JP4632301B2 - 無電解メッキ用触媒及び無電解メッキ方法 - Google Patents

無電解メッキ用触媒及び無電解メッキ方法 Download PDF

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Description

本発明は、無電解メッキ触媒及び無電解メッキ方法に関する。
従来、無電解メッキに用いられる無電解メッキ用触媒としては、Pd金属、Pt金属等からなるPd触媒、Pt触媒等が用いられてきた。このような触媒を使用する場合には、例えば、塩化第一錫溶液に基板を浸漬させて、基板上に塩化第一錫を付与した後、塩化パラジウム溶液にその基板を浸漬させて、錫とパラジウムとをイオン交換させることにより基板上の塩化第一錫を塩化パラジウムとさせ、その後、還元性の溶液に浸漬させて基板上の塩化パラジウムをパラジウムに還元させる方法等が一般的に行われている。しかしながら、これらの金属はコストが高く、かつ、Pdは基材上に過剰に付着すると導電性に悪影響を及ぼすという問題があった。
このような問題を解決するため、Ag金属単体からなるAg触媒が検討されてきた。例えば、特許文献1にはインクジェット装置を用いて塗布される、平均粒子径が100nm以下のAg金属微粒子からなる金属微粒子インクが開示されている。しかしながら、Ag金属単体を使用して、Pd触媒、Pt触媒等と同程度の触媒能を発揮することは困難であった。
このような問題を解決する方法として、Pdとその他の金属からなる合金粒子の製造方法とそれらを無電解メッキ用触媒として使用する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このような方法は、Pdの使用量を充分に抑えたものとはいえず、導電性の確保及びコストの面から満足のいくものではなかった。更に、合金コロイドを製造する方法の詳細についての開示はなく、また、2種類の金属の還元速度を同程度にすることが好ましいとの記載があるものの、その具体的手段は明らかにされていない。更に、この方法では、合金化していない単独金属コロイド粒子が同時に生成し、これを除くことは実質的に困難である。
特開2002−134878号公報 特開2003−160876号公報
本発明は、上記現状に鑑み、コストの面で良好であり、良好な導電性を確保することができる無電解用メッキ触媒及びそれを用いた無電解メッキ方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、金属M及びMからなる合金ナノ粒子を含有し、上記金属Mは、Agであり、上記金属Mは、Pd、Pt、Rh、Bi、Ru、Ni、Sn及びAuからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする無電解メッキ用触媒である。
上記合金ナノ粒子において、金属Mの含有量は3質量%以下であることが好ましい。
上記合金ナノ粒子は、高分子顔料分散剤存在下で金属Mイオン及び金属Mイオンを含有する金属溶液から金属水酸化物類を析出させた後に、還元反応させる工程を含んでなる製造方法により得られるものであることが好ましい。
本発明は、上述の無電解メッキ用触媒を用いて基材に合金ナノ粒子層を形成する工程(1)、及び、得られた基材を更に無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキする工程(2)からなることを特徴とする無電解メッキ方法でもある。
上記工程(1)は、インクジェット方式により行うものであることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の無電解メッキ用触媒は、Agを主成分とし、Pd、Pt、Rh、Bi、Ru、Ni、Sn及びAuからなる群より選択される1種又は2種以上である金属Mからなる合金ナノ粒子からなるものである。ここで、合金ナノ粒子とは、数〜数十nmの平均粒子径を有するものであって、通常のバルク状態とは異なる性質(融点降下や非線形光学効果、触媒作用の発現、プラズモン吸収による発色等)を示すことが知られているものである。本発明においては、合金ナノ粒子として配合することにより、金属Mの配合量がわずかであっても、金属Mを単体使用した場合と同等の触媒効果を得ることができるものであって、主成分であるAgを単独で使用した場合よりも圧倒的に高い触媒能を発揮することができる。
また、上記合金ナノ粒子は、Agを主成分とするため、コストを抑えることができるものである。更に、Pd等の導電性に悪影響を及ぼす成分が多量に基材表面に残存することがないため、本発明の無電解メッキ用触媒を用いた基材は、良好な導電性を確保することができる。
上記合金ナノ粒子において、上記金属Mの含有量は3質量%以下であることが好ましい。従来、金属Mの含有量を充分に抑えつつ、無電解メッキ用触媒としての良好な触媒能を発揮することは困難であったが、本発明における合金ナノ粒子は、ナノスケールの金属粒子表面内に、更に小さなスケールで異種金属が複合しており、高活性な触媒サイトが発生しやすいと考えられるため、金属Mの含有量を3質量%以下とした場合にも充分な触媒能を発揮することができるものである。
本発明において合金とは、2種以上の金属が原子レベルから、層状、グラニュラー状、アモルファス状等のミクロなレベルで混合した状態になっていることを意味する。なお、上記混合は全体が同じ状態ではなく、ある部分は層状が支配的になっており、また、ある部分は、アモルファス状が支配的になっているといったように、部分部分でその構成が異なっているものと推察される。
上記合金ナノ粒子の製造方法としては特に限定されないが、例えば、高分子顔料分散剤存在下で金属Mイオン及び金属Mイオンを含有する金属溶液から金属水酸化物類を析出させた後に、還元反応させる工程によって、合金ナノ粒子含有溶液を製造する方法等を挙げることができる。上記方法は、特別な装置も必要とせず、簡便に高触媒活性な表面を有するナノ触媒粒子を合成できるという観点から好ましいものである。
上記高分子顔料分散剤は、高分子量の重合体に顔料表面に対する親和性の高い官能基が導入されているとともに、溶媒和部分を含む構造を有する両親媒性の共重合体であり、通常は顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
上記高分子顔料分散剤は、合金ナノ粒子の生成及び生成後の溶媒中での分散をそれぞれ安定化する働きをしていると考えられる。
上記高分子顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではないことがあり、100万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、2000〜50万であり、更に好ましくは、4000〜50万である。
上記高分子顔料分散剤としては上述の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示したものを挙げることができる。上記高分子顔料分散剤としては、種々のものが利用できるが、市販されているものを使用することもできる。上記高分子顔料分散剤は、製造しようとする合金ナノ粒子含有溶液の種類に適したものを選択することができる。溶媒が水系のものである場合には極性高分子顔料分散剤が、溶剤が非極性のものである場合には非極性高分子顔料分散剤がそれぞれ選択される。
上記極性高分子顔料分散剤の市販されているものとしては、ディスパービックR、ディスパービック154、ディスパービック180、ディスパービック187、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192(以上ビックケミー社製)、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース12000、ソルスパース40000、ソルスパース41090、ソルスパースHPA34(以上ルーブリゾール社製)、EFKA−450、EFKA−451、EFKA−452、EFKA−453、EFKA−4540、EFKA−4550、EFKA−1501、EFKA−1502(以上エフカケミカルズ社製)、フローレンTG−720W、フローレンTG−730W、フローレンTG−740W、フローレンTG−745W、フローレンTG−750W、フローレンG−700DMEA、フローレンG−WK−10、フローレンG−WK−13E(以上共栄社製)、ディスパーエイドW−30、ディスパーエイドW−39(エレメンティス社製)、K−SPERSE XM2311(キング社製)、ネオレッツBT−24、ネオレッツBT−175(以上ゼネカ社製)、SMA1440H(アトケム社製)、オロタン731DP、オロタン963(ローム・アンド・ハース社製)、ヨネリン(米山化学製)、サンスパールPS−2(三洋化成製)、トライトンCF−10(ユニオンカーバイド社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル683、ジョンクリル611、ジョンクリル680、ジョンクリル682、ジョンクリル52、ジョンクリル57、ジョンクリル60、ジョンクリル63、ジョンクリル70、ジョンクリルHPD−71、ジョンクリル62(ジョンソンポリマー社製)、サーフィノールCT−111(エアプロダクツ社製)等を挙げることができる。
一方、上記非極性高分子顔料分散剤の市販されているものとして、ディスパービック110、ディスパービックLP−6347、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック161、ディスパービック166、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2150、ディスパービック2070(以上ビックケミー社製)、ソルスパース24000、ソルスパース28000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース26000、ソルスパース36600、ソルスパース37500、ソルスパース35100、ソルスパース38500(以上ルーブリゾール社製)、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−4050、EFKA−4055、EFKA−4009、EFKA−4010、EFKA−400、EFKA−401、EFKA−402、EFKA−403(以上エフカケミカルズ社製)、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−22(以上共栄社製)、ディスパロン2150、ディスパロン1210(楠本化成製)等を挙げることができる。
本発明において、上記合金ナノ粒子になる金属MはAgであり、金属Mは、Pd、Pt、Rh、Bi、Ru、Ni、Sn及びAuからなる群より選択される1種又は2種以上である。
上記金属溶液は、上記金属M又はMを含む金属化合物を、後述する溶媒に溶解させて得られる。ここで、金属溶液とは、イオン性金属を含む、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩等の化合物の溶解した溶液を称する。上記金属M又はMを含む金属化合物としては、上記溶媒に溶解して金属Mイオン又は金属Mイオンを生成するものであればよい。
上記金属化合物の例として、上記金属が銀である場合には硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、白金である場合にはヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、上記金属が金である場合にはテトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、上記金属がロジウムである場合には三塩化ロジウム(III)三水和物等それぞれ挙げることができる。
また、上記金属がビスマスである場合、上記金属化合物の例として、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、臭化ビスマス、ケイ酸ビスマス、水酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、次硝酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス等の無機系ビスマス含有化合物;乳酸ビスマス、トリフェニルビスマス、没食子酸ビスマス、安息香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、メトキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、ギ酸ビスマス、2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸ビスマス等の他、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス等の(塩基性)ビスマス化合物と有機酸とを水性媒体中で混合・分散することによって製造できるような有機酸変性ビスマス(国際公開WO99/31187号公報参照)等の有機系ビスマス含有化合物等を挙げることができる。なかでも、溶媒として水を含む場合には、水への溶解性の観点から、塩化ビスマスや硝酸ビスマスが好ましい。
また、上記金属がニッケルである場合、上記金属化合物の例として、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)六水和物、臭化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)四水和物、ヨウ化ニッケル(II)n水和物等のハロゲン化物;硝酸ニッケル(II)六水和物、過塩素酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)六水和物、リン酸ニッケル(II)n水和物、塩基性炭酸ニッケル(II)等の鉱酸化合物;水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)等のニッケル無機化合物;酢酸ニッケル(II)四水和物、乳酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)二水和物、酒石酸ニッケル(II)三水和物、クエン酸ニッケル(II)n水和物等のニッケル有機酸化合物等を挙げることができる。上記ニッケル有機酸化合物は、例えば、塩基性炭酸ニッケルと有機酸から調製することができる。なかでも、溶解性の高い酢酸ニッケル(II)四水和物、塩化ニッケル(II)六水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物が好ましい。
上記金属がスズの場合、酢酸スズ(II)、塩化スズ(II)二水和物等を挙げることができる。
上述したAg、Pd、Pt、Rh、Bi、Ru、Ni、Sn及びAuのイオンは、高分子顔料分散剤の存在下で還元することにより、還元した金属がナノサイズで安定化される金属である。これらの金属イオンを混合した状態の中で、まず金属イオンが還元される前に金属水酸化物類として析出させると、ミクロサイズで複合した複合金属水酸化物類となる場合がある。このような状況で還元反応が進行するとミクロサイズで複合化した高触媒能を有する合金ナノ粒子を得ることができると推測される。
一方、析出した金属水酸化物類が単一の金属種からなる金属水酸化物類であった場合でも、析出した金属水酸化物類の粒子の一部が金属に還元することによって、不安定なすなわち高活性な表面が生成し、これが反応場となり、まだ溶解している金属イオンの還元反応性が促進されて、異種の金属の複合化が進み、ミクロサイズで複合化した高触媒能を有する合金ナノ粒子を得ることができると推測される。
上記金属溶液に含まれる金属Mイオン及び金属Mイオンの供給源となる金属化合物(上述した化合物)は、上記金属溶液中の金属モル濃度(金属M及びMの合計量)が0.01mol/l以上となるように用いられることが好ましい。0.01mol/l未満であると、得られる合金ナノ粒子含有溶液の金属モル濃度が低すぎて、効率的でない。好ましくは0.05mol/l以上、より好ましくは0.1mol/l以上である。
上記合金ナノ粒子は、その他の金属を含むものであってもよい。この場合、金属Mイオン及び金属Mイオンの供給源となる金属化合物とその他の金属の供給源となる金属化合物とを含む金属溶液を使用すればよい。上記その他の金属の供給源となる金属化合物の金属溶液中における金属モル濃度は、上記金属Mに対して、0.1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。ただし、金属Mとその他の金属の合計量に対してMの配合量の上限は3質量%であることが好ましい。
上記金属溶液中の溶媒としては、上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール、エトキシエタノール等のエーテル結合を含んだアルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記溶媒が水と有機溶媒との混合物である場合には、上記有機溶媒としては、水可溶性のものが好ましく、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられる。
上記高分子顔料分散剤の使用量は、上記金属化合物中の金属(M及びMの合計量)と高分子顔料分散剤との合計量に対して90質量%以下であることが好ましい。90質量%を超えると、増分に見合うだけの効果が期待できない。より好ましくは、60質量%以下であり、更に好ましくは、40質量%以下である。
上述の合金ナノ粒子含有溶液の製造方法では、このようにして調製された上記金属溶液に沈殿剤を加えて、金属水酸化物類を析出させる。この金属水酸化物類とは、金属水酸化物、金属オキシ水酸化物、金属酸化物及びこれらの混合物を意味するものであり、用いる金属M及びMの種類によって、その構成は異なってくる。
ここで用いられる沈殿剤として、塩基性化合物が用いられる。系を塩基性にすることで、溶媒に溶けにくい金属水酸化物類が生成すると考えられる。具体的な沈殿剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の塩基性アルカリ金属塩やアミンやグアニジン、イミダゾール等の水溶性の有機塩基化合物等が挙げられる。これらは、用いている金属Mにより適宜選択され得る。特に還元作用をも有する、水溶性脂肪族アミンが好適に用いられる。なお、加えられる沈殿剤の量は、沈殿させる対象の金属塩の規定度に対して、0.1〜10倍量とすることができる。
上述の合金ナノ粒子含有溶液の製造方法では、この金属水酸化物類が析出した状態で還元を行なう。還元は還元剤を系に添加することにより行なわれる。先に述べたように、析出物が金属M及び金属Mを含む金属水酸化物類である場合、これを還元することにより、合金ナノ粒子が得られる。また、上述のように析出した金属水酸化物類が単一の金属種からなる金属水酸化物類であり、更に反応が進行する場合の例としては、金属MがAg、金属MがPdという組み合わせを挙げることができる。
上記還元剤としては、例えば、アミンを挙げることができる。上記アミンを使用することにより、危険性や有害性の高い還元剤を使用する必要がなく、加熱や特別な光照射装置を使用することなしに、5〜100℃程度、好ましくは20〜80℃程度の反応温度で、金属化合物を還元することができる。
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示されているものを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、ジメチルアミノエタノールがより好ましい。
上記アミンの他に、従来より還元剤として使用されている水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物;クエン酸;酒石酸;リンゴ酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜二チオン酸、亜二チオン酸の誘導体であるホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(ロンガリットと称される)、ホルムアルデヒドスルホキシル酸亜鉛等の亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することができる。また、二酸化チオ尿素、水素化アルミニウムナトリウム、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸、ハイドロサルファイトを挙げることもできる。これらは、単独又は上記アミンと組み合わせて使用することが可能であるが、アミンとクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場合、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、還元性の向上を図ることができる。上述したアミンの他の還元剤のなかでも、必要に応じてアミンよりも強い還元力有するものであることが好ましい。アミンよりも強い還元力を有するもののなかでも、安全性と反応効率の観点から、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(ロンガリット)、炭酸ヒドラジンが好ましい。これらの還元剤は適切なものを組み合わせて使用することができる。
上記還元剤の添加量は、上記金属溶液に含まれる金属Mイオン及び金属Mイオンを還元するのに必要な量以上であることが好ましい。この量未満であると、還元が不充分となるおそれがある。また、上限は特に規定されないが、上記金属化合物中の金属M及びMを還元するのに必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。
また、これらの還元剤の添加により化学的に還元する方法以外に、高圧水銀灯を用いて光照射する方法も使用することも可能である。
上記還元剤を添加する方法としては、金属M及びMを含む金属水酸化物類が析出した後に、還元反応する場合には、例えば、金属Mを含む化合物及び金属Mを含む化合物と高分子顔料分散剤とを溶解させて得られる溶液に、還元剤を加えることで行うことや、高分子顔料分散剤及び還元剤を溶解させて得られる溶液に、金属Mを含む化合物及び金属Mを含む化合物を溶解した溶液を加えることで行うことができる。また、先に高分子顔料分散剤と還元剤とを混合しておき、この混合物を、金属Mを含む化合物及び金属Mを含む化合物を溶解した溶液に加える形態をとってもよい。なお、合金ナノ粒子含有溶液の製造に際し、金属Mを含む化合物及び金属Mを含む化合物と高分子顔料分散剤との混合液が濁っていてもよい。
上記還元剤を添加する方法としては、析出する金属水酸化物類が金属M及びMのうちMのみを含むものである場合には、例えば、金属Mを含む化合物と高分子顔料分散剤と還元剤とを溶解させて得られる溶液に、金属Mを含む化合物を溶解した溶液を加えることで行うことができる。
上記工程を行うことによって金属水酸化物類の析出、還元反応を進行させることにより、平均粒子径が約5〜100nmである合金ナノ粒子を含む溶液が得られる。
上記工程を行った後の溶液は、上記合金ナノ粒子及び上述の高分子顔料分散剤を含むものであり、合金ナノ粒子含有溶液となる。上記合金ナノ粒子含有溶液とは、金属M及びMを含有する微粒子が溶媒中に分散しており、溶液として視認できるような状態にあるものを意味している。なお、上記合金ナノ粒子含有溶液の金属濃度は、TG−DTA等で測定して決定することができるが、測定を行わない場合には、仕込みに用いた配合量から計算される値を用いても構わない。
このようにして得られた合金ナノ粒子含有溶液は、上記合金ナノ粒子及び上記高分子顔料分散剤のほかに、原料に由来する塩化物イオン等の雑イオン、還元で生じた塩や、場合により還元剤を含むものであり、これらの雑イオン、塩や還元剤は、合金ナノ粒子含有溶液の安定性に悪影響を及ぼすおそれがあるので、限外濾過により除去しておくことが望ましい。上記合金ナノ粒子含有溶液を、限外濾過することによって、合金ナノ粒子含有溶液中の雑イオン、塩やアミンを除去するだけでなく、更に高分子顔料分散剤の一部を除去する。
上記限外濾過は、通常、分離対象となる物質の径が1nm〜5μmである。上記径を対象とすることにより、上記不要な雑イオン、塩や還元剤とともに、上記高分子顔料分散剤を除去することができる。1nm未満であると、不要な成分が濾過膜を通過せず排除できないことがあり、5μmを超えると、合金ナノ粒子の多くが濾過膜を通過し、所望の合金ナノ粒子含有溶液が得られない場合がある。
上記限外濾過の濾過膜としては特に限定されないが、通常、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製のものが用いられる。これらのうち、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォンが好ましく、ポリアクリロニトリルがより好ましい。
上記限外濾過の濾過膜は、また、上記限外濾過終了後に通常行われる濾過膜の洗浄を効率よく行う点から、逆洗浄が可能な濾過膜を用いることが好ましい。
上記限外濾過の濾過膜としては、分画分子量が3000〜80000のものが好ましい。3000未満であると、不要な高分子顔料分散剤等が充分に除去されにくく、80000を超えると、上記合金ナノ粒子が濾過膜を通過しやすくなるため、目的とする合金ナノ粒子含有溶液が得られない場合がある。より好ましくは、10000〜60000である。上記分画分子量は、一般的に、高分子溶液を限外濾過膜に通す場合に限外濾過膜の孔内を通過して外に排除される高分子の分子量を指し、濾過膜の孔径を評価するために用いられる。上記分画分子量が大きな値を示す程、濾過膜の孔径は大きい。
上記限外濾過の濾過モジュールの形態としては特に限定されず、例えば、濾過膜の形態によって中空紙型モジュール(キャピラリーモジュールとも呼ばれる)、スパイラルモジュール、チューブラーモジュール、プレート型モジュール等が挙げられ、何れも本発明に好適に用いられる。これらのうち、膜面積が大きいほど濾過に要する時間を短縮することができるので、濾過面積の割にコンパクトな形態を有する中空紙型モジュールが、効率の点から好ましい。また、処理を行う金属コロイド粒子溶液の量が多い場合には、使用する限界濾過膜本数が多いものを使うことが好ましい。
上記限外濾過の方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法等が用いられ、通常、得られた合金ナノ粒子及び高分子顔料分散剤を含む溶液を限外濾過膜に通すことにより行われ、これにより、上述の雑イオン、塩、還元剤や高分子顔料分散剤を含む濾液が排除される。上記限外濾過は、通常、濾液の上記雑イオンが所望の濃度以下に除去されるまで繰り返し行う。その際、処理する合金ナノ粒子含有溶液の濃度を一定にするために排除された濾液の量と同じ量の溶剤を加えることが好ましい。このときに加える溶剤として、還元時に用いていたものと異なる種類のものを用いることで、合金ナノ粒子含有溶液の溶剤を置換することが可能である。例えば、処理する合金ナノ粒子含有溶液の溶剤が水の場合には、エタノール等のアルコールに置換することにより、乾燥性、基材への濡れ性等が優れるものとすることができ、一方、溶剤がエタノール等のアルコールの場合には、水に置換することにより、環境性に優れるものとすることができる。
上記限外濾過は、通常の操作、例えば、いわゆるバッチ方式で行うことができる。このバッチ方式は、限外濾過が進んだ分、処理対象である合金ナノ粒子含有溶液を加えていく方法である。なお、上記限外濾過は、上記雑イオンが所望の濃度以下に除去された後で、固形分濃度を高めるために更に行うことが可能である。
上記限外濾過処理により、合金ナノ粒子含有溶液から上記雑イオンや還元剤が除去される。更に、高分子顔料分散剤の一部が同時に除去されるため、合金ナノ粒子含有溶液における固形分中の合金ナノ粒子濃度を処理前に比べて高めることができる。また、上記限外濾過以外に、遠心分離によっても、上記雑イオンや還元剤の除去が可能である。この場合においても、合金ナノ粒子濃度を処理前に比べて高めることができる。
上記限外濾過処理及び遠心分離以外に、デカンテーションにより無色透明の上澄み液を除き、更に水を加えて洗浄を行うことにより、上記雑イオンや還元剤の除去を行うこともできる。このようにして得られた油状物は、水等の反応に用いた溶媒を含んでいるので、水への溶解性が高く、揮発性の高いメタノール及びエタノールや、水と共沸しうるトルエンを加えた後、乾燥することにより、一旦、ゾル状の合金ナノ粒子及び高分子顔料分散剤をまず得る。次いで、これに有機溶媒を加えて溶解させることにより、合金ナノ粒子含有溶液を得ることができる。
上述した合金ナノ粒子含有溶液の製造方法を用いることによって平均5〜100nmである合金ナノ粒子を含有する合金ナノ粒子含有溶液を得ることができる。上記合金ナノ粒子は、原子レベルから層状、グラニュラー状、アモルファス状等の種々のミクロなレベルで混合しており、部分部分でその構成が異なっているものと推測される。
本発明の無電解メッキ用触媒は、上述の合金ナノ粒子を含んでなるものである。上記無電解メッキ用触媒は、例えば、金属分0.1〜30質量%となるように上記合金ナノ粒子を溶媒で希釈したものを挙げることができる。上記溶媒としては特に限定されず、例えば、上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法で述べた溶媒を使用することができる。上記無電解メッキ用触媒は、その他の成分として、流動特性調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤等を含有するものであってもよい。
本発明の無電解メッキ用触媒を適用する基材としてはプラスチック、紙、金属、ガラス、セラミック、木材など特に限定されるものではない。特に基材が電子材料としての基板である場合には、イミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ガラス−エポキシ基板、紙−フェノール基板、シリコン基板、セラミックス基板、ガラス基板等が具体的なものとして挙げられる。これらの基材は、必要に応じてイソプロピルアルコール等で洗浄したものであってもよい。上記無電解メッキ用触媒をインクジェット方式により塗布する場合には、上記基材表面にインクジェットインク用受容層を形成することが好ましい。
上記インクジェットインク用受容層は、顔料成分およびバインダー樹脂成分からなるものである。上記顔料成分としては、合成シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、コロイダルシリカなどが挙げられるが、シリカを含有していることが好ましい。一方、バインダー樹脂成分としては、デンプン、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリビニルピロリドン、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
上記インクジェットインク用受容層は、上記成分以外に、ポリアミン化合物、ポリエチレンイミン系化合物、ジシアンジアミド系縮合物、カチオン化ポリウレタン樹脂、カチオン化アクリル酸誘導体などの耐水化剤を含んでいてもよい。また、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、浸透剤、滑剤、光安定剤、酸化防止剤、防腐剤、架橋剤などの助剤を含んでいてもよい。
これらの基材の用途としては特に限定されず、例えば、半導体基板、プリント基板、サーマルヘッド、電子部品等における電極や配線等の導体回路の形成や電磁波シールド等の電子材料に好適に使用できる。
本発明は、上記無電解メッキ用触媒を用いて基材に合金ナノ粒子層を形成する工程(1)、及び、得られた基材を更に無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキする工程(2)からなることを特徴とする無電解メッキ方法でもある。
上記工程(1)としては特に限定されず、例えば、上記無電解メッキ用触媒をスプレー、スピンコート、ディップコート、ロールコート、スクリーン印刷、ディスペンス印刷等の従来公知の方法により行うことができる。上記合金ナノ粒子層としては特に限定されないが、膜厚は1μm以下で充分な触媒効果が発現される。インクジェットにより無電解メッキ触媒を基材上にパターニングした場合には、無電解メッキ処理により触媒層が形成された部分のみに選択的に金属膜が形成されるので、導電性回路パターンが後工程無しで形成することができる。
上記工程(1)は、半導体内回路等のファイン化に対応するため、インクジェット方式により行うものであることが好ましい。インクジェット方式による塗布方法では、直接合金ナノ粒子を吐射して描画を行うので、描画可能な最小線幅、及び、回路間の最小間隔を極めて狭い範囲に設定することが可能となるため好ましい。特に、上述の合金ナノ粒子含有溶液の製造方法により得られる合金ナノ粒子は、平均粒子径が約5〜100nmとなるため、好適にインクジェット方式により塗布することが可能である。インクジェット方式はとして、ピエゾ素子を用いて吐出するピエゾ型、インクを加熱・沸騰させて吐出するサーマル型(バブルジェット(登録商標))のいずれも使用可能である。
上記工程(2)としては特に限定されず、例えば、ビルドカッパー浴(奥野製薬社製)等の市販の無電解メッキ液(浴)を用いて従来公知の方法により行うことができる。
本発明により、コストの面で良好であり、良好な導電性を確保することができる無電解用メッキ触媒を得ることができた。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
製造例1
(エタノール系銀/パラジウム(=97/3)複合ナノ粒子ペーストの調製)
コルベンにディスパービック190(有効成分40%の水溶液・ビックケミー社製)24.8g、脱イオン水400.0gを採り、撹拌して溶解させた。これに塩化パラジウム酸(HPdCl)水溶液(パラジウム含有量が15.22質量%・田中貴金属工業社製)7.83gを加えた。更に2−ジメチルアミノエタノール164.1gを加えてよく撹拌した。得られた混合水溶液を湯浴中で80℃となるように加熱した。
上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)60.64gと脱イオン水150.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。
上記コルベンに硝酸銀水溶液を撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして灰色となった。その後黒味を帯びだした。液温が80℃に低下したところで、この温度を保持して4時間撹拌を続け、褐黒色の水系銀/パラジウム複合ナノ粒子ペースト液を得た。
次に、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数400本)、マグネットポンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないで、限外濾過装置とした。先の反応液をステンレスカップに入れて、エタノールを加えた。この後も同様に限外濾過を行い、ろ液の量が2リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルのエタノールを加えた。この後も同様な作業をくり返し、ろ液の伝導度が6μS/cm以下になったことを確認し、母液の量が500mlになるまで、限外濾過による濃縮を行った。
続いて母液を入れた500mlステンレスカップ、限外濾過モジュールAHP0013(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数100本)、チューブポンプ、及び、アスピレーターをからなる限外濾過装置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液を入れ、固形分濃度を高めるための濃縮を行った。母液が約150mlになった時点でポンプを停止して、濃縮を終了することにより、固形分31.7%の銀/パラジウム複合ナノ粒子のエタノール溶液が得られた。銀/パラジウム合金ナノ粒子ペーストの組成比は銀/パラジウム=97/3(質量比)であった。この溶液中の銀/パラジウム複合ナノ粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、TG−DTA測定の結果、得られたエタノール系銀/パラジウム複合ナノ粒子ペーストは、金属含有量が30.0質量%、ディスパービック190が1.7質量%、エタノールが68.3質量%であった。
製造例2
(水系銀/パラジウム(=97/3)複合ナノ粒子ペーストの調製)
コルベンにディスパービック190(有効成分40%の水溶液・ビックケミー社製)24.8g、脱イオン水400.0gを採り、撹拌して溶解させた。これに塩化パラジウム酸(HPdCl)水溶液(パラジウム含有量が15.22質量%・田中貴金属工業社製)7.83gを加えた。更に2−ジメチルアミノエタノール164.1gを加えてよく撹拌した。得られた混合水溶液を湯浴中で80℃となるように加熱した。
上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)60.64gと脱イオン水150.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。
上記コルベンに硝酸銀水溶液を撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして灰色となった。その後黒味を帯びだした。液温が80℃に低下したところで、この温度を保持して4時間撹拌を続け、褐黒色の水系銀/パラジウム複合ナノ粒子ペースト液を得た。
次に、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数400本)、マグネットポンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないで、限外濾過装置とした。先の反応液をステンレスカップに入れて、エタノールを加えた。この後も同様に限外濾過を行い、ろ液の量が2リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルの脱イオン水を加えた。この後も同様に限外濾過を行い、ろ液の量が2リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルの脱イオン水を加えた。この後も同様な作業をくり返し、ろ液の伝導度が60μS/cm以下になったことを確認し、母液の量が500mlになるまで、限外濾過による濃縮を行った。
続いて母液を入れた500mlステンレスカップ、限外濾過モジュールAHP0013(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数100本)、チューブポンプ、及び、アスピレーターをからなる限外濾過装置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液を入れ、固形分濃度を高めるための濃縮を行った。母液が約120mlになった時点でポンプを停止して、濃縮を終了することにより、固形分31.8%の銀/パラジウム複合ナノ粒子の水溶液が得られた。銀/パラジウム合金ナノ粒子ペーストの組成比は銀/パラジウム=97/3(質量比)であった。この溶液中の銀/パラジウム複合ナノ粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、TG−DTA測定の結果、得られた水系銀/パラジウム複合ナノ粒子ペーストは、金属含有量が30.0質量%、ディスパービック190が1.8質量%、水が68.2質量%であった。
実施例1
銅張り積層板のCuをケミカルエッチングしたガラスエポキシ基板をサンドペーパー♯400で研磨した後、イソプロピルアルコールにより洗浄した。製造例1で調製したエタノール系銀/パラジウム複合ナノ粒子ペーストを金属濃度0.5質量%となるようにエタノールで希釈したものを無電解メッキ用触媒として使用し、上記ガラスエポキシ基板を2〜3秒間浸漬し、70°勾配で立てかけた。次に、水平状態で室温放置し、100℃×5分で溶媒を乾燥させ、無電解Cuメッキにかけた。使用した薬剤は、奥野製薬社製ビルドカッパー浴である。Cuメッキ層が形成されるまでに要した時間は、3分である。
実施例2、比較例1及び2
エタノール系銀/パラジウム複合ナノ粒子ペーストを表1に示した合金ナノ粒子、金属ナノ粒子に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験板を作成した。また、Cuメッキ層が形成されるまでに要した時間を表1に示した。Cuメッキ層形成に要した時間が短いほど、高い触媒能を有すると考えられる。
Figure 0004632301
表1に示したように、触媒中に3質量%しかパラジウムを含んでいない銀/パラジウム複合ナノ粒子の無電解メッキ触媒能は、100%のパラジウムからなるナノ粒子触媒と同等であることが示された。一方、パラジウムを含まない銀ナノ粒子触媒の無電解メッキ触媒能は、きわめて低いことが分かった。
製造例3 インクジェット用銀/パラジウムナノ粒子溶液の調製
製造例2で得られた水系銀/パラジウムナノ粒子ペースト50gにマルチトール11g、グリセリン16g、メチルエチルケトンを3gおよび脱イオン水20gを添加して、金属分が15質量%となる銀/パラジウムナノ粒子溶液を調製した。
実施例3 インクジェットにより形成した無電解メッキ触媒層への選択的無電解CuメッキによるCu薄膜パターンの形成
製造例3で得られた銀/パラジウムナノ粒子溶液を、市販のピエゾ方式のインクジェット・プリンターにより、両表面にインクジェット受容層の設けられたポリエステルフィルム上に線幅を50μm、膜厚で0.5μmで直線パターンを形成した。描画されたパターンの形状・寸法の再現性は非常に高かった。100℃×5分で乾燥させた後、無電解Cuメッキ浴に浸漬することにより、銀/パラジウム複合ナノ粒子触媒がパターニングされた直線パターン上のみ約5μmの膜厚のCuメッキ膜が形成され、無電解メッキによる線幅の変異は認められなかった。
実施例4 インクジェットにより形成した無電解メッキ触媒層への選択無電解Cuメッキにより形成されたCu薄膜の導電性
製造例3で得られた銀/パラジウムナノ粒子溶液を、市販のサーマル方式のインクジェット・プリンターにより、両表面にインクジェット受容層の設けられたポリエステルフィルム上に5cm×5cmの大きさのベタ印刷を行った。膜厚は0.5μmとした。100℃×5分で乾燥させた後、無電解Cuメッキ浴に浸漬することにより、銀/パラジウム複合ナノ粒子触媒がパターニングされたベタ部分のみ、約5μmの膜厚のCuメッキ膜が形成された。ローレスターEP MCP−T360(三菱化学社製、四端子四探針方式)により表面抵抗を測定した。その結果、約1mΩ/□であり、良好な導電性を高い再現性で示した。
本発明により、低コストでPd単独使用と同程度の触媒能を有する無電解メッキ用触媒を得ることができた。上記無電解メッキ用触媒は、Pd等が基材上に多量に残存することがないため、良好な導電性を確保できるものであり、半導体基板、プリント基板、サーマルヘッド、電子部品等における電極や配線等の導体回路の形成や電磁波シールド等の電子材料に無電解メッキを行う際に好適に適用することができる。

Claims (2)

  1. 金属M及びMからなる合金ナノ粒子を含有し、
    前記金属Mは、Agであり、前記金属Mは、Pd、Pt、Rh、Bi、Ru、Ni、Sn及びAuからなる群より選択される1種又は2種以上であり、
    該合金ナノ粒子において、金属M の含有量は3質量%以下である
    ことを特徴とする無電解メッキ用触媒。
  2. 合金ナノ粒子は、高分子顔料分散剤存在下で金属Mイオン及び金属Mイオンを含有する金属溶液から金属水酸化物類を析出させた後に、還元反応させる工程を含んでなる製造方法により得られるものである請求項記載の無電解メッキ用触媒。
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