JP2812249B2 - イオン蒸着薄膜形成装置 - Google Patents

イオン蒸着薄膜形成装置

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JP2812249B2
JP2812249B2 JP14114395A JP14114395A JP2812249B2 JP 2812249 B2 JP2812249 B2 JP 2812249B2 JP 14114395 A JP14114395 A JP 14114395A JP 14114395 A JP14114395 A JP 14114395A JP 2812249 B2 JP2812249 B2 JP 2812249B2
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陽 土居
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、真空蒸着とイオン照
射とを併用して基材の表面に薄膜を形成するイオン蒸着
薄膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のイオン蒸着薄膜形成装置の従来
例を図11に示す。この装置は、図示しない真空ポンプ
によって真空排気口18を経由して真空排気される真空
容器16と、この真空容器16内に設けられていて基材
(被処理物)22を保持するホルダ20と、真空容器1
6内の底部に設けられていてホルダ22に保持された基
材22に蒸発物質76を蒸着させる蒸発源70と、真空
容器16の下部に取り付けられていてホルダ20に保持
された基材22にイオン84を照射するイオン源80と
を備えている。
【0003】ホルダ20および基材22は、矢印Aのよ
うに回転させる場合もある。基材22の形状は図示例の
ようなものに限られるものではなく任意である。
【0004】蒸発源70は、電子ビーム加熱式の蒸発源
であり、電子銃73から引き出した電子ビーム74によ
ってるつぼ71内の蒸発材料72を加熱してそれを蒸発
または昇華(炭素の場合)させて蒸発物質76を発生さ
せる。蒸発材料72は、基材22上に形成する薄膜を構
成する元素(例えばTi等の金属または炭素等)から成
る。
【0005】イオン源80は、そこに導入されたガス8
2をイオン化してイオン84を所定の加速エネルギーで
引き出すものである。このイオン源80は、例えば多極
磁場型のバケット型イオン源が大面積大電流の点で好ま
しいが、勿論それ以外の方式のイオン源でも良い。この
イオン源80から引き出すイオン84の種類は後述す
る。
【0006】薄膜形成に当たっては、所望の基材22を
ホルダ20に保持した後、真空容器16内を所定の真空
度(例えば10-5〜10-6Torr程度)に保持する。
その後、蒸発源70から薄膜を構成する元素より成る蒸
発物質76を蒸発させてそれを基材22の表面に蒸着さ
せるとの同時または交互に、イオン源80から所要のイ
オン84を引き出してそれを基材22に照射する。
【0007】その際、基材22の表面に化合物薄膜を形
成する場合は、蒸発物質76と化合して当該化合物薄膜
を形成する元素を含むイオン84を照射し、化合物以外
の薄膜、例えば金属単体の薄膜や炭素系薄膜を形成する
場合は、イオン84として例えばArイオン等の不活性
ガスイオンを照射する。
【0008】これによって、基材22の表面に、蒸発物
質76の蒸着による、あるいは蒸発物質76と照射イオ
ン84とが化合することによる薄膜が形成される。
【0009】それと共に、照射イオン84の押込み作用
等によって、基材22と薄膜との界面付近に、基材を構
成する元素と薄膜を構成する元素とが混じり合って成る
混合層が形成され、この混合層が言わば楔のような作用
をするので、基材22に対する薄膜の密着性が高くな
る。
【00010】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなイオン蒸
着薄膜形成装置は、比較的低温で、面粗度の良好な(即
ち薄膜表面の平滑性に優れた)、かつ密着性の良い薄膜
を形成することができるという特長を有しているけれど
も、高速成膜に適さず薄膜の生産性が低いという欠点が
ある。
【0010】これは、電子ビーム加熱式の蒸発源70か
らの蒸発物質76のイオン化率が10%以下と低く、金
属元素と非金属元素とから成る化合物薄膜の形成におい
ては、蒸発物質76として金属を蒸発させることになる
が、この金属と非金属ガス分子(このガスは真空容器1
6内に導入されたガス、あるいはイオン源80から真空
容器16内に噴射導入されたガスである)との反応性が
低く、成膜速度を上げるにつれて、反応の進行が不十分
になるからである。
【0011】また、電子ビーム加熱式の蒸発源70は、
蒸発材料72が溶融された時にそれがるつぼ71からこ
ぼれ出さないようにする必要があり、下から上に向けて
の蒸発しかできない、即ち基材22の下方にしか蒸発源
70を配置することができないので、蒸発源70の配置
上の制約が大きく、ひいては基材22に対する成膜方向
や装置構成上等の制約が大きいという問題もある。
【0012】一方、蒸発源には、陰極(カソード)にお
けるアーク放電を利用して陰極物質を蒸発させるアーク
式蒸発源が従来からある。
【0013】アーク式蒸発源では、蒸発物質のイオン化
率が70%程度以上と高いので、このようなアーク式蒸
発源を上記電子ビーム加熱式の蒸発源70の代わりに用
いれば、化合物薄膜を形成する際の反応の進行は、高速
成膜でも速やかに行うことができ、生産性を高めること
ができる。
【0014】また、アーク式蒸発源では、アークによっ
て陰極を局所的に溶融させるので、蒸発源の向きがどの
ようなものであっても溶融物質(溶融金属)が落下する
恐れはなく、従って当該蒸発源の配置上の制約はなく、
任意の向きに取り付けることができる。従って、このよ
うなアーク式蒸発源を上記電子ビーム加熱式の蒸発源7
0の代わりに用いれば、基材22に対する成膜方向や装
置構成上等の制約が少なくなる。
【0015】ところが、従来のアーク式蒸発源では、陰
極の溶融部が大きくなり易く、そのため陰極から細かい
陰極物質と共に大きな塊の陰極物質も同時に蒸発し、こ
れが基材22の表面に入射堆積するため、基材22の表
面に形成される薄膜表面の面粗度が、電子ビーム加熱式
の蒸発源70を用いた場合よりも悪いという問題があ
る。
【0016】そこでこの発明は、上記のような従来の各
技術が有する課題を全て解決して、密着性および面粗度
の良好な薄膜を比較的低温で生産性良く形成することが
できるイオン蒸着薄膜形成装置を提供することを主たる
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明のイオン蒸着薄膜形成装置は、前記蒸発源
として、陰極におけるアーク放電を利用して陰極物質を
蒸発させるものであって、陰極構成物質と反応する反応
性ガスを陰極前面に吹き付けるガス吹付け機構を有する
アーク式蒸発源を備えていることを特徴とする。
【0018】
【作用】上記アーク式蒸発源によれば、ガス吹付け機構
から陰極前面に反応性ガスを吹き付けながらアーク放電
させると、アーク放電の陰極点が陰極前面に多数生じ
て陰極近傍でアーク分岐が生じてアーク放電部位が多数
に分散される、陰極表面に元の陰極構成物質よりも高
融点の化合物が形成されてそれが溶融部の広がりを抑え
る、等の作用によって、個々の溶融部位の体積が小さく
抑えられ、陰極前面での粗大な溶融部の形成が抑制され
る。その結果、大きな塊の陰極物質が発生するのを防止
することができ、それによって、基材表面に面粗度の良
好な薄膜を形成することができる。
【0019】しかも、アーク式蒸発源であるので蒸発物
質のイオン化率が高く、従って高速成膜が可能で生産性
が高い。また、このようなアーク式蒸発源による真空蒸
着とイオン照射とを併用して薄膜を形成するので、密着
性の良好な薄膜を比較的低温で形成することができる。
【0020】
【実施例】図1は、この発明の一実施例に係るイオン蒸
着薄膜形成装置を示す概略図である。図11の従来例と
同一または相当する部分には同一符号を付し、以下にお
いては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0021】この実施例においては、前述した従来の電
子ビーム加熱式の蒸発源70の代わりに、アーク式蒸発
源40を設けている。即ちこの実施例では、ホルダ20
に保持された基材22に向くように、真空容器16の側
面部にアーク式蒸発源40を取り付けている。
【0022】このアーク式蒸発源40は、所望の材料
(例えば金属、合金、カーボン等)から成る陰極2、そ
れを支持するものであって非磁性材から成るフランジ
6、その後方近傍に配置された環状の永久磁石8を備え
ており、絶縁物12を介して真空容器16に取り付けら
れている。尚、トリガ電極も通常は備えているが、ここ
ではその図示を省略している(他の例においても同
様)。陰極2は、より具体的には、基材22上に形成す
る薄膜を構成する元素(例えばTi、Cr、B等の金属
または炭素等)から成る。
【0023】この例では真空容器16が陽極を兼ねてお
り、それとフランジ6ひいては陰極2との間には、陰極
2側を負側にして、直流のアーク電源14が接続されて
おり、これによって陰極2と真空容器16間に、例えば
数十V〜数百V程度のアーク放電電圧を印加することが
できる。
【0024】このアーク式蒸発源40は、更に、陰極構
成物質と反応する反応性ガス34を、陰極2から離れた
所から陰極前面2aに吹き付けるガス吹付け機構32
を、陰極2の近傍に備えている。ガス吹付け機構32
は、この例ではガス供給パイプ33である。
【0025】なお、ホルダ20には、この実施例のよう
に直流のバイアス電源24の負側を接続して、ホルダ2
0上の基材22に例えば数百V程度の負のバイアス電圧
を印加することができるようにしておいても良い。23
は絶縁物である。そのようにすれば、アーク式蒸発源4
0からのイオン化した陰極物質4をバイアス電圧によっ
て基材22に引き込むことができるので、付き周り性
(即ち、陰になった部分にも陰極物質14が到達するこ
と)が良くなる。また、イオン源80から引き出したイ
オン84をバイアス電圧によって簡単に加速することが
できるので、イオン84による基材表面のボンバード効
果(即ちクリーニング効果)等を簡単に高めることがで
きる。
【0026】ホルダ20および基材22は、矢印Aのよ
うに回転させるようにしておいても良い。そのようにす
れば、基材22が複雑な形状であっても、その表面に均
一に薄膜を形成することができる。
【0027】真空容器16内には、その壁面に設けられ
たガス導入口26を経由して、図示しないガス源から反
応性ガス28を導入するようにしておいても良い。
【0028】ガス吹付け機構32から陰極前面2aに吹
き付ける前記反応性ガス34は、陰極前面2aから粗大
粒子が飛散するのを防止することを目的とするものであ
り、例えば窒素ガス、メタンガス等である。一方、ガス
導入口26から真空容器16内に導入する反応性ガス2
8は、主として、基材22の表面に形成する薄膜を構成
する元素を、イオン源80からイオン84として供給す
る代わりに、またはそれと共に、基材22の近傍に供給
することを目的とするものであり、例えば窒化物系の化
合物薄膜を形成する場合は窒素ガス、炭化物系の化合物
薄膜を形成する場合はメタンガス等である。従って、両
反応性ガス28および34は、互いに同種の場合もある
し異種の場合もある。
【0029】また、前述したイオン源80に供給するガ
ス82は、主として、基材22の表面に形成する薄膜を
構成する元素をイオン84として供給するためのもので
あり、例えば窒化物系の化合物薄膜を形成する場合は窒
素ガス、炭化物系の化合物薄膜を形成する場合はメタン
ガス、酸化物系の化合物薄膜を形成する場合は酸素ガス
等である。従ってこのガス82と、上記反応性ガス28
および34とも、互いに同種の場合もあるし異種の場合
もある。また、このようなイオン源80に供給するガス
82に、Ar等の不活性ガスを添加しても良く、そのよ
うにすればイオン源80における所望のガスのイオン化
率が向上する。あるいは、金属単体または炭素系膜のよ
うに非化合物系の薄膜を形成する場合は、ガス82とし
て不活性ガスを供給して不活性ガスイオンを引き出して
それを基材22に照射するようにしても良い。
【0030】薄膜形成に際しては、真空容器16内を所
定の真空度に保った状態で、アーク式蒸発源40を動作
させてそれから陰極物質4を蒸発させてそれを基材22
の表面に蒸着させるのと同時または交互に、イオン源8
0から所要のイオン84を引き出してそれを基材22に
照射する。その際、必要に応じてガス導入口26から反
応性ガス28を真空容器16内に導入する。
【0031】アーク式蒸発源40の動作は次のようなも
のである。即ち、陰極2と真空容器16間にアーク電源
14から前述したようなアーク放電電圧を印加した状態
で、図示しないトリガ電極を用いる等して陰極2の前面
2a近傍で最初の火花を発生させると、それが引き金と
なって、陰極前面2aと真空容器16間にアーク放電が
生じる。このアーク放電によって、陰極前面2aが局所
的に高温に加熱され、陰極前面2aが局所的に溶融して
そこから原子状およびそれよりも大きい粒子状の陰極物
質4が蒸発し、これが基材22に到達して堆積する。
【0032】これによって、基材22の表面に、陰極物
質4の蒸着による、あるいは陰極物質4と照射イオン8
4とが化合することによる、更には化合に反応性ガス2
8が加わることによる薄膜が形成される。
【0033】それと共に、照射イオン84の押込み作用
等によって、基材22と薄膜との界面付近に、基材を構
成する元素と薄膜を構成する元素とが混じり合って成る
混合層が形成され、この混合層が言わば楔のような作用
をするので、基材22に対する薄膜の密着性が高くな
る。
【0034】しかもこのアーク式蒸発源40は、前述し
たようなガス吹付け機構32を有しており、このガス吹
付け機構32から陰極前面2aに反応性ガス34を吹き
付けながらアーク放電させると、アーク放電の陰極点
が陰極前面2aに多数生じて陰極近傍でアーク分岐が生
じてアーク放電部位が多数に分散される、陰極表面に
元の陰極構成物質よりも高融点の化合物が形成されてそ
れが溶融部の広がりを抑える、等の作用によって、個々
の溶融部位の体積が小さく抑えられ、陰極前面2aでの
粗大な溶融部の形成が抑制される。その結果、大きな塊
の陰極物質4が発生するのを防止することができ、それ
によって、基材22の表面に面粗度の良好な薄膜を形成
することができる。
【0035】しかもこの実施例で用いているのはアーク
式蒸発源40であるので、電子ビーム加熱式蒸発源に比
べて、蒸発物質、即ち陰極物質4のイオン化率が高く、
従って高速成膜が可能で生産性が高い。また、このよう
なアーク式蒸発源40による真空蒸着とイオン源80か
らのイオン84のイオン照射とを併用して薄膜を形成す
るので、密着性の良好な薄膜を比較的低温で形成するこ
とができる。
【0036】ここで「比較的低温で」と言うのは、基材
の高温加熱を要するCVD法よりも低温でという意味で
あり、具体的な温度は形成しようとする薄膜の種類等に
よって異なり一概には言えないが、例えば室温〜数百℃
程度である。
【0037】このようにこのイオン蒸着薄膜形成装置に
よれば、面粗度の良好な薄膜を生産性良く形成すること
ができるため、安価でかつ鏡面仕上げを必要とする製
品、例えばレンズ成形金型、コンパクトディスク成形型
等の製造にも適用することができる。
【0038】また、従来の(即ち、ガス吹付け機構を有
していない)アーク式蒸発源を用いる場合は、成膜速度
を上げると膜の面粗度が悪化し、また蒸発速度の低い陰
極材料(例えばカーボン、チタン等)では堆積膜の面粗
度は比較的良いが、成膜速度が低く生産性が悪いという
問題があったけれども、この実施例のようなアーク式蒸
発源40を用いれば、どのような材料の陰極を用いて
も、高速でかつ面粗度の優れた薄膜の形成を行うことが
できる。
【0039】次に、面粗度のより良好な薄膜を形成する
ことができるように更に改善した実施例を説明する。図
2は、そのようなイオン蒸着薄膜形成装置の一例を示す
概略図である。
【0040】図1に示した実施例との相違点を主体に説
明すると、この実施例におけるアーク式蒸発源40は、
複数の棒状の永久磁石42を、各々の一方の磁極がフラ
ンジ6の後面ひいては陰極2の後面2bに対向するよう
に配置しており、それによって、陰極後面2bの後方近
傍に、互いに極性の異なる複数の磁極を形成している。
【0041】この永久磁石42の配置の詳細例を図3に
示す。この例では、複数の棒状の永久磁石42を、各々
の一方の磁極が陰極後面2bに対向するように、かつN
極とS極とが交互に並ぶように配置している。44は非
磁性材から成り各永久磁石42を支持する支持部材であ
る。
【0042】このような磁石配置によれば、陰極前面2
aの近傍において、多数の磁極によるマルチポール磁界
が形成される。これを詳述すると、陰極前面2aの近傍
には、図7に示し、かつその一部を拡大して図8に示す
ように、陰極前面2aに沿っていて多数の方向に向いた
磁界B、即ちマルチポール磁界が形成される。
【0043】これに対して、図1に示した実施例におけ
るアーク式蒸発源40に用いている単なる環状の永久磁
石8による場合は、図6に示すように、陰極前面2aに
沿っているけれども単純な放射状の磁界B、即ち単一磁
界が形成される。
【0044】図6に示すような単一磁界の場合は、陰極
前面2aの近傍における電子(これはアーク放電によっ
て生じたものである)の運動はあまり複雑にはならない
ため、陰極前面2aにガス吹付け機構32から反応性ガ
ス34を吹き付けてもその分子と電子との衝突確率はあ
まり大きくならず、従って反応性ガス34をイオン化し
て、陰極前面2aでの化合物形成を促進する作用はあま
り強くない。
【0045】また、図6に示すような単一磁界の場合
は、陰極前面2aの近傍におけるJ×B効果(Jはアー
クを流れる電流、Bは磁界)によるローレンツ力Fは、
アーク放電位置を単純な円58を描くように移動(ドリ
フト)させるだけであるので、そのドリフトによって、
陰極前面2aでの粗大溶融部の形成を阻止する作用はあ
まり強くない。36はアークの一状態を示す。
【0046】これに対して、例えば図7および図8に示
したようなマルチポール磁界の場合は、単一磁界の場合
に比べて、陰極前面2aの近傍における電子の運動が複
雑になって陰極前面近傍における電子密度が高くなり、
それによって、当該電子と、陰極前面2aにガス吹付け
機構32から吹き付けられる反応性ガス34の分子との
衝突確率が高くなって、反応性ガス34の分解、電離、
励起等が促進される。その結果、反応性ガス34と陰極
構成物質との反応が促進され、陰極前面2aでの高融点
化合物(これは、元の陰極材料よりも融点の高い化合物
のことである。以下同じ)の形成が促進され、それによ
って、陰極前面2aにおけるアークによる溶融部の広が
りが強く抑制される。
【0047】これは、陰極前面2aの近傍における一種
のマグネトロン放電を利用したものであるということが
でき、陰極前面2aにおける化合物の形成を促進するの
に大きな効果があるが、マルチポール磁界を利用すれ
ば、上記のような理由から、その効果が著しい。
【0048】また、マルチポール磁界の場合は、陰極前
面2aの近傍におけるJ×B効果によるローレンツ力F
は、単なる円状ではなく、例えば図7ないし図9に示す
ように、多数の小さな円状であってしかも互いに近接し
た、あるいは部分的に重なった円状に働く。その結果、
ローレンツ力Fによるアーク放電位置のドリフトは、単
なる円状ではなく、例えば図9中にその軌跡59を示す
ように、トロコイド状でしかも全体として大きな円状を
描く等の複雑な運動となる。その結果、陰極前面2aで
のアークによる粗大溶融部の形成が強く抑制される。
【0049】上記二つの作用が相俟って、陰極前面2a
でのアークによる粗大溶融部の形成が、より効果的かつ
徹底的に抑制される。その結果、陰極2から粗大な粒子
が飛散することをより確実に防止して、面粗度の極めて
良好な薄膜を基材22の表面に形成することができる。
【0050】尚、上記各永久磁石42は、それらからの
磁力線が効果的に陰極前面2aにまでに達するようにす
るために、できるだけ陰極後面2bに近づけて配置する
のが好ましい。近づけない場合は、永久磁石42の数を
減らして磁石間の間隔を大きくしても良い。これは以下
に説明する他の例においても同様である。
【0051】上記複数の永久磁石42は、図3の例のよ
うにN極とS極とが交互に並ぶように配置する代わり
に、N極とS極とが無秩序に並ぶように配置しても良
く、その場合でも、陰極前面2aの近傍にマルチポール
磁界が形成されるので、図3の例の場合とほぼ同様の作
用効果が得られる。
【0052】また、図4に示す例のように、中心となる
永久磁石46の周りに1以上の環状の永久磁石48を同
心状に、かつ各々の一方の磁極が陰極後面2bに対向す
るように、かつ環の内外方向においてN極とS極とが交
互に存在するように配置することによって、前述した極
性の異なる複数の磁極を形成しても良い。ここで言う環
状とは、図示例のような円環状以外に、方形環状等を含
む広い概念である。また、中心の永久磁石46も環状に
しても良い。
【0053】この例の場合も、陰極前面2aの近傍にマ
ルチポール磁界が形成され、それによって陰極前面2a
での高融点化合物の形成が促進されると共に、ローレン
ツ力によるアーク放電位置のドリフトがトロコイド状に
なる等の複雑な運動となるので、陰極前面2aでのアー
クによる粗大溶融部の形成を阻止する効果は著しい。
【0054】また、前述したような複数の棒状の永久磁
石42を、各々の一方の磁極が陰極後面2bに対向し、
かつ同極性のもの同士が同心環状に並び、かつ環の内外
方向においてN極群環とS極群環とが交互に存在するよ
うに配置しても良い。ここで言う環状とは、円環状、方
形環状等を含む広い概念である。つまり、複数の棒状の
永久磁石42で、図4に示す例とほぼ同様の磁極を形成
しても良い。この場合も、図4の例と同様の作用効果が
得られる。
【0055】また、図5に示す例のように、三つの電磁
石50を、各々の一方の磁極が陰極後面2bに対向する
ように、かつ所定の中心Oの周りに120度ごとに配置
し、それらに三相交流(即ち同一周波数で互いに120
度ずつ位相の異なる交流)を供給することによって、前
述した極性の異なる複数の磁極を形成しても良い。各電
磁石50は、この例では、棒状のコア52およびそれに
巻かれたコイル54を有している。
【0056】この例の場合、三つの電磁石50によって
形成される磁界は、陰極前面2aの面内において回転す
るので、アーク放電位置を、J×B効果によるローレン
ツ力によるだけでなく、磁界の回転によって強制的に回
転させることができる。その結果、陰極前面2aでのア
ークによる粗大溶融部の形成を効果的に抑制することが
できる。
【0057】上記電磁石50に供給する三相交流の周波
数は、あまり高いと磁界の回転にアークのドリフトが追
従できなくなるので、10Hz程度以下にするのが好ま
しく、その内でも1〜数Hz程度がより好ましい。
【0058】ところで、前述したガス吹付け機構32
は、例えば図10に示す例のように、ガス供給パイプ3
3の先端部に、陰極2の前面2a付近の側方の周囲を取
り囲むリング状部60を設け、このリング状部60に、
複数のガス吹出し口62を分散配置、より好ましくはほ
ぼ均等に分散配置した構造にしても良い。そのようにす
れば、陰極2の前面2aに反応性ガス34をより均一に
吹き付けることができるので、陰極前面2aにおいてア
ーク放電の陰極点をより多数に分散させたり、陰極前面
2aに高融点化合物をより均一に形成したりすることが
でき、それによって陰極前面2aでの粗大溶融部の形成
を一層効果的に抑制することができる。
【0059】陰極2がカーボン(黒鉛)の場合、カーボ
ンはアークによって溶融させられるのではなく、昇華さ
せられる。その際、従来の(即ち、ガス吹付け機構を有
していない)アーク式蒸発源では、カーボンが昇華する
時にパチンと弾けて大きな塊が飛び散り(これを突沸と
いう)、これが基材22の表面に形成される薄膜の面粗
度を悪化させる。これに対して、上記各実施例における
アーク式蒸発源40では、ガス吹付け機構32から反応
性ガス34として水素ガスを陰極前面2aに吹き付ける
ことにより、陰極前面2aに、気化性を有する炭化水素
系の化合物を形成させてその状態で蒸発させることがで
きるので、粗大粒子の飛散を防止することができる。
尚、基材22に到達した化合物中から水素はガスとして
放出されるので、基材表面には炭素が堆積される。
【0060】このような炭化水素系化合物の形成作用
は、図1に示した実施例におけるアーク式蒸発源40に
おいても得られるが、それの単一磁界による場合より
も、図2以降に示した実施例におけるアーク式蒸発源4
0のようにマルチポール磁界による方が、前述したよう
に、反応性ガス34の分解、電離、励起等をより促進す
ることができるので、炭化水素系の化合物をより効果的
に形成することができ、その結果、粗大粒子の飛散をよ
り効果的に抑制することができる。
【0061】次に、より具体的な実施例を幾つか説明す
る。
【0062】<実施例1>図1に示した実施例の装置を
用いて、真空容器16内を1×10-5Torr以下まで
十分に排気した後に薄膜の形成を行った。陰極2の材料
には純度3Nのチタン(Ti)を用い、陰極2に反応性
ガス34として窒素ガス(N2 )を吹き付けると共に、
イオン源80にもガス82として窒素ガスを導入してイ
オン84として窒素イオンを引き出し、TiN膜を基材
22の表面に形成した。
【0063】電子ビーム加熱式蒸発源を用いた図11に
示す従来の装置においても、平滑な膜を形成することは
できるが、Tiの蒸着速度が3μm/hrを越えると、
TiとNとの比が、Ti/N>1となり、化学量論的組
成からずれてしまう。これに対してこの実施例の装置の
場合は、平滑な膜が得られるだけでなく、Tiの蒸着速
度が10μm/hrでもTiとNとの比は、Ti/N=
1であり、ほぼ化学量論的組成のTiN膜が得られた。
【0064】また、図2に示した実施例の装置において
アーク式蒸発源40の磁石配置を図3に示すものとした
場合も、上記とほぼ同じ結果が得られた。
【0065】<実施例2>図1に示した実施例の装置を
用いて、真空容器16内を1×10-5Torr以下まで
十分に排気した後に薄膜の形成を行った。陰極2の材料
には純度3Nのクロム(Cr)を用い、陰極2に反応性
ガス34として窒素ガス(N2 )を吹き付けると共に、
イオン源80にもガス82として窒素ガスを導入してイ
オン84として窒素イオンを引き出し、更に、真空容器
16内にガス導入口26から反応性ガス28としてメタ
ンガス(CH4 )を導入して、CrCN膜を基材22の
表面に形成した。
【0066】電子ビーム加熱式蒸発源を用いた図11に
示す従来の装置では、Crの蒸着速度が6μm/hrを
越えると、Cr/(C+N)>1となるが、この実施例
の装置では、Crの蒸着速度が24μm/hrでも上記
比は1に等しく、また、得られたCrCN膜の面粗度は
Ra=0.05μm(Raは最大表面粗さ)と平滑であ
った。
【0067】また、図2に示した実施例の装置において
アーク式蒸発源40の磁石配置を図3に示すものとした
場合は、上記と同様にCrの蒸着速度が24μm/hr
でも上記比は化学量論値の1に等しく、また得られたC
rCN膜の面粗度はRa=0.03μmに改善された。
【0068】<実施例3>図1に示した実施例の装置を
用いて、真空容器16内を1×10-5Torr以下まで
十分に排気した後に薄膜の形成を行った。陰極2の材料
にはホウ素(B)を用い、陰極2に反応性ガス34とし
て窒素ガス(N2 )を吹き付けると共に、イオン源80
にもガス82として窒素ガスを導入してイオン84とし
て窒素イオンを引き出し、BN膜を基材22の表面に形
成した。
【0069】電子ビーム加熱式蒸発源を用いた図11に
示す従来の装置でも、平滑な六方晶、立方晶またはアモ
ルファスのBN膜が形成されるが、化学量論的組成を得
るためのBの蒸着速度の上限値が0.5μm/hrと低
い。これに対してこの実施例の装置の場合は、平滑な六
方晶、立方晶またはアモルファスのBN膜が得られる
が、化学量論的組成のBN膜を得るためのBの蒸着速度
の上限値は2μm/hrと高かった。
【0070】また、図2に示した実施例の装置において
アーク式蒸発源40の磁石配置を図4に示すものとした
場合は、得られるBN膜の面粗度がRa=0.05μm
からRa=0.02μmに向上することが分かった。
【0071】<実施例4>図1に示した実施例の装置を
用いて、真空容器16内を1×10-5Torr以下まで
十分に排気した後に薄膜の形成を行った。陰極2の材料
にはアルミニウム(Al)を用い、陰極2に反応性ガス
34として窒素ガス(N2 )を吹き付けると共に、イオ
ン源80にもガス82として窒素ガスを導入してイオン
84として窒素イオンを引き出し、AlN膜を基材22
の表面に形成した。
【0072】電子ビーム加熱式蒸発源を用いた図11に
示す従来の装置でも、平滑なAlN膜が形成されるが、
この実施例の装置に比べると、化学量論的組成のAl膜
を得るための成膜速度の上限値は約1/3と低かった。
【0073】また、図2に示した実施例の装置において
アーク式蒸発源40の磁石配置を図5に示すものとした
場合は、得られるAlN膜の面粗度Raは、従来の装置
の場合に比べて1/4になり、平滑性がより向上するこ
とが分かった。
【0074】<実施例5>図1に示した実施例の装置を
用いて、真空容器16内を1×10-5Torr以下まで
十分に排気した後に、陰極2に黒鉛を用い、陰極に吹き
付ける反応性ガス34を水素として、基材22の表面に
ダイヤモンド状カーボン(DLC)を蒸着した。このと
き、イオン源80にガス82として水素ガスとArガス
との混合ガスを導入し、基材22には水素イオンとAr
イオンとの混合イオンを照射した。水素イオンは、DL
C膜中のグラファイトをエッチング除去する作用をす
る。Arガスは、イオン源80における水素のイオン化
率を向上させる作用をする。
【0075】電子ビーム加熱式蒸発源を用いた図11に
示す従来の装置でも、DLC膜は形成されるが、この実
施例の装置に比べると、DLC膜の成膜速度の上限値は
約1/5と低い。即ち、前者では0.2μm/hrであ
るのに対して、後者では1μm/hrの上限値が得られ
た。
【0076】図2に示した実施例の装置においてアーク
式蒸発源40の磁石配置を図3に示すものとした場合
も、上記とほぼ同じ結果が得られた。
【0077】
【発明の効果】この発明は上記のとおり構成されている
ので、次のような効果を奏する。
【0078】請求項1の装置によれば、ガス吹付け機構
を有するアーク式蒸発源を備えているので、その陰極前
面での粗大な溶融部の形成が抑制される。その結果、大
きな塊の陰極物質が蒸発するのを防止することができ、
それによって、基材表面に面粗度の良好な薄膜を形成す
ることができる。
【0079】しかも、アーク式蒸発源を用いているので
蒸発物質のイオン化率が高く、従って高速成膜が可能で
生産性が高い。また、このようなアーク式蒸発源による
真空蒸着とイオン照射とを併用して薄膜を形成するの
で、密着性の良好な薄膜を比較的低温で形成することが
できる。
【0080】また、従来の電子ビーム加熱式蒸発源を用
いた装置の場合は、成膜速度を上げると膜の組成が変動
し、化学量論的組成の化合物薄膜が得られなくなる問題
があり、また蒸発速度の低い蒸発材料を用いて成膜する
場合は、膜組成の変動は少ないが成膜速度が低く、結果
としていずれの場合も生産性が悪い問題があったが、こ
の発明の装置によれば、アーク式蒸発源の陰極にどのよ
うな材料を用いても、高速でかつ面粗度の良好な薄膜を
形成することができる。
【0081】請求項2ないし7の装置によれば、次のよ
うな更なる効果を奏する。即ち、アーク式蒸発源の陰極
前面近傍においてマルチポール磁界が形成され、それに
よって陰極前面近傍における反応性ガスと陰極構成物質
との反応が促進され、陰極前面において、元の陰極材料
よりも高融点の化合物の形成やカーボン陰極の場合の炭
化水素系化合物の形成が促進されるので、陰極からの粗
大粒子の溶融・飛散が強く抑制される。しかも、上記磁
界とアーク電流とのローレンツ力等によって、アーク放
電位置のドリフトが強く促進されるので、陰極前面での
アークによる粗大溶融部の形成が強く抑制される。これ
らの作用が相俟って、陰極から粗大な粒子が飛散するこ
とをより確実に防止して、面粗度の極めて良好な薄膜を
形成するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るイオン蒸着薄膜形成
装置を示す概略図である。
【図2】この発明の他の実施例に係るイオン蒸着薄膜形
成装置を示す概略図である。
【図3】アーク式蒸発源における磁石配置の一例を示す
ものであり、Aは断面図、Bはそのb−b方向に見た正
面図である。
【図4】アーク式蒸発源における磁石配置の他の例を示
すものであり、Aは断面図、Bはそのb−b方向に見た
正面図である。
【図5】アーク式蒸発源における磁石配置の更に他の例
を示すものであり、Aは断面図、Bはそのb−b方向に
見た正面図である。
【図6】単一磁界の場合のアーク式蒸発源におけるアー
クの振舞いを説明する図である。
【図7】マルチポール磁界の場合のアーク式蒸発源にお
けるアークの振舞いを説明する図である。
【図8】図7中の磁界の一部を拡大して示す図である。
【図9】図7中のアーク放電位置の軌跡の一例を拡大し
て示す図である。
【図10】ガス吹付け機構の他の例を示す正面図であ
る。
【図11】従来のイオン蒸着薄膜形成装置の一例を示す
概略図である。
【符号の説明】
2 陰極 2a 陰極前面 2b 陰極後面 4 陰極物質 14 アーク電源 16 真空容器 20 ホルダ 22 基材(被処理物) 32 ガス吹付け機構 34 反応性ガス 40 アーク式蒸発源 42,46,48 永久磁石 50 電磁石 80 イオン源 84 イオン

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、この真空容器内に設けられ
    ていて基材を保持するホルダと、このホルダに保持され
    た基材に蒸発物質を蒸着させる蒸発源と、前記ホルダに
    保持された基材にイオンを照射するイオン源とを備え、
    真空蒸着とイオン照射とを併用して基材の表面に薄膜を
    形成するイオン蒸着薄膜形成装置において、前記蒸発源
    として、陰極におけるアーク放電を利用して陰極物質を
    蒸発させるものであって、陰極構成物質と反応する反応
    性ガスを陰極前面に吹き付けるガス吹付け機構を有する
    アーク式蒸発源を備えていることを特徴とするイオン蒸
    着薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 前記アーク式蒸発源の陰極の後面の後方
    近傍に、互いに極性の異なる複数の磁極を、陰極後面に
    対向させて配置している請求項1記載のイオン蒸着薄膜
    形成装置。
  3. 【請求項3】 複数の棒状の永久磁石を、各々の一方の
    磁極が前記陰極後面に対向するように、かつN極とS極
    とが交互に並ぶように配置することによって、前記極性
    の異なる複数の磁極を形成している請求項2記載のイオ
    ン蒸着薄膜形成装置。
  4. 【請求項4】 複数の棒状の永久磁石を、各々の一方の
    磁極が前記陰極後面に対向するように、かつN極とS極
    とが無秩序に並ぶように配置することによって、前記極
    性の異なる複数の磁極を形成している請求項2記載のイ
    オン蒸着薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】 複数の棒状の永久磁石を、各々の一方の
    磁極が前記陰極後面に対向し、かつ同極性のもの同士が
    同心環状に並び、かつ環の内外方向においてN極群環と
    S極群環とが交互に存在するように配置することによっ
    て、前記極性の異なる複数の磁極を形成している請求項
    2記載のイオン蒸着薄膜形成装置。
  6. 【請求項6】 中心となる永久磁石の周りに1以上の環
    状の永久磁石を同心状に、かつ各々の一方の磁極が前記
    陰極後面に対向するように、かつ環の内外方向において
    N極とS極とが交互に存在するように配置することによ
    って、前記極性の異なる複数の磁極を形成している請求
    項2記載のイオン蒸着薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】 三つの電磁石を、各々の一方の磁極が前
    記陰極後面に対向するように、かつ所定の中心の周りに
    120度ごとに配置し、それらに三相交流を供給するこ
    とによって、前記極性の異なる複数の磁極を形成する請
    求項2記載のイオン蒸着薄膜形成装置。
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