JP2004216829A - 成形機及びその保護方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な回路構成の追加で電源遮断発生時に、電圧の出力保持時間を延ばすことができる射出成形機を提供する。
【解決手段】複数のモータを備え、これらのモータはそれぞれ成形動作を制御する成形機制御装置20によりドライバ15〜18を介して制御される成形機において、複数のドライバに制御用直流電圧を供給するコンバータ回路11及び成形機制御装置に制御用直流電圧を供給するコンバータ回路21にそれぞれ、エネルギー保持回路を設けた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータによる駆動軸を複数備えた成形機及びその保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータによる駆動軸を複数備えた成形機には、例えば電動式射出成形機がある。電動式射出成形機には射出装置、計量装置、型締装置、エジェクタ装置等の駆動軸がある。これらの駆動軸には、それぞれサーボモータによる射出モータ、計量モータ、型締モータ、エジェクタモータが備えられている。そして、これらのサーボモータは、サーボドライバを通して電力供給を受ける。
【0003】
図4は、電動式射出成形機における上記各サーボモータへの制御系及び電力供給系を示す図である。図4において、制御用電源装置としての汎用DC電源装置31により商用電源の交流電圧を制御用の直流電圧に変換して成形機制御装置32に与える。成形機制御装置32は、射出成形機本体に設置された各種センサからの検出情報や成形動作に必要な成形条件等の各種情報を受け取り、これらの情報のうちあらかじめ定められた情報については記憶装置33に保存する。成形機制御装置32はまた、成形制御動作に際し、射出モータ用のサーボドライバ35、計量モータ用のサーボドライバ36、型締モータ用のサーボドライバ37、エジェクタモータ用のサーボドライバ38にそれぞれ制御用のドライブ信号を出力する。図示していないが、サーボドライバ相互間でも情報がやり取りされる。サーボドライバ35〜38は、それぞれ制御用のドライブ信号で制御されるインバータを含み、商用電源から電力供給を受ける他、汎用DC電源装置31から動作用の直流電圧を受けるが、この直流電圧ラインは図示を省略している。
【0004】
サーボドライバ用の商用電源は、通常、三相交流であるが、汎用DC電源装置31には単相交流が使用される。
【0005】
ところで、上記のような汎用DC電源装置31を使用した電動式射出成形機では、瞬時停電あるいは停電、電源電圧低下、操作ミスによる電源電圧遮断などの電源遮断発生時に、射出成形機本体を安全に停止できるだけの電圧保持時間を確保できない。
【0006】
このため、駆動軸により駆動される機構部品にエネルギーが蓄積されている状態で上記のような原因で電源遮断が発生した場合、蓄積されたエネルギーが停電によって開放されて機構部品が不用意に動作するなどの問題が発生する。例えば、型締装置について言えば、型締力発生中に電源遮断が発生した場合、型締力を開放できる距離だけ金型を型開方向に動作させてから停止させないと、可動プラテンが型開方向にフリーランする結果、金型を破損することがある。
【0007】
また、記憶装置33に情報を保存している動作の途中で電源遮断が発生した場合、記憶装置33におけるファイルシステムが破壊されて、以後射出成形機を正常に立ち上げることができなくなるという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために、本出願人により電源電圧保持装置を備えた射出成形機が提案されている。この電源電圧保持装置は、運動エネルギー保持用モータにより実現される。つまり、通常状態においては、運動エネルギー保持用モータを回転させて運動エネルギーを保持させ、電源遮断発生時には運動エネルギー保持用モータに保持された運動エネルギーから回生した電気エネルギーを所定時間だけ供給するようにしている(例えば、特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−118967号公報(第1頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案では運動エネルギー保持用モータとそれに組み合わされるインバータとが必要である。また、運動エネルギー保持用モータは常時運転されるので、その消費電力による運転コストが高い。
【0011】
そこで、本発明の課題は、簡単な回路構成の追加で電源遮断発生時に、電圧の出力保持時間を延ばすことができる成形機及びその保護方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、駆動軸として複数のモータを備え、これらのモータはそれぞれ成形動作を制御する制御装置によりドライバを介して制御される成形機において、前記複数のドライバに制御用直流電圧を供給する第1の回路及び前記制御装置に制御用直流電圧を供給する第2の回路にそれぞれ、電気的エネルギー蓄積手段により構成されるエネルギー保持回路を設けたことを特徴とする成形機が提供される。
【0013】
本成形機においては、前記第1、第2の回路はそれぞれ、商用電源から前記制御用直流電圧、前記駆動用電圧を生成するものであって前記モータとして射出モータを備え、前記商用電源の遮断を検出するための停電検出回路を更に備えることにより、前記制御装置は前記停電検出回路で電源遮断が検出されると、前記射出モータ用のドライバに対して樹脂圧を抜いてから停止させるようなドライブ信号を出力する。
【0014】
本成形機においてはまた、前記第1、第2の回路はそれぞれ、商用電源から前記制御用直流電圧、前記駆動用電圧を生成するものであって前記モータとして型締モータを備え、前記商用電源の遮断を検出するための停電検出回路を更に備えることにより、前記制御装置は前記停電検出回路で電源遮断が検出されると、前記型締モータにより型締力発生中である場合に、該型締モータ用のドライバに対して型締力を開放できる距離だけ型開方向に動作させてから停止させるようなドライブ信号を出力する。
【0015】
本成形機においては更に、前記第1、第2の回路はそれぞれ、商用電源から前記制御用直流電圧、前記駆動用電圧を生成するものであって前記モータとして計量モータ及びエジェクタモータを備え、前記商用電源の遮断を検出するための停電検出回路を更に備えることにより、前記制御装置は前記停電検出回路で電源遮断が検出されると、前記計量モータ用のドライバ及び前記エジェクタモータ用のドライバに対して即時停止させるようなドライブ信号を出力する。
【0016】
本発明によればまた、駆動軸として複数のモータを備え、これらのモータはそれぞれ成形動作を制御する制御装置によりドライバを介して制御される成形機において、電源遮断を検出するための停電検出回路を設けると共に、前記制御装置、前記ドライバに制御用電圧を供給する回路に、それぞれ抵抗器とコンデンサにより構成されるエネルギー保持回路を設けることにより電源遮断発生時に、前記エネルギー保持回路による保持エネルギーを利用できるようにし、前記制御装置は、電源遮断発生時、前記複数のモータのうちの所定のモータに対応する前記ドライバに対し、あらかじめ定められた動作を実行させるためのドライブ信号を出力することを特徴とする成形機の保護方法が提供される。
【0017】
本保護方法においては、前記モータとして射出モータ及び型締モータを備え、前記制御装置は、電源遮断発生時、前記射出モータ用のドライバに対しては樹脂圧を抜いてから停止させるようなドライブ信号を出力する一方、前記型締モータにより型締力発生中である場合には、該型締モータ用のドライバに対して型締力を開放できる距離だけ型開方向に動作させてから停止させるようなドライブ信号を出力する。
【0018】
【作用】
電源投入時点から突入電流防止抵抗器を介してコンデンサに蓄積される電荷は、コンバータ回路の入力電源が遮断されても一定時間保持される。この一定時間はコンデンサの容量で規定される。つまり、機構部品のエネルギーを開放してから停止させ、かつ射出成形機の状態を不揮発性記憶装置に完全に保存するのに必要なエネルギーがコンデンサに蓄積される。これにより、電源遮断発生時には、コンバータ回路に蓄積されたエネルギーにより各駆動軸を稼動して機構部品を安全に停止させる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図3を参照して、本発明を射出成形機に適用した場合の好ましい実施の形態について説明する。図1において、本形態でも、駆動用モータとして射出モータ、計量モータ、型締モータ、エジェクタモータを備えた射出成形機に適用する場合について説明する。これらのモータは、それぞれサーボドライバ15〜18で制御される。これらのサーボドライバ15〜18への制御用直流電圧は、駆動用モータの電源をオンの状態にすると、コンバータ回路11(第1の回路)により商用電源から生成される。コンバータ回路11は、整流回路11−1、エネルギー蓄積用のコンデンサ11−2、及び抵抗器11−3を含む。ここで、抵抗器11−3は、駆動用モータの電源をオンにした際に、コンデンサ11−2に流れる大きな電流を制限するため配置されている。
【0020】
また、コンバータ回路21(第2の回路)及び電源回路22により、制御装置の電源がオンの状態にされると、商用電源から成形機制御装置20用の制御用直流電圧が生成される。電源回路22は、コンバータ21で生成された直流電圧を成形機制御装置20の制御用直流電圧まで降圧するための回路である。これは、サーボドライバ用の制御用直流電圧と成形機制御装置20用の制御用直流電圧は値が異なるからである。コンバータ回路21もまた、整流回路21−1及びエネルギー蓄積用のコンデンサ21−2の他、突入電流防止装置21−3を含む。ここで、突入電流防止装置21−3は、抵抗器11−3と同様に、制御装置の電源をオンにした際に、コンデンサ21−2に流れる大きな電流を制限するため配置されている。
【0021】
成形機制御装置20は、射出成形機本体に設置された各種センサからの検出情報や成形動作に必要な成形条件等の各種情報を受け取り、これらの情報のうちあらかじめ定められた情報については記憶装置23に保存する。成形機制御装置20はまた、成形制御動作に際し、射出モータ用のサーボドライバ15、計量モータ用のサーボドライバ16、型締モータ用のサーボドライバ17、エジェタモータ用のサーボドライバ18にそれぞれ制御用のドライブ信号を出力する。図示していないが、サーボドライバ相互間でも情報がやり取りされる。サーボドライバ15〜18は、それぞれ制御用のドライブ信号で制御されるインバータを含み、後述する商用電源から電力供給を受ける。
【0022】
本形態では更に、コンバータ回路21の入力側に停電検出回路25が設けられる。停電検出回路25は、瞬時停電あるいは停電、電源電圧低下、操作ミスによる電源電圧遮断などの電源遮断を検出する回路であり、この検出信号は成形機制御装置20に入力される。成形機制御装置20は、この停電検出信号を受けると、後述するように、特定のサーボドライバに対してドライブ信号を出力し対応するモータに対してあらかじめ定められた動作を行わせるための停電処理動作を実行する。
【0023】
図2は、商用電源、ここでは三相交流からモータ駆動用の電圧を生成するための回路を示す。ここでも、モータ駆動用の電圧はコンバータ回路10で生成される。そして、コンバータ回路10も、整流回路10−1、エネルギー蓄積用のコンデンサ10−2、突入電流防止用の抵抗器10−3を含む。なお、図2では、型締モータ、エジェクタモータ、及びそれらのサーボドライバは図示を省略している。
【0024】
上記のように、本形態においては、制御用直流電圧を得るためのコンバータ回路11、21及びモータ駆動用電圧を得るためのコンバータ回路10に、エネルギー蓄積用のコンデンサ11−2、21−2、10−2を備えることにより、電源遮断が発生しても一定時間だけ制御用直流電圧及びモータ駆動用電圧を供給することができる。
【0025】
図3は、電源遮断発生時の電圧の推移を示し、実線はエネルギー蓄積用のコンデンサを持たない場合、破線は電解コンデンサによるエネルギー蓄積用のコンデンサを備えている場合について示す。
【0026】
成形機制御装置20は、電源遮断発生時、つまり停電検出回路25から検出信号を受けた時にはこの一定時間を利用して、射出モータ用のサーボドライバ15に対しては樹脂圧を抜いてから射出モータを停止させるようなドライブ信号を出力する。一方、型締モータ用のサーボドライバ17に対しては型締力発生中の場合のみ、型締力を開放できる距離だけ型開方向に型締モータを動作させてから停止させるようなドライブ信号を出力する。計量モータ及びエジェクタモータ用のサーボドライバ16、18に対しては即時停止のドライブ信号を出力する。勿論、成形機制御装置20において記憶装置23に情報の書き込み中であったとしても成形機制御装置20に対する制御用直流電圧が一定時間保持されるのでデータ消失というような問題が生じることがなく、以後の立ち上げ動作に支障を来すことは無い。
【0027】
以上のような停電処理動作に必要な上記の一定時間は、1秒以下で十分である。
【0028】
以上、本発明を射出成形機に適用した場合について説明したが、本発明は射出成形機に限らず複数の駆動用モータを備えた他の成形機にも適用可能である。また、図2では1つのコンバータ回路10を介して複数のモータに駆動用電圧を供給するようにしているが、エネルギー蓄積用のコンデンサ10−2及び突入電流防止用の抵抗器10−3は、サーボドライバ毎に設けられても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、コンデンサという安価かつ簡単な回路の追加で電圧保持時間を延長することができ、成形機制御装置に停電検出回路による停電検出時に停電処理動作を行う機能を付加することで瞬時停電、停電、電源電圧低下、誤操作による電源遮断というような電源遮断発生時にも成形機の動作を安全かつ正常に終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を射出成形機に適用した場合の実施の形態を示し、複数の駆動用モータの制御系に対する制御用直流電圧の供給系を説明するための図である。
【図2】本発明を射出成形機に適用した場合の実施の形態を示し、複数の駆動用モータに対する駆動用電圧の供給系を説明するための図である。
【図3】電源遮断発生時の電圧の推移を、本発明を適用した場合と従来の場合について示した図である。
【図4】従来の射出成形機における複数の駆動用モータの制御系に対する制御用直流電圧の供給系及び駆動用電圧の供給系を説明するための図である。
【符号の説明】
10、11、21 コンバータ回路
10−1、11−1、21−1 整流回路
10−2、11−2、21−2 エネルギー蓄積用のコンデンサ
10−3、11−3 突入電流防止用の抵抗器
15〜18 サーボドライバ

Claims (6)

  1. 駆動軸として複数のモータを備え、これらのモータはそれぞれ成形動作を制御する制御装置によりドライバを介して制御される成形機において、
    複数の前記ドライバに制御用直流電圧を供給する第1の回路及び前記制御装置に制御用直流電圧を供給する第2の回路にそれぞれ、電気的エネルギー蓄積手段により構成されるエネルギー保持回路を設けたことを特徴とする成形機。
  2. 請求項1に記載の成形機において、前記第1、第2の回路はそれぞれ、商用電源から前記制御用直流電圧、前記駆動用電圧を生成するものであって前記モータとして射出モータを備え、前記商用電源の遮断を検出するための停電検出回路を更に備え、前記制御装置は前記停電検出回路で電源遮断が検出されると、前記射出モータ用のドライバに対して樹脂圧を抜いてから停止させるようなドライブ信号を出力することを特徴とする成形機。
  3. 請求項1に記載の成形機において、前記第1、第2の回路はそれぞれ、商用電源から前記制御用直流電圧、前記駆動用電圧を生成するものであって前記モータとして型締モータを備え、前記商用電源の遮断を検出するための停電検出回路を更に備え、前記制御装置は前記停電検出回路で電源遮断が検出されると、前記型締モータにより型締力発生中である場合に、該型締モータ用のドライバに対して型締力を開放できる距離だけ型開方向に動作させてから停止させるようなドライブ信号を出力することを特徴とする成形機。
  4. 請求項1に記載の成形機において、前記第1、第2の回路はそれぞれ、商用電源から前記制御用直流電圧、前記駆動用電圧を生成するものであって前記モータとして計量モータ及びエジェクタモータを備え、前記商用電源の遮断を検出するための停電検出回路を更に備え、前記制御装置は前記停電検出回路で電源遮断が検出されると、前記計量モータ用のドライバ及び前記エジェクタモータ用のドライバに対して即時停止させるようなドライブ信号を出力することを特徴とする成形機。
  5. 駆動軸として複数のモータを備え、これらのモータはそれぞれ成形動作を制御する制御装置によりドライバを介して制御される成形機において、
    電源遮断を検出するための停電検出回路を設けると共に、前記制御装置、前記ドライバに制御用電圧を供給する回路に、それぞれ抵抗器とコンデンサにより構成されるエネルギー保持回路を設けることにより電源遮断発生時に、前記エネルギー保持回路による保持エネルギーを利用できるようにし、
    前記制御装置は、電源遮断発生時、前記複数のモータのうちの所定のモータに対応する前記ドライバに対し、あらかじめ定められた動作を実行させるためのドライブ信号を出力することを特徴とする成形機の保護方法。
  6. 請求項5に記載の保護方法において、前記モータとして射出モータ及び型締モータを備え、前記制御装置は、電源遮断発生時、前記射出モータ用のドライバに対しては樹脂圧を抜いてから停止させるようなドライブ信号を出力する一方、前記型締モータにより型締力発生中である場合には、該型締モータ用のドライバに対して型締力を開放できる距離だけ型開方向に動作させてから停止させるようなドライブ信号を出力することを特徴とする成形機の保護方法。
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