JP2007197840A - イオン化スパッタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 イオン化スパッタによって高アスペクト比のホールに対してボトムカバレッジ率の良い成膜を行うとともに、スパッタチャンバー内外の構成を簡略化する。
【解決手段】 排気系11を備えたスパッタチャンバー1内に設けられたターゲット2をスパッタ電源3によってスパッタし、放出されたスパッタ粒子を基板50に到達させて成膜する。スパッタ電源3は5W/cm 以上の電力をターゲット2に投入し、この電力のみで形成されたプラズマP中でスパッタ粒子がイオン化する。ターゲット2と基板ホルダー5との間には円筒状のシールド6が設けられてプラズマ形成空間を規制し、電界設定手段8がイオン化したスパッタ粒子をプラズマP中から引き出して基板50に入射させるための電界を設定する。
【選択図】 図1

Description

本願の発明は、各種半導体デバイス等の製作に使用されるスパッタ装置に関し、特に、スパッタ粒子をイオン化して成膜に利用するイオン化スパッタ装置に関するものである。
各種メモリやロジック等の半導体デバイスでは、各種配線膜の作成や異種層の相互拡散を防止するバリア膜の作成等の際にスパッタプロセスを用いており、スパッタ装置が多用されている。このようなスパッタ装置に要求される特性は色々あるが、基板に形成されたホールの内面にカバレッジ性よく被覆できることが、最近強く求められている。
具体的に説明すると、例えばDRAMで多用されているCMOS−FET(電界効果トランジスタ)では、拡散層の上に設けたコンタクトホールの内面にバリア膜を設けてコンタクト配線層と拡散層とのクロスコンタミネーションを防止する構造が採用される。また、各モメリセルの配線を行う多層配線構造では、下層配線と上層配線とをつなぐため、層間絶縁膜にスルーホールを設けこのスルーホール内を層間配線で埋め込むことが行われるが、この際にも、スルーホール内にバリア膜を作成して、クロスコンタミネーションを防止した構造が採られる。
このようなホールは、集積度の増加を背景として、そのアスペクト比(ホールの開口の直径又は幅に対するホールの深さの比)が年々高くなってきている。例えば、64メガビットDRAMでは、アスペクト比は4程度であるが、256メガビットでは、アスペクト比は5〜6程度になる。
バリア膜の場合、ホールの周囲の面への堆積量に対して10から15%の量の薄膜をホールの底面に堆積させる必要があるが、高アスペクト比のホールについては、ボトムカバレッジ率(ホールの周囲の面への成膜速度に対するホール底面への堆積速度の比)を高くして成膜を行うことが困難である。ボトムカバレッジ率が低下すると、ホールの底面でのバリア膜が薄くなり、ジャンクションリーク等のデバイス特性に致命的な欠陥を与える恐れがある。
ボトムカバレッジ率を向上させるスパッタの手法として、コリメートスパッタや低圧遠隔スパッタ等の手法がこれまで開発されてきた。コリメートスパッタは、ターゲッットと基板との間に基板に垂直な方向の穴を多数開けた板(コリメーター)を設け、基板にほぼ垂直に飛行するスパッタ粒子(通常は、スパッタ原子)のみを選択的に基板に到達させる手法である。また、低圧遠隔スパッタは、ターゲットと基板との距離を長くして(通常の約3倍から5倍)基板にほぼ垂直に飛行するスパッタ粒子を相対的多く基板に入射させるようにするとともに、通常より圧力を低くして(0.8mTorr程度以下)平均自由行程を長くすることでこれらのスパッタ粒子が散乱されないようにする手法である。
しかしながら、コリメートスパッタではコリメーターの部分にスパッタ粒子が堆積して損失になるために成膜速度が低下する問題があり、また、低圧遠隔スパッタでは、圧力を低くしターゲットと基板との距離を長くするため本質的に成膜速度が低下する問題がある。このような問題のため、コリメートスパッタは、アスペクト比が3程度までの16メガビットのクラスの量産品に使用されるのみであり、低圧遠隔スパッタでもアスペクト比4程度までのデバイスが限界とされている。
特開平10−168565号公報 特開平02−050957号公報 特開平06−093436号公報 特開平04−198476号公報
このような中、アスペクト比4以上のホールに対してボトムカバレッジ率よく成膜できる技術として、イオン化スパッタの手法が検討されている。イオン化スパッタは、ターゲットから放出されるスパッタ粒子をイオン化し、イオンの作用によってボトムカバレッジ率を高める手法である。
しかしながら、イオン化スパッタは実用上の問題を幾つか有している。その一つは、イオン化のためのエネルギー供給の構成にある。
即ち、イオン化スパッタを行うには、ターゲットから基板へのスパッタ粒子の飛行経路においてプラズマを形成することが有効であるが、このプラズマを形成するためにターゲットとは別に電極(コイル状又は板状等)を設け、この電極に電力を印加する電源を接続する構成が考えられる。
しかしながら、このような構成では、スパッタチャンバー内の構成が複雑になる欠点がある上、スパッタ電源とは別に電源を設けるため、スパッタチャンバーの周囲の構成も複雑になり、またコストの点でも高価となる問題がある。
本願の発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、イオン化スパッタによって高アスペクト比のホールに対してボトムカバレッジ率の良い成膜が行える装置及び方法であって、スパッタチャンバー内外の構成が簡略化され、コストも安価にできる装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に設けられたターゲットと、スパッタチャンバー内に所定のガスを導入するガス導入手段と、導入されたガスにスパッタ放電を生じさせプラズマを形成して前記ターゲットをスパッタする電力を与えるスパッタ電源と、スパッタによって前記ターゲットから放出されたスパッタ粒子が入射する位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えたイオン化スパッタ装置であって、
前記ターゲット以外には前記スパッタ粒子をイオン化するための電力が与えられる電極は設けられておらず、前記スパッタ電源は、前記スパッタ放電によって形成されたプラズマ中で前記スパッタ粒子をイオン化できるよう構成されている。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記スパッタ電源は、ターゲットの被スパッタ面の面積で割った投入電力面積密度が5W/cm 以上である高周波電力をターゲットに印加するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2の構成において、前記ターゲットと前記基板ホルダーとは同軸上に対向して配置されており、ターゲットと基板ホルダーとの間の空間には円筒状のシールドが同軸上に設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、上記請求項3の構成において、前記ターゲットは円形であり、前記シールドの内径は、ターゲットの直径の90%から100%であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、上記請求項1、2又は3の構成において、前記イオン化したスパッタ粒子を前記プラズマ中から引き出して基板に入射させるための電界を設定する電界設定手段が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5いずれかのの構成において、前記ターゲットは前記基板に対して同軸になるよう設けられており、前記ターゲットから前記基板へのスパッタ粒子の飛行経路には、スパッタ粒子の飛行を遮蔽する物が設けられていないという構成を有する。
以下に説明する通り、本願の発明によれば、ターゲットからのスパッタ粒子がイオン化されるので、アスペクト比4以上の微細なホールに対して充分なボトムカバレッジ率で成膜を行うことができる。このため、64メガビットから256メガビットに移行する次世代のデバイスの製作に極めて有効な手法が提供される。
そして、ターゲット以外には前記スパッタ粒子をイオン化するための電力が与えられる電極は設けられておらず、スパッタ電源は、スパッタ放電によって形成されたプラズマ中でスパッタ粒子をイオン化できるよう構成されているので、スパッタチャンバー内外の構成が簡略化されるとともにコストも安価にできる。このため、実用的な装置が提供される。
また、請求項3又は4の発明によれば、シールドの作用によって上記効果がさらに増進される。
また、請求項5の発明によれば、電界設定手段の作用によって上記効果がさらに増進される。
以下、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の実施形態のイオン化スパッタ装置の構成を説明する正面概略図である。図1に示すスパッタ装置は、排気系11を備えたスパッタチャンバー1と、スパッタチャンバー1内に設けられたターゲット2と、ターゲット2をスパッタするスパッタ電源3と、スパッタチャンバー1内に所定のガスを導入するガス導入手段4と、スパッタによってターゲット2から放出されたスパッタ粒子が入射する位置に基板50を保持する基板ホルダー5とを備えている。
まず、スパッタチャンバー1は、不図示のゲートバルブを備えた気密な容器である。このスパッタチャンバー1は、ステンレス等の金属製であり、電気的には接地されている。
排気系11は、ターボ分子ポンプや拡散ポンプ等を備えた多段の真空排気システムで構成されており、スパッタチャンバー1内を10−9Torr程度まで排気可能になっている。また、排気系11は、バリアブルオリフィス等の不図示の排気速度調整器を備え、排気速度を調整することが可能になっている。
ターゲット2は、例えば厚さ26mm、直径314mm程度の円板状であり、金属製のターゲットホルダー21及び絶縁体22を介してスパッタチャンバー1に取付けられている。尚、ターゲット2と基板ホルダー5との距離は、120mm程度である。
ターゲット2の背後には、磁石機構30が設けられており、マグネトロンスパッタを行うようになっている。磁石機構30は、中心磁石31と、この中心磁石31を取り囲む周辺磁石32と、中心磁石31及び周辺磁石32とを繋ぐ円板状のヨーク33とから構成されている。尚、各磁石31,32は、いずれも永久磁石であるが、電磁石でこれらを構成することも可能である。
また、これらの磁石機構30は、ターゲット2のエロージョンを均一化するため、必要に応じて回転される。回転の軸は、ターゲット2に対して垂直であり、ターゲット2の中心から少し偏心して設定される。
スパッタ電源3は、本実施形態のイオン化スパッタ装置の大きな特徴点を成している。本実施形態では、スパッタ電源3は、周波数13.56MHzで出力8〜10kWの高周波電源が使用されており、高周波スパッタを行う電源としてはかなり大出力のものが使用されている。尚、スパッタ電源3とターゲット2の間には不図示の整合器が設けられ、インピーダンスマッチングが行われる。
ガス導入手段4は、アルゴン等のスパッタ放電用のガスを溜めたガスボンベ41と、ガスボンベ41とスパッタチャンバー1とをつなぐ配管42と、配管42に設けられたバルブ43や流量調整器44とから主に構成されている。
基板ホルダー5は、絶縁体53を介してスパッタチャンバー1に気密に設けられており、ターゲット2に対して平行に基板50を保持するようになっている。この基板ホルダー5には、ターゲット2の下方に形成されたプラズマPからイオン化スパッタ粒子を引き出して基板50に入射させるための電界(以下、引き出し用電界)を設定する電界設定手段8が設けられている。
電界設定手段8としては、本実施形態では、基板50にバイアス電圧を与える基板バイアス用電源81が採用されている。基板バイアス用電源81としては、本実施形態では基板50に負の直流電圧を与える直流電源が使用されている。
また、基板バイアス用電源81は、基板ホルダー5に基板50を吸着する吸着用電源も兼ねている。即ち、基板ホルダー5の上側部分は誘電体で形成されており、この誘電体の部分の内部に吸着電極51が埋設されている。そして、基板バイアス用電源81はこの吸着電極51に接続されている。
具体的には、基板バイアス用電源81は例えば−600V程度の直流電圧を吸着電極51に与えるようになっている。この電圧によって誘電体が誘電分極し基板ホルダー5の表面には負の電位が現れるようになっている。この負の電位によって基板50に垂直な電界が設定され、プラズマPから効率よくイオン化スパッタ粒子が引き出される。
また、基板ホルダー5の表面の負の電位によって基板50が静電吸着される。基板ホルダー5の内部には、ヒータ52が設けられており、基板50が基板ホルダー5に静電吸着されることによってヒータ52による温度制御の精度が向上するようになっている。尚、ヒータ52は基板50を室温から500℃程度の範囲で温度制御できるよう構成される。
また、基板バイアス用電源81としては、負の直流電源の他、所定の高周波電源でも構わない。基板バイアス用電源81が高周波電圧を基板ホルダー5に印加すると、基板50の表面にはプラズマP中の荷電粒子が周期的に引き寄せられる。このうち、移動度の高い電子は正イオンに比べて多くが基板50の表面に引き寄せられ、その結果、基板50の表面は負の電位にバイアスされたのと同じ状態になる。この高周波電源としては、例えば周波数13.56MHz出力600W程度のものが使用できる。
また一方、ターゲット2と基板50との間のスパッタ粒子の飛行経路を取り囲むようにシールド6が設けられている。シールド6は円筒状であり、ターゲット2及び基板50と同軸上に設けられている。より具体的な寸法を示すと、シールド6は、板厚1mm程度の円筒状であり、内径はターゲット2の直径よりも少し小さい300mm程度、高さは50mm程度である。また、ターゲット2からシールド6までの軸方向の距離は20mm程度である。尚、シールド6は、材質としてはチタン製であり非磁性体で形成されている。
このようなシールド6は、絶縁体61を介してスパッタチャンバー1に保持されている。但し、シールド6をスパッタチャンバー1に対して短絡する開閉可能な短絡体62が設けられており、シールド6を接地電位にするか浮遊電位にするかが選択できるようになっている。
また、図1に示す装置では、イオン化スパッタの効果を促進するための磁場を設定する磁場設定手段7が設けられている。磁場設定手段7は、本実施形態では、基板ホルダー5の下側に設けられた磁石71によって構成されている。
磁石71は、基板ホルダー5と同軸上に設けられた円環状の永久磁石であり、上面と下面に異なった磁極が現れるようになっている。このため、図1に示すような磁力線72が設定されるようになっている。尚、磁石71を電磁石によって構成することも可能である。
次に、図1を使用して、本実施形態のスパッタ装置の動作について説明する。以下の説明は、イオン化スパッタ方法の発明の実施形態の説明でもある。
基板50が不図示のゲートバルブを通してスパッタチャンバー1内に搬入され、基板ホルダー5上に載置される。スパッタチャンバー1内は予め10−9Torr程度まで排気されおり、基板50の載置後にガス導入手段4が動作して、アルゴン等のプロセスガスが所定の流量で導入される。
排気系11の排気速度調整器を制御してスパッタチャンバー1内を所定の圧力に維持する。この際の圧力は、通常のスパッタの圧力(数mTorr)より高く、20mTorr〜100mTorr程度の範囲である。この圧力下でスパッタ電源3を動作させ、基板バイアス用電源81も同時に動作させる。
スパッタ電源3によってターゲット2に所定の高周波電圧が与えられてマグネトロンスパッタ放電が生じ、これによってターゲット2の下方にプラズマPが形成される。また、基板バイアス用電源81によって基板バイアス電圧が基板50に与えられ、この結果、プラズマPと基板50との間に引き出し用電界が設定される。
スパッタによってターゲット2から放出されたスパッタ粒子は、基板50に到達してターゲット2の材料よりなる薄膜を基板50に堆積する。薄膜が所定の厚さに達すると、スパッタ電源3、基板バイアス用電源81、ガス導入系4の動作をそれぞれ停止し、スパッタチャンバー1内を再度排気した後、基板50をスパッタチャンバー1から取り出す。
尚、バリア膜を作成する場合、チタン製のターゲット2を使用し、最初にプロセスガスとしてアルゴンを導入してチタン薄膜を成膜する。そして、その後プロセスガスとして窒素ガスを導入してチタンと窒素との反応を補助的に利用しながら窒化チタン薄膜を作成する。これによって、チタン薄膜の上に窒化チタン薄膜を積層したバリア膜が得られる。
上記動作において、圧力が20mTorr〜100mTorrと高く、10kWという大電力がターゲット2に印加されているので、プラズマPはその密度やエネルギーが高い。このため、スパッタ粒子はこのプラズマP中で充分な効率でイオン化し、イオン化スパッタ粒子となる。このイオン化スパッタ粒子は、引き出し用電界によって効率良くプラズマPから引き出され、効率よく基板50に入射する。
このイオン化スパッタ粒子は、基板50の表面に形成されたホールの内部まで効率よく到達し、ホール内をボトムカバレッジ率良く成膜するのに貢献している。この点をさらに詳しく説明する。
図2は、イオン化スパッタ粒子の作用を説明する断面概略図である。
図2(a)に示すように、基板50の表面に形成された微細なホール500内に薄膜510を堆積させる際、ホール500の開口の縁503の部分に薄膜510が盛り上がって堆積する傾向がある。この盛り上がりの部分の薄膜510は「オーバーハング」と呼ばれるが、オーバーハングが形成されると、ホール500の開口が小さくなって見かけ上アスペクト比が高くなってしまう。このため、ホール500内に達するスパッタ原子の量が少なくなり、ボトムカバレッジ率が低下してしまう。
ここで、図2(b)に示すように、イオン化スパッタ粒子20が基板50に達すると、このイオン化スパッタ粒子20はオーバーハングの部分の薄膜510を再スパッタして崩し、ホール500内に落とし込むように作用する。このため、ホール500の開口が小さくなるのを防止するとともに、ホール500の底面への膜堆積を促進するため、ボトムカバレッジ率が向上する。尚、このようなオーバーハングの再スパッタは、イオン化スパッタ粒子20のみならず、スパッタ放電のために導入したプロセスガスのイオンによっても生じ得る。
また、本実施形態の装置では、電界設定手段8によって基板50に垂直な基板50に向かって電位が下がる引き出し用電界が設定されるので、上記イオン化スパッタ粒子20は、この引き出し用電界によって導かれて基板50に垂直に入射し易くなる。このため、イオン化スパッタ粒子20は深いホール500の底面にまで到達し易くなり、この点もボトムカバレッジ率の向上に貢献する。
さらに、図1から分かるように、磁場設定手段7として採用された磁石71によって設定される磁力線は、イオン化スパッタ粒子20を効率よく基板50に導くよう作用する。この点も、ボトムカバレッジ率の高い成膜に貢献している。尚、磁力線72は、基板ホルダー5の側方に向けてのプラズマPの拡散を防止する効果もあり、プラズマ密度を向上させてイオン化をさらに促進する効果がある。
上記実施形態に属する実施例であってバリア膜用のチタン薄膜を作成する実施例(以下、第一の実施例)として、以下のような条件でスパッタを行うことができる。
スパッタ電源3:13.56MHz出力8kW
ターゲット2の材質:チタン
プロセスガスの種類:アルゴン
プロセスガスの流量:120cc/分
成膜時の圧力:60mTorr
基板バイアス電圧:−600V
成膜時の基板ホルダー5の温度:300℃
成膜速度:500オングストローム/分
また、バリア膜用の窒化チタン薄膜を作成する実施例(以下、第二の実施例)として、以下のような条件でスパッタを行うことができる。
スパッタ電源3:13.56MHz出力8kW
ターゲット2の材質:チタン
プロセスガスの種類:アルゴンと窒素の混合ガス
プロセスガスの流量:アルゴン25cc/分、窒素75cc/分
成膜時の圧力:45mTorr
基板バイアス電圧:−600V
成膜時の基板ホルダー5の温度:200℃
成膜速度:200オングストローム/分
図3は、上記第一の実施例の条件で成膜を行った結果を示す図であり、ホールのアスペクト比に対するボトムカバレッジ率の関係を示した図である。比較のため、従来のスパッタ装置として低圧遠隔スパッタ装置によるデータも併せて示してある。この低圧遠隔スパッタのデータは、圧力0.5mTorr、ターゲット2と基板50との距離340mmの条件のものである。
図3に示す通り、低圧遠隔スパッタでは、アスペクト比4のホールに対して20%未満のボトムカバレッジ率しか得られていない。一方、実施例のイオン化スパッタでは、40%程度のボトムカバレッジ率が得られており、遥かに高いボトムカバレッジ率が得られているのが分かる。そして、アスペクト比4を越えるホールに対しても基板5の中央部で35%程度のボトムカバレッジ率が得られており、このような高アスペクト比のホールへの成膜に対しても有効であることが分かる。さらに、低圧遠隔スパッタに比べ、基板の中央部と周辺部でのボトムカバレッジ率のばらつきが非常に小さく、ボトムカバレッジ率の面内均一性の点でも大きく改善されていることが分かる。
このようなスパッタ放電により形成されたプラズマP中でのスパッタ粒子のイオン化には、ターゲット2への投入電力の大きさが重要なパラメーターの一つである。ターゲット2への投入電力を大きくすることが、プラズマP中でのイオン化を促進する上で有効である。どの程度まで大きくするとイオン化が充分となるかは、プラズマPの形成空間の大きさにより異なる。プラズマPの形成空間の大きさをターゲット2の大きさで置き換えて考えると、ターゲット2の被スパッタ面の面積で投入電力を割った電力面積密度が、5W/cm 以上である場合、一般的には上記イオン化が充分行われる。
また、スパッタ粒子のイオン化の効率には、成膜時の圧力も重要なパラメーターである。というのは、電力も大きくしていったとしても、プラズマの素となる気体分子の量が増えないとエネルギーを受け取るものが増えないので、プラズマ密度は飽和してしまうからである。
図4は、上記第一の実施例の条件において、圧力を変化させた実験の結果を示す図であり、圧力を変化させながら、アスペクト比3のホールに対する成膜速度及びボトムカバレッジ率を調べた結果を示している。
まず、図4中●マーカーで示すように、圧力が高くなると成膜速度は低下する傾向がある。これは、スパッタ粒子の飛行経路に多数のプロセスガスの分子が存在するため、スパッタ粒子が多く散乱され、基板50へのスパッタ粒子の到達量が減ってしまうからである。
一方、図4中■マーカーで示すように、圧力が高くなるとボトムカバレッジ率も高くなっている。これは、プラズマP中でのスパッタ粒子のイオン化が主にペニング効果であることを示しており、プラズマ密度が高くなることによってスパッタ粒子のイオン化効率も高くなることを示している。
このようなデータから分かる通り、ボトムカバレッジ率を高くするには圧力を高くすることが有効であるが、あまり高くすると成膜速度が低下する問題がある。この図4からは明らかではないが、圧力を100mTorr以上にすると、成膜速度は200オングストローム/分以下となり、実用上問題となる。また、圧力を20mTorr以下とすると、上述したようなイオン化スパッタの効果が充分得られない。従って、20mTorr〜100mTorrの範囲内でアスペクト比や必要な成膜速度及びボトムカバレッジ率を考慮に入れて圧力を適宜決定することになる。
次に、シールド6の効果について説明する。図5は、シールド6の効果を確認した実験の結果を示す図である。この図5に示す実験では、上記第一の実施例の条件において、シールド6を設置したり取り外したりしながら成膜を行った。図5に示す通り、シールド6を設置した場合、設置しない場合に比べて平均で10〜15%程度ボトムカバレッジ率が向上した。
また、図6は、シールド6の電位について調査した実験の結果を示す図である。図6の実験では、短絡体62を使用してシールド6をスパッタチャンバー1に短絡して接地したり、短絡体62を開放してシールド6を接地しないで浮遊電位にしたりしながらボトムカバレッジ率を調べた。
図6に示す通り、シールド6を接地してもしなくても、ボトムカバレッジ率が殆ど変化しない。つまり、シールド6の電位はプラズマP中でのスパッタ粒子のイオン化に殆ど影響を与えていない。
このような点から考えると、図5に示すようにシールド6の設置によってボトムカバレッジ率が向上するのは、電気的効果ではないと考えられる。詳細な原因は不明であるが、シールド6によってプラズマPの形成空間が小さくなるとかプラズマの拡散が防止されるとかの理由によりプラズマ密度が高くなり、これによってスパッタ粒子のイオン化効率が向上するという物理的な効果によるものと考えられる。
プラズマPの形成空間を小さくするという意味ではシールド6の直径は小さい方が良いということになるが、あまり小さくすると、ターゲット2から基板50へのスパッタ粒子の飛行を阻害することになる。従って、シールド6の直径(内径)は、ターゲット2の直径と同等であることが好ましく、小さくとも、ターゲット2の直径の90%程度の大きさとすることが好ましい。
尚、ターゲット2と違ってシールド6には電力が印加されないため、シールド6はターゲット2のようにスパッタされることはない。従って、ターゲット2のように加熱されることはなく冷却機構等は不要である。但し、プラズマPに晒されることによる僅かなスパッタがあり得るので、シールド6の表面をアルマイト処理にして耐プラズマ性を与えたり、スパッタされても基板50を汚損することのない材質(通常はターゲット2と同様の材質)でシールド6を構成することが好ましい。
また、シールド6の表面への膜堆積があり得るため、スパッタチャンバー1の内壁面へのスパッタ粒子の付着を防止する防着シールドと同様に表面に凹凸を形成して堆積膜の剥離を抑制したり、交換可能に設置して所定の成膜回数のたびに交換するようにすると、薄膜の剥離により生じたパーティクルによる膜厚異常や基板汚損の問題が回避される。
尚、図3及び図4とから類推されるように、シールド6を設置しない場合でもボトムカバレッジ率は低圧遠隔スパッタ装置等の従来の装置に比べて大きく改善される。そして、シールド6を設けない構成は、コストが安価になり、パーティクルの発生要因が少なくなり、シールド6の交換等の煩雑な作業が不要になる等の点で有利である。
上記実施形態及び実施例の説明では、バリア膜用のチタン薄膜や窒化チタン薄膜の作成を例に採り上げたが、配線用のアルミニウム合金膜や銅膜等の作成についても同様に実施できることはいうまでもない。
また、成膜の対象物である基板50としては、各種半導体デバイスを作成するための半導体ウェーハの他、液晶ディスプレイやその他の各種電子製品の製作に利用される各種基板を対象とすることができる。
本願発明の実施形態のイオン化スパッタ装置の構成を説明する正面概略図である。 イオン化スパッタ粒子の作用を説明する断面概略図である。 第一の実施例の条件で成膜を行った結果を示す図であり、ホールのアスペクト比に対するボトムカバレッジ率の関係を示した図である。 第一の実施例の条件において、圧力を変化させた実験の結果を示す図であり、圧力を変化させながら、アスペクト比3のホールに対する成膜速度及びボトムカバレッジ率を調べた結果を示している。 シールド6の効果を確認した実験の結果を示す図である。 シールド6の電位について調査した実験の結果を示す図である。
符号の説明
1 スパッタチャンバー
11 排気系
2 ターゲット
3 スパッタ電源
4 ガス導入手段
5 基板ホルダー
50 基板
51 吸着電極
52 ヒータ
6 シールド
61 絶縁体
62 短絡体
7 磁場設定手段
71 磁石
8 電界設定手段
81 基板バイアス用電源

Claims (6)

  1. 排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に設けられたターゲットと、スパッタチャンバー内に所定のガスを導入するガス導入手段と、導入されたガスにスパッタ放電を生じさせプラズマを形成して前記ターゲットをスパッタする電力を与えるスパッタ電源と、スパッタによって前記ターゲットから放出されたスパッタ粒子が入射する位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えたイオン化スパッタ装置であって、
    前記ターゲット以外には前記スパッタ粒子をイオン化するための電力が与えられる電極は設けられておらず、前記スパッタ電源は、前記スパッタ放電によって形成されたプラズマ中で前記スパッタ粒子をイオン化できるよう構成されていることを特徴とするイオン化スパッタ装置。
  2. 前記スパッタ電源は、ターゲットの被スパッタ面の面積で割った投入電力面積密度が5W/cm 以上である高周波電力をターゲットに印加するものであることを特徴とする請求項1記載のイオン化スパッタ装置。
  3. 前記ターゲットと前記基板ホルダーとは同軸上に対向して配置されており、ターゲットと基板ホルダーとの間の空間には円筒状のシールドが同軸上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のイオン化スパッタ装置。
  4. 前記ターゲットは円形であり、前記シールドの内径は、ターゲットの直径の90%から100%であることを特徴とする請求項3記載のイオン化スパッタ装置。
  5. 前記イオン化したスパッタ粒子を前記プラズマ中から引き出して基板に入射させるための電界を設定する電界設定手段が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のイオン化スパッタ装置。
  6. 前記ターゲットは前記基板に対して同軸になるよう設けられており、前記ターゲットから前記基板へのスパッタ粒子の飛行経路には、スパッタ粒子の飛行を遮蔽する物が設けられていないことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のイオン化スパッタ装置。
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