JP4774322B2 - 表面処理装置 - Google Patents

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本発明は、表面処理装置に関する。
ターゲットを含む固体アークプラズマ源を有する表面処理装置において被処理体の表面処理を行う場合、アーク放電によってプラズマとともに磁場の影響を受けずに直進する電気的に中性なドロップレットや飛散粒子が発生する。これらが被処理体の表面まで飛散した場合には,被処理体表面の欠陥原因となる。
そこで、ドロップレットや飛散粒子の被処理体面への到達を規制するため、真空容器中にリング状又はコイル状の磁石を配し、固体アークプラズマ源と被処理体との間に偏向磁場をかける装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、偏向磁場によって、プラズマのみを被処理体へ誘導する一方、ドロップレットや飛散粒子をプラズマの輸送経路から除外して被処理体への到達を阻止することができる。
特開2004−225107号公報
しかしながら、上記従来の技術では、高融点金属のドロップレットの場合、発生及び飛散した瞬間から表面の固化が始まり、真空容器の内壁や磁場誘導用磁石と衝突するときには既に表面が固化しているため、付着せずに容器内に再び反射してしまう。この際、反射した飛散粒子が、被処理体の方向に経路を変えるものもあって、これらが被処理体表面に付着する可能性がある。その場合、被処理体表面に成膜された膜にミクロ的な欠陥が生じてしまい、特に、耐熱膜、耐腐食膜、光学鏡面膜の場合には、機能低下をもたらす可能性がある。また、プラズマの輸送経路以外に被処理体を載置した場合、上述のように飛散粒子が表面に衝突する可能性があるため、真空容器内には処理を行う被処理体しか投入できない。そのため、表面処理を連続的に行うことができず、生産効率の向上が図れない。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、被処理体の表面を高精度かつ確実に処理することができ、処理能力を高めることができる表面処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る表面処理装置は、絶縁物を介してトリガー電極と接続されたターゲットと、該ターゲットの周囲にアーク放電を誘起させるアーク電極とを有し、前記アーク放電によって生じるターゲットイオンを含むプラズマを前記ターゲットの先端方向に放出する蒸着源と、前記ターゲットイオンが到達する被処理体を載置する表面の法線が、前記蒸着源近傍における前記プラズマの放出方向に対して傾いて配された支持台と、前記蒸着源から放出された前記プラズマの進行方向が、前記支持台の近傍にて該支持台表面の略法線方向となるように偏向させる偏向部と、前記蒸着源と前記支持台との間に配され、前記偏向部によって偏向されたプラズマの輸送経路上のみに開口部が形成された遮蔽板とを真空容器内に備えていることを特徴とする。
この発明は、遮蔽板の開口部にプラズマを挿通させる一方、プラズマの輸送経路から外れて飛散するドロップレット等の飛散粒子は反射させることができ、飛散粒子が被処理体に到達するのを好適に規制することができる。また、プラズマの輸送経路が不安定になっても、プラズマの多くが真空容器ではなく遮蔽板に当たるので、真空容器の汚れを削減することができる。
また、本発明に係る表面処理装置は、前記表面処理装置であって、表面処理後の前記被処理体を前記プラズマの輸送経路上から退避させ、前記蒸着源に対し前記遮蔽板よりも遠位側、かつ、前記プラズマの輸送経路から外れた位置に配された表面処理前の前記被処理体を、前記プラズマの輸送経路上に移動する入れ替え装置を備えていることを特徴とする。
この発明は、蒸着源に対し遮蔽板よりも遠位側のプラズマの輸送経路から外れた位置に処理前の被処理体を配置しても、遮蔽板がプラズマやドロップレット等の飛散粒子の飛来を抑えることができる。従って、処理前の被処理体がプラズマやドロップレット等の飛散粒子によって汚染されるのを抑えることができる。
また、本発明に係る表面処理装置は、前記表面処理装置であって、前記入れ替え装置が、前記真空容器内の圧力を維持するための調圧部を介して前記真空容器に隣接して配され、処理前の前記被処理体を待機させておく第一保管室と、前記真空容器内の圧力を維持するための調圧部を介して前記真空容器に隣接して配され、処理後の前記被処理体を保管する第二保管室とを備えていることを特徴とする。
この発明は、処理を行う被処理体を真空容器とは別の第一保管室内に保管した状態でも、第一保管室、真空容器、及び第二保管室の間で被処理体を移動させることにより、真空容器そのものを大気開放しなくても、複数の被処理体に対して連続的な処理を行うことができる。従って、プラズマの輸送経路から外れて飛散するドロップレット等の飛散粒子が処理前の被処理体に到達するのをより好適に抑えることができる。
また、本発明に係る表面処理装置は、前記表面処理装置であって、前記被処理体にバイアス電圧を付加するバイアス電源部を備えている。この発明は、プラズマに含まれる帯電したターゲットイオンを被処理体の表面から内部に注入させることができ、密着強度を向上することができる。
本発明によれば、被処理体の表面を高精度かつ確実に処理することができ、処理能力を高めることができる。
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る表面処理装置1は、図1及び図2に示すように、真空チャンバ(真空容器)2と、筒状の絶縁物3を介してトリガー電極5と接続されたターゲット6と、ターゲット6の周囲にアーク放電を誘起させるアーク電極7とを有し、アーク放電によって生じるターゲットイオンを含むプラズマ8をターゲット6の先端6a方向に放出する蒸着源10と、光学素子成形用型母材(被処理体)11を載置する支持台12と、蒸着源10から放出されるプラズマ8の進行方向が、支持台12の近傍にて中心軸線C方向となるように偏向させる偏向部13とを備えている。
真空チャンバ2の外部には、内部を大気圧から所定の圧力まで調整する図示しない真空排気系、トリガー電源15、及びアーク電源16がそれぞれ接続されている。
ターゲット6は、例えば、棒状のイリジウムから構成されている。
トリガー電極5及びアーク電極7はそれぞれトリガー電源15及びアーク電源16の陽極側に接続されており、ターゲット6がトリガー電源15及びアーク電源16の陰極側に接続されている。また、アーク電源16には、図示しないコンデンサが、電気が貯められた状態で配線されている。なお、アーク電極7とターゲット6とは電気的に接続されていない。
アーク電極7は、円筒形状のステンレス部材とされ、内部にターゲット6が挿通されている。アーク電極7は、支持台12に載置した光学素子成形用型母材11に対してターゲット6を遮蔽可能な長さに形成されている。アーク電極7の先端7a側は、ターゲット6の先端6aよりも突出する一方、支持台12の遠位側が半円筒状に切り欠かれて開口している。
偏向部13は、リング状の磁石17と、磁石17から生じる磁力線の方向を調整する鉄製のL字状ヨーク18とを備えている。磁石17は、L字状ヨーク18の一方の側部18Aに、磁極がターゲット6の軸線方向となるように配されている。蒸着源10は、この一方の側部18Aの磁石17の径方向内方に配されている。
支持台12は、略円板状に形成され、蒸着源10近傍におけるプラズマ8の放出方向Pに対して中心軸線Cが傾くように、L字状ヨーク18によって形成される磁力線の経路上となる位置の他方の側部18Bに配されている。本実施形態においては、プラズマ8の蒸着源10からの放出方向Pと中心軸線Cとは略直交している。支持台12の蒸着源10側の表面には、中心軸線Cの周りの同心円上に所定の間隔で、かつ、中心軸線Cから所定の距離で径方向外方に離間した位置に、光学素子成形用型母材11が複数載置可能となっている(図では二つ)。
蒸着源10と支持台12との間には、偏向部13によって偏向されたプラズマ8の輸送経路上のみに開口部20Aが形成された遮蔽板20が、真空チャンバ2の壁面からL字状ヨーク18の一方の側部18Bに沿って、他方の側部18Aの近傍まで延設されている。開口部20Aの大きさは、遮蔽板20が配された位置におけるプラズマ8の直径と略同一の大きさとなっている。従って、処理対象となる光学素子成形用型母材11以外のものは、蒸着源10に対し遮蔽板20よりも遠位側のプラズマ8の輸送経路から外れた位置に配置される。この遮蔽板20は、非磁性体からなり、偏向部13の磁力の影響を受けないように構成されている。
支持台12には、軸21を介して中心軸線C回りに支持台12を回転させて、プラズマ8の輸送経路上から表面処理後の光学素子成形用型母材11を退避させ、表面処理前の光学素子成形用型母材11をプラズマ8の輸送経路上に移動する移動部(入れ替え装置)22が接続されている。この移動部22はまた、処理中においては、支持台12をターゲット6に対して支持台12の中心軸線C方向に直交する二軸方向に揺動させるように構成されている。移動部22は、図示しない支持台揺動用駆動系及び支持台回転用のステッピングモータ等を備えている。
次に、本実施形態に係る表面処理装置1の作用について説明する。
まず、支持台12に表面処理を行う光学素子成形用型母材11を複数装着する。真空チャンバ2内を真空排気系にて真空引きした後、移動部22のステッピングモータ等を駆動して軸21とともに支持台12を中心軸線C回りに回転する。そして、処理を行う光学素子成形用型母材11を遮蔽板20の開口部20Aの位置に移動する。なお、真空引きと支持台12の回転とを行う順番は逆でも構わない。
この状態で、トリガー電源15によりトリガー電極5とターゲット6との間に高圧パルス電圧を印加する。このとき、絶縁物3の先端に瞬間的に沿面放電が発生し、トリガー電極5と絶縁物3から突出したターゲット6との間に電流が流れて、ターゲット6の表面にアークスポットAが発生する。
アークスポットAからターゲット6のプラズマが僅かに発生することによって、ターゲット6とアーク電極7との間に電気回路が形成され、アーク電極7とターゲット6との間でアーク放電が生じる。そして、アーク電源16に配線されている図示しないコンデンサに貯められた電気が一瞬でアーク電極7からターゲット6へ放電されてターゲット6の軸方向にアーク電流が流れ、プラズマ8が発生する。この際、アーク電極7がターゲット6の略全周面を覆っているので、アーク放電がターゲット6の全周面から均等に生じやすい。従って、ターゲット6から均一にプラズマ8が発生する。
発生したプラズマ8は、ターゲット6を流れる電流によって生じる磁場によってターゲット6の先端6a側に電磁力を受け、プラズマ8が速度を持って移動して蒸着源10からP方向に放出され、偏向部13の磁場によってプラズマ8の輸送経路が、放出方向Pから支持台12の中心軸線C方向に偏向される。そして、遮蔽板20の開口部20Aを通過して光学素子成形用型母材11へと誘導される。
一方、アーク放電によって、ドロップレットもターゲット6から直線運動的に飛散する。このうち、支持台12方向に飛散するものはアーク電極7に遮られてこれに付着又はアーク電極7の開口方向に反射してしまう。これらは電気的に中性であるので、偏向部13による磁場の影響を受けない。従って、プラズマ8の輸送経路から外れて真空チャンバ2の内壁面等に衝突して付着する。
ここで、飛散中に固化したドロップレットやターゲット6の破片等からなる飛散粒子の一部は、真空チャンバ2の壁面に付着せずに反射する。この際、その反射方向によっては支持台12に向かって進行する。しかし、このような飛散粒子は、遮蔽板20の開口部20A以外の領域に衝突して、再び真空チャンバ2の壁面方向に反射される。
こうして、清浄なプラズマ8のみが遮蔽板20の開口部20Aを通過して光学素子成形用型母材11に到達する。ここで、例えば、光学素子成形用型母材11を直径20mmとしたとき、光学素子成形用型母材11上のプラズマ8が直径10mm程度と光学素子成形用型母材11の直径の半分程度となるように調整されている。従って、プラズマ8が到達している間、移動部22の支持台揺動用駆動系を駆動して支持台12を平面方向に二軸揺動させ、プラズマ8が光学素子成形用型母材11の表面全体に均一に到達するように調整する。一方、支持台12に装着された他の光学素子成形用型母材11には、遮蔽板20によってプラズマ8や飛散粒子等の飛来が規制されるので、支持台12に装着したときの表面状態が維持される。
次に、移動部22の支持台回転用のステッピングモータを駆動して、支持台12を軸21回りに回転する。そして、プラズマ8の輸送経路上から処理後の光学素子成形用型母材11を退避させ、支持台12に装着された別の光学素子成形用型母材11をプラズマ8の輸送経路上に移動する。こうして、上述した処置を繰り返して、支持台12に装着された光学素子成形用型母材11を連続的に処理する。支持台12に装着したすべての光学素子成形用型母材11の処理が終了した後、真空チャンバ2を大気開放して支持台12から処理後の光学素子成形用型母材11を取り出す。こうして、図3に示すように、膜体23Aが形成された光学素子成形用型23が製造される。
この表面処理装置1によれば、プラズマ8に含まれるドロップレットや飛散粒子のうち、支持台12の方向に飛散したものをアーク電極7に衝突させて支持台12と異なる方向に反射させることができる。また、遮蔽板20により、遮蔽板20の開口部20Aにプラズマ8を挿通させる一方、真空チャンバ2の壁面に反射してプラズマ8の輸送経路から外れて支持台12の方向に飛散するドロップレット等の飛散粒子は遮蔽板20で再び反射させることができ、飛散粒子が光学素子成形用型母材11に到達するのを好適に規制することができる。
さらに、プラズマ8の輸送経路が不安定になっても、プラズマ8の多くが真空チャンバ2ではなく遮蔽板20に当たるので、真空チャンバ2の汚れを削減することができる。従って、光学素子成形用型母材11の表面におけるドロップレットや飛散粒子によるミクロ的な表面欠陥が好適に抑えられ、高密度、高密着強度、かつ、欠陥の極めて少ない表面を得て高精度かつ確実に処理することができる。
また、蒸着源10に対し遮蔽板20よりも遠位側のプラズマ8の輸送経路から外れた位置に、処理前の光学素子成形用型母材11を配置しても、これらの表面がプラズマ8やドロップレット等の飛散粒子によって汚染されるのを抑えることができる。従って、真空チャンバ2内の真空を維持した状態で、複数の光学素子成形用型母材11の処理を連続的に行うことができる。
また、この結果得られた光学素子成形用型23によれば、ドロップレットや飛散粒子によるミクロ的な表面欠陥が好適に抑えられているので、高精度、高耐久の成形を行うことができる。
次に、第2の実施形態について図4を参照しながら説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係る表面処理装置24が、入れ替え装置25として、真空チャンバ26内の圧力を維持するためのゲートバルブ(調圧部)27Aを介して真空チャンバ26に隣接して配され、処理前の光学素子成形用型母材11を待機させておく第一保管室28と、ゲートバルブ(調圧部)27Bを介して真空チャンバ26に隣接して配され、処理後の光学素子成形用型母材11を保管する第二保管室30とをさらに備えているとした点である。
第一保管室28には、真空チャンバ26内に光学素子成形用型母材11を送り出して支持台12に装着する第一移動機構31と、第一保管室28内を真空排気可能な真空排気装置32とが接続されている。第二保管室30には、支持台12から処理後の光学素子成形用型母材11を受け取って真空チャンバ26から取り出す第二移動機構33と、第一保管室28と同様の真空排気装置32とが接続されている。
次に、本実施形態に係る表面処理装置24の作用について説明する。
まず、第一保管室28内が大気圧の状態でゲートバルブ27Aを閉として、処理前の光学素子成形用型母材11を第一移動機構31に装着する。次に、真空チャンバ26内を真空排気系にて真空引きし、第一保管室28内も、真空排気装置32により略同圧になるまで真空引きする。
続いて、第一移動機構31を駆動し、ゲートバルブ27Aを開として、ゲートバルブ27Aを介して処理前の光学素子成形用型母材11を真空チャンバ26内に送り出して、支持台12に装着する。装着後、第一移動機構31を停止してゲートバルブ27Aを閉とする。その後は、第1の実施形態と同様の処置を行い、同様の作用にて表面処理を行う。
処理終了後、真空チャンバ26を大気開放する代わりに、第二保管室30内を真空排気装置32にて真空チャンバ26内と略同圧になるまで真空引きする。そして、第二移動機構33を駆動し、ゲートバルブ27Bを開として、支持台12から処理後の光学素子成形用型母材11を取外す。その後、第二保管室30内に光学素子成形用型母材11を移動して、ゲートバルブ27Bを閉とし、第二移動機構33を停止する。こうして、処理後の光学素子成形用型母材11が第二保管室30に保管される。取り出す際には、第二保管室30を大気開放する。
この表面処理装置24によれば、第一保管室28、真空チャンバ26、及び第二保管室30の間で光学素子成形用型母材11を移動させるので、真空チャンバ26そのものを大気開放する必要がなく、複数の光学素子成形用型母材11に対して連続的な処理を行うことができる。
次に、第3の実施形態について図5及び図6を参照しながら説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第3の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係る表面処理装置35が、図5に示すように、フィードスルー36を介して支持台12に接続されて光学素子成形用型母材11に負のバイアス電圧を印加するバイアス電源部37を備えているとした点である。
バイアス電源部37は、図示しないコンピュータによってターゲット6とアーク電極7との間にアーク放電が起こったことを検知して光学素子成形用型母材11にバイアス電圧を印加するように制御されている。このバイアス電圧はパルス状とされている。
次に、本実施形態に係る表面処理装置35の作用について説明する。
第1の実施形態と同様の操作によって、ターゲット6とアーク電極7との間にアーク放電を起こさせ、蒸着源10からプラズマ8を発生させる。そして、プラズマ8が発生する度にパルス状のバイアス電圧をバイアス電源部37から印加する。このとき、プラズマイオンが正に帯電しているので、プラズマ8からイリジウムイオンが容易に取り出され、光学素子成形用型母材11内に注入される。
この際、バイアス電圧を漸次変化することによって、イリジウム濃度が漸次変化する傾斜組成とすることができる。こうして、図6に示すように、イリジウムよりなる傾斜層38の上にイリジウム合金よりなる保護膜40が形成された光学素子成形用型41を得る。
この表面処理装置35によれば、負のバイアス電圧を印加することによって、飛散粒子等を含まない清浄なプラズマ8粒子を光学素子成形用型母材11の表面のみならずその内部に注入させることができる。この際、バイアス電源部37からのバイアス電圧がパルス状なので、プラズマ8の粒子をより加速して光学素子成形用型母材11に衝突させて所望の表面処理を行うことができる。
また、この結果得られた光学素子成形用型41によれば、より高精度、高耐久の成形を行うことができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、ターゲット6の形状を棒状としているが、ペレット状、線状、円筒状であっても構わない。また、ターゲットはイリジウムのみならず、金や白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の貴金属類、又は炭素であってもよい。また、アーク電極の形状は円筒状に限らず、楕円形状や多角形状であっても構わない。
さらに、偏向部13が磁石17とL字状ヨーク18とを備えて磁場によりプラズマ8の輸送経路を偏向させるものとしているが、90度以外の角度のヨークや電磁石であっても構わない。また、磁場でなく電場を発生させてこの電磁力によってプラズマの経路を偏向させても構わない。
また、上記第1の実施形態では、支持台12が処理前の光学素子成形用型母材11を装着可能なものとされているが、図7に示すように、処理前の光学素子成形用型母材11が開口部20Aから離間した位置、かつ、蒸着源10に対して遮蔽板20よりも遠位側の位置に複数配され、処理を行う光学素子成形用型母材11のみが支持台45に装着されている表面処理装置46としても構わない。この場合、処理後の光学素子成形用型母材11と処理前の光学素子成形用型母材11とを真空チャンバ内で順次交換可能とすれば、連続的な処理を行うことができる。
また、上記第2の実施形態では、複数の処理前の光学素子成形用型母材11を真空チャンバ26内の支持台12に装着しているが、処理を行う光学素子成形用型母材11のみを支持台に装着させて処理を行ってもよい。
また、上記第3の実施形態において、バイアス電圧の波形等の条件は処理の目的に合わせて自由に設定してもよく、例えば、正電圧と負電圧とを交互に混ぜ合わせた波形や、定常電圧を正の低電圧として引き寄せられるプラズマイオンの速度を低下させてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る表面処理装置を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る表面処理装置の蒸着源を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る表面処理装置により得られる光学素子成形用型を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る表面処理装置を示す概略構成図である。 本発明の第3の実施形態に係る表面処理装置を示す概略構成図である。 本発明の第3の実施形態に係る表面処理装置により得られる光学素子成形用型を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る表面処理装置の変形例を示す概略構成図である。
符号の説明
1,24,35,46 表面処理装置
2,26 真空チャンバ(真空容器)
3 絶縁物
5 トリガー電極
6 ターゲット
7 アーク電極
8 プラズマ
10 蒸着源
11 光学素子成形用型母材(被処理体)
12,45 支持台
13 偏向部
20 遮蔽板
22 移動部(入れ替え装置)
23,41 光学素子成形用型
25 入れ替え装置
27 ゲートバルブ(調圧部)
28 第一保管室
30 第二保管室
37 バイアス電源部

Claims (4)

  1. 絶縁物を介してトリガー電極と接続されたターゲットと、該ターゲットの周囲にアーク放電を誘起させるアーク電極とを有し、前記アーク放電によって生じるターゲットイオンを含むプラズマを前記ターゲットの先端方向に放出する蒸着源と、
    前記ターゲットイオンが到達する被処理体を載置する表面の法線が、前記蒸着源近傍における前記プラズマの放出方向に対して傾いて配された支持台と、
    前記蒸着源から放出された前記プラズマの進行方向が、前記支持台の近傍にて該支持台表面の略法線方向となるように偏向させる偏向部と、
    前記蒸着源と前記支持台との間に配され、前記偏向部によって偏向されたプラズマの輸送経路上のみに開口部が形成された遮蔽板とを真空容器内に備えていることを特徴とする表面処理装置。
  2. 表面処理後の前記被処理体を前記プラズマの輸送経路上から退避させ、前記蒸着源に対し前記遮蔽板よりも遠位側、かつ、前記プラズマの輸送経路から外れた位置に配された表面処理前の前記被処理体を、前記プラズマの輸送経路上に移動する入れ替え装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
  3. 前記入れ替え装置が、
    前記真空容器内の圧力を維持するための調圧部を介して前記真空容器に隣接して配され、処理前の前記被処理体を待機させておく第一保管室と、
    前記真空容器内の圧力を維持するための調圧部を介して前記真空容器に隣接して配され、処理後の前記被処理体を保管する第二保管室とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の表面処理装置。
  4. 前記被処理体にバイアス電圧を付加するバイアス電源部を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の表面処理装置。
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