JP4642249B2 - ボタン付けミシン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ボタン付けミシンに係り、特に、上下動するミシンの針に対してボタンを直交方向に移動させる移動手段を設けたボタン付けミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のボタン付けミシンにおいては、被縫製物に縫着するボタンを保持した状態でミシン針の上下動経路に対して直交する方向へと移動するボタンホルダを有し、平ボタンのときにはミシン針をボタンの複数の糸通し孔間、あるいはマーブルボタンのときには柄部の糸通し孔と柄部外方との間へと順次針落ちさせるように、ボタンホルダに保持されたボタンを移動させている。
【0003】
また、例えば特開平8−71273号公報に示すように、被縫製物にボタンを縫い付けるボタン付け工程を行った後に、縫い付けた縫糸周囲を縫糸により巻き付けるように補強するいわゆる根巻き工程を行うボタン付けミシンにおいては、マシンサイクルの効率を向上させるために、前記ボタン付け工程と前記根巻き工程とを異なる縫製速度により行うボタン付けミシンは知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来から使用されていたボタン付けミシンにおいては、通常、ミシンの針がボタンの糸通し孔の上方に抜け出してから、次の糸通し孔あるいは柄部の外側が針に対向するように前記ボタンホルダによってボタンを移動させるようになっているが、従来のこの種のミシンにおいては、ボタンを縫い付ける際のミシン速度が一定に設定されていた。
【0005】
かかるミシン速度が低速に設定されていると、ミシンにより縫い付けられる平ボタンが厚いものや、あるいはマーブルボタンの柄部が幅広のものを縫う場合に、ボタンの糸通し孔がそれだけ深くなるのに対して、針の上昇速度が遅いので、針先が糸通し孔から抜け出す前にボタンホルダが移動を開始して針先とボタンが係合するおそれがある。
【0006】
一方、ミシン速度が高速に設定されていると、平ボタンが薄いものや、マーブルボタンの柄部が狭いものを縫う場合には、一定速度で移動するボタンホルダが移動を完了する前に次の針下降が開始してしまい針先がボタンと係合するおそれがある。
【0007】
すなわち、従来のボタン付けミシンにおいては、平ボタンの厚さ、すなわち糸通し孔の深さやマーブルボタンの糸通し孔の深さ等の条件に対応した最適の回転速度の設定までは行われていなかったため、針折れが生じてしまったり、ボタンに傷が付いてしまうといった問題が生じていた。
【0008】
さらに、前記ボタンの条件に対して回転速度が遅すぎた場合、ボタンホルダの待機時間が長くなってしまい、マシンサイクルの効率が必ずしも良好であるとは言えず、生産性に優れたボタン付けミシンおよび根巻きを行うことができないといった問題が生じていた。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、平ボタンの厚さやマーブルボタンの孔深さ等、ボタンの条件に応じた最適の縫い付け速度でボタンの縫い付けを行うことによって作業効率ひいては生産性を向上させることができ、あわせてミシン針の針折れおよびボタンの損傷を防止することができるボタン付けミシンを提供することを目的とするものである。
【0010】
さらに、本発明は、平ボタンの厚さ、すなわち糸通し孔の深さや、マーブルボタンの孔深さ等の、ボタンの条件に応じた最適のボタン及び被縫製物の移動タイミングにすることによって作業効率ひいては生産性を向上させることができ、あわせてミシン針の針折れおよびボタンの損傷を防止することができるボタン付けミシンを提供することを目的とするものである。
【0011】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係るボタン付けミシンの特徴は、ボタンピッチおよびボタン孔の深さを設定するための設定入力手段と、ミシンの回転速度を決定するとともに決定された回転速度によりミシンを回転するように前記ミシンモータの駆動を制御するミシン制御手段(移動時間データテーブル、回転速度データテーブル、ROM31、およびCPU30)とを設け、前記ミシン制御手段は、前記設定入力手段によって設定された前記ボタンピッチに基づいて、前記ボタンホルダの所要移動時間を決定し、前記設定入力手段によって設定された前記ボタン孔の深さに基づいて、当該深さが深くなるほど値が小さくなるような当該深さに応じた比率を設定し、決定された前記所要移動時間および設定された前記比率により、前記ミシンの回転速度を、ボタン孔の深さが深いほど遅い回転速度であって、前記設定入力手段によって設定された前記ボタンピッチおよび前記ボタン孔の深さの双方に応じた最適な回転速度に決定する点にある。
【0012】
そして、このような構成を採用したことにより、平ボタンの厚さやマーブルボタンの孔深さ等、ボタンの孔の深さ方向に関する条件に応じた最適の縫い付け速度でボタンの縫い付けを行うことによって作業効率ひいては生産性を向上させることができ、あわせてミシン針の針折れおよびボタンの損傷を防止することができる。
【0013】
請求項2に係るボタン付けミシンの特徴は、請求項1において、ボタン孔の深さに基づいて前記移動手段の移動開始タイミングを決定する移動開始タイミング決定手段(針位置検出装置41、エンコーダ装置42、移動開始位相テーブル、ROM43およびCPU44)を設け、前記ミシン制御手段は、決定された移動開始タイミングで前記移動手段の駆動を開始する点にある。
【0014】
そして、このような構成を採用したことにより、ボタンの厚さ(孔深さ)に合わせた最適のタイミングでボタンを移動させることができるため、ミシンの針折れおよびボタンの損傷をさらに効果的に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るボタン付けミシンの第1実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。
【0016】
本発明に係るボタン付けミシンは、図示はしないが、ミシンの上軸が図1のミシンモータ15に連結されている。
【0017】
前記上軸の他端部には、図示しない布台上の被縫製物に対してボタンの縫い付けおよび根巻きを行うためのミシン針が、前記上軸の回転にともなって被縫製物に対して上下動可能に配設されている。
【0018】
さらに、前記ミシン針の下方には、ボタンを保持して移動させる図示しないボタンホルダが配設されており、このボタンホルダは、図1に示す駆動モータ17の駆動により移動され、保持したボタンをミシン針の上下動方向に対して直交する方向に移動させるようになっている。したがって、このボタンホルダと駆動モータ17により移動手段が構成されるようになっている。
【0019】
図1に示すように、本第1実施形態におけるボタン付けミシン14は、ボタンの縫製に必要な条件を設定するための設定入力装置18を有している。
【0020】
前記設定入力装置18には、例えば二つ孔平ボタン、四つ孔平ボタンもしくはマーブルボタン等のボタンの種類の選択や、ボタン孔間への縫い目の種類、あるいはボタンの縦、横の寸法、平ボタンの厚さ(糸通し孔の深さ)、または、マーブルボタンの糸通し孔の深さに関わるボタンの孔の深さ方向の長さ情報等を入力することができるようになっている。この入力は、例えば、図2に示すようなパネル19や、またはスイッチ、外部通信等によって行うようになっている。前記パネル19の表示画面には、縫製の条件を設定する設定項目20が表示されるようになっている。さらに、設定内容として、縫製を行うボタンの種類21が画像表示されるとともに、このボタンの厚さ22が、また、マーブルボタンのときは柄部の太さ、すなわち糸通し孔の深さが数値表示されるようになっている。
【0021】
また、前記パネル19には、設定項目20を選択する際の上下の移動キー23a,b、および設定を確定する確定キー24ならびに設定を解除する解除キー25が配設されている。さらに、前記パネル19には、設定したボタンの厚さ22やボタンの孔深さを変更するスイッチ26が配設されており、このスイッチ26によって設定数値を増減させるようになっている。
【0022】
さらに、前記ボタン付けミシン14は、縫製開始の指示を与える起動用ペダル28を有しており、この起動用ペダル28をユーザーが踏むことによってボタン付けミシン14の駆動が開始するようになっている。なお、この起動用ペダル28の替わりに、例えばスイッチ等によって縫製の開始を指示するようにしてもよい。
【0023】
前記設定入力装置18および前記起動用ペダル28は、それぞれ図1に示す入力装置(インターフェース)29に接続されている。この入力装置29には、ミシン制御手段の一部を構成するCPU30が接続されており、前記入力装置29は、このCPU30に対して前記各装置18,28から出力された信号を入力するようになっている。
【0024】
前記CPU30には、ミシン制御手段の一部を構成するROM31およびRAM32が接続されている。
【0025】
前記ROM31内には、例えば、平ボタンであれば、針落ちするボタンの縦および横の孔から孔までの長さ、マーブルボタンであればボタンの孔と柄部外方の針落ち部間の長さに対応した1針毎のボタンホルダの所要移動時間のデータが、所用移動時間データテーブルとして記憶されている。前記CPU30は、設定入力装置18から入力されたボタンの情報(例えば、ボタン種類、縫い種類、縦横ピッチ等)に対応した前記所用移動時間のデータを前記所用移動時間データテーブル内から選択することによって、ボタンホルダの所用移動時間を決定するようになっている。このデータテーブル内の所要移動時間データは、縫い目長さが長くなるほど1針毎の所要移動時間が長くなるようになっている。
【0026】
また、前記ROM31内には、前記所用移動時間Lおよび平ボタンの厚さやマーブルボタンの孔深さ(ボタンの孔の深さ方向の距離)に対応した比率とに関連させて上軸の回転速度データVが、回転速度データテーブルとして記憶されている(図13参照)。
【0027】
この回転速度データは、1針毎のボタンホルダの所要移動時間を一定とした場合、ボタンホルダの厚さが厚くなるほど、あるいは孔深さが深くなるほど上軸の回転速度が遅くなるようになっている。また、ボタンの厚さを一定とした場合、1針毎のボタンホルダの所用移動時間が長くなると上軸の回転速度は遅くなるようになっている。
【0028】
すなわち、孔から孔までのピッチが近く、厚さが薄いボタンでは上軸の回転速度が最も速くなり、ピッチが離れ、厚さが厚いボタンでは、上軸の回転速度が最も遅くなるようになっている。
【0029】
前記CPU30には出力装置(インターフェース)33が接続されており、この出力装置33は、CPU30からの制御出力信号をミシンモータ制御装置35またはボタンホルダ制御装置36を介して前記ミシンモータ15や前記駆動モータ17等に出力するようになっている。
【0030】
ミシンモータドライバであるミシンモータ制御装置35は、CPU30によって決定されたミシンの回転速度に基づいて前記ミシンモータ15を駆動、または停止するようになっている。
【0031】
駆動モータドライバとしてのボタンホルダ制御装置36は、前記CPU30の制御により所定時期に駆動モータ17を一定速度で駆動するようになっている。
【0032】
なお、ミシンの上軸には、針が上下位置にある時にそれぞれ上位置信号又は下位置信号を発生する針位置検知手段41が設けられており、この針位置検知手段41は、入力装置29を介してCPU30に接続されている。前記上位置信号または前記下位置信号は、縫製時にCPU30にカウントされることでCPU30に対して縫目数の情報を出力可能とされており、前記CPU30は、縫目数が設定縫目数となったときにミシンを停止するようになっている。
【0033】
次に、CPU30により制御される本第1実施形態の作用について図5を参照して説明する。
【0034】
まず、図2に示すパネル19のスイッチ操作によって縫製の条件の設定を指示する信号が入るとステップS−1に進んで条件設定を開始する。
【0035】
次に、ステップS−2乃至4において、ボタンの種類の選択、縫い種類の選択、ボタンピッチの設定を順次行う。ボタンピッチの設定は、例えば、図3に示すような4つの孔H1乃至H4を有する平ボタンHBの場合は隣接する孔、例えば孔H1、H2の中心間の距離を、また、図2に示すような2つの孔のボタンの場合は2つの孔中心間の距離を、さらに、マーブルボタンの場合は柄部の糸通し孔中心と柄部外方との距離を、それぞれ縦あるいは横ピッチとして設定を行う。
【0036】
次に、ステップS−5において、縫製を行うボタンが4つ孔平ボタンであるか否かの判断を行い、4つ孔平ボタンの場合は、ステップS−6において、さらに、このボタンの縫い種類が、図3における孔H1とH3、または孔H2とH4とに針落ちをさせて縫い目をたすきがけ(X型)にする型であるか否かの判断を行う。そして、X型であるときには、ステップS−7において縦横ピッチを二辺となす三角形の長辺を求めるようにして縫い目長さ、すなわちピッチを求める。
【0037】
また、ステップS−5において、縫製を行うボタンがマーブルボタンの場合、もしくは図3における孔H1とH2は孔H3とH4とに針落ちさせて縫い目を平行にする縫いの場合(ステップS−6)は、設定された縦あるいは横ピッチをピッチとする。
【0038】
これらの設定により、ステップS−8において、ROM31内の所用移動時間データテーブルからボタンホルダの所要移動時間を決定する。
【0039】
すなわち、所要移動時間データテーブルには、ボタンホルダに保持されたボタンがステップS−5乃至7において設定されたピッチを移動するのに要する時間が、各ピッチに対応して格納されている。例えば、図10の平ボタンHBにおいて、ボタンの孔Ha,Hb中心間の距離Lがピッチに相当し、この距離Lを一定速度(最高速)で移動するときの所要移動時間が読み出される。
【0040】
次に、ステップS−9において、平ボタンの時にはボタンの厚みの設定値を、また、マーブルボタンの時には孔深さの設定値を入力する。
【0041】
前記設定の後、ステップS−10〜11においてROM31内の回転速度データテーブルから上軸の回転速度を決定する。
【0042】
すなわち、図10に示すように、針NDの各上下動サイクルにおいて、針NDがボタン上に上昇しているときにのみボタンを移動できるが、本実施形態においては針の1回の上下動サイクルを100%として針が針板等の上方に位置する半サイクルを50%とすると、設定されたボタンBHの厚さ(ボタンの孔の深さ)に応じて40%、30%、20%、10%および0%と比率が設定される(ステップS−10)。すなわち、ボタン厚さが大きくなるほどボタンホルダが移動し得る時間が短くなる。
【0043】
マーブルボタンMBの場合は、図11に示すように、柄部MB1に形成された糸通し穴MHと柄部MB1の外側とに針NDが針落ちし、その距離がLとなるとき、柄部MB1の高さ、すなわち糸通し穴MHの深さに応じて比率が設定される。
【0044】
これに基づいて、ステップS−11において、前記所要移動時間データテーブルから読み出された所要移動時間Tと上記比率とによりボタンに対する針の係合のおそれのないミシン回転速度Vが、前記回転速度データテーブルから読み出される。
【0045】
次に、ステップS−12において、前記起動用ペダル28から起動指示をすると、この起動指示が前記入力装置29を介して前記CPU30へ入力される。
【0046】
これを受けて、ステップS−13において縫製の実行を開始する。
【0047】
この縫製実行サブルーチンにおいては、上記した上軸の回転速度(ミシンの動作速度)の制御を除き、各装置の動作順序(動作内容)は、従来と同じである。
【0048】
すなわち、前記起動指示を受けて、前記CPU30は前記出力装置33を介して前記ミシンモータ制御装置35へ回転指令および速度指令を出力する。
【0049】
これを受けて前記ミシンモータ制御装置35は、ミシンモータ15を駆動し、このとき、前記ボタンホルダは、設定された所要移動時間でボタンの移動を行い、前記上軸は、設定された回転速度の回転を行う。
【0050】
これにより、図3に示す平ボタンBHの縫製の場合は、平ボタンBHの厚さに応じて、針NDがボタンの孔H1〜H4から確実に抜け出てからボタンホルダが移動するとともに、移動されたボタンの孔H1〜H4に針NDが突き刺さるように、最適の回転速度でボタンの縫い付けが行われる。
【0051】
また、図4に示すマーブルボタンMBの縫製の場合は、マーブルボタンMBの孔深さに応じて、針NDが、孔Hmから確実に抜け出てからあるいは孔Hmに確実に突き刺さるようにボタンホルダが移動するように、最適の回転速度でボタンの縫い付けが行われる。
【0052】
そして、所定針数の縫製が完了したことを前記針位置検知手段の上位置信号または下位置信号のカウントにより検出したとき、縫製を終了する。
【0053】
したがって、本第1実形態によれば、平ボタンの厚さまたはマーブルボタンの孔深さ等、ボタンに形成された孔の深さ方向の情報を設定することができるため、設定値に応じて最適のミシン回転速度を得ることができる。このため、マシンサイクルの効率化ひいては生産性を向上することができる。
【0054】
また、ボタンに応じて最適なミシンの回転速度を設定することができるため、回転速度が速すぎたためミシン針がボタンに刺さって針折れが生じてしまったり、ミシン針によってボタンに傷か付いてしまうことを防止することができる。
【0055】
次に、本発明に係るボタン付けミシンの第2実施形態について図6および図7を参照して説明する。なお、前記第1実施形態におけるボタン付けミシン14と基本的構成が同一またはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0056】
本第2実施形態において、上軸に関連配置されたエンコーダ装置42は、上軸の1回転に関連して所定数のパルス信号(クロック信号)を発生する。
【0057】
さらに、本第2実施形態におけるROM43(図6)内には、前記移動時間データテーブル内の所要移動時間データ及び、前記回転速度データテーブル内の回転速度データが記憶されているとともに、平ボタンの厚さやマーブルボタンの孔深さ等(前記比率)とミシン回転速度Vとに対応したボタンホルダの移動開始位相のデータが移動開始位相データテーブルに記憶されている。
【0058】
この移動開始位相データテーブルは、図14に示すように前記ステップS−10で設定された比率と設定されたミシンの回転速度データVとに対応して、移動を開始する位相を前記エンコーダ装置42のパルス信号(クロック信号)のパルス数Pとして記憶されている。例えば、針位置検知装置41から上位置信号が発生すると、前記比率が40%のときは、針位置検知信号が発生してから前記40%に相当する位置に針が上昇するまでに相当するパルス数データが前記移動開始位相データテーブルから読み出されるようになる。
【0059】
CPU44(図6)は、前記と同様に前記所要移動時間データテーブルから所要移動時間データを決定し、前記回転速度データテーブルから回転速度データを決定するとともに、前記移動開始位相のデータを、設定入力装置18により入力されたボタンの厚さや孔深さ等のボタンの情報に対応して前記移動開始位相データテーブル内から選択することによって、ボタンホルダの移動開始タイミングを決定するようになっている。
【0060】
次に、CPU44により制御される本第2実施形態の作用について説明する。
【0061】
図7に示すように、ステップS−21〜31までは、前記第1実施形態の前記ステップS−1〜11と同様である。
【0062】
前記ステップS−21〜31における各設定を行った後、ステップS−32において、ROM43内の移動開始位相データテーブルからボタンホルダの移動開始位相角度を決定する。すなわち、この位相角度に対応するパルス数のデータを読み出し設定する。
【0063】
そして、ステップS−33において、起動用ペダル28から起動指示すると、この起動指示が入力装置29を介してCPU44へ入力され、ステップS−34に縫製実行Bのサブルーチンが実行される。
【0064】
このサブルーチンは図12に示すように、前記起動指示を受けて、ステップS−35においてミシンが起動され、前記CPU44は前記出力装置33を介してミシンモータ制御装置35へ回転指令および速度指令を出力する。
【0065】
ミシンの回転が開始し、ステップS−36において針位置検出装置41から上位置信号を受信すると、次に、前記CPU44は、ステップS−37において、エンコーダ装置42からのパルス信号をカウント(p+1)する。
【0066】
そして、ステップS−38において、前記カウントした値pが先に決定した移動開始位相角度に相当する値Pになったときに、ステップS−39に進み、このステップS−39において、前記CPU44からの指令を受けて、前記ボタンホルダ制御装置36は、ボタンホルダを駆動する。
【0067】
そして、ステップS40〜42において、所定縫目数Nの縫製が完了されたことが針位置信号のカウントにより検出されるとミシンを停止して縫製を終了し、完了していない場合はステップS−36以降の操作を繰り返す。
【0068】
従って、本第2実施形態によれば、マシンサイクルを短縮化して作業性を向上させることができる上に、ミシンの回転速度に合わせた最適のタイミングでボタンを移動させることができる。このため、ミシン針折れおよびボタンの損傷をさらに効果的に防止することができ、ボタンの縫い付けをさらに適正に行うことができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0070】
例えば、前記第1および第2実施形態においては、平ボタンの厚さやマーブルボタンの孔深さの設定を外部設定により行っているが、これに限る必要はなく、例えば、自動検知装置によって検知したデータを設定データの代用とする方法を採るようにしてもよい。また、前記第1および第2実施形態においては、上軸の回転速度の決定に際し、回転速度データテーブルを用いて決定を行っていたが、これに限る必要はなく、例えば、ミシン針がボタンに接触せずに移動できるための前記上軸の回転角度を前記ボタンの孔の深さ方向の情報に基づいて決定し、この決定した回転角度と前記所用移動時間とから前記上軸の回転速度を演算するようにしてもよい。
【0071】
また、前述した実施形態においては、針位置検出装置41の上位置信号に基づいてエンコーダ出力をカウント開始するようにしたが、上位置以外の位置信号を別途検出するようにしてもよく、その際、他の針位置検出装置を設けてもよい。
【0072】
また、クロック信号として上軸に設けたエンコーダ出力を用いたが、このエンコーダをミシンモータ軸に設けたり、CPUの内部のクロック信号を用いてもよい。この場合、前記設定された回転速度に対応して設定パルス数を変更するようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の請求項1に係るボタン付けミシンによれば、作業効率ひいては生産性を向上することができ、あわせてミシン針の針折れおよびボタンの損傷を防止してボタンの縫製を適正に行うことができる。
【0074】
請求項2に係るボタン付けミシンによれば、請求項1に係るボタン付けミシンの効果に加えて、ミシン針の針折れおよびボタンの損傷をさらに効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態において、第1実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態においてパネルを示す図
【図3】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態において、平ボタンの縫い付け状態を示す図
【図4】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態において、マーブルボタンの縫い付け状態を示す図
【図5】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態において、第1実施形態におけるボタンの縫製の手順を示したフローチャート
【図6】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態において、第2実施形態を示すブロック図
【図7】本発明に係るボタン付けミシンの実施形態において、第2実施形態における縫製の手順を示すフローチャート
【図8】従来のボタン付けミシンに用いられている制御回路の一例を示すブロック図
【図9】従来のボタン付けミシンによる縫製の手順を示したフローチャート
【図10】第1実施形態の平ボタンを縫着する場合のボタンの厚さ(孔の深さ)と針の動作との関係における比率を示す説明図
【図11】第1実施形態のマーブルボタンを縫着する場合の柄部の厚さ(孔の深さ)と針の動作との位置関係における比率を示す説明図
【図12】第2実施形態の縫製実行Bサブルーチンのフローチャート
【図13】本発明の回転速度データテーブルの説明図
【図14】本発明の移動開始位相データテーブルの説明図
【符号の説明】
14,40 ボタン付けミシン
15 ミシンモータ
18 設定入力装置
30,44 CPU
31,43 ROM
32 RAM
35 ミシンモータ制御装置
36 ボタンホルダ制御装置
Claims (2)
- ミシンモータの駆動によって往復動され縫い付け用の孔が形成されたボタンを被縫製物に縫い付けるためのミシン針と、
ボタンホルダおよび駆動モータによって構成され前記ボタンを前記ミシン針に対して直交する方向に移動させる移動手段と
を設けたボタン付けミシンにおいて、
ボタンピッチおよびボタン孔の深さを設定するための設定入力手段と、
ミシンの回転速度を決定するとともに決定された回転速度によりミシンを回転するように前記ミシンモータの駆動を制御するミシン制御手段と
を設け、
前記ミシン制御手段は、
前記設定入力手段によって設定された前記ボタンピッチに基づいて、前記ボタンホルダの所要移動時間を決定し、
前記設定入力手段によって設定された前記ボタン孔の深さに基づいて、当該深さが深くなるほど値が小さくなるような当該深さに応じた比率を設定し、
決定された前記所要移動時間および設定された前記比率により、前記ミシンの回転速度を、ボタン孔の深さが深いほど遅い回転速度であって、前記設定入力手段によって設定された前記ボタンピッチおよび前記ボタン孔の深さの双方に応じた最適な回転速度に決定すること
を特徴とするボタン付けミシン。 - 前記ボタン孔の深さに基づいて前記移動手段の移動開始タイミングを決定する移動開始タイミング決定手段を設け、前記ミシン制御手段は、前記決定された移動開始タイミングで前記移動手段の駆動を開始することを特徴とする請求項1に記載のボタン付けミシン。
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