含むプラズマを発生させることができる。その際、アーク放電によって形成される電気回路において、周回電極部を流れる電流とターゲット内を流れる電流とによって、それぞれアンペールの法則に基づく磁場が発生する。周回電極部を流れる電流による磁場は重ね合わせによってターゲットの軸方向に沿う磁場を形成し、ターゲット内を流れる電流による磁場はターゲットの先端側に向かって右ネジ方向に回転する磁場である。このため、これらが重ね合わせられた磁場によって、周回電極部とターゲットの表面との間のアーク電流が、ターゲットの根本側に向けて螺旋状に回転する力を受ける。アーク放電がターゲット露出部の根本で発生している場合は、アーク放電位置は単にターゲットの中心軸に対して回転運動する。これにより、ターゲット上のプラズマ発生位置もアーク放電のターゲット側位置の移動に伴って移動する。
プラズマ放出部から放出されたプラズマは、偏向部によってターゲットの軸方向と交差する方向に偏向され、被処理体の表面に輸送される。その際、放出時のプラズマの位置は、ターゲットの表面上で回転しているため、ターゲットのプラズマの放出位置が周方向に均等化される。
一方、アーク放電によってターゲット表面から発生するドロップレットや飛散粒子(以下、まとめて飛散粒状体と称する)は、電気的に中性であるため、電磁場の影響を受けることなく飛散するが、ターゲットから被処理体に向けて直進する経路上には遮蔽部が設けられているため、ターゲットから被処理体側に向かって飛散する飛散粒状体は、周回電極部間の隙間を通過したとしても、遮蔽部に遮蔽されて被処理体へ到達することができない。また、ターゲットを挟んで被処理体と反対側には、周回電極部を構成する導電体の開口が配置されているため、ターゲットから被処理体と反対側に向かって飛散する飛散粒状体は、周回電極部の開口を通してプラズマ放出部の外側に飛散し、プラズマから分離される。このため、周回電極部で反射されて飛散向きを変えることにより、遮蔽部で遮蔽されない領域および方向から被処理体側に向かう飛散粒状体の発生が抑制される。
この場合、アーク放電時に周回電極部を流れる電流が形成する磁場の重ね合わせにより、ターゲットの中心軸に対して対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲットの中心軸に略一致し、これによりプラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
この場合、アーク放電時に周回電極部を流れる電流が形成する磁場の重ね合わせにより、ターゲットの中心軸に対して回転対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲットの中心軸に略一致するとともに、アーク放電位置およびターゲット表面を螺旋運動させる磁場からの力もターゲットの周方向に均等化される。これにより、プラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
この場合、バイアス電源部によって、被処理体にバイアス電圧を印加することにより、被処理体近傍に輸送されたターゲットイオンの速度調整を行いつつ、被処理体に衝突させることができる。例えば、バイアス電圧の大きさを制御することにより、ターゲットイオンを加速して被処理体に注入したり、付着量を動的に制御して成膜を行ったりすることができる。
この発明によれば、本発明のプラズマ処理装置によって型母材の表面が表面処理されるので、ドロップレットや飛散粒子等によるミクロ的な表面欠陥が好適に抑えられ、高密度、高密着強度を有する表面を得ることができる。
この場合、本発明のバイアス電源部を備えるプラズマ処理装置によって型母材の表面が表面処理されるので、プラズマに含まれるターゲットイオンを被処理体の表面から内部に注入させることができ、高密度、高密着強度を有する表面を得ることができる。
この場合、高密着強度を有する保護層を形成することができるので、光学素子成形型の耐久性を向上することができる。
また、本発明の光学素子成形型の製造方法によれば、本発明のプラズマ処理装置を用いて製造するので、表面処理された型表面の品質を向上することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置に用いるアノード電極の概略構成を示す模式的な左側面図(図1のA視)である。図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。
なお、各図面は模式図のため、形状や寸法は誇張されている(以下の図面も同様)。
プラズマ処理装置1の概略構成は、図1に示すように、真空チャンバ2を備え、この真空チャンバ2内に、プラズマ放出部10、偏向部13、支持台12、および遮蔽板20(遮蔽部)が配置されている。
真空チャンバ2の外部には、内部を大気圧から所定の圧力まで調整する図示しない真空排気系、トリガー電源15(図2(b)参照)、およびアーク電源16(図2(b)参照)が設けられている。
本実施形態では、先端6aが真空チャンバ2の中心側に向けられターゲット6の中心軸Oが略水平となる姿勢で、真空チャンバ2の高さ方向の中間部に、不図示の絶縁支持部材によって支持されている。
本実施形態のターゲット6の形状は、一例として、直径10mm、長さ40mmの円柱形状を採用している。
また、本実施形態のトリガー電極5は、絶縁物3に外嵌するSUS304からなる円環部材であり、絶縁物3におけるターゲット6の先端6a側の端部に、上記と同様の耐熱性接着剤によって接着固定されている。
周回電極部7Aは、基端部7bと先端部7cとの間が円弧形状に湾曲されることでアーチ状とされ、基端部7bと先端部7cとの間が離間されて開口7dが形成された複数の円弧状導電体7a(導電体)で構成される。各円弧状導電体7aは、互いの円弧中心を同軸上に整列させ、開口7dが一定方向に向けられた状態で、一定ピッチに並列配置されている。
これら円弧状導電体7aの各基端部7bは、周回電極部7Aに電流を供給する直線状の導電体からなる配線部7Bに接続されている。このため、アノード電極7は、複数の円弧状導電体7aが配線部7Bから、湾曲した櫛歯状に取り付けられている。
アノード電極7の大きさは、ターゲット6、絶縁物3、およびトリガー電極5を含む組立体を挿通可能な内径を有し、少なくともターゲット6の先端6aを内側に引っ込ませた状態で、全体としてターゲット6を軸方向に覆うことができる大きさとされる。
また、アノード電極7の配線部7Bには、線径d=3(mm)のSUS304の真直な線材を採用している。円弧状導電体7aの各基端部7bは配線部7Bに溶接によって接続されている。
また、円弧状導電体7aの配列ピッチwは、w=2×d=6(mm)とされている。
このため、アノード電極7の複数の円弧状導電体7aは、ターゲット6の上方で、ターゲット6の中心軸Oを中心として周回するように配置されている。
ターゲット6の先端6aの位置は、アノード電極7の軸方向の端部から10mmだけ内側(図2(b)の右側)に配置されている。
以下では、プラズマ放出部10において、ターゲット6の先端6aが位置する側の端部を、プラズマ放出部10の先端部と称し、ターゲット6の基端側の端部をプラズマ放出部10の基端部と称する。
トリガー電源15は、正極の接続端子15aがトリガー電極5におけるターゲット6の先端6aとは反対側の端面に、負極の接続端子15bがターゲット6の基端側に、それぞれ接続されている。
アーク電源16は、正極の接続端子16aがアノード電極7の配線部7Bに、負極の接続端子16bがターゲット6の基端側に、それぞれ接続されている。
本実施形態のL字状ヨーク18は、プラズマ放出部10の基端部側で鉛直方向に延ばされた側部18Aと、側部18Aの上端から水平方向に向かってプラズマ放出部10の先端側に延ばされた側部18Bとからなり、不図示の支持部材によって真空チャンバ2内に固定されている。
このため、プラズマ放出部10の基端部は、磁石17の径方向内側に配置されている。
また、側部18Bには、水平方向においてプラズマ放出部10の先端部の前方側となる端部に、鉛直方向に貫通する貫通孔18bが設けられている。
この空間磁場は、プラズマ放出部10から放出されたプラズマ8を偏向して、側部18Bの近傍に輸送するものである。そのため、L字状ヨーク18の形状および磁石17の配置は、側部18Bの近傍において、被処理体の表面処理に必要なプラズマ8の分布が得られるように設定する。
本実施形態では、図1に示すように、貫通孔18bの側部18A側の外周部上の領域Vの範囲に空間磁場の磁力線が密となり表面処理に必要なプラズマ8が輸送され、領域Vから側部18Aと反対側(図示左側)では磁力線が粗となりプラズマ8が略輸送されないようにしている。
本実施形態では、略円板状に形成され、真空チャンバ2に端部が固定され貫通孔18bに挿通された軸21に固定されている。これにより、支持台12は、円板の中心軸線CがL字状ヨーク18の側部18Bの貫通孔18bと略同軸、かつ略鉛直方向に沿うようにして側部18Bの下側近傍に配置されている。このため、本実施形態の支持台12は、プラズマ放出部10の斜め上方に配置され、支持台12の中心軸線Cとプラズマ放出部10のターゲット6の中心軸Oとは、略直交する位置関係に設けられている。
支持台12のプラズマ放出部10側(下側)の表面は、光学素子成形用型母材11を支持できるようになっている。
光学素子成形用型母材11は、いずれも被処理面11a(被処理体の表面)を下方に向けた状態で、被処理面11aと反対側の被支持面11bにおいて支持台12に支持されている。
遮蔽板20の材質は、偏向部13の磁力の影響を受けないように非磁性体を採用している。
図3は、本発明の第1の実施形態のプラズマ処理装置を用いて製造された光学素子成形型の模式的な断面図である。図4は、この光学素子成形型を用いて光学素子が成形される様子を示す断面図である。
この光学素子成形型23を製造するには、まず、例えば、炭化タングステンなどの材料を切削して略円柱状とし、軸方向の一端側に支持台12上に支持するための平面状の被支持面11bを形成し、軸方向の他端側に第1レンズ面26bの凹面を形成するための凸面形状を有する被処理面11aを鏡面加工して光学素子成形用型母材11を製造する。
そして、プラズマ処理装置1を用いて、光学素子成形用型母材11の被処理面11a上に被処理面11aの耐久性を向上するため、白金の薄膜層である膜体23Aを形成する。
次に、真空チャンバ2内を真空排気系(不図示)にて真空引きして、例えば、1×10−4Pa以下程度の真空度まで減圧し、この減圧雰囲気下でアーク電源16を90Vの電圧で作動させ、ターゲット6とアノード電極7との間に90Vの電圧をかける。減圧下なので、ターゲット6とアノード電極7との間に電圧をかけても放電は起こらず待機状態となる。
このアーク放電は、アーク電源16の不図示のコンデンサに貯められた電気量の放出が終わるまで継続される。本実施形態では、この放電時間は約600μsecである。
電流I(t)は、周回電極部7A内では、各円弧状導電体7aにおいて、それぞれ基端部7bから放電位置まで、先端部7c側に向かって流れるため、各円弧状導電体7aの周囲にアンペールの法則に従って図2(b)の紙面内で反時計回りの磁場がそれぞれ発生する。これらの磁場によりと、巻線コイルに通電した場合と略同様に、周回電極部7Aの内周側に、プラズマ放出部10の先端から基端に向かう方向の磁場成分が発生する。
周回電極部7Aの内周側を径方向に流れるアーク電流IAには、こうして発生する磁場を横切って流れるため、この磁場成分により図2(a)の紙面内の反時計回り方向の電磁力を受ける。そのため、アーク電流IAは、アークスポットSAとともに、図2(a)の紙面内では、中心軸Oを中心として反時計回り方向に回転される。
この結果、プラズマの発生位置が、ターゲット6の周方向に移動する。
また、本実施形態では、円弧状導電体7aを採用しているため、ターゲットの中心軸に対して回転対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲットの中心軸に略一致するとともに、アーク放電位置およびターゲット表面を螺旋運動させる磁場からの力もターゲットの周方向に均等化される。これにより、プラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
プラズマ放出部10から放出されたプラズマ8は、偏向部13によって形成された空間磁場の磁力線に巻き付くようにして偏向される。このため、プラズマ8は空間磁場の磁力線が密となる経路に沿って輸送され、遮蔽板20の側部を通過して領域Vに向かう。
そして、ターゲット6のイオンを含むプラズマ8は、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達して被処理面11aに衝突し、その運動エネルギーに応じて、被処理面11aに注入されたり、付着されたりする。これにより、被処理面11aにターゲット6の材質からなる膜体23Aが形成される。
また、周回電極部7Aは、ターゲット6を挟んで領域Vに配置された光学素子成形用型母材11と反対側に、開口7dが形成されている。このため、ターゲット6の表面から領域Vに配置された光学素子成形用型母材11と反対側に飛散する飛散粒状体19は、図1に示すように、大部分が開口7dを通過して下方に飛散する。
下方に飛散した飛散粒状体19は、最終的には、重力によって真空チャンバ2の底面上に落下する。
このため、飛散粒状体19が、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達し、飛散粒状体19の衝突や付着によって被処理面11a上に凹凸が生じたり、欠陥が発生したりすることを防止することができる。
このような開口7dに相当する位置の巻線コイルによる反射によれば、あたかも飛散粒状体19の飛散の起点が水平面内でターゲット6の大きさの範囲よりも外側に拡大されたのと同等の作用を有する。このため、ターゲット6の表面からの直線経路を遮蔽する遮蔽板20では遮蔽しきれない飛散粒状体19が光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達してしまう。
この場合、遮蔽板20の大きさを拡大することも考えられるが、プラズマ放出部10の先端から偏向されるプラズマ8の輸送経路を狭められてしまい、表面処理の効率が悪くなるという問題がある。
本実施形態によれば、開口7dが設けられていることにより、このようなターゲット6から下方に飛散された飛散粒状体19が上方に反射される確率が格段に低減される。そのため、遮蔽板20の大きさを拡大することなく、したがってプラズマ8の輸送経路を狭めることなく、被処理面11aへの飛散粒状体19の到達を防止することができる。
例えば、図4に示すように、被処理面11aを凹面として、この被処理面11aにプラズマ処理装置1によって膜体24Aを形成した光学素子成形型24を製造することができる。
これら光学素子成形型23、24を用いて、凹面からなる第2レンズ面26a、凸面からなる第1レンズ面26bを有するレンズ26を成形することができる。
すなわち、光学素子成形型23、24を、膜体23A、24Aが形成された各被処理面11aを対向させた状態で、円筒状の型枠部材25によって径方向に位置決めし、膜体23A、24Aが形成された各被処理面11aと型枠部材25の内周面とで囲まれる成形空間を形成する。そして、この成形空間に加熱したガラス材料を配置して、光学素子成形型23、24を軸方向に押圧して、ガラス材料をプレスし、型面形状を転写して脱型することで、レンズ26を成形することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。図6(a)は、本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置に用いるアノード電極の概略構成を示す模式的な左側面図(図5のE視)である。図6(b)は、図5(a)におけるF−F断面図である。
遮蔽カバー30におけるプラズマ放出部10の先端側の先端面30eは、プラズマ放出部10の先端と略同位置もしくはわずかに前方に配置されている。
そして、遮蔽カバー30の先端部には、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11と反対側の側面に、切欠き面30a、30b、30cからなるコ字状の切欠き部によって形成された開口30dが設けられている。ここで、切欠き面30aは、先端面30eから遮蔽カバー30の軸方向に沿って延びる切断面であり、切欠き面30cは、切欠き面30aに遮蔽カバー30の周方向に離間して対向する切断面である。また、切欠き面30bは、切欠き面30a、30cの先端面30eとは反対側の端部に接続する切断面である。
開口30dの周方向の位置は、径方向外側から見て、開口30d内にアノード電極7の開口7dを臨むことができる位置とされる。
また、切欠き面30bの軸方向に沿う位置は、ターゲット6の先端6aよりも基端側であることが好ましく、トリガー電極5よりも基端側であることがより好ましい。また、開口7dの軸方向長さと同程度としてもよい。
その際、ターゲット6の表面から飛散する飛散粒状体19のうち、周回電極部7Aの各円弧状導電体7aの間の隙間を通過して上方に飛散する飛散粒状体19は、遮蔽カバー30によって、直進する経路が遮蔽されているので、遮蔽カバー30の内周面に衝突して反射されたり、内周面に付着したりする。
遮蔽カバー30の内周面で反射された飛散粒状体19は、さらに反射を繰り返すなどして最終的に、遮蔽カバー30のいずれかに付着されるか、開口30dを通過して、光学素子成形用型母材11とは反対側の真空チャンバ2の下方に飛散する。
このため、飛散粒状体19が、表面処理する被処理面11aに付着することを防止することができる。
遮蔽カバー30は、アノード電極7の外周側に近接して配置することにより、アノード電極7からより離間した位置に遮蔽部を設ける場合に比べて遮蔽面積を小さくしても、飛散粒状体19を確実に遮蔽することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。図8は、本発明の第3の実施形態のプラズマ処理装置を用いて製造された光学素子成形型の模式的な断面図である。
このようにして、プラズマ8から白金イオンが容易に取り出され、被処理面11aから光学素子成形用型母材11内に注入される。
その際、バイアス電圧の大きさを漸次変化させることによって、光学素子成形用型母材11に注入される白金濃度を漸次変化させることができる。
このようにして、図6に示すように、被処理面11a下に、濃度が漸次変化する白金が注入されることで白金の傾斜組成を有する傾斜層38が形成される。
これにより、被処理面11a上に輸送されるプラズマ8内の白金イオンは、被処理面11a上に順次付着していき、傾斜層38の上に白金合金よりなる保護膜40が形成される。
このようにして、表面に傾斜層38、保護膜40を有する光学素子成形用型41が製造される。
ここで、傾斜層38は、光学素子成形用型母材11と保護膜40との密着強度を向上する中間層を構成している。
例えば、上記の説明では、ターゲット6の形状を円柱棒状としているが、ペレット状、線状、円筒状であっても構わない。また、ターゲット6の材質は白金のみならず、金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の貴金属類、又は炭素であってもよい。
例えば、楕円状であってもよいし、円弧からわずかにずれた略円弧状としてもよいし、線材を多角形状に屈曲した形状でもよい。
また、導電体がターゲットを囲む範囲を決める略アーチ状の周回方向の長さも適宜寸法とすることができる。例えば、円弧形状で言えば、中心角が180度より大きい優弧状(C字状)に限定されず、半円弧状や、中心角が180度より小さい劣弧状であってもよい。
中心角の大きさは、10度以上120度以下であることが好ましい。
また、略アーチ状の周回方向は、ターゲットの中心軸に直交する方向には限定されず、ターゲットの中心軸に交差する斜め方向であってもよい。
また、偏向部は、磁場でなく電場を発生させてこの電磁力によってプラズマの経路を偏向させてもよい。
被処理面の近傍におけるプラズマの輸送方向は、被処理面の中心軸に沿う方向であることが好ましいが、偏向部による偏向角度や、被処理面の中心軸とプラズマ放出方向とのなす角度は、90度には限定されず、90度とは異なる角度で交差する位置関係にあってもよい。
この場合、飛散粒状体19が、領域Vの外側に配置された光学素子成形用型母材11に到達しないように、遮蔽板20は、領域Vの下方のプラズマ8の輸送経路のみが開口された穴あき板を採用することが好ましい。
この場合、支持台12の揺動に伴って光学素子成形用型母材11が揺動移動をされるので、プラズマ8の輸送経路の断面積を絞った状態でも、被処理面11aの全体をわたって均一な膜体23Aを形成することができる。
例えば、光学素子成形用型母材11の被処理面11aの直径を20mmとしたとき、偏向部13の磁力線分布を調整して、被処理面11a上でのプラズマ8の輸送範囲の直径を10mm程度と、被処理面11aの直径の半分程度となるように設定しておく。
そして、被処理面11aにプラズマ8が到達している間、揺動機構を駆動して支持台12を水平面内で2軸揺動させる。これにより、プラズマ8が輸送される間、プラズマ8が被処理面11a上を相対的に揺動移動して、プラズマ8の流れが被処理面11a上で走査されるため、プラズマ8に断面方向の濃度分布があっても、被処理面11a上では平均化され、全体に均一に到達するようになる。
2 真空チャンバ
3 絶縁物
5 トリガー電極
6 ターゲット
7 アノード電極
7A 周回電極部
7B 配線部
7a 円弧状導電体(導電体)
7d 開口
8 プラズマ
10 プラズマ放出部
11 光学素子成形用型母材(被処理体)
11a 被処理面(被処理体の表面)
12 支持台
13 偏向部
15 トリガー電源
16 アーク電源
19 飛散粒状体
20 遮蔽板(遮蔽部)
23、24、41 光学素子成形型
23A、24A 膜体
26 レンズ
30 遮蔽カバー(遮蔽部)
37 バイアス電源部
38 傾斜層
40 保護膜
IA アーク電流
SA アークスポット
C 中心軸線
O 中心軸(ターゲットの中心軸)
V 領域
Claims (7)
- 軸状のターゲットとの間にトリガー放電を生じさせるトリガー電極と、前記ターゲットとの間にアーク放電を誘起するアノード電極とを有し、前記アーク放電によって生じる前記ターゲットのイオンを含むプラズマを前記ターゲットの先端方向に放出するプラズマ放出部と、
該プラズマ放出部から放出される前記プラズマを前記ターゲットの軸方向と交差する方向に偏向させることにより前記プラズマを被処理体の表面に輸送する偏向部と、
前記被処理体と前記アノード電極との間に設けられ、前記ターゲットの表面から前記被処理体に向けて直進する経路を遮蔽する遮蔽部とを備えるプラズマ処理装置であって、
前記プラズマ放出部の前記アノード電極は、
一方に開口を有する略アーチ状とされた複数の導電体が、前記ターゲットの軸方向回りに周回するように配置されるとともに、前記ターゲットを挟んで前記被処理体と反対側に前記複数の導電体の各開口が配置された周回電極部と、
該周回電極部に電流を供給する配線部と、を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記周回電極部は、
前記略アーチ状の形状の中心軸が、前記ターゲットの中心軸と略同軸に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。 - 前記周回電極部の略アーチ状の形状は、円弧形状からなることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
- 前記被処理体にバイアス電圧を印加するバイアス電源部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いて、被処理体である型母材の表面に表面処理を行うことを特徴とする光学素子成形型の製造方法。
- 請求項4に記載のプラズマ処理装置を用いて、被処理体である型母材の表面に、前記プラズマ処理装置で発生されたプラズマを輸送するとともに、前記被処理体にバイアス電圧を印加することにより、前記プラズマに含まれる前記ターゲットのイオンを注入もしくは付着させるか、または注入および付着させることを特徴とする光学素子成形型の製造方法。
- 前記被処理体に印加する前記バイアス電圧を変化させることにより、前記型母材の表面に、前記プラズマに含まれる前記ターゲットのイオンを、注入させた後に付着させることを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形型の製造方法。
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