JP6991460B2 - 製紙用表面サイズ剤およびそれを含有する塗工層を有する紙 - Google Patents

製紙用表面サイズ剤およびそれを含有する塗工層を有する紙 Download PDF

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Description

本発明は、優れた帯電防止効果およびサイズ効果を有する製紙用表面サイズ剤に関するものである。また、前記製紙用表面サイズ剤を含有する塗工層を有する紙に関する。
従来、製紙産業で製造される紙の表面に耐水性や印刷適性を付与する手段として、疎水性ビニルモノマーとアニオン性基またはカチオン性基を含有するビニルモノマーの共重合体からなる表面サイズ剤が適度な濃度に希釈された塗工液を、60℃前後の温度でゲートロールコーター、サイズプレス、およびキャレンダー等を用いて紙の表面に塗工し、乾燥する方法が採用されている。
しかしながら、カチオン性を有する表面サイズ剤を紙に塗工した場合、紙表面がカチオン性に帯電し、印刷工程において種々のトラブルにつながる恐れがある。例えば、アニオン性の紙粉が静電引力で紙面に付着することによる白抜け、カチオン性を有するトナーの定着不良、静電気の発生による用紙の重送あるいは紙詰まり等である。これらの問題は、紙の表面抵抗率が関与している可能性が見出されている。
紙表面の帯電性を防止する方法、すなわち紙の表面抵抗率を下げる方法としては、帯電防止剤を塗工液に混合させた状態で塗工を実施する先行技術が既にいくつか報告されている。例えば、特許文献1には、古紙パルプを主成分とした原紙を中性抄紙法で抄造し、原紙の表裏面に表面サイズ剤、紙力増強剤、導電剤を含有する表面処理剤を塗工したオフセット印刷用新聞用紙を使用することにより、自動仕立て機での紙詰まりトラブルの発生を防止することが提案されている。また、特許文献2には、木材パルプを主体とした、米坪200~1100g/mの多層抄き原紙の全層または中層に導電性物質を内添し、原紙両面に帯電防止剤を含有せしめた表面サイズを施し、20℃、40%RHでの環境条件下での紙の表面電気抵抗値および体積電気抵抗値が1×10 Ω以下であることを特徴とする電子デバイス用キャリアテープ紙が静電気障害の発生を防止することが提案されている。
しかしながら、サイズ成分が比較的高濃度(15~30質量%)であるサイズ剤原液に対して帯電防止剤を混合すると、その相溶性に起因して経時でサイズ剤が著しく増粘あるいはゲル化してしまうため、製品の貯蔵安定性や塗工適性の面で課題を有していた。そのため、特許文献1および2においてはいずれも低濃度で製紙工程において混合するものであり、あらかじめ高濃度で混合しても相溶性が良好で、かつ帯電防止効果やサイズ性に優れたものはなかった。
特開2010-77573号公報 特開2000-203521号公報
本発明は、有機酸塩を含有させても相溶性が良好で、かつ優れた帯電防止効果およびサイズ効果を有する製紙用表面サイズ剤、および前記製紙用表面サイズ剤を含有する塗工層を有する紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物と有機酸塩とを、特定の混合比率範囲において特定の濃度範囲で含有する製紙用表面サイズ剤が、優れた相溶性、帯電防止効果およびサイズ効果を有することを見出した。
すなわち、前記課題を解決するための手段である本発明は、
<1>疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]と有機酸塩[B]を含有し、下記(1)~(3)の条件を満足することを特徴とする製紙用表面サイズ剤、
(1)製紙用表面サイズ剤中の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]の割合が15.0~25.0質量%かつ製紙用表面サイズ剤中の有機酸塩[B]の割合が1.5~12.0質量%
(2)疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]に対する有機酸塩[B]の割合が100:10~70質量%
(3)製紙用表面サイズ剤中の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]と有機酸塩[B]の総量の割合が16.5~30.0質量%
<2>製紙用表面サイズ剤の25℃におけるブルックフィールド粘度および製紙用表面サイズ剤を40℃1ヶ月間保管した際の25℃におけるブルックフィールド粘度が4~50
0mPa・sであることを特徴とする前記<1>に記載の製紙用表面サイズ剤、
<3>粒子径が30~200nmであることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の製紙用表面サイズ剤、
<4>有機酸塩[B]が有機酸アルカリ金属塩であることを特徴とする前記<1>~<3>のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤、
<5>疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]のpH3におけるイオン化度が+0.9~2.1meq/gであることを特徴とする前記<1>~<4>のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤、
<6>疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]がカチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)および疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を含有することを特徴とする前記<1>~<5>のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤、
<7>前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤を含有する塗工層を有することを特徴とする紙、
である。

帯電防止剤としての有機酸塩を予め製紙用表面サイズ剤に含有させても相溶性が良好で、かつ、そのサイズ効果をほとんど低下させることなく、帯電防止効果を付与することができる製紙用表面サイズ剤を提供することができる。
本発明の製紙用表面サイズ剤は、疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]と有機酸塩[B]を含有する。
本発明の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A](以下、単に「重合物[A]」と記すことがある)は公知の重合法により得ることができる。例えば、有機溶媒に溶解させた疎水性モノマーとカチオン性モノマーにラジカル重合開始剤を加えることによりラジカル重合を進行させ、重合が完結した時点でカチオンを中和して水溶液とするに足る酸および水を加えることで転相を行い、その後有機溶媒を留去して水溶液とする手法を採用することができる。
疎水性モノマーとしては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、およびジビニルベンゼンのようなスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、および2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート類、およびベンジル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート、マレイン酸およびフマル酸のジアルキルジエステル類、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、N-アルキル(メタ)アクリルアミド類、並びにメチルビニルエーテル類が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、サイズ効果の点からスチレン類およびアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」と同義である。
カチオン性モノマーとしては、3級アミノ基また4級アンモニウム塩類を有するモノマーを挙げることができる。3級アミノ基を有するモノマーとしては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ) アクリレート、およびジエチルアミノプロピル(メタ) アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、前記3級アミノ基を有するビニルモノマーの塩酸塩、および硫酸塩等の無機酸塩類、並びに前記3級アミノ基を有するビニルモノマーの蟻酸塩、および酢酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
また、4級アンモニウム塩類を有するモノマーとしては、前記3級アミノ基を有するモノマーと4級化剤との反応によって得られるビニルモノマーが挙げられる。前記4級化剤としては、メチルクロライド、およびメチルブロマイド等のアルキルハライド、ベンジルクロライド、およびベンジルブロマイド等のアラルキルハライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド並びにグリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらの3級アミノ基または4級アンモニウム塩類を有するビニルモノマーは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもエピクロロヒドリンが特に好ましい。3級アミノ基を4級化する工程は特に制限されるものではなく、3級アミノ基を有するモノマーと4級化剤を反応させることで得てもよいし、疎水性モノマーと3級アミノ基を有するモノマーとの共重合物における3級アミノ基を4級化剤と反応させて得てもよい。3級アミノ基を4級化する場合に、使用する4級化剤の量は特に限定されるものではないが、上記重合物における3級アミノ基を有するモノマーと4級化剤とのモル比が100:80~105であることが、得られた重合物[A]の安定性の面で好ましい。
疎水性モノマーとカチオン性モノマーの割合は、重合物[A]がカチオン成分を中和して水溶液とするに足るカチオン性モノマーの構造単位を有していれば良いが、有機酸塩との相溶性の観点から、質量比で疎水性モノマー:カチオン性モノマー=85:15~50:50が好ましく、80:20~55:45がより好ましく、75:25~60:40がさらに好ましい。
有機溶媒としては、特に限定するものではないが、メタノール、エタノール、1-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。有機溶媒の量は特に限定されないが、前記疎水性モノマーとカチオン性モノマーの重合を阻害しない程度に、また重合を均一に進行させ、重合物の粘度や重合熱を適切にコントロールするに足る量であればよい。好ましくは前記疎水性モノマーとカチオン性モノマーの合計に対し5~500質量%であり、より好ましくは10~200質量%であり、さらに好ましくは20~100質量%である。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定するものではないが、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチル2,2’-アゾビス-(2-メチルプロピオネート)などの油溶性アゾ系触媒、ベンジルパーオキシド、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートおよびターシャリブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネートなどの油溶性有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性過酸化物、これら過硫酸塩および過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系重合触媒、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ系触媒およびターシャリブチルハイドロパーオキシド等の水溶性有機過酸化物系を挙げることができる。ラジカル開始剤の量は特に限定されないが、前記疎水性モノマーとカチオン性モノマーの合計に対して、0.1~5質量%であることが好ましく、0.2~3質量%であることがより好ましい。
カチオン成分を中和する酸としては、塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸等の無機酸および有機酸を挙げることができ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。カチオン成分を中和して水溶液とするに足る量としては、重合物[A]中のカチオンに対し、80~200当量の酸を用いることが好ましい。
本発明における重合物[A]を得る際に、前記したモノマーや有機溶剤のほか、重合物[A]の分子構造や水溶液とした際の流動性、塗工適性を最適化する目的で、本発明の効果に支障のない範囲で連鎖移動剤や架橋剤を使用することができる。その量としては、前記疎水性モノマーとカチオン性モノマーの合計に対して、各々0.01~3質量%であることが好ましい。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸およびそのエステル類、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。これらの中でもアルキルメルカプタン類が特に好ましい。
架橋剤としては、ジアリルフタレート、ジアリルヘキサヒドロキシルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびジビニルベンゼン等の分子中に重合性二重結合を2個有する単量体、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の分子中に重合性二重結合を3個有する単量体、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の分子中に重合性二重結合を4個有する単量体、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の分子中に重合性二重結合を5個有する単量体等を挙げることができ、これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもジビニルベンゼンが特に好ましい。
本発明においては、重合物[A]がカチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)および疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を含有することが好ましい。特に、水中においてカチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)存在下で疎水性モノマーのラジカル乳化重合を行い、疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を得ることが好ましい。
前記疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を得るために用いる疎水性モノマーとしては、前記カチオン性重合物[A]で使用する疎水性モノマーを使用できる。具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、およびジビニルベンゼンのようなスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、および2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート類、およびベンジル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート、マレイン酸およびフマル酸のジアルキルジエステル類、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、N-アルキル(メタ)アクリルアミド類、並びにメチルビニルエーテル類が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもサイズ効果および乳化重合時の安定性の点からスチレン類およびアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)には、本発明の効果に支障のない範囲で疎水性モノマーと共重合可能な他のモノマーを共重合させてもよい。例えばアクリルアミド、アクリロニトリル等のノニオン性のモノマーや、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、前記3級アミノ基を有するビニルモノマーの塩酸塩、および硫酸塩等の無機酸塩類、並びに前記3級アミノ基を有するビニルモノマーの蟻酸塩、および酢酸塩等の有機酸塩類のような3級アミノ基を有するモノマーおよびこれらの3級アミノ基を有するモノマーと4級化剤との反応によって得られるモノマーが挙げられる。これら疎水性モノマーと共重合可能な他のモノマーは、重合物(b)中の10質量%以内であることが重合物[A]の安定性やサイズ剤としての性能面から好ましい。
重合物[A]における、カチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)と疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)の構成比は、カチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)成分100質量部に対して疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)成分を30~150質量部含有することが、得られた重合物[A]の安定性から好ましい。特に、サイズ効果の面から40~130質量部含有することが好ましく、また150質量部を超えて使用してもよいが、サイズ効果のさらなる改善はみられない、塗工液での発泡性が多くなりすぎる等の理由で好ましくない。
疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)成分をラジカル乳化重合により得るにあたっては、従来から公知の乳化重合法を適用でき、例えばカチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)の存在下で、ラジカル重合開始剤を用いて水中にて疎水性モノマーを乳化重合させる手法を採用することができる。ラジカル重合開始剤としては、水溶性ラジカル開始剤が使用でき、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、これらの過硫酸塩および過酸化物と還元剤との組合せによるレドックス系重合触媒、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ系触媒、並びにターシャリーブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物を挙げることができる。さらに2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2'-アゾビス-(2-メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ系触媒、ベンジルパーオキシド等の油溶性有機過酸化物を先の水溶性ラジカル開始剤に併用して使用できる。ラジカル開始剤の量は特に限定されないが、前記疎水性モノマーに対して、0.1~5質量%であることが好ましく、0.2~3質量%であることがより好ましい。
また、必要に応じてアルキルメルカプタン等の公知の連鎖移動剤や分子中に重合性二重結合を2個有する単量体等の架橋剤を適宜に併用しても差し支えない。その量としては、前記疎水性モノマーに対して、各々0.01~3質量%であることが好ましい。
さらに、疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)成分を乳化重合より得る際、本発明に係る製紙用表面サイズ剤の性能を損なわない範囲であれば、公知の低分子界面活性剤、ラジカル重合可能な界面活性剤、および高分子乳化剤を併用しても構わない。
低分子界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、およびポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。
ラジカル重合可能な界面活性剤としては、例えば分子中に(メタ)アリル基、1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、イソプロペニル基、ビニル基、および(メタ)アクリロイル基等の炭素-炭素二重結合を有する官能基を一つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、並びにポリオキシアルキレンモノまたはジスチリルフェニルエーテル等を挙げることができる。
高分子乳化剤としては、特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール類、変性澱粉類、およびポリアクリルアミド類等が挙げられる。
本発明の製紙用表面サイズ剤における有機酸塩[B]としては、公知の有機酸イオンと塩基性イオンの中和により生じる塩が挙げられる。例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等の有機酸イオンと、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム等の塩基性イオンの組み合わせによる有機酸塩が挙げられる。これらの中でも帯電防止効果および相溶性の点から、有機酸アルカリ金属塩が好ましく、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の蟻酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ金属塩がより好ましい。
本発明の重合物[A]と有機酸塩[B]を含有する製紙用表面サイズ剤の調製方法は、特に制限されるものではないが、重合物[A]に固体もしくは水溶液の状態の有機酸塩[B]を加え、混合することが好ましい。
また本発明の製紙用表面サイズ剤は、下記(1)~(3)の条件を満足する必要がある。
(1)製紙用表面サイズ剤中の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]の割合が15.0~25.0質量%かつ製紙用表面サイズ剤中の有機酸塩[B]の割合が1.5~12.0質量%
(2)疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]に対する有機酸塩[B]の割合が100:10~70質量%
(3)製紙用表面サイズ剤中の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]と有機酸塩[B]の総量の割合が16.5~30.0質量%
本発明の製紙用表面サイズ剤は、上記条件(1)~(3)を全て満足することで重合物[A](サイズ剤成分)に対する有機酸塩(帯電防止剤成分)の相溶性が良好となるので、予め混合した状態で高温下長期保存しても粘度安定性に優れ(著しい増粘が認められない)、サイズ剤成分が本来有するサイズ効果をほとんど低下させることなく所望の帯電防止効果を付与することができる。
相溶性の指標となる粘度安定性は、製紙用表面サイズ剤の25℃におけるブルックフィールド粘度(以下、通常時の粘度とする)および40℃1ヶ月間保管した際の25℃におけるブルックフィールド粘度(以下、高温長期保存後の粘度とする)から評価することができ、いずれのブルックフィールド粘度も低い方が相溶性に優れる。製紙用表面サイズ剤のブルックフィールド粘度はより低い方が好ましく、塗工工程における製紙用表面サイズ剤の移送や希釈操作が簡便となる。本発明におけるブルックフィールド粘度は、製紙用表面サイズ剤(重合物[A]の割合:15.0~25.0質量%)を水による希釈を行わずにサイズ剤の粘度として25℃で測定する。製紙用表面サイズ剤の通常時の粘度および高温長期保存後の粘度はともに4~500mPa・sであることが好ましく、より好ましくは4~100mPa・sであり、さらに好ましくは4~50mPa・sである。
本発明の製紙用表面サイズ剤の粒子径は30~200nmであり、より好ましくは30~150nmである。粒子径が30~200nmであると、重合物[A]と有機酸塩[B]の相溶性がより良好となる。なお、本発明でいう粒子径とは、動的光散乱法に基づく粒子径測定装置による測定において、試料にレーザーを照射した際の散乱光強度の時間変化から得られる自己相関関数を、キュムラント法を用いて解析して求められた平均一次粒子径のことを指す。粒子径は0.001M塩化カリウム水溶液により、製紙用表面サイズ剤の濃度が0.1%に希釈された状態かつ25℃の温度条件にて、pHの調整を行わずに測定を行う。
本発明の製紙用表面サイズ剤における重合物[A]のpH3におけるイオン化度は+0.9~2.1meq/gである。イオン化度が+0.9meq/g未満であった場合、製紙用表面サイズ剤中の粒子の静電斥力による分散性が弱まり、相溶性に悪影響を及ぼす。また、イオン化度が+2.1meq/gを超える場合、製紙用表面サイズ剤中のサイズ効果をもたらす疎水性成分が少なくなるため、サイズ効果に不利である。なお、本発明でいうイオン化度とは、PCD電位計を使用し、pH3に調整された重合物の水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム(PVSK)により滴定を行うことで測定するものである。
本発明における帯電防止効果は、JIS-C2139に準拠し、電流測定装置で塗工紙の表面抵抗率を測定することにより確認を行う。本発明の製紙用表面サイズ剤を塗工する前の紙よりも、塗工した後の表面抵抗率が低下した場合、帯電防止効果が発現していると判断される。塗工紙の表面抵抗率が低い方が塗工紙の導電性が高く、ひいては帯電性を防止することができる。
本発明の製紙用表面サイズ剤が適用される原紙に使用されるパルプとしては、クラフトパルプ若しくはサルファイトパルプなどの晒若しくは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ若しくはサーモメカニカルパルプなどの晒若しくは未晒高収率パルプ、または新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙若しくは脱墨古紙などの古紙パルプを使用できる。
本発明の製紙用表面サイズ剤が適用される原紙を得るために、填料、染料、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系およびアルケニルコハク酸無水物系の中性抄紙用サイズ剤、中性抄紙用ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、並びに消泡剤などの添加物も、各々紙種に要求される物性を発現するために、必要に応じて使用してもよい。填料としては、クレー、タルク、酸化チタン、並びに重質および軽質炭酸カルシウム等が挙げられる。これらを単独であるいは併用して用いてもよい。
本発明の製紙用表面サイズ剤を塗工するための塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、カレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、およびカーテンコーター等を用いることができる。また、スプレー塗工機により原紙表面に塗布することもできる。
本発明の製紙用表面サイズ剤を塗工する際に、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、および両性澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、並びにアルギン酸ソーダ等の水溶性高分子よりなる群から選択される少なくとも一種を塗工液に混合して使用することもできる。また、他の表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、および顔料等の添加物を併用しても構わない。
本発明の製紙用表面サイズ剤を含有する塗工層を有する紙としては、各種の紙および板紙を挙げることができる。例えば、PPC用紙、インクジェット記録用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写用紙、および感熱記録用紙等の記録用紙、アート紙、キャストコート紙、および上質コート紙等のコート紙、クラフト紙、および純白ロール紙等の包装用紙、ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、および新聞用紙等の洋紙、マニラボール、白ボール、およびチップボール等の紙器用板紙、並びにライナー等の板紙が挙げられる。
本発明の製紙用表面サイズ剤を塗工する際の塗工液濃度は、通常、0.1~5質量%、好ましくは0.2~1質量%である。0.1質量%未満ではサイズ効果および帯電防止効果が不十分である場合があり、5質量%を超えて使用してもサイズ効果および帯電防止効果がさらに向上することはほとんどなく経済的に不利益になることがあるため好ましくない。また、通常、塗工量は、固形分で0.01~1g/m、好ましくは0.02~0.2g/mである。前記範囲内であると、特に良くサイズ効果および帯電防止効果が発揮される。
表面サイズ剤と水溶性高分子物質を混合してなる表面処理剤を原紙に塗工する場合、表面サイズ剤の表面処理剤中の固形分濃度と塗工量は前記の通りであるが、水溶性高分子物質の表面処理剤中の固形分濃度と、水溶性高分子物質の原紙への塗工量は紙の表面強度の目標値で決定され、この目標値は紙の種類によって異なる。従って、水溶性高分子物質と表面塗工剤サイズ剤の配合比は特に規定されない。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」および「%」は、特に断りがない限り、それぞれ質量部および質量%を意味する。
<イオン化度の測定方法>
イオン交換水により0.02%に希釈された重合物に10%酢酸を加え、pH3に調整した。この水溶液をPCD電位計PCD02(MUTEC社製)を使用し、ポリビニルスルホン酸カリウム(PVSK)により滴定を行うことで測定を行った。
<疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]の製造>
[製造例1]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコにスチレン132.55部、ジメチルアミノエチルメタクリレート71.37部、アゾビスイソブチロニトリル2.24部およびイソプロピルアルコール47.97部を仕込み、85℃で2時間保持し、次いでアゾビスイソブチロニトリルを1.84部仕込み、さらに同温度で2時間保持した。次いで、90%酢酸30.29部(ジメチルアミノエチルメタクリレートに対して100モル%)およびイオン交換水719.71部を加え、イソプロピルアルコールを留去した。その後、4級化剤としてエピクロロヒドリン42.00部(ジメチルアミノエチルメタクリレートに対する配合率として100モル%)を仕込み、80℃で2時間保持し、固形分25%の重合物(A-1)を得た。得られた重合物(A-1)のpH3におけるイオン化度は、2.07meq/g・solidであった。
[製造例2~6]
使用した疎水性モノマー、カチオン性モノマーおよび4級化剤の種類および使用量を表1に示すように変えた以外は製造例1と同様にして重合物(A-2)~(A-6)を得た。得られた重合物のpH3におけるイオン化度を表1に示す。
[比較用製造例1]
製造例1と同様の反応器に、イオン交換水597.77部、50%アクリルアミド231.97部、ジメチルアミノエチルメタクリレート62.45部、30%硫酸64.94部、連鎖移動剤として次亜リン酸ナトリウム・一水和物0.86部を仕込んだ。次いで、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温し、重合開始剤として10%2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド6.96重量部を加えて重合を開始させ、温度を90℃まで昇温させた。同温度で3時間保持して重合を完結させ、イオン交換水を35.04部加えることで固形分濃度18.0%の比較用重合物(RA-1)を得た。得られた重合物のpH3におけるイオン化度を表1に示す。
Figure 0006991460000001
表1中の記号および用語の説明
St:スチレン
tBA:ターシャリー-ブチルアクリレート
AAm:アクリルアミド
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DPA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
ECH:エピクロロヒドリン
BTO:ブチレンオキシド
配合率:カチオン性モノマーに対する4級化剤の使用率(モル%)
<カチオン性モノマーと疎水性モノマーの共重合物(a)および疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を含有する疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む共重合物[A]の製造>
[製造例7]
製造例1と同様の反応器に、イオン交換水343.50部、カチオン性の高分子乳化剤として製造例1で得られた重合物(A-1)の水溶液480.00部(固形分として120.00部)、イソブチルメタクリレート74.46部、2-エチルヘキシルアクリレート49.64部および低分子界面活性剤としてTD-50(第一工業製薬(株)製、非イオン性界面活性剤)5.00部を仕込んだ。次いで、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温し、重合開始剤として10%2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド8.94重量部を加え、26%の重合濃度において重合を開始させ、温度を85℃まで昇温させた。同温度で3時間保持して乳化重合を完結させ、イオン交換水を38.46部加えることで固形分濃度25.0%の重合物(A-7)を得た。得られた重合物(A-7)のpH3におけるイオン化度は、0.94meq/g・solidであった。
[製造例8~13]
使用したカチオン性乳化剤、疎水性モノマー、および界面活性剤の種類や使用量と、重合濃度を表2に示すように変えた以外は製造例7と同様にして表面サイズ剤(A-8)~(A-13)を得た。得られた重合物のpH3におけるイオン化度を表2に示す。
Figure 0006991460000002
表2中の記号の説明
IBMA:イソブチルメタクリレート、
EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
St:スチレン
nBA:ノルマル-ブチルアクリレート
TD-50:第一工業製薬(株)製、非イオン性界面活性剤
エソミンO/25:ライオン(株)製、非イオン性界面活性剤
<粒子径の測定>
製紙用表面サイズ剤を0.001M塩化カリウム水溶液により0.1%に希釈し、Malvern Instruments Ltd製Zetasizer Nanoにより25℃の条件で測定を行うことで、粒子径を求めた。
<製紙用表面サイズ剤の調製>
[実施例1]
100mLビーカーに製造例7で得られた重合物(A-7)60.00部(固形分として15.00部)、イオン交換水35.50部を加え、撹拌させた。これに粉末状の酢酸ナトリウム4.50部を10分間かけて徐々に加え、両者を混合させることで、製紙用表面サイズ剤を得た。粒子径は108nmであった。25℃におけるブルックフィールド粘度は7mPa・s、40℃1ヶ月間保管した際の25℃におけるブルックフィールド粘度は8mPa・sであった。
[実施例2~24、比較例1~11]
使用した重合物の種類および使用量、塩の種類および使用量を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして製紙用表面サイズ剤を得た。得られた製紙用表面サイズ剤の粒子径、25℃におけるブルックフィールド粘度、40℃1ヶ月間保管した際の25℃におけるブルックフィールド粘度を表3に示す。
Figure 0006991460000003
<原紙への塗工および塗工した紙の評価>
[応用実施例1~24、応用比較例1~11]
(1)塗工液の調製方法
重合物[A]の固形分濃度が0.5%となるように水で希釈し、塗工液を調製した。
(2)中性ライナーの製造とサイズ性能の評価
前記(1)で配合した塗工液を、未塗工の中性Kライナー(坪量160g/m、コブ吸水度(60秒)180g/m、表面抵抗率4.9×10Ω)にワイヤーバーを用いて塗工した。次いで、塗工紙を回転式ドラムドライヤーにて乾燥(105℃、1分間)させ、中性ライナーを得た。この塗工紙の重合物[A]の固形分塗工量は、0.03g/mであった。得られた試験紙を恒温恒湿(20℃、65%相対湿度)環境下で24時間調湿し、コブ吸水度(60秒)および表面抵抗率を測定した。評価結果を表4に示す。
(3)コブ吸水度の測定
JIS-P8140に準拠し、測定を行った。数値が小さいほど、サイズ効果に優れることを示す。
(4)表面抵抗率の測定
測定装置は東亜電波工業株式会社製ULTRA MEGOHM METER MODEL SM-10Eを使用した。塗工紙を6cm四方に裁断した試験片を印加電圧250V、1分間課電した条件において、JIS-C2139に準拠し測定を行った。数値が小さいほど、帯電防止効果に優れることを示す。
Figure 0006991460000004
表3および表4より、実施例に記載された本発明の製紙用表面サイズ剤は、本発明の構成や条件をひとつでも満足しない比較例の製紙用表面サイズ剤に比べ、相溶性、サイズ効果、帯電防止効果が満足するレベルで優れる。
実施例6、実施例16、実施例19より、粒子径が好ましいとする30~200nmの範囲内にある製紙用表面サイズ剤は、好ましいとする粒子径ではない製紙用表面サイズ剤に比べて、相溶性およびサイズ効果に優れていることがわかる。
実施例4、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12、実施例13より、より好ましい有機酸塩[B]である蟻酸アルカリ金属塩あるいは酢酸アルカリ金属塩を用いた製紙用表面サイズ剤は、そうでない有機酸塩を用いた製紙用表面サイズ剤と比べて、帯電防止効果に優れていることがわかる。
実施例14、実施例15、実施例18、実施例20、実施例21の比較において、または実施例6、実施例7、実施例17の比較において、疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]のpH3におけるイオン化度がより好ましいとする+0.9~2.1meq/gである製紙用表面サイズ剤は、そうでない製紙用表面サイズ剤と比べて、サイズ効果に優れていることがわかる。
実施例4、実施例14より、疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]がより好ましいとするカチオン性モノマーと疎水性モノマーの共重合物(a)および疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を含有する製紙用表面サイズ剤である場合は、そうでない製紙用表面サイズ剤と比べて、相溶性に優れていることがわかる。

Claims (7)

  1. 疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]と有機酸塩[B]を含有し、下記(1)~(3)の条件を満足することを特徴とする製紙用表面サイズ剤。
    (1)製紙用表面サイズ剤中の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]の割合が15.0~25.0質量%かつ製紙用表面サイズ剤中の有機酸塩[B]の割合が1.5~12.0質量%
    (2)疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]に対する有機酸塩[B]の割合が100:10~70質量%
    (3)製紙用表面サイズ剤中の疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]と有機酸塩[B]の総量の割合が16.5~30.0質量%
  2. 製紙用表面サイズ剤の25℃におけるブルックフィールド粘度および製紙用表面サイズ剤を40℃1ヶ月間保管した際の25℃におけるブルックフィールド粘度が4~500mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の製紙用表面サイズ剤。
  3. 粒子径が30~200nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の製紙用表面サイズ剤。
  4. 有機酸塩[B]が有機酸アルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤。
  5. 疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]のpH3におけるイオン化度が+0.9~2.1meq/gであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤。
  6. 疎水性モノマーとカチオン性モノマーの構造単位を含む重合物[A]がカチオン性モノマーと疎水性モノマーの重合物(a)および疎水性モノマーの構造単位を含む重合物(b)を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の製紙用表面サイズ剤を含有する塗工層を有することを特徴とする紙。
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