JP4647476B2 - 成膜装置 - Google Patents

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本発明は成膜装置に関する。
図7の符号101は従来技術の成膜装置を示している。
この蒸着装置101は真空槽102を有しており、真空槽102の底壁には蒸着源103が取り付けられている。
蒸着源130は円筒状のアノード電極131と、アノード電極131内部に配置された放電部135とを有している。放電部135は、蒸着材料134と、トリガ電極132とを有しており、トリガ電極132と蒸着材料134はそれぞれ電源装置141に接続されている。
真空槽102には真空排気系109が接続されており、真空排気系109によって真空槽102内部を真空排気して真空雰囲気を形成した後、アノード電極131を接地電位に置いた状態で、トリガ電極132と蒸着材料134との間にトリガ放電を起こすと、トリガ放電によってアノード電極131と蒸着材料134との間にアーク放電が誘起される。
アーク放電が誘起されると、アノード電極131から蒸着材料134に向かってアーク電流が流れ、蒸着材料134の側面から蒸着材料134の粒子が放出される。蒸着材料の粒子のうち、荷電粒子はアーク電流が形成する磁界によって飛行以降が曲げられ、アノード電極131の開口136から真空槽102内部に放出される。
基板ホルダ107は基板111を開口136と対向する位置を通過させるように水平面内で回転し、基板111が開口136と対向する位置を通過する時に、その表面に荷電粒子が到達して蒸着材料の薄膜が形成される。
上述した成膜装置101では、アーク放電の回数で成膜量が決まるので、アーク放電の回数を設定することで非常に薄い膜(1〜2nm)でも制御よく成膜することが可能である。
また、蒸着源130から放出される粒子の飛行速度は10000m/秒以下(文献:J、Vac.Sec.Jpn(真空)Vol.47、No.9、2004 pl3)と早いため非常に平坦な膜が形成される(Ulvac techinical Journal No.49 1998 p9)。
この特徴は磁性デバイス、特にMRAM等の磁性、非磁性材料をnmの薄膜で積層させていくプロセスに向いている。例えばCo・FeNi/Ta/Py/Ir・Mn等を膜厚がnmの単位で積層させなければならない時には、真空槽102内に蒸着源130を4つ搭載した装置を用いれば、同じ基板の上に上記材料を積層させることができる。
図7に示した同軸型真空アーク蒸着源130ではカソード材(蒸着材料134)に用いた合金の比率と、成膜された薄膜中の合金の比率が略等しくなることが確認されており、所望の合金比率のカソード材を用いることで、所望の合金比率の薄膜が成膜される。
ところで、アーク電流が流れる時には、蒸着材料134の一部が溶融し、その溶融部分から直径約50〜100μmの溶融物(ドロップレット)が放出される。 図8の符号147はそのドロップレットを示しており、ドロップレット147はそのまま開口136から放出されるか、アノード電極131の内壁面に衝突して直径約1〜5μmの細かいドロップレット146となって開口136から放出される(図8)。
従って、開口136からは荷電粒子145の他に、大小のドロップレット146、147が放出されることになる。このドロップレット146、147は大小いずれのものも直径が1μm以上であり、荷電粒子に比べて非常に大きい。このようなドロップレット146、147が成膜中の薄膜に混入すると膜質が悪くなり、成膜後に得られるデバイスの機能が低下する。
このドロプレット146、147を除去するためには色々な方法が考案されている。その一つにはアーク蒸着源130の前方で水車のようなフィルタ(以下、Vane型フィルタと呼称する)を高速回転させて、ドロプレット146、147と、荷電粒子145の飛行速度の差から、荷電粒子145よりも飛行速度の遅い1μm以上のドロプレット146、147を捕獲するものである。但し、このVane型フィルタを用いる方法では、蒸着材料の種類によっては非常に高速に回転させなければならず、コストと安全面からも問題が多い。
他の方法としては、開口136から基板111に向かう進行方向に沿って磁力線を形成して、その磁力線を這わせて荷電粒子を輸送する方法がある(例えば特許文献2、3を参照)。この方法は装置が大掛かりになるだけではなく、開口136から基板111までの輸送空間の距離が長く、荷電粒子の基板111への到達量が減少してしまい、成膜効率が悪くなる。
更に、その輸送空間を形成するために磁界形成手段を真空槽102内に配置すると、ドロップレットがその磁界形成手段に衝突して細かいドロップレットが発生し、そのドロップレットが成膜中の薄膜に混入するという新たな問題も生じた。
また、ヨークと磁石を用いて90度以上折れ曲がった磁気回路を形成し、その磁気回路の磁力線と荷電粒子の拡散方向とを同じにして、荷電粒子の飛行方向を偏向させる方式では(例えば特許文献4を参照)、ドロプレットは低減できるが、磁力線が磁石上に近づくため磁束密度が高くなり、荷電粒子が収束し飛行粒子の密度が高くなり、大きな面積に均一に照射できない問題があった。
「Journal of the Vacuum Society of Japan」2004年、第47巻 9号、p.l3) 「Ulvac techinical Journal」、(株)アルバック・コーポレートセンター、1998年、 No.49、p.9) 特開2000−8157号公報 特開2003−321769号公報 特開2004−197177号公報 特開2004−225107号公報
本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、成膜面積を狭くせず、成膜効率も下げずに薄膜に混入するドロップレットを低減させることである。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、真空槽と、蒸着材料の荷電粒子を前記真空槽内に放出する蒸着源とを有し、前記真空槽内に配置された基板ホルダに基板を配置し、前記基板に前記荷電粒子を到達させ、前記基板表面に薄膜が形成されるように構成された成膜装置であって、前記成膜装置は、放出された前記荷電粒子の放出方向とは垂直な一方向に磁力線を形成する磁界形成手段を有し、前記磁力線は、前記蒸着源から放出された電子が、前記基板ホルダ方向に曲げられるローレンツ力を及ぼす方向に形成され、前記基板方向に曲げられた前記電子が形成する電子雲が正の荷電粒子に及ぼす静電引力と前記磁力線が前記正の荷電粒子に及ぼすローレンツ力との差で、前記正の荷電粒子を前記基板ホルダ方向に曲げ、前記基板の表面に前記蒸着材料の荷電粒子が到達するように構成された成膜装置である。
請求項記載の発明は、請求項記載の成膜装置であって、前記蒸着源は、筒状のアノード電極と、前記アノード電極の内部に配置された放電部とを有し、前記放電部は蒸着材料とトリガ電極とを有し、前記トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電を発生させると、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放電が誘起され、前記アーク放電によって前記アノード電極と前記蒸着材料の間にアーク電流が流れ、前記蒸着材料から前記荷電粒子が放出され、前記荷電粒子は前記アーク電流が形成する磁界によってその飛行方向が曲げられ、前記アノード電極の開口から前記真空槽内部に放出されるよう構成された成膜装置である。
請求項記載の発明は、請求項記載の成膜装置であって、前記アノード電極は、その中心軸線が前記磁力線と直交するよう配置された成膜装置である。
本発明は上記のように構成されており荷電粒子が真空槽内に放出される放出方向と垂直な方向に磁力線を形成すると、磁力線によって荷電粒子と電子との飛行方向が曲げられる。
このとき、ドロップレットは磁力線の影響を受けずに直進するので、基板を直進するドロップレットが到達しない位置であって、飛行方向が曲げられた荷電粒子が到達する場所に配置すれば、基板表面にドロップレットの混入が無い薄膜を形成することができる。
本発明によれば、従来のように荷電粒子を長い距離飛行させなくても、磁力線が形成された領域を通過させるだけで荷電粒子とドロップレットを分離させることができるので、成膜効率が高い。
荷電粒子の飛行方向を変えるための磁力線は、荷電粒子の放出方向と直交すればよく、従来のように磁力線を曲げる必要が無いので、磁界形成手段の装置の構造も簡易である。
荷電粒子は磁力線に沿って飛行せずに、磁力線によって飛行方向を曲げられた後は直進するので、上記磁気回路を用いた従来の成膜装置のように、荷電粒子が収束しない。従って、基板表面に荷電粒子が到達し、薄膜が成長する領域が狭くならない。
磁界形成手段を真空槽の外部に配置すれば、装置の構成やメンテナンスが容易になるだけではなく、蒸着源から放出されるドロップレットが磁界形成手段に衝突せず、細かいドロップレットが飛散しないので、薄膜中のドロップレット混入が低減される。
本発明によれば、基板表面にはドロップレットが到達しないので、基板表面に膜質の良い薄膜を形成することができる。また、荷電粒子を長い距離飛行させなくても、ドロップレットから分離可能であり、成膜効率が高い。荷電粒子は飛行中に収束されないので、成膜領域も狭くならない。
図1の符号1は本発明の成膜装置の一例を示しており、成膜装置1は真空槽2と、基板ホルダ7と、蒸着源30と、磁界形成手段50とを有してる。
真空槽2の天井には軸状の回転力伝達手段20が気密に挿通されており、回転力伝達手段20は外軸23と、外軸23に挿通された内軸22とを有している。
基板ホルダ7は円盤状であって、真空槽2の内部で水平にされた状態で外軸23に接続されている。
基板ホルダ7には、その円盤の放射方向の中央位置から所定距離離間した場所に複数の取り付け部8がそれぞれ設けられており、各取り付け部8は成膜対象物である基板11を略水平に保持するよう構成されている。図1は各取り付け部8に基板11がそれぞれ保持された状態を示している。
外軸23と内軸22はそれぞれ真空槽2外部の動力手段26、27に接続されている。基板ホルダ7には外軸23によって動力手段27の動力が伝達され、基板ホルダ7は円盤の中心を回転中心C1として水平面内で回転する。
取り付け部8には内軸22によって動力手段26の動力が伝達されるように構成されており、その動力が取り付け部8に伝達されると、基板11は基板ホルダ7の回転中心C1を中心とした円周に沿って移動しながら、基板11の中心C2と基板ホルダ7の回転中心C1とが相対的に静止した状態で、その中心C2を回転中心として水平面内で回転するように構成されている。
蒸着源30は真空槽2側壁の底壁近傍に取り付けられている。蒸着源30は筒状のアノード電極31を有しており、アノード電極31は一端部が真空槽2に気密に挿通されている。図1の符号36はアノード電極31の筒の開口のうち、真空槽2内部に配置された開口を示しており、後述するようにアノード電極31の内部で粒子が発生すると、粒子は開口36から真空槽2内部に放出される。
図2の符号Fは開口36の中心を通る軸線であって、開口36が構成する平面を垂直に通る放出軸線を示している。この放出軸線Fは真空槽2のアノード電極31とは反対側の側壁と交差しており、粒子はその放出軸線Fと平行な方向、即ち真空槽2の側壁に向かう方向に放出される。
磁界形成手段50は第一、第二の磁石部材51、52を有している。第一、第二の磁石部材51、52は板状であって、片面を真空槽2の側壁に向けて鉛直に立設されている。
図2の符号53は第一の磁石部材51の真空槽2側の表面(第一面)を、同図の符号54は第二の磁石部材52の真空槽2側の表面(第二面)をそれぞれ示しており、第一、第二面に53、54にはそれぞれ磁極が形成されている。
第一面53に形成された磁極と、第二面54に形成された磁極の組み合わせは、第一面53にN極がある時には第二面54にS極があり、第一面53にS極がある時には第二面54にN極がある。従って、第一、第二面53、54には互いに反対の磁性の磁極が形成されている。
第一、第二面53、54の形状は同じ形、同じ面積にされており、第一、第二の磁石部材51、52は、第一、第二面53、54の間に、第一、第二面53、54に対して垂直な磁力線が形成されるように、真空槽2を挟んで互いに平行に向き合っている。ここでは、真空槽2は透磁性の材料で構成されており、従って真空槽2の内部には平行な磁力線が通る偏向空間39が形成される。
蒸着源30は、放出軸線Fが、偏向空間39の略中央位置を、その偏向空間39を通る磁力線と垂直な角度で貫くように配置されており、開口36から放出される粒子は、偏向空間の磁力線に対して垂直方向に入射する。
開口36から放出される粒子には、正の荷電粒子と、負の荷電粒子(例えば電子)とがある。フレミング左手の法則で、偏向空間39を通る磁力線の向きMを人差し指の指し示す方向とし、開口36から放出される正の荷電粒子の放出方向を中指の指し示す方向とし、その正の荷電粒子に加えられるローレンツ力の向きを親指の指し示す方向とした時に、第一面53の磁極と、第二面54の磁極との組み合わせは、親指の指し示す方向が鉛直下向き、即ち基板ホルダ7と反対側を指し示すようになっている。
開口36から放出される電子は、正の荷電粒子に加えられるローレンツ力の向きと反対方向の力を受け、鉛直上向き、即ち基板ホルダ7が位置する方向に曲げられ、基板ホルダ7の近傍に電子雲が形成される。
上述したように電子雲が形成された状態では、開口36から放出された微小荷電粒子45には、電子雲から静電力が加えられる。その静電力の方向は基板ホルダ7が位置する方向である。
正の荷電粒子には電荷質量比(電荷/質量)が大きいものと小さいものがある。図3の符号45は正の荷電粒子のうち、電荷質量比が大きい微小荷電粒子を示しており、微小荷電粒子45は静電力とローレンツ力との差の力による影響が大きいから、静電力がローレンツ力よりも大きくなると、その飛行方向が基板ホルダ7が位置する方向に曲がる。
基板ホルダ7と、第一、第二の磁石部材51、52と、開口36との位置関係は、飛行方向が曲げられた微小荷電粒子45が、基板11が移動する円周の一部(成膜領域6)に到達するように構成されており、飛行方向が曲げられた微小荷電粒子45は成膜領域6を通過する基板11の表面に入射して薄膜が成長する。
このとき、基板11をその中心C2を回転中心として水平面内で回転させておけば、基板11表面に到達する微小荷電粒子45の量が均一化されるので、基板11表面には膜厚均一な薄膜が形成される。
他方、質量が大きい荷電粒子や中性粒子等の巨大粒子46は、微小荷電粒子45に比べて電荷質量比が非常に小さく、静電力とローレンツ力との差の力による影響が小さいから、静電力がローレンツ力よりも大きくなっても、その飛行方向が変らず、放出軸線Fに沿って移動する。
従って、巨大粒子46は基板11に到達せず、基板11に成長する薄膜に巨大粒子46が混入されないので、基板11表面には膜質の良い薄膜が形成される。尚、本発明で微小荷電粒子45とは1000個以上2000個以下の原子が集合したクラスタ粒子や、クラスタ粒子よりも質量が小さい原子状粒子であって、直径が1μm未満のものを示し、巨大粒子46とは直径1μm以上のものを示す。
次に、本発明の成膜装置1に用いられる蒸着源30の一例について説明すると、図1に示すように、蒸着源30はアノード電極31の他に放電部35を有している。
放電部35は棒状であって、先端を開口36に向けた状態でアノード電極31の内部に配置されている。放電部35は蒸着材料34とトリガ電極32とを有しており、蒸着材料34は放電部35の先端に配置され、トリガ電極32は蒸着材料34よりもアノード電極31底壁側に配置されている。
ここでは、蒸着材料34はアノード電極31の内径よりも小径の柱状であって、その中心軸線がアノード電極31の中心軸線と一致しており、従って蒸着材料34の側面と、アノード電極31の内壁面との間には隙間がある。
真空槽2の外部には電源装置41が配置されている。ここでは電源装置41はトリガ電源42と、アーク電源43と、コンデンサユニット44とを有しており、アーク電源43を動作させるとコンデンサユニット44が充電される。
トリガ電源42はトリガ電極32と蒸着材料34の間に電圧を印加するよう構成されている。
トリガ電極32と蒸着材料34の間には絶縁碍子33が配置されており、真空槽2に接続された真空排気系9を動作させて真空槽2内部に真空雰囲気を形成し、アノード電極31と真空槽2とを接地電位に置いた状態で、トリガ電極32と蒸着材料34の間に電圧を印加すると、絶縁碍子33の側面に沿面放電が発生し、蒸着材料34と絶縁碍子33の境界から電子が放出される(トリガ放電)。
コンデンサユニット44は蒸着材料34に接続されており、トリガ放電が起こるとアノード電極31と蒸着材料34との間の隙間の絶縁耐性が低下してコンデンサユニット44が放電し(アーク放電)、アノード電極31から蒸着材料34に多量の電流(1400A〜2000A、アーク電流)が流れる。
蒸着材料34にアーク電流が流れると、蒸着材料34から上述した微小荷電粒子45と電子が放出される。
蒸着材料34は、その形状が柱状の時にはその中心軸線がアノード電極31の中心軸線と一致し、その形状がリング状の時にはリング中心をアノード電極31の中心軸線が通るように配置されており、アノード電極31の中心軸線の周りには均等に蒸着材料34が配置されているので、微小荷電粒子45と電子はアノード電極31の中心軸線を中心とする範囲に発生する。
蒸着材料34から放出された電子は、蒸着材料34から放出された直後はアノード電極31の内壁面に向かうが、自身の飛行により形成される磁界によってその飛行方向が開口36側に曲げられ、正の微小荷電粒子45は電子に引き寄せられてその飛行方向が電子と同じ方向に曲げられ、開口36から放出される。従って、電子と正の微小荷電粒子45が放出された方向は同じ放出軸線Fに沿った方向になる。上述したように、放出軸線Fは開口36の中心を開口36が構成する面と垂直な方向に伸びるから、放出軸線Fはアノード電極31と一致している。
荷電粒子はアノード電極31の中心軸線を中心とする範囲に発生するから、開口36から放出される微小荷電粒子45と電子の束は、その中心がアノード電極31の中心軸線と一致する。
尚、蒸着材料34にアーク電流が流れる時には蒸着材料34が高温に昇温し、その一部が溶融すると、その溶融した部分から直径約50μm〜100μmの液滴が飛散し、その液滴がアノード電極31の内壁面に衝突すると直径約1〜5μmの微小液滴となる。微小液滴や液滴のように直径1μm以上の粒子は電荷質量比が小さいので、上述したように基板ホルダ7が位置する方向には飛行せず、薄膜に混入されない。
第一、第二の磁石部材51、52として、長さ(L)150mm、高さ(H)100mm、厚み10mmの長方形の板状の永久磁石を用い、第一、第二の磁石部材51、52を、第一、第二面53、54間の空間距離が200mmになるよう配置した。第一、第二面53、54間の磁力線が形成される領域の中心の磁束密度は150Gaussであった(図4)。
アノード電極31の中心軸線から基板11表面までの高さAが100mm、基板11の中心C2から開口36が位置する平面までの距離Bが50mmになるように基板11を配置し、真空槽2内に真空雰囲気を形成し、鉄からなる蒸着材料34を用いてアーク放電を6000発起こしたところ、基板11表面の直径10cmの領域に、膜厚分布が約±10%の範囲にあり、平均膜厚が60nm〜70nmの鉄の薄膜が形成された。この薄膜の電子顕微鏡写真を図5に示す。
また、比較例として磁界形成手段50を用いず、基板11を開口36と対向する位置に配置させた以外は上記実施例と同じ条件で鉄の薄膜を成膜した。比較例の薄膜の電子顕微鏡写真を図6に示す。
図5、6を比較すると明らかなように、比較例に比べて実施例の薄膜は緻密で、液滴の混入も少なかった。このように、本願の成膜装置1を用いると液滴の混入量が少なく、膜質の良い薄膜が成膜されることが確認された。
尚、上記実施例に用いた蒸着源30は、直径10mmの円柱状の蒸着材料34と、円板状の絶縁碍子33と、円筒状のトリガ電極32とが不図示のネジで密着して取り付けられた放電部35が、内径(開口36の直径)が30mmのアノード電極31内に配置され、絶縁碍子33の材質がアルミナ、トリガ電極32とアノード電極31の材質がステンレス製であった。
また、上記実施例に用いた電源装置41を詳細に説明すると、コンデンサユニット44は1つの容量が2200μF(耐圧:160V)のコンデンサが4つ並列に接続されたものを用い、トリガ電源42はパルストランスからなり、入力200Vのμsのパルス電圧を約17倍に変圧して3.4kV(数μA)極性:プラスを出力するものを用いた。アーク電源43は100V数Aの容量の直流電源であり、トリガ放電を起こす前に100Vで電荷をコンデンサユニット44を充電しておく。コンデンサユニット44を充電するのに約1秒間必要とするので、この電源装置41では8800μFで放電を繰り返す場合の周期は1Hzで行われる。
トリガ電源42のプラス出力端子をトリガ電極32に接続し、マイナス端子はアーク電源43のマイナス側出力端子と同じ電位に接続し、蒸着材料34に接続させた。アーク電源43のプラス端子はグランド電位に接地させ、アノード電極31に接続させた。コンデンサユニット44の両端子はアーク電源43のプラスおよびマイナス端子間に接続させた。
真空排気系9はターボ分子ポンプ、バルブ、ロータリポンプとを有し、ターボ分子ポンプからロータリポンプまでは金属製の真空配管で接続され、真空槽2内部を真空排気可能なものを用いた。真空槽2内部には圧力10-5Pa以下の真空雰囲気を形成した。
以上は、基板11が成膜領域6を通過するときに薄膜が形成される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基板11を成膜領域6で静止させて成膜を行ってもよい。
磁界形成手段50に用いる第一、第二の磁石部材51、52も特に限定されず、対向する第一、第二面53、54に異なる極性の磁極が配置されるのであれば、第一、第二の磁石部材51、52にそれぞれ永久磁石を用いてもよいし、第一、第二の磁石部材51、52にそれぞれ電磁石を用いてもよい。
また、第一、第二の磁石部材51、52のいずれか一方を永久磁石で構成し、他方を電磁石で構成してもよい。更に、第一、第二の磁石部材51、52をそれぞれ複数個の単位磁石で構成してもよい。磁界形成手段50は上述したように真空槽2の外部に配置してもよいし、真空槽2の内部に配置してもよい。
1つの成膜装置1に設ける蒸着源30の数も特に限定されず、2つ以上の蒸着源30を同じ真空槽2に接続してもよい。この場合、各蒸着源30に同じ蒸着材料34を用いれば厚い薄膜が形成されるし、各蒸着源30に異なる種類の蒸着材料34を用いれば、1枚の基板11上に複数種類の膜を積層することができる。
また、真空槽2にガス供給系を接続し、真空槽2内にガス供給系から蒸着材料34の荷電粒子と反応する反応性ガスを供給して成膜を行えば、蒸着材料と反応ガスの生成物からなる薄膜を形成することができる。
本願の成膜装置及び製造方法は、半導体のゲート電極やゲート絶縁膜、半導体のトレンチに形成するバリア層、磁性デバイスの磁性材料の成膜、更に機械部品のコーティング、カーボンナノチューブの触媒層形成等種々の分野に使用することができる。
本発明の成膜装置を説明する断面図 本発明の成膜装置を説明する他の断面図 荷電粒子の飛行方向を説明する模式的な断面図 基板の配置を説明する模式的な断面図 本発明の成膜装置で成膜された薄膜の電子顕微鏡写真 従来技術の成膜装置で成膜された薄膜の電子顕微鏡写真 従来技術の成膜装置を説明する断面図 従来技術の成膜装置で荷電粒子が飛行する状態を説明する断面図
符号の説明
1……成膜装置 11……基板 30……蒸着源 32……トリガ電極 34……蒸着材料 36……開口 45……荷電粒子 50……磁界形成手段

Claims (3)

  1. 真空槽と、蒸着材料の荷電粒子を前記真空槽内に放出する蒸着源とを有し、
    前記真空槽内に配置された基板ホルダに基板を配置し、前記基板に前記荷電粒子を到達させ、前記基板表面に薄膜が形成されるように構成された成膜装置であって、
    前記成膜装置は、放出された前記荷電粒子の放出方向とは垂直な一方向に磁力線を形成する磁界形成手段を有し、
    前記磁力線は、前記蒸着源から放出された電子が、前記基板ホルダ方向に曲げられるローレンツ力を及ぼす方向に形成され、
    前記基板方向に曲げられた前記電子が形成する電子雲が正の荷電粒子に及ぼす静電引力と前記磁力線が前記正の荷電粒子に及ぼすローレンツ力との差で、前記正の荷電粒子を前記基板ホルダ方向に曲げ、
    前記基板の表面に前記蒸着材料の荷電粒子が到達するように構成された成膜装置。
  2. 前記蒸着源は、筒状のアノード電極と、前記アノード電極の内部に配置された放電部とを有し、
    前記放電部は蒸着材料とトリガ電極とを有し、
    前記トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電を発生させると、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放電が誘起され、前記アーク放電によって前記アノード電極と前記蒸着材料の間にアーク電流が流れ、前記蒸着材料から前記荷電粒子が放出され、前記荷電粒子は前記アーク電流が形成する磁界によってその飛行方向が曲げられ、前記アノード電極の開口から前記真空槽内部に放出されるよう構成された請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記アノード電極は、その中心軸線が前記磁力線と直交するよう配置された請求項記載の成膜装置。
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