JP2011256441A - スパッタリング方法 - Google Patents

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純一 濱口
Shuji Kodaira
周司 小平
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恒吉 鎌田
Akifumi Sano
昭文 佐野
Yuta Sakamoto
勇太 坂本
Yukinobu Numata
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Abstract

【課題】 1μm以上の開口径を有する高アスペクト比のTSVホールHがパターニング形成された処理対象物に対して、被覆性よく成膜できるスパッタリング方法を提供する。
【解決手段】 真空チャンバ1内に処理対象物と、処理対象物に形成しようとする金属膜に応じて作製されたターゲット2とを対向配置し、処理対象物の全面に亘って垂直な磁場が作用するように垂直磁場を発生させ、この真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、処理対象物に高周波バイアス電力を投入してターゲットからのスパッタ粒子やプラズマ中で電子で電離したイオンを引き込むようにしたものにおいて、前記バイアス電力を、200〜600Wの範囲とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程において金属膜を成膜するためのスパッタリング方法に関する。
近年、半導体装置の実装技術の一つとして、3次元に積層したシリコンダイをビアホールによって相互接続するシリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)技術が注目を集めている。TSVは、従来の微細ホールと比較してパターンサイズ(例えば、開口径が10μm)が大きく、アスペクト比が5以上となることがある。このTSVによれば、例えば結線空間のためにパッケージの縦横を広げることができ、従来のものと比較して実装パッケージをより小さくかつ薄くできる等の利点がある。
従来、半導体装置の製造工程において、微細ホールに対してカバレッジよくCuシード層を成膜する方法として、PVD法がよく用いられる(特許文献1参照)。
PVD法では、プラズマ中のArイオンや金属イオンがターゲット面に衝突し、そのターゲット表面から金属原子やイオンが放出され、バイアス電力(例えば、50W)が投入されている基板に向かってかつ直進性を持って引き込まれて付着、堆積し、Cuシード層が形成される。
ところで、開口径が0.1μm以下の微細ホールにカバレッジよくCu層を形成する場合の従来例のスパッタリング方法では、微細ホールの開口部に生じるオーバーハングを効率的に抑制する等のため、高周波電源E3からのバイアス電力も50〜150W程度に設定されていた。そして、このような従来例のスパッタリング法をそのまま適用して、開口径が1μm以上でアスペクト比が5以上であるTSVホールに対してCu膜を成膜すると、TSVホールの底部まで進入する金属原子の量が少なくなって、TSVホール内に堆積する金属の成膜レートが低くなる。
このため、成膜時間を長くして、微細ホールの底部に十分な厚膜でCuシード膜が形成されるようにすることが考えられる。然し、成膜時間が著しく長くなって生産性が低下する不具合が生じる。
特開2002−80962号公報
本発明は、以上の点に鑑み、TSVのような高アスペクト比のホールに対して被覆性よく、かつ、高い成膜レートで所定の金属膜を成膜できるスパッタリング方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、処理対象物を、1μm以上の開口径を有するホールがパターニング形成されたものとし、これらホールを含む処理対象物の表面全体に亘って金属膜を成膜するためのスパッタリング方法であって、真空チャンバ内に処理対象物と、処理対象物に形成しようする金属膜に応じて作製されたターゲットとを対向配置し、処理対象物の全面に亘って垂直な磁場が作用するように垂直磁場を発生させ、この真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、処理対象物に高周波バイアス電力を投入してターゲットからのスパッタ粒子やプラズマ中で電子したスパッタ粒子のイオンを引き込むようにしたものにおいて、前記バイアス電力を、200〜600Wの範囲としたことを特徴とする。
本発明により、ターゲットのスパッタリングにより生じた金属原子や電離した金属イオンが、処理対象物へと一層高い指向性を持ってかつ強い直進性を持って、ホールの底部まで引き込まれるようになる。このため、ホール底部の成膜レートが向上する。しかも、ホール底部に一旦付着、堆積した金属膜が、それと同時に引き込まれたArイオン(金属イオン)等により逆スパッタされ、この逆スパッタされた金属原子が、微細ホールの側壁下部を含む側壁全体に亘って付着、堆積するようになる。その結果、ホールの内部をその全体に亘って所定膜厚で被覆性良くかつ短時間で成膜できるようになる。なお、200Wより低いバイアス電力では、微細ホールの側壁部での成膜レートが遅くなり、また、600Wを超えると、逆スパッタ量が多くなり過ぎて、逆に微細ホール底部の成膜レートが遅くなるという問題があるため、バイアス電力を200〜600Wの範囲にすることが望ましい。
本発明の実施の形態によるスパッタリング装置の模式的断面図。 スパッタリング装置を用いて成膜したときの状態を模式的に説明する図。
以下、図面を参照して、処理対象物を、シリコン層に開口径が1μm以上でアスペクト比が5以上であるTSVホールを形成したものとし、このTSVホール内にCu膜を形成する場合を例として本発明の実施形態のスパッタリング方法を説明する。
図1を参照して、SMは、本実施形態のスパッタリング方法による成膜が可能なスパッタリング装置である。このスパッタリング装置SMは、真空雰囲気の形成が可能な真空チャンバ1を備え、真空チャンバ1の天井部にカソードユニットCが取付けられている。以下においては、図1中、真空チャンバ1の天井部側を向く方向を「上」とし、その底部側を向く方向を「下」として説明する。
カソードユニットCは、ターゲット2と、このターゲット2の上方に配置された磁石ユニット3とから構成されている。ターゲット2はCu製であり、処理対象物Wの輪郭に応じて、公知の方法で平面視円形や矩形に形成されたものである。なお、ターゲット2は、処理対象物に形成しようとする金属膜に応じて適宜選択でき、例えばTiやTa、Co、Ni、W製とすることができる。ターゲット2は、図示省略のバッキングプレートに装着した状態で、そのスパッタ面を下方にして絶縁体Iを介して真空チャンバ1に取り付けられる。また、ターゲット2はスパッタ電源たるDC電源E1に接続され、スパッタ中、ターゲット2に負の直流電位が印加される。
ターゲット2の上方に配置される磁石ユニット3は、ターゲット2のスパッタ面2aの下方空間に磁場を発生させ、スパッタ時にスパッタ面2aの下方で電離した電子等を捕捉してターゲット2から飛散したスパッタ粒子を効率よくイオン化する公知の構造を有するものであり、ここでは詳細な説明を省略する。
真空チャンバ1内には導電性を有するアノードシールド4が配置されている。アノードシールド4は、ターゲット2の周囲を覆って下方に延びる筒状の部材である。アノードシールド4は通常グランドに接続するが、他のDC電源E2に接続し正の電位を印加してもよい。この場合、アノードシールド4は、イオン化したスパッタ粒子のイオンを反射し、強い直進性を持って基板Wへと放出されることをアシストする。
真空チャンバ1の底部には、カソードユニットCに対向させてステージ5が配置され、処理対象物Wが位置決め保持されるようになっている。ステージ5は高周波電源E3に接続され、スパッタ中、ステージ5、ひいては基板Wにバイアス電位が印加され、特にスパッタ粒子のイオンを基板Wに積極的に引き込む役割を果たす。
真空チャンバ1の側壁には、アルゴン等の希ガスたるスパッタガスを導入するガス管6が接続され、このガス管6がマスフローコントローラ6aを介して図示省略のガス源に連通する。そして、これらの部品がガス導入手段を構成し、流量制御されたスパッタガスが真空チャンバ1内に導入できる。
また、真空チャンバの側壁には、リング状のヨーク71に導線72を巻回してなる上コイル7uと下コイル7dとが上下方向に所定間隔を存して設けられ、電源E4から両コイル7u、7dに通電できるようになっている。そして、ターゲット2のスパッタリングにより生じたスパッタ粒子が垂直磁場の影響で失活せずに、効率よく基板全面に亘って到達し、かつ、ターゲット2のスパッタ面21及び処理対象物W全面に亘って垂直な磁力線MFが所定間隔で通るように下向きの垂直磁場が発生するようになっている。なお、コイルの個数は上記に限定されるものではなく、また、上コイル7uと下コイル7dとの間の距離、導線72の径や巻数は、例えばターゲット2のスパッタ面21の面積、ターゲット2と基板Wとの間の距離、電源装置E4の定格電流値や発生させようとする磁場強度(ガウス)に応じて適宜設定される。
真空チャンバ1の底部には、ターボ分子ポンプやロータリポンプなどからなる図示省略の真空排気装置に通じる排気管8が接続されている。上記スパッタリング装置SMは、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた公知の制御手段9を有し、制御手段9により上記各電源E1〜E4の作動、マスフローコントローラ6aの作動や真空排気装置の作動等を統括管理するようになっている。
次に、上記スパッタリング装置SMを用いた処理対象物Wへのスパッタリング方法を説明する。先ず、あらかじめ、真空排気手段を作動させて真空チャンバ1内を所定の真空度(例えば、10−5Pa)まで真空引きしておく。ステージ5に処理対象物Wをセットした後、電源E4により上コイル7u及び下コイル7dに通電し、ターゲット2及び処理対象物W全面に亘って下向きの垂直な磁力線MFが所定間隔で通るように垂直磁場を発生させる。そして、真空チャンバ1内にマスフローコントローラ6aを制御してアルゴンガス(スパッタガス)を所定の流量で導入し、DC電源E1よりターゲット2に負の電位を持つ所定電力を投入して放電させ、真空チャンバ1内にプラズマ雰囲気を形成する。
また、Arガスによるプラズマ雰囲気の形成後すぐに、マスフローコントローラ6aによりスパッタArガスの導入を停止して、自己放電プラズマを形成してもよい。
これにより、プラズマ中のArイオンまたはCuイオンがターゲット2のスパッタ面21に衝突してスパッタされ、ターゲット2からCu原子やCuイオンが飛散し、アノードシールド4にて反射されたCu原子や電離したCuイオンが、ターゲット2から処理対象物Wに向かって放出される。
このとき、処理対象物Wの全面に亘って垂直に発生させた磁束MFと、高周波電源E3により処理対象物Wに所定のバイアス電力により、ターゲット2のスパッタリングにより生じたCu原子や電離したCuイオンが、処理対象物Wへと一層高い指向性を持ってかつ強い直進性を持って、ホールHの底部Hbまで引き込まれるようになる。
これにより、底部Hbの成膜レートが向上する。しかも、微細ホールHの底部Hbに一旦付着、堆積したCu膜が、それと同時に引き込まれたArイオン等により逆スパッタされ、この逆スパッタされたCuが、ホールHの側壁Hs下部を含む、この側壁Hs全体に亘って付着、堆積するようになる。その結果、ホールHの内部をその全体に亘って所定膜厚で被覆性良くかつ短時間で成膜できるようになる(図2参照)。なお、200Wより低い電圧では、ホールHの側壁Hsでの成膜レートが遅くなり、また、600Wを超えると、逆スパッタ量が多くなり過ぎて、逆にホールHの底部Hbの成膜レートが遅くなるという問題があるため、バイアス電力は200W〜600Wの範囲内に設定するのが望ましい。
次に、以上の効果を確認するために、図1に示すスパッタリング装置SMを用いて以下の実験を行った。処理対象物Wとして、シリコン層内に開口径が 5μm、アスペクト比が10のパターニング形成されたものを用意した。そして、ターゲット2として高純度のCu製ターゲットを用いてCu膜を形成することとした。スパッタ条件として、ターゲット2と処理対象物Wとの間の距離を、400mm、電源E1からターゲット2への投入電力18kW、電源E2からアースシールドへの投入電圧を30V、スパッタガスの導入量を20sccm、スパッタ時間を60secに設定した。また、上コイル7u及び下コイル7dへの通電電流を15Aとして下向きの垂直磁場を発生させるようにした。
そして、実験1では、成膜中、スパッタガスを導入したまま、高周波電源E3から投入するバイアス電力を0〜1200Wの範囲の所定値に設定して処理対象物に成膜をした。他方、実験2では、真空チャンバ1内にプラズマ雰囲気を形成した後、スパッタガスの導入を停止し、高周波電源E3から投入するバイアス電力を0〜1200Wの範囲の所定値に設定して処理対象物に成膜をした。
Figure 2011256441
Figure 2011256441
表1及び表2は、上記条件で処理対象物に成膜したときの微細ホールHの底部Hb及び側壁Hsの膜厚を示すものである。なお、表中、◎は、12nmより厚い膜厚 、○は、10nmより厚い膜厚、△は、8nmより厚い膜厚、×は、8nm以下を意味する。これによれば、実験1では、200W〜600Wとの範囲では、ホールHの底部Hb、側壁Hs共、8nm以上の膜厚で成膜できていることが判る。このとき、基板全体に亘って同等の膜厚が得られていることも確認できた。また、実験2では、200W〜800Wとの範囲で、ホールHの底部Hb、側壁Hs共、10nm以上の膜厚で成膜でき、実験1のものより一層高い成膜レートでCu膜を成膜できることが判る。
また、実験1、実験2共、成膜後、微細ホールには、十分な大きさの開口径が保持されており(つまり、後工程で例えばメッキ処理が行われるような場合に、その処理を阻害することのない開口径)、オーバーハングが問題とならないことが確認できた。なお、実験2において、バイアス電圧を300Wに設定したときのカバレッジ率は、約3%であり、これは、垂直磁場を発生させず、かつ、高周波電源E3からのバイアス電力を50Wに設定した従来のもの(カバレッジ1%)と比較して、300%向上することが確認された。
SM…スパッタリング装置、1…真空チャンバ、2…ターゲット、6…ガス管、7u、7d…コイル(垂直磁場発生手段)、C…カソードユニット、E1〜E4…電源、MF…磁束、W…処理対象物、H…微細ホール。

Claims (2)

  1. 処理対象物を、1μm以上の開口径を有する微細ホールがパターニング形成されたものとし、これらホールを含む処理対象物の表面全体に亘って金属膜を成膜するためのスパッタリング方法であって、
    真空チャンバ内に処理対象物と、処理対象物に形成しようとする金属膜に応じて作製されたターゲットとを対向配置し、
    処理対象物の全面に亘って垂直な磁場が作用するように垂直磁場を発生させ、
    この真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、
    処理対象物に高周波バイアス電力を投入してターゲットからのスパッタ粒子やプラズマ中で電子したスパッタ粒子のイオンを引き込むようにしたものにおいて、
    前記バイアス電力を、200〜600Wの範囲としたことを特徴とするスパッタリング方法。
  2. 前記ターゲットとしてCuを用い、ターゲットのスパッタ面前方の空間にプラズマ雰囲気を形成した後、スパッタガスの導入を停止して低圧下で自己放電させてCu膜を成膜することを特徴とする請求項1記載のスパッタリング方法。
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