JPH1180940A - アーク式蒸発源 - Google Patents

アーク式蒸発源

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JPH1180940A
JPH1180940A JP25784197A JP25784197A JPH1180940A JP H1180940 A JPH1180940 A JP H1180940A JP 25784197 A JP25784197 A JP 25784197A JP 25784197 A JP25784197 A JP 25784197A JP H1180940 A JPH1180940 A JP H1180940A
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聡 大谷
Hiroshi Murakami
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治男 平塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極から飛散するドロップレットを低減する
ことができ、しかも膜厚均一性の高い成膜領域が広いア
ーク式蒸発源を提供する。 【解決手段】 このアーク式蒸発源2aは、陰極4の蒸
発面5を取り囲むように、当該蒸発面5を含む領域に磁
界を形成するものであって蒸発面5の前方に向けて徐々
に直径を増していて円錐台状をしている磁気コイル8a
を設けている。しかもこの磁気コイル8aは、蒸発面5
での強さが700Oe以上の磁界を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば工具や金
型等の基体の表面に陰極物質を被着して、当該陰極物質
から成る、または当該陰極物質の窒化物、酸化物等から
成る薄膜を形成する薄膜形成装置(これはアーク式イオ
ンプレーティング装置とも呼ばれる)等に用いられるも
のであって、アーク放電によって陰極を溶解させて陰極
物質を蒸発させるアーク式蒸発源に関する。
【0002】
【従来の技術】アーク式蒸発源で蒸発させる陰極物質に
は、陰極近傍に生じるアークプラズマによってイオン化
された陰極物質イオンがかなりの割合で含まれており、
この陰極物質イオンを電界によって基体に引き込んで基
体表面に薄膜を形成するアーク式イオンプレーティング
法またはアーク式イオンプレーティング装置は、薄膜の
密着性が良い、成膜速度が大きい等の利点を有してお
り、工具や金型等の表面に金属膜やセラミックス膜を被
覆する手段として広く用いられている。膜の密着性が良
いのは、陰極物質中に含まれている陰極物質イオンを、
負バイアス電圧等による電界によって基体に引き込んで
衝突させることができるからである。成膜速度が大きい
のは、アーク放電を利用して陰極を溶解させるからであ
る。
【0003】しかし、上記陰極から発生する陰極物質に
は、ドロップレットと呼ばれる粗大粒子が含まれてお
り、これが基体表面に形成される薄膜に入射付着する
と、当該薄膜の平滑性を損ねて工具等の寿命を短くした
り、薄膜の外観を損ねたりする。
【0004】このようなドロップレットを低減するため
に、陰極の前方付近に磁界を形成するアーク式蒸発源が
既に提案されている。その一例を図10に示す。
【0005】このアーク式蒸発源2は、特開平5−17
1427号公報に開示されているものであり、陰極(カ
ソード)4と図示しない陽極(アノード)との間でアー
ク放電を生じさせて、このアーク放電によって陰極4を
溶解させて陰極物質6を蒸発させる。陰極4は例えば金
属から成る。この陰極4の陰極物質6を蒸発させる面が
蒸発面5である。この蒸発面5の前方(即ち陰極物質6
の蒸発方向。以下同じ)付近にはアーク放電によるプラ
ズマ(即ちアークプラズマ)が生成され、上記陰極物質
6には、このプラズマによってイオン化された陰極物質
イオンがかなりの割合で含まれている。
【0006】この陰極4の前方に基体18を配置してお
くことにより、上記陰極物質6をこの基体18に入射堆
積させて薄膜を形成することができる。その際に、例え
ば基体18に負のバイアス電圧を印加しておくことによ
り、陰極物質6に含まれている陰極物質イオンを、この
負バイアス電圧によって基体18に向けて加速して基体
18に衝突させることができる。また、基体18の周り
に陰極物質6と反応する反応性ガス(例えば窒素、酸
素、炭化水素等)を導入しておけば、陰極物質6とこの
反応性ガスとが反応して、基体18の表面に化合物(セ
ラミックス)薄膜を形成することができる。
【0007】更にこのアーク式蒸発源2は、陰極4の前
方付近に円筒状の磁気コイル8を設け、その内部に2段
のリング状のコア16を設け、これらによって磁気コイ
ル8の中心部付近に、即ち陰極4の前方付近に、磁力線
12の集束領域14を形成するようにしている。この集
束領域14での磁界の強さは、例えば890Oe(エル
ステッド)ないし1450Oeとかなり強く、その強い
磁界によって当該集束領域14にプラズマの集中が起こ
り、ドロップレットがこのプラズマ中でリサイクル(分
解・再利用)されることにより、陰極物質6に含まれる
ドロップレットが低減される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記アーク
式蒸発源2においては、陰極4の前方に磁力線12の集
束領域14が形成されていてプラズマが当該集束領域1
4に集束されるために、当該プラズマ中に含まれる陰極
物質イオンも集束を受けて比較的鋭い指向性を持ち、基
体18の設置位置では、陰極4の前方の小さい円形領域
に成膜領域が限定されるという課題がある。その結果、
膜厚均一性の高い成膜領域が狭く、従って例えば大量生
産を目的とする成膜においては、基体18を設置できる
領域が限られてしまい、生産性が向上しない。また、基
体18が大型の場合は、基体18中の部位によって膜厚
に大きな不均一が生じる。
【0009】そこでこの発明は、陰極から飛散するドロ
ップレットを低減することができ、しかも膜厚均一性の
高い成膜領域が広いアーク式蒸発源を提供することを主
たる目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明のアーク式蒸発
源は、前記陰極の陰極物質を蒸発させる蒸発面を取り囲
むように、当該蒸発面を含む領域に磁界を形成するもの
であって蒸発面の前方に向けて徐々に直径を増していて
概ね円錐台状をしている磁界形成手段を設けており、し
かもこの磁界形成手段は、前記陰極の蒸発面での強さが
700エルステッド以上の磁界を形成するものであるこ
とを特徴としている。
【0011】上記構成によれば、磁界形成手段が円錐台
状をしているので、当該磁界形成手段によって発生する
磁力線は、磁界形成手段の内部で、集束することなく、
陰極の蒸発面の前方に(即ち陰極物質の蒸発方向に)向
かって発散するものとなる。陰極の蒸発面からアーク放
電によって放出された電子は、上記磁界に捕捉され上記
磁力線に沿って移動するが、それに伴って、陰極物質中
に含まれている陰極物質イオンも当該磁力線に沿って発
散する。その結果、陰極物質イオンの放射領域は従来技
術に比べて広くなり、従って膜厚均一性の高い成膜領域
も広くなる。
【0012】しかも、磁界形成手段によって、陰極の蒸
発面での磁界の強さが700Oe以上の磁界を形成する
ので、このかなり強い磁界によって、蒸発面から飛び出
した電子を当該蒸発面の前方付近に強力に捕捉して、蒸
発面の前方付近に高密度のプラズマを生成することがで
きる。この高密度のプラズマによって、陰極から蒸発す
る陰極物質に含まれるドロップレットを効率良く分解す
ることができるので、陰極から飛散するドロップレット
を低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るアーク式
蒸発源の一例を示す図である。図10の従来例と同一ま
たは相当する部分には同一符号を付し、以下においては
当該従来例との相違点を主に説明する。
【0014】このアーク式蒸発源2aは、前述したよう
な陰極4の蒸発面5を取り囲むように、即ち蒸発面5を
仮想的に広げた平面25に磁気コイル8aの一部が重な
るように、磁界形成手段の一例として、磁気コイル8a
を設けている。この磁気コイル8aは、蒸発面5を含む
領域に、より具体的には少なくとも当該蒸発面5からそ
の前方にかけての領域に磁界を形成するものであり、し
かも、蒸発面5の前方に(即ち蒸発面5から蒸発する陰
極物質6の進行方向に)向けて徐々に直径を増していて
円錐台状をしている。この磁気コイル8aは、この例で
は、非磁性体から成る枠体20内に、コイルを、その巻
き半径を蒸発面5の前方に進むにつれて少しずつ大きく
しながら巻いたものである。この磁気コイル8aは、コ
イル電源10によって励磁されて上記磁界を形成する。
図中に、この磁気コイル8aが作る磁力線12の例を模
式的に示す。
【0015】陰極4は、この例では、非磁性体から成る
陰極ホルダ24に取り付けられている。陰極4には、陰
極ホルダ24を介して、図示しない直流のアーク電源
(図9のアーク電源48参照)から負電圧が印加される
ので、この陰極ホルダ24と枠体20との間は、絶縁物
22によって電気的に絶縁されている。なお、陰極4の
形状は、特定のものに限定されるものではなく、図示例
のような円錐台状の場合もあるし、それ以外の形状、例
えば直方体状、立方体状、板状等の場合もある。
【0016】しかもこの磁気コイル8aは、陰極4の蒸
発面5での強さが700Oe(エルステッド)以上の磁
界を形成する。その場合、この例では、上記のように蒸
発面5を仮想的に広げた平面26に磁気コイル8aの一
部が重なる位置としているので、磁気コイル8a内の磁
界が強い領域に蒸発面5が位置することになり、従って
蒸発面5に上記強さの磁界を形成するのが容易になる。
【0017】磁気コイル8aは円錐台状をしているの
で、この磁気コイル8aによって発生する磁力線12
は、磁気コイル8aの内部で、集束することなく、陰極
4の蒸発面5の前方に向かって、即ち蒸発面5から蒸発
する陰極物質6の蒸発(進行)方向に向かって、外に発
散するものとなる。図2に、図1に示したのと同様の円
錐台状の磁気コイル8a周りの磁界の解析結果の一例を
示す。矢印が、磁気コイル8aによって作られる磁界の
ベクトルを示しており、この磁界ベクトルの向きと磁力
線の方向とは同じであり、この図からも、上記磁気コイ
ル8aによって作られる磁力線が蒸発面5の前方に向か
って発散することが分かる。
【0018】陰極4の蒸発面5からアーク放電によって
放出された電子は、上記磁界に捕捉され上記磁力線12
に沿って(巻き付いて)移動するが、それに伴って、蒸
発面5から蒸発する陰極物質6中に含まれている陰極物
質イオンも、発散している磁力線12に沿って発散す
る。その結果、陰極物質イオンの放射領域は従来技術に
比べて広くなり、従って膜厚均一性の高い成膜領域も広
くなる。
【0019】例えば、図3を参照して、Tiから成る陰
極4を用い、陰極4の蒸発面5から距離Z=20cm離
れた所の基体18にTi膜の成膜を行い、その蒸発面5
の中心軸26上(即ち当該中心軸26からの距離L=0
mm)での成膜速度を100%とした場合の、各距離L
の位置における成膜速度比の分布を測定した結果を図4
に示す。この図4中の実施例は上記アーク式蒸発源2a
によるものであり、比較例は図10に示した従来のアー
ク式蒸発源2によるものである。
【0020】この図4から分かるように、実施例の場合
は、比較例に比べて、成膜速度分布の均一性が広い領域
において非常に高い。これは換言すれば、実施例の方
が、膜厚均一性の高い成膜領域が遙かに広いということ
である。その結果、このアーク式蒸発源2aによれば、
一度に大量の基体18に膜厚均一性良く成膜することが
可能になるので、あるいは大型の基体18に膜厚均一性
良く成膜することが可能になるので、成膜の生産性が向
上する。
【0021】しかも、このアーク式蒸発源2aでは、磁
気コイル8aによって、陰極4の蒸発面5での磁界の強
さが700Oe以上の磁界を形成するので、このかなり
強い磁界によって、蒸発面5から飛び出した電子を当該
蒸発面5の前方付近に強力に捕捉して、蒸発面5の前方
付近に高密度のプラズマ(アークプラズマ)を生成する
ことができる。この高密度のプラズマによって、陰極4
から蒸発する陰極物質6に含まれるドロップレットを効
率良く分解することができるので、陰極から飛散するド
ロップレットを、ひいては基体18に到達するドロップ
レットを低減することができる。その結果、基体18の
表面に形成される薄膜の平滑性を高める(即ち面粗度を
良好にする)ことができるので、当該薄膜を被覆した工
具や金型等の寿命を長くすることができる。また、当該
薄膜の外観を、ひいては当該薄膜を被覆した製品の外観
を良好なものにすることができる。従って、従来は面粗
度が悪くて適用できなかった分野での成膜にもこのアー
ク式蒸発源2aを適用することが可能になる。
【0022】例えば、図3に示したように、陰極4の蒸
発面5から距離Z=20cm離れた所の基体18にTi
膜の成膜を行い、その蒸発面5の中心軸24上(即ち当
該中心軸24からの距離L=0cmの位置)における基
体表面のドロップレットを測定したところ、図5に示す
ように、蒸発面5での磁界の強さを700Oe以上にす
ることによって、基体表面に付着するドロップレット数
を著しく低減できることが確かめられた。
【0023】なお、磁気コイル8aは、例えば図6に示
す例のように、直径の異なる複数のリング状のコイル
を、蒸発面5の前方側のものほど直径が大きくなるよう
に配置し、全体として概ね円錐台状になるようにしても
良い。各リング状のコイルは互いに直列接続している。
このような磁気コイル8aによっても、前記と同様の磁
力線12を発生させることができる。
【0024】また、磁界形成手段としては、上記のよう
な磁気コイル8aおよびコイル電源10の代わりに、例
えば図7に示す例のように、陰極4の蒸発面5の前方に
向けて徐々に直径を増していて円錐台状または概ね円錐
台状をしている永久磁石28を用いても良い。この永久
磁石28によっても、前記とほぼ同様の磁力線12を発
生させることができる。
【0025】更に、例えば図8に示す例のように、磁気
コイル8aの後方部付近に、陰極4の後方部付近の周り
を囲むように、例えば板状で環状の強磁性体30を設け
ても良く(この例ではこの強磁性体30が陰極ホルダを
兼ねている)、そのようにすれば、磁力線12がこの強
磁性体30中を通るようになるので、磁力線12の経路
の磁気抵抗が下がり蒸発面5での磁界を強めることがよ
り容易になると共に、他への漏れ磁束も減少する。磁気
コイルの代わりに永久磁石を用いる場合も同様である。
【0026】また、上記いずれのアーク式蒸発源2aに
おいても、磁力線12の向きは、図示例と逆でも良い。
そのようにしても、単に、磁力線12に巻き付く電子の
旋回方向等が逆向きになるだけであり、その他の作用は
前記と同様である。
【0027】また、陰極4の材料は、特定のものに限定
されるものではなく、前述したTi以外の材料、例えば
Zr、Hf、TiAl、Al、Cu、Cr、Mo、W、
Ta、V、C等でも良い。例えば、Crを陰極4に用い
ることによって、ドロップレット数の少ないCr膜また
はCrN膜を形成することができる。
【0028】
【実施例】図9に示すアーク式イオンプレーティング装
置を用いて、複数本のステンレス製のシャフト(直径1
0mm、長さ100mm)を基体18として、それらの
表面にTiN膜を形成した。
【0029】この装置は、真空排気装置34によって真
空排気される真空容器32を有しており、その中に、図
示しない駆動装置によって例えば矢印B方向に回転させ
られるホルダ40が設けられている。42は、電気絶縁
機能を有する軸受部である。このホルダ40に、複数本
の上記基体18を保持する。ホルダ40および基体18
には、直流のバイアス電源44から負のバイアス電圧が
印加される。真空容器32内には、ガス導入口36から
次のようなガス38が導入される。
【0030】この真空容器32の壁面に、絶縁物46を
介して、かつホルダ40上の基体18に向けて、図1に
示したのと同様のアーク式蒸発源2aを1台取り付けて
いる。陰極4は、この例ではTiから成る。この例で
は、真空容器32が陽極(アノード)を兼ねており、陰
極4と真空容器32との間に直流のアーク電源48から
アーク放電電圧が印加され、陰極4と真空容器32との
間にアーク放電が生じる。磁気コイル8aは、この例で
は巻数が320回であり、発熱による抵抗値増加を防ぐ
ために水冷としている。
【0031】成膜に際しては、この実施例では、成膜工
程に先立ってボンバード工程を行った。
【0032】ボンバード工程では、ホルダ40に上記基
体18を保持して、まず真空排気装置34によって真空
容器32内を5×10-5Torr程度以下の圧力まで排
気した後、ガス導入口36からガス38としてArガス
を約50sccm導入し、真空容器32内の圧力を3m
Torr程度に保持する。基体18にはバイアス電源4
4から−1000Vのバイアス電圧を印加する。アーク
式蒸発源2aの磁気コイル8aにコイル電源10から7
5Aの電流を流すと、陰極4の蒸発面5には約2300
Oeの磁界が形成される。その状態で、陰極4にアーク
電源48からアーク放電電圧を印加しておき、図示しな
いトリガを陰極4の側面に短時間接触させると、それが
種となって陰極4と真空容器32との間にアーク放電が
発生して持続し、陰極4の前方付近にはアークプラズマ
が生成される。このときのアーク電流は60Aとする。
このアーク放電によって、陰極4が溶解してその蒸発面
5から陰極物質6が蒸発し、その一部がアークプラズマ
によってイオン化され、このイオン化した陰極物質イオ
ンが負バイアス電圧によって基体18に向けて加速され
て基体18に衝突する。その状態を約3分間保持する
と、陰極物質イオンの衝突によって、各基体18が約3
80℃まで加熱されると共に、各基体18がスパッタさ
れてその表面が清浄化される。
【0033】上記ボンバード工程に続いて、成膜工程に
入る。即ち、この実施例の場合は、ガス38を窒素ガス
に切り換え、それを約100sccm導入し、真空容器
32内の圧力を20mTorr程度に保持する。かつ、
基体18に印加するバイアス電圧を−200Vにし、陰
極4に流すアーク電流を80Aにする。その状態を約1
0分間保持すると、各基体18の側面に約3μm厚のT
iN膜が形成される。
【0034】上記のようにして成膜されたステンレスシ
ャフトの軸方向におけるTiN膜の膜厚のばらつきを表
1中に実施例として示す。また、上記のようなアーク式
蒸発源2aの代わりに、図10に示した従来のアーク式
蒸発源2を用いて同様にして成膜した場合の膜厚のばら
つきを表1中に比較例として示す。
【0035】
【表1】
【0036】この表に示すように、この発明に係るアー
ク式蒸発源2aを用いた実施例の方が、従来のアーク式
蒸発源2を用いた比較例に比べて、膜厚ばらつきが小さ
く膜厚の均一性が非常に高い。ちなみに、基体表面での
ドロップレットについては、実施例および比較例の両方
共に良好であった。
【0037】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、磁界形
成手段が円錐台状をしていて、当該磁界形成手段によっ
て発生する磁力線は、磁界形成手段の内部で、集束する
ことなく、陰極の蒸発面の前方に向かって発散するの
で、陰極物質中に含まれている陰極物質イオンも当該磁
力線に沿って発散するようになり、陰極物質イオンの放
射領域は広くなる。その結果、膜厚均一性の高い成膜領
域も広くなる。
【0038】しかも、磁界形成手段によって、陰極の蒸
発面での磁界の強さが700Oe以上の磁界を形成する
ので、蒸発面の前方付近に高密度のプラズマを生成し
て、この高密度のプラズマによって陰極物質に含まれる
ドロップレットを効率良く分解することができる。その
結果、陰極から飛散するドロップレットを低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るアーク式蒸発源の一例を示す図
である。
【図2】図1に示したのと同様の円錐台状の磁気コイル
周りの磁界の解析結果の一例を示す図である。
【図3】陰極の蒸発面と基体との位置関係を示す図であ
る。
【図4】陰極の蒸発面から一定の距離Z離れた基体表面
における成膜速度分布の例を示す図である。
【図5】陰極の蒸発面での磁界の強さを変えた場合の基
体表面でのドロップレット数の変化の例を示す図であ
る。
【図6】この発明に係るアーク式蒸発源の他の例を示す
図である。
【図7】この発明に係るアーク式蒸発源の他の例を示す
図である。
【図8】この発明に係るアーク式蒸発源の他の例を示す
図である。
【図9】図1と同様のアーク式蒸発源を備えるアーク式
イオンプレーティング装置の一例を示す図である。
【図10】従来のアーク式蒸発源の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
2a アーク式蒸発源 4 陰極 5 蒸発面 6 陰極物質 8a 磁気コイル 10 コイル電源 12 磁力線 28 永久磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 治男 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内 (72)発明者 緒方 潔 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク放電によって陰極を溶解させて陰
    極物質を蒸発させるアーク式蒸発源において、前記陰極
    の陰極物質を蒸発させる蒸発面を取り囲むように、当該
    蒸発面を含む領域に磁界を形成するものであって蒸発面
    の前方に向けて徐々に直径を増していて概ね円錐台状を
    している磁界形成手段を設けており、しかもこの磁界形
    成手段は、前記陰極の蒸発面での強さが700エルステ
    ッド以上の磁界を形成するものであることを特徴とする
    アーク式蒸発源。
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KR100517439B1 (ko) * 2003-05-07 2005-09-28 아이티엠 주식회사 증대된 타겟 이용 효율을 갖는 아크 플라즈마 증발 소스
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