JP2013001965A - スパッタリング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ターゲットを高融点金属とし、このターゲットを処理対象物に成膜するときにグレインサイズや表面モホロジーを制御し得るスパッタリング方法を提供する。
【解決手段】ターゲット2として高融点金属製のものを用い、真空チャンバ1内でこのターゲットに処理対象物Wを対向配置し、所定圧力の真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、処理対象物の表面に上記高融点金属からなる金属膜を成膜する。スパッタリング中、処理対象物の全面に亘って垂直な静磁場を作用させることを特徴とするスパッタリング方法。
【選択図】図1
【解決手段】ターゲット2として高融点金属製のものを用い、真空チャンバ1内でこのターゲットに処理対象物Wを対向配置し、所定圧力の真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、処理対象物の表面に上記高融点金属からなる金属膜を成膜する。スパッタリング中、処理対象物の全面に亘って垂直な静磁場を作用させることを特徴とするスパッタリング方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば半導体デバイスの製造工程において利用できる、ガラスやシリコンウエハ等の処理対象物の表面に高融点金属からなる金属膜を成膜するためのスパッタリング方法に関し、特に、金属膜のグレインサイズや表面モホロジーを制御し得るものに関する。
半導体デバイスの配線構造として、アルミニウム合金よりもエレクトロマイグレーション耐性に優れ、且つ、低抵抗である等の理由から、例えば、基板表面に形成した酸化シリコン物膜等の絶縁層に微細な溝を形成し、この溝内に銅を埋め込んでなる銅配線構造が注目されている。銅を埋め込む方法としては、電解メッキ法やリフロー法が一般に用いられる。
ここで、銅は熱処理により酸化シリコン中に拡散する性質を持つ。このため、電解メッキやリフロー等によりCuの埋め込み層を形成する際、銅の拡散を防止する必要がある。そこで、溝内に銅を埋め込むのに先立って、拡散バリア層を形成することが考えられている。このような拡散バリア層としては、Cuの埋め込み性を向上させる機能を持たせるために、チタン、タンタル、タングステン、タンタル合金やタングステン合金等の高融点金属からなる金属膜を用いることが知られている(特許文献1参照)。
また、従来の半導体装置の配線構造として、高融点金属たるタングステン(W)を利用したものも知られている。この場合、このタングステン配線層を、微細形状を有する絶縁層表面に形成するのに際しては、密着性を高める等の理由から、その抵抗値が配線抵抗として影響を与えない程度の厚みで下地層たるTiN膜が形成される。
上記のような高融点金属からなる金属膜の成膜する方法の一つとして、所謂マグネトロン型のスパッタリング装置を用いることが例えば特許文献2で知られている。この種のスパッタリング装置は、通常、真空チャンバ内で処理対象物に対向配置されるターゲットと、ターゲットのスパッタ面と背向する側(後側)に配置されるマグネトロンと、スパッタ面に対して垂直な軸線回りにマグネトロンを回転駆動する回転機構とを備えている。
ところで、スパッタリング装置により高融点金属からなる金属膜を形成するとき、その用途によっては、高融点金属からなる金属膜のグレインサイズや表面モホロジーを制御したい場合がある。即ち、拡散バリア層や配線層として高融点金属からなる薄膜を用いる場合を例に説明すると、配線構造全体の低抵抗化を図るには当該金属膜自体の低抵抗化も図る必要があり、このような場合には、グレインサイズを大きくすることが考えられる。
然し、上記従来例のスパッタリング装置ではグレインサイズを変化させて成膜することが考慮されていなかった。一方、これら高融点金属からなるターゲットの多くは高硬度であるため、上記スパッタリング装置により成膜してもグレインサイズが然程大きくならない。このため、例えば後工程で熱処理を施してグレインサイズを大きくすることが考えられるが、これでは、製造工程が増えて生産性が損なわれる。
また、上記従来例のスパッタリング装置では、通常、特定種かつ未使用状態のターゲットにて処理対象物表面における膜厚分布がその全面に亘って均等になるように、マグネトロンが設計されるが、ターゲット種やターゲットの侵食状態により、ターゲットからのスパッタ粒子の飛散状態が変化し、これに伴って膜厚分布が変化したり表面モホロジーが損なわれたりする場合がある。このような場合、ターゲット種やターゲットの侵食状態に応じて膜厚分布や表面モホロジーを再度調整できるようにスパッタリング装置を構成できることが望まれる。
本発明は、以上の点に鑑み、高融点金属からなる金属膜のグレインサイズや表面モホロジーを制御し得るスパッタリング方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、ターゲットとして高融点金属製のものを用い、真空チャンバ内でこのターゲットに処理対象物を対向配置し、所定圧力の真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、処理対象物の表面に上記高融点金属からなる金属膜を成膜するスパッタリング方法であって、スパッタリング中、処理対象物の全面に亘って垂直な静磁場を作用させることを特徴とする。
本発明によれば、成膜時に、処理対象物に静磁場を作用させ、このとき、処理対象物に作用する静磁場の強度を変化させると、表面モホロジーやグレインサイズを制御し得る。これは、ターゲットから飛散したスパッタ粒子やプラズマ中に電離した高融点金属のイオンが、垂直磁場の影響を受けて、処理対象物に対して略直角な方向から高い指向性を持ってかつ強い直進性を持って処理対象物表面全体に亘って入射するようになることに起因しているものと考えられる。タングステン膜を成膜する場合を例にとると、スパッタ粒子やイオンが処理対象物に対して斜め方向から入射する斜角スパッタ成膜では比抵抗値の高いβ相タングステン膜が成膜されるが、処理対象物に対して略直角な方向から入射するスパッタ粒子やイオン(垂直入射成分)の割合が増えると比抵抗値の低いα相タングステン膜が成膜される。従って、静磁場を作用させ、垂直入射成分の割合を増加させることで、グレインサイズが大きく、表面モホロジーがなだらかな、より低抵抗の(α相)金属膜を成膜することができる。
本発明においては、前記高融点金属は、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Hf、Ta、W、Pt、Auの中から選択されたもの、または、これらを二種類以上含む合金とすればよい。
以下、図面を参照して、高融点金属性のターゲットをタングステン製のものとし、また、処理対象物Wとしてシリコンウエハ等の基板(処理対象物)表面にシリコン酸化物層とTiN(例えば10nm)とを積層したものとし、この処理対象物表面にタングステン膜を所定の膜厚で形成する場合を例として、本発明の実施形態のスパッタリング方法を説明する。
図1を参照して、SMは、本実施形態のスパッタリング方法による成膜が可能なスパッタリング装置である。このスパッタリング装置SMは、真空雰囲気の形成が可能な真空チャンバ1を備え、真空チャンバ1の天井部にカソードユニットCが取付けられている。以下においては、図1中、真空チャンバ1の天井部側を向く方向を「上」とし、その底部側を向く方向を「下」として説明する。
カソードユニットCは、ターゲット2と、このターゲット2の上方に配置された磁石ユニット3とから構成されている。タングステン製のターゲット2は、処理対象物Wの輪郭より大きな表面積でかつ公知の方法で平面視円形や矩形に形成されたものである。なお、ターゲット2は、処理対象物Wに形成しようとする高融点金属膜に応じて適宜選択でき、例えば、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Hf、Ta、Pt、Auの中から選択されたもの、または、これらとタングステン(W)とを二種類以上含む合金製とすることができる。ターゲット2は、図示省略のバッキングプレートに装着した状態で、そのスパッタ面を下方にして絶縁体Iを介して真空チャンバ1の上部に取り付けられる。また、ターゲット2はスパッタ電源たるDC電源E1に接続され、スパッタ中、ターゲット2に負の直流電位が印加される。
ターゲット2の上方に配置される磁石ユニット3は、ターゲット2のスパッタ面21の下方空間に磁場を発生させてこの下方空間でのプラズマ密度を高める公知の構造を有するものであり、ここでは詳細な説明を省略する。真空チャンバ1内にはまた、導電性を有するアノードシールド4が配置されている。更に、真空チャンバ1の底部には、カソードユニットCに対向させてステージ5が配置され、処理対象物Wが位置決め保持されるようになっている。この場合、ステージ5には、真空チャンバ内で上下動自在となるように駆動手段(図示せず)を設けて、ターゲット2種に応じて、または、処理対象物W表面に形成しようする薄膜の所望の表面モホロジーやグレインサイズに応じて、ターゲット2と処理対象物Wとの間の上下方向の距離を変化し得るように構成してもよい。
真空チャンバ1の側壁には、アルゴン等の希ガスたるスパッタガスを導入するガス管6が接続され、このガス管6がマスフローコントローラ6aを介して図示省略のガス源に連通する。そして、これらの部品がガス導入手段を構成し、流量制御されたスパッタガスが真空チャンバ1内に導入できる。なお、上記と同一構成のガス導入手段を更に設け、窒素などの反応ガスを導入して反応性スパッタリングによる成膜を行い得るように構成してもよい。また、真空チャンバの側壁には、真空チャンバ1の上下方向の略中央に位置させて電磁石が設けられている。電磁石は、リング状のヨーク71に導線72を巻回してなるコイル7を有し、コイル7に電源E2を介して通電できるようになっている。
電源E2からコイル7に通電すると、電流の向き及び大きさに応じて、例えば、ターゲット2のスパッタ面21及び処理対象物W全面に亘って垂直な磁力線MFが所定間隔で通るように下向きの垂直磁場が発生する。これにより、ターゲット2のスパッタリング時に、ターゲットからのスパッタ粒子やプラズマ中で電離したスパッタ粒子のイオンが垂直磁場の影響で失活せずに、処理対象物W全面に亘って、且つ、この処理対象物W表面に対して略直角な方向から処理対象物Wに付着し、堆積する。なお、コイルの個数は上記に限定されるものではなく、複数であってもよい。複数のコイルを設ける場合、コイル相互の間の距離、導線の径や巻数は、例えばターゲット2のスパッタ面21の面積、ターゲット3と基板Wとの間の距離、電源装置E4の定格電流値や発生させようとする磁場強度(ガウス)に応じて適宜設定される。
真空チャンバ1の底部には、ターボ分子ポンプやロータリポンプなどからなる図示省略の真空排気装置に通じる排気管8が接続されている。上記スパッタリング装置SMは、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた公知の制御手段9を有し、制御手段9により上記各電源E1、E2の作動、マスフローコントローラ6aの作動や真空排気装置の作動等を統括管理するようになっている。
次に、上記スパッタリング装置SMを用いた処理対象物Wへのスパッタリング方法を説明する。先ず、真空排気手段を作動させて真空チャンバ1内を所定の真空度(例えば、10−5Pa)まで真空引きしておき、ステージ5に処理対象物Wをセットする。その後、電源E2によりコイル7に通電し、ターゲット2及び処理対象物W全面に亘って下向きの垂直な磁力線MFが所定間隔で通るように垂直磁場を発生させる。そして、真空チャンバ1内にマスフローコントローラ6aを制御してアルゴンガス(スパッタガス)を所定の流量で導入し、DC電源E1よりターゲット2に負の電位を持つ所定電力を投入して放電させ、真空チャンバ1内にプラズマ雰囲気を形成する。
これにより、処理対象物Wの全面に亘って垂直に発生させた磁束MFの影響を受けて、スパッタリングによるターゲット2からのスパッタ粒子やプラズマ中にて電離したスパッタ粒子のイオンが、処理対象物Wに対して略直角な方向からこの処理対象物Wに高い指向性を持ってかつ強い直進性を持って入射して付着、堆積するようになる。このとき、処理対象物W表面に形成しようとする金属膜の所望のグレインサイズ、ターゲット種やターゲットの侵食状態(ターゲットの使用頻度)に応じて通電する電流値や向きを適宜調節すれば、高融点金属からなる金属膜を成膜したときの表面モホロジーやグレインサイズを所望のものに制御できる。なお、これと併せて、成膜前にターゲット2と処理対象物Wとの間の上下方向の距離(以下、「T−S間距離」という)を変化させるようにしてもよい。
ここで、コイル7への通電電流値は、5〜30Aの範囲に設定される。5Aより低いと、静電場印加の作用が得られないという不具合があり、30Aを超えると、プラズマが不安定になるという問題が生じる。また、T−S間距離は、50〜400mmの範囲に設定に設定される。50mmより短いと、また、400mmより長くなると、静電場印加の作用が得られないという不具合が生じる。
次に、以上の効果を確認するために、図1に示すスパッタリング装置SMを用いて以下の各実験を行った。実験1では、処理対象物Wとして、シリコン酸化物膜とTiN(10nm)を所定膜厚で積層したものを用意した。そして、ターゲット2として高純度のタングステン製ターゲットを用いてW膜を成膜することとした。スパッタ条件として、ターゲット2と処理対象物Wとの間の距離を60mm、電源E1からターゲット2への投入電力4kWに設定した。また、コイル7への通電電流を20Aとして下向きの垂直磁場を発生させるようにした。そして、実験1では、スパッタ時間(10〜60sec)を変えてタングステン膜を形成することとした。また、比較実験1として、コイル7に通電せずに上記と同一条件で成膜を行った(従来例のスパッタリング装置による成膜に相当)。
図2は、上記条件で処理対象物に成膜したときの、タングステンの膜厚に対するW膜の比抵抗値を測定したときのグラフであり、図2中、実線で示すものが実験1の結果であり、また、点線で示すものが比較実験1の結果である。また、図3は、実験1、比較実験1においてタングステンの膜厚が100nmのときの夫々のFIB−SIM像(図3中、(a)が実験1、(b)が比較実験1)である。図4は、実験1、比較実験1においてタングステンの膜厚が100nmのときの夫々のSEM像(図4中、(a)が実験1、(b)が比較実験1)である。これによれば、実験1では、コイル7に通電することで処理対象物に垂直磁場を作用させてスパッタリングによる成膜を行うことで、比較実験1よりグレインサイズが大きくなり表面モホロジーがなだらかになっていることが確認できた。しかも、タングステン膜の膜厚に関係なく、比較実験1のものより10μΩm程度、比抵抗値を低下していることが判る。
また、実験2として、上記実験1と同一の処理対象物を用い、スパッタ時間を40secに設定すると共に、スパッタリング中、スパッタガスの分圧を0〜1.8Paの範囲で変化させ、処理対象物に成膜をした。なお、その他の条件は、実験1と同一とした。また、比較実験2では、コイルへの通電電流0Aに設定した(従来例のスパッタリング装置による成膜に相当)。
図5は、上記条件で処理対象物に成膜したときの、アルゴン分圧に対するタングステン膜の比抵抗値を測定したときのグラフであり、図2中、実線で示すものが実験2の結果であり、また、点線で示すものが比較実験2の結果である。これによれば、コイル7に通電して処理対象物に垂直磁場を作用させた状態でアルゴン分圧を変化させると、約10μΩcm以下の範囲で比抵抗値を低下でき、このとき、アルゴン分圧が低い程、比抵抗値を一層低下できることが判る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。上記実施形態では、コイルを用いて垂直磁場を発生させているが、磁場強度を変化できるものであれば他の形態ものを採用できる。また、スパッタガスとしては、アルゴン以外の希ガスを用いることができ、スパッタガスとして用いる希ガスに応じて、磁場強度を適宜調節すれば、上記と同様の効果が得られる。
SM…スパッタリング装置、1…真空チャンバ、2…ターゲット、6…ガス管、7…コイル、C…カソードユニット、E1、E2…電源、MF…磁束、W…処理対象物。
Claims (2)
- ターゲットとして高融点金属製のものを用い、真空チャンバ内でこのターゲットに処理対象物を対向配置し、
所定圧力の真空チャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに所定の電力を投入して真空チャンバ内にプラズマを形成してターゲットをスパッタリングし、処理対象物の表面に上記高融点金属からなる金属膜を成膜するスパッタリング方法であって、
スパッタリング中、処理対象物の全面に亘って垂直な静磁場を作用させることを特徴とするスパッタリング方法。 - 前記高融点金属は、Ti、V、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Hf、Ta、W、Pt、Auの中から選択されたもの、または、これらを二種類以上含む合金であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング方法。
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