JP4627985B2 - 経皮吸収型貼付剤 - Google Patents

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Description

技術分野
この発明は、塩形態を有する抗炎症剤の経皮吸収性を高め、より有効な治療に寄与しうる経皮吸収型貼付剤に関するものである。
背景技術
抗炎症剤の経皮投与製剤による治療は古くから行われており、クリーム剤、軟膏剤、液剤、パップ剤、硬膏剤など多くのものが上市されている。又、より有効な治療効果が期待される製剤を開発するため、幅広く研究がなされている。しかしながら、異物の体内への進入を防ぐバリヤー機能を持っている皮膚を介して、有効量の薬物を炎症部位まで到達させることは容易ではなく、使用される薬物もフリー体である等の皮膚に吸収されやすい性質を持った薬物に限られていた。しかしながら抗炎症剤のなかには塩形態を有しているものが多く、皮膚はこのような塩形態を有する抗炎症剤に対してより強力なバリヤー機能を発揮するため、薬物の透過性が低く、十分な薬効が期待できない。そのため、経皮吸収性を高める様々な検討がなされている。例えば、特公平7−47535号公報には、酸性薬物よりも強酸性の有機酸を加え薬物をフリー体とすることで、経皮吸収性を高める提案がなされている。しかしながら、薬物をフリー体にすることで、薬物の安定性が低下したり、加えた有機酸による皮膚の刺激や基剤物性の低下等の問題が存在する。又、特開平5−155762号公報には、トリエチレングリコールに対する溶解度が高いNSAIDS(非ステロイド系消炎鎮痛剤)とトリエチレングリコール、テルペン類の吸収促進組成物を含有した貼付剤が提案されている。しかしながら、テルペン類の吸収促進作用は塩形態を有する抗炎症剤に対しては低く、十分な薬効は期待できない。
又、特公平3−67043号公報には酢酸の金属塩等を含有することで分子内にカルボキシル基の金属塩を有する薬物の溶解性を高めた貼付剤が提案されているが、製剤の安定性を高める提案であり、治療効果に十分な経皮吸収性を持つものではない。
一方、吸収促進剤を使うことによって経皮吸収性を高める検討もなされている。例えば、特開平9−48739号公報には、不飽和脂肪族炭化水素基を有する非イオン界面活性剤を吸収促進剤とした抗炎症剤の外用貼付剤が提案されている。しかしながら塩形態を有する抗炎症剤についての吸収促進効果は見られていない。
又、特表平10−512245号公報には脂肪酸の機能的誘導体による酸不安定薬物の経皮吸収促進組成物が提案されているが、ここで示されている酸不安定薬物とはα,β−不飽和ケトンを有する化合物である。
又、国際公開公報WO01/05381には塩基性物質の付加塩化合物を配合することにより塩形態を有する酸性薬物の経皮吸収性を高めた経皮吸収製剤が提案されている。しかしながらこの経皮吸収製剤においてもまだ塩形態を有する酸性薬物の経皮吸収性が十分でなかったり、長期間の保存で薬物の結晶化がおき経皮吸収性が低下するなどの問題があった。
発明の開示
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、塩形態を有する抗炎症剤の経皮吸収性を高め、更には安定性を高めた経皮吸収型貼付剤を提供することを目的とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、前述した課題を解決すべく、鋭意研究した結果、塩形態を有する抗炎症剤を含有する粘着基剤層中に、アンモニウム化合物の塩類、吸収促進剤及び/又は溶解剤を配合することで塩形態を有する抗炎症剤の経皮吸収性が著しく向上し、長期間の保存でも薬物の結晶が析出することなく安定性が向上した経皮吸収型貼付剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、塩形態を有する抗炎症剤、アンモニウム化合物の塩類、吸収促進剤及び/又は溶解剤を含んでなる粘着基材層を有する経皮吸収型貼付剤の発明である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明に係る塩形態を有する抗炎症剤としては、医薬品として許容されるものであれば特に限定されるものではない。尚、抗炎症剤における塩形態の塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、トロメタミン塩などが挙げられ、具体的な薬物としては、例えば、サリチル酸ナトリウム、スルピリン、アンフェナクナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、ロキソプロフェンナトリウム、トルメチンナトリウム、ロベンザリットニナトリウム、ケトロラクトロメタミン、ケトプロフェンナトリウム、イブプロフェンナトリウム、フェルビナクナトリウム、フルルビプロフェンナトリウム、インドメタシンナトリウム、ゾメラクナトリウム、フルフェナム酸アルミニウム、フェノプロフェンカルシウム、ブロムフェナクナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸デキサメタゾンナトリウム、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プラステロン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
尚、これらの塩形態を有する抗炎症剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。このような塩形態を有する抗炎症剤の経皮吸収型貼付剤への配合量は、薬理効果を発揮する量であれば特に制限はないが、一般的には0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜30質量%の範囲である。
本発明におけるアンモニウム化合物の塩類とは、アンモニウム化合物に他の物質が付加して塩を形成した化合物であり、アンモニウム化合物としてはルイス塩基が好ましい。ルイス塩基の電子過剰の部分に、ルイス酸などの電子不足系を有する物質又はハロゲン化物などの電子不足系を形成し得る物質が付加してカチオン部分とアニオン部分とからなる塩を形成したものが好ましい。形成された付加塩のアニオン部分としては、カルボン酸やスルホン酸などの有機性のものであってもよいし、ハロゲンイオンやリン酸、炭酸、硫酸イオンなどの無機性のものであってもよく、製薬上許容されるものであれば特に制限されるものではない。又、本発明のアンモニウム化合物の塩類としては水溶性のものが好ましいが、水溶性のものに限定されるものではない。
本発明の好ましいアンモニウム化合物の塩類としては、例えば、ハロゲン化アンモニウムなどの無機性のものであっても、第1級、第2級、第3級、又は第4級のアンモニウム塩のような有機性のものであってもよい。好ましいアンモニウム化合物の塩類としては、例えば、アンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水溶性塩、第1級、第2級もしくは第3級のアルキルアミン又はアルカノールアミンの水溶性塩、水溶性の第4級アンモニウム塩、ピリジニウム基を有する水溶性塩、ピロリジニウム基を有する水溶性塩等が挙げられる。さらに、具体的には、塩化アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、2−エチルヘキシルアミン塩酸塩、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、n−ヘキサデシルピリジニウムクロリド、塩酸トリエタノールアミン、塩化ベンゼトニウム、臭化ドミフェン、ノニルアミン塩酸塩、コリン塩酸塩、コリンリン酸塩、塩化セチルピリジニウム、塩化メチルロザニリン、塩酸アルギニン、塩酸リジン、カルバコール、硫酸オキシキノリン等が好ましいものとして挙げられる。
尚、これらのアンモニウム化合物の塩類は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。このようなアンモニウム化合物の塩類の経皮吸収型貼付剤への配合量は、特に制限はないが、一般的には塩形態を有する抗炎症剤に対して0.5倍モルないし7倍モルの範囲が好ましい。この範囲内で配合することにより抗炎症剤の高い経皮吸収性が得られる。尚、配合量が0.5倍モル以下になると抗炎症剤の経皮吸収性が十分でなく、十分な薬効が得られない。又、7倍モルを超えると抗炎症剤の十分な経皮吸収性は得られるものの、アンモニウム化合物の塩類の基剤中への溶解性が悪くなり、製剤物性の低下がおこり好ましくない。
本発明で用いられる吸収促進剤としては、塩形態を有する抗炎症剤に対して吸収促進作用を持つものであれば特に限定されるものではないが、不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の誘導体が好ましい。
不飽和脂肪酸としては、例えば、ラウロレン酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、ガドレン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられ、このなかではオレイン酸が特に好ましい。
不飽和脂肪酸の誘導体としてはオレイン酸の誘導体が好ましく、例えば、オレイルアルコール、オレイン酸エチル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、オレアミド等が挙げられ、このなかではオレイルアルコール、オレイン酸エチルが特に好ましい。
尚、これらの吸収促進剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。このような吸収促進剤の経皮吸収型貼付剤への配合量は、塩形態を有する抗炎症剤の吸収促進作用を示す量であれば特に制限はないが、一般的には0.5〜15質量%、好ましくは0.7〜10質量%の範囲である。この範囲内で配合することにより抗炎症剤の高い経皮吸収性が得られる。尚、配合量が0.5質量%以下になると抗炎症剤の経皮吸収性が十分でなく、十分な薬効が得られない。又、15質量%を超えると抗炎症剤の十分な経皮吸収性は得られるものの、吸収促進剤の基剤中への溶解性が悪くなり、製剤物性の低下がおこり好ましくない。
本発明で用いられる溶解剤としては、塩形態を有する抗炎症剤に対して溶解作用を持つものであれば特に限定されるものではないが、多価アルコール、非イオン性界面活性剤、クロタミトン等が好ましい。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられ、このなかではジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げられ、このなかではポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が好ましい。
尚、これらの溶解剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。このような溶解剤の経皮吸収型貼付剤への配合量は、塩形態を有する抗炎症剤の溶解作用を示す量であれば特に制限はないが、一般的には0.5〜20質量%、好ましくは0.7〜15質量%の範囲である。この範囲内で配合することにより塩形態を有する抗炎症剤を経皮吸収型貼付剤のなかに高濃度で配合することができ、高い経皮吸収性を長時間維持できる。尚、配合量が0.5質量%以下になると塩形態を有する抗炎症剤の経皮吸収型貼付剤への溶解度が低くなり、長期間保存した場合、薬物の結晶が析出することによって経皮吸収性が低下し好ましくない。又、20質量%を超えると塩形態を有する抗炎症剤抗炎症剤の溶解性は高くなるものの、溶解剤の基剤中への溶解性が悪くなり、製剤物性が低下し、経皮吸収性も低くなり好ましくない。
本発明の経皮吸収型貼付剤中の塩形態を有する抗炎症剤とアンモニウム化合物の塩類及び吸収促進剤、溶解剤の最適な配合比率は、塩形態を有する抗炎症剤1に対する質量比で、アンモニウム化合物の塩類が0.08〜5、吸収促進剤が0.03〜10、溶解剤が0.1〜10である。又、吸収促進剤と溶解剤を併用する場合には、溶解剤の最適な配合比率は、吸収促進剤1に対する質量比で、0.05〜15である。この配合比率にすることで皮膚に対する付着性が良好で、抗炎症剤の経皮吸収性が高く、安定性が良好な経皮吸収型貼付剤を得ることができる。
本発明の経皮吸収型貼付剤で用いられる粘着基剤としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン及びアクリル系粘着剤から選ばれた1種以上のポリマーが挙げられる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の具体例としては、例えば、カリフレックスTR−1107、TR−1111、TR−1112又はTR−1117(商品名、シェル化学(株))、クインタック3530、3570C又は3421(商品名、日本ゼオン(株))、JSR SIS−5000又は5002(日本合成ゴム(株))、ソルプレン428(商品名、フィリップペトロリアム(株))等が挙げられる。その配合量は経皮吸収型貼付剤の10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%であり、これらの配合量にすることにより粘着性、長時間の皮膚への付着性、薬物の経皮吸収性、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が大きく改善される。尚、これらの配合量が10質量%未満になると凝集力や保型性等が低下し好ましくない。又、配合量が40質量%を超えると基剤の凝集力が増加し粘着力の低下、膏体の不均一化を招き好ましくない。
ポリイソブチレンの具体例としては、例えば、オパノールB−3、B−10、B−15、B−50、B−100、B−200(商品名、BASF)、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、MML−80、LLM−100、LLM−120、LLM−140(商品名、エクソン化学(株))、テトラックス3T、4T、5T、6T(商品名、日本石油化学(株))等が挙げられる。その配合量は経皮吸収型貼付剤の6〜40質量%、好ましくは7〜20質量%であり、これらの配合量にすることにより粘着性、長時間の皮膚への付着性、薬物の経皮吸収性、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が大きく改善される。尚、これらの配合量が6質量%未満になると粘着力、長時間の皮膚への付着性を低下させ、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が増加し好ましくない。又、40質量%を超えると保型性等を低下させ、ベタツキ等が増加し好ましくない。
アクリル系粘着剤としては、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、メタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート及びアクリル酸等の少なくとも2種類の共重合体よりなり、具体的には、DURO−TAK 87−2097、87−2194、87−2196、87−2287、87−2516、87−2852(商品名、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・コーポレーション)、ニッセツKP−77、AS−370(商品名、日本カーバイト工業(株))等である。その配合量は経皮吸収型貼付剤の5〜99質量%、好ましくは10〜90質量%であり、これらの配合量にすることにより粘着性、長時間の皮膚への付着性、薬物の経皮吸収性、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が大きく改善される。尚、これらの配合量が5質量%未満になると粘着力、長時間の皮膚への付着性を低下させ、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が増加し好ましくない。
又、本発明の経皮吸収型貼付剤には必要に応じて粘着付与剤、可塑剤等を1種以上配合することができる。
粘着付与剤としては、例えば、ロジンエステル、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペンフェノールなどを用いることができ、具体的にはエステルガムA、AA−G、H又はHP(商品名、荒川化学工業(株))、ハリエスターL、S又はP(商品名、荒川化学工業(株))、パインクリスタルKE−100(商品名、荒川化学工業(株))、KE−311(商品名、荒川化学工業(株))、ハーコリンD(商品名、理化ハーキュレス(株))、フォーラル85又は105(商品名、理化ハーキュレス(株))、ステベライトエステル7又は10(商品名、理化ハーキュレス(株))、ペンタリン4820又は4740(商品名、理化ハーキュレス(株))、アルコンP−85又はP−100(商品名、荒川化学工業(株))等が挙げられる。その配合量は貼付剤全体の5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%であり、これらの配合量にすることにより粘着性、長時間の皮膚への付着性、薬物の経皮吸収性、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が大きく改善される。尚、これらの配合量が5質量%未満になると粘着力、長時間の皮膚への付着性を低下させ好ましくない。又、50質量%を超えると薬物の経皮吸収性、保型性等を低下させ、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ、ベタツキ等が増加し好ましくない。
可塑剤としては、石油系オイル(例えば、流動パラフィン、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油)、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、液状ポリブテン、液状イソプレンゴム等)、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。そのなかでも特に流動パラフィン、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。その配合量は貼付剤全体の10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%であり、これらの配合量にすることにより粘着性、長時間の皮膚への付着性、剥離時の痛み、皮膚のかぶれ等が大きく改善される。尚、これらの配合量が10質量%未満になると剥離時の痛みが強くなり、皮膚のかぶれ等がおこり好ましくない。又、配合量が70質量%を超えると凝集力、保型性を低下させ、ベタツキ等を増加させ好ましくない。
本発明の経皮吸収型貼付剤には、必要に応じて、さらに、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ノルジヒドログアヤレチン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール等)、紫外線吸収剤(例えばパラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メチル、ウンベリフェロン、エスクリン、ケイヒ酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクタペンゾン、ジオキシベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリンペンゾン、ベンゾレルシノール、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等)、抗菌剤(例えばパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、ヒノキチオール、クレゾール、2、4、4−トリクロロ−2‘−ヒドロキシジフェニルエーテル、3、4、4’トリクロロカルバニド、クロロブタノール等)、充填剤(例えば水酸化アルミニウム、含水ケイ酸アルミニウム、カオリン、酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、含水シリカ、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、無水ケイ酸、ベントナイト、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等)、抗ヒスタミン剤(例えば塩化イソペンチル、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸ジメチンデン、メキタジン等)、清涼剤、香料等を配合することができる。
本発明の経皮吸収型貼付剤に用いられる支持体としては、薬物の放出性及び安定性に影響しないものが望ましく、伸縮性及び非伸縮性のものが用いられる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等のフィルム又はシートあるいはこれらの積層体、多孔質体、発泡体、紙、布及び不織布等より適宜選択される。
本発明の経皮吸収型貼付剤に用いられる剥離紙としては、薬物の放出性及び安定性に影響しないものであれば特に限定されるものではなく、剥離処理を施した紙、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等から適宜選択できる。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において、部とあるのは質量部を示す。
実施例1
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 39.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 20.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジクロフェナクナトリウム 4.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイルアルコール 5.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例2
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 43.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 20.0部
(商品名 アルコンP−85)
ジクロフェナクナトリウム 1.0部
ジエチルアミン塩酸塩 1.0部
オレイン酸 5.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例3
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 31.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 40.0部
(商品名 アルコンP−100)
ロキソプロフェンナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
オレイン酸 5.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例4
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 52.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 15.0部
(商品名 アルコンP−85)
ケトロラクトロメタミン 3.0部
n−ドデシルテトラメチルアンモニウムクロリド 2.0部
オレイルアルコール 3.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例5
アクリル系粘着剤 66.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2194)
ロキソプロフェンナトリウム 20.0部
ジエチルアミン塩酸塩 4.0部
オレイルアルコール 10.0部
アクリル系粘着剤溶液にその他の成分を溶解又は分散させ、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例6
アクリル系粘着剤 38.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2194)
ミリスチン酸イソプロピル 30.0部
ジクロフェナクナトリウム 20.0部
塩化アンモニウム 2.0部
オレイン酸 10.0部
アクリル系粘着剤溶液にその他の成分を溶解又は分散させ、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例7
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.0部
(商品名 クインタック3530)
流動パラフィン 43.0部
ロジン系樹脂 10.0部
(商品名 ステベライトエステル10)
ポリイソブチレン 20.0部
(商品名 オパノールB−100)
ケトロラクトロメタミン 5.0部
塩化アンモニウム 3.0部
ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル 4.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが150μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例8
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0部
(商品名 クインタック3421)
流動パラフィン 37.0部
ロジン系樹脂 20.0部
(商品名 ステベライトエステル7)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 オパノールB−200)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイン酸 1.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例9
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 39.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイルアルコール 4.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例10
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 42.8部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイルアルコール 0.2部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例11
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 18.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイルアルコール 25.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例12
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0部
(商品名 カリフレックスTR−1111)
流動パラフィン 31.0部
ロジン系樹脂 20.0部
(商品名 KE−100)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 ビスタネックスMML−80)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイン酸 7.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例13
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 35.0部
(商品名 クインタック3570C)
アクリル系粘着剤 47.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 10.0部
塩化アンモニウム 3.0部
オレイルアルコール 5.0部
アクリル系粘着剤溶液にその他の成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例14
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 35.0部
(商品名 JSR SIS−5000)
アクリル系粘着剤 47.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 10.0部
塩化アンモニウム 3.0部
オレイン酸 5.0部
アクリル系粘着剤溶液にその他の成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例15
ポリイソブチレン 20.0部
(商品名 ビスタネックスLM−MS)
アクリル系粘着剤 65.5部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 10.0部
ジエチルアミン塩酸塩 4.0部
オレイン酸 0.5部
アクリル系粘着剤溶液にジクロフェナクナトリウム、オレイン酸及びジエチルアミン塩酸塩を溶解又は分散させ、これにポリイソブチレンをトルエンに溶かした溶液を加え均一に撹拌した後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例16
ポリイソブチレン 20.0部
(商品名 テトラックス4T)
アクリル系粘着剤 65.5部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 10.0部
ジエチルアミン塩酸塩 4.0部
オレイルアルコール 0.5部
アクリル系粘着剤溶液にジクロフェナクナトリウム、オレイルアルコール及びジエチルアミン塩酸塩を溶解又は分散させ、これにポリイソブチレンをトルエンに溶かした溶液を加え均一に撹拌した後、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例17
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 40.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
ジプロピレングリコール 3.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例18
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 42.8部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
ジプロピレングリコール 0.2部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例19
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 13.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
ジプロピレングリコール 30.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例20
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 34.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 10.0部
(商品名 アルコンP−85)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
トリエチレングリコール 7.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例21
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 36.0部
ロジン系樹脂 10.0部
(商品名 KE−311)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
ジエチルアミン塩酸塩 1.0部
ポリエチレングリコール400 5.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例22
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 10.0部
アクリル系粘着剤 46.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 10.0部
アクリル系粘着剤溶液にその他の成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例23
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 テトラックス4T)
ミリスチン酸イソプロピル 20.0部
アクリル系粘着剤 46.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
ジエチルアミン塩酸塩 1.0部
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 15.0部
アクリル系粘着剤溶液にジクロフェナクナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート及びジエチルアミン塩酸塩を溶解又は分散させ、これにポリイソブチレンをトルエンに溶かした溶液を加え均一に撹拌した後、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例24
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 30.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 20.0部
(商品名 アルコンP−100)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
クロタミトン 1.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例25
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 35.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
オレイルアルコール 5.0部
ジプロピレングリコール 3.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例26
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 29.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 15.0部
(商品名 アルコンP−85)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクカリウム 3.0部
ジエチルアミン塩酸塩 1.0部
オレイン酸 5.0部
トリエチレングリコール 7.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例27
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 31.0部
ロジン系樹脂 20.0部
(商品名 フォーラル105)
ポリイソブチレン 15.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
オレイン酸 5.0部
ポリエチレングリコール400 5.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例28
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 10.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 21.0部
アクリル系粘着剤 50.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
オレイルアルコール 5.0部
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 10.0部
アクリル系粘着剤溶液にその他の成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例29
ポリイソブチレン 16.0部
(商品名 テトラックス4T)
ミリスチン酸イソプロピル 30.0部
アクリル系粘着剤 30.0部
(商品名 DURO−TAK 87−2516)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
ジエチルアミン塩酸塩 1.0部
オレイルアルコール 5.0部
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 15.0部
アクリル系粘着剤溶液にジクロフェナクナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート及びジエチルアミン塩酸塩を溶解又は分散させ、これにポリイソブチレンをトルエンに溶かした溶液を加え均一に撹拌した後、剥離紙上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
実施例30
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 30.0部
ロジン系樹脂 10.0部
(商品名 フォーラル85)
脂環族飽和炭化水素樹脂 10.0部
(商品名 アルコンP−85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
オレイルアルコール 5.0部
クロタミトン 1.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
比較例1
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 45.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
比較例2
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 43.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
ジエチルアミン塩酸塩 2.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
比較例3(アンモニウム化合物の塩類未配合)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 41.0部
ロジン系樹脂 15.0部
(商品名 フォーラル85)
ポリイソブチレン 10.0部
(商品名 オパノールB−100)
ジクロフェナクナトリウム 5.0部
オレイルアルコール 4.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
比較例4
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 36.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 40.0部
(商品名 アルコンP−85)
ロキソプロフェンナトリウム 3.0部
塩化アンモニウム 1.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
比較例5
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 カリフレックスTR−1107)
流動パラフィン 55.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 15.0部
(商品名 アルコンP−85)
ケトロラクトロメタミン 3.0部
n−ドデシルテトラメチルアンモニウムクロリド 2.0部
これらすべての成分をトルエンに加え、粘着基剤成分を溶解又は分散させた後、剥離紙上に乾燥後の厚みが100μmになるよう塗膏した。乾燥後、ポリエステル製支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型貼付剤を得た。
試験例1(in vitro皮膚透過試験)
ヘアレスマウス(8週令、雌)の背部皮膚を摘出した後、真皮側の脂肪を注意深く取り除き、真皮側がレセプター層となるように、37℃の水をレセプター層の外周部循環させたフロースルーセルに装着した。この角質層側に実施例及び比較例の経皮吸収型貼付剤を貼付し、レセプター層にpH7.4のリン酸緩衝液を用い、1ml/時間の速さで4時間ごとに24時間までサンプリングを行った。各時間ごとに得られた溶液は、流量を正確に測り、高速液体クロマトグラフ法により薬物濃度を測定し、4時間あたりの透過速度を算出し、下記式にしたがって定常状態での皮膚透過速度を決定した。
Figure 0004627985
結果を第1図及び第2図に示す。
第1図中、−◇−は実施例9の,−■−は実施例25の,−▲−は比較例1の,−×−は比較例2の,−□−は比較例3の経皮吸収型貼付剤についての結果をそれぞれ示す。
また、第2図中、−◇−は実施例3の,−■−は実施例4の,−▲−は比較例4の,−×−は比較例5の経皮吸収型貼付剤についての結果をそれぞれ示す。
第1図及び第2図から明らかなように、本発明の経皮吸収型貼付剤である実施例3,4,9及び25の経皮吸収型貼付剤は比較例1〜5の経皮吸収型貼付剤に比べて高い経皮吸収性を示した。
試験例2(粘着力試験)
あらかじめ25℃の恒温室に30分間以上放置した試料を試料保持リングの大きさに切り取り、ライナーをはがした後、粘着力面を下面にして試料保持リングに貼り付け、試料台におく。次に、プローブシャフトを一定速度で上昇させ、試料粘着面と5mmφベークライト製プローブを100g/cmの圧力荷重で1秒間接触させる。次に0.5cm/secの速度で再びプローブシャフトを下降させ、プローブを粘着面より引き離す。そのとき要した力を粘着力として測定した。各検体は試作直後と40℃−1ヶ月保存後に粘着力を測定し、初期の粘着力と粘着力の経時安定性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004627985
試験例3(結晶化観察)
試料を40℃−75%の恒温恒湿器に1ヶ月間保存した後、基剤中の結晶化の有無を観察した。結果を表2に示す。
Figure 0004627985
表2から明らかなように、粘着基剤層中に溶解剤が含まれていない比較例2及び5の経皮吸収型貼付剤では、1ヶ月保存後に基剤中に結晶の析出が認められたが、粘着基剤層中に溶解剤が含まれている実施例17,20,21,25及び26の経皮吸収型貼付剤においては、全く結晶の析出が認められなかった。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明は、塩形態を有する抗炎症剤を含有する粘着基剤層中にアンモニウム化合物の塩類と吸収促進剤及び/又は溶解剤を配合することにより、塩形態を有する抗炎症剤の経皮吸収性が著しく向上し、また、長期間の保存でも薬物の結晶が析出することなく安定性が向上した経皮吸収型貼付剤を得ることができるというものであり、これまでにない有用な医薬製剤を提供できるものである点に顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例9,実施例25及び比較例1〜3の経皮吸収型貼付剤について、ヘアレスマウスを用いて皮膚透過試験を行った結果を示す。
第2図は、実施例3,実施例4、比較例4及び比較例5の経皮吸収型貼付剤について、ヘアレスマウスを用いて皮膚透過試験を行った結果を示す。

Claims (5)

  1. (1)ジクロフェナクナトリウム;
    (2)ジエチルアミン塩酸塩、及び塩化アンモニウムからなる群から選ばれるアンモニウム化合物の塩類;並びに、
    (3)オレイルアルコール、及びオレイン酸からなる群より選ばれる吸収促進剤、及び/又はポリエチレングリコールからなる溶解剤;
    を含んでなる粘着基剤層を有し、かつ当該粘着基剤層がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体又はポリイソブチレンの少なくとも1種を含有してなる経皮吸収型貼付剤(ただし、水の配合を必須とする場合を除く)。
  2. アンモニウム化合物の塩類が、ジクロフェナクナトリウムに対して0.5倍モルないし7倍モルの範囲で配合されてなる請求項1に記載の経皮吸収型貼付剤。
  3. 吸収促進剤の配合量が0.5〜15質量%である請求項1又は2に記載の経皮吸収型貼付剤。
  4. 溶解剤の配合量が0.5〜20質量%である請求項1〜3の何れかに記載の経皮吸収型貼付剤。
  5. 粘着基剤が、さらにアクリル系粘着剤を含有してなる請求項1〜4の何れかに記載の経皮吸収型貼付剤。
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