JP4602405B2 - 粒子状物質パターンのサンドイッチ構造を形成させるプロセス - Google Patents

Description

本発明は、ウェブ材及び粒子状吸収材料が含まれた複合材料に、極めて明確な粒子状物質パターンを形成させるプロセスに関するものである。本発明は、プロセスの設備設計及びプロセスパラメータを決定する方法に関するものでもある。ある用途においては、本発明は、使い捨て吸収性物品などに有用であると思われる液体吸収構造の実現プロセスを提供する。

ある特定のパターンによって粒子状物質が含まれている複合構造は当該技術分野においてよく知られており、例えば欧州特許第１，４４７，０６６号（ブーサム（Busam）ら、Ｐ＆Ｇ）には吸収性物品用の吸収性コアが開示されているが、このコアには、濡れると不動化する粒子状吸収物質が含まれている。吸収性コアには、吸収性ポリマー物質のような吸収性物質を有した基質層が１つ備わっている。

また、米国特許第４，３８１，７８３号（エリアス（Elias）Ｅｌｉａｓ）には、吸収性ヒドロコロイド物質のポケットが備わっているコアを持つ吸収性物品が開示されている。ポケットは、吸収性ポリマー材の動き、特に物品の全体又は一部に尿がしみ込んだ時の動きを制限するために配置されているものである。ポケットは吸収層の一部を成しており、一般にはセルロース物質から形成されている。つまり、特許の指示内容に従って吸収性ポリマー物質を十分に不動化させるには、比較的大量のセルロース物質が必要になる。更には、ポケットを配置すると、コアの高吸収性区域、例えば吸収性ポリマー物質の区域に液体が無制限に流入するのを防げる可能性がある。

つまり、粒子状吸収性ポリマー物質（吸収性ゲル化物質又は超吸体と呼ばれることも多い）などの吸収性物質を不均等に配置させた吸収性物品を作るプロセスもよく知られている。国際公開特許第０３／１０１６２２Ａ２号（トムブルト（Tombult）ら、Ｐ＆Ｇ）では、不連続的な粒子配置を可能にするパルス法について開示されており、また、米国特許５，２１３，８１７号（ペリー（Pelley）、マクニール（McNeill）ＰＰＣ）でも同様の構造が形成される場合がある。

ウェブ上に粒子状吸収性物質パターンを配置するためのプロセスについては、回転マスクを用いるものが米国特許第４，８００，１０２号（タナカ（Tanaka）、ノードソン（Nordson））に記載されており、ＷＯ９２／０１９１９８Ａ号（Ｐｅｒｎｅｂｏｒｎ／Ｍφｌｎｌｙｃｋｅ）には直線的に動くマスクが開示されている。仏国特許公開第２，５８３，３７７号（ピロン（Piron）、コルゲートパーモリーブ（Colgate Palmolive））では、コンベヤーベルトのキャリア上に不連続的なパターンを形成させるためにホッパーから投与される吸収性粉末を入れる計量ドラムが開示されている。ドラムは段階的な動作を見せる。

米国特許第５，４９４，６２２号（ヒース（Heath）ら、Ｋ−Ｃ）では、所望のパターンで粒子のポケットを高速で移動するウェブ上に形成させることに照準が定められている。パターンチャンバーには高吸収性物質の粒子が搭載されており、物質を通じて、開口部パターンを備えた表面上に気体透過性ウェブを運んで、開口部を通じて真空状態を実現して、表面の開口部パターンのウェブ上に粒子が沈着するようにする。粒子が沈着したウェブは液体透過性物質で覆うとともに、透過性ウェブにさまざまな大きさの張力を加えてウェブの多孔性を変化させる。粒子は所望のポケットパターンでウェブ上に固定し、各ポケット間にある余剰粒子は除去する。このようにして形成させたポケットは「島」のように、その周囲はすべて接合領域に囲まれている。

上記特許には、表面又は可動基質上に粒子状物質を配置する方法についてのさまざまなアプローチが記載されているが、現在でも、極めて明確なパターンで粒子サンドイッチを素早く形成させる方法に対するニーズが存在している。

更に、これらの各アプローチのある特定の最適条件を解釈又は推測できる一方で、最良のプロセス設定とともに最適な設計を実現する方法、特に、あらゆる種類の製品で必要と思われる変動パターンや坪量の設定などの変動境界条件に対し幅広く適用できる方法はない。

プロセス解析及び／又はプロセスパラメータに対して数学モデルシミュレーションを適用する方法については、米国特許第６，５２９，８６０号（ストルモロ（Strumolo）ら、フォード（FOAD））に開示されているように、当該分野において既知である。ここで、様々なコンピュータ関連ツールを用いて自走車両の設計及び検査、特に車両パネル上への土の付着に関する検査を円滑化している。

しかし今までのところ、粒子パターン形成を目的とする粒子設定システムのシミュレーションについて、特に使い捨て吸収性物品の製造に適用するための解決策は得られていない。

従って本発明の態様の一つは、極めて明確なパターンでウェブ材の間に挟み込んで粒子状物質を含有させたサンドイッチ構造を形成させるプロセスに関するものである。このプロセスは、
−移送装置上のパターン形成手段内で予め設定されたパターンを形成させることと、
−そのようにして形成させたパターンをキャリアウェブ材の上に配置することと、
−キャリア材上のパターンをカバーウェブ材で被覆することと、
−及び、キャリア材及びカバーウェブ材を接合してサンドイッチ構造を形成させることによってパターンを不動化すること、
とを含む。

この目的を達成するために、粒子状物質、粒子状物質を収容領域で収容し排出領域へ移送するための第１のパターン形成手段を有する移送装置、外側サンドイッチ層を形成させるキャリア材及び／又はカバー材として使用する本質的に平坦なウェブ材、移送装置の第１のパターン形成手段のパターンと同じ支持パターンを有するキャリア材を支持するための本質的に無端のキャリア支持手段、キャリア支持手段の表面上へキャリア材を一時的に固定するためのキャリア材保持手段、及びサンドイッチ構造を合体させるためのサンドイッチ固定手段が用意されている。

キャリア材及びカバー材は単一の素材にして双方のサンドイッチ層を形成させても、複数の素材にして外側サンドイッチ層を形成させてもよい。

プロセスには更に、粒子状物質を移送装置の収容領域へ移送し、それによって第１のパターン形成手段によって粒子集合体のパターンを形成させる工程、粒子状物質のパターンを、移送装置の排出領域へ移送する工程、キャリア支持速度に対応したキャリア速度で、キャリア材をキャリア支持手段上で誘導する工程、キャリア材保持手段によってキャリアウェブ材を変形させて非支持領域にくぼみを形成させ、それによって粒子集合体のパターンに対応したパターンを形成する工程、移送装置からキャリアへ向けて粒子状物質を放つ工程、変形したウェブキャリア材の上へ、放たれた粒子状物質を配置する工程、キャリア材とパターン状の粒子状物質へカバー材を配置してサンドイッチ構造を形成させ、外側の各サンドイッチ層を少なくとも接合領域の一部で接合するための固定手段を実施する工程が含まれている。

本発明のさらなる態様は、
１）サブモデル連関境界条件により連関されたサブモデルを任意に含め、相互作用する境界条件で連関され物理的モデルを形成する一連の物理方程式を準備することと、
２）設備セットアップ全般、プロセス要件全般、および一連の初期操作条件を含む一連の固定された境界条件を選択する（固定モデル入力する）ことと、
３）予め設定された一連のモデルターゲットを準備することと、
４）一つのシミュレーション中で変わりうる一連の変数境界条件を選択する（変数モデル入力する）ことと、
５）固定及び変数モデル入力値を利用して、物理方程式の計算操作を実施することと、
６）計算結果を、直接又は好ましくはコンピュータ機器を用いて分析者に判読可能なモデル出力へ変換することと、
７）モデル出力を予め設定されたモデルターゲットと比較し、その間の偏差を算出することと、
８）好ましくは、モデル出力及び予め設定されたモデルターゲットの間の偏差を最小限にするためにコンピュータによる式を用い、一連の変数境界条件を変更することと、
９）工程４）から８）を、プリセット終了条件を満たすまで繰り返すこと、
によって、可動面上に粒子状物質を選択的に配置するプロセスのための設備設計及びプロセスパラメータを定める方法である。

これらの工程はコンピュータ機器を用いて実施するのが好ましい。繰り返し工程は、モデル出力及び予め設定されたモデルターゲット間でプリセット終了偏差条件を設定することによって、プリセット繰り返し回数を設定して終了することができる。

本発明の別の態様は、可動面上に粒子状物質を選択的に配置するプロセスのための設備設計及びプロセスパラメータを定めるシステムであり、システムには、メモリデバイス及び、メモリデバイスと通信するよう配置させたプロセッサが搭載されており、プロセッサは、
ａ）バーチャルシミュレーションプログラム及び境界条件全般と、
ｂ）シミュレーションターゲットと、
ｃ）シミュレーション開始パラメータと、
を格納するように構成され、これにより、
一連の予め設定された出力パラメータを計算して出力機器へ出力パラメータを転送するシステムである。

本明細書で使用する時、以下の用語は以下の意味を有する。

「吸収性物品」とは、液体を吸収及び収容する装置を指し、より具体的には、着用者の身体に接触又は近接するように配置して、身体から排泄された様々な排出物を吸収及び収容する装置を指す。吸収性物品としては、おむつ、成人失禁用ブリーフ、トレーニングパンツ、おむつホルダー及びおむつライナー、生理用ナプキン等が挙げられるが、これらに限定されない。

「おむつ」とは一般的に、乳幼児及び失禁症者が胴体下部の周りに着用する吸収性物品を指す。

「使い捨て」という用語は、本明細書では、通常洗濯又は他の方法で復元又は再使用することを想定していない（すなわち、１回使用した後に廃棄、好ましくはリサイクル、堆肥化、又は環境に適合する方法で処理することを前提としている）物品を説明するために使用する。

「含む」及び「含んでいる」という用語は、その目的語、例えば構成要素の存在を指定する制限のない用語であるが、当技術分野で既知の又は本明細書で開示した他の機構、要素、工程又は構成要素の存在を排除しない言葉である。

「ウェブ材」という用語は、一方向、すなわち縦方向、あるいは長さ方向又はウェブ材のデカルト座標のｘ軸方向に向かって本質的に無端の物質を指す。この用語には、本質的に無端の物質を切断した断片又は別の方法で物質から分離させた断片をほぼ無限に配列したものも含まれる。必ずというわけではないが、ウェブ材の厚み（ｚ軸方向の長さ）は縦方向の伸長部（ｘ軸方向の長さ）よりもかなり短い場合が多い。必ずというわけではないが、ウェブ材の幅（ｙ方向）は、厚みよりもかなり長く、全長よりかなり短い場合が多い。必ずというわけではないが、ウェブ材の厚みと幅はウェブの長手方向に沿ってほぼ一定の値をとる。何ら制限するわけではないが、ウェブ材は、セルロース系繊維材、ティッシュ、織布又は不織布材などにしてよい。必ずというわけではないが、ウェブ材は一般には、ロール状に巻いたり、スプールに巻いたり、折り畳んで箱に入れたりした状態で提供される。そして、入手した個々のウェブ材をつなぎ合わせて、本質的に無端の構造を作り出してよい。ウェブ材は、多層不繊布、コーティングティッシュ、不繊布／フィルムラミネートといった複数のウェブ構成材から構成させてよい。ウェブ材には、追加の接合剤、粒子、親水化剤といったその他の物質を含有させてもよい。

「超吸収体」「超吸収材料（ＳＡＭ）」「吸収性ゲル材料（ＡＧＭ）」「吸収性ポリマー材料」は、本明細書では同義語として使用するとともに、部分架橋ポリマー材を指し、部分架橋ポリマー材は、水を吸収可能で、膨張してゲルを形成するものである。

本発明は、非常に効果的かつ精密なパターン状のサンドイッチ構造の製造方法に関するものであり、サンドイッチ構造内において、粒子状物質を極めて明確な量かつパターンでウェブ材の間に挟み込むものである。

本発明は、具体的には連続製造プロセスでの使用に適しており、プロセス中、粒子状物質はバルクで投入し、キャリアウェブは本質的に無端のウェブ材であり、また、ウェブ材は、後続のプロセス工程では、個々のウェブ片に切り離して製造物の一部を形成させてよい。このような構造は、使い捨て乳児用おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁用物品、婦人衛生物品などの使い捨て吸収性物品に特に有用であるが、これらに限定されない。このような物品は、使用目的及び／又は対象ユーザーによって求められる吸収力が異なり、さまざまなニーズがある。このような実施形態では、キャリアウェブ材は不織布材のような液体透過性ウェブにしてよい。

粒子状物質は、任意の粒子状物質にしてよい。サンドイッチ構造が吸収性物品に有用な液体吸収構造である場合、粒子状物質は、好ましくはいわゆる超吸収材料である。

本発明では、サンドイッチ構造という用語は、キャリア材とカバー材が本質的に層状に配置されており、粒子状物質が２つの材料の間に配置されている状態を指す。典型的には、キャリア材及びカバー材は互いに接着する。粒子は、各粒子間及び／又はキャリア材／カバー材との間で接着しても、しなくてもよい。キャリア材及び／又はカバー材の表面が滑らかである場合、典型的には粒子は表面上に保持される。粒子の大きさ及び表面の粗度又はキャリア材／カバー材の開放性に応じて、粒子状物質の一部をこれらの材料内に浸透させてもよい。

必ずというわけではないが、典型的には、キャリア材及び／又はカバー材がウェブ材となり、ウェブ材にはウェブ材の断片も含まれている。キャリア材及びカバー材は、同じ材料又は異なった材料から形成させてよい。キャリア材及びカバー材は、例えば中央部を覆うようにしてキャリア材の側面部を折り畳む場合などには、単一材料としてよい。

粒子状物質のパターンには粒子集合体（すなわち、粒子状物質の集合体）が複数含まれており、各集合体には粒子が複数含まれているものと考えられている（図３参照）。粒子集合体は、サンドイッチ構造を形成させた後に、サンドイッチ内に存在していてもよい。粒子集合体は、形成プロセス中、例えば粒子状物質の事前計量工程や事前パターン形成工程中に形成されてもよい。サンドイッチ構造中における粒子集合体には、事前に形成させた異なる集合体の粒子や事前に形成させた集合体の一部の粒子を更に含めてもよい。形成プロセス中に形成される粒子集合体は、その形状や形態は変化することなくサンドイッチ構造に組み込むのが好ましい。

粒子集合体に含有させる粒子は約１０粒でもよいが、数百、更には数千粒でもよい。粒子は、本質的に「単層の」構造内、又は厚さが本質的に一定の（又は多様な厚さを持たせてもよい）多層構造内に配置してもよい。この厚みは、被覆粒子層の数で表しても、局部的又は平均的な坪量（特定の単位面積あたりの粒子の重量）で表してもよい。当業者であればすでに気が付いているだろうが、「局部的な」坪量でも、ある程度の平均化は必要になると思われる。しかし、設計によって特定の領域の坪量をその領域にわたって不均一にした場合、例えば、顆粒状物質を山積みにするケースでは、領域の中央に行くほど厚みを増大させた場合、坪量の分布は、山積み状の顆粒状物質の断面図に従う時は、平滑曲線によって概算値を求めてよい。また別の方法として、領域の平均坪量を割り出せるように、また任意に応じてその領域の一定の変化性とともに平均坪量を割り出せるように、領域の坪量が領域全体にわたって一定になるように設計してもよい。隣接する領域の坪量についても同様にすることができるが、必ずしも上記のようにする必要はない。

複数の集合体によって第１のパターンが形成されているが、このパターン内では、集合体は幾何学的な形で間隔を空けて配置されている。パターンに含まれる集合体の数はわずか２つであってもよいが、一般には１０個以上である。パターンに含まれる集合体の数は１，０００個未満であることが多い。複数の集合体によって、第１のパターンの中に規則的又は不規則なサブパターンを形成させてもよい。集合体を別々に配置して、粒子が本質的に含まれていない領域に領域の各々が本質的に囲まれるようにしてもよい。

典型的には、粒子が本質的に直接接触し合うように、すなわち、各粒子が少なくとも一つの他の粒子と接触するように粒子を配置する。ただし、各粒子を接触させないケースもありうる。更に、集合体内で隣り合っている粒子の間隔は通常、第１のパターン又はサブパターン内で隣り合っている粒子集合体の間隔よりも短くなる（図３Ａ及びＢ）。

粒子パターンは本質的に切れ目なく続く配置で形成させるが、ある特定の反復パターンが発生するため、次に作られる物品で同じパターンが反復されることになると思われる。したがって、「マクロパターン」という用語は、各パターンによって物品の成分を形成させるような反復パターンを意味する。

集合体中の粒子状物質の幾何学的配置に加え、ある特定の目的に対しては、その量が重要であることが多い。以降、とりわけ個々の集合体内量が同量でない場合は、材料の正確な計量が不可欠となる。

一般にサンドイッチ構造は、使用目的によって定められた一連の要件を満たしていなければならない。典型的なこれらの要件を以下に示すが、以下に限定されない。
−粒子状物質の量及び分布（明確なパターン定義を含む）
−サンドイッチ構造の大きさ及び形
−適正な形成及び梱包を可能にするサンドイッチ構造の機械的特性、及び使用目的に関わるサンドイッチ構造の機械的特性（使用時の快適性に悪影響を与えないような強度、曲げ性、柔軟性）
−サンドイッチ構造の構成成分の接合
−吸収時及び乾燥時の双方におけるサンドイッチ構造内粒子状物質の不動化
−本質的に無端のサンドイッチ構造全体、又は本質的に無端の構造の断片間における要件の可変性

サンドイッチ構造の形成プロセスは、製品デザイン及び品質基準に適合しているのみならず、更に有効かつ効率的な方法でなければならない。典型的には、プロセスは、０．５ｍ／秒超過、更には１０ｍ／秒超過のウェブ材速度を要する速い形成速度で継続的に形成させてもよい。プロセスは、例えばあるサイズから別のサイズに変更するなどの製品デザインの変更を迅速に行えるように、可撓性を非常に大きくする必要もある。設備及びプロセスともに、修復のための形成休止期間が最小限になるように頑強な構造にすべきである。

本発明は、上記要件の全てを満たすプロセスを提供している。これは、以下の工程を含む形成方法（図４参照）を提供することによって実現させる。
−パターン形成手段又は移送装置を用いて、事前に計量した量の粒子状物質を予め設定されたパターンで形成させる工程
−粒子状物質を、キャリア材上の粒子集合体のパターン内に配置する工程
−キャリア材上のパターンをカバー材で被覆する工程
−及び、キャリア及びカバーウェブ材を接合してサンドイッチ構造を形成させることによって、パターンを不動化する工程

更に、全てのプロセス工程並びにそれに対応する設備のデザインパラメータは、精密に適合しあっていることが重要である。

本発明を制限することが目的ではないが、例えば乳児用おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、婦人衛生用パッドなどの使い捨て吸収性物品の吸収性コアに使用するのにふさわしい吸収性構造の形成を対象として代表的なものを以下に記載する。

代表的な吸収性構造を図１及び図２に示す。図１は、本発明による吸収性物品の好ましい実施形態であるおむつ２０の平面図である。おむつは、収縮させずに広げた状態（すなわち弾性によって収縮させていない状態）で示してある。この構造の一部を切り取り、おむつ２０の下層構造をより明確に示してある。また、おむつ２０の着用者と接触する部分が見えるように示してある。図１のおむつ２０のシャーシ２２は、おむつ２０の本体を構成している。シャーシ２２には、液体透過性トップシート２４及び／又は液体不透過性バックシート２６を備えた外側カバーが搭載されている。シャーシには、トップシート２４とバックシート２６の間に挿入させた吸収性コア２８の一部が含まれていてもよい。また、シャーシには、トップシート２４とバックシート２６の間に挿入させた吸収性コア２８の大部分又は全部が含まれていてもよい。更にシャーシにはサイドパネル３０、伸縮性レッグカフ３２、伸縮性ウエスト機構３４が備わっているのが好ましく、レッグカフ３２及び伸縮性ウエスト機構にはそれぞれ伸縮性部材３３が含まれているのが典型である。おむつ２０の一端は、おむつ２０の第１のウエスト領域３６を構成している。反対側の端部は、おむつ２０の第２のウエスト領域３８を構成している。おむつ２０の中間部は、第１のウエスト領域３６と第２のウエスト領域３８の間で長手方向に延びる股部３７を構成している。ウエスト領域３６及び３８には伸縮性成分を含有させて、成分が着用者の腰の周りで収縮してフィット感及び密閉力を向上させるようにしてもよい（伸縮性ウエスト機構３４参照）。股部３７はおむつ２０の一部分であり、おむつ２０を着用した時に着用者の脚の周辺に来る部分である。おむつ２０には長手軸１００及び横軸１１０が描かれている。おむつ２０の外周は、おむつ２０の外縁部によって形成されており、外縁部では長手縁部４４がおむつ２０の長手軸線１００とほぼ平行に走っており、また終縁部４６がおむつ２０の横軸線１１０とほぼ平行に、両側の長手縁部４４をつなぐように走っている。また、シャーシには締着装置も含まれており、装置には締着部材４０を少なくとも一つ、ランディング領域４２を少なくとも一つ含めてよい。

一体型吸収性物品では、シャーシ２２におむつの主要構造が搭載されており、この構造には、おむつの複合構造を形成するために追加した他の機構が備わっている。トップシート２４、バックシート２６、及び吸収性コア２８は、周知の様々な形態で組み立ててよいが、好ましいおむつの形態は、米国特許第５，５５４，１４５号「腰部用の伸長性を有する弾性を備えたフィルム状の織物で構成される多様な区画を有する吸収材」（ロー（Roe）ら、１９９６年９月１０日発行）、米国特許第５，５６９，２３４号「使い捨てプルオン・パンツ」（ブエル（Buell）ら、１９９６年１０月２９日発行）、及び米国特許第６，００４，３０６号「複数の方向に伸長するサイドパネルを持つ吸収性物品」（ロブレス（Robles）ら、１９９９年１２月２１日発行）に記載されている。

図１及び２のトップシート２４を全体又は部分的に伸長又は収縮させて、トップシート２４と吸収性コア２８の間に空間が形成されるようにしてもよい。伸縮性又は収縮性トップシートを備えた代表的な構造は、米国特許第５，０３７，４１６号「弾性的延伸性トップシートを有する使い捨て吸収性物品（Disposable Absorbent Article Having Elastically Extensible Topsheet）」（アレン（Allen）ら、１９９１年８月６日発行）、及び米国特許第５，２６９，７７５号「使い捨て吸収製品用の三等分したトップシート及びそのトップシート付きの使い捨て吸収製品」（フリーランド（Freeland）ら、１９９３年１２月１４日発行）に更に詳細に記載されている。

図１の吸収性コア２８は通常、トップシート２４とバックシート２６の間に配置する。後述する吸収性サンドイッチ構造に加えて、全体に圧縮性と密着性を備え、着用者の皮膚に刺激を与えないうえに、尿及び体から発せられるその他の特定の排出物を吸収及び保持可能な吸収性物質を吸収性コア２８に含有させてもよい。吸収性コア２８には、通常エアフェルトと呼ばれている粉砕木材パルプなど、使い捨ておむつ及びその他の吸収性物品で広く使用されている多種多様な液体吸収性材料を含めてもよい。その他の好適な吸収性材料の例としては、クレープセルロースワッディング、メルトブローポリマー（コフォームなど）、化学硬化、化学修飾、又は化学架橋を施したセルロース繊維、ティッシュ（ティッシュラップ、ティッシュラミネートなど）、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル化材、もしくはその他のいかなる既知の吸収材又はこれらの材料の混合物などが挙げられる。吸収性コア２８には、液体保持領域６０、並びに、捕捉層５２及び／又は分配層５４といったその他の液体処理成分５０を設けてもよい。吸収性コア２８には更に、微量（通常１０％未満）の非流動性吸収材、例えば、接着剤、ワックス、油などを含有させてもよい。

吸収性集合体として使用する吸収性構造の代表例は、米国特許第４，６１０，６７８号（ワイズマン（Weisman）ら）、米国特許第４，８３４，７３５号（アルマニー（Alemany）ら）、米国特許第４，８８８，２３１号（アングスタット（Angstadt））、米国特許第５，２６０，３４５号（デマレー（DesMarais）ら）、米国特許第５，３８７，２０７号（ダイアー（Dyer）ら）、米国特許第５，３９７，３１６号（ラボン（LaVon）ら）、及び米国特許第５，６２５，２２２号（デマレー（DesMarais）ら）に記載されている。

バックシート２６はトップシート２４と接合してもよい。バックシート２６は、吸収性コア２８に吸収されて物品２０内に収容された排出物が、ベッドシーツや下着など、おむつ２０と接触する場合のある他の外部の物品を汚すことを防ぐ。好ましい実施形態では、バックシート２６は液体（例えば尿）に対して本質的に不透過性を有し、不織布と薄いプラスチックフィルム（厚さ約０．０１２ｍｍ（０．５ミル）〜約０．０５１ｍｍ（２．０ミル）の熱可塑性フィルムなど）から成る積層体を備えている。好適なバックシートフィルムとしては、インディアナ州テレホートのトレデガーインダストリ社（Tredegar Industries Inc.）製の市販品Ｘ１５３０６、Ｘ１０９６２、及びＸ１０９６４が挙げられる。その他の好適なバックシート材には、おむつ２０から蒸気を逃しながら、更に排出物がバックシート２６を通過することを防ぐ通気性材料もある。代表的な通気性材料としては、織ウェブ、不織ウェブ、複合材（フィルムコーティング不織ウェブなど）、並びにミクロ孔質フィルム（日本の三井東圧化学株式会社製のＥＳＰＯＩＲ ＮＯ、及びテキサス州ベイシティーのエクソンケミカル社（EXXON Chemical Co.）製のＥＸＸＡＩＲＥなど）が挙げられる。ポリマーブレンドが含まれている好適な通気性複合材は、オハイオ州シンシナティのクロペイ社（Clopay Corporation）がＨＹＴＲＥＬブレンドＰ１８−３０９７の名称で市販しているものである。通気性複合材については、デュポン社（E. I. DuPont）の名のもとで１９９５年６月２２日に公開されたＰＣＴ出願番号ＷＯ９５／１６７４６号に非常に詳しく記載されている。不織ウェブ、孔成形フィルムといったその他の通気性バックシートについては、米国特許第５，５７１，０９６号（ドブリン（Dobrin）ら、１９９６年１１月５日発行）に記載されている。

更に、当技術分野においてよく知られているその他の機構（フロントイヤーパネル及びリヤイヤーパネル、ウエストキャップ機構、伸縮材など）をおむつ２０に搭載して、フィット感、密閉力、美的特性を向上させてもよい。このような追加機構は当該技術分野においてよく知られており、また例えば米国特許第３，８６０，００３号及び米国特許第５，１５１，０９２号に記載されている。

着用者の体におむつ２０を固定するために、好ましくは第１のウエスト領域３６の少なくとも一部を締結部材４２によって第２のウエスト領域３８の少なくとも一部に取り付けて、脚部開口部及び物品の腰部を形成させるのが好ましい。締結する時、締結装置が物品の腰部周辺の引張荷重を支える。締結装置は、物品の使用者が締結部材４２などの締結装置の成分の１つを手に持って、少なくとも２箇所で第１のウエスト領域３６を第２のウエスト領域３８に連結できるように設計する。これは、締結装置の各成分の接合強度を操作することによって実現させる。本発明のおむつ２０には最閉可能な締結装置を搭載してもよく、またその代わりにパンツ型おむつの形態を採用してもよい。

本発明における吸収性構造の実施形態には、ラミネート構造、通常は「サンドイッチ構造」と呼ばれる構造が含まれている。この構造は、本質的に平坦な２つの外部層を備えたデザインを意味し、外部層はウェブ材又はウェブ材の断片であり、親水性ポリマー材などから作ったティッシュ、織布又は不織布などのコアウェブ材である場合もある。好ましい材料の１つはいわゆるＳＭＳ材で、スパンボンド層、メルトブロウン層、また別のスパンボンド層から構成されている素材である。非常に好ましいのは、永久親水性を有する不織布、とりわけ永久親水性コーティングが施された不織布である。ＳＭＳに代わる好ましい材料はＳＭＭＳ構造を有するものである。

最上層５６及び最下層５８は、２枚以上の独立した素材シートから形成させてもよく、またその代わりに単一の素材シートから形成させてもよい。この単一の素材シートは、例えば半分に折った状態で保持層６０の周りに巻き付けてもよい。

好ましい不織布材は、ＰＥ、ＰＥＴ、及び最も好ましくはＰＰなどの合成繊維から形成させたものである。不織布の製造で使用するポリマーは本質的に疎水性を備えているため、親水性コーティングを施すのが好ましい。永久親水性コーティング不織布を製造するための好ましい方法は、同時係属中の欧州特許出願１，４０３，４１９号に記載されているように、親水性モノマー及びラジカル重合反応開始剤を不織布に塗り、紫外線で活性化して重合を起こすことによって、不織布の表面に化学結合したモノマーを生成させるものである。

保持層６０は２つのウェブ層の間に配置するとともに、粒子状物質、とりわけ上述した超吸収性物質を含有させる。典型的には、物質は不規則な形状又は球形状をしており、尿などの液体と接触すると膨張する機能を備えている。物質は粒状、球形状、フレーク状、繊維状といった様々な形状又は形態にしてよいが、形が不揃いで、平均粒径が１０μｍ〜１０００μｍ、好ましくは平均粒径が５μｍの物質が５重量％未満、及び好ましくは平均粒径が１，２００μｍ超過の物質が５重量％未満である場合が多い。

本発明の吸収性コア用粒子状吸収性ポリマー材を使用するのは有益であることが分かっている。理論に束縛されるものではないが、物質は膨張した状態でも、すなわち液体を吸収した後でも、とりわけ吸収性ポリマー材の塩水流伝導度で示される透過性が１０、２０、３０、又は４０ＳＦＣ（１ＳＦＣは１×１０^−７（ｃｍ^３×秒）／ｇ）超の時には、本質的に材料全体にわたる液体の流れを妨害しないと考えられている。塩水流伝導度は当該技術分野において周知のパラメーターであり、欧州特許第７５２，８９２Ｂ号（ゴールドマン（Goldman）ら）に開示されている試験にしたがって測定されるものである。

サンドイッチ構造を採用する場合には部分的に矛盾する要件が多数存在するが、容認可能な性能を実現するためにはサンドイッチ構造では要件を満たす必要がある。

したがって、粒子状物質は不動化させるのが好ましい。この不動化は、製造中及び使用中にサンドイッチ構造の粒子配列を保持するためのものである。最近の商品では、吸収力のニーズは商品のパーツによって大きく異なっており、例えば、受容点の周囲には、受容点から離れた部分よりも優れた吸収力、すなわち多くの吸収性素材が必要になると思われる。製品の設計基準によって吸収力の配分特性を定めたら、その特性を実現し、商品の使用サイクルにわたって（とりわけ使用中に）その特性が維持されるようにする必要がある。

更に、粒子状物質は無制限に膨張可能にする必要がある。上述したような最近の吸収材でさえも、その吸収力は加わる圧力の影響を多少受ける。この圧力は、通常使用時に発生する圧力、例えば着用者である乳幼児が商品の上に座った時に加わる圧力である場合がある。その一方で、圧力はサンドイッチ構造内で発生した圧力である場合もあり、例えば、外側のウェブ層５６及び５８を膨張不可能なほどぴったり接合してしまい、サンドイッチ構造の吸収力が落ちるケースが考えられる。

更に重要な要件として、サンドイッチ構想全体、つまり、サンドイッチ構造の長手方向（縦方向、ｘ軸方向）、水平方向（横方向、ｙ軸方向）に加え、厚み、つまり測径方向（ｚ軸方向）の液体分配に関するものがある。

典型的な乳児用おむつのデザインについては、吸収性構造に対する全般デザイン要件は、一般的には欧州特許番号第１，４４７，０６６号の記載に従うことができ、更に、
超吸収性粒子状物質は、不織布ウェブ材の間に挟み込むことに従ってもよい。

粒子状物質の中央粒径は通常約４００μｍであり、粒子状物質は市販材料にしてよい。非ウェブ材は、坪量が２０ｇ／ｍ^２以下である従来の親水化ＳＭＳポリプロピレンウェブにしてもよい。粒子状物質は、分離されている「集合体」のパターンに配置させる。集合体（図３Ａ、Ｂ参照）は、ｘｙ方向に約５ｍｍの大きさで、約１０ｍｍ間隔で均一に広がっている。本質的に粒子が全く含まれていない接合領域である各集合体間は、３ｍｍ以上の円状に広がっている。隣り合っている集合体は、連続的接合線又は接合領域によって分離されない。

各集合体内の粒子状物質の量は、直径約１５ｍｍの集合体につき約０．２５ｇ（集合体内の平均坪量約１５００ｇ／ｍ^２に相当）から、この１％量まで変化させることができる。

粒子状物質は典型的には粒子保持手段からプロセスの装置に投入し、通常はバルク状態で投入する。バルクとは、各粒子についての特性及びパラメータ（構成、寸法、形状、粒子密度など）、更には粒子の塊についての特性及びパラメータ（バルク密度、粒径分布、又は流動性）によって粒子の塊を表したものである。

本明細書の背景技術に記載した現状の粒子配置システムは、速度に大きく左右されるのが一般的で、高速で作動させると、位置決めや適用重量に関して容認しがたい問題やばらつきが発生する。プロセス全体は、事前計量及びパターン形成を行う第１のプロセス、キャリア材及びカバー材の間に粒子状物質のパターン（すなわち、粒子状物質の集合体のパターン）を挟み込む第２のプロセスという２つのサブプロセスから構成されている。

プロセスの概略図を図４で確認することができるが、図４では、粒子状物質投入装置４１０、キャリア材３２０の投入装置４２０及びカバー材３３０の投入装置４３０、キャリア材支持手段４７０、キャリア支持手段４７０、オプション要素である粒子移送装置４４０が描かれている。更には、キャリア材３２０とカバー材３３０の間に配置された粒子状物質３１０を備えたサンドイッチ構造３００も描かれている。

粒子状物質は典型的には粒子保持手段からプロセスの装置に投入し、通常はバルク状態で投入する。バルクとは、各粒子についての特性及びパラメータ（構成、寸法、形状、粒子密度など）、更には粒子の塊についての特性及びパラメータ（バルク密度、粒径分布又は流動性）によって粒子の塊を表したものである。

粒子状物質はウェブ材の可動面上に配置する。したがって、プロセスは典型的に、バルク保持手段からウェブ材の上に規則的なパターンで粒子を配置するものと説明することができる。

プロセスでは、粒子性物質を正確な位置に配置することが求められるうえに、非常に速い「変換」速度の中の最高速度にも対応可能でなければならない（速度は、現在の枠組みの中では通常、可動表面の速度ということになる）。

現在の粒子配置システムの多くは、背景技術の部分で述べたとおり、速度に大きく左右されるのが一般的で、速度で作動させると、位置決めや適用重量に関して容認しがたい問題やばらつきが発生する。

本明細書に参照として組み込まれている同時係属中の欧州特許出願（代理人整理番号ＣＭ２８７７ＦＱ）は、吸収性物品、とりわけおむつ用に、キャリア層の上に吸収性ゲル化材を間接的に配置する（この時、粒剤はバルク保持手段から移送装置に取り込まれる）方法を示すことによって、上記問題に対する解決策を提示している。図４では、移送装置４４０にはその表面に凹部４５２があり、その凹部の数、寸法、位置によって、移送装置４４０によって取り込まれる超吸収性粒子３１０のパターンの量が決まる。移送装置４４０は、バルク保持手段４１０に隣接している投入位置４４２から排出位置４４８に移動可能である。排出位置４４８では、キャリア層３２０が移送装置と隣接している。更に移送装置には、移送装置４４０が排出位置４４８に移動中、超吸収性粒子を凹部の内側に保持する手段４４４、ならびに、放出合流位置４４８のキャリア層の上に粒子を放出する手段４４６が備わっている。これらの手段はそれぞれ真空状で、空気噴出し式であるのが好ましい。

粒子状物質のパターンを保持するために、キャリア材３２０にくぼみ３２８を形成させる。移送装置４４０の凹部４５２の１ヶ所から押し出される本質的に全ての粒子状物質は、キャリア材に形成されたくぼみ３２８のうち対応するくぼみに移送して、サンドイッチパターンの集合体を形成させる。

凹部からキャリア材への移送が本質的に完璧に行われるようにするには、特定のプロセスや設備の設定が求められる一方で、くぼみを形成させることによって、この移送作業の質が大きく向上する。くぼみ３２８は、本質的に無端の表面を備えたキャリア材支持手段４７０の上にキャリア材３２０を設置することによって形成させ、回転ドラム又は無端の可動ベルトシステムによって形成させてもよい。キャリア材支持手段は、キャリア材の特定の支持パターンを形成する表面構造を有している。キャリア材は、延伸力が加わった場合に変形又は隆起してポケットが形成されるように、支持構造の支持パターンによる支持領域以外の場所では本質的に支えられていない（図４Ｂ参照）。延伸力は真空吸引力にしてよく、例えば、キャリア材受容側と反対側に位置するとともに、上に粒子状物質が配置されている表面構造の側面の上に配置した支持ドラム又は真空ボックスに加えてよい。

プロセスには、粒子状物質が上に配置されているキャリア材をカバー材３３０と合体させる工程、及びキャリア材及びカバー材をスプレー接着剤などの固定手段４９５によって接合する工程が更に含まれている。

キャリアウェブ材の変形並びに表面パターンの特定の態様については、同時出願の特許（代理人整理番号ＣＭ２９８８ＦＱ）で確認でき、その全ての開示内容は参照によって本発明に明示的に含まれている。

本発明では、凹部内に形成される粒子パターンが、キャリアウェブ材の上、特にこのキャリアウェブ材に形成される各ポケット内に正確に移送することが重要である。この移送は、粒子移送装置とキャリアウェブ材が「一致速度」（固定フレームに対して表面が本質的に同一速度）であっても、形成速度が増すにつれて制御が難しくなる。

これは、遠心力、重力、抵抗力（例えば流体のような空気中の移動粒子の抵抗力）などの影響が、特に粒子集合体が移動している場合に矛盾することが原因である。更に、粒子がキャリアウェブ材の表面に当たったり、他の粒子がすでに表面上に付着している場合、これら粒子はゆがんで再びはね返るか、別の粒子へはね飛ぶ可能性がある（「はね返り」効果）。

形成速度が増すにつれ、粒子が更に散乱するのが一般的な傾向であろう。すなわち、粒子集合体が移送装置４７０の凹部４５２から放たれた場合、集合体粒子は離れる傾向にある。このことが、パターン境界が不明瞭になり、粒子があるべきではない領域やくぼみ近辺にさえ付着する原因となる可能性がある。

キャリアウェブ材にポケットを形成させるとこの点が改良される一方で、設備設計、特に空気流制御に更に焦点を当てる必要がある。

粒子状物質がくぼみ又はポケット内に付着すると、これらの部分の一部又は全部は粒子に占有されるか、「山」を形成するなどによって容量以上の粒子が投入される。このような場合、粒子状物質が本質的に含まれていない接合領域を実現するために、少なくともキャリア材表面の一部に粒子状物質が本質的に含まれていないことが重要である。典型的には、領域はキャリア支持パターンと一致しているが、一致しているのは一部のみでもよく、たいていの場合は、支持パターンよりも広く、キャリア支持領域の周囲領域も含まれている。

サンドイッチ構造の形成作業は、ポケット中のパターン状の粒子状物質をカバー材で覆い、接着剤を少なくともキャリア材の接合領域又はカバー材の接合領域に塗布するなどして２つのウェブ材を互いに固定させることによって完了する。

上述の方法によって、当業者は、設備を適切に設計し、プロセスを実施できるようになるが、本発明のさらなる態様、すなわち、設備設計及びプロセスパラメータを、特にサンドイッチ構造の要件変更に合わせて、非常に素早く設定する方法を以下に記載する。

この目的を達成するために、本発明ではコンピュータ制御のバーチャルシミュレーションツールを利用する。このようなツールは、徐々に使いやすくなっていると同時に、複雑な数学的シミュレーションモデルを扱うのに更に適したものとなっている。それにもかかわらず、更に速い形成速度で可変パターン状のサンドイッチ構造を形成させる取り組みにおいては、的確なツールを選択及び組み合わせて、そのツールを的確な課題に適用することはこれまで行われてこなかった。

一般的に、制限なく使用できる数学的／物理的シミュレーション法には以下のとおり多くのものがある。
−基礎的有限要素解析は、三次元（３Ｄ）幾何学的シミュレーションを可能にする
−変数として時間を追加し、運動が動的にシミュレートされる可能性がある
−幾何学的３Ｄシミュレーションに質量を追加し、物体及び表面のシミュレーションが可能となる
−シミュレーションに力を追加し、動力学的シミュレーションを導く
−（位置）エネルギーを追加し、力の相互作用とエネルギー変換、特に流体力学をも可能にする。

更に、ある特定の要素を、上記のシミュレーションの各々又はいずれかに追加してよい。要素は、温度、圧力、化学物質の反応性などにしてよい。

これらシミュレーション全てに対する全般的手法は、実際のプロセスの代表的な物理的及び数学的モデルを構築すること、すなわち、物理的構造又はプロセスに関与する数学方程式を求めることである。これら全ての方程式に対し、一連の方程式を解いて境界条件に対する解決策を提供できるように、これらの好適な条件を提供しなくてはならない。

これらの一般的な考え方を、上記に記載したおむつなどの使い捨て吸収性物品の形成プロセスを利用して、本明細書中で更に説明する。

特定のシミュレーションに対する従来のモデリングツール上に、モデルを構築することができる。このように一般的な用語では、バーチャルシミュレーションは、
１）サブモデル連関境界条件により連関されたサブモデルを任意に含め、相互作用する境界条件で連関され物理的モデルを形成する一連の物理方程式を準備する工程と、
２）設備セットアップ全般、プロセス要件全般、および一連の初期操作条件を含む一連の固定された境界条件を選択する（固定モデル入力する）ことと、
３）予め設定された一連のモデルターゲットを準備することと、
４）一つのシミュレーション中で変わりうる一連の変数境界条件を選択する（変数モデル入力する）ことと、
５）固定及び変数モデル入力値を利用して、物理方程式の計算操作を実施することと、
６）計算結果を、直接又は好ましくはコンピュータ機器を用いて分析者に判読可能なモデル出力へ変換することと、
７）好ましくはコンピュータを用い、モデル出力及び予め設定されたモデルターゲットを比較し、両者間の偏差を決定することと、
８）好ましくはモデル出力及び予め設定されたモデルターゲットの間の偏差を最小限にするためにコンピュータによる式を用い、一連の変数境界条件を変更することと、
９）工程４）から８）を、プリセット終了条件を満たすまで繰り返す工程で、終了条件は好ましくは繰り返し回数とし、より好ましくはモデル出力及び予め設定されたモデルターゲット間でのプリセット終了偏差とすること、
によって、可動面上に粒子状物質を選択的に配置するプロセスのための設備設計及びプロセスパラメータを定める方法と説明することができる。

好ましくはシミュレーションは、コンピュータシステム、例えばディスプレイ端末、キーボード、マウスなどのポインティングデバイスなどのユーザーインターフェースに連結された処理装置を含むシステムを用いて実施する。処理装置には、中央演算処理装置、メモリ、本発明に従うプロセスやデザインパラメータ決定の支持方法が記載された保管済み説明書を含めてよい。保管済み説明書は、メモリ中の処理装置、磁気又は光媒体、ＥＰＲＯＭ、ＥＥＰＲＯＭなどのような不揮発性記憶装置にも保存してよい。あるいは、フロッピーディスク（登録商標）とも呼ばれるリムーバルディスクや光メディアなどのリムーバルメディアから説明書を読み込んでもよい。好ましい実施形態では、システムには、本明細書に記載した機能を実践するための汎用コンピュータプログラムが含まれている。また任意に応じて、コンピュータ設備には更に、プリンター又はローカルサーバー、イントラネット、インターネットにアクセスするためのネットワーク接続を含めてもよい。

具体的には本方法では、バーチャルシミュレーション及び計算ツールを利用する。

様々な設備の部品を、静的、動的、又は運動学的モデルを使用してデザインすることができる。このような計算に典型的に用いられるツールは、ＭＳＣ．ソフトウェア社（MSC.Software Corporation）（米国カリフォルニア州サンタアナ）が販売しているＭＳＣ．ビジュアルＮＡＳＴＲＡＮＤ ４Ｄ（MSC.visualNASTRAN 4D）（商標）又はＭＳＣ．ダイナミックデザイナー（MSC.DynamicDesigner）（商標）である。

特にバルク流体中の粒子間相互作用の反応を計算する場合、計算に典型的に用いられるツールは、ＨＣＩｔａｓｃａ ｖｉａ Ｉｔａｓｃａ Ｃｏｎｓｕｌｔａｎｔｓ（ドイツ、ゲルゼンキルヒェン）が販売している、２又は３次元の「粒子流体コード（Particle Flow Code）」（ＰＦＣ２Ｄ／ＰＦＣ３Ｄ）で確認できる。

重要なシミュレーション態様は流量パターンに対するもので、フルーエント社（Fluent Incorporated）（米国ニューハンプシャー州レバノン）が販売するフルーエント（FLUENT）、フローウィザード（FloWizard）、ＦＩＤＡＰ、ポリフロー（POLYFLOW）などの数値流体力学（ＣＦＤ）ソルバーで対応することができる。

更に重要なシミュレーションツールは、材料中の空気流によって誘発される外力の影響下において、ウェブ材などの材料の変形に対応する。好適なツールは、アンシス社（ANSYS Inc.）（米国ペンシルバニア州キャノンズバーグ）から入手できるアンシスメカニカル（ANSYS Mechanical）（商標）である。

好適なツールを選択すると、第１の一連の境界条件が設定される。これは、シミュレーション中で本質的に変化しない「固定」条件と、材料（本明細書中で用いられる粒子状物質やウェブ材）の定義に関するものである。本件では、その他の一般的な境界条件は「周囲」条件下での操作であり、具体的には、標準的な温湿度又はその周辺温湿度に調節した環境でプロセスを実施する。しかしこのような環境を、温度２０℃、相対湿度５０％などと一定化してもよい。「周囲」気圧条件は、空気流を起こすための特定の気圧変化（吸引など）へ設備の特定部分をさらすことを含むことができる。

同様に、固定境界条件は主要な設備部品に関するもので、使い捨ておむつのサンドイッチ構造の形成の場合、サンドイッチ構造を覆って接着する前に、粒子状物質をバルクでホッパーシステムに送り、事前計量及び移送ドラムを介しての計量を実施して、キャリア材としてのウェブ材に移送する。

これらの境界条件は特定のシミュレーションのために変更しないが、例えばシステムの頑強さを評価するために変更してもよく、また変更するのが典型的である。

さらなる工程として、ターゲットパラメータを設定する。本件では、材料の幾何学的パターン、量、坪量、分布といった吸収性サンドイッチ構造のデザインパラメータとすることができる。シミュレーションに対する重要なターゲットパラメータは、プロセス速度のプリセット値である。特定の態様は、１つ又はそれ以上のサブプロセス工程のみに関するものにしてよいが、これらのターゲットは典型的には全プロセスに対して定義する。

モデル計算は、１回の繰り返しで完了するよう実施できるが、モデルのサブセットの繰り返しとしてもよい。サブモデルを使用する場合は、あるモデリングプログラムから連結させた別のサブモデルへサブモデル境界条件を送るために、自動的に連結させてもよい。あるいは、サブモデルは「ステップバイステップ」すなわち、各シミュレーション工程を他のステップから独立して実行させてもよく、１ステップの境界条件は次のシミュレーションに入力する。

各サブシステムについて、一連の入力パラメータを一連の結果パラメータと同様に定義する。

第１のシミュレーション工程では、パターン形成機器への粒子状物質の移送を検討する。

出発点は、サンドイッチ内のターゲットデザインパターンを集合体サイズ、坪量、凹部の初期デザインに「翻訳」する作業である。

このようなシミュレーション工程の結果は、移送ドラム凹部の初期デザイン（深さ、形等）になる。凹部の一般的なサイズは、直径２〜２５ｍｍに定め、深さは約０．５ｍｍから約１０ｍｍまで変化する。単層で必要な粒子よりも少ない量を有する集合体に対応する凹部は、正確に充填できるように、より小さい直径で形成させる。

粒子力及び圧力に対する粒子の検討では、凹部の充填について確認することができ、その結果、側壁のスロープ、縁部の湾曲、凹部に対する粒子送達機器（例えばホッパー）の相対位置、かき落とし手段（例えばドクターブレード）間隔の使用（使用する場合）を含む凹部の詳細デザインが得られる。また、凹部の空気透過性底部を通じた吸引の適用法を評価する。

続いて起こるシミュレーション工程は、粒子収容領域から粒子押し出し領域までの粒子充填済み凹部の移動である。絶えず回転する円筒形ドラムの好ましい実施形態を考慮する場合は、遠心力と引き止め力（移送ドラム内の吸引による空気流力など）のバランスが必要となる。

主要なシミュレーション工程は、キャリアウェブ材上の移送用又は印刷用ロールからの粒子移送に関するものである。この工程には相互作用する多くの要素、すなわち、凹部外への粒子の押し出し、キャリア材に対する粒子の移動、粒子集合体自体が引き起こす空気流の乱れと空気流との相互作用、粒子及び粒子集合体軌道の計算が存在する。理想的には、集合体中粒子の相対位置は変更せず、すなわち、集合体は移送ドラムからキャリア材まで「そのままで」移送しなくてはならない。粒子軌道領域内の空気流シミュレーションでは、第２の空気流を更に考慮する必要がある。

このシミュレーション結果は、キャリアウェブ支持手段、正確な粒子押し出し位置及びそれぞれの条件、及び、例えば接着剤スプレーによる乱れなどの第２の空気流の同定に対する移送装置の正確なポジショニングとなる。

キャリア材のポケットを設計するためには、２つの重要な態様をシミュレーションしなくてはならない。第１に、くぼみのパターンに、最終サンドイッチ構造で求められるパターンが投影されること。第２に、くぼみの形成には、キャリア材の変形特性に対する考慮が必要であること。ウェブの非等方性応力挙動は、パターンの斜め配置の原因となる場合がある。

追加シミュレーションツールは、他のプロセス態様に適用してよく、それぞれが干渉する各シミュレーション工程に連結してよい。このようなプロセス工程の例は、粒子付着前後又はどちらか一方における、ウェブキャリア材へのスプレー接着剤の適用であり、粒子周囲の空気流を干渉する。さらなる例として、全部品に対する構造デザイン態様を設計できる。

このように繰り返し手順を定義すると、シミュレーション工程が開始され、プリセットターゲットに達するまで、又はその他の停止基準を満たす（例えば、自動繰り返し数）まで繰り返される。

シミュレーションは、本明細書で上述した吸収性サンドイッチ構造を形成速度８ｍ／秒で形成する作業について実施する。このシミュレーション結果によって、特に以下の点について、改良プロセスの設計が可能となった。
凹部形状の向上による凹部の充填
凹部内の粒子保持のための吸引調整
粒子押し出しのための適切な「空気噴出し」の計算
移送装置から押し出された後の粒子軌道に影響する全空気流パターンの評価
くぼみ形成のため真空吸引を利用するキャリア材の変形
キャリア材上の個々の粒子集合体への粒子ランディングの決定

これらのシミュレーションは、結果を利用して設計した実際の形成ユニットに反映されており、極めて明確な粒子パターンかつ４．２ｍ／秒以上の高い形成速度でのサンドイッチ構造の作製におけるシミュレーション結果の使用可能性が、試作によって確認された。

「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。

本発明の特定の実施形態について例示及び説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その他の様々な変更及び修正が可能なことは当業者には明白である。

本明細書で数値を示した各パラメータは技術的パラメータであり、本明細書においては厳密な数字とは見なさないものとする。したがって、ここで述べたパラメータと機能的に同等のパラメータが示されている実施形態はすべて、本発明の範囲内のものであり、例えば長さ「１０ｍｍ」は「約１０ｍｍ」を指しているものとして理解しなければならない。

使い捨てオムツの上層の一部を切り取った平面図。 図１に示した使い捨ておむつの断面図。 吸収性コアサンドイッチ構造の平面図。 図３Ａに示したサンドイッチパターンの断面図。 サンドイッチ構造を形成させるプロセスの概略図。 図４Ａに示したプロセスを実行するための機器の一部の拡大断面概略図。

Claims (1)

1. サンドイッチ構造（３００）中における粒子状物質のパターンを連続的に形成する方法であって、
   粒子状物質（３１０）と、
   前記粒子状物質（３１０）を収容領域（４４２）に収容して排出領域（４４８）へ移送する移送装置（４４０）であって、第１のパターン形成手段（４５２）を有した前記移送装置（４４０）と、
   キャリア材（３２０）及び／又はカバー材（３３０）としての本質的に平坦な少なくとも一つのウェブ材と、
   前記移送装置（４４０）の前記第１のパターン形成装置のパターンと同じ支持パターンを有した前記キャリア材（３２０）を支持するための、本質的に無端のキャリア支持手段（４７０）と、
   前記キャリア支持手段（４７０）の前記表面に前記キャリア材（３２０）を一時的に固定するためのキャリア材保持手段（４７２）と、
   前記サンドイッチ構造（３００）を結合させるためのサンドイッチ固定手段（４９５）と、を準備する工程を備え、
   前記粒子状物質（３１０）を前記移送装置（４４０）の凹部からなる前記収容領域（４４２）へ移送し、これにより、前記第１のパターン形成手段によって粒子状物質の集合体のパターンを形成する工程と、
   前記移送装置（４４０）の前記排出領域（４４８）へ前記粒子状物質の集合体を移動させる工程と、
   キャリア支持速度に対応したキャリア速度で、前記キャリア材（３２０）を前記キャリア支持手段上で誘導する工程と、
   前記キャリア支持手段によって誘導されており粒子状物質をまだ配置されていない前記キャリア材（３２０）を前記キャリア保持手段（４７２）によって変形させ、非支持領域にくぼみ（３２８）が形成されるようにして、前記粒子状物質の集合体のパターンに対応したパターンを形成する工程と、
   前記移送装置から前記キャリア材（３２０）へ向けて、前記粒子状物質の集合体のパターンをなす各粒子状物質の集合体を放つ工程と、
   放たれた各粒子状物質の集合体を、既に変形させられている前記キャリア材（３２０）上へ配置する工程と、
   前記キャリア材（３２０）および前記粒子状物質の集合体上へ前記カバー材（３３０）を配置する工程と、
   接合領域（３６０）の少なくとも一部内で外側サンドイッチ層を互いに接合するための固定手段（４９５）を準備する工程と、を実行する、方法。

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