JP4295467B2 - 貼付剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)を経皮投与するための貼付剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、皮膚面を通して薬物を投与する、多くの経皮吸収型医薬品が開発されてきている。これら経皮吸収型医薬品は、肝臓での一次代謝を避けることによる投与薬物の有効利用性や薬理効果の持続、投与の簡便性、投与の確認等のコンプライアンスの面から高い評価を得ており、他の多くの薬物に於いても皮膚面を通した経皮投与法、特に薬物を含有する粘着剤層を皮膚面に貼付して使用する貼付剤による投与法を採用することが望まれる。
【0003】
しかしながら多くの薬物の場合、その経皮吸収性は極めて低く、期待される薬理効果を発現するには貼付剤の粘着剤層に有機液状成分に代表される吸収促進剤を添加する等の方法により、薬物の経皮吸収性を向上させる必要がある。
【0004】
有機液状成分の粘着剤中への添加は粘着剤層に含有させた薬物の経皮吸収性の向上には非常に有用ではあるが、多量に添加した場合、粘着剤が可塑化してその凝集力が低下し、製剤貼付後の皮膚面からの剥離時に、皮膚表面に粘着剤の一部が残る所謂、糊残りが生ずる問題、また、製剤の保存中に粘着剤層のエッジ部から包材内面に粘着剤の一部が染み出す所謂、糊はみ出しが生じて粘着剤が包材の内部に付着し、製剤の取り出しが困難になる問題がある。
【0005】
粘着剤の凝集力の低下を防止するためには、一般にイソシアネート系、金属塩系、エポキシ系等の種々の架橋剤を使用して粘着剤を架橋することが行われる。しかし、粘着剤に含有される薬物と架橋剤が接触すると、これらの架橋剤は非常に反応性が高いため、配合される薬物と反応して架橋剤および/または薬物の変質を生じるため使用できない問題がある。また、架橋を完全に終了させ、架橋度を向上するためには高温での乾燥やUV照射、高温下で一定時間保存する所謂、エージング処理を行うことが好ましいが、粘着剤に含有される薬物の安定性がこれらの処理により害される問題がある。
また、有機液状成分や、粘着剤の溶媒、薬物の溶解液としてアルコール類やグリコール類等のOH基を有する溶剤、水などが薬物との関係で好ましく用いられるが、これらの溶剤や水が存在すると、架橋剤が失活して使用できない問題がある。
さらに、有機液状成分として有機酸、有機塩基が薬物との関係で好ましく用いられる場合や薬物が塩基性薬物である場合などに、これらの酸や塩基の存在で架橋剤が失活して使用できない問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、粘着剤の糊残りや糊はみ出しの問題の生じることが抑制され、かつ経皮吸収剤の配合がより容易となり、薬物の経皮吸収性を向上させた貼付剤およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、支持体の片面に薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)を含有する非架橋の粘着剤層(本明細書において粘着剤層(A)という)が積層されており、当該粘着剤層(A)上に架橋粘着剤層(本明細書において架橋粘着剤層(B)という)が積層されている貼付剤とすることで、薬物の経皮吸収性を向上させることができ、かつ、粘着剤の糊残りや糊はみ出しの問題を生じないことを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明によれば、薬物と架橋剤が接触することによる薬物、架橋剤の変質の問題が生じず、架橋のためのエージング処理により薬物の安定性が害されることはない。また、本発明によれば、薬物との関係で好ましく用いられるアルコール類やグリコール類等の薬物溶解用の溶剤、水、有機酸、有機塩基を薬物を含有する粘着剤層(A)に用いた場合でも、架橋粘着剤層(B)にはこれらを含有させないことで、これらの存在により架橋剤が失活する問題を回避することができる。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]支持体の片面に薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)を含有する非架橋の粘着剤層(A)が積層されており、当該粘着剤層(A)上に架橋粘着剤層(B)が積層されている貼付剤。
[2]粘着剤層(A)および/または架橋粘着剤層(B)に、長鎖脂肪酸エステルおよび/または長鎖脂肪族アルコールが含有されている上記[1]記載の貼付剤。
[3]支持体が、プラスチックフィルムと不織布との積層体であり、不織布側に粘着剤層(A)が積層されている上記[1]記載の貼付剤。
[4]粘着剤層(A)の粘着剤と架橋粘着剤層(B)の粘着剤とが、同一組成の粘着剤である上記[1]記載の貼付剤。
[5](1)非架橋の粘着剤および薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)を溶剤に溶解して粘着剤溶液を調製する工程、
(2)上記粘着剤溶液を支持体の片面に塗布し、乾燥して粘着剤層(A)を形成する工程、または、上記粘着剤溶液をセパレータ上に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層を支持体の片面に転写して粘着剤層(A)を形成する工程、
(3)粘着剤層(A)上に薬物を含有しない架橋粘着剤層(B)を形成する工程、
をこの順に含む貼付剤の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
粘着剤層(A)に含有される薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)は、経皮吸収が可能な薬物であれば特に限定されないが、特に、反応性の高い架橋剤(例えば、イソシアネート系、金属塩系、エポキシ系等)と反応して架橋剤、薬物自体の変質を生じる薬物である場合に本発明の効果が発揮される。そのような薬物としては、例えばアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、フェノール性水酸基からなる群より選ばれる一または二以上の官能基を有する薬物が挙げられ、具体的には、例えばメトキサミン、プロプラノロール、ビペリデン、ツロブテロール、ピンドロール等が挙げられる。
【0010】
また、粘着剤層(A)に含有される薬物は、全身性の薬物であっても局所性の薬物であってもよい。
全身性の薬物としては、例えばコルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗パーキンソン剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、昇圧剤、抗生物質、全身麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、酵素剤等が挙げられる。局所性の薬物としては、例えば局所麻酔剤、歯科用抗生物質、殺菌消毒剤、感染予防治療剤、消炎剤、副腎皮質ホルモン等が挙げられる。
【0011】
粘着剤層(A)に用いる粘着剤としては、常温で粘着性を有するアクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤(例えば、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/スチレンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンゴム等)、シリコーン系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等の医療用の粘着剤が好ましい。これらのうち粘着剤の品質の安定性や粘着特性の調整のしやすさの点からは、アクリル系、天然ゴム系、合成ゴム系およびシリコーン系からなる群より選ばれる少なくとも一種の粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤を用いることが特に好ましい。粘着剤層(A)に用いる粘着剤は単独で用いても複数種の粘着剤を適宜混合してもよい。
【0012】
粘着剤層(A)は、非架橋であることが必要である。粘着剤層(A)の形成に架橋剤を用いないことで、架橋剤と薬物との接触による薬物の安定性の低下を避けることができ、また、架橋のためのエージング処理により薬物の安定性が害されることがない。
【0013】
上記アクリル系粘着剤としては、特に限定されないが例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルと後述する共重合性単量体との共重合体が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル40〜99重量%と共重合性単量体1〜60重量%とを共重合して得られる共重合体が挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜98重量%と共重合性単量体2〜50重量%とを共重合して得られる共重合体が好ましい(但し共重合体の合計が100重量%)。(メタ)アクリル酸アルキルエステル、共重合性単量体はそれぞれ、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が2〜18、好ましくは4〜12の一級〜三級アルコールと、アクリル酸もしくはメタクリル酸とから得られるエステルを好適に用いることができる。
具体的には、例えばエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
一方、共重合性単量体としては、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも一個有すると共に、カルボキシル基(例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等)やヒドロキシル基(例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、スルホキシル基(例えばスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等)、アミノ基(例えば(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステル等)、アミド基(例えば(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等)、アルコキシル基(例えば(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル等)等の官能基を側鎖に有する単量体を用いることができる。これら以外の共重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン(例えば、N−ビニル−2−ピロリドン等)、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピベリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等のビニル系単量体を用いることができる。
【0016】
共重合性単量体は、上記例示の単量体の中でも、粘着特性としての接着性や凝集性、粘着剤層中に含有する薬物の放出性等の点から、カルボキシル基含有単量体および/またはヒドロキシル基含有単量体を用いるのが好ましく、これらは、通常1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲で共重合するのが好ましい。また、ビニル系単量体を使用する場合、酢酸ビニルやN−ビニル−2−ピロリドンが好ましく、これらは、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下の範囲で用いられる。
【0017】
アクリル系粘着剤としては、具体的には、例えば2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸との共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとヒドロキシエチルアクリレートとの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートと2−メトキシエチルアクリレートと酢酸ビニルとの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとビニルピロリドンとの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタクリレートと2−メトキシエチルアクリレートとの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体等が挙げられる。
【0018】
粘着剤層(A)には、さらに、ロジン、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂およびテルペンフェノール樹脂等を必要に応じて添加し、粘性を増大させることもできる。
【0019】
粘着剤層(A)中の薬物の含有量は、粘着剤層(A)の総重量の通常0.5〜60重量%、好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは3〜40重量%の範囲である。
薬物の含有量を粘着剤層(A)の総重量の、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、特に好ましくは3重量%以上とすることで、薬理効果を発揮するのに十分な薬物量を経皮吸収させることができる。
薬物の含有量を粘着剤層(A)の総重量の、通常60重量%以下、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下とすることで、粘着剤層(A)の接着性の低下を防ぐことができ、粘着剤層(A)を十分に架橋粘着剤層(B)に接着させることができる。
【0020】
粘着剤層(A)には、有機液状成分を含有させることができる。有機液状成分としては、例えば、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等が挙げられる。長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等の有機液状成分を含有させることにより、これら成分は粘着剤層と相溶し、粘着剤層を可塑化する。その結果、薬物の粘着剤層中での拡散性を向上させ、皮膚透過性を促進し、薬物の経皮吸収性を向上させることができる。長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等の有機液状成分は、一種あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステルが挙げられ、具体的には例えば、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸エチル、ラウリン酸エステル、グリセリン脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0022】
長鎖脂肪族アルコールとしては、例えば炭素数8〜30の脂肪族アルコールが挙げられ、具体的には例えば、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
【0023】
粘着剤層(A)の有機液状成分の含有量は、総量として、粘着剤100重量部に対して通常25〜200重量部、好ましくは40〜180重量部、特に好ましくは50〜150重量部の範囲である。
その含有量を粘着剤100重量部に対して、通常25重量部以上、好ましくは40重量部以上、特に好ましくは50重量部以上とすることで、粘着剤層の十分な可塑化を生じ、その結果、薬物の粘着剤層中での拡散性の向上が得られ、皮膚透過性を促進し、薬物の経皮吸収性が向上する。
その含有量を粘着剤100重量部に対して、通常200重量部以下、好ましくは180重量部以下、特に好ましくは150重量部以下とすることで、非架橋であっても充分な凝集力を保持することができる。
【0024】
架橋粘着剤層(B)に用いる粘着剤としては、常温で粘着性を有し、皮膚面に接した際にカブレ等を生じないような従来から用いられているアクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤(例えば、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/スチレンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンゴム等)、シリコーン系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等の医療用の粘着剤が好ましい。これらのうち粘着剤の品質の安定性や粘着特性の調整のしやすさの点からは、アクリル系、天然ゴム系、合成ゴム系およびシリコーン系からなる群より選ばれる少なくとも一種の粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤を用いることが特に好ましい。架橋粘着剤層(B)に用いる粘着剤は単独で用いても複数種の粘着剤を適宜混合してもよい。
【0025】
上記アクリル系粘着剤としては、特に限定されないが例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルと後述する共重合性単量体との共重合体が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル40〜99重量%と共重合性単量体1〜60重量%とを共重合して得られる共重合体が挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜98重量%と共重合性単量体2〜50重量%とを共重合して得られる共重合体が好ましい(但し共重合体の合計が100重量%)。(メタ)アクリル酸アルキルエステル、共重合性単量体はそれぞれ、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、共重合性単量体としては、前記粘着剤層(A)について例示したものを好適に用いることができる。
【0027】
これらの共重合性単量体は上記のように一種もしくは二種以上を組み合わせて(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合することができるが、粘着特性としての接着性や凝集性等の点から、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体の少なくとも一種を総量として通常1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲で共重合し、必要に応じて上記に例示の他の単量体、例えば酢酸ビニルやN−ビニル−2−ピロリドンのようなビニル系単量体を、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下の範囲で共重合することが好ましい。
【0028】
アクリル系粘着剤としては、具体的には、例えば2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸との共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとヒドロキシエチルアクリレートとの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体等が挙げられる。
【0029】
粘着剤の架橋処理は、特に限定されないが、例えば、架橋剤を用いて、通常の方法により施すことができる。架橋剤としては、特に限定されないが、配合される薬物と反応して架橋剤および/または薬物の変質を生じる架橋剤や、架橋を完全に終了させ、架橋度を向上するためにエージング処理をすることが好ましい架橋剤を使用する場合に本発明の効果が特に発揮され、そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系、金属塩系、エポキシ系等の架橋剤が挙げられる。
【0030】
架橋剤の配合量は、架橋剤の種類によって異なるが、架橋する粘着剤100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部、特に好ましくは0.05〜1重量部の範囲である。
【0031】
粘着剤層(A)の粘着剤と架橋粘着剤層(B)の粘着剤とは、両粘着剤層の貼合せ後の両粘着剤層間の界面破壊の防止、両粘着剤層間の薬物の移動の促進、両粘着剤層の接着性の向上の観点から、同一組成の粘着剤であることが好ましい。同一組成とは粘着剤の種類が同一であることをいい、複数種の粘着剤を用いる場合には粘着剤の種類および配合割合が同一であることをいう。
【0032】
架橋粘着剤層(B)には、さらに、ロジン、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂およびテルペンフェノール樹脂等を必要に応じて添加し、粘性を増大させることもできる。
【0033】
本発明の貼付剤の架橋粘着剤層(B)は、薬物を含有していてもよい。すなわち、本発明の貼付剤の製造工程で、後述するように架橋粘着剤層(B)を架橋処理して作製する際に薬物を含有しないことで架橋剤と薬物との接触による粘着剤の架橋の阻害を避けることができる。また、架橋処理が完了した架橋粘着剤層(B)には薬物の安定性に影響を及ぼす程度の未反応の架橋剤は存在しないので、その後、粘着剤層(A)からの薬物の移行があっても問題はない。
【0034】
架橋粘着剤層(B)には、有機液状成分を添加することができる。有機液状成分としては、例えば、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等が挙げられる。長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等の有機液状成分を含有させることにより、薬物の皮膚透過性を促進し、その結果薬物の経皮吸収性を向上させることができ、またこれら成分は粘着剤層と相溶することにより粘着剤層を可塑化する作用を有し、皮膚面に貼付した際に皮膚に対してソフト感を与えることができ、さらに上記のように架橋処理を施すことにより適度に凝集力を賦与し、使用後の剥離除去時に皮膚刺激をできるだけ低減することができる。長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等の有機液状成分は、一種あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコールとしては、前記粘着剤層(A)について例示したものを好適に用いることができる。
【0036】
架橋粘着剤層(B)における、有機液状成分の含有量は、総量として、粘着剤100重量部に対して通常25〜200重量部、好ましくは40〜180重量部、特に好ましくは50〜150重量部の範囲である。
その含有量を粘着剤100重量部に対して、通常25重量部以上、好ましくは40重量部以上、特に好ましくは50重量部以上とすることで、薬物の皮膚透過性の促進の効果が得られ、それと共に、充分な可塑化作用を発揮でき、皮膚刺激性が低減される。
その含有量を粘着剤100重量部に対して、通常200重量部以下、好ましくは180重量部以下、特に好ましくは150重量部以下とすることで粘着剤層が可塑化され過ぎて凝集力が低下することを防止でき、架橋処理を施しても剥離除去時に糊残り現象が生じて再び皮膚刺激性を増大させるという問題も生じない。
【0037】
本発明の貼付剤の支持体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムと不織布との積層体、特にプラスチックフィルムと不織布との積層フィルムが好ましい。
支持体の厚みは、通常2〜2000μm、好ましくは2〜600μm、特に好ましくは10〜150μmである。
【0038】
プラスチックフィルムと不織布との積層体に用いるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリプロピレン等のフィルムを挙げることができ、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムが好ましく、薬物が支持体へ移行しにくい性質からポリエステルフィルムが特に好ましい。
当該プラスチックフィルムの厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは2〜100μmであるが、柔軟性及び操作性の点から5〜50μmであることが特に好ましい。
【0039】
プラスチックフィルムと不織布との積層体に用いる不織布は、特に限定されず、貼付剤の分野で通常用いられる材料から製造することができる。このような材料としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等が挙げられ、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドが好ましい。当該不織布の坪量は、通常1〜100g/m2、好ましくは6〜50g/m2であるが、柔軟性や貼付時の皮膚面への密着感が良好であるという理由から6〜30g/m2が特に好ましい。
当該不織布の厚みは通常1〜1000μm、好ましくは3〜500μm、特に好ましくは5〜100μmである。
【0040】
本発明の貼付剤は、前記のように、支持体がプラスチックフィルムと不織布との積層体であり、不織布側に粘着剤層(A)が積層されているものが好ましい。支持体の不織布層に粘着剤層(A)が積層されることにより、粘着剤層(A)に用いられる粘着剤が凝集力の低い非架橋粘着剤等であっても支持体との投錨力を向上させることができる。また、粘着剤層(A)の粘着剤の凝集力が低い場合であっても、凝集力不足から来る、皮膚面からの製剤剥離時の凝集破壊を防ぐことができる。
【0041】
さらに粘着剤層(A)上に架橋粘着剤層(B)を積層することにより、製剤貼付後の皮膚面からの剥離時等に、皮膚表面等に粘着剤の一部が残る所謂、糊残りを防止することや、保存中に包材内面へ粘着剤の一部が染み出す所謂、糊はみ出しによる包材からの製剤の取り出し性が改善されることが可能となるのである。
【0042】
粘着剤層(A)の厚みは、支持体、粘着剤層(A)に用いられる粘着剤の種類等により異なるが、通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmである。
ここで、粘着剤層(A)の厚みとは、支持体に粘着剤溶液を直接塗布し、乾燥して得られる、所謂直写の場合は、通常は、支持体と粘着剤層との境界面から粘着剤層表面までの距離をいうが、不織布とプラスチックフィルム等との積層体である支持体の不織布面に直写する場合には、粘着剤層(A)の厚みは不織布とプラスチックフィルム等との境界面からの距離となる。粘着剤溶液をセパレータ上に塗布、乾燥して粘着剤層を形成した後、支持体の片面に粘着剤層を張り合せる、所謂転写の場合には、粘着剤層(A)の厚みはセパレータ上に塗布し、乾燥して形成された粘着剤層の厚みを言う。
【0043】
プラスチックフィルムと不織布との積層体からなる支持体の不織布面に粘着剤層(A)を形成する場合、粘着剤層(A)の厚みはまた、支持体の不織布の厚みとの兼ね合いを考慮して決定するのが好ましい。
所謂直写で粘着剤層(A)を形成させた場合には、粘着剤層(A)が不織布内に完全に埋没した状態では、さらに積層する架橋粘着剤層(B)との接着が不十分となり、貼付時に皮膚表面に十分な薬剤が移行しない可能性があり、また、貼付後の製剤を剥離する時に両粘着剤層の界面で界面破壊を生じ、糊残りを生じる可能性があるので粘着剤層(A)は不織布内に完全に埋没していないことが好ましい。一方、不織布から出た粘着剤層(A)が厚い場合には、不織布から出た粘着剤、すなわち、不織布と接触しない粘着剤が凝集破壊を生じ、貼付後の製剤を剥離する時等に糊残りを生じる可能性がある。従って、粘着剤層(A)は該支持体の不織布内にほとんど埋没し極僅か不織布から出た状態が好ましい。
上記の観点からは、粘着剤層(A)の厚みのうち、不織布層内にある粘着剤層の厚み対、不織布外の粘着剤層の厚みの比は通常100対0から25対75、好ましくは100対0から50対50である。
一方、所謂転写で粘着剤層(A)を形成させた場合、粘着剤層(A)が不織布の極表面のみ接触している場合であって粘着剤層(A)が厚い場合には、粘着剤が凝集破壊を生じ貼付後の製剤を剥離する時等に糊残りを生じる可能性が高いので、架橋粘着剤層(B)を貼り合わせる前に、熱ロールなどで、圧着処理し、支持体の不織布層内に充分に粘着剤層(A)を埋入させた後、架橋粘着剤層(B)を貼り合わせることが好ましい。
【0044】
架橋粘着剤層(B)の厚みは、粘着剤層(B)に用いられる粘着剤の種類等により異なるが、通常5〜200μm、好ましくは7〜150μm、特に好ましくは10〜100μmである。
【0045】
粘着剤層(A)および架橋粘着剤層(B)にはそれぞれ必要に応じて、抗酸化剤や各種顔料、各種充填剤、安定化剤、薬物溶解補助剤、薬物溶解抑制剤等の添加剤を配合することができる。この場合には粘着剤100重量部に対して添加剤の総量として2〜50重量部程度の範囲で配合することが好適である。
【0046】
本発明の貼付剤は、例えば、以下の工程(1)〜(3)をこの順に含む製造方法により製造することができる。
すなわち、工程(1):
非架橋の粘着剤および薬物を溶剤に溶解して粘着剤溶液を調製する工程、
工程(2):
上記粘着剤溶液を支持体の片面に塗布し、乾燥して粘着剤層(A)を形成する工程、または、上記粘着剤溶液をセパレータ(例えば、剥離処理したポリエステルフィルム等)上に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層を支持体の片面に転写して粘着剤層(A)を形成する工程、
工程(3):
粘着剤層(A)上に薬物を含有しない架橋粘着剤層(B)を形成する工程、
により製造することができる。
【0047】
工程(3)における、架橋粘着剤層(B)は、例えば粘着剤、架橋剤を適当な溶剤に溶解し、得られた粘着剤溶液をセパレータ(例えば、剥離処理したポリエステルフィルム等)上に塗布、乾燥して、得ることができる。この架橋粘着剤層(B)の作製の際は薬物を含有しないことが必要である。薬物を含有しないことで、架橋剤と薬物との接触による粘着剤の架橋の阻害を避けることができる。
【0048】
粘着剤層(A)の形成に用いる溶剤は、特に限定されず、粘着剤の溶剤として通常使用されるものを粘着剤の種類、薬物との反応性等を考慮して選択することができる。例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノールまたはこれらの混合溶液等が挙げられる。
架橋粘着剤層(B)の形成に用いる溶剤は、特に限定されず、粘着剤の溶剤として通常使用されるものを粘着剤の種類、架橋剤との反応性等を考慮して選択することができる。例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
【0049】
本発明の貼付剤は、前記支持体の片面に前記粘着剤層(A)、さらにその上に前記架橋粘着剤層(B)が積層されたものであるが、皮膚面への貼着の直前までは架橋粘着剤層(B)の露出面に、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等の塗布によって剥離処理を施した紙やプラスチックフィルム等の離型ライナーにて被覆、保護することが好ましい。そして使用時にこれを剥離して、架橋粘着剤層(B)を露出させ、貼付部位に貼付して投与する。
【0050】
貼付剤の形状は限定されず、例えば、テープ状、シート状等を含む。
【0051】
本発明の貼付剤の投与量は、薬物の種類、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常、成人に対して薬物0.001〜1000mgを含有した製剤を皮膚1〜200cm2に、7日当り1〜7回程度貼付する。
【0052】
【実施例】
以下に実施例および試験例を挙げて本発明の粘着テープをさらに詳細に説明する。なお本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の応用ができることはいうまでもない。以下の文中で%とあるのは重量%を意味する。
【0053】
実施例1
架橋粘着剤層(B)
粘着剤 60%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
ミリスチン酸イソプロピル 40%
イソシアネート架橋剤 0.15%(対粘着剤固形分)
(コロネートHL:日本ポリウレタン工業)
薬物含有非架橋粘着剤層(A)
粘着剤 46.7%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
ミリスチン酸イソプロピル 40%
メトキサミン 13.3%
【0054】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に膏体重量の40%となるようにミリスチン酸イソプロピルを、粘着剤固形分の0.15%となるようにコロネートHLを配合し、剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥後、70℃で48時間エージング処理を行い、架橋粘着剤層(B)を得た。
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤のトルエン/メタノール混合溶液に膏体重量の13.3%となるようにメトキサミンを、ミリスチン酸イソプロピルを40%配合し、この粘着剤溶液を6μmPETフィルムと坪量が8g/m2のPET不織布からなる支持体の不織布面に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布、乾燥し非架橋粘着剤層(A)を作成した。非架橋粘着剤層(A)の表面に上記作製した架橋粘着剤層(B)を積層しメトキサミンテープを得た。
【0055】
実施例2
架橋粘着剤層(B)
粘着剤 60%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
イソステアリルアルコール 40%
金属塩架橋剤 0.3%(対粘着剤固形分)
(ALCH:川研ファインケミカル)
薬物含有非架橋粘着剤層(A)
粘着剤 46.7%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
イソステアリルアルコール 40%
プロプラノロール 13.3%
【0056】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に膏体重量の40%となるようにイソステアリルアルコールを、粘着剤固形分の0.3%となるようにALCHを配合し、剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥後、70℃で48時間エージング処理を行い、架橋粘着剤層(B)を得た。
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤のトルエン/メタノール混合溶液に膏体重量の13.3%となるようにプロプラノロールを、イソステアリルアルコールを40%配合し、この粘着剤溶液を剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布、乾燥し粘着剤層に6μmPETフィルムと坪量が20g/m2のポリアミド不織布からなる支持体の不織布面を貼合せ、非架橋粘着剤層(A)を作成した。非架橋粘着剤層(A)のポリエステルフィルムを剥し膏体表面に上記作製した架橋粘着剤層(B)を積層しプロプラノロールテープを得た。
【0057】
実施例3
架橋粘着剤層(B)
粘着剤 70%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/ビニルピロリドン共重合体)
ヘキシルデカノール 30%
金属塩架橋剤 0.3%(対粘着剤固形分)
(ALCH:川研ファインケミカル)
薬物含有非架橋粘着剤層(A)
粘着剤 56.7%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/ビニルピロリドン共重合体)
ヘキシルデカノール 30%
ビペリデン 13.3%
【0058】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/ビニルピロリドン=75/3/22を共重合してなるアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に膏体重量の30%となるようにヘキシルデカノールを、粘着剤固形分の0.3%となるようにALCHを配合し、剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥後、70℃で48時間エージング処理を行い、架橋粘着剤層(B)を得た。
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/ビニルピロリドン=75/3/22を共重合してなるアクリル系粘着剤のエタノール溶液に膏体重量の13.3%に成るようにビペリデンを、ヘキシルデカノールを30%配合し、この粘着剤溶液を6μmPETフィルムと坪量が8g/m2のPET不織布からなる支持体の不織布面上に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布、乾燥し非架橋粘着剤層(A)を作成した。非架橋粘着剤層(A)の膏体表面に上記作製した架橋粘着剤層(B)を積層しビペリデンテープを得た。
【0059】
実施例4
架橋粘着剤層(B)
粘着剤 60%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
セバシン酸ジエチル 40%
イソシアネート架橋剤 0.15%(対粘着剤固形分)
(コロネートHL:日本ポリウレタン工業)
薬物含有非架橋粘着剤層(A)
粘着剤 46.7%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
ラウリルアルコール 40%
プロプラノロール 13.3%
【0060】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に膏体重量の40%となるようにセバシン酸ジエチルを、粘着剤固形分の0.15%となるようにコロネートHLを配合し、剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥後、70℃で48時間エージング処理を行い、架橋粘着剤層(B)を得た。
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤のトルエン/メタノール混合溶液に膏体重量の13.3%に成るようにプロプラノロールを、ラウリルアルコールを40%配合し、この粘着剤溶液を6μmPETフィルムと坪量が8g/m2のPET不織布からなる支持体の不織布面に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布、乾燥し非架橋粘着剤層(A)を作成した。非架橋粘着剤層(A)の膏体表面に上記作製した架橋粘着剤層(B)を積層しプロプラノロールテープを得た。
【0061】
実施例5
非架橋粘着剤層(A)、架橋粘着剤層(B)の何れもにもミリスチン酸イソプロピルを配合しなかった以外は実施例1と同様の方法で粘着テープを作製した。
【0062】
実施例6
非架橋粘着剤層(A)、架橋粘着剤層(B)の何れもにもイソステアリルアルコールを配合しなかった以外は実施例2と同様の方法で粘着テープを作製した。
【0063】
実施例7
非架橋粘着剤層(A)、架橋粘着剤層(B)の何れにもヘキシルデカノールを配合しなかった以外は実施例3と同様の方法で粘着テープを作製した。
【0064】
実施例8
支持体のPETフィルム面に非架橋粘着剤層(A)を塗布した以外は実施例3と同様の方法で粘着テープを作製した。
【0065】
実施例9
架橋粘着剤層(B)
粘着剤 60%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
ミリスチン酸イソプロピル 40%
イソシアネート架橋剤 0.15%(対粘着剤固形分)
(コロネートHL:日本ポリウレタン工業)
薬物含有非架橋粘着剤層(A)
粘着剤 46.7%
(ポリイソブチレン系)
ミリスチン酸イソプロピル 40%
メトキサミン 13.3%
【0066】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に膏体重量の40%となるようにミリスチン酸イソプロピルを、粘着剤固形分の0.15%となるようにコロネートHLを配合し、剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥後、70℃で48時間エージング処理を行い、架橋粘着剤層(B)を得た。
ポリイソブチレンを主成分とするゴム系粘着剤のヘキサン溶液に膏体重量の13.3%になるようにメトキサミンを、ミリスチン酸イソプロピルを40%配合し、この粘着剤溶液を6μmPETフィルムと坪量が8g/m2のPET不織布からなる支持体の不織布面に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布、乾燥し非架橋粘着剤層(A)を作成した。非架橋粘着剤層(A)の膏体表面に上記作製した架橋粘着剤層(B)を積層しメトキサミンテープを得た。
【0067】
比較例1
実施例1の架橋粘着剤層(B)にイソシアネート架橋剤を配合しなかった以外は実施例1と同様の方法で粘着テープを作製した。
【0068】
比較例2
薬物含有非架橋粘着剤層
粘着剤 50%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
ミリスチン酸イソプロピル 40%
メトキサミン 10%
【0069】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤のトルエン/メタノール混合溶液に膏体重量の10%に成るようにメトキサミンを、ミリスチン酸イソプロピルを40%配合し、この粘着剤溶液を6μmPETフィルムと坪量が8g/m2のPET不織布からなる支持体の不織布面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗布、乾燥し非架橋粘着剤層を作成した。
【0070】
比較例3
薬物含有架橋粘着剤層
粘着剤 50%
(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸共重合体)
ミリスチン酸イソプロピル 40%
メトキサミン 10%
イソシアネート架橋剤 0.15%(対粘着剤固形分)
(コロネートHL:日本ポリウレタン工業)
【0071】
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=95/5を共重合してなるアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に膏体重量の10%に成るようにメトキサミンを、ミリスチン酸イソプロピルを40%、粘着剤固形分の0.15%となるようにコロネートHLを配合し、この粘着剤溶液を6μmPETフィルムと坪量が8g/m2のPET不織布からなる支持体の不織布面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗布、乾燥後、70℃で48時間エージング処理を行い、メトキサミン含有架橋粘着剤層を得た。
【0072】
試験例1 透過性試験
上記得られた実施例1−3と5−7のサンプルを6mmφに打ち抜き、直径2cmの脱皮ヘビ皮の中央に貼り付け透過試験用装置(バンガード社製、品番VFT02)にセットし、レセプター側にある水への薬物の皮膚透過性を測定した。24時間後の単位面積当たりの積算透過量を算出し、有機液状成分を配合した製剤(実施例1−3)について、これらに対応する有機液状成分を配合していない製剤(実施例5−7)の積算透過量に対する促進率を表1に示した。
【0073】
試験例2 貼付試験
上記得られた実施例1−9、比較例1−3のサンプルを10cm2に打抜き、予め毛狩り、剃毛したニュージーランドホワイトウサギの背部皮膚に貼付し、24時間後に剥離を行い、貼付中、剥離後に対する接着物性を以下のスコアで測定した。結果を表1に示した。
【0074】
貼付中
◎:全面に良好な接着性を示し、浮きや剥がれは認められなかった。
○:若干の浮きや剥がれが認められたが、実用上問題はなかった。
×:50%以上の面積での剥がれ、または脱落を生じた。
剥離後
◎:良好な剥離を示し、貼付面に糊残りは認められなかった。
○:若干の糊残りが認められたが、実用上問題はなかった。
×:全面に糊残りが認められた。
【0075】
試験例3 取り出し性試験
上記得られた実施例1−9、比較例1−3のサンプルを10cm2に打ち抜き、ポリアクリロニトリル製の包材で密封包装し、50℃で保存した。1ヶ月後に開封し、包材からの取り出し性を以下のスコアで評価した。結果を表1に示した。
◎:糊はみ出しは認められずスムーズに取り出すことが出来た。
○:一部に糊はみ出しが認められたが、取り出すことは出来た。
×:糊はみ出しが激しく取り出せなかった。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】
本発明により、薬物の経皮吸収性を向上させることができ、かつ、粘着剤の糊残りや糊はみ出しの問題の生じない貼付剤を提供することができる。
Claims (5)
- 支持体の片面に薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)を含有する非架橋の粘着剤層(A)が積層されており、当該粘着剤層(A)上に架橋粘着剤層(B)が積層されている貼付剤であって、粘着剤層(A)および架橋粘着剤層(B)がともに有機液状成分を含み、かつ粘着剤がアクリル系粘着剤である、貼付剤。
- 粘着剤層(A)および/または架橋粘着剤層(B)に、長鎖脂肪酸エステルおよび/または長鎖脂肪族アルコールが含有されている請求項1記載の貼付剤。
- 支持体が、プラスチックフィルムと不織布との積層体であり、不織布側に粘着剤層(A)が積層されている請求項1記載の貼付剤。
- 粘着剤層(A)の粘着剤と架橋粘着剤層(B)の粘着剤とが、同一組成の粘着剤である請求項1記載の貼付剤。
- (1)非架橋の粘着剤および薬物(2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノールおよびその薬理学的に許容される塩を除く)を溶剤に溶解して粘着剤溶液を調製する工程、
(2)上記粘着剤溶液を支持体の片面に塗布し、乾燥して粘着剤層(A)を形成する工程、または、上記粘着剤溶液をセパレータ上に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層を支持体の片面に転写して粘着剤層(A)を形成する工程、
(3)粘着剤層(A)上に薬物を含有しない架橋粘着剤層(B)を形成する工程、
をこの順に含む貼付剤の製造方法であって、粘着剤層(A)および架橋粘着剤層(B)がともに有機液状成分を含み、かつ粘着剤がアクリル系粘着剤である、製造方法。
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