JP2005264255A - カソーディックアーク成膜方法および成膜装置 - Google Patents

カソーディックアーク成膜方法および成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高品質のカーボン膜を得ること。
【解決手段】 カーボン膜の成膜には、陰極アーク放電によりカーボンターゲットを衝撃してカーボンイオンを含むプラズマビームを生成し、プラズマビームを走査しつつ基板Sへ照射して成膜するカソーディックアーク成膜方法が用いられる。基板Sおよびその仮想延長平面に照射されるプラズマビームは、C字形状磁気コア41〜44により、最大で照射領域B1〜B5(G=1)まで走査され、この走査範囲は、成膜中に変更可能であり、成膜中の少なくとも所定時間帯では、基板Sの径よりも広い範囲をとる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、磁気ヘッドやハードディスクメディアなどの保護膜、金型や工具などの硬質コーティング膜としてカーボン膜を成膜するカソーディックアーク成膜方法およびカソーディックアーク成膜装置に関する。
近年、磁気ヘッドの保護膜や金型、工具などの硬質コーティング膜として、カソーディックアーク法により成膜される緻密で硬いta−C(tetrahedral amorphous carbon)膜が注目されている。ta−C膜は、緻密、高硬度であるから、薄く形成しても防湿性、耐磨耗性に十分な機能を発揮する。しかし、その一方で、高い内部応力を有しているために剥離や亀裂が生じ易いという欠点がある。そこで、プラズマビームを基板に照射して成膜を行う際に、成膜チャンバ内に水素ガスを供給し、ta−C膜を水素化することにより、内部応力の低減を図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−239062号公報(第2頁、図1)
特許文献1に記載されている保護膜は、ta−C膜を水素化することにより、ta−C膜に靭性を付与して内部応力の低減を図っている。しかし、ta−C膜の水素化は、水素ガスを導入するため、膜質の細やかな制御ができないという問題がある。
(1)請求項1のカソーディックアーク成膜方法は、陰極アーク放電によりカーボンターゲットを衝撃してカーボンイオンを含むプラズマビームを生成し、そのプラズマビームを走査しつつ被処理基板へ照射してカーボン膜を成膜する成膜方法であり、プラズマビームの走査範囲を成膜中に変更する工程を有し、成膜中の少なくとも所定時間帯では、プラズマビームの走査範囲を被処理基板の径よりも広い範囲に変更することを特徴とする。
(2)請求項1のカソーディックアーク成膜方法において、プラズマビームの走査範囲を、少なくとも成膜の前期には広い走査範囲とし、成膜の後期には狭い走査範囲に変更することが好ましい。また、プラズマビームの走査範囲は、その最大走査範囲を1、走査を行わない場合を0としてその間を比例配分するスキャンゲインを用いると、スキャンゲインが0.2〜1の範囲をとることが好ましい。
(3)請求項4のカソーディックアーク成膜方法は、請求項1〜3のいずれかのカソーディックアーク成膜方法で被処理基板上にカーボン膜を成膜するカソーディックアーク成膜装置であって、カーボンイオンを含むプラズマビームを走査するためのビーム走査手段と、成膜中、磁界または電界を可変に制御することにより、プラズマビームの走査範囲を変更する走査範囲変更手段とを備えることを特徴とする。
(4)請求項5の金型は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカソーディックアーク成膜方法によりカーボン膜が成膜されていることを特徴とする。
本発明によれば、成膜中にプラズマビームの走査範囲を変更して、成膜速度や膜質を自由に変えることができるので、目的に合った高品質のカーボン膜を成膜することができる。
以下、本発明の実施の形態によるカソーディックアーク成膜装置とこれを用いた成膜方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態によるカソーディックアーク成膜装置の概略構成を示す全体構成図であり、三次元直交座標で方向を表わす。このカソーディックアーク成膜装置は、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法でta−C膜等の成膜を行うFCVA成膜装置である。FCVA成膜装置100は、プラズマ発生部1,プラズマ移送部2,成膜チャンバ3,ビームスキャン装置4および装置全体を制御する制御装置5を備えている。また、FCVA成膜装置100は、プラズマ発生部1、プラズマ移送部2および成膜チャンバ3の内部を真空排気するための真空排気装置31を備えている。
プラズマ発生部1は、ターゲット11が装着される陰極部10と、陰極部10が固定される陽極チャンバ12と、アーク放電のきっかけを作るためのトリガ14とを備えている。ta−C膜を成膜する場合には、ターゲット11の材料としてグラファイトが用いられる。陰極部10は、アーク電源(定電流源)13のマイナス端子に接続されている。陽極チャンバ12およびトリガ14は、アーク電源13のプラス端子に接続され、それぞれ接地されてアース電位となっている。トリガ14は、その先端部にグラファイト製のトリガチップ14aを有し、ステップモータ等の駆動部15により回転軸14b廻りに回転駆動される。トリガ14の回転角度は図示しない角度センサで検出される。
陰極部10と陽極チャンバ12とは、絶縁部材18によって電気的に絶縁されている。陽極チャンバ12の外周には、チャンバ内にアキシャル磁場を形成するための磁気コイル16が設けられており、電源17から磁気コイル16へ励磁電流が供給される。なお、図示していないが、陰極部10には水冷ジャケットのような冷却手段が設けられている。
プラズマ移送部2は、屈曲したトロイダルダクト20とその周囲に設けられた磁気コイル21とを有している。磁気コイル21には、電源17から励磁電流が供給される。プラズマ移送部2と陽極チャンバ12とは絶縁部材23を介して互いに固定されていて、両者は電気的に絶縁されている。
成膜チャンバ3は、基板ステージ30を収納し、真空排気装置31に配管接続されている。基板ステージ31は、成膜対象物である基板Sを保持し、矢印Rで示すようにZ軸廻りに回転できるように構成されている。すなわち、基板S表面は、XY平面に平行であり、その平面内で回転できる。真空排気装置31は、例えば、高速で高真空に排気することができるターボ分子ポンプが用いられる。成膜チャンバ3とプラズマ移送部2とは絶縁部材32を介して互いに固定されていて、両者は電気的に絶縁されている。成膜チャンバ3のビーム導入ダクト部33の周囲には、ビームスキャン装置4が設けられている。
ビームスキャン装置4は、例えば、二対のC字形状磁気コアから成る。一方の磁気コア43,44の磁極は、ビーム導入ダクト部33を挟んで図示上下に配設され、他方の磁気コア(不図示)の磁極は、ビーム導入ダクト部33を挟んで紙面に直交する方向に配設される。ビームスキャン装置4の磁気コアにはソレノイドコイル(不図示)が巻き付けられており、そのソレノイドコイルには電源40により励磁電流が供給される。
図2は、トロイダルダクト20の形状の一例を示す図であり、(a)はダクト上方から見た平面図、(b)は正面図である。トロイダルダクト20は、3つの直管部201,203,205と、それらを繋ぐ2つの屈曲部202,204とを有している。直管部201および205の開口部にはフランジ206,207がそれぞれ設けられている。直管部201の軸方向と直管部205の軸方向とは互いに90度の角度を成しており、直管部201はY軸に沿って配設され、直管部205はZ軸に沿って配設されている。
次に、図1のFCVA成膜装置100を参照しながら、ta−C膜の成膜について説明する。アーク放電を生じさせる際には、陽極チャンバ12内の破線で示す位置に退避していたトリガ14を駆動部15により回転駆動してターゲット11側に倒す。陰極部10と陽極チャンバ12との電位差は、アーク電源13により数10〜数100ボルトに設定されており、トリガ14の先端に設けられたトリガチップ14aをターゲット11の表面に接触させるとアーク放電が発生する。
アーク放電が発生するとプラズマが生成され、このプラズマにはターゲット11から放出されたターゲットイオン(正イオン)が含まれている。ターゲット11がグラファイト製であるので、アーク放電によりカーボンイオンを含むプラズマが生成される。このとき、グラファイト製ターゲット11からはカーボンイオンの他にマクロパーティクルと呼ばれる多数のカーボン原子から成るクラスターが放出される。
制御装置5は、アーク電源13の状態を常時モニタし、アーク放電の発生を検出したときに駆動部15へ指令を送り、ターゲット11の表面からトリガ14を引き上げる。このとき、アーク放電発生時のトリガ14の角度位置が上述した角度センサにより検出され、検出された角度位置は、制御装置5に設けられた記憶部(不図示)に記憶される。アーク放電発生後、放電状態は時間が経過するにつれて弱まってくるので、再びトリガ14を記憶された位置まで駆動部15により移動させて、安定したアーク放電が維持されるように制御する。
陽極チャンバ12内には上述したように磁気コイル16によるアキシャル磁場が形成されており、アーク放電により生成されたカーボンイオンや電子を含むプラズマは、このアキシャル磁場により集束されてビーム状となるとともに、プラズマ移送部2のトロイダルダクト20へ導かれる。プラズマ移送部2においても、トロイダルダクト20の周囲に設けられた磁気コイル21によりトロイダルダクト20の軸に沿ったアキシャル磁場が形成されており、プラズマビームBは、この磁場に沿って成膜チャンバ3へ移送される。
プラズマビームBには、カーボンイオンや中性のカーボンパーティクル等が含まれている。プラズマビームBのプラズマ密度は、プラズマビームBの断面中心から周辺へと低くなっており、図1の符号Bで示した領域は、所定密度以上の範囲を表している。
プラズマビームBがトロイダルダクト20の屈曲部202,204(図2参照)で曲げられた際に、電気的に中性のカーボンパーティクルは、そのまま直進してトロイダルダクト20の内壁にトラップされる。このように、プラズマビームBの移送経路を曲線的にすることにより、カーボンパーティクルをプラズマビームBから除去することができる。つまり、プラズマ移送部2は、膜質低下の原因となるカーボンパーティクルをプラズマビームBから除去し、成膜に必要なカーボンイオンのみを成膜チャンバ3へ通過させるフィルタとして機能している。
成膜チャンバ3に導かれたプラズマビームBは、基板ステージ30に装着された基板Sに照射される。基板S上の照射面では、プラズマビームB中のカーボンイオンが堆積して薄膜となる。この成膜中に、プラズマビームBは、ビームスキャン装置4によりビーム軸と直交方向に偏向走査される。この走査により、ビーム径が基板Sの被処理面積より小さくとも、被処理面の全域に均一にプラズマビームBを照射することができる。
以下、図3,4を参照しながら、ビームスキャン装置4によるプラズマビームBの偏向走査について説明する。図3は、図1の部分拡大図であり、プラズマビームBの偏向走査状態を示す図である。図4は、図1のI−I線に沿ってプラズマビームBの照射方向(Z方向)を見た図である。
図3には、ビーム導入ダクト部33まで移送されたプラズマビームBが、ビームスキャン装置4のY方向に配設された一対のC字形状磁気コア43,44によりY方向に走査される様子が示されている。Y方向に走査するためには、磁気コア43,44のそれぞれのソレノイドコイルに流す電流の大きさと向きを所定の周期で変化させる。電流変化を大きくすれば、プラズマビームBの偏向角度がθ1と大きくなり、電流変化を小さくすれば、プラズマビームBの偏向角度がθ2と小さくなる。
図4に示されるように、本実施の形態によるFCVA成膜装置100では、X方向にも一対のC字形状磁気コア41,42が配設されており、これら二対のC字形状磁気コア41〜44のソレノイドコイルに流す電流の大きさと向きをそれぞれ時間をずらせて変えることにより、XY面上のすべての方向にプラズマビームBを偏向走査することができる。この時間的な電流変化は、制御装置5により制御される。なお、プラズマビームBの偏向走査方向が一次元であっても、基板ステージ30をZ軸周りに回転させることにより、基板S上でプラズマビームBの照射領域が基板Sの全面をカバーするようにできるので、基板Sの全面に均一厚さのta−C膜を成膜することができる。
今、基板Sの中心OがZ軸上にあり、プラズマビームBを偏向走査していない状態での照射領域(図中,B1)の中心もZ軸上にあるとする。B1〜B5は、基板Sの表面上またはその仮想延長平面上におけるプラズマビームBの照射領域を示す。
照射領域B1を中央としてXY面上の所定方向にプラズマビームBを振る往復運動(ビームスキャン)について説明する。本実施の形態では、装置で決まるプラズマビームBの最大振り幅を基準とするスキャンゲインGという概念を用いる。最大振り幅(図中、照射領域B5)のとき、スキャンゲインG=1であり、偏向走査していない(図中、照射領域B1)とき、G=0であると定義する。スキャンゲインGは、0〜1までの値をとり、0〜1の間は、基板Sの表面上またはその仮想延長平面上において比例配分された中心Oからの距離で表す。なお、中心Oからの距離と偏向角度とは、平面と曲面の違いに基づく僅かな誤差があるが、スキャンゲインGを偏向角度により表示することも可能である。
ところで、プラズマビームB中には正の荷電粒子であるカーボンイオンが含まれており、カーボンイオンは電子に比べてはるかに重いので、ビームのスキャン速度を制御することは非常に難しく、スキャン速度としては適正な値が用いられる。スキャンゲインGに依らずスキャン速度を一定とすると、スキャンゲインG(振り幅)が大きい程スキャン周期は長くなり、スキャンゲインGが小さい程スキャン周期は短くなる。また、プラズマ密度(プラズマ中のカーボンイオン密度)もスキャンゲインGに依らず一定であるから、一般に、ta−C膜の膜厚は、基板Sに対するプラズマビームBの照射時間に比例する。
図5は、スキャン周期を説明するためのグラフである。縦軸にプラズマビームBの中心Oからの位置、横軸に時間をとると、基本的なスキャン周期としては、サインカーブで表わされるTおよびT´の2つの場合がある。図4を用いて説明すると、スキャン周期Tは、プラズマビームBが照射領域B1から走査を開始し、一端の照射領域B5で折り返した後に照射領域B1へ戻り、さらに他端の照射領域B5で折り返し、再び照射領域B1へ戻るまでの往復時間である。スキャン周期T´は、プラズマビームBが照射領域B1から走査を開始し、一端の照射領域B5で折り返し、照射領域B1へ戻るまでの往復時間である。従って、スキャン周期Tは、T´の2倍となっている。
図6は、スキャンゲインGが異なる2つの場合について、プラズマビームBの基板Sへの照射量(イオン密度×照射時間)を比較するグラフである。縦軸にイオン密度、横軸に時間をとり、スキャン周期は、上記のTを選ぶ。図6(a)にはスキャンゲインG=1の場合、図6(b)にはG=0.5の場合を示すが、この例では、スキャン周期Tは、T1=2×T2となる。基板Sの径がG=0.5の振り幅に等しいとすると、プラズマビームBの基板Sへの照射時間は、斜線部分で表わされる。図6(b)では、プラズマビームBが常に基板Sを照射するが、図6(a)では、スキャン周期T1のある時間帯(図中、白抜き部分)で、プラズマビームBは基板Sを照射していない。つまり、この時間帯では、プラズマビームBは基板Sの外側を照射しており、成膜に関与していない。従って、図6(a)では、図6(b)に比べて平均成膜速度は1/2となる。もちろん、基板Sの径が変われば、基板Sを照射する時間帯の長さも変わるが、同様に説明することができる。
図7は、スキャンゲインGと成膜速度の関係、および、スキャンゲインGと膜の内部応力の関係を実測値で示すグラフである。左縦軸で示される成膜速度は、スキャンゲインGにほぼ反比例する。また、右縦軸で示される膜の内部応力は、スキャンゲインGの増加につれて減少する。このことから、膜の内部応力を低下させるには、スキャンゲインGを大きくし、成膜速度を大きくするには、スキャンゲインGを小さくすればよいことが分かる。
上記の知見を踏まえると、成膜の前期では、スキャンゲインGを大きくして膜の内部応力を低下させ、成膜の後期では、スキャンゲインGを小さくして成膜速度を高めることが品質上も生産上も適切である。なお、スキャンゲインGを小さくした場合は、膜の内部応力が増加するとともに膜の硬さも増加するので、膜の表面層を形成するときに用いると、膜全体として耐磨耗性の向上に寄与する。
図8は、本実施の形態による成膜方法の一例を示すチャート図である。縦軸にスキャンゲインG、横軸に成膜時間tをとり、成膜の前期(時間t1)では、スキャンゲインG=0.8とし、成膜の後期(時間t2)では、G=0.3とする。全成膜時間は、t1+t2である。このような成膜方法を用いると、上述したように、膜の下層では内部応力が小さいので、基板Sからの剥離や亀裂が発生し難く、膜の表面層では高硬度となるので、防湿性や耐磨耗性に富むta−C膜を成膜することができる。成膜中のスキャンゲインGの変更は、図中、破線Aで示すように連続的に行ってもよい。なお、スキャンゲインGは、0.2〜1の範囲をとるのが実用的である。
図9は、本実施の形態による成膜方法でta−C膜を成膜した金型の部分断面図である。金型6の母材7は、合金工具鋼であり、その被処理面を研削、研磨後に、ta−C膜8を0.2μmの厚さで形成する。ta−C膜8の成膜の前期は、スキャンゲインG=0.8とし、成膜の後期は、G=0.3とする。これにより、剥離や亀裂が発生し難く、高硬度で耐磨耗性に富むta−C膜を成膜することができるので、金型寿命が長くなる。
以上説明したように、本実施の形態の成膜方法によれば、成膜中にプラズマビームBの走査範囲を変更して、成膜速度や膜質を変えることができるので、膜の内部応力や硬さを自由に調整して高品質のカーボン膜を得ることができる。また、成膜中に電気的な制御を行うので、膜厚方向に連続的に膜質を変えることができる。特に、走査範囲を広い範囲から狭い範囲に変えることにより、内部応力が低減し、且つ表面が硬いta−C膜を成膜することができる。また、前述した従来技術では、水素ガスを成膜チャンバ3内に導入するが、本実施の形態ではその必要はない。さらに、本実施の形態では、プラズマビームBの走査範囲の設定値のみ、つまりビームの軌跡のみを変更すればよいので、特別の装置、回路などを追加する必要もない。
本実施の形態の変形例を述べる。本実施の形態では、プラズマビームBを一次元走査するものとして説明したが、二次元走査、例えば、渦巻状の軌跡をもつように走査してもよい。また、成膜中のプラズマビームBの走査範囲の変更については、広い範囲から狭い範囲に変えるだけではなく、狭い範囲から広い範囲に変えてもよいし、これらの変更動作を交互に行ってもよい。本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
本発明の実施の形態に係るFCVA成膜装置100の概略構成を示す全体構成図である。 本発明の実施の形態に係るFCVA成膜装置100のトロイダルダクト20の形状の一例を示す図であり、(a)はダクト上方から見た平面図、(b)は正面図である。 図1の部分拡大図であり、プラズマビームBの偏向走査状態を示す。 図1のI−I線に沿ってプラズマビームBの照射方向(Z方向)を見た図である。 本発明の実施の形態に係るカソーディックアーク成膜方法において、スキャン周期を説明するためのグラフである。 本発明の実施の形態に係るカソーディックアーク成膜方法において、スキャンゲインGが異なる2つの場合について、プラズマビームBの基板Sへの照射量を比較するグラフである。 本発明の実施の形態に係るカソーディックアーク成膜方法において、スキャンゲインGと成膜速度の関係、および、スキャンゲインGと膜の内部応力の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るカソーディックアーク成膜方法の一例を示すチャート図である。 本発明の実施の形態に係るカソーディックアーク成膜方法によりta−C膜を成膜した金型の部分断面図である。
符号の説明
1:プラズマ発生部
2:プラズマ移送部
3:成膜チャンバ
4:ビームスキャン装置
5:制御装置
6:金型
8:ta−C膜
20:トロイダルダクト
30:基板ステージ
40:電源
41〜44:C字形状磁気コア
100:FCVA成膜装置
B:プラズマビーム
B1〜B5:照射領域
G:スキャンゲイン
S:基板

Claims (5)

  1. 陰極アーク放電によりカーボンターゲットを衝撃してカーボンイオンを含むプラズマビームを生成し、そのプラズマビームを走査しつつ被処理基板へ照射してカーボン膜を成膜するカソーディックアーク成膜方法において、
    前記プラズマビームの走査範囲を成膜中に変更する工程を有し、
    前記成膜中の少なくとも所定時間帯では、前記プラズマビームの走査範囲を前記被処理基板の径よりも広い範囲に変更することを特徴とするカソーディックアーク成膜方法。
  2. 請求項1に記載のカソーディックアーク成膜方法において、
    前記プラズマビームの走査範囲を、少なくとも前記成膜の前期には広い走査範囲とし、前記成膜の後期には狭い走査範囲に変更することを特徴とするカソーディックアーク成膜方法。
  3. 請求項1または2に記載のカソーディックアーク成膜方法において、
    前記プラズマビームの走査範囲は、その最大走査範囲を1、走査を行わない場合を0としてその間を比例配分するスキャンゲインを用いると、前記スキャンゲインが0.2〜1の範囲であることを特徴とするカソーディックアーク成膜方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のカソーディックアーク成膜方法で被処理基板上にカーボン膜を成膜するカソーディックアーク成膜装置であって、
    カーボンイオンを含むプラズマビームを走査するためのビーム走査手段と、
    前記成膜中、磁界または電界を可変に制御することにより、前記プラズマビームの走査範囲を変更する走査範囲変更手段とを備えることを特徴とするカソーディックアーク成膜装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のカソーディックアーク成膜方法によりカーボン膜が成膜された金型。
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