JP4694363B2 - 成膜装置 - Google Patents

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本発明は成膜装置と、その成膜装置を用いた成膜方法に関する。
図10の符号101は従来技術の成膜装置を示している。
この成膜装置101は真空槽102を有しており、真空槽102の底壁には蒸着源130が取り付けられている。
蒸着源130は円筒状のアノード電極131と、アノード電極131内部に配置された放電部135とを有している。放電部135は、蒸着材料134と、トリガ電極132とを有しており、トリガ電極132と蒸着材料134はそれぞれ電源装置141に接続されている。
真空槽102には真空排気系109が接続されており、真空排気系109によって真空槽102内部を真空排気して真空雰囲気を形成した後、アノード電極131を接地電位に置いた状態で、トリガ電極132と蒸着材料134との間にトリガ放電を起こすと、トリガ放電によってアノード電極131と蒸着材料134との間にアーク放電が誘起される。
アーク放電が誘起されると、アノード電極131から蒸着材料134に向かってアーク電流が流れ、蒸着材料134の側面から蒸着材料134の粒子が放出される。蒸着材料の粒子のうち、荷電粒子はアーク電流が形成する磁界によって飛行以降が曲げられ、アノード電極131の開口136から真空槽102内部に放出される。
基板ホルダ107は基板111を開口136と対向する位置を通過させるように水平面内で回転し、基板111が開口136と対向する位置を通過する時に、その表面に荷電粒子が到達して蒸着材料の薄膜が形成される。
上述した成膜装置101では、アーク放電の回数で成膜量が決まるので、アーク放電の回数を設定することで非常に薄い膜(1〜2nm)でも制御よく成膜することが可能である。
また、蒸着源130から放出される粒子の飛行速度は10000m/秒以下(文献:J、Vac.Sec.Jpn(真空)Vol.47、No.9、2004 pl3)と早いため非常に平坦な膜が形成される(Ulvac techinical Journal No.49 1998 p9)。
この特徴は磁性デバイス、特にMRAM等の磁性、非磁性材料をnmの薄膜で積層させていくプロセスに向いている。例えばCo・FeNi/Ta/Py/Ir・Mn等を膜厚がnmの単位で積層させなければならない時には、真空槽102内に蒸着源130を四個搭載した装置を用いれば、同じ基板の上に上記材料を積層させることができる。
図10に示した同軸型真空アーク蒸着源130ではカソード材(蒸着材料134)に用いた合金の比率と、成膜された薄膜中の合金の比率が略等しくなることが確認されており、所望の合金比率のカソード材を用いることで、所望の合金比率の薄膜が成膜される。
ところで、アーク電流が流れる時には、蒸着材料134の一部が溶融し、その溶融部分から直径約50〜100μmの溶融物(ドロップレット)が放出される。 図11の符号146はそのドロップレットを示しており、ドロップレット146はそのまま開口136から放出されるか、アノード電極131の内壁面に衝突して直径約1〜5μmの細かいドロップレット146となって開口136から放出される。
従って、開口136からは荷電粒子145の他に、大小のドロップレット146が放出されることになる。このドロップレット146は大小いずれのものも直径が1μm以上であり、荷電粒子に比べて非常に大きい。このようなドロップレット146が成膜中の薄膜に混入すると膜質が悪くなり、成膜後に得られるデバイスの機能が低下する。
このドロプレット146を除去するためには色々な方法が考案されている。その一つにはアーク蒸着源130の前方で水車のようなフィルタ(以下、Vane型フィルタと呼称する)を高速回転させて、ドロプレット146と、荷電粒子145の飛行速度の差から、荷電粒子145よりも飛行速度の遅い1μm以上のドロプレット146を捕獲するものである。但し、このVane型フィルタを用いる方法では、蒸着材料の種類によっては非常に高速に回転させなければならず、コストと安全面からも問題が多い。
他の方法としては、開口136から基板111に向かう進行方向に沿って磁力線を形成して、その磁力線を這わせて荷電粒子を輸送する方法がある(例えば特許文献2、3を参照)。この方法は装置が大掛かりになるだけではなく、開口136から基板111までの輸送空間の距離が長く、荷電粒子の基板111への到達量が減少してしまい、成膜効率が悪くなる。
更に、その輸送空間を形成するために磁界形成手段を真空槽102内に配置すると、ドロップレットがその磁界形成手段に衝突して細かいドロップレットが発生し、そのドロップレットが成膜中の薄膜に混入するという新たな問題も生じた。
また、ヨークと磁石を用いて90度以上折れ曲がった磁気回路を形成し、その磁気回路の磁力線と荷電粒子の拡散方向とを同じにして、荷電粒子の飛行方向を偏向させる方式では(例えば特許文献4を参照)、ドロプレットは低減できるが、磁力線が磁石上に近づくため磁束密度が高くなり、荷電粒子が収束し飛行粒子の密度が高くなり、大きな面積に均一に照射できない問題があった。
従って、従来技術では、膜厚nm単位で複数種類の膜を積層することはできても、ドロップレットの混入を防ぎ、広い面積に均一に各膜を形成することは困難であった。
しかも、基板上に複数種類の膜を積層させるために、真空槽102に蒸着源130を複数搭載させる場合には、上述したVane型フィルタのような複雑な装置を、蒸着源130の数だけ真空槽102の内部に設置する必要があり、成膜装置101が大型になる上、その構造も複雑になるという問題があった。
「Journal of the Vacuum Society of Japan」2004年、第47巻 9号、p.l3 「Ulvac techinical Journal」、(株)アルバック・コーポレートセンター、1998年、 No.49、p.9 特開2000−8157号公報 特開2003−321769号公報 特開2004−197177号公報 特開2004−225107号公報
本発明は上記課題を解決するためのものであって、その目的は複数種類の膜を、ドロップレットの混入無しに、均一に形成することである。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、真空槽と、前記真空槽の内部に荷電粒子を放出する第一、第二の蒸着源と、前記真空槽内部に磁力線を形成する磁界形成装置とを有し、前記磁界形成装置は、互いに異なる磁極が向き合い、前記磁極が向き合った偏向領域に前記磁力線を形成する第一、第二の磁石部材と、前記第一、第二の磁石部材の互いに向き合う磁極の極性を逆にし、前記磁力線の向きを逆向きにする反転装置とを有し、前記第一、第二の蒸着源は、前記偏向領域に反対方向から荷電粒子をそれぞれ入射させ、同じ電荷の荷電粒子に同じ方向のローレンツ力を及ぼすように構成された成膜装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の成膜装置であって、前記第一、第二の磁石部材は永久磁石で構成され、前記反転装置は、前記第一、第二の磁石部材のN極とS極の位置を入れ替えるように前記第一、第二の磁石部材を回転させる成膜装置である。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の成膜装置であって、前記反転装置は、第一、第二の回転軸を有し、前記第一、第二の磁石部材は、前記第一、第二の回転軸の中心軸線を中心として回転するようにされた成膜装置である。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の成膜装置であって、前記第一、第二の磁石部材は板状であって、一端部が前記第一、第二の回転軸に取り付けられた成膜装置である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の成膜装置であって、前記反転装置は、前記第一、第二の磁石部材を互いに異なる磁極が向き合う第一、第二の位置でそれぞれ静止させ、前記第一、第二の磁石部材は、前記第一の位置でそれぞれ静止した時と、前記第二の位置でそれぞれ静止した時に、互いに平行に向き合うようにされた成膜装置である。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の成膜装置であって、前記第一、第二の蒸着源は前記第一、第二の磁石部材が前記第一の位置で静止した時に形成される磁力線と、前記第一、第二の磁石部材が前記第二の位置で静止した時に形成される磁力線の両方に対して垂直な方向に前記荷電粒子を放出する成膜装置である。
請求項7記載の発明は、請求項1記載の成膜装置であって、前記第一、第二の磁石部材は電磁石で構成され、前記反転装置は前記第一、第二の磁石部材に通電する電流の向きを変え、前記第一、第二の磁石部材の形成する前記磁力線の向きを変えるように構成された成膜装置である。
請求項8記載の発明は、前記第一、第二の磁石部材はヨークで構成され、前記反転装置は互いに異なる極性の磁極が形成された磁化手段を有し、前記磁化手段の前記磁極が前記第一、第二の磁石部材にそれぞれ接触すると、前記第一、第二の磁石部材の互いに向き合った位置に、異なる磁極が形成されるように構成された請求項1記載の成膜装置であって、前記反転装置は、前記磁化手段の、前記第一、第二の磁石部材に接触する磁極の極性を反転させるように構成された成膜装置である。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の成膜装置であって、前記反転装置は前記磁化手段を回転させ、前記第一、第二の磁石部材に接触する磁極を交換するように構成された成膜装置である。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の成膜装置であって、前記磁化手段の回転は、前記磁化手段に形成された前記磁極の間の中心を通る回転軸線を中心として回転させるように構成された成膜装置である。
請求項11記載の発明は、前記第一、第二の蒸着源は同一の放出空間に向けて互いに逆方向から前記荷電粒子を放出し、前記第一、第二の磁石部材は、前記第一、第二の蒸着源から放出される前記荷電粒子の飛行範囲の両側に配置された請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載の成膜装置であって、前記放出空間に向け、互いに逆方向であって、前記第一、第二の蒸着源の前記荷電粒子の放出方向とは、略垂直方向に前記荷電粒子を放出する第三、第四の蒸着源と、前記第三、第四の蒸着源が放出する荷電粒子の飛行方向の両側に配置された前記第三、第四の磁石部材とを有し、前記第一〜第四の蒸着源は、前記第一、第二の蒸着源を結ぶ線分が、前記第三、第四の蒸着源を結ぶ線分と略垂直に交わるよう配置された成膜装置である。
請求項12記載の発明は、真空槽と、前記真空槽の内部に荷電粒子を放出する第一、第二の蒸着源と、前記真空槽内部の偏向領域に磁力線を形成する磁界形成装置とを有し、前記磁界形成装置は電源と、前記電源にそれぞれ接続され、前記偏向領域を挟んで互いに向き合った二つの単位電磁石を2組有し、前記各単位電磁石は前記電源から電圧が印加されると、前記偏向領域のうち、一方の組の前記単位電磁石の間第一の磁力線が形成され、他方の組の前記単位電磁石の間に前記第一の磁力線と平行に第二の磁力線が平行に形成され、前記電源は、前記第一の磁力線の向きと、前記第二の磁力線の向が互いに逆向きになるように電圧を印加するよう構成され、前記第一、第二の蒸着源は、前記偏向領域に反対方向から荷電粒子をそれぞれ入射させ、同じ電荷の荷電粒子に同じ方向のローレンツ力を及ぼし、前記荷電粒子のうち、前記ローレンツ力によって電子は同じ方向に曲げられ、正電荷は、曲げられた前記電子からのクーロン力によって、前記電子と同じ方向に曲げるように構成された成膜装置である。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の成膜装置であって、前記電源は、一方の組の前記単位電磁石に通電するときには、他方の組の前記単位電磁石に通電をしないよう構成された成膜装置である。
請求項14記載の発明は、真空槽と、同一円周上で等間隔位置に配置され、前記円周の前記真空槽内部に位置する中心に向かって開口から荷電粒子を放出する四個の蒸着源と、前記円周の中心から外側に向かう放射方向の、前記開口よりも後方にそれぞれ位置する4個のヨークと、前記円周の中心を通り、前記円周が位置する平面と垂直に交差する回転軸線の延長線上に配置され、前記回転軸線を中心として回転可能な磁化手段とを有し、前記磁化手段は、前記円周の中心に反対方向から荷電粒子を放出する前記開口の後方に位置する前記ヨークに接触可能にされ、前記磁化手段の前記ヨークとそれぞれ接触する一端位置と他端位置には互いに異なる極性の磁極が形成された成膜装置である。
請求項15記載の発明は、請求項14記載の成膜装置であって、前記磁化手段を前記ヨークから着脱可能にした移動機構と、前記ヨークから離間した前記磁化手段を前記回転軸線を中心として回転させる回転機構とを有する成膜装置である。
真空槽内部に異なる方向から荷電粒子を放出する蒸着源を複数設けても、各蒸着源から放出される荷電粒子のうち電子は、磁場によるローレンツ力によって曲げられ、イオンは電子流によるクーロン力によって電子軌道側に追従することで同じ方向に曲げられ、同じ基板に到達するので、基板の表面上に複数の薄膜を積層させることができる。
電荷質量比の小さい巨大粒子や中性粒子は、磁力線によって飛行方向が曲げられず、直進するので、基板表面には電荷質量比が大きい荷電粒子だけが到達する。従って、基板表面には膜質の良い薄膜が積層される。第一、第二の磁石部材や反転装置は、従来のドロップレット除去手段の構造が簡易であり、設置スペースも少なくてすむ。第一、第二の磁石部材や反転装置は真空槽の外に設置可能なので、ドロップレットの衝突が起こらず、従来に比べてドロップレットの飛散も抑制される。
図1の符号1は包括的な実施例の成膜装置であり、後述する図3〜図6の符号5a〜5dは上記包括的な実施例のより具体的な実施例である実施例1〜4の成膜装置を示している。
先ず、包括的な実施例の成膜装置1について説明すると、成膜装置1は真空槽2と、第一、第二の蒸着源30a、30bと、磁界形成装置5とを有しており、磁界形成装置5はそれぞれ同一方向に向かって伸びる第一の磁力線群Maと、第一の磁力線群Maと平行であって、かつ、逆方向に伸びる第二の磁力線群Mbを真空槽2内部の所定領域(偏向領域M)に形成可能に構成されている。
第一、第二の蒸着源30a、30bは第一、第二の磁力線群Ma、Mbと交差する直線上であって、偏向領域Mを挟んで一方の側と他方の側にそれぞれ配置されている。
第一、第二の蒸着源30a、30bは筒状のアノード電極31a、31bを有しており、アノード電極31a、31bは一端部がそれぞれ偏向領域Mに向けられ、その一端部の開口36a、36bが偏向領域Mを挟んで対向するようになっている。
アノード電極31a、31bの内部で発生した荷電粒子の電子とイオンは、偏向領域Mに向けられた開口36a、36bからそれぞれ放出されるようになっており、従って、偏向領域Mには荷電粒子が異なる方向から入射する。
後述するように、荷電粒子はアノード電極31a、31bの中心軸線と平行な方向に放出され、ここではアノード電極31a、31bは中心軸線は同一直線上に位置するよう配置されているから、第一の蒸着源30aの荷電粒子の放出方向と、第二の蒸着源30bの荷電粒子の放出方向は互いに平行であって、かつ、逆向きになる。
図1の符号Fa、Fbは第一、第二の蒸着源30a、30bから放出される荷電粒子の束の中心を通る軸線であって、荷電粒子が開口36a、36bから放出されるときの放出方向の延長線と平行な第一、第二の放出軸線を示している。
磁界形成装置5は、第一の蒸着源30aから荷電粒子を放出するときには第一の磁力線群Maを形成し、第二の蒸着源30bから荷電粒子を放出するときには第二の磁力線群Mbを形成する。
上述したように、第一、第二の放出軸線Fa、Fbが互いに平行であって、かつ逆向きであり、第一、第二の磁力線群Ma、Mbの向きも互いに平行であって、かつ、逆向きであるから、第一の蒸着源30aから放出される荷電粒子が第一の磁力線群Maに入射するときの入射角度と、第二の蒸着源30bから荷電粒子が第二の磁力線群Mbに入射するときの入射角度は略等しくなる。
第一、第二の蒸着源30a、30bから放出される荷電粒子には正の荷電粒子(例えばイオン)と負の荷電粒子(例えば電子)とがある。フレミング左手の法則で、正の荷電粒子の放出方向Fa、Fbを中指の指し示す方向とし、その荷電粒子が入射する磁力線群Ma、Mbの方向を人差し指の指し示す方向とした時に、正の荷電粒子に加えられるローレンツ力の向きは、第一の蒸着源30aから第一の磁力線群Maに入射する時と、第二の蒸着源30bから第二の磁力線群Mbに入射する時と同じになる。
負の荷電粒子である電子は、正の荷電粒子に加えられるローレンツ力と反対方向の向きに曲がる力を受けるから、第一の蒸着源30aから放出される電子も、第二の蒸着源30bから放出される電子も同じ方向に曲がる。
基板ホルダ7を電子が曲がる方向の先に配置した場合には、基板ホルダ7の近傍に電子雲が形成される。図2の符号45は正の荷電粒子のうち電荷質量比(電荷/質量)が大きい微小荷電粒子を示しており、微小荷電粒子45はクーロン力とローレンツ力との差の力による影響が大きい。
第一の蒸着源30aから荷電粒子を放出する時、第二の蒸着源30bから荷電粒子30bを放出する時のいずれの場合も、電子雲が成長してクーロン力がローレンツ力よりも大きくなるまで荷電粒子の放出を続ければ、微小荷電粒子45の飛行方向が基板ホルダ7側に曲がる。
電荷質量比の小さい巨大粒子46はクーロン力による影響も、ローレンツ力による影響も小さく、その飛行方向が曲げられず直進するから、基板ホルダ7をいずれの側に配置した場合も巨大粒子46は基板ホルダ7に到達しない。
従って、基板ホルダ7に保持された基板11には第一、第二の蒸着源30a、30bから微小荷電粒子45だけが到達し、膜質の良い薄膜が形成される。
第一、第二の蒸着源30から異なる種類の蒸着材料の荷電粒子を放出させれば、同じ基板11上に異なる種類の薄膜が積層される。例えば、Co・FeNi/Ta/Py/Ir・Mn等の磁性、非磁性材料を、膜厚がnm単位の薄膜で積層させ、磁性デバイス、特にMRAM等を製造することができる。
また、第一、第二の蒸着源30から同じ種類の蒸着材料の荷電粒子を放出させれば、同じ基板11上に1種類の薄膜を成長させることができる。
次に、磁界形成装置5の具体的な構成を下記の具体的な実施例1〜4として説明すると、実施例1〜4の成膜装置1a〜1dは磁界形成装置5a〜5dが互いに異なるが、それ以外は上記包括的な実施例とそれぞれ同じ構造を有している。
先ず、実施例1の成膜装置1aについて説明すると、この成膜装置1aの磁界形成装置5aは、第一、第二の磁石部材52a、52bと、反転装置50とを有している(図3)。
反転装置50は真空槽2の外部に立設された第一、第二の回転軸51a、51bを有しており、真空槽2内部の上記第一、第二の放出軸線Fa、Fbが通る空間を放出空間とすると、第一、第二の回転軸51a、51bは放出空間の一方の側と他方の側にそれぞれ位置している。
第一、第二の磁石部材52a、52bは板状の永久磁石であって、その一端が第一、第二の回転軸51a、51bにそれぞれ接続されている。従って、第一、第二の磁石部材52a、52bは真空槽2の外部であって、放出空間の一方の側と他方の側にそれぞれ位置している。
第一、第二の回転軸51a、51bは不図示のモータに接続されており、モータの動力を第一、第二の回転軸51a、51bに伝達させると、第一、第二の回転軸51a、51bは、その中心軸線が真空槽2に対して静止した状態で、その中心軸線を回転軸線として回転するように構成されている。
図3の符号59a、59bは第一、第二の回転軸51a、51bの回転軸線をそれぞれ示しており、第一、第二の回転軸51a、51bが回転すると、第一、第二の磁石部材52a、52bも回転軸線59a、59bを中心として回転し、第一、第二の磁石部材52a、52bの表面と裏面の向きが変る。
例えば、第一、第二の磁石部材52a、52bの表面が放出空間に向けて互いに平行配置される場所(第一の位置A)から、表面が放出空間から離れる方向に第一、第二の磁石部材52a、52bを180°回転させると、第一、第二の磁石部材52a、52bは裏面が放出空間に向けて互いに平行配置される第二の位置Bに移動する。
第一、第二の回転軸51a、51bは回転方向を逆転可能に構成されており、第一、第二の磁石部材52a、52bを逆方向に180°回転させると、第一、第二の磁石部材52a、52bは第二の位置Bから第一の位置Aに戻り、表面が放出空間に向けられる。
ここでは、反転装置50は不図示のストッパを有しており、第一、第二の磁石部材52a、52bは、正方向に回転する時には裏面が第二の位置Bでストッパに接触して静止し、逆方向に回転する時には表面が第一の位置Aでストッパに接触して静止する。従って、第一、第二の磁石部材52a、52bは真空槽2に接触することなく、第一、第二の位置A、Bの間を移動する。
第二の磁石部材52a、52bは表面と裏面に異なる極性の磁極が形成されており、第一の磁石部材52aの表面にS極が、裏面にN極が形成された時には、第二の磁石部材52bの表面にN極が、裏面にS極が形成され、第一の磁石部材52aの表面にN極が、裏面にS極が形成された時には、第二の磁石部材52bの表面にS極が、裏面にN極が形成されている。
従って、第一、第二の磁石部材52a、52bが第一の位置Aにある時には、互いに異なる磁極が形成された表面同士が対向し、その表面の間が偏向領域Mとなって磁力線が形成され、第二の位置Bにある時には互いに異なる磁極が形成された裏面同士が対向し、その裏面の間が偏向領域Mとなって磁力線が形成される。
上述したように、第一、第二の磁石部材52a、52bは真空槽2の外部に位置しているが、ここでは真空槽2が透磁性材料で構成されており、形成される磁力線群は真空槽2の壁を通過して真空槽2の内部を通る。
第一、第二の磁石部材52a、52bは第一、第二の位置A、Bの間を移動すると、真空槽2側の面が表面から裏面に変更されるから、移動によって真空槽2側の面の磁極が反転する。従って、第一、第二の磁力線群Ma、Mbはその向きが互いに逆向きになる。
第一、第二の磁石部材52a、52bの形状や大きさと、第一、第二の位置A,Bでの配置は、第一、第二の磁力線群Ma、Mbが互いに平行になるよう設定されている。
例えば、第一、第二の磁石部材52a、52bは同じ形状同じ大きさであって、第一の位置Aでは表面同士が正対して、その表面に垂直な第一の磁力線群Maが形成され、第二の位置Bでは裏面同士が正対して、その裏面に垂直な第二の磁力線群Mbが形成されるようになっている。
第一、第二の位置A、B間の移動は、第一、第二の磁石部材52a、52bが180°回転して、その表面が第一の位置Aにある時の平面と、その裏面が第二の位置Bにある時の平面が同一になるから、第一、第二の磁力線群Ma、Mbは互いに平行になる。
上述したように、第一、第二の蒸着源30a、30bは互いに平行であって、かつ、逆向きの方向に荷電粒子を放出するから、第一、第二の蒸着源30a、30bからの荷電粒子が第一、第二の磁力線群Ma、Mbに入射する時の入射角度は等しくなる。
以上は、第一、第二の磁石部材52a、52bの一端部を第一、第二の回転軸51a、51bに接続させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一、第二の回転軸51a、51bを第一、第二の磁石部材52a、52bに挿通させることも可能である。
第一、第二の回転軸51a、51bを第一、第二の磁石部材52a、52bに挿通させる場合には、第一、第二の磁石部材52a、52bを第一、第二の位置A、Bの間で回転させる時に、第一、第二の磁石部材52a、52bの一端部が真空槽2に近づくよう回転するため、第一、第二の回転軸51a、51bと真空槽2との間の距離を広くする必要がある。
上述した実施例1の成膜装置1aと、後述する実施例2の成膜装置1bでは、第一、第二の磁石部材52a、52bや反転装置50を真空槽2の内部に配置してもよいが、それらの部材を真空槽2外部に配置した方が装置の構造が簡易になり、メンテナンスも容易になる。
第一、第二の磁石部材52a、52bを第一、第二の位置A、B間で移動させる時の回転角度も180°に限定されず、互いに平行でかつ逆向きの第一、第二の磁力線群Ma、Mbが形成されるのであれば、その回転角度は180°未満であってもよいし、180°を超えてもよい。
次に、図4に示した実施例2の成膜装置1bについて説明する。この成膜装置1bの磁界形成装置5bは、電磁石で構成された第一、第二の磁石部材62a、62bと、電源装置で構成された反転装置60とを有しており、第一、第二の磁石部材62a、62bはそれぞれ反転装置60に接続され、反転装置60から第一、第二の磁石部材62a、62bのコイルに電流が供給されると、第一、第二の磁石部材62a、62bが磁化される。
第一、第二の磁石部材62a、62bは真空槽2の外部であって、荷電粒子が放出される放出空間の一方の側と他方の側にそれぞれ配置されている。第一、第二の磁石部材62a、62bの磁極が形成される側の面は放出空間に向けられ、反転装置60が供給する電流の向きは、第一の磁石部材62aの放出空間側の面と、第二の磁石部材62bの放出空間側の面に、互いに異なる極性の磁極が形成されるようになっている。
従って、この成膜装置1bでは第一の磁石部材62aの放出空間側の面と、第二の磁石部材62bの放出空間側の面の間が偏向領域Mとなり、真空槽2が透磁性材料で構成された場合には、偏向領域Mの磁力線は真空槽2内部を通る。
ここでは、第一、第二の磁石部材62a、62bはコイルの中心軸線が同一軸線上に位置するようにされ、第一、第二の磁石部材62a、62bの内部に形成される磁力線の中心軸線も同一軸線上に位置するから、偏向領域Mに形成される磁力線群はその同一軸線に沿った直線状になる。
反転装置60は第一、第二の磁石部材62a、62bに供給する電流の向きを逆転可能になっており、第一、第二の磁石部材62a、62bに逆向きの電流を流すと、放出空間側の面の磁極の極性が逆になる。
第一の磁石部材62aの放出空間側の面の磁極と、第二の磁石部材62bの放出空間の面の磁極の両方の極性を逆転させると、磁力線群が消滅し、同じ場所に逆向きの磁力線群が形成される。
この磁界形成装置5bは、第一、第二の磁石部材62a、62bを相対的に静止した状態で磁極の極性だけを反転させるので、同じ場所に互いに平行であって、かつ、逆向きの第一、第二の磁力線群が形成されることになる。
次に、図5に示した実施例3の成膜装置1cについて説明する。この成膜装置1cの磁界形成装置5cは、真空槽2外部に配置された電源80と、真空槽2外部に配置され、電源80にそれぞれ接続された四個の単位電磁石81a〜81dとを有している。
四個の単位電磁石81a〜81dは二個で一組として、各組の二個の単位電磁石81a〜81dが放出空間の一方の側と他方の側にそれぞれ位置していいる。
単位電磁石81a〜81dは不図示のコイルを有しており、電源80から単位電磁石81a〜81dのコイルに通電すると、単位電磁石81a〜81dが磁化され、各単位電磁石81a〜81dにS極とN極の二個の磁極が形成される。単位電磁石81a〜81dは一方の磁極が放出空間に向けられ、他方の磁極が放出空間とは反対側に向けられている。
電源80は、各組の二個の単位電磁石81a〜81dのうち、一方の単位電磁石81a、81cの放出空間側の面と、他方の単位電磁石81b、81dの放出空間側の面に、互いに反対の極性の磁極が形成されるよう電流を供給し、真空槽2が透磁性材料で構成された場合には、各組の2枚の単位電磁石81a〜81dのうち、一方の単位電磁石81a、81cと、他方の単位電磁石81b、81dの間に放出空間を通る第一、第二の磁力線群Ma、Mbが形成される。
各組の2枚の単位電磁石81a〜81dのうち、一方の単位電磁石81a、81cは放出空間の一方の側、他方の単位電磁石81b、81dは放出空間の他方の側に配置されているから、放出空間の一方の側と、他方の側には、それぞれ二個の単位電磁石81a〜81dが配置されたことになる。
電源80は、放出空間の同じ側にある二個の単位電磁石81a〜81dには、放出空間側の面に異なる極性の磁極が形成される電流を供給するよう設定されており、従って第一、第二の磁力線群Ma、Mbはその向きが逆になる。
各組の二個の単位電磁石81a〜81dは、コイルの中心軸線、即ち、単位電磁石81a〜81d内部に形成される磁力線の中心軸線が同一軸線上に位置するよう配置されており、従って、第一、第二の磁力線群Ma、Mbはその軸線に沿った直線状となる。
一方の組の二個の単位電磁石81a、81bと、他方の組の二個の単位電磁石81c、81dは、その内部に形成される磁力線の中心軸線が互いに平行になるよう配置されており、従って第一、第二の磁力線群Ma、Mbの向きは平行になる。
上述したように、放出空間の同じ側にある二個の単位電磁石81a〜81dには、放出空間側の面に異なる極性の磁極が形成されるから、その二個の単位電磁石81a〜81dに同時に通電すると、その二個の単位電磁石81a〜81dの間に放出空間を通らない磁力線群が形成されてしまう。
ここでは、電源80はスイッチ89を有しており、スイッチ89の切替によって、一方の組の二個の単位電磁石81a、81bにそれぞれ電流を供給する時には、他方の組の二個の単位電磁石81c、81dのいずれにも電流が供給されないようにされている。
従って、上記第一の磁力線群Maか第二の磁力線群Mbのいずれか一方だけが形成され、放出空間の同じ側にある二個の単位電磁石81a〜81dの間には磁力線群が形成されない。
以上は、単位電磁石81a〜81dをそれぞれ真空槽2の外部に配置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、単位電磁石81a〜81dのいずれか1つ、又は全部を真空槽2内部に配置してもよいが、各単位電磁石81a〜81dを真空槽2の外部に配置した方が、装置の構造とメンテナンスが簡易になる。
次に、図6に示した実施例4の成膜装置1dについて説明する。この成膜装置1dは、第一、第二の磁石部材72a、72bと、反転装置とを有しており、反転装置は磁化手段72cを有する。
磁化手段72cは細長の板状のヨーク73と、ヨーク73の長手方向の中央部分に取り付けられた磁石74とを有しており、ヨーク73は磁石74によって磁化され、長手方向の一端部と他端部に互いに反対の極性の磁極が形成されている。
反転装置は磁化手段72cのほかに不図示の回転機構を有しており、回転機構は、磁化手段72cを、ヨーク73の表面と垂直であって、その表面の中心を通る回転軸線79を中心として水平面内で回転可能に構成されている。上述したように、N極とS極の2つの磁極はヨーク73の一端と他端に形成されているから、回転軸線79は2つの磁極の間を通り、磁化手段72cが180°回転させて、長手方向の一端部と他端部を入れ替えると、2つの磁極の位置が入れ替わる。
第一、第二の磁石部材72a、72bは板状であって、表面を回転軸線79の延長線と平行に向けた状態で、表面が回転軸線79の延長線を挟んで対向するように配置されている。
反転装置は、磁化手段72cを回転軸線79の延長線に沿って移動させる不図示の移動機構を有している。第一、第二の磁石部材72a、72bの間の距離は、磁化手段72cのヨーク73の長さよりも短くされており、磁化手段72cを回転軸線79に沿って、第一、第二の磁石部材72a、72bに近づく方向に移動させると、一端が第一の磁石部材72aに、他端が第二の磁石部材72bにそれぞれ接触する。
上述したように、ヨーク73の一端と他端は磁石74によって異なる極性の磁極が形成されているから、第一、第二の磁石部材72a、72bは互いに異なる極性の磁極に接触したことになる。
第一、第二の磁石部材72a、72bは継鉄のような磁化材料で構成されており、磁極と非接触な状態では磁化されていないが、磁極と接触すると磁化され、接触した磁極と同じ極性になる。
従って、第一、第二の磁石部材72a、72bは互いに異なる極性に磁化され、第一、第二の磁石部材72a、72bの互いに対向する表面の間が偏向空間となって、その偏向空間に第一の磁力線群Maが形成される。
次に、磁化手段72cを回転軸線79に沿って第一、第二の磁石部材72a、72bから遠ざかる方向に移動させると、磁化手段72cが第一、第二の磁石部材72a、72bから分離し、第一、第二の磁石部材72a、72bの磁極が消滅して第一の磁力線群Maが消える。
磁化手段72cを第一、第二の磁石部材72a、72bから分離した状態で、上述したように磁化手段72cを回転させて磁極の位置を入れ替えた後、磁化手段72cを第一、第二の磁石部材72a、72bに近づく方向に移動させると、第一、第二の磁石部材72a、72bには、第一の磁力線群Maを形成した時と逆の極性の磁極がそれぞれ接触し、第一、第二の磁石部材72a、72bの間に第一の磁力線群Maとは逆向きの第二の磁力線群Mbが形成される。
第一、第二の磁石部材72a、72bは相対的に静止しており、第一、第二の磁石部材72a、72bにそれぞれ形成される磁極の極性だけが反転するので、第一、第二の磁力線群Ma、Mbは同じ場所に形成され、その向きは互いに平行で、かつ逆向きになる。
第一、第二の蒸着源30a、30bは第一、第二の磁力線群Ma、Mbが形成される偏向領域の一方の側と他方の側で、荷電粒子の放出軸線が第一、第二の磁力線群Ma、Mbと略垂直に交わるよう配置されており、従って第一、第二の磁力線群Ma、Mbに、第一、第二の蒸着源30a、30bからの荷電粒子が入射する時の角度は略等しくなる。
上記実施例4の成膜装置1dでは、第一、第二の磁石部材72a、72bと、磁化手段72cはそれぞれ真空槽2の内部に設けてもよいし、真空槽2の外部に設けてもよいが、第一、第二の磁石部材72a、72bと、磁化手段72cを真空槽2の外部に設けた方が、装置の構造とメンテナンスが簡易になる。第一、第二の磁石部材72a、72bと磁化手段72cを真空槽2の外部に設ける場合には、真空槽2を透磁性材料で構成すれば、第一、第二の磁力線群Ma、Mbが真空槽2内部を通る。
第一、第二の磁石部材72a、72bと、磁化手段72cの移動は、第一、第二の磁石部材72a、72bが相対的に静止した状態で、第一、第二の磁石部材72a、72bに対して磁化手段72cが相対的に移動するのであれば、磁化手段72cを静止させた状態で、第一、第二の磁石部材72a、72bを移動させてもよいし、第一、第二の磁石部材72a、72bと磁化手段72cを全て移動させてもよい。
次に、上記包括的な実施例とは異なる実施例である実施例5の成膜装置について説明する。
図7の符号76は実施例5の成膜装置を有している。この成膜装置76は不図示の真空槽と、四個の蒸着源30a〜30dと、磁界形成装置77とを有している。
各蒸着源30a〜30dは上記包括的実施例の第一、第二の蒸着源30a、30bと同じ構造を有しており、各蒸着源30a〜30dの4つアノード電極31a〜31dは、一端部がそれぞれ真空槽内部に気密に挿通されている。従って、アノード電極31a〜31dの一端部の開口36a〜36dは真空槽2の内部に位置する。
蒸着源30a〜30dは、2つが一組となって、各組の2つの蒸着源30a〜30dは、そのアノード電極31a、31bは中心軸線が同一直線上に位置し、開口36a〜36dが互いに対向するようにされている。従って、各組の2つの蒸着源30a〜30dからは真空槽2の内部に向かって互いに正反対の方向から荷電粒子を放出する。
一方の組の2つの蒸着源30a、30bと、他方の組の2つの蒸着源30c、30dは、アノード電極31a〜31dの中心軸線が位置する直線(第一、第二の直線91、92)が同一平面内で互いに略垂直に交わるように位置している。
従って、一方の組の2つの蒸着源30a、30bを結ぶ線分と、他方の組の2つの蒸着源30c、30dを結ぶ線分は略垂直に交わる。
上述したように、アノード電極31a〜31dの中心軸線と荷電粒子の放出方向は一致するから、一方の組の2つの蒸着源30a、30bから放出される荷電粒子の飛行方向は、他方の組の2つの蒸着源30c、30dから放出される荷電粒子の放出方向と略垂直に交わる。
アノード電極31a〜31dは、開口36a〜36dの中心から第一、第二の直線91、92の交点までの距離が互いに等しくなるよう真空槽に挿通されており、従って蒸着源30a〜30dは第一、第二の直線91、92の交点を中心Cとする円周上に等間隔に並べられ、各開口36a〜36dからはその中心Cに向かって荷電粒子がそれぞれ放出される。
磁界形成装置77は4個のヨーク75a〜75d(第一〜第四の磁石部材)と、上記実施例4の成膜装置1dと同じ磁化手段72cとを有している。
各ヨーク75a〜75dは板状であって、真空槽2の外部位置で一枚のヨーク75a〜75dに一つのアノード電極31a〜31dが裏面から表面に挿通されるように取り付けられている(図8(a))。
従って、ヨーク75a〜75dは2枚一組となって、一方の組の蒸着源30a、30bを結ぶ線分の延長線上と、他方の組の蒸着源30c、30dを結ぶ線分の延長線上にそれぞれ配置されている。
ヨーク75a〜75dは真空槽2外部であって、開口36a〜36dは真空槽2内部に配置されているから、ヨーク75a〜75dは上記円周の中心Cから外側に向かう放射方向の、開口36a〜36dよりも後方にあり、ヨーク75a〜75dは各開口36a〜36dから放出される荷電粒子を遮らず、荷電粒子は中心Cに向かって飛行する。
磁化手段72cは、上述した回転軸線79の延長線が、蒸着源30a〜30dが並べられた円周に対して略垂直な方向にその中心Cを貫くよう配置されている。
磁化手段72cは実施例4の成膜装置1dと同様の移動機構と回転機構にそれぞれ接続されており、回転軸線79を中心として回転させると、磁化手段72cの2つの磁極が回転軸線79を中心とする円周上を移動し、磁化手段72cを回転軸線79に沿って一方向に移動させると蒸着源30a〜30dが並べられた円周に近づき、磁化手段72cを回転軸線79に沿って逆方向に移動させると蒸着源30a〜30dが並べられた円周から遠ざかる。
各組の2枚のヨーク75a〜75dの間の距離は、上記第一、第二の磁石部材72a、72dの間の距離と同様に、磁化手段72cの異なる極性の磁極にそれぞれ接触可能になっており、各組の2枚のヨーク75a〜75dが磁化手段72cの異なる極性の磁極にそれぞれ接触すると、そのヨーク75a〜75dが異なる極性に磁化され、真空槽2が透磁性材料で構成されている場合には、真空槽2内部に磁力線群が形成される。
上述したように、アノード電極31a〜31dはヨーク75a〜75dに挿通され、その開口36a〜36dがヨーク75a〜75dの表面から突き出されているから、磁力線群の形状は、開口36a〜36dと、該開口36a〜36dと対向する開口36a〜36dの間の空間を取り囲む筒状となる。
磁化手段72cの大きさは、一方の組の2枚のヨーク75a、75bに接触する時には、他方の組の2枚のヨーク75c、75dには接触しないようなっているので、いずれか一方の組の2枚のヨーク75a〜75dの間だけに磁力線が形成される。
磁化手段72cを回転軸線79に沿って逆方向に移動させ、各組の2枚のヨーク75a〜75dが磁化手段72cから分離させた状態で、上述したように磁化手段72cの磁極の位置を入れ替えると、磁極の位置を入れ替える前とは逆向きの磁力線が形成される。
図8(b)は一方の組の2つのヨーク75a、75bに磁化手段72cの2つの磁極を接触させた状態を示している。
一方の組の2枚のヨーク75a、75bと、他方の組の2枚のヨーク75c、75dは、上述したように互いに直交する線分の上にそれぞれ位置しているから、第一、第二の磁石部材72a、72bから磁化手段72cを分離させて、磁化手段72cを90°回転させてから、磁化手段72cを回転軸線79に沿って一方向に移動させると、磁化手段72cの異なる極性の磁極が、他方の組の2つのヨーク75c、75dに接触し、その2つのヨーク75c、75dにそれぞれ異なる磁極が形成される。
従って、この磁界形成装置77は各組の2つのヨーク75a〜75dの間に、逆方向の磁力線群をそれぞれ形成するから、結局4種類の磁力線群を形成可能になっている。
ここでは、各組の2枚のヨーク75a〜75dは表面が互いに平行にされた状態で対向し、その2枚のヨーク75a〜75dの間には表面に対して垂直な磁力線群が形成される。
ヨーク75a〜75dは、そのヨーク75a〜75dに挿通されたアノード電極31a〜31dの中心軸線に対して、表面が垂直になるよう配置されており、従って各組の2つのヨーク75a〜75dの間に形成される磁力線群は、そのヨーク75a〜75dに挿通されたアノード電極31a〜31dの中心軸線と平行になる。
上述したように、荷電粒子の開口36a〜36dからの放出方向はアノード電極31a〜31dの中心軸線と一致するから、一方の組の2つの蒸着源30a〜30dから放出される荷電粒子は、他方の組の2つの蒸着源30a〜30dが取り付けられたヨーク75a〜75dが形成する磁力線群に対して略垂直に入射する。
四個の蒸着源30a〜30dのうち、蒸着源を1個ずつ選択して荷電粒子を放出させる場合、荷電粒子が略垂直に入射する磁力線群であって、かつ、各蒸着源30a〜30dの同じ電荷の荷電粒子がローレンツ力で同じ方向に曲げられる磁力線群を選択して発生させると、図2に示した成膜装置1と同様に、正の微小荷電粒子45は常に同じ方向に飛行方向が曲げられる。
曲げられたその飛行方向の先に基板ホルダ7を配置すれば、基板11表面上には四個の蒸着源30a〜30dから放出される微小荷電粒子が順次到達し、四個の蒸着源30a〜30dがそれぞれ異なる蒸着材料の荷電粒子を放出する時には、基板11表面上に4種類の膜が積層され、四個の蒸着源30a〜30bがそれぞれ同じ蒸着材料の荷電粒子を放出するときには、基板11表面上に1種類の膜が形成される。
尚、ヨーク75a〜75dや磁化手段72cは真空槽2の内部に配置してもよいが、真空槽2の外部に配置した方が成膜装置1の構造とメンテナンスが容易になる。
また、ヨーク75a〜75dの数と、蒸着源30a〜30dも特に限定されず、同じ電荷の荷電粒子を同じ方向に曲げられるのであれば、4枚のヨーク75a〜75dと四個の蒸着源30a〜30dに加え、2枚一組のヨークと、2個一組の蒸着源をそれぞれ1組以上設けてもよい。
以上は、アノード電極31a〜31dをヨーク75a〜75dに挿通させる場合について説明したが、ヨーク75a〜75dが開口36a〜36dから放出される荷電粒子を遮らない位置であって、かつ、そのヨーク75a〜75dが取り付けられた蒸着源30a〜30dとは異なる組の2つの蒸着源30a〜30dから、荷電粒子が入射可能な磁力線を形成するものであれば、その配置は特に限定されるものではない。
具体的には、ヨーク75a〜75dを蒸着源30a〜30dの側方に1つずつ配置してもよいし、蒸着源30a〜30dの側方に複数のヨークを配置して、一つの蒸着源30a〜30dの近傍に配置された複数のヨークで1つの磁石部材を構成してもよい。
上記実施例4、5に用いられる磁化手段72cは、上述したヨーク73と永久磁石74の組み合わせに限定されず、例えば、電磁石からなる磁化手段を用い、その電磁石に流す電流の向きを変えることで磁極の位置を入れ替えてもよい。
尚、本発明の成膜装置1に用いられる基板ホルダ7の一例について詳細に説明すると、真空槽2の天井には軸状の回転力伝達手段20が気密に挿通されており、回転力伝達手段20は外軸23と、外軸23に挿通された内軸22とを有している。基板ホルダ7は円盤状であって、真空槽2の内部で水平にされた状態で外軸23に接続されている(図9)。
基板ホルダ7には、その円盤の放射方向の中央位置から所定距離離間した場所に複数の取り付け部8がそれぞれ設けられており、各取り付け部8は成膜対象物11である基板を略水平に保持するよう構成されている。図9は各取り付け部8に基板11がそれぞれ保持された状態を示している。
外軸23と内軸22はそれぞれ真空槽2外部の動力手段26、27に接続されている。基板ホルダ7には外軸23によって動力手段27の動力が伝達され、基板ホルダ7は円盤の中心を回転中心C1として水平面内で回転する。
取り付け部8には内軸22によって動力手段26の動力が伝達されるように構成されており、その動力が取り付け部8に伝達されると、基板11は基板ホルダ7の回転中心C1を中心とした円周に沿って移動しながら、基板11の中心C2と基板ホルダ7の回転中心C1とが相対的に静止した状態で、その中心C2を回転中心として水平面内で回転するように構成されている。
基板ホルダ7と、上記磁界形成装置5a〜5fとの位置関係は、飛行方向が曲げられた微小荷電粒子45が、基板11が移動する円周の一部(成膜領域6)に到達するように構成されており、飛行方向が曲げられた微小荷電粒子45は成膜領域6を通過する基板11の表面に入射して薄膜が成長する。
基板11はその中心C2として回転しながら成膜領域6を通過するので、基板11表面の各部分に到達する微小荷電粒子45の量が均一化され、基板11表面には膜厚均一な薄膜が形成される。
次に、本発明に用いられる蒸着源30a〜30dの一例について説明すると、各蒸着源30a〜30dは荷電粒子の放出方向が異なる以外は同じ構造を有しており、1つの蒸着源(第一の蒸着源)30aを例に取って説明すると、蒸着源30aは筒状のアノード電極31を有している。
アノード電極31は一端部が真空槽2に気密に挿通されている。図9の符号36はアノード電極31の筒の開口のうち、真空槽2内部に配置された開口を示しており、後述するようにアノード電極31の内部で粒子が発生すると、粒子は開口36から真空槽2内部に放出される。
蒸着源30aはアノード電極31の他に放電部35を有している。放電部35は棒状であって、先端を開口36に向けた状態でアノード電極31の内部に配置されている。放電部35は蒸着材料34とトリガ電極32とを有しており、蒸着材料34は放電部35の先端に配置され、トリガ電極32は蒸着材料34よりもアノード電極31底壁側に配置されている。
ここでは、蒸着材料34はアノード電極31の内径よりも小径の柱状であって、その中心軸線がアノード電極31の中心軸線と一致しており、従って蒸着材料34の側面と、アノード電極31の内壁面との間には隙間がある。
真空槽2の外部には電源装置41が配置されている。ここでは電源装置41はトリガ電源42と、アーク電源43と、コンデンサユニット44とを有しており、アーク電源43を動作させるとコンデンサユニット44が充電される。
トリガ電源42はトリガ電極32と蒸着材料34の間に電圧を印加するよう構成されている。
トリガ電極32と蒸着材料34の間には絶縁碍子33が配置されており、真空槽2に接続された真空排気系9を動作させて真空槽2内部に真空雰囲気を形成し、アノード電極31と真空槽2とを接地電位に置いた状態で、トリガ電極32と蒸着材料34の間に電圧を印加すると、絶縁碍子33の側面に沿面放電が発生し、蒸着材料34と絶縁碍子33の境界から電子が放出される(トリガ放電)。
コンデンサユニット44は蒸着材料34に接続されており、トリガ放電が起こるとアノード電極31と蒸着材料34との間の隙間の絶縁耐性が低下してコンデンサユニット44が放電し(アーク放電)、アノード電極31から蒸着材料34に多量の電流(1400A〜2000A、アーク電流)が流れる。
蒸着材料34にアーク電流が流れると、蒸着材料34から上述した微小荷電粒子45と電子が放出される。
蒸着材料34は、その形状が柱状の時にはその中心軸線がアノード電極31の中心軸線と一致し、その形状がリング状の時にはリング中心をアノード電極31の中心軸線が通るように配置されており、アノード電極31の中心軸線の周りには均等に蒸着材料34が配置されているので、微小荷電粒子45と電子はアノード電極31の中心軸線を中心とする範囲に発生する。
蒸着材料34から放出された電子は、蒸着材料34から放出された直後はアノード電極31の内壁面に向かうが、自身の飛行により形成される磁界によってその飛行方向が開口36側に曲げられ、正の微小荷電粒子45は電子に引き寄せられてその飛行方向が電子と同じ方向に曲げられ、開口36から、開口36を構成する平面と垂直な方向に放出される。
アノード電極31の中心軸線は開口36を構成する平面と垂直に交わるから、その中心軸線は電子と微小荷電粒子45の放出方向と平行になる。
荷電粒子はアノード電極31の中心軸線を中心とする範囲に発生するから、開口36から放出される微小荷電粒子45と電子の束は、その中心がアノード電極31の中心軸線と一致する。従って、上述した第一、第二の放出軸線Fa、Fbはアノード電極31の中心軸線と一致する。
尚、蒸着材料34にアーク電流が流れる時には蒸着材料34が高温に昇温し、その一部が溶融すると、その溶融した部分から直径約50μm〜100μmの液滴が飛散し、その液滴がアノード電極31の内壁面に衝突すると直径約1〜5μmの微小液滴となる。
微小液滴や液滴のような巨大粒子46は電荷質量比が小さいので、開口36から放出されたとしても、上述したように基板ホルダ7が位置する方向には飛行せず、薄膜に混入されない。
尚、本発明で巨大粒子46とは直径1μm以上のものを示し、微小荷電粒子45とは1000個以上2000個以下の原子が集合したクラスタ粒子や、クラスタ粒子よりも質量が小さい原子状粒子であって、直径が1μm未満のものを示す。
蒸着源30を構成する部材の形状や材質は特に限定されないが、その一例を述べると、直径10mmの円柱状の蒸着材料34と、円板状の絶縁碍子33と、円筒状のトリガ電極32とが不図示のネジで密着して取り付けられた放電部35が、内径(開口36の直径)が30mmのアノード電極31内に配置された物があり、絶縁碍子33の材質は例えばアルミナであり、トリガ電極32とアノード電極31の材質は例えばステンレスである。
蒸着源30の配置も特に限定されないが、その一例を述べるとアノード電極31の中心軸線から基板11表面までの高さが100mm、基板11の中心C2から開口36が位置する平面までの距離が50mmである。
また、上記図9に示した電源装置41を詳細に説明すると、コンデンサユニット44は1つの容量が2200μF(耐圧:160V)のコンデンサが四個並列に接続されたものを用い、トリガ電源42はパルストランスからなり、入力200Vのμsのパルス電圧を約17倍に変圧して3.4kV(数μA)極性:プラスを出力するものを用いることができる。
アーク電源43は、例えば100V数Aの容量の直流電源であり、トリガ放電を起こす前に100Vで電荷をコンデンサユニット44を充電しておく。コンデンサユニット44を充電するのに約1秒間必要とするので、この電源装置41では8800μFで放電を繰り返す場合の周期は1Hzで行われる。
トリガ電源42のプラス出力端子をトリガ電極32に接続し、マイナス端子はアーク電源43のマイナス側出力端子と同じ電位に接続し、蒸着材料34に接続させる。アーク電源43のプラス端子はグランド電位に接地させ、アノード電極31に接続させる。コンデンサユニット44の両端子はアーク電源43のプラスおよびマイナス端子間に接続させる。
真空排気系9も特に限定されないが、例えばターボ分子ポンプ、バルブ、ロータリポンプとを有し、ターボ分子ポンプからロータリポンプまでは金属製の真空配管で接続され、真空槽2内部を真空排気可能なものが用いられる。また、成膜を行う時の真空槽2内部の圧力は、例えば10-5Pa以下である。
真空槽2にガス供給系を接続し、ガス供給系から微小荷電粒子45と反応する反応ガスを供給しながら成膜を行えば、微小荷電粒子45と反応ガスとの反応物からなる薄膜を形成することができる。
上述した複数の蒸着源30a〜30dのうち、いずれか1つの蒸着源だけから荷電粒子を放出させる方法としては、例えば、選択した蒸着源だけに通電してアーク放電を起こす方法がある。また、全ての蒸着源でアーク放電を起こし、荷電粒子を発生させても、不要な蒸着源の開口を遮蔽板で覆えば、不要な蒸着源からの荷電粒子は遮蔽板に付着して磁力線群に入射せず、選択した蒸着源から放出される荷電粒子だけが磁力線群に入射する。
尚、本発明に用いるヨークは継鉄のような磁化材料であって、磁極と離れたときには磁化されておらず、磁極が近接した時には磁化されるものである。
第一の磁力線群Maに入射する荷電粒子と、第二の磁力線群Mbに入射する荷電粒子が、同じ方向にその飛行方向が曲げられるのであれば、第一、第二の磁力線群Ma、Mbの向きは平行でなくてもよい。
本願の成膜装置及び製造方法は、半導体のゲート電極やゲート絶縁膜、半導体のトレンチに形成するバリア層、磁性デバイスの磁性材料の成膜、更に機械部品のコーティング、カーボンなのチューブの触媒層形成等種々の分野に使用することができる。
包括的な実施例の成膜装置を説明する断面図 微小荷電粒子と磁力線群との関係を説明する拡大断面図 実施例1の成膜装置を説明する断面図 実施例2の成膜装置を説明する断面図 実施例3の成膜装置を説明する断面図 実施例4の成膜装置を説明する断面図 実施例5の成膜装置を説明する断面図 (a)実施例5の成膜装置の平面図、(b)実施例5の成膜装置の側面図 基板ホルダと蒸着源の位置関係を説明する断面図 従来技術の成膜装置を説明する断面図 従来技術の成膜装置で荷電粒子が放出された状態を説明する断面図
符号の説明
1……成膜装置 2……真空槽 5a〜5f……磁界形成装置 11……基板 30a〜30d……蒸着源 32……トリガ電極 34……蒸着材料 36……開口 45……荷電粒子 52a、52b、62a、62b、72a、72b……第一、第二の磁石部材 72c……磁化手段 75a〜75d……ヨーク

Claims (15)

  1. 真空槽と、
    前記真空槽の内部に荷電粒子を放出する第一、第二の蒸着源と、
    前記真空槽内部に磁力線を形成する磁界形成装置とを有し、
    前記磁界形成装置は、互いに異なる磁極が向き合い、前記磁極が向き合った偏向領域に前記磁力線を形成する第一、第二の磁石部材と、
    前記第一、第二の磁石部材の互いに向き合う磁極の極性を逆にし、前記磁力線の向きを逆向きにする反転装置とを有し、
    前記第一、第二の蒸着源は、前記偏向領域に反対方向から荷電粒子をそれぞれ入射させ、同じ電荷の荷電粒子に同じ方向のローレンツ力を及ぼすように構成された成膜装置。
  2. 前記第一、第二の磁石部材は永久磁石で構成され、
    前記反転装置は、前記第一、第二の磁石部材のN極とS極の位置を入れ替えるように前記第一、第二の磁石部材を回転させる請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記反転装置は、第一、第二の回転軸を有し、
    前記第一、第二の磁石部材は、前記第一、第二の回転軸の中心軸線を中心として回転するようにされた請求項2記載の成膜装置。
  4. 前記第一、第二の磁石部材は板状であって、一端部が前記第一、第二の回転軸に取り付けられた請求項3記載の成膜装置。
  5. 前記反転装置は、前記第一、第二の磁石部材を互いに異なる磁極が向き合う第一、第二の位置でそれぞれ静止させ、
    前記第一、第二の磁石部材は、前記第一の位置でそれぞれ静止した時と、前記第二の位置でそれぞれ静止した時に、互いに平行に向き合うようにされた請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の成膜装置。
  6. 前記第一、第二の蒸着源は前記第一、第二の磁石部材が前記第一の位置で静止した時に形成される磁力線と、前記第一、第二の磁石部材が前記第二の位置で静止した時に形成される磁力線の両方に対して垂直な方向に前記荷電粒子を放出する請求項5記載の成膜装置。
  7. 前記第一、第二の磁石部材は電磁石で構成され、
    前記反転装置は前記第一、第二の磁石部材に通電する電流の向きを変え、前記第一、第二の磁石部材の形成する前記磁力線の向きを変えるように構成された請求項1記載の成膜装置。
  8. 前記第一、第二の磁石部材はヨークで構成され、
    前記反転装置は互いに異なる極性の磁極が形成された磁化手段を有し、
    前記磁化手段の前記磁極が前記第一、第二の磁石部材にそれぞれ接触すると、前記第一、第二の磁石部材の互いに向き合った位置に、異なる磁極が形成されるように構成された請求項1記載の成膜装置であって、
    前記反転装置は、前記磁化手段の、前記第一、第二の磁石部材に接触する磁極の極性を反転させるように構成された成膜装置。
  9. 前記反転装置は前記磁化手段を回転させ、前記第一、第二の磁石部材に接触する磁極を交換するように構成された請求項8記載の成膜装置。
  10. 前記磁化手段の回転は、前記磁化手段に形成された前記磁極の間の中心を通る回転軸線を中心として回転させるように構成された請求項9記載の成膜装置。
  11. 前記第一、第二の蒸着源は同一の放出空間に向けて互いに逆方向から前記荷電粒子を放出し、
    前記第一、第二の磁石部材は、前記第一、第二の蒸着源から放出される前記荷電粒子の飛行範囲の両側に配置された請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載の成膜装置であって、
    前記放出空間に向け、互いに逆方向であって、前記第一、第二の蒸着源の前記荷電粒子の放出方向とは、略垂直方向に前記荷電粒子を放出する第三、第四の蒸着源と、
    前記第三、第四の蒸着源が放出する荷電粒子の飛行方向の両側に配置された前記第三、第四の磁石部材とを有し、
    前記第一〜第四の蒸着源は、前記第一、第二の蒸着源を結ぶ線分が、前記第三、第四の蒸着源を結ぶ線分と略垂直に交わるよう配置された成膜装置。
  12. 真空槽と、
    前記真空槽の内部に荷電粒子を放出する第一、第二の蒸着源と、
    前記真空槽内部の偏向領域に磁力線を形成する磁界形成装置とを有し、
    前記磁界形成装置は電源と、
    前記電源にそれぞれ接続され、前記偏向領域を挟んで互いに向き合った二つの単位電磁石を2組有し、
    前記各単位電磁石は前記電源から電圧が印加されると、前記偏向領域のうち、一方の組の前記単位電磁石の間第一の磁力線が形成され、他方の組の前記単位電磁石の間に前記第一の磁力線と平行に第二の磁力線が平行に形成され、
    前記電源は、前記第一の磁力線の向きと、前記第二の磁力線の向が互いに逆向きになるように電圧を印加するよう構成され、
    前記第一、第二の蒸着源は、前記偏向領域に反対方向から荷電粒子をそれぞれ入射させ、同じ電荷の荷電粒子に同じ方向のローレンツ力を及ぼし、
    前記荷電粒子のうち、前記ローレンツ力によって電子は同じ方向に曲げられ、正電荷は、曲げられた前記電子からのクーロン力によって、前記電子と同じ方向に曲げるように構成された成膜装置。
  13. 前記電源は、一方の組の前記単位電磁石に通電するときには、他方の組の前記単位電磁石に通電をしないよう構成された請求項12記載の成膜装置。
  14. 真空槽と、
    同一円周上で等間隔位置に配置され、前記円周の前記真空槽内部に位置する中心に向かって開口から荷電粒子を放出する四個の蒸着源と、
    前記円周の中心から外側に向かう放射方向の、前記開口よりも後方にそれぞれ位置する4個のヨークと、
    前記円周の中心を通り、前記円周が位置する平面と垂直に交差する回転軸線の延長線上に配置され、前記回転軸線を中心として回転可能な磁化手段とを有し、
    前記磁化手段は、前記円周の中心に反対方向から荷電粒子を放出する前記開口の後方に位置する前記ヨークに接触可能にされ、
    前記磁化手段の前記ヨークとそれぞれ接触する一端位置と他端位置には互いに異なる極性の磁極が形成された成膜装置。
  15. 前記磁化手段を前記ヨークから着脱可能にした移動機構と、
    前記ヨークから離間した前記磁化手段を前記回転軸線を中心として回転させる回転機構とを有する請求項14記載の成膜装置。
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