JP7011967B2 - カチオン性表面サイズ剤の製造方法およびカチオン性表面サイズ剤 - Google Patents

カチオン性表面サイズ剤の製造方法およびカチオン性表面サイズ剤 Download PDF

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Description

本発明は、カチオン性表面サイズ剤の製造方法およびカチオン性表面サイズ剤に関する。
カチオン性表面サイズ剤としては、一般的に、特許文献1に記載のように、スチレン類および3級アミノ基含有モノマー(すなわち、カチオン性モノマー)を主成分とするモノマー混合物を重合させて得られる共重合体、あるいは3級アミノ基を4級化して得られる共重合体の4級アンモニウム塩が挙げられる。
特開平11-323774号公報
このようなカチオン性表面サイズ剤は、紙に良好なサイズ性を付与することができる。そのため、カチオン性表面サイズ剤は、種々の紙の表面に塗工されている。しかし、カチオン性表面サイズ剤が塗工された紙の表面には、紙の加工や摩擦によって生じる紙粉が付着しやすい傾向にある。このような紙粉は白抜けなど印刷不良の原因になることがある。例えば、フレキソ印刷では、柔軟で弾性を有する版を使用するため、カチオン性表面サイズ剤が塗工された紙に対して、フレキソ印刷を行うと、版に付着した紙粉が原因で、例えば図1(A)~(C)に示すような白抜けなどの印刷不良が多発することがある。このような白抜けは、例えば図2に示すような作用機序で生じると推察される。
まず、紙の裁断や輸送時に、紙どうしの摩擦などによって紙1に紙粉11が発生する。連続的に印刷を行う過程で、紙粉11が刷版2に付着する。紙粉11が付着した刷版2にインク3を塗布すると、紙粉11の近傍にはインク3が十分に塗布されないことがある。このような状態で紙1に印刷すると、紙粉11の近傍はインクが塗布されていないため、印刷不良部分(白抜け4)が発生する。あるいは、フレキソ印刷の刷版2は柔軟で弾性を有しているため、紙粉11が刷版1に食い込んだ状態となる場合がある。このような状態で紙1に印刷すると、紙粉11の食い込みにより刷版1が窪んだ部分は、紙1にインクが付着しない。その結果、白抜け4が発生する。
本発明の課題は、紙に良好なサイズ性を付与することができ、かつ紙粉による印刷不良を低減することができるカチオン性表面サイズ剤を製造する方法、およびこのような効果を発揮し得るカチオン性表面サイズ剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)3級アミノ基含有モノマー(a)と第1の疎水性モノマー(b1)とを含有するモノマー混合物を反応させて共重合体(A)を得る第1工程と、共重合体(A)と第2の疎水性モノマー(b2)とを反応させて共重合体(B)を得る第2工程とを含み、第1の疎水性モノマー(b1)および第2の疎水性モノマー(b2)の少なくとも一方に、スチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれ、第1工程におけるモノマー混合物にスチレン類が0~70質量%の割合で含まれており、共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量と(メタ)アクリル酸エステル総量との質量比(スチレン類/(メタ)アクリル酸エステル)が、1.0以上1.8以下であることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤の製造方法。
(2)第1工程において共重合体(A)に存在する3級アミノ基を4級化するか、あるいは第2工程において共重合体(B)に存在する3級アミノ基を4級化することによって、共重合体(B)を共重合体(B)の4級アンモニウム塩にする上記(1)に記載の製造方法。
(3)(メタ)アクリル酸エステルが、炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを、20質量%以上の割合で含む上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)第1の疎水性モノマー(b1)および第2の疎水性モノマー(b2)のいずれもスチレン類を含む、上記(1)~(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)第1工程において、共重合体(A)に存在する3級アミノ基部分を酸で中和する上記(1)~(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)共重合体(A)が、50nm以下の平均粒子径を有する上記(1)~(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)共重合体(B)の4級アンモニウム塩が、500nm以下の平均粒子径を有する上記(2)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)共重合体(B)の4級アンモニウム塩の4級化率が、50モル%以上である上記(2)~(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)3級アミノ基の4級化が、エピクロルヒドリンを用いて行われる上記(1)~(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)3級アミノ基含有モノマー(a)が、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートおよびジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(1)~(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)共重合体(A)と第2の疎水性モノマー(b2)との反応物である共重合体(B)を含み、共重合体(A)が、3級アミノ基含有モノマー(a)と第1の疎水性モノマー(b1)とを含有するモノマー混合物の反応物であり、第1の疎水性モノマー(b1)および第2の疎水性モノマー(b2)の少なくとも一方に、スチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれ、第1工程におけるモノマー混合物にスチレン類が0~70質量%の割合で含まれており、共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量と(メタ)アクリル酸エステル総量との質量比(スチレン類/(メタ)アクリル酸エステル)が、1.0以上1.8以下であることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。
(12)フレキソ印刷で印刷される紙に処理される上記(11)に記載のカチオン性表面サイズ剤。
(13)上記(11)または(12)に記載のカチオン性表面サイズ剤が処理された紙。
本発明の製造方法によれば、紙に良好なサイズ性を付与することができ、かつ紙粉による印刷不良を低減することができるカチオン性表面サイズ剤が得られる。。
図1は、フレキソ印刷によって印刷された部分に発生した白抜けの一例を示す写真であり、図1(A)は白抜けを示す走査電子顕微鏡写真であり、図1(B)および(C)は白抜けを示すマイクロスコープ写真である。 フレキソ印刷において、印刷不良が生じる作用機序を示す説明図である。
本発明に係るカチオン性表面サイズ剤の製造方法は、下記の第1工程および第2工程を含む。以下、本発明の一実施形態に係るカチオン性表面サイズ剤の製造方法について、詳細に説明する。
第1工程:3級アミノ基含有モノマー(a)(以下、単に「a成分」と記載する場合がある)と第1の疎水性モノマー(b1)(以下、単に「b1成分」と記載する場合がある)とを含有するモノマー混合物を反応させて共重合体(A)を得る工程。
第2工程:共重合体(A)と第2の疎水性モノマー(b2)(以下、単に「b2成分」と記載する場合がある)とを反応させて共重合体(B)を得る工程。
(第1工程)
第1工程では、a成分とb1成分とを含有するモノマー混合物を反応させることによって、共重合体(A)が得られる。a成分としては、分子内に3級アミノ基を有するモノマーであれば限定されず、例えば、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。a成分としては、好ましくは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
第1工程におけるモノマー成分中に含まれるa成分の含有量は限定されず、好ましくは20~50質量%の割合で含まれる。a成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
b1成分としては、疎水性モノマーであれば限定されず、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル類などが挙げられる。後述の第2工程で使用される第2の疎水性モノマー(b2成分)も、b1成分と同様の疎水性モノマーが挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロルメチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α-メチルスチレンおよびビニルトルエンが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数1~24の鎖状または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、炭素数3~24の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、炭素数6~24のアリール基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に、紙粉による印刷不良をより効率よく低減させる観点から、(メタ)アクリル酸エステルとして、炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含んでいることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、b1成分またはb2成分のいずれか一方のみに含まれていてもよく、b1成分およびb2成分の両方に含まれていてもよい。
炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、b1成分およびb2成分に含まれる(メタ)アクリル酸エステルの総量中に、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上の割合で含まれる。炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの割合が20質量%以上の場合、特に優れた紙粉による印刷不良の低減効果が発揮される。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
b1成分およびb2成分の少なくとも一方には、スチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれる。すなわち、b1成分にスチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれていてもよく、b2成分にスチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれていてもよく、b1成分およびb2成分の両方にスチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれていてもよい。サイズ性をより向上させる観点から、スチレンはb1成分およびb2成分のいずれにも含まれることが好ましい。サイズ性をより向上させる観点から、(メタ)アクリル酸エステルはb1成分およびb2成分のいずれにも含まれることが好ましい。b1成分およびb2成分は1種の疎水性モノマーであってもよく、2種以上の疎水性モノマーであってもよい。
b1成分にスチレン類は含まれていなくてもよいが、b1成分にスチレン類が含まれる場合、スチレン類は、モノマー混合物中に70質量%以下の割合で含まれ、好ましくは65質量%以下の割合で含まれる。第1工程におけるモノマー混合物中のスチレンの含有量が70質量%を越えると、印刷部分に発生する白抜けなど紙粉による印刷不良が低減されないだけでなく、サイズ性が低下する場合もある。
第1工程において、モノマー混合物を反応させる方法は限定されず、例えば、溶液重合などが挙げられる。溶液重合で使用される溶剤は、モノマー混合物の組成によって適宜選択され、例えば、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、3-メチル-2-ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、エチルベンゼン、トルエンなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくはイソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、トルエンなどが使用される。
得られる共重合体(A)の重量平均分子量を調整するために、モノマー混合物を反応させる際に連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、油溶性連鎖移動剤(t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルエステルなどのメルカプタン類、クメン、四塩化炭素、α-メチルスチレンダイマー、ターピノーレンなど)、水溶性連鎖移動剤(メルカプトエタノール、チオグリコール酸およびその塩など)などが挙げられる。連鎖移動剤は、溶剤やモノマー混合物の組成によって適宜選択され、その使用量は、所望の重量平均分子量を有する共重合体(A)が得られるように、適宜設定される。
反応(重合)は、重合開始剤の添加や光照射などにより、反応系中にラジカルが発生して進行する。重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤(アゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなど)、過酸化物系重合開始剤(過酸化水素、過硫酸ベンゾイル、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなど)などが挙げられる。重合開始剤の使用量は限定されず、モノマー混合物の組成によって適宜設定される。
重合反応の温度や時間は限定されず、溶剤、モノマー混合物の組成、使用する重合開始剤などによって適宜設定される。重合反応は、通常80~120℃、好ましくは85~115℃で行われる。また、反応時間は、通常2~6時間、好ましくは3~5時間である。
このようにして第1工程では共重合体(A)が得られる。得られた共重合体(A)は、第2工程に供するに際して、水に可溶化させることが好ましい。例えば、共重合体(A)に存在する3級アミノ基部分を、塩酸、硫酸、酢酸などの酸を用いて中和(好ましくは完全に中和)し、水溶液の形態にするのが好ましい。さらに、共重合体(A)は、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下の平均粒子径を有する。また、平均粒子径に下限はなく、共重合体(A)が水に完全に溶解した状態である(平均粒子径が測定されない)ことが好ましい。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で得られた共重合体(A)とb2成分とを反応させることによって、共重合体(B)が得られる。b2成分については上述のとおりであり、詳細な説明は省略する。
共重合体(A)とb2成分との反応は特に限定されず、例えば第1工程と同様、ラジカル重合によって行われる。例えば、水溶性のフリーラジカル開始剤と重金属塩とを用いる酸化還元系、すなわちレドックス触媒を用いて行われる。共重合体(A)とb2成分との重合反応を、酸化還元系、すなわちレドックス触媒を用いて行うことにより、b2成分のみの重合体が合成されにくく、共重合体(A)とb2成分とのグラフト共重合体(共重合体(B))の収率が向上する。その結果、優れた分散性を有し、優れたサイズ性を付与し得るサイズ剤を得ることができる。重合させる際に、中和された共重合体(A)とb2成分との組み合わせや配合割合に応じて、界面活性剤(乳化剤)を使用してもよい。但し、界面活性剤(乳化剤)を使用しなくても重合が進行するのであれば、サイズ性付与効果を考慮すると、界面活性剤(乳化剤)は使用しない方が好ましい。
水溶性のフリーラジカル開始剤としては、パーオキソ化合物、アゾ化合物、過酸化水素、過硫酸塩などが挙げられ、重金属塩としては、セリウム、マンガン、鉄(II)などが挙げられる。これらの中でも、過酸化水素と硫酸鉄(II)との組み合わせが好ましい。
第2工程における重合反応の反応温度および反応時間は、特に限定されず、適宜設定される。重合反応は、通常70~90℃、好ましくは75~90℃で行われる。また、反応時間は、通常1~5時間、好ましくは2~4時間である。
このようにして得られた共重合体(B)は、共重合体(B)に存在する3級アミノ基を4級化し、共重合体(B)の4級アンモニウム塩に転化してもよい。共重合体(B)の4級アンモニウム塩の4級化率は限定されず、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、95モル%以下である。4級化は、通常、エピクロルヒドリンやエピブロモヒドリンのようなエピハロヒドリンなどの4級化剤を使用して行われる。共重合体(B)の4級アンモニウム塩は、例えば、500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは150nm以下の平均粒子径を有する。
共重合体(B)の4級アンモニウム塩は、共重合体(B)に存在する3級アミノ基を4級化して得られるだけでなく、第1工程で得られる共重合体(A)に存在する3級アミノ基を4級化して共重合体(B)の4級アンモニウム塩が得られてもよい。すなわち、共重合体(A)の4級アンモニウム塩とb2成分とを反応させることによって、共重合体(B)の4級アンモニウム塩が得られてもよい。このような4級化は、サイズ性をより向上させる観点で行われ、好ましくは共重合体(B)に存在する3級アミノ基が4級化される。
第2工程において、共重合体(A)とb2成分との割合は限定されない。しかし、得られる共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量と(メタ)アクリル酸エステル総量との質量比(スチレン類/(メタ)アクリル酸エステル)が、1.0以上1.8以下となるようにする必要がある。この質量比が1.0未満あるいは1.8を超えると、印刷部分に発生する白抜けなど紙粉による印刷不良が低減されない。したがって、共重合体(A)とb2成分とは、この質量比が1.0以上1.8以下となるように適宜調整して使用される。共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量と(メタ)アクリル酸エステル類総量との質量比(スチレン類/(メタ)アクリル酸エステル)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上であり、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下である。
上述のように、サイズ性をより向上させる観点から、スチレン類はb1成分およびb2成分のいずれにも含有させることが好ましい。その場合、共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
さらに、共重合体(A)および共重合体(B)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、a成分、b1成分およびb2成分以外のモノマーが含まれていてもよい。このようなモノマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどのようなビニル基やアリル基を有する化合物が挙げられる。
(カチオン性表面サイズ剤)
上述の一実施形態に係る製造方法により得られるカチオン性表面サイズ剤は、紙に良好なサイズ性を付与することができ、かつ紙粉による印刷不良を低減することができる。一実施形態に係るカチオン性表面サイズ剤は、使用する際に単独で使用してもよく、水溶性高分子化合物と併用してもよい。水溶性高分子化合物と併用する場合、水溶性高分子化合物と一実施形態に係るカチオン性表面サイズ剤とが、好ましくは500:1~1:1、より好ましくは100:1~5:1の質量比で混合される。
水溶性高分子化合物としては、製紙分野で一般的に使用される化合物が挙げられ、具体的には、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類;ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルポキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類;カルポキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
一実施形態に係るカチオン性表面サイズ剤が塗布される紙は限定されず、本明細書において「紙」には「板紙」も包含される。板紙としては、例えば段ボール原紙(外装ライナー用原紙など)が挙げられる。
一実施形態に係るカチオン性表面サイズ剤が塗布された紙は種々の印刷方式で印刷され、特に、紙粉による印刷不良(白抜けなど)が発生しやすいフレキソ印刷で印刷した場合に、本発明の効果が顕著に発揮される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用されている略号は、以下の化合物を示す。
DMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
nBA:n-ブチルアクリレート
nBMA:n-ブチルメタクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
2EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート
SMA:ステアリルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
IDMA:イソデシルメタクリレート
BEMA:ベヘニルメタクリレート
(合成例1:共重合体(A)の合成)
表1に示すように、30質量部のDMA、30質量部のSt、20質量部のnBMA、10質量部の2EHA、10質量部の2EHMA、連鎖移動剤として0.5質量部のn-ドデシルメルカプタン、および溶剤として35質量部のイソプロピルアルコールを4つ口フラスコに加えて撹拌した。次いで、約85℃まで加熱し、開始剤として1質量部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを加えて約90℃で3時間反応を行った。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に示すように、12.7質量部の90質量%酢酸および400質量部の水を4つ口フラスコに加えた。中和率は100%であった。次いで、加熱蒸留によりイソプロピルアルコールを留去した後、固形分濃度が20質量%となるように水で希釈し、共重合体(A1)を得た。
(合成例2~8:共重合体(A)の合成)
表1に記載の成分を表1に記載の割合で使用した以外は、合成例1と同様の手順で共重合体を得た。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に記載の割合で90質量%酢酸を使用した以外は、合成例1と同様の手順で共重合体(A2)~共重合体(A8)を得た。いずれの合成例も、中和率は100%であった。
(合成例9:共重合体(A)の合成)
表1に示すように、30質量部のDMA、65質量部のSt、5質量部のnBMA、連鎖移動剤として0.5質量部のn-ドデシルメルカプタン、および溶剤として35質量部のトルエンを4つ口フラスコに加えて撹拌した。次いで、約105℃まで加熱し、開始剤として1質量部のt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを加えて約110℃で3時間反応を行った。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に示すように、12.7質量部の90質量%酢酸および400質量部の水を4つ口フラスコに投入した。中和率は100%であった。次いで、加熱蒸留によりトルエンを留去した後、固形分濃度が20質量%となるように水で希釈し、共重合体(A9)を得た。
(合成例10~12:共重合体(A)の合成)
表1に記載の成分を表1に記載の割合で使用した以外は、合成例9と同様の手順で共重合体を得た。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に記載の割合で90質量%酢酸を使用した以外は、合成例9と同様の手順で共重合体(A10)~共重合体(A12)を得た。いずれの合成例も、中和率は100%であった。
(合成例13:共重合体(A)の合成)
表1に示すように、25質量部のDMA、70質量部のSt、5質量部のMMA、連鎖移動剤として0.7質量部のn-ドデシルメルカプタン、および溶剤として35質量部のトルエンを4つ口フラスコに投入して撹拌した。次いで、約105℃まで加熱し、開始剤として1質量部のt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを加えて約110℃で3時間反応を行った。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に示すように、10.6質量部の90質量%酢酸および400質量部の水を4つ口フラスコに加えた。中和率は100%であった。次いで、加熱蒸留によりトルエンを留去した後、固形分濃度が20質量%となるように水で希釈し、共重合体(A13)を得た。
(合成例14:共重合体(A)の4級化物の合成)
表1に示すように、30質量部のDMA、50質量部のSt、10質量部のnBMA、5質量部の2EHA、5質量部の2EHMA、連鎖移動剤として0.5質量部のn-ドデシルメルカプタン、および溶剤として35質量部のイソプロピルアルコールを4つ口フラスコに加えて撹拌した。次いで、約85℃まで加熱し、開始剤として1質量部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを加えて約90℃で3時間反応を行った。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に示すように、12.7質量部の90質量%酢酸および400質量部の水を4つ口フラスコに加えた。中和率は100%であった。次いで、加熱蒸留によりイソプロピルアルコールを留去して共重合体(A14)を得た。得られた共重合体(A14)に14.1質量部のエピクロルヒドリンを加えて、約85℃で3時間反応させた。反応後、固形分濃度が20質量%となるように水で希釈し、共重合体(A14)の4級化物を得た。
(合成例15および16:共重合体(A)の合成)
表1に記載の成分を表1に記載の割合で使用した以外は、合成例1と同様の手順で共重合体を得た。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に記載の割合で90質量%酢酸を使用した以外は、合成例1と同様の手順で共重合体(A15)および(A16)を得た。いずれの合成例も、中和率は100%であった。
(比較合成例1および2)
表1に記載の成分を表1に記載の割合で使用した以外は、合成例1と同様の手順で共重合体を得た。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に記載の割合で90質量%酢酸を使用した以外は、合成例1と同様の手順で共重合体1および2を得た。いずれの合成例も、中和率は100%であった。
(比較合成例3)
表1に示すように、25質量部のDMA、75質量部のSt、連鎖移動剤として1.5質量部のn-ドデシルメルカプタン、および溶剤として35質量部のイソプロピルアルコールを4つ口フラスコに加えて撹拌した。次いで、約85℃まで加熱し、開始剤として1.5質量部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを加えて約90℃で3時間反応を行った。次いで、得られた共重合体の3級アミノ基部分および残存する微量のDMAを中和するため、表2に示すように、10.6質量部の90質量%酢酸および400質量部の水を4つ口フラスコに加えた。中和率は100%であった。次いで、加熱蒸留によりイソプロピルアルコールを留去した後、固形分濃度が20質量%となるように水で希釈し、共重合体3を得た。
Figure 0007011967000001
Figure 0007011967000002
(実施例1)
表3に示すように、合成例1で得られた固形分換算で60質量部の共重合体(A1)の水溶液(固形分濃度20質量%)を4つ口フラスコに加えて85℃まで昇温した。次いで、表3に示すように、24質量部のSt、2質量部のnBMAおよび14質量部のLMA、ならびに表4に示すように、2質量部の硫酸鉄(II)水溶液(濃度1質量%)、1.6質量部のアスコルビン酸水溶液(濃度1質量%)および15質量部の過酸化水素水(濃度8質量%)を4つ口フラスコに加えた。次いで、約85℃で3時間反応を行い、共重合体(B1)を合成した。反応後、表4に示すように7.4質量部のエピクロルヒドリンを4つ口フラスコに加えて、約85℃で3時間反応を行い共重合体(B1)の4級化物を得た。4級化率は70mol%であった。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。共重合体(B1)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレンの総量と(メタ)アクリル酸エステルの総量との質量比(スチレン/(メタ)アクリル酸エステル)、および(メタ)アクリル酸エステルに含まれる「炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル」の割合を、表5に示す。
(実施例2)
表3に示すように、合成例2で得られた固形分換算で60質量部の共重合体(A2)の水溶液(固形分濃度20質量%)を4つ口フラスコに加えて85℃まで昇温した。次いで、表3に示すように、18質量部のSt、4質量部のMMA、2質量部のnBMAおよび16質量部のLMA、ならびに表4に示すように、2質量部の硫酸鉄(II)水溶液(濃度1質量%)および15質量部の過酸化水素水(濃度8質量%)を4つ口フラスコに加えた。次いで、約85℃で3時間反応を行い、共重合体(B2)を合成した。反応後、表4に示すように8.5質量部のエピクロルヒドリンを4つ口フラスコに加えて、約85℃で3時間反応を行い共重合体(B2)の4級化物を得た。4級化率は80mol%であった。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
(実施例3~13)
表3および表4に記載の成分を表3および表4に記載の割合で使用した以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い、共重合体(B3)~(B13)を合成した。反応後、表4に記載の割合でエピクロルヒドリンを用いた以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い共重合体(B3)~(B13)の4級化物を得た。それぞれの4級化率を表4に示した。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
(実施例14)
表3に示すように、合成例14で得られた固形分換算で60質量部の共重合体(A14)の4級化物の水溶液(固形分濃度20質量%)を4つ口フラスコに加えて85℃まで昇温した。次いで、表3に示すように、18質量部のSt、4質量部のMMA、2質量部のnBMAおよび16質量部のLMA、ならびに表4に示すように、2質量部の硫酸鉄(II)水溶液(濃度1質量%)および15質量部の過酸化水素水(濃度8質量%)を4つ口フラスコに加えた。次いで、約85℃で3時間反応を行い、共重合体(B14)の4級化物を合成した。4級化率は80mol%であった。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
(実施例15)
表3に示すように、合成例15で得られた固形分換算で60質量部の共重合体(A15)の水溶液(固形分濃度20質量%)を4つ口フラスコに加えて85℃まで昇温した。次いで、表3に示すように、18質量部のSt、4質量部のMMA、2質量部のnBMAおよび16質量部のLMA、ならびに表4に示すように、2質量部の硫酸鉄(II)水溶液(濃度1質量%)および15質量部の過酸化水素水(濃度8質量%)を4つ口フラスコに加えた。次いで、約85℃で3時間反応を行い、共重合体(B15)を合成した。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
(実施例16)
表3および表4に記載の成分を表3および表4に記載の割合で使用した以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い、共重合体(B16)を合成した。反応後、表4に記載の割合でエピクロルヒドリンを用いた以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い共重合体(B16)の4級化物を得た。4級化率は80mol%であった。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
(実施例17)
表3および表4に記載の成分を表3および表4に記載の割合で使用した以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い、共重合体(B17)を合成した。反応後、表4に記載の割合でエピクロルヒドリンを用いた以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い共重合体(B17)の4級化物を得た。4級化率は90mol%であった。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
(比較例1~3)
表3および表4に記載の成分を表3および表4に記載の割合で使用した以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い、共重合体1’~3’を合成した。反応後、表4に記載の割合でエピクロルヒドリンを用いた以外は、実施例2と同様の手順で反応を行い共重合体1’~3’の4級化物を得た。それぞれの4級化率を表4に示した。反応後、固形分濃度が25質量%となるように水で希釈し、サイズ剤を得た。
次に、実施例1~17および比較例1~3で得られたサイズ剤について、サイズ性および印刷適性の評価を、下記の方法によって行った。
<サイズ性>
実施例および比較例で得られたサイズ剤が0.6質量%、および水道水が99.4質量%の割合で混合して、それぞれ塗工液を調製した。次いで、外装用ライナー用原紙(坪量160g/m2、1分Cobb吸水度250g/m2)の片面に、吸液量が15g/m2となるように塗工した。塗布後、回転式ドラムドライヤーを用いて、90℃で60秒間乾燥して、塗工紙を得た。得られた各塗工紙の1分Cobb吸水度を、JIS P8140に準拠して測定し、下記の基準で評価した。A+、AまたはB評価の場合、実用上問題のないサイズ性が発揮されていると評価した。結果を表5に示す。
+:1分Cobb吸水度が60g/m2以下の場合。
A:1分Cobb吸水度が60g/m2を超え90g/m2以下の場合。
B:1分Cobb吸水度が90g/m2を超え120g/m2以下の場合。
C:1分Cobb吸水度が120g/m2を超える場合。
<印刷適性>
上記のサイズ性試験で得られた塗工紙、中芯および内装ライナーを、この順で重ねて貼り合わせ、所定の大きさに切断して段ボールシートを得た。得られた段ボールシートの外装(上記の塗工紙)に、フレキソ印刷用のインク(墨、サカタインクス(株)製)を用いて、フレキソ印刷機(印刷版:旭化成ケミカルズ(株)製のAPR)で印刷した。500枚の段ボールシートを連続して印刷し、500枚目に印刷されたベタ部(縦1mおよび横1m)を目視で観察して白抜けの個数をカウントした。カウントされた白抜けの個数を下記の基準で評価し、A+、AまたはB評価の場合、実用上問題のないと評価した。結果を表5に示す。
+:白抜けの数が60個以下の場合。
A:白抜けの数が60個を超え120個以下の場合。
B:白抜けの数が120個を超え180個以下の場合。
C:白抜けの数が180個を超える場合。
Figure 0007011967000003
Figure 0007011967000004
Figure 0007011967000005
表5に示すように、実施例1~17で得られたサイズ剤は、1分Cobb吸水度が低く(水が吸収されにくく)、実用上問題のないサイズ性を紙に付与していることがわかる。さらに、実施例1~17で得られたサイズ剤が塗布された塗工紙は、フレキソ印刷機で印刷された部分の白抜けの数が少なく、印刷不良が低減していることがわかる。
一方、比較例1~3で得られたサイズ剤も、実用上問題のないサイズ性を紙に付与していることがわかる。しかし、比較例1~3で得られたサイズ剤が塗布された塗工紙は、フレキソ印刷機で印刷された部分の白抜けの数が多く、印刷不良を生じていることがわかる。
1 紙
11 紙粉
2 刷版
3 インク
4 白抜け(印刷不良部分)

Claims (12)

  1. 3級アミノ基含有モノマー(a)と第1の疎水性モノマー(b1)とを含有するモノマー混合物を反応させて共重合体(A)を得る第1工程と、
    共重合体(A)と第2の疎水性モノマー(b2)とを反応させて共重合体(B)を得る第2工程とを含み、
    第1の疎水性モノマー(b1)および第2の疎水性モノマー(b2)の少なくとも一方に、スチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれ、第1工程におけるモノマー混合物にスチレン類が0~70質量%の割合で含まれており、
    前記(メタ)アクリル酸エステルが、炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを、20質量%以上の割合で含み、
    共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量と(メタ)アクリル酸エステルの総量との質量比(スチレン類/(メタ)アクリル酸エステル)が、1.0以上1.8以下であることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤の製造方法。
  2. 前記第1工程において前記共重合体(A)に存在する3級アミノ基を4級化するか、あるいは前記第2工程において前記共重合体(B)に存在する3級アミノ基を4級化することによって、前記共重合体(B)を共重合体(B)の4級アンモニウム塩にする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第1の疎水性モノマー(b1)および前記第2の疎水性モノマー(b2)のいずれもスチレン類を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記第1工程において、前記共重合体(A)に存在する3級アミノ基部分を酸で中和する請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記共重合体(A)が、50nm以下の平均粒子径を有する請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記共重合体(B)の4級アンモニウム塩が、500nm以下の平均粒子径を有する請求項2~のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記共重合体(B)の4級アンモニウム塩の4級化率が、50モル%以上である請求項2~のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記3級アミノ基の4級化が、エピクロルヒドリンを用いて行われる請求項2~のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記3級アミノ基含有モノマー(a)が、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートおよびジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  10. 共重合体(A)と第2の疎水性モノマー(b2)との反応物である共重合体(B)を含み、
    共重合体(A)が、3級アミノ基含有モノマー(a)と第1の疎水性モノマー(b1)とを含有するモノマー混合物の反応物であり、
    第1の疎水性モノマー(b1)および第2の疎水性モノマー(b2)の少なくとも一方に、スチレン類および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方が含まれ、3級アミノ基含有モノマー(a)と第1の疎水性モノマー(b1)とを含有するモノマー混合物にスチレン類が0~70質量%の割合で含まれており、
    前記(メタ)アクリル酸エステルが、炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを、20質量%以上の割合で含み、
    共重合体(B)を構成しているモノマー成分に含まれるスチレン類の総量と(メタ)アクリル酸エステルの総量との質量比(スチレン類/(メタ)アクリル酸エステル)が、1.0以上1.8以下であることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。
  11. フレキソ印刷で印刷される紙に処理される請求項10に記載のカチオン性表面サイズ剤。
  12. 請求項10または11に記載のカチオン性表面サイズ剤が処理された紙。
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