JP4618635B2 - エレベータ駆動装置 - Google Patents

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本発明は、交流電動機を速度制御するマトリックスコンバータのスナバ装置を適用したエレベータ駆動装置に関する。
従来のマトリックスコンバータのスナバ装置は、一般的に、電源側の各相とモータ側の各相のそれぞれに必要とされ、ダイオードを介してスナバ回路用コンデンサでエネルギーを吸収し、そのエネルギーを抵抗で熱に換えて消費する構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−139076号公報(第5頁、図5)
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。この構造ではスナバ回路用コンデンサに蓄積されたエネルギーを抵抗等により熱エネルギーとして消費することになり、スナバ回路用コンデンサにせっかく蓄えられたエネルギーを無駄に消費することとなり、システムの高効率化の妨げとなる。
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、スナバ回路用コンデンサに蓄えられたエネルギーを電源側に回生することのできるマトリックスコンバータのスナバ装置を適用し、停電時に乗客がエレベータのかご内に閉じ込められることを防止するエレベータ駆動装置を得ることを目的とする。
本発明に係るエレベータ駆動装置は、入力された交流電圧を任意の交流電圧に変換して交流電動機に出力するマトリックスコンバータの入力側に接続され、ダイオードブリッジ回路と、ダイオードブリッジ回路のそれぞれのダイオードと逆並列に接続されたトランジスタとで構成された電源側スナバ回路と、マトリックスコンバータの出力側に接続され、ダイオードブリッジ回路で構成されたモータ側スナバ回路と、電源側スナバ回路とモータ側スナバ回路との間に設けられ、マトリックスコンバータが発生する余剰エネルギーを電源側スナバ回路またはモータ側スナバ回路を介して蓄積するスナバ回路用コンデンサと、スナバ回路用コンデンサの電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部で検出された電圧値が所定値以下の場合には、電源側スナバ回路のトランジスタをOFFに切り換えることによりブリッジ回路をダイオードブリッジ回路によるスナバ回路として動作させ、電圧検出部で検出された電圧値が所定値を超える場合には、電源側スナバ回路のトランジスタをONに切り換えることによりブリッジ回路をスナバ回路用コンデンサに蓄えられたエネルギーを電源に回生する回生回路として動作させる切り換え制御部と、停電発生時に電源側スナバ回路に直流電源を供給する停電用電源と、停電用電源と直列に接続され、閉路することで電源側スナバ回路に直流電源を供給する第1のスイッチと、閉路することで電源側スナバ回路の出力をマトリックスコンバータの出力に代わって交流電動機に供給する第2のスイッチと、開路することでマトリックスコンバータに入力される交流電源を切り離す第3のスイッチとを備え、切り換え制御部は、マトリックスコンバータに入力される交流電源が停電したことを検知した場合には、第3のスイッチを開路させることによりマトリックスコンバータに入力される交流電源を切り離し、さらに、第1のスイッチおよび第2のスイッチを閉路させるとともに、電源側スナバ回路内のトランジスタをスイッチング制御することにより、停電用電源から供給される直流電源に基づいて交流電動機に交流電力を供給することで、停電時にも交流電動機を動作可能とするものである。
本発明によれば、電源側スナバ回路をトランジスタとダイオードにより構成し、スナバ回路用コンデンサの電圧に応じてトランジスタをスイッチングするとともに、停電発生時にスナバ装置のみで交流電動機を駆動することを可能とすることにより、スナバ回路用コンデンサに蓄えられたエネルギーを電源側に回生することのできるマトリックスコンバータのスナバ装置を適用し、停電時に乗客がエレベータのかご内に閉じ込められることを防止するエレベータ駆動装置を得ることができる。

以下、本発明のマトリックスコンバータのスナバ装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。本発明のマトリックスコンバータのスナバ装置は、電源側スナバ回路をトランジスタとダイオードとの逆並列回路で構成し、スナバ回路用コンデンサの電圧に応じて、電源側スナバ回路をダイオードブリッジからトランジスタブリッジに切り換えることにより、スナバ回路用コンデンサに蓄積されるエネルギーを電源側に回生し、高効率化を図ることを特徴とするものである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるマトリックスコンバータのスナバ装置を含む全体構成図である。図1におけるマトリックスコンバータのスナバ装置は、電源側スナバ回路1、停電用電源2、第1のスイッチ3、スナバ回路用コンデンサ4、モータ側スナバ回路5、電圧検出部6、切り換え制御部7、第2のスイッチ8、第3のスイッチ9で構成される。さらに、このマトリックスコンバータのスナバ装置は、マトリックスコンバータ10および交流電動機である三相モータ11と接続されている。
また、図2は、本発明の実施の形態1におけるマトリックスコンバータ10の構成図である。図2のように、双方向素子を用いてマトリックスコンバータ10を構成する場合には、6つの入出力に対して、すなわち、電源側のR、S、T相およびモータ側のU、V、W相に対して、スナバ回路を構成する必要がある。電源側のR、S、T相に対するスナバ回路が、図1における電源側スナバ回路1に相当し、モータ側のU、V、W相に対するスナバ回路が、図1におけるモータ側スナバ回路5に相当する。
電源側スナバ回路1は、マトリックスコンバータ10のスナバ回路として一般的なダイオードブリッジによる構成の代わりに、トランジスタとフリーホイーリングダイオードの逆並列回路によるブリッジ回路で構成されている。一方、モータ側スナバ回路5は、マトリックスコンバータ10のスナバ回路として一般的なダイオードブリッジにより構成されている。
図1において、停電用電源2は、マトリックスコンバータ10の交流入力電源が停電したときのために備えられた直流電源である。スナバ回路用コンデンサ4は、マトリックスコンバータ10がスイッチング動作することにより発生するエネルギーを電源側スナバ回路1およびモータ側スナバ回路5を介して蓄積するためのコンデンサである。
電圧検出部6は、スナバ回路用コンデンサ4の両端の電圧を測定する検出部である。切り換え制御部7は、電圧検出部6で検出した電圧値に応じて、電源側スナバ回路1のトランジスタ、および、第1のスイッチ3、第2のスイッチ8、第3のスイッチ9からなるスイッチ群の切り換え制御を行う制御部であり、動作の詳細は後述する。
また、スイッチ群のうち、第1のスイッチ3および第2のスイッチ8は、停電時にONするスイッチである。一方、第3のスイッチ9は、停電時にOFFするスイッチである。第1のスイッチ3がONすることにより、停電用電源2の電圧が、電源側スナバ回路1、モータ側スナバ回路5、およびスナバ回路用コンデンサ4のそれぞれの両端に印加されることとなる。
第2のスイッチ8がONすることにより、電源側スナバ回路1の出力が三相モータ11の電力源として供給されることとなる。また、第3のスイッチ9がOFFすると、マトリックスコンバータ10へ入力されるR、S、T相の電源が切り離されることとなる。
次に、このような構成に基づく切り換え制御部7による具体的な制御動作を説明する。切り換え制御部7は、電圧検出部6で検出されたスナバ回路用コンデンサ4に蓄えられた電圧値が、あらかじめ定められたある一定値以下の場合には、電源側スナバ回路1のトランジスタをOFFにスイッチングさせる。これにより、電源側スナバ回路1は、フリーホイーリングダイオードによるダイオードブリッジとして動作し、電源側のスナバ回路として機能することとなる。
一方、切り換え制御部7は、電圧検出部6で検出されたスナバ回路用コンデンサ4に蓄えられた電圧値が、あらかじめ定められたある一定値を超える場合には、電源側スナバ回路1のトランジスタをONにスイッチングさせる。これにより、電源側スナバ回路1は、トランジスタによるトランジスタブリッジとして動作し、スナバ回路用コンデンサ4に蓄積されたエネルギーを電源側に回生させることができる。
このように、切り換え制御部7は、スナバ回路用コンデンサ4の電圧値に応じて、トランジスタのスイッチングを行うことにより、スナバ回路用コンデンサ4に蓄えられたエネルギーを電源側に回生できる。これにより、これまで抵抗などで熱エネルギーとして消費されていたスナバ回路用コンデンサ4に蓄えられたエネルギーを電源側に回生させることができ、システム全体としての高効率化が期待できる。
さらに、マトリックスコンバータのスナバ装置をエレベータ駆動装置に適用する場合には、停電時に乗客がエレベータのかご内に閉じ込められないようにすることが必要となる。これを実現するために、本実施の形態1における図1の構成では、第1のスイッチ3、第2のスイッチ8および第3のスイッチ8によるスイッチ群を備えている。このスイッチ群を切り換えることにより、停電時にも三相モータ11を動作させることができ、詳細の動作を以下に説明する。
図3は、本発明の実施の形態1におけるスイッチ群の切り換え動作を示したフローチャートである。ステップS301において、切り換え制御部7は、マトリックスコンバータに入力される交流電源が停電したか否かを示す信号を外部から入力する。そして、切り換え制御部7は、停電発生の有無に応じて、その後のスイッチ群の切り換えを行っている。
停電が発生していない場合には、ステップS302において、切り換え制御部7は、スイッチ群を、第1のスイッチ3:OFF、第2のスイッチ8:OFF、第3のスイッチ9:ONとなるように切り換える。スイッチ群がこのように切り換えられた後は、ステップ303において、上述した通常の運転を行うこととなる。すなわち、スナバ回路用コンデンサ4の電圧値に応じて、電源側スナバ回路1が回生運転を行うことにより、スナバ回路用コンデンサ4に蓄えられたエネルギーを電源側に回生できる。
一方、停電が発生している場合には、ステップS304において、切り換え制御部7は、スイッチ群を、第1のスイッチ3:ON、第2のスイッチ8:ON、第3のスイッチ9:OFFとなるように切り換える。スイッチ群がこのように切り換えられた後は、ステップ303において、電源側スナバ回路1は、インバータとして機能することとなる。
すなわち、停電発生時において第1のスイッチ3がONすることにより、スナバ回路用コンデンサ4は、停電用電源2によって充電される。さらに、切り換え制御部7は、停電用電源2から供給される直流電源に基づいて、電源側スナバ回路1のトランジスタをインバータとしてスイッチング制御させることにより、交流電力を出力できる。そして、第2のスイッチ8がONしていることにより、電源側スナバ回路1から出力される交流電力を三相モータ11へ供給することができ、停電発生時にも三相モータ11を駆動することが可能となる。
さらに、このような停電発生時には、上述のようなスイッチングを行って第3のスイッチ9をOFFとすることにより、マトリックスコンバータ10をR、S、T相による供給電源から完全に切り離し、スナバ装置のみで、三相モータ11を駆動することができる。
これにより、マトリックスコンバータ10による動作制御システムと、従来のコンバータ−インバータによる動作制御システムとのすみわけが可能となる。すみわけが可能となることにより、ソフトウェアが構成しやすくなる、あるいは短絡防止時間等をハードウェアで構成できるなどの利点につながる。
実施の形態1によれば、電源側スナバ回路をトランジスタとフリーホイーリングダイオードとを備えた構成とし、スナバ回路用コンデンサの電圧値に応じて、トランジスタのスイッチングを行うことにより、スナバ回路用コンデンサに蓄えられたエネルギーを電源側に回生することができる。
さらに、停電発生の有無によって切り替わるスイッチ群を備えることにより、停電発生時に、スナバ回路用コンデンサ両端にバッテリーを接続し、電源側スナバ回路内のトランジスタブリッジをインバータとして用いることができる。これにより、停電時にも3相モータを動作させることができ、特に、エレベータ駆動装置に本回路を適用した場合には、停電時に乗客がエレベータのかご内に閉じ込められることを防止することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、停電発生時にも三相モータ11を動作させるための回路としてスイッチ群をスナバに組み込んだ場合を説明した。実施の形態2では、停電発生時の3相モータの動作は別の方法で実現することとしてスイッチ群を削除し、スナバ回路により回生動作のみを行わせる場合について説明する。図4は、本発明の実施の形態2におけるマトリックスコンバータのスナバ装置を含む全体構成図である。
実施の形態2における図4の構成は、実施の形態1の構成である図2と比較すると、停電用電源2、および第1のスイッチ3、第2のスイッチ8、第3のスイッチ9からなるスイッチ群を備えておらず、さらに、電源側スナバ回路1の代わりに電源側スナバ回路1aが用いられており、その構成が異なっている。図4において、スナバ装置は、電源側スナバ回路1a、スナバ回路用コンデンサ4、モータ側スナバ回路5、電圧検出部6、切り換え制御部7で構成されることとなる。
図4の構成において、電源側スナバ回路1aのトランジスタは、インバータ動作は行わず、回生動作のみとなる。この場合、電源側スナバ回路1a内のトランジスタは、スナバ回路用コンデンサ4に蓄えられたエネルギー分を回生できればよいため、比較的小さなトランジスタにすることができる。さらに、電源側スナバ回路1aのトランジスタの動作を回生動作のみに限定することにより、停電発生の有無によって切り替わるスイッチ群および停電用電源2を不要にできる。
実施の形態2によれば、電源側スナバ回路のトランジスタを回生動作のみに限定して、停電発生の有無によって切り替わるスイッチ群および停電用電源を不要とすることにより、電源側スナバ回路および装置全体の構成を低価格化、省スペース化することが可能になる。
本発明の実施の形態1におけるマトリックスコンバータのスナバ装置を含む全体構成図である。 本発明の実施の形態1におけるマトリックスコンバータの構成図である。 本発明の実施の形態1におけるスイッチ群の切り換え動作を示したフローチャートである。 本発明の実施の形態2におけるマトリックスコンバータのスナバ装置を含む全体構成図である。
符号の説明
1、1a 電源側スナバ回路、2 停電用電源、3 第1のスイッチ、4 スナバ回路用コンデンサ、5 モータ側スナバ回路、6 電圧検出部、7 切り換え制御部、8 第2のスイッチ、9 第3のスイッチ、10 マトリックスコンバータ、11 三相モータ。

Claims (1)

  1. 入力された交流電圧を任意の交流電圧に変換して交流電動機に出力するマトリックスコンバータの入力側に接続され、ダイオードブリッジ回路と、前記ダイオードブリッジ回路のそれぞれのダイオードと逆並列に接続されたトランジスタとで構成された電源側スナバ回路と、
    前記マトリックスコンバータの出力側に接続され、ダイオードブリッジ回路で構成されたモータ側スナバ回路と、
    前記電源側スナバ回路と前記モータ側スナバ回路との間に設けられ、前記マトリックスコンバータが発生する余剰エネルギーを前記電源側スナバ回路または前記モータ側スナバ回路を介して蓄積するスナバ回路用コンデンサと
    前記スナバ回路用コンデンサの電圧を検出する電圧検出部と、
    前記電圧検出部で検出された電圧値が所定値以下の場合には、前記電源側スナバ回路の前記トランジスタをOFFに切り換えることにより前記ブリッジ回路をダイオードブリッジ回路によるスナバ回路として動作させ、前記電圧検出部で検出された電圧値が所定値を超える場合には、前記電源側スナバ回路の前記トランジスタをONに切り換えることにより前記ブリッジ回路を前記スナバ回路用コンデンサに蓄えられたエネルギーを電源に回生する回生回路として動作させる切り換え制御部と、
    停電発生時に前記電源側スナバ回路に直流電源を供給する停電用電源と、
    前記停電用電源と直列に接続され、閉路することで前記電源側スナバ回路に前記直流電源を供給する第1のスイッチと、
    閉路することで前記電源側スナバ回路の出力を前記マトリックスコンバータの出力に代わって交流電動機に供給する第2のスイッチと、
    開路することで前記マトリックスコンバータに入力される交流電源を切り離す第3のスイッチと
    を備え、
    前記切り換え制御部は、前記マトリックスコンバータに入力される交流電源が停電したことを検知した場合には、前記第3のスイッチを開路させることにより前記マトリックスコンバータに入力される交流電源を切り離し、さらに、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを閉路させるとともに、前記電源側スナバ回路内の前記トランジスタをスイッチング制御することにより、前記停電用電源から供給される直流電源に基づいて前記交流電動機に交流電力を供給することで、停電時にも前記交流電動機を動作可能とする
    ことを特徴とするエレベータ駆動装置。
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