JP5340848B2 - プラズマ処理装置および光学素子成形型の製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置および光学素子成形型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ処理装置、およびこれを用いた光学素子成形型の製造方法に関する。
従来、減圧雰囲気下で、ターゲット材料にアーク放電を誘起して、ターゲット材料のイオンを含むプラズマを発生させ、このプラズマを被処理体の表面に輸送することにより被処理体の表面処理、すなわち、イオンの注入や成膜を行うプラズマ処理装置が種々提案されている。
このようなプラズマ処理装置として、例えば、特許文献1には、ターゲット材料を軸心に配置したコイル形状の螺旋体からなるアーク電極を用いた薄膜形成装置が記載されている。
この薄膜形成装置によれば、アーク放電を起こすための電流がアーク電極に流れる際、コイルに流れる螺旋状の電流により、ターゲット材料の周囲にターゲット材料の軸線に沿う方向の磁場、およびターゲット材料内を流れる電流によってターゲット材料の軸線回りに周回する磁場が発生する。そして、このような磁場の作用により、プラズマの発生位置がターゲット材料の軸回りに回転しながら、軸線方向に沿って移動されるため、プラズマの放出方向の偏りが低減されプラズマの濃度分布が均等化される。このため、磁場を発生させない場合に比べて均一に成膜できる領域が広げられるものである。
また、特許文献2には、円筒状のアーク電極から放出されるプラズマに磁場をかけることで、プラズマの進行方向を偏向させ、アーク放電時に発生する電気的に中性なドロップレットや飛散粒子などを直進させ、プラズマと分離できるようにした表面処理装置が記載されている。
この表面処理装置によれば、ドロップレットや飛散粒子などが被処理体の表面に到達することを阻止できるため、ドロップレットや飛散粒子が原因で発生する被処理体の表面の欠陥の発生を防止することができる。
特開2002−327262号公報 特開2008−81797号公報
しかしながら、上記のような従来のプラズマ処理装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、プラズマの濃度分布を均等化することができるものの、ドロップレットや飛散粒子などとプラズマとを分離する構成を有していないため、ドロップレットや飛散粒子によって被処理体の表面に欠陥が発生するおそれがある。
また、特許文献2に記載の技術では、アーク電極が円筒形状のため、ターゲットの軸方向に沿う磁場が形成されにくいため、プラズマ放出方向の偏りが発生しやすくなり、特許文献1の場合に比べて、ターゲットの消耗に偏りが生じたり、表面処理の均一性が劣ったりする。
特許文献1のコイル形状のアーク電極と、特許文献2の磁場によるプラズマの偏向手段とを組み合わせることも考えられるが、電気的に中性で磁場の影響を受けないドロップレットや飛散粒子は、コイル形状のアーク電極の隙間を通過し被処理体に向かって飛散したり、アーク電極のコイルの内周側に衝突して反射されてから、アーク電極の隙間を通過して被処理体に向かって飛散したりする成分が発生する。このため、被処理体に到達するドロップレットや飛散粒子を良好に除去することができないという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、プラズマ放出方向を均等化しつつ、ドロップレットや飛散粒子を容易に除去することができ、表面処理の品質を向上することができるプラズマ処理装置、およびこれを用いた光学素子成形型の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のプラズマ処理装置は、軸状のターゲットとの間にトリガー放電を生じさせるトリガー電極と、前記ターゲットとの間にアーク放電を誘起するアノード電極とを有し、前記アーク放電によって生じる前記ターゲットのイオンを含むプラズマを前記ターゲットの先端方向に放出するプラズマ放出部と、該プラズマ放出部から放出される前記プラズマを前記ターゲットの軸方向と交差する方向に偏向させることにより前記プラズマを被処理体の表面に輸送する偏向部と、前記被処理体と前記アノード電極との間に設けられ、前記ターゲットの表面から前記被処理体に向けて直進する経路を遮蔽する遮蔽部とを備えるプラズマ処理装置であって、前記プラズマ放出部の前記アノード電極は、一方に開口を有する略アーチ状とされた複数の導電体が、前記ターゲットの軸方向回りに周回するように配置されるとともに、前記ターゲットを挟んで前記被処理体と反対側に前記複数の導電体の各開口が配置された周回電極部と、該周回電極部に電流を供給する配線部とを備える構成とする。
この発明によれば、プラズマ放出部のトリガー電極からターゲットへトリガー放電させることで、アノード電極の周回電極部とターゲットとの間にアーク放電が誘起され、ターゲットの表面にターゲットのイオンを含むプラズマを発生させることができる。その際、アーク放電によって形成される電気回路において、周回電極部を流れる電流とターゲット内を流れる電流とによって、それぞれアンペールの法則に基づく磁場が発生する。周回電極部を流れる電流による磁場は重ね合わせによってターゲットの軸方向に沿う磁場を形成し、ターゲット内を流れる電流による磁場はターゲットの先端側に向かって右ネジ方向に回転する磁場である。このため、これらが重ね合わせられた磁場によって、周回電極部とターゲットの表面との間のアーク電流が、ターゲットの根本側に向けて螺旋状に回転する力を受ける。アーク放電がターゲット露出部の根本で発生している場合は、アーク放電位置は単にターゲットの中心軸に対して回転運動する。これにより、ターゲット上のプラズマ発生位置もアーク放電のターゲット側位置の移動に伴って移動する。
プラズマ放出部から放出されたプラズマは、偏向部によってターゲットの軸方向と交差する方向に偏向され、被処理体の表面に輸送される。その際、放出時のプラズマの位置は、ターゲットの表面上で回転しているため、ターゲットのプラズマの放出位置が周方向に均等化される。
一方、アーク放電によってターゲット表面から発生するドロップレットや飛散粒子(以下、まとめて飛散粒状体と称する)は、電気的に中性であるため、電磁場の影響を受けることなく飛散するが、ターゲットから被処理体に向けて直進する経路上には遮蔽部が設けられているため、ターゲットから被処理体側に向かって飛散する飛散粒状体は、周回電極部間の隙間を通過したとしても、遮蔽部に遮蔽されて被処理体へ到達することができない。また、ターゲットを挟んで被処理体と反対側には、周回電極部を構成する導電体の開口が配置されているため、ターゲットから被処理体と反対側に向かって飛散する飛散粒状体は、周回電極部の開口を通してプラズマ放出部の外側に飛散し、プラズマから分離される。このため、周回電極部で反射されて飛散向きを変えることにより、遮蔽部で遮蔽されない領域および方向から被処理体側に向かう飛散粒状体の発生が抑制される。
また、本発明のプラズマ処理装置では、前記周回電極部は、前記略アーチ状の形状の中心軸が、前記ターゲットの中心軸と略同軸に配置されることが好ましい。
この場合、アーク放電時に周回電極部を流れる電流が形成する磁場の重ね合わせにより、ターゲットの中心軸に対して対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲットの中心軸に略一致し、これによりプラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
また、本発明のプラズマ処理装置では、前記周回電極部の略アーチ状の形状は、円弧形状からなることが好ましい。
この場合、アーク放電時に周回電極部を流れる電流が形成する磁場の重ね合わせにより、ターゲットの中心軸に対して回転対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲットの中心軸に略一致するとともに、アーク放電位置およびターゲット表面を螺旋運動させる磁場からの力もターゲットの周方向に均等化される。これにより、プラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
また、本発明のプラズマ処理装置では、前記被処理体にバイアス電圧を印加するバイアス電源部を備えていることが好ましい。
この場合、バイアス電源部によって、被処理体にバイアス電圧を印加することにより、被処理体近傍に輸送されたターゲットイオンの速度調整を行いつつ、被処理体に衝突させることができる。例えば、バイアス電圧の大きさを制御することにより、ターゲットイオンを加速して被処理体に注入したり、付着量を動的に制御して成膜を行ったりすることができる。
本発明の光学素子成形型の製造方法は、本発明のプラズマ処理装置を用いて、被処理体である型母材の表面に表面処理を行う方法とする。
この発明によれば、本発明のプラズマ処理装置によって型母材の表面が表面処理されるので、ドロップレットや飛散粒子等によるミクロ的な表面欠陥が好適に抑えられ、高密度、高密着強度を有する表面を得ることができる。
また、本発明の光学素子成形型の製造方法では、本発明のバイアス電源部を備えるプラズマ処理装置を用いて、被処理体である型母材の表面に、前記プラズマ処理装置で発生されたプラズマを輸送するとともに、前記被処理体にバイアス電圧を印加することにより、前記プラズマに含まれる前記ターゲットのイオンを注入もしくは付着させるか、または注入および付着させることが好ましい。
この場合、本発明のバイアス電源部を備えるプラズマ処理装置によって型母材の表面が表面処理されるので、プラズマに含まれるターゲットイオンを被処理体の表面から内部に注入させることができ、高密度、高密着強度を有する表面を得ることができる。
また、本発明の光学素子成形型の製造方法では、前記被処理体に印加する前記バイアス電圧を変化させることにより、前記型母材の表面に、前記プラズマに含まれる前記ターゲットのイオンを、注入させた後に付着させることが好ましい。
この場合、高密着強度を有する保護層を形成することができるので、光学素子成形型の耐久性を向上することができる。
本発明のプラズマ処理装置によれば、ターゲットを挟んで被処理体と反対側に開口を有する周回電極部とターゲットから前記被処理体に向けて直進する経路を遮蔽する遮蔽部とを有するので、プラズマ放出方向を均等化しつつ、ドロップレットや飛散粒子を容易に除去することができ、表面処理の品質を向上することができるという効果を奏する。
また、本発明の光学素子成形型の製造方法によれば、本発明のプラズマ処理装置を用いて製造するので、表面処理された型表面の品質を向上することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置に用いるアノード電極の概略構成を示す模式的な左側面図(図1のA視)、およびそのB−B断面図である。 本発明の第1の実施形態のプラズマ処理装置を用いて製造された光学素子成形型の模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態の光学素子が成形される様子を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置に用いるアノード電極の概略構成を示す模式的な左側面図(図5のE視)、およびそのF−F断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。 本発明の第3の実施形態のプラズマ処理装置を用いて製造された光学素子成形型の模式的な断面図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置に用いるアノード電極の概略構成を示す模式的な左側面図(図1のA視)である。図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。
なお、各図面は模式図のため、形状や寸法は誇張されている(以下の図面も同様)。
本実施形態のプラズマ処理装置1は、減圧雰囲気下において、ターゲット6のイオンを含むプラズマ8を発生させて、このプラズマ8を被処理体の表面に輸送し、プラズマ8に含まれるイオンを被処理体に注入したり、被処理体の表面に付着させたりすることで、被処理体の表面処理を行う装置である。
プラズマ処理装置1の概略構成は、図1に示すように、真空チャンバ2を備え、この真空チャンバ2内に、プラズマ放出部10、偏向部13、支持台12、および遮蔽板20(遮蔽部)が配置されている。
真空チャンバ2の外部には、内部を大気圧から所定の圧力まで調整する図示しない真空排気系、トリガー電源15(図2(b)参照)、およびアーク電源16(図2(b)参照)が設けられている。
プラズマ放出部10は、図2(a)、(b)に示すように、筒状の絶縁物3を介してトリガー電極5と接続された軸状のターゲット6と、ターゲット6の周囲にアーク放電を誘起させるアノード電極7とを有し、アーク放電によって生じるターゲットイオンを含むプラズマ8をターゲット6の基端側から先端6aに向かう方向に放出するものである。
本実施形態では、先端6aが真空チャンバ2の中心側に向けられターゲット6の中心軸Oが略水平となる姿勢で、真空チャンバ2の高さ方向の中間部に、不図示の絶縁支持部材によって支持されている。
ターゲット6は、プラズマ処理装置1によって、被処理体に注入したり、付着させたりする材料の種類に応じた適宜の金属材料を採用することができる。本実施形態では一例として、棒状の白金から構成されている。
本実施形態のターゲット6の形状は、一例として、直径10mm、長さ40mmの円柱形状を採用している。
本実施形態の絶縁物3は、一例として、厚さ0.5mmの管状の二酸化ジルコニウム(ZrO)の焼結体からなる管部材を耐熱性接着剤、例えば、セラミックス粉末が混入された接着剤であるアルミナボンドなどによりターゲット6の外周に接着したものを採用している。
また、本実施形態のトリガー電極5は、絶縁物3に外嵌するSUS304からなる円環部材であり、絶縁物3におけるターゲット6の先端6a側の端部に、上記と同様の耐熱性接着剤によって接着固定されている。
プラズマ放出部10のアノード電極7は、周回電極部7Aおよび配線部7Bからなる。
周回電極部7Aは、基端部7bと先端部7cとの間が円弧形状に湾曲されることでアーチ状とされ、基端部7bと先端部7cとの間が離間されて開口7dが形成された複数の円弧状導電体7a(導電体)で構成される。各円弧状導電体7aは、互いの円弧中心を同軸上に整列させ、開口7dが一定方向に向けられた状態で、一定ピッチに並列配置されている。
これら円弧状導電体7aの各基端部7bは、周回電極部7Aに電流を供給する直線状の導電体からなる配線部7Bに接続されている。このため、アノード電極7は、複数の円弧状導電体7aが配線部7Bから、湾曲した櫛歯状に取り付けられている。
アノード電極7の大きさは、ターゲット6、絶縁物3、およびトリガー電極5を含む組立体を挿通可能な内径を有し、少なくともターゲット6の先端6aを内側に引っ込ませた状態で、全体としてターゲット6を軸方向に覆うことができる大きさとされる。
本実施形態のアノード電極7の円弧状導電体7aは、一例として、線径d=3(mm)のSUS304の線材を、内径D=40(mm)で周長が円周の6分の5(中心角が300度)の円弧形状に湾曲させたものである。これにより、基端部7bと先端部7cとの間に円弧状導電体7aの円弧の中心から見込む角度が60度の開口7dが形成されている。
また、アノード電極7の配線部7Bには、線径d=3(mm)のSUS304の真直な線材を採用している。円弧状導電体7aの各基端部7bは配線部7Bに溶接によって接続されている。
また、円弧状導電体7aの配列ピッチwは、w=2×d=6(mm)とされている。
アノード電極7は、ターゲット6に対して、各円弧状導電体7aの円弧中心がターゲット6の中心軸Oに同軸とされるとともに、各円弧状導電体7aの開口7dがターゲット6の下方に向けた状態で配置される。
このため、アノード電極7の複数の円弧状導電体7aは、ターゲット6の上方で、ターゲット6の中心軸Oを中心として周回するように配置されている。
ターゲット6の先端6aの位置は、アノード電極7の軸方向の端部から10mmだけ内側(図2(b)の右側)に配置されている。
以下では、プラズマ放出部10において、ターゲット6の先端6aが位置する側の端部を、プラズマ放出部10の先端部と称し、ターゲット6の基端側の端部をプラズマ放出部10の基端部と称する。
トリガー電源15は、トリガー放電を起こすため、図示しないコンピュータなどの制御手段からのパルス信号により、トリガー電極5にパルス状の電圧を印加する電源である。本実施形態では、一例として、5μsecのパルス幅で、ターゲット6とトリガー電極5との間に0kV〜5kVの範囲で任意に設定された電圧を印加できるようになっている。
トリガー電源15は、正極の接続端子15aがトリガー電極5におけるターゲット6の先端6aとは反対側の端面に、負極の接続端子15bがターゲット6の基端側に、それぞれ接続されている。
アーク電源16は、アーク放電を起こすための図示しないコンデンサを備えた電源である。本実施形態では、一例として、8800μF程度の電気量を充電しておくことができる容量を有し、電圧は0V〜100Vの範囲で任意に設定できるようにした電源を採用している。
アーク電源16は、正極の接続端子16aがアノード電極7の配線部7Bに、負極の接続端子16bがターゲット6の基端側に、それぞれ接続されている。
偏向部13は、図1に示すように、図示紙面内の水平方向に中心軸を有するリング状の磁石17と、磁石17から生じる磁力線の方向を調整する鉄製のL字状ヨーク18とを備えている。
本実施形態のL字状ヨーク18は、プラズマ放出部10の基端部側で鉛直方向に延ばされた側部18Aと、側部18Aの上端から水平方向に向かってプラズマ放出部10の先端側に延ばされた側部18Bとからなり、不図示の支持部材によって真空チャンバ2内に固定されている。
側部18Aには、プラズマ放出部10の基端部を挿通させる貫通孔18aが設けられている。そして、磁石17は、この貫通孔18aの外周側において、磁極がターゲット6の中心軸Oに沿う方向に形成されるように配置されている。
このため、プラズマ放出部10の基端部は、磁石17の径方向内側に配置されている。
また、側部18Bには、水平方向においてプラズマ放出部10の先端部の前方側となる端部に、鉛直方向に貫通する貫通孔18bが設けられている。
このような偏向部13の構成によれば、L字状ヨーク18によって磁石17の磁力線の方向が調整され、側部18Bの下側で、側部18Bと側部18Aとで挟まれる真空チャンバ2内の空間において、貫通孔18aの近傍から貫通孔18bの近傍に向かって湾曲された磁力線で表される磁場が形成される。以下では、この磁場を磁石17による空間磁場と称することにする。
この空間磁場は、プラズマ放出部10から放出されたプラズマ8を偏向して、側部18Bの近傍に輸送するものである。そのため、L字状ヨーク18の形状および磁石17の配置は、側部18Bの近傍において、被処理体の表面処理に必要なプラズマ8の分布が得られるように設定する。
本実施形態では、図1に示すように、貫通孔18bの側部18A側の外周部上の領域Vの範囲に空間磁場の磁力線が密となり表面処理に必要なプラズマ8が輸送され、領域Vから側部18Aと反対側(図示左側)では磁力線が粗となりプラズマ8が略輸送されないようにしている。
支持台12は、表面処理を行う被処理体である光学素子成形用型母材11を、磁石17による空間磁場の磁力線の経路上の位置に支持するための部材である。
本実施形態では、略円板状に形成され、真空チャンバ2に端部が固定され貫通孔18bに挿通された軸21に固定されている。これにより、支持台12は、円板の中心軸線CがL字状ヨーク18の側部18Bの貫通孔18bと略同軸、かつ略鉛直方向に沿うようにして側部18Bの下側近傍に配置されている。このため、本実施形態の支持台12は、プラズマ放出部10の斜め上方に配置され、支持台12の中心軸線Cとプラズマ放出部10のターゲット6の中心軸Oとは、略直交する位置関係に設けられている。
支持台12のプラズマ放出部10側(下側)の表面は、光学素子成形用型母材11を支持できるようになっている。
光学素子成形用型母材11は、いずれも被処理面11a(被処理体の表面)を下方に向けた状態で、被処理面11aと反対側の被支持面11bにおいて支持台12に支持されている。
遮蔽板20は、支持台12上に保持された光学素子成形用型母材11と、プラズマ放出部10のアノード電極7との間に設けられ、ターゲット6から光学素子成形用型母材11に向けて直進する経路を遮蔽する部材である。
遮蔽板20の材質は、偏向部13の磁力の影響を受けないように非磁性体を採用している。
次に、本実施形態のプラズマ処理装置1の動作について、光学素子成形用型母材11の表面に表面処理を行う場合の例で説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態のプラズマ処理装置を用いて製造された光学素子成形型の模式的な断面図である。図4は、この光学素子成形型を用いて光学素子が成形される様子を示す断面図である。
図3に示す光学素子成形型23は、図4に示すように、凸凹レンズからなるレンズ26の凹面である第1レンズ面26bを形成するための型部材である。
この光学素子成形型23を製造するには、まず、例えば、炭化タングステンなどの材料を切削して略円柱状とし、軸方向の一端側に支持台12上に支持するための平面状の被支持面11bを形成し、軸方向の他端側に第1レンズ面26bの凹面を形成するための凸面形状を有する被処理面11aを鏡面加工して光学素子成形用型母材11を製造する。
そして、プラズマ処理装置1を用いて、光学素子成形用型母材11の被処理面11a上に被処理面11aの耐久性を向上するため、白金の薄膜層である膜体23Aを形成する。
光学素子成形用型母材11の被処理面11aに膜体23Aを形成するには、まず、図1に示すように、表面処理を行う複数の光学素子成形用型母材11を、それぞれ支持台12に被支持面11bが密着するように装着する。
次に、真空チャンバ2内を真空排気系(不図示)にて真空引きして、例えば、1×10−4Pa以下程度の真空度まで減圧し、この減圧雰囲気下でアーク電源16を90Vの電圧で作動させ、ターゲット6とアノード電極7との間に90Vの電圧をかける。減圧下なので、ターゲット6とアノード電極7との間に電圧をかけても放電は起こらず待機状態となる。
この状態で、トリガー電源15に不図示の制御手段からパルス信号を送り、トリガー電源15を作動させ、ターゲット6とトリガー電極5との間に、高圧パルス電圧、例えば、3kVの電圧を5μsec印加する。このとき、絶縁物3の先端に瞬間的に沿面放電(トリガー放電)が発生し、トリガー電極5と絶縁物3から突出したターゲット6との間に電流が流れて、ターゲット6の表面にアークスポットS(図2(b)参照)とともにプラズマが発生する。
アークスポットSからターゲット6のプラズマが僅かに発生することによって、ターゲット6とアノード電極7との間に電気回路が形成され、アノード電極7とターゲット6との間でアーク放電が生じる。そして、アーク電源16に配線されている図示しないコンデンサに貯められた電気が、瞬時的に配線部7Bから周回電極部7Aを流れ、周回電極部7Aの表面からターゲット6の表面に向けてはアーク電流Iとして空間を流れ、ターゲット6の表面からは、アーク電源16の負極に向かってターゲット6内をターゲット6の中心軸Oに沿う方向に流れる。高温化したアークスポットSの近傍のターゲット6の表面には、アーク電流Iの大きさに応じてプラズマが発生する。
このアーク放電は、アーク電源16の不図示のコンデンサに貯められた電気量の放出が終わるまで継続される。本実施形態では、この放電時間は約600μsecである。
このアーク放電中にアーク電源16の正極から負極に流れる電流値を、I(t)(tは時間を表す)とすると、I(t)は、放電時間の中間で最大値をとる山形の時間変化を示す。
電流I(t)は、周回電極部7A内では、各円弧状導電体7aにおいて、それぞれ基端部7bから放電位置まで、先端部7c側に向かって流れるため、各円弧状導電体7aの周囲にアンペールの法則に従って図2(b)の紙面内で反時計回りの磁場がそれぞれ発生する。これらの磁場によりと、巻線コイルに通電した場合と略同様に、周回電極部7Aの内周側に、プラズマ放出部10の先端から基端に向かう方向の磁場成分が発生する。
周回電極部7Aの内周側を径方向に流れるアーク電流Iには、こうして発生する磁場を横切って流れるため、この磁場成分により図2(a)の紙面内の反時計回り方向の電磁力を受ける。そのため、アーク電流Iは、アークスポットSとともに、図2(a)の紙面内では、中心軸Oを中心として反時計回り方向に回転される。
この結果、プラズマの発生位置が、ターゲット6の周方向に移動する。
これらの磁場成分の重ね合わせの結果、アーク電流Iは、アークスポットSとともに、周回電極部7Aとターゲット6の表面との間で、ターゲット6の中心軸O回りに円周運動する。これにより、ターゲット6の表面に発生した荷電粒子の集まりであるプラズマは、周回電極部7Aの内周側で、ターゲット6の中心軸Oを中心として螺旋状に回転し、磁場からの電磁力を受けて加速されながら先端6a側に移動し、プラズマ放出部10の先端側にプラズマ8(図1参照)として放出される。
このようにして、プラズマ8は、アーク放電が継続する間、ターゲット6の中心軸回りに周回されつつ、プラズマ放出部10の先端側に移動されて、ターゲット6からプラズマ放出部10の先端側に放出されるため、プラズマ放出部10の先端部でのプラズマ8の濃度分布が略均等化されて前方に放出される。
その際、本実施形態では、円弧状導電体7aの円弧の中心軸が、ターゲット6の中心軸Oに略同軸に配置されているため、アーク放電時にターゲット6の中心軸Oに対して対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲット6の中心軸Oに略一致し、これによりプラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
また、本実施形態では、円弧状導電体7aを採用しているため、ターゲットの中心軸に対して回転対称的な磁場が形成される。このため、アーク放電位置およびターゲット表面のプラズマの螺旋運動の回転軸がターゲットの中心軸に略一致するとともに、アーク放電位置およびターゲット表面を螺旋運動させる磁場からの力もターゲットの周方向に均等化される。これにより、プラズマ放出位置のターゲット表面の周方向の位置が良好に均等化される。
プラズマ放出部10の先端部から放出されたプラズマ8は、径方向に拡散されるものの、全体としては、ターゲット6の中心軸Oに沿う方向に放出される。
プラズマ放出部10から放出されたプラズマ8は、偏向部13によって形成された空間磁場の磁力線に巻き付くようにして偏向される。このため、プラズマ8は空間磁場の磁力線が密となる経路に沿って輸送され、遮蔽板20の側部を通過して領域Vに向かう。
そして、ターゲット6のイオンを含むプラズマ8は、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達して被処理面11aに衝突し、その運動エネルギーに応じて、被処理面11aに注入されたり、付着されたりする。これにより、被処理面11aにターゲット6の材質からなる膜体23Aが形成される。
一方、アーク放電は、プラズマ8の他にも飛散粒状体19(図1参照)として、アークスポットSにおいて溶融した液体状の飛沫であるドロップレットや、ドロップレットが飛散中に固化した粒子やターゲット6に含まれる不純物粒子などからなる飛散粒子などを発生させる。これらの飛散粒状体19は、電気的に中性であるため、アノード電極7内の磁場や偏向部13による磁場の影響を受けず、初速度の方向に飛散する。なお、一般に飛散粒状体19の質量は小さいため重力の影響は小さく、飛散行程の初期には、初速度の方向に略直線的に進むと考えてよい。
本実施形態では、ターゲット6と領域Vに配置された光学素子成形用型母材11との間には、遮蔽板20が配置されている。このため、周回電極部7Aの各円弧状導電体7aの隙間を通過して、ターゲット6の表面から領域Vに配置された光学素子成形用型母材11に向かって飛散する飛散粒状体19は遮蔽板20に衝突して、光学素子成形用型母材11に到達することが防止される。
また、周回電極部7Aは、ターゲット6を挟んで領域Vに配置された光学素子成形用型母材11と反対側に、開口7dが形成されている。このため、ターゲット6の表面から領域Vに配置された光学素子成形用型母材11と反対側に飛散する飛散粒状体19は、図1に示すように、大部分が開口7dを通過して下方に飛散する。
下方に飛散した飛散粒状体19は、最終的には、重力によって真空チャンバ2の底面上に落下する。
このため、飛散粒状体19が、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達し、飛散粒状体19の衝突や付着によって被処理面11a上に凹凸が生じたり、欠陥が発生したりすることを防止することができる。
また、例えば、周知の巻線コイル状のアノード電極のように、開口7dに相当する位置に巻線コイルが横断している場合を考えると、ターゲット6から先端6aに向かって斜め下方に飛散される飛散粒状体19は、巻線コイルの横断部によって斜め上方に反射されて上側の巻線コイルの隙間から被処理体に向かって飛散するものが発生する。
このような開口7dに相当する位置の巻線コイルによる反射によれば、あたかも飛散粒状体19の飛散の起点が水平面内でターゲット6の大きさの範囲よりも外側に拡大されたのと同等の作用を有する。このため、ターゲット6の表面からの直線経路を遮蔽する遮蔽板20では遮蔽しきれない飛散粒状体19が光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達してしまう。
この場合、遮蔽板20の大きさを拡大することも考えられるが、プラズマ放出部10の先端から偏向されるプラズマ8の輸送経路を狭められてしまい、表面処理の効率が悪くなるという問題がある。
本実施形態によれば、開口7dが設けられていることにより、このようなターゲット6から下方に飛散された飛散粒状体19が上方に反射される確率が格段に低減される。そのため、遮蔽板20の大きさを拡大することなく、したがってプラズマ8の輸送経路を狭めることなく、被処理面11aへの飛散粒状体19の到達を防止することができる。
このようにして、飛散粒状体19が混じっていない清浄なプラズマ8のみが遮蔽板20の側方を通過して、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aに到達し、被処理面11aの表面処理が行われる。
次に、領域Vに位置する光学素子成形用型母材11の被処理面11aの表面処理が終了したら、真空チャンバ2を大気開放して支持台12から処理後の光学素子成形用型母材11を取り出す。こうして、図3に示すように、膜体23Aが形成された光学素子成形型23が製造される。
このプラズマ処理装置1によれば、光学素子成形用型母材11の表面におけるドロップレットや飛散粒子によるミクロ的な表面欠陥が好適に抑えられ、高密度、高密着強度、かつ、欠陥の極めて少ない表面を得て高精度かつ確実に処理することができる。
また、このようにして、被処理面11aが表面処理された光学素子成形型23によれば、膜体23Aにおいてドロップレットや飛散粒子によるミクロ的な表面欠陥が好適に抑えられているので、高精度、高耐久の成形を行うことができる。
また、上記と同様にして、光学素子成形用型母材11の被処理面11aの形状を変更することにより種々の形状に対応した光学素子成形型を製造することができる。
例えば、図4に示すように、被処理面11aを凹面として、この被処理面11aにプラズマ処理装置1によって膜体24Aを形成した光学素子成形型24を製造することができる。
これら光学素子成形型23、24を用いて、凹面からなる第2レンズ面26a、凸面からなる第1レンズ面26bを有するレンズ26を成形することができる。
すなわち、光学素子成形型23、24を、膜体23A、24Aが形成された各被処理面11aを対向させた状態で、円筒状の型枠部材25によって径方向に位置決めし、膜体23A、24Aが形成された各被処理面11aと型枠部材25の内周面とで囲まれる成形空間を形成する。そして、この成形空間に加熱したガラス材料を配置して、光学素子成形型23、24を軸方向に押圧して、ガラス材料をプレスし、型面形状を転写して脱型することで、レンズ26を成形することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。図6(a)は、本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置に用いるアノード電極の概略構成を示す模式的な左側面図(図5のE視)である。図6(b)は、図5(a)におけるF−F断面図である。
本実施形態のプラズマ処理装置1Aは、上記第1の実施形態のプラズマ処理装置1の遮蔽板20に代えて、遮蔽カバー30(遮蔽部)を備えるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
遮蔽カバー30は、図6(a)、(b)に示すように、プラズマ放出部10の外径よりわずかに大きな内径を有する略円筒状の非磁性体からなる部材であり、プラズマ放出部10のターゲット6の中心軸Oと略同軸とされた状態でプラズマ放出部10の外周側を覆うように配置されている。
遮蔽カバー30におけるプラズマ放出部10の先端側の先端面30eは、プラズマ放出部10の先端と略同位置もしくはわずかに前方に配置されている。
そして、遮蔽カバー30の先端部には、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11と反対側の側面に、切欠き面30a、30b、30cからなるコ字状の切欠き部によって形成された開口30dが設けられている。ここで、切欠き面30aは、先端面30eから遮蔽カバー30の軸方向に沿って延びる切断面であり、切欠き面30cは、切欠き面30aに遮蔽カバー30の周方向に離間して対向する切断面である。また、切欠き面30bは、切欠き面30a、30cの先端面30eとは反対側の端部に接続する切断面である。
開口30dの周方向の位置は、径方向外側から見て、開口30d内にアノード電極7の開口7dを臨むことができる位置とされる。
また、切欠き面30bの軸方向に沿う位置は、ターゲット6の先端6aよりも基端側であることが好ましく、トリガー電極5よりも基端側であることがより好ましい。また、開口7dの軸方向長さと同程度としてもよい。
このような構成により、遮蔽カバー30は、少なくともターゲット6と領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aとの間において、周回電極部7Aの外周側を覆うように設けられている。このため、遮蔽カバー30は、被処理体とアノード電極との間に設けられ、ターゲットから被処理体に向けて直進する経路を遮蔽する遮蔽部を構成している。
このようなプラズマ処理装置1Aによれば、上記第1の実施形態のプラズマ処理装置1と同様にして、領域Vに配置された光学素子成形用型母材11の被処理面11aを表面処理することができる。
その際、ターゲット6の表面から飛散する飛散粒状体19のうち、周回電極部7Aの各円弧状導電体7aの間の隙間を通過して上方に飛散する飛散粒状体19は、遮蔽カバー30によって、直進する経路が遮蔽されているので、遮蔽カバー30の内周面に衝突して反射されたり、内周面に付着したりする。
遮蔽カバー30の内周面で反射された飛散粒状体19は、さらに反射を繰り返すなどして最終的に、遮蔽カバー30のいずれかに付着されるか、開口30dを通過して、光学素子成形用型母材11とは反対側の真空チャンバ2の下方に飛散する。
このため、飛散粒状体19が、表面処理する被処理面11aに付着することを防止することができる。
遮蔽カバー30は、アノード電極7の外周側に近接して配置することにより、アノード電極7からより離間した位置に遮蔽部を設ける場合に比べて遮蔽面積を小さくしても、飛散粒状体19を確実に遮蔽することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す正面視の模式的な部分断面図である。図8は、本発明の第3の実施形態のプラズマ処理装置を用いて製造された光学素子成形型の模式的な断面図である。
本実施形態のプラズマ処理装置1Bは、図7に示すように、上記第1の実施形態のプラズマ処理装置1に、フィードスルー36を介して支持台12に接続されて光学素子成形用型母材11に負のバイアス電圧を印加するバイアス電源部37を追加したものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
バイアス電源部37は、図示しないコンピュータ等の制御手段によってターゲット6とアノード電極7との間にアーク放電が起こったことを検知して、支持台12に支持された光学素子成形用型母材11に負のバイアス電圧を印加するものである。
このようなプラズマ処理装置1Bによれば、第1の実施形態のプラズマ処理装置1と同様にして、ターゲット6とアノード電極7との間にアーク放電を起こさせ、プラズマ放出部10によってプラズマ8を発生させる。そして、プラズマ8が発生するたびに、バイアス電源部37によって、例えば、10kV程度の大きさのパルス状の負のバイアス電圧を光学素子成形用型母材11に印加する。ここでは、例えば、バイアス電源パルス幅を12μsec、インターバルを25μsec、繰り返し回数を100回とする。
このとき、プラズマイオンは、正に帯電しているので、このような負の高電圧パルス状のバイアス電圧によって、プラズマ8の粒子は、被処理面11aの近傍で加速され、光学素子成形用型母材11に衝突され、被処理面11aの内部側に打ち込まれていく。
このようにして、プラズマ8から白金イオンが容易に取り出され、被処理面11aから光学素子成形用型母材11内に注入される。
その際、バイアス電圧の大きさを漸次変化させることによって、光学素子成形用型母材11に注入される白金濃度を漸次変化させることができる。
このようにして、図6に示すように、被処理面11a下に、濃度が漸次変化する白金が注入されることで白金の傾斜組成を有する傾斜層38が形成される。
傾斜層38が形成されたら、バイアス電源部37による負のバイアス電圧の大きさを、例えば300V程度まで低下させて、さらにプラズマ放出部10のアーク放電を繰り返す。
これにより、被処理面11a上に輸送されるプラズマ8内の白金イオンは、被処理面11a上に順次付着していき、傾斜層38の上に白金合金よりなる保護膜40が形成される。
このようにして、表面に傾斜層38、保護膜40を有する光学素子成形用型41が製造される。
ここで、傾斜層38は、光学素子成形用型母材11と保護膜40との密着強度を向上する中間層を構成している。
プラズマ処理装置1Bによれば、バイアス電源部37により光学素子成形用型母材11に負のバイアス電圧を印加することによって、飛散粒状体19を含まない清浄なプラズマ8の粒子を光学素子成形用型母材11の表面のみならずその内部に注入させることができる。
また、バイアス電源部37を制御して、光学素子成形用型母材11に印加する負のバイアス電圧の大きさを変化させることによって、表面に、傾斜層38を介して強固に密着された保護膜40を成膜することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の説明では、ターゲット6の形状を円柱棒状としているが、ペレット状、線状、円筒状であっても構わない。また、ターゲット6の材質は白金のみならず、金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の貴金属類、又は炭素であってもよい。
また、上記の説明では、周回電極部として、複数の円弧状導電体7aを採用した例で説明したが、複数の導電体の形状は、一方に開口を有する略アーチ状であれば、円弧形状には限定されない。
例えば、楕円状であってもよいし、円弧からわずかにずれた略円弧状としてもよいし、線材を多角形状に屈曲した形状でもよい。
また、導電体がターゲットを囲む範囲を決める略アーチ状の周回方向の長さも適宜寸法とすることができる。例えば、円弧形状で言えば、中心角が180度より大きい優弧状(C字状)に限定されず、半円弧状や、中心角が180度より小さい劣弧状であってもよい。
中心角の大きさは、10度以上120度以下であることが好ましい。
また、略アーチ状の周回方向は、ターゲットの中心軸に直交する方向には限定されず、ターゲットの中心軸に交差する斜め方向であってもよい。
また、上記の説明では、周回電極部の略アーチ状の形状の中心軸がターゲットの中心軸と同軸に配置された場合の例で説明したが、周回電極部を流れる電流による磁場は、略アーチ状の形状の中心軸に略平行に形成されるので、略アーチ状の形状の中心軸とターゲットの中心軸とはずれていてもよい。これらの中心軸同士がずれていても、プラズマはターゲットの中心軸に沿う方向に輸送されてターゲットの先端から放出される。
また、上記の説明では、トリガー電極5を、絶縁物3を介してターゲット6の周囲に配したが、トリガー電極5はターゲット6との間にトリガー放電を起こすことができればそれでよく、絶縁物は空気であってもよい。例えば、トリガー電極5をターゲット6との間に1mm以下の間隙をおいて配置し、空間放電を起こさせてもよい。
また、上記の説明では、偏向部13が磁石17とL字状ヨーク18とを備えて磁場によりプラズマ8の輸送経路を偏向させるものとして説明したが、L字の開き角度は90度以外の角度でもよい。また、磁石17は電磁石であってもよい。
また、偏向部は、磁場でなく電場を発生させてこの電磁力によってプラズマの経路を偏向させてもよい。
また、上記第3の実施形態の説明では、バイアス電源部が負のバイアス電圧をパルス状に印加する場合の例で説明したが、バイアス電圧の波形等の条件は表面処理の目的に合わせて自由に設定してもよく、例えば、正電圧と負電圧とを交互に混ぜ合わせた波形や、定常電圧を正の低電圧として被処理体に引き寄せられるプラズマイオンの速度を低下させてもよい。
また、上記の説明では、負極の接続端子16b、15bは、それぞれベース電極としてターゲット6に別々に接続されている場合の例で説明したが、接続端子16b、15bは1本の接続線で結線してもよい。また、負極の接続端子16b、15bは、ベース電極となる導電部材を介して、ターゲット6に接続させるようにしてもよい。また、接続端子16b、15bを溶着によって形成した溶着部としてもよい。
また、上記の説明は、被処理体の被処理面の中心軸が、ターゲットの中心軸に直交する位置関係に配置され、プラズマ放出部から放出されるプラズマがプラズマ放出方向と直交する方向に偏向される場合の例で説明した。
被処理面の近傍におけるプラズマの輸送方向は、被処理面の中心軸に沿う方向であることが好ましいが、偏向部による偏向角度や、被処理面の中心軸とプラズマ放出方向とのなす角度は、90度には限定されず、90度とは異なる角度で交差する位置関係にあってもよい。
また、上記の説明では、光学素子成形用型母材11は、支持台12上に1個配置される場合の例で説明したが、支持台12は複数個の光学素子成形用型母材11を配置できる構成とするとともに、軸21を中心に回転できるようにしておき、領域V上に、光学素子成形用型母材11を進退させることで、複数個の光学素子成形用型母材11を処理できるようにしてもよい。
この場合、飛散粒状体19が、領域Vの外側に配置された光学素子成形用型母材11に到達しないように、遮蔽板20は、領域Vの下方のプラズマ8の輸送経路のみが開口された穴あき板を採用することが好ましい。
また、上記の説明では、支持台12は、真空チャンバ2に固定された場合の例で説明したが、支持台12は、軸21に直交する2軸方向(水平方向)に揺動可能に支持されていてもよい。
この場合、支持台12の揺動に伴って光学素子成形用型母材11が揺動移動をされるので、プラズマ8の輸送経路の断面積を絞った状態でも、被処理面11aの全体をわたって均一な膜体23Aを形成することができる。
例えば、光学素子成形用型母材11の被処理面11aの直径を20mmとしたとき、偏向部13の磁力線分布を調整して、被処理面11a上でのプラズマ8の輸送範囲の直径を10mm程度と、被処理面11aの直径の半分程度となるように設定しておく。
そして、被処理面11aにプラズマ8が到達している間、揺動機構を駆動して支持台12を水平面内で2軸揺動させる。これにより、プラズマ8が輸送される間、プラズマ8が被処理面11a上を相対的に揺動移動して、プラズマ8の流れが被処理面11a上で走査されるため、プラズマ8に断面方向の濃度分布があっても、被処理面11a上では平均化され、全体に均一に到達するようになる。
また、上記の各実施形態のすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
1、1A、1B プラズマ処理装置
2 真空チャンバ
3 絶縁物
5 トリガー電極
6 ターゲット
7 アノード電極
7A 周回電極部
7B 配線部
7a 円弧状導電体(導電体)
7d 開口
8 プラズマ
10 プラズマ放出部
11 光学素子成形用型母材(被処理体)
11a 被処理面(被処理体の表面)
12 支持台
13 偏向部
15 トリガー電源
16 アーク電源
19 飛散粒状体
20 遮蔽板(遮蔽部)
23、24、41 光学素子成形型
23A、24A 膜体
26 レンズ
30 遮蔽カバー(遮蔽部)
37 バイアス電源部
38 傾斜層
40 保護膜
アーク電流
アークスポット
C 中心軸線
O 中心軸(ターゲットの中心軸)
V 領域

Claims (7)

  1. 軸状のターゲットとの間にトリガー放電を生じさせるトリガー電極と、前記ターゲットとの間にアーク放電を誘起するアノード電極とを有し、前記アーク放電によって生じる前記ターゲットのイオンを含むプラズマを前記ターゲットの先端方向に放出するプラズマ放出部と、
    該プラズマ放出部から放出される前記プラズマを前記ターゲットの軸方向と交差する方向に偏向させることにより前記プラズマを被処理体の表面に輸送する偏向部と、
    前記被処理体と前記アノード電極との間に設けられ、前記ターゲットの表面から前記被処理体に向けて直進する経路を遮蔽する遮蔽部とを備えるプラズマ処理装置であって、
    前記プラズマ放出部の前記アノード電極は、
    一方に開口を有する略アーチ状とされた複数の導電体が、前記ターゲットの軸方向回りに周回するように配置されるとともに、前記ターゲットを挟んで前記被処理体と反対側に前記複数の導電体の各開口が配置された周回電極部と、
    該周回電極部に電流を供給する配線部と、を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記周回電極部は、
    前記略アーチ状の形状の中心軸が、前記ターゲットの中心軸と略同軸に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記周回電極部の略アーチ状の形状は、円弧形状からなることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記被処理体にバイアス電圧を印加するバイアス電源部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いて、被処理体である型母材の表面に表面処理を行うことを特徴とする光学素子成形型の製造方法。
  6. 請求項4に記載のプラズマ処理装置を用いて、被処理体である型母材の表面に、前記プラズマ処理装置で発生されたプラズマを輸送するとともに、前記被処理体にバイアス電圧を印加することにより、前記プラズマに含まれる前記ターゲットのイオンを注入もしくは付着させるか、または注入および付着させることを特徴とする光学素子成形型の製造方法。
  7. 前記被処理体に印加する前記バイアス電圧を変化させることにより、前記型母材の表面に、前記プラズマに含まれる前記ターゲットのイオンを、注入させた後に付着させることを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形型の製造方法。
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