JP4610698B2 - Aft回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、テレビジョン受像機において用いられるAFT(Automatic Frequency Tuning:自動周波数同調)回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、テレビビジョン信号は、テレビジョン受像機を構成するチューナにおいて所望のチャネルに選局された後、あらかじめ規定された映像中間周波数(たとえば日本では58.75Hz)を搬送波とするように、局部発振回路の発振周波数に基づいて映像中間周波信号に変換される。そこで、テレビジョン受像機は、この局部発振回路にて得られる発振周波数が真に映像中間周波数となるように、チューナから出力された映像中間周波信号の周波数と映像中間周波数とのずれ量をAFT回路にて検出し、検出した結果をチューナの局部発振回路へとフィードバックすることで、チューナから出力される映像中間信号の周波数が映像中間周波数となるように帰還制御している。
【0003】
以下に、従来のAFT回路の構成および動作について説明する。図7は、従来のAFT回路の概略構成を示すブロック図である。図7において、AFT回路は、電圧によって発振周波数を制御することのできる電圧制御発振回路1と、テレビジョン受像機のチューナ(図示せず)から出力された映像中間周波信号(以下、VIF信号と称す。)と電圧制御発振回路1の出力信号とを位相検波する位相検波回路2と、位相検波回路2の出力信号を積分するための低域フィルタ3と、位相検波回路2の出力信号の位相をシフトさせるための移相回路4と、VIF信号と移相回路4の出力とを位相検波する位相検波回路5と、位相検波回路5によって検波された映像信号の不要成分を除去するための低域フィルタ6と、を備えて構成される。
【0004】
さらに、このAFT回路は、基準電圧回路21と、基準電圧回路21において生成される基準電圧と低域フィルタ3の出力信号との電圧差を比較する電圧比較回路22と、電圧比較回路22の出力信号を積分するための低域フィルタ23と、を備えている。ここで、電圧制御発振回路1の発振周波数をfVCO、あらかじめ規定された映像中間周波数をfIFとする。
【0005】
また、図7に示すAFT回路では、電圧制御発振回路1、位相検波回路2および低域フィルタ3によってAPC(自動位相制御)ループを構成しており、電圧制御発振回路1の出力信号は、VIF信号に対して位相同期するように帰還がかかっている。一方、移相回路4、位相検波回路5および低域フィルタ6によって、同期検波回路が構成されており、この同期検波回路により、電圧制御発振回路1の出力信号とVIF信号とが検波され、映像信号の取り出しが可能となっている。
【0006】
上述したように、電圧制御発振回路1の発振周波数fVCOは、VIF信号に位相同期して、VIF信号周波数=fVCOとなるように帰還がかかっているため、低域フィルタ3から出力される誤差電圧Verrもこれに追従して変化する。ここで、基準電圧回路21の電圧Vrefを、発振周波数fVCOがちょうど映像中間周波数fIFとなるときの誤差電圧Verrと等しくなるように設定することで、fVCO=fIFのときに電圧比較回路22の出力信号は0となり、fVCOがfIFからずれていくにしたがい電圧比較回路22の出力電圧は大きくなる。
【0007】
VIF信号の周波数=fVCOであるから、電圧比較回路22の出力は、VIF信号の周波数=fIFのときを中心として、VIF信号周波数とfIFとのずれ量に応じて変化することになる。そして、この出力信号の不要成分を低域フィルタ23によって除去した結果を、チューナの局部発振器により出力される発振周波数をフィードバック制御するための自動周波数同調制御電圧(AFT出力)としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のAFT回路では、上述したように、誤差電圧Verrと基準電圧Vrefとを比較してAFT出力としているため、誤差電圧Verrは、位相検波回路2でのオフセットや電圧制御発振回路1の温度特性などAPCループ内にある回路のバラツキに大きく影響され、これらのバラツキ要因に対してAFT出力が変動してしまうという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、オフセットや温度特性などのバラツキ要因に依存しないAFT回路を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるAFT回路にあっては、第1の制御電圧に応じた発振周波数の第1の出力信号を出力する第1の電圧制御発振回路と、チューナから出力された映像中間信号と前記第1の出力信号との位相検波をおこなう第1の位相検波回路と、を具備し、前記第1の位相検波回路の位相検波結果に基づいて得られる信号を前記第1の制御電圧として前記第1の電圧制御発振回路に入力する自動位相制御ループ回路と、第2の制御電圧に応じた発振周波数の第2の出力信号を出力する第2の電圧制御発振回路と、所定の基準信号と前記第2の出力信号との位相検波をおこなう第2の位相検波回路と、を具備し、前記第2の位相検波回路の位相検波結果に基づいて得られる信号を前記第2の制御電圧として前記第2の電圧制御発振回路に入力する位相同期ループ回路と、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の乗算結果に基づいて得られる信号と前記基準信号との位相差を検出する位相差検出回路と、前記位相差検出回路の位相検出結果に基づいて得られる信号のエッジを検出するエッジ検出回路と、前記エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて、前記映像中間信号の周波数が所定の映像中間周波数となるように前記チューナをフィードバック制御するための自動周波数同調(AFT)制御電圧を生成するAFT制御電圧生成回路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、従来の自動位相制御ループ回路により生成された第1の出力信号と、所定の基準信号に基づいて構成される位相同期ループ回路により生成された第2の出力信号と、を乗算し、位相差検出回路とエッジ検出回路が、その乗算結果を入力して、映像中間周波数と上記第1の出力信号との周波数差に相当するパルス密度の信号等のエッジ検出結果を出力し、この出力結果に基づいてAFT出力を得るように構成しているので、結果的に、上記した所定の基準信号のみに依存したAFT出力を得ることができる。
【0012】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記位相同期ループ回路が、前記第2の出力信号の周波数を、前記映像中間周波数と前記基準信号の周波数との和に設定するための分周回路を具備することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、前記位相同期ループ回路において、分周回路が設けられているので、この分周回路の分周比の設定に応じて、上記した位相同期ループ回路において出力される第2の出力信号として、上記所定の映像中間周波数と上記基準信号の周波数との和となるような信号を得ることができる。
【0014】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記位相同期ループ回路が、前記第2の出力信号の周波数を、前記映像中間周波数と前記基準信号の周波数との差に設定するための分周回路を具備することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記位相同期ループ回路において、分周回路が設けられているので、この分周回路の分周比の設定に応じて、上記した位相同期ループ回路において出力される第2の出力信号として、上記所定の映像中間周波数と上記基準信号の周波数との差となるような信号を得ることができる。
【0016】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記基準信号が、映像色信号の副搬送波周波数に基づいて生成されることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、上記基準信号として、テレビジョン受像機において通常生成されている副搬送波周波数を流用するので、基準信号を生成するための特別な回路を必要としない。
【0018】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、制御電圧に応じた発振周波数の出力信号を出力する電圧制御発振回路と、チューナから出力された映像中間信号と前記出力信号との位相検波をおこなう位相検波回路と、を具備し、前記位相検波回路の位相検波結果に基づいて得られる信号を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する自動位相制御ループ回路と、前記出力信号と、前記映像中間周波数の信号に基づいて生成される基準信号と、を乗算する乗算回路と、前記乗算回路の乗算結果に基づいて得られる信号と前記基準信号との位相差を検出する位相差検出回路と、前記位相差検出回路の位相検出結果に基づいて得られる信号のエッジを検出するエッジ検出回路と、前記エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて、前記映像中間信号の周波数が所定の映像中間周波数となるように前記チューナをフィードバック制御するための自動周波数同調(AFT)制御電圧を生成するAFT制御電圧生成回路と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、従来の自動位相制御ループ回路により生成された第1の出力信号と、映像中間周波数の信号に基づいて生成される基準信号と、を乗算し、位相差検出回路とエッジ検出回路が、その乗算結果を入力して、映像中間周波数と上記第1の出力信号との周波数差に相当するパルス密度の信号等のエッジ検出結果を出力し、この出力結果に基づいてAFT出力を得るように構成しているので、結果的に、上記した所定の基準信号のみに依存したAFT出力を得ることができるとともに、第1の出力信号との乗算をおこなうための安定した信号を生成するための位相同期ループ回路等を排除することができる。
【0020】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記基準信号か、前記映像中間周波数の1/2の周波数の信号であることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、上記基準信号の周波数として、映像中間周波数の1/2を選択することができる。
【0022】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記エッジ検出回路が、前記基準信号をトリガークロックとしてエッジ検出することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、エッジ検出回路が、上記基準信号をトリガークロックとしているので、エッジ検出をおこなう際にもその安定性を基準信号に依存させることができる。
【0024】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記AFT制御電圧生成回路が、結果的に前記映像中間信号の周波数と前記映像中間周波数とのずれに対して直線的に変化するAFT制御電圧を生成することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、AFT制御電圧生成回路において生成されるAFT制御電圧が、結果的に映像中間信号の周波数と映像中間周波数とのずれに対して直線的に変化するので、アナログ方式のAFT回路と同様に、映像中間信号の周波数と映像中間周波数との周波数差に応じて直線的に変化するAFT出力を得ることができる。
【0026】
つぎの発明にかかるAFT回路にあっては、上記発明において、前記AFT制御電圧生成回路が、前記エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて得られる信号を積分することにより前記AFT制御電圧を生成することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、AFT制御電圧生成回路が、エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて得られる信号を積分することで、上記AFT制御電圧を生成するので、AFT制御電圧生成回路を、低域フィルタやチャージポンプ回路により構成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明にかかるAFT回路の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0029】
実施の形態1.
まず、実施の形態1にかかるAFT回路について説明する。図1は、実施の形態1にかかるAFT回路の概略構成を示すブロック図である。なお、図1において、図7と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図1に示すAFT回路は、図7に示した基準電圧回路21、電圧比較回路22および低域フィルタ23からなる構成を排除し、電圧によって発振周波数を制御することのできる第2の電圧制御発振回路7と、第1の電圧制御発振回路1の出力信号をn分周する第1の分周回路8と、基準信号frefをm分周する第2の分周回路9と、第1の分周回路8の出力信号と第2の分周回路9の出力信号との位相検波をおこなう位相検波回路10と、位相検波回路10の出力信号を積分するための低域フィルタ11と、を備えている。
【0031】
また、図1に示すAFT回路は、第1の電圧制御発振回路1の出力信号と第2の電圧制御発振回路7の出力信号とを乗算する乗算回路12と、乗算回路12の出力信号の高域成分を除去するための低域フィルタ13と、低域フィルタ13により得られた信号と基準信号frefとの位相差を検出する位相差検出回路14と、基準信号frefをトリガークロックとして位相差検出回路14から出力される信号のエッジ部分を検出するための第1のエッジ検出回路15aおよび第2のエッジ検出回路15bと、第1のエッジ検出回路15aおよび第2のエッジ検出回路15bから出力されるパルスにによって駆動されるチャージポンプ回路16と、チャージポンプ回路16の出力信号を積分するための低域フィルタ17と、を備えて構成される。
【0032】
特に、図1に示すように、第2の電圧制御発振回路7の出力信号は、第1の分周回路8に入力されてn分周された後、位相検波回路10に位相検波の対象の一方として入力され、その位相検波回路10の位相検波結果は、低域フィルタ11を経由して第2の電圧制御発振回路7の制御電圧として入力される。すなわち、これら第2の電圧制御発振回路7、第1の分周回路8、位相検波回路10および低域フィルタ11によって、位相同期ループ(PLL)が構成されている。また、位相検波回路10に位相検波の対象の他方として入力される信号は、基準信号frefが第2の分周回路9を介してm分周された信号である。
【0033】
つぎに、このAFT回路の動作について説明する。なお、図1において、映像中間周波信号の検波動作に関しては、従来と同様であるので、ここでは自動周波数同調(AFT)動作についてのみ説明する。
【0034】
まず、第2の電圧制御発振回路7の出力信号が、周波数fIF+frefで発振されるように、第1の分周回路8および第2の分周回路9の分周比を、n/m=fIF/fref+1となるように設定する。
【0035】
そして、乗算回路12において、第1の電圧制御発振回路1の出力信号fVCOに、上記PLLで生成された第2の電圧制御発振回路7の出力信号fIF+frefが乗算され、(fIF+fVCO)+frefと(fIF−fVCO)+frefの周波数成分の信号が出力される。これら周波数成分の信号は、低域フィルタ13に通されることにより、高域成分(fIF+fVCO)+frefが除去され、最終的に周波数(fIF−fVCO)+frefの信号のみとして得られる。
【0036】
つづいて、低域フィルタ13から出力された周波数(fIF−fVCO)+frefの信号は、位相差検出回路14に入力される。図2は、位相差検出回路の一例を示す回路図である。なお、この位相差検出回路は既知の技術であるため、その回路構成および詳細な動作の説明については省略する。図2に示す位相差検出回路は、概略すると、入力1に入力された信号と入力2に入力された信号との位相差を検知して、その位相差に相当する長さのパルス(誤差信号)を生成する回路である。
【0037】
また、この誤差信号の繰返し周期は、入力1に入力された信号と入力2に入力された信号との周波数差に相当する。特に、図2に示す位相差検出回路には、2つの出力1および出力2を備えており、入力1および入力2の相対的な位相関係によって、出力1および出力2のいずれか一方のみから誤差信号が出力される。たとえば、入力1の位相が入力2に対して進んでいる(または周波数が高い)場合は、出力1から誤差信号が出力され、逆に入力1の位相が入力2に対して遅れている(または周波数が低い)場合には、出力2から誤差信号が出力される。
【0038】
位相差検出回路14の出力1から出力された誤差信号は、第1のエッジ検出回路15aに入力され、位相差検出回路14の出力2から出力された誤差信号は、第2のエッジ検出回路15bに入力されて、それぞれ基準信号frefをトリガークロックとしてエッジ検出される。
【0039】
第1のエッジ検出回路15aまたは第2のエッジ検出回路15bから出力されたエッジ検出結果は、チャージポンプ回路16に入力された後、低域フィルタ17に入力されて積分される。この積分結果が、AFT出力となり、チューナの局部発振器により出力される発振周波数をフィードバック制御するための制御電圧となる。
【0040】
図3および図4は、上記した位相差検出回路14の出力信号と、第1のエッジ検出回路15aまたは第2のエッジ検出回路15bの出力信号と、チャージポンプ回路16および低域フィルタ17においてAFT出力として出力される積分出力と、の関係を説明するための説明図である。特に、図3は、fIFとfVCOとの周波数差が大きい場合を示し、図4は、fIFとfVCOとの周波数差が小さい場合を示している。
【0041】
まず、周波数(fIF−fVCO)+frefの信号と基準信号frefとが位相差検出回路14に入力されると、(fIF−fVCO)+frefと基準信号frefとの周波数差、すなわちfIFとfVCOとの周波数差が大きいときには、図3のa)に示すように、誤差信号の繰返し周期が短くなる。逆に、fIFとfVCOとの周波数差が小さいときには、図4のa)に示すように、誤差信号の繰返し周期が長くなる。
【0042】
ここで、図2に示した位相差検出回路14では、上述したように、fIF>fVCOとfIF<fVCOの場合では出力経路が異なり、fIF>fVCOのときには出力1に誤差信号が出力され、fIF<fVCOのときには出力2に誤差信号が出力される。なお、fVCO=fIFのときには出力1、出力2いずれにも誤差信号は出力されない。
【0043】
位相差検出回路14の出力1または出力2から出力された誤差信号は、出力1および出力2にそれぞれに対応して設けられた第1のエッジ検出回路15aおよび第2のエッジ検出回路15bに入力され、fIFとfVCOとの周波数差が大きいときには、図3のb)に示すように、誤差信号のパルス密度が高いパルス信号として出力される。逆にfIFとfVCOとの周波数差が小さいときには、図4のb)に示すように、誤差信号のパルス密度が低いパルス信号として出力される。すなわち、第1のエッジ検出回路15aおよび第2のエッジ検出回路15bでは、fIFとfVCOとの周波数差に応じて異なるパルス密度の信号が出力されることになる。
【0044】
第1のエッジ検出回路15aおよび第2のエッジ検出回路15bから出力されたパルス信号は、チャージポンプ回路16および低域フィルタ17において積分されるが、パルス密度の高いパルス信号に対してはその積分結果となる直流(DC)電圧は高くなり、逆にパルス密度の低いパルス信号に対してはその積分結果となるDC電圧は低くなる。したがって、fIFとfVCOとの周波数差に応じて電圧が変化し、fIFとfVCOとの周波数差が大きいときには、図3のc)に示すように、DC電圧が高くなり、逆にfIFとfVCOとの周波数差が小さいときには、図4のc)に示すように、DC電圧が低くなる。また、fVCO=fIFのときを中心として、fIF>fVCOとfIF<fVCOとでは逆の極性のDC電圧が得られる。なお、このDC電圧がAFT出力となる。
【0045】
以上に説明したとおり、実施の形態1にかかるAFT回路によれば、基準信号frefの周波数および位相を基準としてAFT出力を得ているため、AFT出力の安定性は基準信号frefの安定性のみに依存する。したがって、基準信号に水晶発振回路などの安定した信号源を用いることで、オフセットや温度特性などの影響を受けないAFT回路を実現することができる。
【0046】
また、電圧制御発振回路1の発振周波数をパルスカウントするようなディジタル方式のAFT回路でもバラツキ要因による影響の少ないAFT回路を実現可能であるが、そのAFT出力は離散的な値しか取り得ない。しかしながら、実施の形態1にかかるAFT回路によれば、従来のアナログ方式のAFTと同様に、AFT出力がfIFとfVCOとの周波数差に応じて直線的に変化するという特徴も兼ね備えている。
【0047】
なお、上述した説明では、第2の電圧制御発振回路7の発振周波数をfIF+frefとしたが、第2の電圧制御発振回路7の発振周波数をfIF−frefやfref−fIFと設定しても、同様な効果を享受できることは言うまでもない。
【0048】
実施の形態2.
つぎに、実施の形態2にかかるAFT回路について説明する。実施の形態2にかかるAFT回路は、実施の形態1にかかるAFT回路において説明した基準信号を、テレビジョン受像機において通常用いられている色信号副搬送波周波数(fSC)を流用することを特徴としている。
【0049】
図5は、実施の形態2にかかるAFT回路の概略構成を示すブロック図である。なお、図5において、図1と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。図5においては、電圧によって発振周波数を制御することのできる水晶発振回路18と、映像信号の色信号と水晶発振回路18の出力信号とをバースト信号のタイミングで位相検波する位相検波回路19と、位相検波回路19の出力信号を積分するための低域フィルタ20と、が示されている。
【0050】
テレビジョン受像機は、色信号を復調するために、基準信号として色信号副搬送波周波数(fSC)を用いており、一般的に、図5に示すように、水晶発振回路18、位相検波回路19および低域フィルタ20で構成された、映像信号のバースト信号に位相同期するAPCループ回路を備えている。このようにして得られたfSC信号は、バースト信号に位相同期しているので、非常に安定な信号源として知られている。
【0051】
そこで、実施の形態2にかかるAFT回路では、基準信号としてこの色信号副搬送波周波数fSCを用い、それにともなって第2の電圧制御発振回路7の信号周波数がfIF+fSCとなるように、第1の分周回路8と第2の分周回路9の分周比を、n/m=fIF/fSC+1に設定する。よって、他のAFT回路の動作自体については、基準信号の周波数がfSCとなることと各機能ブロックにおける周波数関係が変わること以外は、実施の形態1にかかるAFT回路と全く同様であり、ここではその説明を省略する。
【0052】
以上に説明したとおり、実施の形態2にかかるAFT回路によれば、実施の形態1において説明した第2の分周回路や位相差検出回路14等に入力される基準信号を、この色信号副搬送波周波数fSC信号とするので、基準信号源を色信号復調回路と共有化し、基準信号のさらなる安定化と回路規模の縮小化を図ることができる。
【0053】
なお、この場合にも、第2の電圧制御発振回路7の発振周波数をfIF−fSCやfSC−fIFと設定した場合についても、同様の効果が享受できることは言うまでもない。
【0054】
実施の形態3.
つぎに、実施の形態3にかかるAFT回路について説明する。実施の形態3にかかるAFT回路は、実施の形態1にかかるAFT回路において説明した基準信号を、映像中間周波数の1/2、すなわちfIF/2の信号とすることを特徴としている。
【0055】
図6は、実施の形態3にかかるAFT回路の概略構成を示すブロック図である。なお、図6において、図1と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。特に、図6に示すAFT回路では、fIF/2の基準信号を、第1の電圧制御発振回路1から出力されたfVCOの信号に乗算させる信号として乗算回路12に直接入力しているので、実施の形態1において説明した第2の電圧制御発振回路7、第1の分周回路8、第2の分周回路9、位相検波回路10および低域フィルタ11によって構成されるPLL回路を削減することができる。
【0056】
よって、他のAFT回路の動作自体については、基準信号の周波数frefがfIF/2となることと低域フィルタ13の出力信号がfVCO−fIF/2となること以外は、実施の形態1にかかるAFT回路と全く同様であり、ここではその説明を省略する。
【0057】
以上に説明したとおり、実施の形態3にかかるAFT回路によれば、基準信号の周波数をfIF/2とすることで、この基準信号を、第1の電圧制御発振回路1の出力信号fVCOに乗算させる信号として乗算回路12に直接に入力することででき、これにより実施の形態1にかかるATF回路において必要であったPLL回路を削除することができるので、回路規模の大幅な縮小化を図ることが可能となる。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、この発明によれば、従来の自動位相制御ループ回路により生成された第1の出力信号と、所定の基準信号に基づいて構成される位相同期ループ回路により生成された第2の出力信号と、を乗算し、位相差検出回路とエッジ検出回路が、その乗算結果を入力して、映像中間周波数と上記第1の出力信号との周波数差に相当するパルス密度の信号等のエッジ検出結果を出力し、この出力結果に基づいてAFT出力を得るように構成しているので、結果的に、上記した所定の基準信号のみに依存したAFT出力を得ることができ、基準信号に水晶発振回路などの安定した信号源を用いることで、オフセットや温度特性などの影響を受けないAFT回路を実現することができるという効果を奏する。
【0059】
つぎの発明によれば、位相同期ループ回路に分周回路が設けられているので、上記した位相同期ループ回路にから出力される第2の出力信号として、上記所定の映像中間周波数と上記基準信号の周波数との和となるような信号を、上記分周回路の分周比の設定に応じて容易に得ることができるという効果を奏する。
【0060】
つぎの発明によれば、位相同期ループ回路に分周回路が設けられているので、上記した位相同期ループ回路にから出力される第2の出力信号として、上記所定の映像中間周波数と上記基準信号の周波数との差となるような信号を、上記分周回路の分周比の設定に応じて容易に得ることができるという効果を奏する。
【0061】
つぎの発明によれば、上記基準信号として、テレビジョン受像機において通常生成されている副搬送波周波数を流用するので、基準信号を生成するための特別な回路を必要とせず、AFT回路の縮小化が図れるとともに、簡単にかつ安価に安定したAFT回路を構成することができるという効果を奏する。
【0062】
つぎの発明によれば、従来の自動位相制御ループ回路により生成された第1の出力信号と、映像中間周波数の信号に基づいて生成される基準信号と、を乗算し、位相差検出回路とエッジ検出回路が、その乗算結果を入力して、映像中間周波数と上記第1の出力信号との周波数差に相当するパルス密度の信号等のエッジ検出結果を出力し、この出力結果に基づいてAFT出力を得るように構成しているので、結果的に、上記した所定の基準信号のみに依存したAFT出力を得ることができるとともに、第1の出力信号との乗算をおこなうための安定した信号を生成するための位相同期ループ回路等を排除することができ、オフセットや温度特性などの影響を受けないAFT回路の実現とAFT回路の縮小化とが可能になるという効果を奏する。
【0063】
つぎの発明によれば、上記基準信号の周波数として、映像中間周波数の1/2を選択することができるので、基準信号として映像中間周波数の信号を導入する場合のAFT回路の設計が容易になるという効果を奏する。
【0064】
つぎの発明によれば、エッジ検出回路が、上記基準信号をトリガークロックとしているので、エッジ検出をおこなう際にもその安定性を基準信号に依存させることができ、オフセットや温度特性などの影響を受けない、より安定したAFT回路を実現することができるという効果を奏する。
【0065】
つぎの発明によれば、AFT制御電圧生成回路において生成されるAFT制御電圧が、結果的に映像中間信号の周波数と映像中間周波数とのずれに対して直線的に変化するので、従来のディジタル方式のAFT回路に対して、アナログ方式のAFT回路と同様に、映像中間信号の周波数と映像中間周波数との周波数差に応じて直線的に変化するAFT出力を得ることができるという効果を奏する。
【0066】
つぎの発明によれば、AFT制御電圧生成回路が、エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて得られる信号を積分することで、上記AFT制御電圧を生成するので、AFT制御電圧生成回路を、低域フィルタやチャージポンプ回路により容易に構成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1にかかるAFT回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1にかかるAFT回路の位相差検出回路の一例を示す回路図である。
【図3】 実施の形態1にかかるAFT回路において、位相検出回路、エッジ検出回路、チャージポンプ回路および低域フィルタの各出力信号の関係を説明するための説明図である。
【図4】 実施の形態1にかかるAFT回路において、位相検出回路、エッジ検出回路、チャージポンプ回路および低域フィルタの各出力信号の関係を説明するための説明図である。
【図5】 実施の形態2にかかるAFT回路の概略構成を示すブロック図である。
【図6】 実施の形態3にかかるAFT回路の概略構成を示すブロック図である。
【図7】 従来のAFT回路の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,7 電圧制御発振回路、2,19 位相検波回路、3,6,11,13,17,20,23 低域フィルタ、4 移相回路、5,10 位相検波回路、8第1の分周回路、9 第2の分周回路、12 乗算回路、14 位相差検出回路、15a、15b エッジ検出回路、16 チャージポンプ回路、18 水晶発振回路、21 基準電圧回路、22 電圧比較回路。
Claims (9)
- 第1の制御電圧に応じた発振周波数の第1の出力信号を出力する第1の電圧制御発振回路と、チューナから出力された映像中間信号と前記第1の出力信号との位相検波をおこなう第1の位相検波回路と、を具備し、前記第1の位相検波回路の位相検波結果に基づいて得られる信号を前記第1の制御電圧として前記第1の電圧制御発振回路に入力する自動位相制御ループ回路と、
第2の制御電圧に応じた発振周波数の第2の出力信号を出力する第2の電圧制御発振回路と、所定の基準信号と前記第2の出力信号との位相検波をおこなう第2の位相検波回路と、を具備し、前記第2の位相検波回路の位相検波結果に基づいて得られる信号を前記第2の制御電圧として前記第2の電圧制御発振回路に入力する位相同期ループ回路と、
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とを乗算する乗算回路と、
前記乗算回路の乗算結果に基づいて得られる信号と前記基準信号との位相差を検出する位相差検出回路と、
前記位相差検出回路の位相検出結果に基づいて得られる信号のエッジを検出するエッジ検出回路と、
前記エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて、前記映像中間信号の周波数が所定の映像中間周波数となるように前記チューナをフィードバック制御するための自動周波数同調(AFT)制御電圧を生成するAFT制御電圧生成回路と、
を備えたことを特徴とするAFT回路。 - 前記位相同期ループ回路は、前記第2の出力信号の周波数を、前記映像中間周波数と前記基準信号の周波数との和に設定するための分周回路を具備することを特徴とする請求項1に記載のAFT回路。
- 前記位相同期ループ回路は、前記第2の出力信号の周波数を、前記映像中間周波数と前記基準信号の周波数との差に設定するための分周回路を具備することを特徴とする請求項1に記載のAFT回路。
- 前記基準信号は、映像色信号の副搬送波周波数に基づいて生成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載のAFT回路。
- 制御電圧に応じた発振周波数の出力信号を出力する電圧制御発振回路と、チューナから出力された映像中間信号と前記出力信号との位相検波をおこなう位相検波回路と、を具備し、前記位相検波回路の位相検波結果に基づいて得られる信号を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する自動位相制御ループ回路と、
前記出力信号と、前記映像中間周波数の信号に基づいて生成される基準信号と、を乗算する乗算回路と、
前記乗算回路の乗算結果に基づいて得られる信号と前記基準信号との位相差を検出する位相差検出回路と、
前記位相差検出回路の位相検出結果に基づいて得られる信号のエッジを検出するエッジ検出回路と、
前記エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて、前記映像中間信号の周波数が所定の映像中間周波数となるように前記チューナをフィードバック制御するための自動周波数同調(AFT)制御電圧を生成するAFT制御電圧生成回路と、
を備えたことを特徴とするAFT回路。 - 前記基準信号は、前記映像中間周波数の1/2の周波数の信号であることを特徴とする請求項5に記載のAFT回路。
- 前記エッジ検出回路は、前記基準信号をトリガークロックとしてエッジ検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のAFT回路。
- 前記AFT制御電圧生成回路は、結果的に前記映像中間信号の周波数と前記映像中間周波数とのずれに対して直線的に変化するAFT制御電圧を生成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のAFT回路。
- 前記AFT制御電圧生成回路は、前記エッジ検出回路のエッジ検出結果に基づいて得られる信号を積分することにより前記AFT制御電圧を生成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のAFT回路。
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