JP4593199B2 - アクリル酸エステル化合物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、新規なアクリル酸エステル化合物及びその製造方法に関する。本化合物は、ラジカル重合性と電荷輸送性(ホール輸送性)機能を併せ持ち、重合により熱可塑性樹脂あるいは架橋硬化樹脂を形成することができ、得られた樹脂が電荷輸送機能を発現することで有機EL、有機電子写真感光体、有機TFT、有機太陽電池等の有機デバイス用半導体材料として有用である。
従来では、電荷輸送機能を樹脂に持たせる方法としては、電荷輸送性材料をバインダー樹脂中に分散させる方法が最も一般的であり、特に、電子写真感光体では、広く使用されている。しかしながら、電荷輸送機能部の機械的強度や耐熱性を上げる為には、電荷輸送性材料とバインダー樹脂を一体化させることが有利であり、その様な取り組みが行われてきた。
それらの中で、電荷輸送性構造体にラジカル重合性基を持たせた電荷輸送性モノマー及びその重合体が提案され、トリフェニルアミン骨格を有するアクリル酸エステル類及びその重合体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、二つ以上のラジカル重合性基を有する電荷輸送性モノマーの電子写真感光体への応用例が示され、多数の電荷輸送性モノマーが提案されている。中でも架橋性の良好なアクリル酸エステル系化合物が多数開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
一方、電荷輸送性を表す移動度では、単純なトリフェニルアミン構造よりも共役系の拡大したアミノビフェニル構造体やアミノ置換スチルベン構造体が高い移動度を示すことが知られており、上記電荷輸送性モノマーの内、これらの構造を有した物は、特に有用な材料である。
しかしながら、これら構造を有する従来モノマーはその製造工程が長く、安価な提供が困難であることを始めとして、良好な重合性、電荷輸送特性、硬化時の成膜性、他のモノマー種との混和性等全てを満足するモノマーは見出されておらず、実用化の為には、良好な重合性及び電荷輸送特性を維持しつつ、成膜性や他のモノマーとの相溶性にも優れ、且つ、安価に提供できる電荷輸送性モノマーが求められていた。
また、本発明の化合物とは構造が異なっている(メタ)アクリロイル基を有するアミノ置換スチルベン構造体の例が知られている(例えば、特許文献4中、表−1のNo.61〜83の化合物参照)。しかしながら、上記特許文献4には、それらの合成法についても何ら開示されていない。
また、アクリロイル基を有するトリフェニルアミン構造体の合成方法が知られており(例えば、特許文献5参照)、その合成方法を適用することが考えられる。すなわち、メトキシ置換体をシリル化合物により脱メチル化してヒドロキシ体に変え、最後にアクリル化する方法である。
しかしながら、スチルベン骨格のフェニル基上に置換されたメトキシ基をシリル化合物で脱メチル化しようとすると目的のヒドロキシ体の収率が極めて悪く、ほとんど合成困難という問題があった。脱メチル化用の試薬としては、臭化水素、三臭化ホウ素等の種々の試薬が知られているが、いずれもスチルベン構造の分解を伴い、収率良く合成することができなかった。
また、仮に脱メチル化合成できたとしても、(メタ)アクリロイル基を有するアミノ置換スチルベン構造体の合成には、メトキシ置換ベンジルアルコールの臭素置換によるメトキシ置換ベンジルブロマイドの合成、そのホスホネート化合成、相手ホルミル体とのHorner-Wadsworth-Emmons反応によるメトキシ置換アミノ置換スチルベンの合成、その脱メチル化、最後にそのアクリル化と5工程を要し、安価な電荷輸送性ラジカル反応性モノマーとして提供することができなかった。
特開平5−202135号公報 特開2000−066424号公報 特開2000−206716号公報 特開平7−72640号公報 特開平5−202135号公報
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、良好なラジカル重合性と電荷輸送性を有し、成膜性や他のモノマーとの相溶性にも優れ、且つ、製造工程が短くて済み安価に供給することができる、各種有機デバイス用材料となるアクリル酸エステル化合物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、下記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物を特徴とする。
(式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rcは、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリール基を表し、Ar1、Ar2は、置換基を有しても良いアリール基を表し、i、jは0〜4の整数を表す。)
また、請求項2に記載の発明は、下記一般式(2)で表される請求項1記載のアクリル酸エステル化合物を特徴とする。
(式中、Raは水素原子、メチル基を表し、Rbは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rc、Rd、Reはそれぞれ独立して置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリール基を表す。i、jは0〜4の整数を表し、k、lは0〜5の整数を表す。)
また、請求項3に記載の発明は、下記一般式(3)で表される請求項2記載のアクリル酸エステル化合物を特徴とする。
(式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rf、Rgはそれぞれ独立して、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基を表し、m、nは0〜2の整数を表す。)
また、請求項4に記載の発明は、2−ヒドロキシベンジルホスホネート誘導体とジアリールアミノベンズアルデヒド誘導体とからHorner-Wadsworth-Emmons反応により2−ヒドロキシ−4’−ジアリールアミノスチルベン誘導体を合成し、次いでアクリル酸誘導体とエステル化反応することにより得る前記一般式(1)から(3)のいずれかの一般式で表されるアクリル酸エステル化合物の製造方法を特徴とする。
本発明によれば、一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物により、良好なラジカル重合性と電荷輸送性を有し、成膜性や他のモノマーとの相溶性にも優れ、且つ、製造工程が短くて済み安価に供給することができため、有機EL、有機電子写真感光体、有機TFT、有機太陽電池等の有機デバイス用半導体材料として有用な各種有機デバイス用材料として広い分野でコストの制約の少ない化合物を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
前記一般式(1)、(2)、(3)においてRaは水素原子またはメチル基を表す。水素原子とメチル基では、ラジカル重合性に違いが生まれるので、使用環境により適宜選択して使用される。Rbは炭素数1〜6のアルキル基を表す。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Ar1、Ar2において置換基を有しても良いアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基等が挙げられ、また下記一般式(4)、(5)、(6)で表される基も挙げることができる。
(式中、Xは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の2価基を表す。)
(ここで、R26、R27は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表し、aは1〜12の整数、bは1〜3の整数を表す。)
これらの置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基が挙げられる。ハロゲン原子の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。また、炭素数1〜6のアルキル基は前記Rbと同様であり、その置換基としては、ハロゲン原子、フェニル基が挙げられる。また、置換基を有しても良いアルコキシ基は、上記置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコキシ基を表し、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc、Rd、Reは、それぞれ独立して、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基は、Rbで述べたアルキル基と同様であり、その置換基としては、ハロゲン原子、フェニル基が挙げられる。置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
また、アルコキシ基は、上記置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコキシ基を表し、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基等が挙げられる。
これらの置換基としては、ハロゲン原子や炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基は、上記記載と同様である。
Rf、Rgの置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基とは、Rc、Rd、Reの説明で述べた置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基と同様である。ここまでのハロゲン原子の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
本化合物の例示化合物を下記に示す。
本発明のアクリル酸エステル化合物は、新規物質であり、例えば以下の第1工程から第3工程に至る化学反応式による反応を利用した製造法により容易に合成することができる。
第1工程
第2工程
第3工程
第1工程は、2−ヒドロキシベンジルアルコール化合物を亜リン酸エステル化合物と直接反応させ、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸エステルを合成する工程である。この反応については、A.B.Ageeva and B.E.Ivanov,Izu.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.,1494(1967)や特開平4−112845号に記載されている方法を適用することができる。
例えば、2−ヒドロキシベンジルアルコール化合物を適当な溶媒に溶解させ、所定の温度で亜リン酸エステル化合物を滴下する方法や2−ヒドロキシベンジルアルコール化合物を溶媒を使用せず過剰の亜リン酸エステル化合物と加熱反応させる方法等が挙げられる。
溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が使用できる。反応温度は、室温から155℃の範囲で良いが、好ましくは、60℃〜150℃である。
第2工程は、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸エステルとジアリールアミノベンズアルデヒド誘導体とからHorner-Wadsworth-Emmons反応により2−ヒドロキシ−4’−ジアリールアミノスチルベン誘導体を合成する工程である。この反応についても、特開平4−112845号に記載されている方法を適用することができる。
ここで使用されるジアリールアミノベンズアルデヒド誘導体としては、従来公知の化合物および合成方法を適用できる。例えば、ジアリールアミノベンゼン誘導体をUllmann反応により合成した後にVilsmeier反応を用いてホルミル化する事で容易に得られる。
ジアリールアミノベンズアルデヒド誘導体に対する2−ヒドロキシベンジルホスホン酸エステルの使用量は、通常0.7〜3モル倍、好ましくは1〜2.5モル倍である。本反応は塩基の存在下で行われるが、塩基としてはカリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が使用できる。塩基は、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸エステル誘導体に対して1.5〜5モル倍、好ましくは2〜4モル倍である。
溶媒としては、トルエン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアルキルアミド系溶媒が使用できる。反応温度は、通常−30℃〜150℃、好ましくは−10℃〜130℃である。
第3工程は、アクリル化工程であり、従来のヒドロキシ体のエステル化と同様にして合成できる。すなわち、2−ヒドロキシ−4’−ジアリールアミノスチルベン誘導体に(メタ)アクリル酸またはそのエステル化合物を作用させる。例えば、2−ヒドロキシ−4’−ジアリールアミノスチルベン誘導体と(メタ)アクリル酸とをパラトルエンスルフォン酸等のエステル化触媒と共に有機溶媒中で脱水しながら加熱撹拌することで合成できる。また、2−ヒドロキシ−4’−ジアリールアミノスチルベン誘導体とアクリル酸クロリドとを有機溶媒中アルカリ存在下で反応させることでも容易に合成できる。
アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液やトリエチルアミン、ピリジン等のアミン系塩基を使用することができる。
有機溶媒としては、トルエン等の炭化水素系溶媒やテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒や酢酸エチル等のエステル系溶媒等が使用できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルの調製)
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、2−ヒドロキシベンジルアルコール(東京化成品製)38.4g、o−キシレン80mlを入れ、窒素気流下、亜リン酸トリエチル(東京化成品製)62.8gを80℃でゆっくり滴下し、さらに同温度で1時間反応を行った。その後、減圧蒸留により、生成したエタノール、溶媒のo−キシレン、未反応の亜リン酸トリエチルを除去し、66gの2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルを得た。(沸点 120.0℃/1.5mmHg)(収率90%)
(2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベンの調製)
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、カリウム−tert−ブトキサイド14.8g、テトラヒドロフラン50mlを入れ、窒素気流下、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル9.90gと4−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)ベンズアルデヒド5.44gとをテトラヒドロフランに溶解させた溶液を室温でゆっくり滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。
その後、水冷下、水を加え、次いで2規定の塩酸水溶液を加えて酸性化したのち、テトラヒドロフランをエバポレーターにより除き、粗生成物をトルエンで抽出した。トルエン相を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。ろ過後、トルエンを除いてオイル状の粗収物を得、さらにシリカゲルによりカラム精製を行った後、ヘキサン中で晶析させ、5.09gの2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベンを得た。(収率72%、融点136.0〜138.0℃)
(4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン−2−イルアクリレートの調製)
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン14.9g、テトラヒドロフラン100ml、12%濃度の水酸化ナトリウム水溶液21.5gを入れ、窒素気流下、5℃でアクリル酸クロリド5.17gを30分かけて滴下した。その後、同温度で3時間反応させた。反応液を水にあけ、トルエンで抽出した後、濃縮してシリカゲルによるカラム精製を行った。得られた粗収物をエタノールで再結晶し、黄色針状晶の4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン−2−イルアクリレート(例示化合物No.2)13.5gを得た。(収率79.8%、融点104.1〜105.2℃)
元素分析結果を以下に示す。
元素分析値(%)
C H N
実測値 83.46 6.06 3.18
計算値 83.57 6.11 3.14
比較例1
実施例1にならって4−ヒドロキシベンジルアルコールからの4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルの調整を同様に行った。
その結果、8種類以上の副生物が多数生成し、目的物の4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルは単離が困難であった。液体クロマトグラフにより純度を調べたところ、254nmの検出波長でのピーク面積割合は、38%であった。
反応温度を、125℃で行った場合、及び無溶媒で過剰の亜リン酸エチル中で145℃で反応させた場合も副生物が多数生成し、液体クロマトグラフによる生成収率は35%〜40%であった。
(硬化性評価)
アルミ板上に下記塗工液4種をブレード塗工し、指触乾燥後、下記条件にて紫外線を照射し、それぞれ厚さ5μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜にテトラヒドロフランを湿らせた脱脂綿を擦りつけ、膜の形態変化を目視により観察した。その結果、いずれの膜もテトラヒドロフランに溶解せず、光沢を失う事がなかった。以上より、本発明のアクリル酸エステル化合物は従来品と同等のラジカル反応硬化性を有することがわかる。また、得られた膜の成膜性はいずれも良好であった。
<塗工液>
塗工液A 例示化合物No.2 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート 10部
重合開始剤 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1部
テトラヒドロフラン 84部
塗工液B 例示化合物No.2の代わりに比較化合物として下記化合物(Ref-1)
を使用する以外は塗工液Aと同様である。
塗工液C 例示化合物No.2の代わりに比較化合物として下記化合物(Ref-2)を使用する以外は塗工液Aと同様である。
塗工液D 例示化合物No.2の代わりに比較化合物として下記化合物(Ref-3)を使用する以外は塗工液Aと同様である。
<UV照射条件>
ランプ:メタルハライドランプ 160W/cm
照射距離:120mm
照射強度:500mW/cm2
照射時間:60秒
(電荷輸送性評価)
アルミ板上に下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、0.3μmの下引き層、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、感光体を作製した。
<下引き層用塗工液>
ポリアミド樹脂(CM−8000:東レ社製) 2部
メタノール 49部
ブタノール 49部
<電荷発生層用塗工液>
下記構造のビスアゾ顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL:UCC社製) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
<電荷輸送層用塗工液>
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
電荷輸送性モノマー 10部
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF−50−100CS、信越化学工業社製)
この様にして、電荷輸送性モノマーに本願例示化合物No.2を使用した場合、硬化性評価の塗工液B〜Dで用いたアクリル化合物を使用した場合の4種の感光体を作製した。
かくしてつくられた感光体について市販の静電複写紙試験装置[(株)川口電機製作所製SP428型]を用いて暗所で−6kVのコロナ放電により−800Vに帯電せしめた後、タングステンランプ光を感光体表面での照度が4.5 luxになるように照射して、電位が 1/2になるまでの時間(秒)を求め、半減露光量E1/2 (lux・sec)を算出した。また、露光30秒後の残留電位(−V)を求めた。その結果を以下に示す。
アクリル化合物 半減露光量E1/2(lux・sec) 残留電位(−V)
例示化合物No.2 0.78 0
Ref-1化合物 1.21 5
Ref-2化合物 1.41 6
Ref-3化合物 0.86 0
以上の様に電荷輸送性を感光体の感度(半減露光量が小さいほど感度が良い)と残留電位(小さいほど電荷のトラップが無い)から見ると共役の狭いトリフェニルアミン系アクリル化合物(Ref-1、Ref-2)よりも本願のスチルベン系アクリル化合物は良好な電荷輸送性を示すことがわかる。また、Ref-3の様なアミノビフェニル系アクリル化合物とは同等の電荷輸送性を示すことがわかる。
Ref-3の場合は、良好なラジカル反応性と電荷輸送特性を示しているが、従来技術で述べた様にその合成工程が長く、安価に製造するのが困難である。工業原料として入手可能な原材料からの合成例としては次の例が上げられる。
この様に製造工程が長く、最終物まで7工程を要する。
それに対し本願のアクリル酸エステル化合物は、製造法で述べた様に3工程で合成することができるため容易に提供できる。
以上の様に本発明は、2-ヒドロキシベンジルホスホネート化合物とジアリールアミン置換ベンズアルデヒド化合物との反応によりジアリールアミノ基を有する2-ヒドロキシスチルベン化合物の合成が可能なこと、及び、そのアクリル酸エステル体が収率良く合成できること、及び、得られたアクリル酸エステルが良好なラジカル反応性と電荷輸送特性と成膜性を有することを見出したことによる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物。
    (式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbはメチル基を表し、Rcはメチル基またはエチル基を表し、Ar、Arは、メチル基を有していてもよいフェニル基、エチル基を有していてもよいフェニル基、メトキシ基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、テトラリニル基、ビフェニリル基、ピレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、または下記構造式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)で表される基を表し、i、jは0〜の整数を表す。)
  2. 下記一般式(2)で表される請求項1記載のアクリル酸エステル化合物。
    (式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rf、Rgはメチル基を表し、m、nは0〜2の整数を表す。)
  3. 下記構造式で表される請求項1から2のいずれかに記載のアクリル酸エステル化合物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のアクリル酸エステル化合物を製造する方法であって、下記一般式(3a)で表される2−ヒドロキシベンジルホスホネート誘導体と下記一般式(3b)で表されるジアリールアミノベンズアルデヒド誘導体とからHorner−Wadsworth−Emmons反応により下記一般式(3c)で表される2−ヒドロキシ−4’−ジアリールアミノスチルベン誘導体を合成し、該誘導体をアクリル酸誘導体とエステル化反応する事を特徴とするアクリル酸エステル化合物の製造方法。
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