JP5015562B2 - 貼付製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、室温又は室温付近における性状が液体である薬物(但し、ビソプロロールの遊離塩基を除く)を、皮膚面を通して体内に連続的に投与するための、経皮吸収型貼付製剤に関する。
生体内へ薬物を投与して疾患治療又は予防を行うための製剤として、例えば、肝臓の初回通過による薬物代謝や各種副作用を回避でき、しかも薬物を長時間にわたって持続的に投与可能な経皮吸収型の製剤がある。その中でも、施薬作業が容易で投与量を厳格に制御できることから、粘着剤中に薬物を含有させた貼付製剤の開発が盛んに行われている。
貼付製剤に要求される基本特性として、薬物の放出性及び安定性に加えて、実用面での粘着特性がある。貼付製剤の開発においては、これらの基本特性を満足するように薬物に応じた最適な粘着剤や添加剤を選択して、貼付製剤の設計が行なわれている。粘着剤として、主にアクリル系粘着剤やゴム系粘着剤が用いられるが、粘着剤中での薬物安定性の観点から、一般的に官能基を有しないゴム系粘着剤がアクリル系粘着剤よりも有利である。ゴム系粘着剤として、例えば、ポリイソブチレン系(PIB系)、スチレン−イソプレン−スチレン系(SIS系)、シリコーン系の粘着剤があるが、SIS系やシリコーン系は薬物の吸収を促進することが可能な脂肪酸エステルを十分に配合することが難しく、またシリコーン系は高価であるため、これらの成分の配合や選択に制限があり、その結果貼付製剤の設計の自由度が低くなる。よって、ゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレン系粘着剤(以下、「PIB系粘着剤」という場合がある)が利用しやすい。
しかしながら、PIB系粘着剤は極性が低いため、薬物の溶解性が低いという問題がある。貼付製剤に要求される、薬物の放出量や持続性を満足するためには、少しでも多量の薬物を配合することが望ましいが、PIB系粘着剤では制限を受けてしまう。それでも室温又は室温付近で固体の薬物であれば、粘着剤中に固体の薬物を分散させることで溶解度以上の多量の薬物を配合することが可能である。その場合、薬物の一部は結晶等の形態で粘着剤中に分散しており、粘着剤に溶解している薬物の濃度は低いので、粘着剤自体の粘着力を損なうことは少ない。すなわち、治療や予防に必要十分な量の薬物の配合と、実用面での粘着特性との両立が可能となるので、室温又は室温付近で固体の薬物を用いる場合は、PIB系粘着剤の薬物溶解性の低さは大きな問題とはならない。
しかしながら、薬物によっては、室温又は室温付近で液体のものもある。そのような薬物の場合、粘着剤に溶解度以上の多量の薬物を粘着剤中に配合しようとすると、薬物の配合と、粘着特性との両立が難しくなる。すなわち、粘着剤に溶解しきれない薬物は、固体の薬物のように粘着剤中に分散して存在することができず、薬物自体の流動性によって、保存中にPIB系粘着剤中を流動し、粘着剤層の表面に潜み出してしまう。この潜み出し現象をブリードというが、ブリードが起きると、粘着剤層の表面は薬物によって覆われ、粘着剤と被着体との接触を阻害するので、貼付製剤の粘着力が著しく低下する。また、被着体への粘着力の低下だけでなく、支持体に対する粘着剤の粘着性、すなわち投錨性の低下をも招来する。
以上のように、室温又は室温付近で液体である薬物をPIB系粘着剤に多量に配合しようとすると、薬物のブリードが生じて粘着力や投錨性が低下するという問題があった。
室温又は室温付近において液体である薬物として、例えば、エメダスチンの遊離塩基、ガロパミルの遊離塩基等がある。それらの塩は結晶性粉末であるが、塩形態の薬物では経皮吸収性が低くなる。経皮吸収性を向上するためにこれらの遊離塩基を用いると経皮吸収性が向上するが、薬物の安定性が低下するという問題が生ずる。したがって、粘着剤中での薬物安定性に優れるPIB系粘着剤を用いた貼付製剤が開発できれば、その技術的な意義は大きい。
粘着剤層に液状薬物を多量に配合した場合の粘着特性の低下の改善を意図して、特許文献1には、その少なくとも1つが低分子量で、室温又はほぼ室温で液体である1つ以上の薬物、及び1つ以上の高剪断抵抗ポリマーを含むポリマーマトリクスを有する経皮組成物が開示されている。この高剪断抵抗ポリマーは、低分子量薬物の可塑化効果を低下させ、ヒトへの適用に対して十分な粘着性及び剪断力を有するとされている。また、実施例において、アクリル系粘着剤、あるいはアクリル系粘着剤とシリコーン系粘着剤とを混合した粘着剤が、糸引き抑制効果を示したと記載されている。高剪断抵抗ポリマーとして、ポリイソブチレンが例示されているが、実施例等においてその効果が実証されておらず、PIB系粘着剤については実質的に検討されていない。
また、本発明者らの知見によれば、上記特許文献1に記載されるように、高剪断抵抗ポリマーの高分子量化や、高剪断抵抗ポリマーの配合割合の増加等により粘着剤を硬くすれば、液状薬物の配合量を増量した場合の粘着剤の糸引きを抑制することは論理的に可能であるが、粘着剤が硬くなれば、被着体への粘着剤の密着性が損なわれ、貼付製剤の粘着力は低下してしまう。アクリル系粘着剤は元々粘着力のレベルが高いので液状薬物を含有しても粘着力の低下は大きな問題にならないが、アクリル系粘着剤に比べて粘着力が低いPIB系粘着剤の場合には、PIB系粘着剤を硬くすると、粘着力が大きく低下して実用面での粘着力の確保が困難になる。したがって、PIB系粘着剤において特許文献1に記載の方法を適用することは困難であり、室温又は室温付近で液体の薬物と、PIB系粘着剤とを組み合わせて、十分な粘着特性を有する貼付製剤が未だ存在しないのが実情である。
特開2005−23088号公報
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は、室温又は室温付近において液体である薬物を経皮的に生体内に投与する貼付製剤を開発するにあたり、粘着剤としてポリイソブチレン系粘着剤を用いた貼付製剤において、薬物のブリードを抑制でき、十分な粘着特性を有する貼付製剤を提供することにある。
本発明者らは、PIB系粘着剤と、室温又は室温付近で液体である薬物とを含有してなる粘着剤層に特定のアルコールを含有せしめることで、ポリイソブチレン系粘着剤と、薬物との相溶性が特異的に高められ、その結果上記課題を解決できることを見出した。本発明者らは、更に詳細に検討したところ、logPow及び40℃における粘度が特定範囲にある薬物に特に有効であることを見出した。これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有している。
(1)炭素数12〜28の分岐型一価アルコールと、室温又は室温付近において液体である薬物(但し、ビソプロロールの遊離塩基を除く)と、ポリイソブチレン系粘着剤とを含有する粘着剤層が支持体の片面に積層されている、貼付製剤。
(2)薬物は、logPowが−1.0〜5.0であり、かつ40℃における粘度が0.05〜100,000mPa・sである、上記(1)に記載の貼付製剤。
(3)分岐型一価アルコールが第一級アルコールである、上記(1)又は(2)に記載の貼付製剤。
(4)分岐型一価アルコールが2−アルキル−1−アルカノールである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の貼付製剤。
(5)2位のアルキル基の炭素数が2以上である、上記(4)に記載の貼付製剤。
(6)分岐型一価アルコールが2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール及び2−デシル−1−テトラデカノールから選ばれる少なくとも1種である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の貼付製剤。
本発明の貼付製剤は、炭素数12〜28の分岐型一価アルコールを溶解助剤として粘着剤層に含有することで、PIB系粘着剤と、室温又は室温付近において液体である薬物との相溶性を特異的に高めることができる。その結果、薬物の配合量を増量させることが可能になるとともに、粘着剤層からの薬物のブリードを抑制でき、しかも実用面において十分な粘着特性を得ることができる。したがって、薬理作用と粘着特性とを高レベルで両立可能な貼付製剤を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明の貼付製剤の好適な一実施形態を示す断面図である。貼付製剤10は、支持体1と、該支持体1の片面に積層された粘着剤層2と、該粘着剤層2に積層された剥離ライナー3とを備えるものである。粘着剤層2は、炭素数12〜28の分岐型一価アルコールと、ポリイソブチレン系粘着剤と、室温又は室温付近で液体である薬物(但し、ビソプロロールの遊離塩基を除く。以下、単に「薬物」という)とを含有することを特徴とする。
粘着剤層に含有される分岐型一価アルコールは溶解助剤として機能し、しかも驚くべきことに、炭素数12〜28(好ましくは16〜24)の分岐型一価アルコールだけが、PIB系粘着剤と、薬物との相溶性を特異的に向上させることができる。その結果、薬物のブリードを抑制することが可能になるとともに、実用面で十分な粘着特性を確保することができる。なお、分岐型一価アルコールは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、炭素数とは、アルコールを構成する炭素骨格の合計炭素数を意味する。
薬物とPIB系粘着剤との相溶性を高めるためには、溶解助剤としてその極性が薬物とPIB系粘着剤との中間程度のものを使用すれば、相溶性をある程度改善できると推察される。ゆえに、上記アルコールと比べて、炭素数、極性基の種類若しくは数、又は極性基の結合位置が少し異なっても相溶性に与える影響は少なく、上記アルコール以外の複数の化合物(例えば、エステル、酸)が使用できると推測される。しかしながら、上記アルコールの代わりに、同一炭素数であり、かつ同様の極性を有する、脂肪酸エステル、ジエステル、有機酸等を使用しても、不思議なことに、薬物のブリードの抑制効果が全く得られないか、あるいは得られたとしても非常に小さい。また、同一炭素数であり、かつ炭素骨格が直鎖型の一価アルコールの場合は、分岐型の上記アルコールに比べて、嵩高さが低いので、アルコール同士の分子間相互作用が強まり、アルコール自体の流動性が低下しやすくなる。このため、粘着剤の流動性や変形能が低下し、貼付製剤の粘着力も低下しやすくなる。そして、分岐型一価アルコールであっても、炭素数が12よりも小さいと、炭素骨格に基づく疎水性が小さくなり、薬物と、PIB系粘着剤との相溶性が急激に低下する。他方、炭素数が28よりも大きいと、疎水性が大きくなり過ぎて、薬物とPIB系粘着剤との相溶性が低下する。
炭素数12〜28の分岐型一価アルコールとしては、第一級アルコールが、その水酸基がアルコール分子の表面に露出しやすいため薬物と相互作用しやすくなり、その結果薬物の溶解性が格段に向上するので好ましい。中でも、水酸基と、炭素骨格とのバランスに優れる2−アルキル−1−アルカノールがより好ましい。かかるアルコールは、炭素鎖の枝分かれ基点が1箇所あり、かかる基点から2本の長い炭素鎖と、1本の短い炭素鎖が延びて短い炭素鎖の先端に水酸基が結合した構造を有している。このような構造を有するために、アルコール分子全体が嵩高くなって、アルコール分子同士の分子間相互作用が弱まり、アルコール分子の流動性が増す。そして、2本の長い炭素鎖が疎水部としてPIB分子と効率よく相互作用することで、アルコール分子とPIB分子との相溶性がよくなる。また、アルコール分子の水酸基はアルコール分子の奥に隠れることなく、程よくアルコール分子の表面に露出しているので、水酸基が薬物と相互作用することができ、これによりアルコールと薬物との相溶性がよくなる。アルコール分子の炭素鎖の枝分かれ効果と、水酸基の露出の効果については、分子構造が類似している一価アルコールである、2−へキシル−1−デカノールと、ヘキサデカン−8−オールとの比較から明らかとなった(実施例2及び比較例5参照)。
上記アルコールとして、特に、2位のアルキル基の炭素数が2以上(好ましくは4〜12、より好ましくは6〜10)のものが好適に使用される。具体的には、2−ブチル−1−オクタノール、2−エチル−1−デカノール、2−プロピル−1−デカノール、2−へキシル−1−オクタノール、2−へキシル−1−デカノール、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−1−オクタノール、2−へプチル−1−ウンデカノール、2−エチル−1−ヘキサデカノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−へキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−オクチル−1−ドデカノール、2−デシル−1−テトラデカノール、2−ドデシル−1−ヘキサデカノールが挙げられる。中でも、2−オクチル−1−ドデカノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−デシル−1−テトラデカノールがより好ましい。
粘着剤層の全重量に占める上記アルコールの含有量は、薬物の含有量等によって適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜35重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、最も好ましくは0.5〜20重量%である。かかる含有量が0.1重量%よりも少ないと上記効果が十分に得難くなる傾向にあり、他方、含有量が40重量%よりも多いと、粘着剤層全体の凝集力と接着力が低下する傾向にある。上記アルコールの含有量が0.1〜40重量%である場合、脂肪酸アルキルエステルなどの他の有機液状成分を用いた場合よりも薬物ブリードを効率的に抑制できる点で本発明は有利に実施できる。
粘着剤層に含有される薬物としては、室温又は室温付近で液体の薬物であれば特に限定されるものではないが、分配係数logPowが−1.0〜5.0であり、かつ40℃における粘度が0.05〜100,000mPa・sである薬物が好適である。具体的には、下記式(1)で表されるエメダスチン遊離塩基、下記式(2)で表されるクロタミトン、下記式(3)で表されるガロパミル遊離塩基等が挙げられる。
Figure 0005015562
Figure 0005015562
Figure 0005015562
ここで、「室温又は室温付近で液体である薬物」とは、製造後の貼付製剤が通常保存されている温度、すなわち1〜40℃の温度範囲のうち少なくともいずれかの温度において液体である薬物をいう。かかる温度範囲において、薬物はブリードを起こし得る程度の流動性を有している。薬物の粘度は、当該薬物を所定温度に保温しながらE型粘度計を用いて測定する。本発明では、所定温度における薬物の粘度が0.05〜100,000mPa・sであるとき、当該薬物は当該所定温度において液体である。
また、「logPow」とは薬物の親水性又は疎水性を表す指標であり、「OECD GUIDELINE FOR THE TESTING OF CHEMICALS lO7, Adopted by the Council on 27th July 1995, Partition Coefficient(n-octanol/water),Shake FIask Method」に記載の方法により、個々の薬物について測定した値をいい、logPowの対数の底は10である。
「logPow」は、上記ガイドラインに記載の方法により、水層、n−オクタノール層へ薬物を分配させ、各層の薬物濃度を適当な方法で定量してから、計算により求められる。薬物の定量は、検量線の直線性を確認するなどして、定量性を確認した方法であれば特に制限はないが、通常、吸光度法、ガスクロマトグラフィー法又は高速液体クロマトグラフィー法を用いる。UV吸収を有しない薬物について測定する場合は、定量性が確認できていれば、滴定法など、他の方法によってもよい。また、薬物が解離性物質である場合は、このガイドラインにしたがい、解離を抑制してlogPowを測定する。すなわち、水層として適当なpHの緩衝液を用いて、遊離の酸、あるいは遊離の塩基の状態でlogPowを測定する。薬物が酸性薬物である場合には、薬物のpKaの数値よりも1以上低いpHの緩衝液を用いる。薬物が塩基性薬物である場合には、薬物のpKaの数値よりも1以上高いpHの緩衝液を用いる。
なお、このガイドラインでは、logPowの測定範囲は通常−2〜4となっているが、高速液体クロマトグラフィー法等の高感度分析法の利用により定量感度を上げて、logPowの測定範囲を−2〜5とすることができる。
logPowが−1.0より小さいと、薬物の親水性が高過ぎて、PIB系粘着剤との相溶性が低く、上記アルコールを添加しても、ブリード抑制効果が十分得られない場合がある。他方、logPowが5.0より大きいと、ブリード抑制効果及び粘着性が不十分となる場合がある。なお、本発明者らの知見によれば、logPowが−1.0〜5.0(好ましくは0.0〜5.0)の薬物の場合には、上記アルコールの添加の有無によってブリード抑制効果に格段の差があり、この点において本発明は技術的に大きな意義がある。
また、薬物の40℃における粘度は、薬物を40℃に加温しながらE型粘度計を用いて測定する。40℃における粘度は、通常0.05〜100,000mPa・s、好ましくは0.5〜50,000mPa・sである。かかる粘度が0.05mPa・sよりも小さいと、薬物を粘着剤溶液に配合して基材に、塗布、乾燥した場合に、流動性が高過ぎて粘着剤層から揮散しやすい傾向にある。他方、40℃における粘度が100,000mPa・sよりも大きいと、粘性が高過ぎるので薬物の秤量操作が正確に行い難くなる傾向にある。
粘着剤層中における薬物の含有量は特に制限されるものではなく、薬物の放出性及び溶解性、アルコールの種類と添加量に応じて得られる上記効果とによって適宜選択されるが、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜40重量%、更に好ましくは0.5〜35重量%である。薬物の含有量が0.1重量%未満の場合は、薬物の濃度が十分に低いのでブリードは抑制されるが、上記アルコールの添加による効果が十分発現し難くなる傾向にある。他方、薬物の含有量が40重量%を超える場合は、薬物濃度が高過ぎるために、上記アルコールの添加による効果が十分発現し難くなる傾向にある。薬物の濃度が0.1〜40重量%の場合、上記アルコールの添加の有無によりブリード抑制効果に顕著な差が認められ、この点において本発明は技術的に大きな意義がある。
また、本発明の貼付製剤に用いるPIB系粘着剤としては、ポリイソブチレンを含有することを必須とし、それ自体で粘着剤として適度な粘着性と凝集性を有するものであれば特に限定はされず、1種単独又は2種以上組み合わせて用いられる。また、1種単独でポリイソブチレンを含有する場合、ポリイソブチレンの分子量は特に限定されないが、粘度平均分子量が好ましくは40,000〜5,500,000、より好ましくは45,000〜5,000,000である。粘度平均分子量が40,000未満であると、粘着剤層に必要な内部凝集力を付与し難くなる虞があり、他方、5,500,000を越えると、粘着剤層の皮膚接着性やタックが低下する虞がある。
粘着剤層の適度な接着性及び皮膚刺激性を容易に両立する観点から、分子量の異なる、少なくとも二種のポリイソブチレンを含有するものが好ましい。かかるポリイソブチレンとしては、第一のポリイソブチレンと、第一のポリイソブチレンよりも低分子量の第二のポリイソブチレンとの組合せから構成されるものが好ましく、また各分子量分布の範囲内であれば二種以上の分子量の異なるポリイソブチレンを組み合わせることもできる。ここで、本明細書において「分子量の異なる、少なくとも二種のポリイソブチレン」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布のピークを、少なくとも2つの独立した領域に有するポリイソブチレンをいう。
ポリイソブチレンが2種のポリイソブチレンで構成される場合、各ポリイソブチレンの分子量は特に限定されるものではないが、良好な接着性を得るために、第一のポリイソブチレンの粘度平均分子量が好ましくは1,800,000〜5,500,000、より好ましくは2,000,000〜5,000,000であり、かつ、第二のポリイソブチレンの粘度平均分子量が好ましくは40,000〜85,000、より好ましくは45,000〜65,000であることが好ましい。この場合において、第一のポリイソブチレンの粘度平均分子量が1,800,000未満であると、粘着剤層に必要な内部凝集力を得難くなる傾向にあり、他方、5,500,000を超えると粘着剤層の皮膚接着性やタックが低下する傾向にある。また、第二のポリイソブチレンの粘度平均分子量が40,000未満であると、粘着剤層にベトツキ感が発現し、皮膚面を汚染する恐れがあり、他方、85,000を超えると、粘着剤層の皮膚接着性やタックが低下する傾向にある。
なお、本明細書において、粘度平均分子量とは、シュタウディンガーインデックス(J)を200℃にてウベローデ粘度計のキャピラリーのフロータイムからSuhulz-Blaschke式により算出し、このJ値を用いて下式により求められる値をいう。
=ηSP/c(1+0.31ηSP)cm/g (Suhulz-Blaschke式)
ηSP=t/t−1
t :溶液のフロータイム (Hagenbach-couette補正式による)
:溶媒のフロータイム (Hagenbach-couette補正式による)
c :溶液の濃度(g/cm
=3.06×10−2Mv0.65
Mv:粘度平均分子量
ポリイソブチレンが分子量の異なる二種のポリイソブチレンで構成される場合、第一のポリイソブチレンと、第二のポリイソブチレンとの配合割合は、重量比で好ましくは1:0.1〜1:3、より好ましくは1:0.1〜1:2.5、更に好ましくは1:0.3〜1:2である。これら二種のポリイソブチレンのうち、第二のポリイソブチレンの配合割合が下限未満であると、粘着剤層の皮膚接着力の低下が大きくなる傾向にあり、他方、上記上限を超えると、粘着剤層の内部凝集力の低下が大きくなる傾向にある。
粘着剤層の全重量に占めるポリイソブチレンの合計含有量は、好ましくは15〜70重量%、より好ましくは15〜60重量%である。ポリイソブチレンの含有量が15重量%未満であると、粘着剤層に必要な内部凝集力を付与し難くなる虞があり、他方70重量%を越えると、粘着剤層の皮膚接着性やタックが低下する虞がある。
本発明においては、必要に応じてタッキファイヤーを含有することもできる。タッキファイヤーとしては、貼付製剤の分野で公知のものを適宜選択して用いることができるが、例えば、石油系樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。中でも、脂環式飽和炭化水素樹脂が薬物の保存安定性が良好となるため好適である。また、良好なタックの獲得の点からは、軟化点が好ましくは90〜150℃、より好ましくは95〜145℃のタッキファイヤーが用いられる。例えば、脂環式飽和炭化水素樹脂の場合、軟化点が90℃未満であると、粘着剤層のタック及び凝集力が低下する傾向にあり、他方、150℃を超えると、粘着剤層が固くなり、皮膚接着性が低下する傾向にある。したがって、タッキファイヤーの種類と軟化点とを適宜選択して貼付製剤とすることで、皮膚接着性、凝集力及び薬物安定性が良好になる。なお、本明細書において、軟化点とは、環球法(JIS K6863)によって測定される値をいう。
脂環式飽和炭化水素樹脂としては、例えば、市販品としてアルコンP−100、アルコンP−115、アルコンP−125、アルコンP−140(商品名、荒川化学工業製)が挙げられる。
タッキファイヤーは、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができ、二種以上を組み合わせて使用する場合には、例えば、樹脂の種類や軟化点の異なる樹脂を組み合わせてもよい。
粘着剤層の全重量に占めるタッキファイヤーの含有量は、好ましくは15〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%である。タッキファイヤーの含有量が15重量%未満であるとタックが乏しい場合があり、他方55重量%を超えると粘着剤層が固くなり、皮膚接着性が低下する傾向にある。
また、本発明においては、薬物の吸収促進等の観点から、必要に応じて上記アルコールや薬物以外の有機液状成分を含有することもできる。有機液状成分としては、ポリイソブチレン及びタッキファイヤーと相溶可能なものであれば特に限定されず、例えば脂肪酸アルキルエステルが挙げられる。
脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数12〜16、好ましくは12〜14の高級脂肪酸と、炭素数1〜4の低級一価アルコールとから得られる脂肪酸アルキルエステルが挙げられる。高級脂肪酸としては、好ましくはラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)であり、更に好ましくはミリスチン酸である。一価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられ、好ましくはイソプロピルアルコールである。したがって、最も好ましい脂肪酸アルキルエステルは、ミリスチン酸イソプロピルである。
有機液状成分は、一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。粘着剤層の全重量に占める有機液状成分の含有量は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは3〜25重量%である。有機液状成分の含有量が1重量%未満であると、吸収促進等の効果が十分に発揮し難い傾向にあり、他方40重量%を超えると、粘着剤全体の粘着力や凝集力が低下する傾向にある。
支持体としては特に限定されないが、実質的に薬物等に対して不透過性を有するもの、すなわち粘着剤層の活性成分である薬物や添加剤等が支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。支持体としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂、金属箔等の単独フィルム又はこれらの積層フィルム等を用いることができる。これらのうち、支持体と粘着剤層との接着性(投錨性)をさらに良好とするために、支持体を上記材質からなる無孔のプラスチックフィルムと、多孔質フィルムとの積層フィルムとすることが好ましい。この場合、粘着剤層は多孔質フィルム側に形成することが好ましい。
このような多孔質フィルムとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものが採用されるが、具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したシート等が挙げられる。これらのうち、取り扱い性等の観点からは、特に紙、織布、不織布が好ましい。多孔質フィルムは、投錨性の向上、貼付製剤全体の柔軟性及び貼付操作性等の点から、厚み10〜200μmのものが採用される。プラスタータイプや粘着テープタイプのような薄手の貼付製剤の場合は、厚み10〜100μmのものが採用される。
また、多孔質フィルムとして織布や不織布を用いる場合、目付量を5〜30g/m、好ましくは6〜15g/mとするのがよい。本発明において、好適な支持体としては、厚み1.5〜6μmのポリエステルフィルム(好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム)と、目付量6〜12g/mのポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)製不織布との積層フィルムが挙げられる。
本発明の貼付製剤は、使用時まで粘着剤層の粘着面を保護するために、剥離ライナーを積層することが好ましい。剥離ライナーとしては、剥離処理され、充分に軽い剥離力を確保できれば特に限定されるものではなく、例えば粘着剤層との接触面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理を施した、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、上質紙、グラシン紙等の紙、又は上質紙若しくはグラシン紙等と、ポリオレフィンとのラミネートフィルム等が用いられる。剥離ライナーの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μmである。
剥離ライナーとしては、バリアー性、価格等の点から、ポリエステル(特に、ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなるものが好ましい。さらに、この場合、取り扱い性の点から、厚み25〜100μm程度のものがより好ましい。
本発明の貼付製剤は、例えば、分子量の異なる二種のポリイソブチレン及びタッキファイヤーを含有するPIB系粘着剤、上記一価アルコール、並びに薬物をトルエン等の適当な溶剤に溶解し、得られた粘着剤層形成用組成物の溶液を剥離ライナー上に塗布、乾燥して、粘着剤層を形成し、この粘着剤層上に支持体を積層することで製造することができる。また、例えば、上記粘着剤層形成用組成物の溶液を支持体に直接塗布、乾燥して、支持体上に粘着剤層を形成することでも製造可能である。粘着剤層を形成する際に粘着剤形成用組成物の溶液を一度に厚く塗布すると均一に乾燥することが困難な場合があるため、粘着剤層の厚みを十分なものにするために、2度以上に分けて塗工してもよい。なお、粘着剤層の厚みは、通常10〜300μm、好ましくは20〜250μmである。また、貼付
製剤の形状は特に限定されず、例えば、テープ状、シート状等であってもよい。
本発明の貼付製剤は、使用前まで包装体で密封して保存又は運搬等をすることが好ましい。包装方法としては、例えば、1枚の貼付製剤、あるいは数枚を重ねた貼付製剤を包装材料で包装し、その周辺をヒートシールして密封する方法が挙げられる。この包装材料としては、例えば、シート状又はフィルム状のものが挙げられ特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましい。具体的には、ポリエチレン、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル系共重合体、ポリビニルアルコール系共重合体等のヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料が適している。特に、貼付製剤に含有される活性成分である薬物の外気による汚染や酸化分解を防止するためには、ポリエステルフィルムや金属箔等のガス不透過性フィルムを積層したものを用いることが好ましい。また、この包装材料としては、通常厚み10〜200μmのものが用いられる。上記包装材料の最内層にバリアー性の高いポリアクリロニトリル系共重合体を用いたものがより好ましい。
さらに、貼付製剤の側面からの粘着成分の流れ出し等が起こった場合、包装体からの取り出し性等の取り扱い性の悪化が懸念されるため、包装材料にエンボス加工を施したり、前述のライナー部分を貼付製剤よりも若干大きくするドライエッジ加工、接触面積が小さくなるように加工したブリスター成型等により包装形態を工夫するのが好ましい。
本発明の貼付製剤は、使用直前に上記包装体を破る等して取り出し、剥離ライナーを剥がして、露出した粘着面を皮膚面等に貼付して使用することができる。
また、本発明の貼付製剤は、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常成人の場合、皮膚面に対して1日〜2日で1回程度貼付する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、実施例等で使用する略称は以下のとおりである。
PIB:PIB系粘着剤(組成 B200/6H/P140=34/26/40)
B200:Oppanol(R)B200(BASF) ポリイソブチレン 粘度平均分子量4,000,000
6H:HIMOL6H(日本石油化学(株)) ポリイソブチレン 粘度平均分子量60,000
P140:ARKON(R)P140(荒川化学(株)) タッキファイヤー 脂環式飽和炭化水素樹脂 軟化点140℃
IPM:CRODAMOL IPM(クローダ ジャパン(株)) ミリスチン酸イソプロピル
18SP:リソノール18SP(高級アルコール工業(株)) 2−オクチル−1−デカノール/2−ヘキシル−1−ドデカノール=1/1の混合物
(実施例1〜6及び比較例1〜12)
表1にしたがって配合された粘着剤層形成用組成物をトルエンに溶解し、粘稠溶液を調製した。得られた溶液を、シリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)製ライナー(75μm)上に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗布し、これを熱風循環式乾燥機中で乾燥してトルエンを除去して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層上に、支持体として25μm厚のPETフィルムを貼り合わせてシート状の貼付製剤を得た。
Figure 0005015562
実施例1〜6及び比較例1〜12で得られた各貼付製剤を用いて、以下の試験を行った。
1.ブリード耐性
貼付製剤からライナーを剥がした際に、ライナーに液状物の付着があるか否かを目視で観察し、以下の基準にて評価した。評価結果を表2に示す。
○:ライナーに液状物が付着していなかった。
△:ライナーに液状物がうっすらと付着していた。
×:ライナーに液状物が多量に付着していた。
2.投錨性
貼付製剤からライナーを剥がす(ライナー剥離操作)際に、粘着剤層が支持体側に投錨しているか否かを評価した。さらに、貼付製剤をフェノール樹脂板に貼付し、貼付製剤を引き剥がす際に、粘着剤層が支持体に投錨しているか否かを評価した(接着性試験)。なお、投錨性は、以下の基準にしたがって評価した。評価結果を表2に示す。
○:ライナー剥離操作、接着性試験のいずれでも、粘着剤層は支持体に投錨していた。
△:ライナー剥離操作では粘着剤層は支持体に投錨していたが、接着性試験では粘着剤層は支持体に投錨していなかった。
×:ライナー剥離操作で、粘着剤層は支持体に投錨していなかった。
3.粘着感
ライナーを剥離後、露出した粘着剤層を指で触った際の粘着感について以下の基準で官能評価を行なった。評価結果を表2に示す。
○:粘着感は十分に強かった。
△:粘着感はやや弱かった。
×:粘着感は弱かった。
4.接着力の測定
フェノール樹脂板に幅24mmに裁断した帯状の各サンプルを貼付し、荷重850gのローラーを1往復させて密着させた後、180度方向に300mm/分の速度で剥離して、接着力(剥離力)を測定した。測定結果を表2に示す。
5.40℃における粘度の測定
E型粘度計(東京計器製 E型粘度計 VISCONIC ED型)を用いて、40℃における薬物の粘度を測定した。測定結果を表3に示す。
6.logPowの測定
「OECD GUIDELINE FOR THE TESTING OF CHEMICALS 1O7, Adopted by the Council on 27th July 1995,Partition Coefficient(n-Octanol/water),Shake Flask Method」に準じてlogPowを測定した。LogPow測定時の水層、定量法、LogPow測定結果を表3に示す。
Figure 0005015562
Figure 0005015562
<結果>
実施例1〜4及び比較例1〜6について
薬物として粘度(40℃)が280mPa・sであり、かつlogPowが2.4のエメダスチン遊離塩基を含有し、2−オクチル−1−ドデカノール、2−へキシル−1−デカノール、2−デシル−1−テトラデカノール、又は2−オクチル−1−デカノール/2−ヘキシル−1−ドデカノール混合物を含有する実施例1〜4の貼付製剤においては、ブリードは観察されず、投錨性、粘着感ともに良好で接着力も比較例に比べて強かった。
一方、ミリスチン酸イソプロピル(エステル)、イソステアリン酸(酸)、ジカプリル酸プロピレングリコール(ジエステル)、イコサン−1−オール(直鎖アルコール)、2−エチル−1−ヘキサノール(炭素数が8の2−アルキル−1−アルカノール)を含有する比較例1〜4、6の貼付製剤では、ブリードが見られ、粘着感が弱く、投錨性が不十分であり、しかも投錨性が不十分なために接着力は測定不能であった。
また、2−へキシル−1−デカノールに構造類似しているが、直鎖状の第二級アルコールである、ヘキサデカン−8−オールを含有する比較例5の貼付製剤では、適度な投錨性を有するものの、実施例1〜4の貼付製剤に比べて接着力で劣った。
実施例5及び比較例7について
粘度(40℃)が16mPa・sであり、かつlogPowが3.1のクロタミトンを含有し、2−オクチル−1−ドデカノールを含有する実施例5の貼付製剤においては、ブリードは観察されず、投錨性、粘着感ともに良好で十分な接着力を有していた。
一方、ミリスチン酸イソプロピルを含有する比較例7の貼付製剤の場合は、接着力が不十分であった。
実施例6及び比較例8について
粘度(40℃)が4500mPa・sであり、かつlogPowが4.8のガロパミル遊離塩基を含有し、2−オクチル−1−ドデカノールを添加した実施例6の貼付製剤の場合は、ブリードは観察されず、投錨性、粘着感とも良好であった。
一方、ミリスチン酸イソプロピルを含有する比較例8の貼付製剤の場合は、ブリードが見られ、粘着感及び投錨性が弱く、投錨性が不十分なために接着力は測定不能であった。
比較例9及び10について
粘度(40℃)が270mPa・sであり、かつlogPowが−1.1のグリセリンを含有する比較例9及び10の貼付製剤の場合、グリセリンは親水性が高いので、PIB系粘着剤と相溶せず、点状にブリードした。また、粘着面を指で触った瞬間は粘着感を感じたが、ブリードにより、触れた指が容易に滑り、ブリードした液状物が指一面に広がり、その途端に粘着感を全く感じなくなった。接着力試験では、点状にブリードしていない部分の接着力により高い値となったが、上記のような現象が起きるので実用的ではなかった。2−オクチル−1−ドデカノールを添加してもブリードの抑制効果はなかった。
比較例11及び12について
粘度(40℃)が280mPa・sであり、かつlogPowが5.0より大きいテルビナフィン遊離塩基を含有する比較例11及び12の貼付製剤の場合、元々PIB系粘着剤との相溶性がよいため薬物の含有量が20重量%の場合にはブリードが起きなかったが、薬物の含有量を25重量%としたときに、若干ブリードが起きた。また、溶解助剤であるミリスチン酸イソプロピルを2−オクチル−1−ドデカノールに変更してもブリードの抑制効果はなかった。
本発明の貼付製剤の一実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1…支持体、2…粘着剤層、3…剥離ライナー、10…貼付製剤。

Claims (3)

  1. 炭素数12〜28の2−アルキル−1−アルカノールと、
    logPowが−1.0〜5.0であり、かつ40℃における粘度が0.05〜100,000mPa・sである薬物(但し、ビソプロロールの遊離塩基を除く)と、
    ポリイソブチレン系粘着剤と
    を含有し、シリカを含有しない粘着剤層が支持体の片面に積層されている、貼付製剤。
  2. 2−アルキル−1−アルカノールの2位のアルキル基の炭素数が2以上である、請求項に記載の貼付製剤。
  3. 2−アルキル−1−アルカノールが2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール及び2−デシル−1−テトラデカノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の貼付製剤。
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