JP4019464B2 - アーク式蒸発源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば工具や金型等の基体の表面に陰極物質を被着して、当該陰極物質から成る、または当該陰極物質の窒化物、酸化物等から成る薄膜を形成する薄膜形成装置(これはアーク式イオンプレーティング装置とも呼ばれる)等に用いられるものであって、アーク放電によって陰極を溶解させて陰極物質を蒸発させるアーク式蒸発源に関する。
【0002】
【従来の技術】
アーク式蒸発源で蒸発させる陰極物質には、陰極近傍に生じるアークプラズマによってイオン化された陰極物質イオンがかなりの割合で含まれており、この陰極物質イオンを電界によって基体に引き込んで基体表面に薄膜を形成するアーク式イオンプレーティング法またはアーク式イオンプレーティング装置は、薄膜の密着性が良い、成膜速度が大きい等の利点を有しており、工具や金型等の表面に金属膜やセラミックス膜を被覆する手段として広く用いられている。膜の密着性が良いのは、陰極物質中に含まれている陰極物質イオンを、負バイアス電圧等による電界によって基体に引き込んで衝突させることができるからである。成膜速度が大きいのは、アーク放電を利用して陰極を溶解させるからである。
【0003】
しかし、上記陰極から発生する陰極物質には、ドロップレットと呼ばれる粗大粒子が含まれており、これが基体表面に形成される薄膜に入射付着すると、当該薄膜の平滑性を損ねて工具等の寿命を短くしたり、薄膜の外観を損ねたりする。
【0004】
このようなドロップレットを低減するために、陰極の前方付近に磁界を形成するアーク式蒸発源が既に提案されている。その一例を図10に示す。
【0005】
このアーク式蒸発源2は、特開平5−171427号公報に開示されているものであり、陰極(カソード)4と図示しない陽極(アノード)との間でアーク放電を生じさせて、このアーク放電によって陰極4を溶解させて陰極物質6を蒸発させる。陰極4は例えば金属から成る。この陰極4の陰極物質6を蒸発させる面が蒸発面5である。この蒸発面5の前方(即ち陰極物質6の蒸発方向。以下同じ)付近にはアーク放電によるプラズマ(即ちアークプラズマ)が生成され、上記陰極物質6には、このプラズマによってイオン化された陰極物質イオンがかなりの割合で含まれている。
【0006】
この陰極4の前方に基体18を配置しておくことにより、上記陰極物質6をこの基体18に入射堆積させて薄膜を形成することができる。その際に、例えば基体18に負のバイアス電圧を印加しておくことにより、陰極物質6に含まれている陰極物質イオンを、この負バイアス電圧によって基体18に向けて加速して基体18に衝突させることができる。また、基体18の周りに陰極物質6と反応する反応性ガス(例えば窒素、酸素、炭化水素等)を導入しておけば、陰極物質6とこの反応性ガスとが反応して、基体18の表面に化合物(セラミックス)薄膜を形成することができる。
【0007】
更にこのアーク式蒸発源2は、陰極4の前方付近に円筒状の磁気コイル8を設け、その内部に2段のリング状のコア16を設け、これらによって磁気コイル8の中心部付近に、即ち陰極4の前方付近に、磁力線12の集束領域14を形成するようにしている。この集束領域14での磁界の強さは、例えば890Oe(エルステッド)ないし1450Oeとかなり強く、その強い磁界によって当該集束領域14にプラズマの集中が起こり、ドロップレットがこのプラズマ中でリサイクル(分解・再利用)されることにより、陰極物質6に含まれるドロップレットが低減される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記アーク式蒸発源2においては、陰極4の前方に磁力線12の集束領域14が形成されていてプラズマが当該集束領域14に集束されるために、当該プラズマ中に含まれる陰極物質イオンも集束を受けて比較的鋭い指向性を持ち、基体18の設置位置では、陰極4の前方の小さい円形領域に成膜領域が限定されるという課題がある。その結果、膜厚均一性の高い成膜領域が狭く、従って例えば大量生産を目的とする成膜においては、基体18を設置できる領域が限られてしまい、生産性が向上しない。また、基体18が大型の場合は、基体18中の部位によって膜厚に大きな不均一が生じる。
【0009】
そこでこの発明は、陰極から飛散するドロップレットを低減することができ、しかも膜厚均一性の高い成膜領域が広いアーク式蒸発源を提供することを主たる目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のアーク式蒸発源は、前記陰極の陰極物質を蒸発させる蒸発面を取り囲むように、当該蒸発面を含む領域に磁界を形成するものであって蒸発面の前方に向けて徐々に直径を増していて円錐台状をしている磁界形成手段を設けており、かつこの磁界形成手段は、前記陰極の蒸発面を仮想的に広げた平面に当該磁界形成手段の一部が重なるように配置されており、しかもこの磁界形成手段は、前記陰極の蒸発面での強さが700エルステッド以上の磁界を形成するものであることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、磁界形成手段が円錐台状をしているので、当該磁界形成手段によって発生する磁力線は、磁界形成手段の内部で、集束することなく、陰極の蒸発面の前方に(即ち陰極物質の蒸発方向に)向かって発散するものとなる。陰極の蒸発面からアーク放電によって放出された電子は、上記磁界に捕捉され上記磁力線に沿って移動するが、それに伴って、陰極物質中に含まれている陰極物質イオンも当該磁力線に沿って発散する。その結果、陰極物質イオンの放射領域は従来技術に比べて広くなり、従って膜厚均一性の高い成膜領域も広くなる。
【0012】
しかも、磁界形成手段によって、陰極の蒸発面での磁界の強さが700Oe以上の磁界を形成するので、このかなり強い磁界によって、蒸発面から飛び出した電子を当該蒸発面の前方付近に強力に捕捉して、蒸発面の前方付近に高密度のプラズマを生成することができる。この高密度のプラズマによって、陰極から蒸発する陰極物質に含まれるドロップレットを効率良く分解することができるので、陰極から飛散するドロップレットを低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係るアーク式蒸発源の一例を示す図である。図10の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0014】
このアーク式蒸発源2aは、前述したような陰極4の蒸発面5を取り囲むように、即ち蒸発面5を仮想的に広げた平面25に磁気コイル8aの一部が重なるように、磁界形成手段の一例として、磁気コイル8aを設けている。この磁気コイル8aは、蒸発面5を含む領域に、より具体的には少なくとも当該蒸発面5からその前方にかけての領域に磁界を形成するものであり、しかも、蒸発面5の前方に(即ち蒸発面5から蒸発する陰極物質6の進行方向に)向けて徐々に直径を増していて円錐台状をしている。この磁気コイル8aは、この例では、非磁性体から成る枠体20内に、コイルを、その巻き半径を蒸発面5の前方に進むにつれて少しずつ大きくしながら巻いたものである。この磁気コイル8aは、コイル電源10によって励磁されて上記磁界を形成する。図中に、この磁気コイル8aが作る磁力線12の例を模式的に示す。
【0015】
陰極4は、この例では、非磁性体から成る陰極ホルダ24に取り付けられている。陰極4には、陰極ホルダ24を介して、図示しない直流のアーク電源(図9のアーク電源48参照)から負電圧が印加されるので、この陰極ホルダ24と枠体20との間は、絶縁物22によって電気的に絶縁されている。なお、陰極4の形状は、特定のものに限定されるものではなく、図示例のような円錐台状の場合もあるし、それ以外の形状、例えば直方体状、立方体状、板状等の場合もある。
【0016】
しかもこの磁気コイル8aは、陰極4の蒸発面5での強さが700Oe(エルステッド)以上の磁界を形成する。その場合、この例では、上記のように蒸発面5を仮想的に広げた平面25に磁気コイル8aの一部が重なる位置としているので、磁気コイル8a内の磁界が強い領域に蒸発面5が位置することになり、従って蒸発面5に上記強さの磁界を形成するのが容易になる。
【0017】
磁気コイル8aは円錐台状をしているので、この磁気コイル8aによって発生する磁力線12は、磁気コイル8aの内部で、集束することなく、陰極4の蒸発面5の前方に向かって、即ち蒸発面5から蒸発する陰極物質6の蒸発(進行)方向に向かって、外に発散するものとなる。図2に、図1に示したのと同様の円錐台状の磁気コイル8a周りの磁界の解析結果の一例を示す。矢印が、磁気コイル8aによって作られる磁界のベクトルを示しており、この磁界ベクトルの向きと磁力線の方向とは同じであり、この図からも、上記磁気コイル8aによって作られる磁力線が蒸発面5の前方に向かって発散することが分かる。
【0018】
陰極4の蒸発面5からアーク放電によって放出された電子は、上記磁界に捕捉され上記磁力線12に沿って(巻き付いて)移動するが、それに伴って、蒸発面5から蒸発する陰極物質6中に含まれている陰極物質イオンも、発散している磁力線12に沿って発散する。その結果、陰極物質イオンの放射領域は従来技術に比べて広くなり、従って膜厚均一性の高い成膜領域も広くなる。
【0019】
例えば、図3を参照して、Tiから成る陰極4を用い、陰極4の蒸発面5から距離Z=20cm離れた所の基体18にTi膜の成膜を行い、その蒸発面5の中心軸26上(即ち当該中心軸26からの距離L=0mm)での成膜速度を100%とした場合の、各距離Lの位置における成膜速度比の分布を測定した結果を図4に示す。この図4中の実施例は上記アーク式蒸発源2aによるものであり、比較例は図10に示した従来のアーク式蒸発源2によるものである。
【0020】
この図4から分かるように、実施例の場合は、比較例に比べて、成膜速度分布の均一性が広い領域において非常に高い。これは換言すれば、実施例の方が、膜厚均一性の高い成膜領域が遙かに広いということである。その結果、このアーク式蒸発源2aによれば、一度に大量の基体18に膜厚均一性良く成膜することが可能になるので、あるいは大型の基体18に膜厚均一性良く成膜することが可能になるので、成膜の生産性が向上する。
【0021】
しかも、このアーク式蒸発源2aでは、磁気コイル8aによって、陰極4の蒸発面5での磁界の強さが700Oe以上の磁界を形成するので、このかなり強い磁界によって、蒸発面5から飛び出した電子を当該蒸発面5の前方付近に強力に捕捉して、蒸発面5の前方付近に高密度のプラズマ(アークプラズマ)を生成することができる。この高密度のプラズマによって、陰極4から蒸発する陰極物質6に含まれるドロップレットを効率良く分解することができるので、陰極から飛散するドロップレットを、ひいては基体18に到達するドロップレットを低減することができる。その結果、基体18の表面に形成される薄膜の平滑性を高める(即ち面粗度を良好にする)ことができるので、当該薄膜を被覆した工具や金型等の寿命を長くすることができる。また、当該薄膜の外観を、ひいては当該薄膜を被覆した製品の外観を良好なものにすることができる。従って、従来は面粗度が悪くて適用できなかった分野での成膜にもこのアーク式蒸発源2aを適用することが可能になる。
【0022】
例えば、図3に示したように、陰極4の蒸発面5から距離Z=20cm離れた所の基体18にTi膜の成膜を行い、その蒸発面5の中心軸24上(即ち当該中心軸24からの距離L=0cmの位置)における基体表面のドロップレットを測定したところ、図5に示すように、蒸発面5での磁界の強さを700Oe以上にすることによって、基体表面に付着するドロップレット数を著しく低減できることが確かめられた。
【0023】
なお、磁気コイル8aは、例えば図6に示す例のように、直径の異なる複数のリング状のコイルを、蒸発面5の前方側のものほど直径が大きくなるように配置し、全体として概ね円錐台状になるようにしても良い。各リング状のコイルは互いに直列接続している。このような磁気コイル8aによっても、前記と同様の磁力線12を発生させることができる。
【0024】
また、磁界形成手段としては、上記のような磁気コイル8aおよびコイル電源10の代わりに、例えば図7に示す例のように、陰極4の蒸発面5の前方に向けて徐々に直径を増していて円錐台状または概ね円錐台状をしている永久磁石28を用いても良い。この永久磁石28によっても、前記とほぼ同様の磁力線12を発生させることができる。
【0025】
更に、例えば図8に示す例のように、磁気コイル8aの後方部付近に、陰極4の後方部付近の周りを囲むように、例えば板状で環状の強磁性体30を設けても良く(この例ではこの強磁性体30が陰極ホルダを兼ねている)、そのようにすれば、磁力線12がこの強磁性体30中を通るようになるので、磁力線12の経路の磁気抵抗が下がり蒸発面5での磁界を強めることがより容易になると共に、他への漏れ磁束も減少する。磁気コイルの代わりに永久磁石を用いる場合も同様である。
【0026】
また、上記いずれのアーク式蒸発源2aにおいても、磁力線12の向きは、図示例と逆でも良い。そのようにしても、単に、磁力線12に巻き付く電子の旋回方向等が逆向きになるだけであり、その他の作用は前記と同様である。
【0027】
また、陰極4の材料は、特定のものに限定されるものではなく、前述したTi以外の材料、例えばZr、Hf、TiAl、Al、Cu、Cr、Mo、W、Ta、V、C等でも良い。例えば、Crを陰極4に用いることによって、ドロップレット数の少ないCr膜またはCrN膜を形成することができる。
【0028】
【実施例】
図9に示すアーク式イオンプレーティング装置を用いて、複数本のステンレス製のシャフト(直径10mm、長さ100mm)を基体18として、それらの表面にTiN膜を形成した。
【0029】
この装置は、真空排気装置34によって真空排気される真空容器32を有しており、その中に、図示しない駆動装置によって例えば矢印B方向に回転させられるホルダ40が設けられている。42は、電気絶縁機能を有する軸受部である。このホルダ40に、複数本の上記基体18を保持する。ホルダ40および基体18には、直流のバイアス電源44から負のバイアス電圧が印加される。真空容器32内には、ガス導入口36から次のようなガス38が導入される。
【0030】
この真空容器32の壁面に、絶縁物46を介して、かつホルダ40上の基体18に向けて、図1に示したのと同様のアーク式蒸発源2aを1台取り付けている。陰極4は、この例ではTiから成る。この例では、真空容器32が陽極(アノード)を兼ねており、陰極4と真空容器32との間に直流のアーク電源48からアーク放電電圧が印加され、陰極4と真空容器32との間にアーク放電が生じる。磁気コイル8aは、この例では巻数が320回であり、発熱による抵抗値増加を防ぐために水冷としている。
【0031】
成膜に際しては、この実施例では、成膜工程に先立ってボンバード工程を行った。
【0032】
ボンバード工程では、ホルダ40に上記基体18を保持して、まず真空排気装置34によって真空容器32内を5×10-5Torr程度以下の圧力まで排気した後、ガス導入口36からガス38としてArガスを約50sccm導入し、真空容器32内の圧力を3mTorr程度に保持する。基体18にはバイアス電源44から−1000Vのバイアス電圧を印加する。アーク式蒸発源2aの磁気コイル8aにコイル電源10から75Aの電流を流すと、陰極4の蒸発面5には約2300Oeの磁界が形成される。その状態で、陰極4にアーク電源48からアーク放電電圧を印加しておき、図示しないトリガを陰極4の側面に短時間接触させると、それが種となって陰極4と真空容器32との間にアーク放電が発生して持続し、陰極4の前方付近にはアークプラズマが生成される。このときのアーク電流は60Aとする。このアーク放電によって、陰極4が溶解してその蒸発面5から陰極物質6が蒸発し、その一部がアークプラズマによってイオン化され、このイオン化した陰極物質イオンが負バイアス電圧によって基体18に向けて加速されて基体18に衝突する。その状態を約3分間保持すると、陰極物質イオンの衝突によって、各基体18が約380℃まで加熱されると共に、各基体18がスパッタされてその表面が清浄化される。
【0033】
上記ボンバード工程に続いて、成膜工程に入る。即ち、この実施例の場合は、ガス38を窒素ガスに切り換え、それを約100sccm導入し、真空容器32内の圧力を20mTorr程度に保持する。かつ、基体18に印加するバイアス電圧を−200Vにし、陰極4に流すアーク電流を80Aにする。その状態を約10分間保持すると、各基体18の側面に約3μm厚のTiN膜が形成される。
【0034】
上記のようにして成膜されたステンレスシャフトの軸方向におけるTiN膜の膜厚のばらつきを表1中に実施例として示す。また、上記のようなアーク式蒸発源2aの代わりに、図10に示した従来のアーク式蒸発源2を用いて同様にして成膜した場合の膜厚のばらつきを表1中に比較例として示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004019464
【0036】
この表に示すように、この発明に係るアーク式蒸発源2aを用いた実施例の方が、従来のアーク式蒸発源2を用いた比較例に比べて、膜厚ばらつきが小さく膜厚の均一性が非常に高い。ちなみに、基体表面でのドロップレットについては、実施例および比較例の両方共に良好であった。
【0037】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、磁界形成手段が円錐台状をしていて、当該磁界形成手段によって発生する磁力線は、磁界形成手段の内部で、集束することなく、陰極の蒸発面の前方に向かって発散するので、陰極物質中に含まれている陰極物質イオンも当該磁力線に沿って発散するようになり、陰極物質イオンの放射領域は広くなる。その結果、膜厚均一性の高い成膜領域も広くなる。
【0038】
しかも、磁界形成手段によって、陰極の蒸発面での磁界の強さが700Oe以上の磁界を形成するので、蒸発面の前方付近に高密度のプラズマを生成して、この高密度のプラズマによって陰極物質に含まれるドロップレットを効率良く分解することができる。その結果、陰極から飛散するドロップレットを低減することができる。
かつこの磁界形成手段は、陰極の蒸発面を仮想的に広げた平面に当該磁界形成手段の一部が重なるように配置されているので、磁界形成手段内の磁界が強い領域に蒸発面が位置することになり、従って、蒸発面の前方に向かって発散する磁力線を発生させる場合でも、蒸発面に上記強さの磁界を形成するのが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るアーク式蒸発源の一例を示す図である。
【図2】図1に示したのと同様の円錐台状の磁気コイル周りの磁界の解析結果の一例を示す図である。
【図3】陰極の蒸発面と基体との位置関係を示す図である。
【図4】陰極の蒸発面から一定の距離Z離れた基体表面における成膜速度分布の例を示す図である。
【図5】陰極の蒸発面での磁界の強さを変えた場合の基体表面でのドロップレット数の変化の例を示す図である。
【図6】この発明に係るアーク式蒸発源の他の例を示す図である。
【図7】この発明に係るアーク式蒸発源の他の例を示す図である。
【図8】この発明に係るアーク式蒸発源の他の例を示す図である。
【図9】図1と同様のアーク式蒸発源を備えるアーク式イオンプレーティング装置の一例を示す図である。
【図10】従来のアーク式蒸発源の一例を示す図である。
【符号の説明】
2a アーク式蒸発源
4 陰極
5 蒸発面
6 陰極物質
8a 磁気コイル
10 コイル電源
12 磁力線
28 永久磁石

Claims (1)

  1. アーク放電によって陰極を溶解させて陰極物質を蒸発させるアーク式蒸発源において、前記陰極の陰極物質を蒸発させる蒸発面を取り囲むように、当該蒸発面を含む領域に磁界を形成するものであって蒸発面の前方に向けて徐々に直径を増していて円錐台状をしている磁界形成手段を設けており、かつこの磁界形成手段は、前記陰極の蒸発面を仮想的に広げた平面に当該磁界形成手段の一部が重なるように配置されており、しかもこの磁界形成手段は、前記陰極の蒸発面での強さが700エルステッド以上の磁界を形成するものであることを特徴とするアーク式蒸発源。
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