JP4605520B2 - カチオン性表面サイズ剤及び当該サイズ剤を用いた紙 - Google Patents

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Description

本発明はカチオン性表面サイズ剤に関して、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを多めに使用する条件で、優れたサイズ効果を発揮できるものを提供する。
サイジングの方法には、内添サイジングと表面サイジングがある。
このうち、紙の表面に塗工する表面サイズ剤の従来技術としては、下記の特許文献1〜6が挙げられる。
特許文献1には、スチレン類と(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステルを共重合させた後、エピハロヒドリンなどのエポキシ基導入物質を反応させることで、サイズ度を改善し、自己定着性や繊維反応性を具備できるサイズ剤が開示され、その実施例3には、水溶性のイソプロピルアルコール(以下、IPAという)を有機溶剤として使用したサイズ剤を塗工した紙の例が記載されている。
特許文献2には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート8〜20重量%、スチレン45〜80重量%、アクリロニトリル8〜35重量%をモノマー組成として有するポリマー水溶液であって、ジメチルアミノ基の少なくとも10%が四級化され、残部はプロトン化された陽イオン性の表面サイズ剤が開示されている(請求の範囲、第5頁右上欄、第8頁右上欄参照)。重合の際の溶媒としては水−混和性溶剤(アルコール、ケトンなど)、或は水−非混和性有機溶剤(トルエンなど)が用いられるが、前者が好ましく(第3頁右下欄参照)、具体的な重合例ではIPAが使用されている(第5頁左下欄参照)。
特許文献3には、スチレン類95〜80モル%と(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類5〜20モル%との共重合体、又は、スチレン類94〜80モル%と(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類5〜30モル%と共重合性の他の単量体1〜20モル%との共重合体を4級化剤と反応させて得られる生成物を紙の表面に塗布して、各種板紙や紙の紙質を低下させないで、耐久性のある紙の滑り防止効果を発揮させる方法が開示されている。
また、その参考例1〜9には、スチレン類とジアルキルアミノアルキルメタクリレートをトルエン中で重合させ、酢酸と水を加えた後、トルエンを留去して4級化した滑り防止剤の製造例が開示され、このうち、参考例3、5、8では、ジアルキルアミノアルキルメタクリレートは21重量部以上を使用している。
特許文献4には、スチレン類95〜50モル%と、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド5〜50モル%と、或は、さらに共重合性を有する他のビニル系単量体1〜20モル%とからなる反応生成物を4級化剤と反応させることにより、防滑性とサイズ性を兼備し、塗工液のpHが7以上でも効果を発現する紙の表面処理剤が開示されている。
特許文献5には、パルプ繊維、サイズ剤及び炭酸カルシウム系填料を主成分とする電子写真用転写紙において、サイズ剤として、(a)スチレン類、(b)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、その酸付加塩、その4級塩、及び/又は、(c)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、その酸付加塩、その4級塩を構成モノマーとする水溶性又は水分散性共重合体を使用した電子写真用転写紙が開示されている。
また、その参考例1には、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの使用量が23.5重量%であり、水溶性のIPA中で重合して、IPAを留去後、酢酸と水を加えたサイズ剤の製造例が記載されており、参考例2ではさらにエピクロルヒドリンで4級化する例が記載されている。
特許文献6には、カチオン化澱粉と、カチオン性を有する疎水性ポリマーを含有する表面サイズ剤とを併用することにより、優れたサイズ性を有する中性紙が開示され、当該カチオン性ポリマーとしては、スチレン類90〜60モル%、3級アミノ基及び4級アミノ基を有するモノマー10〜30モル%、その他のビニル系モノマー0〜10モル%の共重合体が挙げられる(請求項1参照)。また、その合成例5には、ジメチルアミノエチルメタクリレートの使用量が39重量部であり、有機溶剤にトルエンを使用し、酢酸と水を加えてトルエンを留去した後、エピクロルヒドリンで4級化する表面サイズ剤の製造例が開示されている(段落16参照)。
特開昭48−11407号公報 特開昭56−118994号公報 特開昭57−56598号公報 特開平2−26997号公報 特開平3−167397号公報 特開平11−323774号公報
上記従来技術では、スチレン類とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、さらには、必要に応じてアルキル(メタ)アクリレートを反応させた重合体を4級化して、表面サイズ剤や滑り防止剤に使用しているが、IPA、t−ブタノール(第三ブタノール)などの有機溶剤を用いて重合すると、ゲル状部分が発生して透明な水溶液が得られず、従って、新聞用紙などに塗工しても充分なサイズ効果を発揮できない。
また、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの使用量を増して水溶性を改善しようとすると、溶液が増粘してゲル化してしまい、表面サイズ剤としての使用適性が損なわれてしまう。
以上のように、水溶性を改善する目的でカチオン性モノマーを多めに使用して重合した場合、適性な表面サイズ剤を得ることは容易でないが、本発明は、疎水性モノマーのスチレン類と共に、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを多めの範囲で使用しても、透明な水溶液を円滑に調製して良好なサイズ効果を得ることを技術的課題とする。
本発明者らは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを21重量%以上の多めの条件で有機溶剤中で反応させて、得られる重合体のサイズ性を鋭意研究した結果、上記IPAなどのいわゆる親水性溶剤を使用するのではなく、いわゆる親油性が強い溶剤であるn−ブタノール、イソブタノールなどから選択した所定の低沸点脂肪族系炭化水素類を使用し、且つ、連鎖移動剤の存在下で重合反応させると、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを多めに使用しても、ゲル化することなく透明な水溶液が円滑に得られ、優れたサイズ効果を発揮できることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、スチレン類とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを、或はさらにアルキル(メタ)アクリレートを有機溶剤中で重合させ、酸で中和して水溶化し、溶剤を除去したカチオン性表面サイズ剤において、
上記重合反応でのモノマーの比率がスチレン類40〜79重量%、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート21〜50重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜50重量%であり、
上記重合反応で使用する有機溶剤がn−ブタノール、イソブタノール、メチル−n−プロピルケトン、3−メチル−2−ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトンより選ばれた低沸点脂肪族系炭化水素類であり、且つ、連鎖移動剤の存在下で重合反応を行うことを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
本発明2は、上記本発明1において、連鎖移動剤が、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、クメン、四塩化炭素より選ばれた油溶性連鎖移動剤、或は、メルカプトエタノール、チオグリコール酸及びその塩より選ばれた水溶性連鎖移動剤であることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、重合体を酸で水溶化し、溶剤を除去するとともに、さらに4級化剤によりカチオン処理を施すことを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかのカチオン性表面サイズ剤を塗工した紙である。
後述の試験例に示すように、IPA、t−ブタノールなどのような水への溶解度が10%を越える、いわゆる親水性の有機溶剤で重合したものでは、塗工してもサイズ効果が不充分であったり、ゲル化して表面サイズ剤としての使用適性がないという問題があるうえ、水溶化を促進するためにカチオン性モノマーの使用量を増すと、これらの問題がさらに増幅してしまう。ちなみに、上記親水性の溶剤中で重合すると、ゲル状部分が生じて溶液の透明性が低下するが、これは優先的にスチレン類のホモポリマーが生成することに起因するものと推定される。
これに対して、本発明では、重合に際して水への溶解度(25℃)が10%以下の、いわゆる親油性の有機溶剤であるn−ブタノール、イソブタノールなどから選択した所定の低沸点脂肪族系炭化水素類を使用し、且つ、連鎖移動剤の存在下で重合するため、カチオン性モノマー(つまり、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート)の使用量が21〜50重量%の多めであっても、円滑に透明な水溶液が得られ、優れたサイズ効果を発揮することができる。
特に、冒述の特許文献3又は6には、カチオン性モノマーを多めに使用し、トルエンを有機溶剤として重合する例が開示されているが、後述の試験例(比較例7参照)に示すように、連鎖移動剤を添加しないで重合するとサイズ効果に劣ることから、本発明に示す通り、カチオン性モノマーを多めに使用する場合には、いわゆる親油性の溶剤中で重合するとともに、さらに加えて連鎖移動剤の存在下で重合することが、良好な表面サイズ効果を得るためにはきわめて重要なのである。
また、本発明の表面サイズ剤は、生成した重合体を酸で水溶化した後、4級化処理をし、或は4級化処理をしないで、新聞用紙、インクジェット記録用紙などの各種の紙に表面塗工して使用される。従って、エピクロルヒドリンなどの4級化剤を使用しないか、使用量を低減して本発明の表面サイズ剤を製造する場合、環境保全に資することができる。一方、4級化処理を行うと、中性、アルカリ側を含めた広いpH領域で良好なサイズ効果を発揮できるという利点がある。
本発明は、第一に、疎水性モノマーとしてのスチレン類とカチオン性モノマーとしてのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、或はさらにその他の疎水性モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレートを所定の使用量で、n−ブタノール、イソブタノールなどから選択した所定の有機溶剤中で連鎖移動剤の存在下で重合し、酸で水溶化するとともに、4級化し又は4級化処理をしないカチオン性表面サイズ剤であり、第二に、これらの表面サイズ剤を塗工した各種の紙である。
疎水性モノマーとしての上記スチレン類は、スチレンを初め、α−メチルスチレンなどのビニル基に置換基を有するスチレン誘導体、或は、ビニルトルエン、p−クロルスチレンなどのベンゼン環に置換基を有するスチレン誘導体などである。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは3級アミノ基を有する親水性モノマーであり、その具体例は、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどである。
また、上記アルキル(メタ)アクリレートは第三成分としてのその他の疎水性モノマーであるが、その具体例は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸エチル、アクリル酸プロビル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル類などである。
重合反応に際して上記各種のモノマーは夫々を単用又は併用できる。
モノマーの使用量はスチレン類40〜79重量%、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート21〜50重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜50重量%である。特に好ましい使用量は、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが25〜40重量%であり、スチレン類が60〜75重量%である。
カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの使用量が21重量%より少ないと重合体の水溶性が低減し、表面サイズ剤としての使用適性が損なわれ、50重量%より多いと水溶性が過剰になり充分なサイズ効果が得られない。
疎水性モノマーであるスチレン類の使用量が40重量%より少ないと充分なサイズ効果が得られず、79重量%より多いとパルプ繊維への定着性が不充分となる。
本発明の共重合体は有機溶液中で、連鎖移動剤及び開始剤の存在下で公知の溶液重合、乳化重合、その他の方法で製造される。
上記重合反応で使用する有機溶剤は、25℃での水への溶解度が10%以下である、いわゆる親油性の所定の溶剤であることが必要である。上記溶解度は水100g当たりに溶解する溶剤の重量(g)を%換算したものである。
上記親油性の有機溶剤は、n−ブタノール、イソブタノール、メチル−n−プロピルケトン、3−メチル−2−ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトンなどの低沸点脂肪族系炭化水素類から選択される。
この場合、環境保全や労働衛生の見地から、n−ブタノール、イソブタノール、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトンがより好ましい。
本発明で使用する水への溶解度が10%以下である有機溶剤は、上記親油性の溶剤を単用又は併用するのが基本である。従って、IPA、t−ブタノール、メチルエチルケトン、sec−ブタノール、アセトンなどの水への溶解度(25℃)が10%を越える、いわゆる親水性の溶剤は本発明から排除される。但し、これらの親水性溶剤であっても上記親油性溶剤と混合することにより、その混合溶剤の水への溶解度(25℃)が10%以下である条件を満たせば、本発明の有機溶剤として使用できることは勿論である。即ち、親水性の溶剤の場合には、その単用は排除されるが、親油性溶剤との併用は排除されない。
ちなみに、各種溶剤の水への溶解度(25℃)を示すと、イソブタノールが8.8%、n−ブタノールが7.8%、ジイソプロピルケトン6.5%、メチルイソブチルケトンが2.0%である一方、sec−ブタノールは22.5%、メチルエチルケトンが26.8%、t−ブタノールとIPAは無限大である。
また、水への溶解度が10%以下である有機溶剤の、モノマーに対する使用量は特に制限はされず、比較的少ない使用量でも充分である。
本発明では、連鎖移動剤の存在下で重合反応を行うことが必要である。
本発明2に示すように、連鎖移動剤は油溶性、水溶性の連鎖移動剤を任意に使用できる。即ち、本発明では、油溶性又は水溶性を問わず、連鎖移動剤が存在する条件下で親油性の有機溶剤中で重合することで、カチオン性モノマーの使用量が多めでも、溶液の透明性を確保して、溶液のゲル化を円滑に防止することができる。尚、親油性の有機溶剤中で重合するため、油溶性連鎖移動剤の方が相対的に好ましい。
上記油溶性連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルエステルなどのメルカプタン類の他、クメン、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレンなどが挙げられる。
上記水溶性連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリコール酸及びその塩などが挙げられる。
モノマーに対する連鎖移動剤の使用量は1〜5重量%程度が好ましいが、この範囲に制限されるものではない。
尚、重合で使用する開始剤としては、過硫酸ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
得られた共重合体においては、その共重合体のアミノ基を酸でプロトン化して水溶化した後、溶剤を除去する。酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、或はその他の公知の酸を使用できる。
共重合体を水溶化して溶剤を除去すると、そのまま本発明の表面サイズ剤として使用できるが、本発明3に示すように、溶剤の除去と共に、さらに4級化剤によりカチオン処理を施して表面サイズ剤と成しても良いことはいうまでもない。
上記4級化剤はジメチル硫酸、メチルクロライド、アリルクロライド、ベンジルクロライド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリンなどを単用又は併用できる。
共重合体を水溶化した後、溶剤の除去と4級化を行う工程は、溶剤を除去した後、共重合体を4級化することが一般的であるが、その逆に、4級化した後、溶剤を除去しても差し支えない。
共重合体を4級化すると、前述したように、中性、アルカリ側を含めた広いpH領域で良好なサイズ効果を発揮することができる。
本発明4は、本発明のカチオン性表面サイズ剤を塗工した各種の紙である。
本発明の表面サイズ剤は硫酸アルミニウムを定着剤とする酸性紙、炭酸カルシウムを填料とする中性紙を問わず広く適用できる。
紙の具体例としては、新聞用紙、インクジェット用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙、上質紙、板紙、その他の紙類が挙げられ、特に新聞用紙が好適である。
本発明の表面サイズ剤を塗工する場合、サイズ剤の付着量は0.01〜0.2g/m2程度が適当であり、好ましくは0.02〜0.1g/m2程度であり、片面塗工、両面塗工を問わない。
また、塗工する際には、本発明の表面サイズ剤と共に、酸化デンプン、ポリビニルアルコールなどの接着剤を初め、防滑剤、離型剤、防錆剤、防腐剤、その他の添加剤を併用できることはいうまでもない。
以下、本発明のカチオン性表面サイズ剤の実施例、当該サイズ剤を塗工した新聞用紙のサイズ性評価試験例を順次説明する。また、実施例、試験例中の「部」、「%」は特に指定しない限り重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《表面サイズ剤の実施例》
下記の実施例1〜9はカチオン性モノマーの使用量と親油性の有機溶剤の種類を様々に変化させたものである。実施例4はカチオン性モノマーとしてジエチルアミノエチルメタクリレートを使用した例、その他の実施例はすべてジメチルアミノエチルメタクリレートを使用した例である。実施例5はモノマーの第三成分としてイソブチルメタクリレートを使用した例、その他の実施例はすべてスチレン類とカチオン性モノマーの2成分を使用した例である。実施例9は水溶性の連鎖移動剤を使用した例、他の実施例はすべて油溶性の連鎖移動剤を使用した例である。実施例6は酸を加えて水溶化した共重合体を4級化しない例、他の実施例はすべて4級化した例である。
また、比較例1〜10のうち、比較例1は有機溶剤に親水性のIPAを使用した例、比較例2は同様に親水性のsec−ブタノールを使用した例、比較例4は親水性のメチルエチルケトンを使用した例である。比較例3は親水性のt−ブタノールを使用し、カチオン性モノマーの使用量が21重量%より少ない例、比較例7は前記特許文献3及び6に準拠して、連鎖移動剤を使用しない例である。比較例6はカチオン性モノマーの使用量が21重量%より少なく、連鎖移動剤を使用しない例である。比較例5は有機溶剤に親水性のIPAを使用し、カチオン性モノマーの使用量が50重量%より多く、且つ、連鎖移動剤を使用しない例である。比較例8は上記比較例7と同じく連鎖移動剤を使用せず、カチオン性モノマーの使用量は本発明の範囲内(21〜50重量%)であるが、同比較例7とは異なり、有機溶剤に親水性のIPAを使用した例である。比較例9〜10は本発明と同じく親油性の有機溶剤と連鎖移動剤を使用したものであるが、比較例9はカチオン性モノマーの使用量が21重量%より少ない例、比較例10はカチオン性モノマーが50重量%より多い例である。
尚、図2は実施例1〜9並びに比較例1〜10のモノマーの使用量、有機溶剤や連鎖移動剤の種類と使用量などの処方をまとめたものである。
(1)実施例1
スチレン75部、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてn−ブタノール70部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱して、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸9.5部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してn−ブタノールを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン11.9部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
(2)実施例2
上記実施例1を基本として、n−ブタノールをイソブタノールに変え、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタンをn−ドデシルメルカプタン3部に変え、エピクロルヒドリンをジメチル硫酸16部に変え、それ以外は実施例1と同様に処理して、表面サイズ剤を得た。
(3)実施例3
スチレン70部、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてジイソプロピルケトン70部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてAIBN2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸11.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してジイソプロピルケトンを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン10.7部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
(4)実施例4
スチレン75部、ジエチルアミノエチルメタクリレート25部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトン70部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてAIBN2部を加え、100で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸8.1部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン10部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
(5)実施例5
スチレン45部、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部、イソブチルメタクリレート15部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてn−ブタノール70部を4つ口フラスコに入れ、110℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、110℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸15.2部を加えて冷却して水溶化した後、加熱蒸留してn−ブタノールを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン16.6部を加えて4時間反応し、冷却して固形分20%に調整し、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
(6)実施例6
上記実施例1を基本として、エピクロルヒドリンを用いない以外は実施例1と同様に処理して、表面サイズ剤を得た。
(7)実施例7
スチレン78部、ジメチルアミノエチルメタクリレート22部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてn−ブタノール50部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱して、開始剤としてt―ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、100℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸8.4部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してn―ブタノールを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン9.1部を加えて4時間反応し、冷却して固形分20%に調整し、淡黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
(8)実施例8
スチレン52部、ジメチルアミノエチルメタクリレート48部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトン40部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt―ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、100℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸16.5部を加え、水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン19.9部を加え4時間反応し、冷却して固形分20%に調整し、黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
(9)実施例9
上記実施例4を基本として、油溶性連鎖移動剤であるt―ドデシルメルカプタンを水溶性連鎖移動剤であるメルカプトエタノールに変更した以外は実施例4と同様に処理して、表面サイズ剤を得た。
(10)比較例1
スチレン75部、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてIPA70部を4つ口フラスコに入れ、80℃まで加熱し、開始剤としてAIBN2部を加えて、還流下で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸9.5部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してIPAを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン11.9部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈し、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
(11)比較例2
前記実施例1を基本としながら、有機溶剤をn−ブタノールからsec−ブタノールに変更し、重合温度を100℃にした以外は、実施例1と同様に処理して表面サイズ剤を得た。
(12)比較例3
スチレン81部、ジメチルアミノエチルメタクリレート19部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてt−ブタノール70部を4つ口フラスコに入れ、80℃まで加熱し、開始剤としてAIBN2部を加え、還流下で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸7.2部を加えて水溶化した後、加熱蒸留し、t−ブタノールを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン11.2部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈し、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
(13)比較例4
前記実施例1を基本としながら、有機溶剤をn−ブタノールからメチルエチルケトンに変更し、重合温度を100℃にする以外は、実施例1と同様に処理して表面サイズ剤を得た。
(14)比較例5
スチレン47部、ジメチルアミノエチルメタクリレート53部、有機溶剤としてIPA70部を4つ口フラスコに入れ、80℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部を加え、還流下で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸20部を加えて冷却し、水溶化した後、加熱蒸留してIPAを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン31.4部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈し、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。
(15)比較例6
スチレン80部、ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、有機溶剤としてn−ブタノール70部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてAIBN2部を加えて100℃で3時間重合したが、途中で増粘ゲル状になった。
次いで、水250部と酢酸7.6部を加えて水溶化したが、一部水溶化しないゲル状部分が残った。
その後、加熱蒸留してn−ブタノールを留去した後、85℃でエピクロルヒドリン11.8部を加えて4時間反応し、冷却して水で希釈し、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。
(16)比較例7
スチレン60部、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部、イソブチルメタクリレート10部、有機溶剤としてトルエン70部を4つ口フラスコに入れ、110℃に加熱して、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2.5部を加え、還流下で重合したが、途中で増粘ゲル状となった。
次いで、水250部と酢酸11.4部を加えたが、水溶化できなかった。
(16)比較例8
スチレン60部、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部、IPA40部を入れた4つ口フラスコを80℃まで加熱し、開始剤としてt―ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部を加え、還流下で重合したが、途中で増粘ゲル化して反応を継続できなかった。
(17)比較例9
スチレン85部、ジメチルアミノエチルメタクリレート15部、連鎖移動剤としてt―ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてn―ブタノール50部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱して、開始剤としてAIBN2部を加え、100℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸5.7部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してn―ブタノールを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン8.8部を加えて4時間反応し、冷却して固形分20%に調整し、淡黄白色液の表面サイズ剤を得た。
(18)比較例10
スチレン40部、ジメチルアミノエチルメタクリレート60部、連鎖移動剤としてt―ドデシルメルカプタン2部、有機溶剤としてトルエン60部を4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱して、開始剤としてAIBN2部を加え、100℃で3時間重合した。
次いで、水250部と酢酸20.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してトルエンを留去した。
その後、85℃でエピクロルヒドリン32部を加えて4時間反応し、冷却して固形分20%に調整し、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。
そこで、上記実施例1〜9並びに比較例1〜10で得られた各表面サイズ剤について、以下のサイズ性評価試験を行った。また、本発明の表面サイズ剤を使用しないブランク例を比較例11とした。
尚、上記比較例7と8では、共重合体の増粘・ゲル化により水溶化できなかったため、下記の評価試験には供せなかった。
《表面サイズ剤のサイズ性評価試験例》
実施例1〜9並びに比較例1〜11(比較例7と8は除く)で得られた各表面サイズ剤を酸化デンプン(MS-3800;日本食品化工社製)の糊化溶液に溶解して、酸化澱粉3%、表面サイズ剤0.2%及び0.4%を含有する各塗工液を調製した。
一方、全パルプ成分の80%以上が古紙と機械パルプからなる紙料を用いるとともに、内添サイズ剤を用いず炭酸カルシウムを添加して新聞用紙の原紙を抄造した。
次いで、この新聞用紙の原紙に前記各塗工液をプレーンのバーコータにて片面吸液量が7g/m2(サイズ剤の付着量は0.014g/m2又は0.024g/m2)になるように塗工し、80℃の回転式ドラムドライヤーに90秒間通して乾燥し、片面表面サイジングの新聞用紙を得た。
そして、この表面塗工の各新聞用紙について、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法のNo.32−2(紙−吸水性試験方法−第2部:滴下法)に基づいて、5μlの水にて吸水試験を行い、吸水に要した時間を測定した。この方法では、秒数が大きいほどサイズ性が良好であることを意味する。
図1はその試験結果を示す。
実施例1〜9では、カチオン性モノマー(ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート)を多めの所定範囲で使用するとともに、連鎖移動剤の存在下で水への溶解度が10%以下の、いわゆる親油性の溶剤中で重合するため、吸水度(秒)が大きく(吸水が遅く)、優れたサイズ性を示すことが確認できた。また、これらの優れた評価は、(a)カチオン性モノマーの使用量を適正範囲で変化させても、(b)親油性の有機溶剤の種類を溶解度を満たす要件内で変化させても、或は、(c)水溶性の連鎖移動剤(実施例9)と油溶性の連鎖移動剤(他の実施例)のいずれを使用しても変わらず、さらには、(d)共重合体を4級化しない実施例6と4級化したその他の実施例との間でも同様の評価であった。
そして、表面サイズ剤の付着量については0.014g/m2で充分なサイズ効果を発揮するとともに、0.014g/m2から0.024g/m2に付着量が2倍弱に増すと、吸水度(秒)は2.6〜2.7倍程度に増大し、サイズ効果は効率的に高まることが確認できた。
これに対して、有機溶剤に水への溶解度が10%を越える、いわゆる親水性のIPA、sec−ブタノール、或はメチルエチルケトンを使用した比較例1、2、4では、吸水度(秒)が小さく(吸水が速く)、サイズ性が劣ることが判った。従って、実施例1〜9をこれらの比較例1、2、4に対比すると、重合に際して水への溶解度が10%以下の有機溶剤を使用することの重要性が明らかになった。
冒述の特許文献3又は6に準拠して、カチオン性モノマーを多めに使用して親油性のトルエン中で重合する際に、連鎖移動剤を欠く比較例7では、前述したように、共重合体がゲル化して表面サイズ剤としての使用適性がないことが判った。従って、実施例1〜9をこの比較例7に対比すると、親油性の有機溶剤を使用した場合でも、優れた表面サイズ剤を得るためには、重合に際して連鎖移動剤を添加することの必要性が明らかになった。
カチオン性モノマーの使用量が本発明の適正範囲の下限より少ない比較例9、逆に適正範囲より多い比較例10では、やはり吸水度(秒)が小さく(吸水が速く)、サイズ性が劣ることが判った。従って、実施例1〜9をこの比較例9〜10に対比すると、連鎖移動剤を使用し、水への溶解度が10%以下の有機溶剤中で重合しても、カチオン性モノマーの使用量が21〜50重量%の適正範囲内から外れると、優れたサイズ性を発揮できないことから、当該適正範囲内で使用することの重要性が明らかになった。
次いで、本発明の適正範囲の上限を越えるカチオン性モノマーを使用し、連鎖移動剤なしで親水性の有機溶剤(IPA)中で重合した比較例5では、当然ながら吸水度(秒)が小さく(吸水が速く)、サイズ性が劣り、また、本発明の適正範囲内のカチオン性モノマーを使用し、連鎖移動剤なしで親水性の有機溶剤(IPA)中で重合した比較例8では、共重合体がゲル化して表面サイズ剤としての使用適性がないことが判った。即ち、連鎖移動剤なしで親水性の有機溶剤中で重合する場合には、カチオン性モノマーを本発明の適正範囲で使用するとゲル化してしまい、過剰に使用するとゲル化はしないが、サイズ効果が劣ることが明らかになった。
また、比較例3と6は共にカチオン性モノマーの使用量が本発明の適正範囲より少ない例で、連鎖移動剤なしで親油性の有機溶剤中で重合した比較例6では一部水溶化しないゲル状部分が残ってサイズ性が劣り、また、連鎖移動剤の存在下で親水性の有機溶剤中で重合した比較例3でも同様にサイズ性が劣ることが判った。従って、実施例1〜9をこの比較例3と6に対比すると、やはりカチオン性モノマーの使用量が本発明の適正範囲より少ない場合には水溶化が不足してサイズ効果が不充分になることが明らかになった。さらに、比較例3や6と同様にカチオン性モノマーの使用量が本発明の適正範囲より少ないが、連鎖移動剤の存在下で親油性の有機溶剤中で重合した比較例9でもサイズ性が劣ることから、優れたサイズ効果を発揮するためには、カチオン性モノマーを多めの適正量で使用するという条件と、連鎖移動剤の存在下で親油性の有機溶剤中で重合するという条件との有機一体的な組み合わせが必要であることが裏付けられた。
実施例1〜9並びに比較例1〜6、9〜11の各表面サイズ剤を塗工し、或は塗工しない新聞用紙におけるサイズ剤の付着量及びサイズ性評価試験の結果を示す図表である。 実施例1〜9並びに比較例1〜10のモノマーの使用量、有機溶剤や連鎖移動剤の種類と使用量などの処方、サイズ性評価試験の結果を示す図表である。

Claims (4)

  1. スチレン類とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを、或はさらにアルキル(メタ)アクリレートを有機溶剤中で重合させ、酸で中和して水溶化し、溶剤を除去したカチオン性表面サイズ剤において、
    上記重合反応でのモノマーの比率がスチレン類40〜79重量%、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート21〜50重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜50重量%であり、
    上記重合反応で使用する有機溶剤がn−ブタノール、イソブタノール、メチル−n−プロピルケトン、3−メチル−2−ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトンより選ばれた低沸点脂肪族系炭化水素類であり、且つ、連鎖移動剤の存在下で重合反応を行うことを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。
  2. 連鎖移動剤が、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、クメン、四塩化炭素より選ばれた油溶性連鎖移動剤、或は、メルカプトエタノール、チオグリコール酸及びその塩より選ばれた水溶性連鎖移動剤であることを特徴とする請求項1に記載のカチオン性表面サイズ剤。
  3. 重合体を酸で水溶化し、溶剤を除去するとともに、さらに4級化剤によりカチオン処理を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン性表面サイズ剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン性表面サイズ剤を塗工した紙。
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